JP4321138B2 - 加湿装置と加湿装置付試料採取装置 - Google Patents
加湿装置と加湿装置付試料採取装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を所望する環境条件に適合するために加湿する加湿装置と、物体(材料試料)の表面から発生する成分、例えば、揮発成分を採取するための加湿流体を供給可能とし試料を採取する加湿装置付試料採取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の加湿手法には、以下のものがあり、それぞれ解決すべき課題を有する。
(1)超音波、加熱気化、霧吹きによる加湿手法
超音波噴霧、加熱気化、霧吹きなどにより、水粒子を多量に放出し加湿する手法は、容器内、吹き出し口にカルシュウムに代表されるような水中の不純物が析出し白く濁るなど美観を損なう。また滞留部に雑菌、かびが繁殖するなど異臭の原因となったり健康が危惧される。また、大きな水粒子(蒸気)が放出されるため加湿器周りが濡れたりカビが発生し易くなる。
【0003】
(2)冷風扇による加湿手法
布などに水を浸して空気を流通させる、主として気化熱冷房するものである。例えば、布の前面にファンを設置し、布表面での空気流れを向上させ気化効率を上げる手法は、積極的に、布に空気を通過させることはない。また装置が大掛かりとなる。また、布、滞留部等でのカビ、雑菌の発生が危惧される。加湿目的でないため湿度調整機能はない。さらに、霧化(気化)効率が悪いため非気化物質の蓄積の問題もある(特開平10−311569号公報)。
【0004】
(3)中空糸膜による加湿手法
燃料電池用加湿装置として中空糸膜などにより加圧し膜を通過した微量の水を空気により気化させる方法がとられる。原理的には、中空糸の微細な穴から漏液した水(粒子)を空気によって搬送する手段である。これは、超音波などで微細化(霧化)した水粒子をファンで送風するのと同じである。構造が複雑であり家庭用など汎用性が高い加湿装置ではない。(特開2002−75421号公報)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−311569号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−75421号公報
【0007】
次に、従来の加湿装置付試料採取装置には、以下のものがあるが、それぞれ解決すべき課題を有する。すなわち材料、部品からの揮発成分による人への影響などを調べるためには、その材料、部品などからの揮発成分を化学分析する必要がある。このため、試料を金属製容器、ガラス製容器、ガスバッグ(樹脂製袋)などに試料を入れ、一定条件下での揮発成分を採取し、分析・解析を行っている。しかし、揮発成分は通常温度が高いほど発生しやすい特徴があり、さらに湿度によっても発生挙動が変わる。また、揮発成分は微量な場合も多くこのような場合、通常の空気雰囲気では、汚染がひどく化学分析できない。このため、分析用にテストピースを作ったり材料を切り出し分析試料とし、これを各種容器にいれ一定条件下で揮発成分を採取している。しかし、揮発した成分が容器内で吸着したり、容器自体から揮発成分が発生し定量性の悪化を生じている。また、温度、湿度などの実環境を再現できない方法もあり、装置としても大がかりとなり実験室専用となる場合が多い。
【0008】
従来の加湿装置または加湿装置付試料採取装置の問題点をまとめると以下の通りである。
▲1▼正確な揮発量を把握できない(吸着)。▲2▼試料形状に制限がある。▲3▼容器からの揮発成分による影響(定性・定量不可)。▲4▼湿度、温度などの環境制御ができない。▲5▼屋外など実験室以外で採取できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、湿度や温度、流量等の環境条件が所定に制御され流体を微粒子状態の液体で適正に加湿することができ、また正確に分析、評価をするために実情(実際の環境条件)に添った試料からの成分、例えば、放出される成分を適切に採取することができ、かつこれを小型の構造により実現できると共に、適用範囲を拡大し得る加湿装置と加湿装置付試料採取装置を得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る加湿装置は、流量が所定に制御された加圧流体が供給される供給部と、前記供給部に連通し、親液性または保液性と透過性を有する材料で構成され液体供給源から供給される所定の液体を内部に保液すると共に、流通する加圧流体により保液を微粒子状態で放出可能とする保液材を有する保液部と、前記保液部に連通し、疎液性の材料で構成され流通する加圧流体により液体を所定の微粒子状態に制御して流通放出する薄膜状のフィルタからなる止液材を備えた止液部と、前記保液部と前記止液部の間に形成され液体の粒子膜の生成を抑制する空間層と、前記止液材によって止液された液体を前記保液材に回収する回収材と、左右両端が開口する筒形に形成された密閉型とされると共に、前記供給部、前記保液部、前記止液部、前記空間層、前記回収材が内部に設けられて装置全体を一体化する加湿装置外装部と、を備え、流通する加圧流体を微粒子状態の液体で加湿する構成である。
【0011】
請求項2に記載の加湿装置は、請求項1に記載の加湿装置において、前記空間層には内部に前記保液部の保液材が部分的に配設され残部に空間が形成され、流通する加圧流体を微粒子状態の液体で加湿を行うようにした構成である。
【0012】
請求項3に係る加湿装置付試料採取装置は、請求項1又は請求項2に記載の加湿装置に連通し、試料を外部から隔離して収容すると共に、温度、湿度、及び流量の少なくとも一つの環境条件が所定に制御された流体が供給される外装部と、内管及び外管により多重の管構造とされ、先端開口が採集口とされると共に内部温度が所定に制御され、かつ、採集口が試料を被覆する状態で前記外装部に着脱自在に挿入され、試料から発生した成分を外部に取り出す採集部と、を備え、加湿流体を供給可能とし試料を採取するようにした構成である。
【0013】
請求項1または請求項2に係る加湿装置は、保液材として、高分子保液材、濾紙材、脱脂綿、化繊などで液分を一時的に蓄える性能を有する材質を用いることができる。性質的には、親液性または保液が可能な材質で、かつ離水性が良い程効率が良く、これには例えば、ふっ化ビニリデン樹脂、ナイロン樹脂などが相当する。湿度は液分の保液容量と離液率(気化効率)を調整することにより任意な湿度制御できる。保液剤の構造を変えることにより短時間加湿、連続加湿などができる。すなわち、保液材として面状の濾紙などを用いた場合、保液材の全面を空気が通過するため全量が加湿液量となる。通過流体(例えば空気)量×湿度=保液材の液量となる。連続加湿の場合、毛糸など保液性のある繊維に液体(例えば水)を多量に保持させる。ここに空気が通過することにより繊維表面微の細繊維から水を奪い加湿される。その後、内部の水が毛細管現象などにより水が再表面に供給されるため連続的な加湿ができる。
【0014】
請求項1または請求項2に係る加湿装置は、止液材として、テフロン(登録商標)製のメンブランフィルターなどの薄膜状のフィルターを用いる。ここでは、保液材からの液粒子が液滴のまま外部に放出されるのを防ぐ。
【0015】
請求項1または請求項2に係る加湿装置は、止液材としてのガス透過材が、加湿された空気を外部に放出するための穴を設けている。通常は、止液材と役割を兼用する。また水が止水材・ガス透過材の表面すべてを覆い尽くすとその圧力差により水が通過してしまうため表面には空気層を設ける。すなわち保水材が繊維状の場合は、通常空間ができる。保水材が面状の場合止水材と密着しないように僅かな空間を設ける。
【0016】
請求項1または請求項2に係る加湿装置は、液体(水)の補給を、外部から供給する。連続加湿の場合、保水容量が多いため補給水は間欠的な供給で加湿が可能である。また、供給側の空気入り口もフィルターなどを設けると、容器全体が細孔で隔離されるため装置内部へのカビ・雑菌などの進入を防ぐことができる。さらに、排出される空気は、完全に湿った状態で排出される。従来の加湿器における水の粒子排出とは異なるのである。また、必要によりヒーターなどを組み合わせ水分の揮発量を増加させることができる。
【0017】
請求項1または請求項2に係る加湿装置は、具体的には、ユニット化した筒状構造物の両端に薄膜状のフィルターを設ける。フィルターは、雑菌、カビなどを通過させない微細な空孔とする。筒には、水を通すための配管ノズル・コネクタを付けてある。コネクタには、高純度な水を充填した樹脂容器を付ける。樹脂容器に入るノズルは2本あり、一方は、水を充填した樹脂容器内が減圧になったときに容器内に空気を供給する。もう一方のノズル部分には、コックがあり外部から制御し筒内に最適な水を供給する。筒に入った水は、内部の滴下装置または噴霧器で出口側の薄膜状フィルターに向け放出される。その水は、入り口側からに設けた送風機からフィルターを通過し清浄化された空気により吹き付けられ、保水材に一端蓄えられたあと通過空気により気化する。一部押し出された水滴は、疎水性の薄膜状フィルターにぶつかり外部への放出を防ぐ、また一部は空孔の大きさに水が細分化される。そのまま、フィルターを通過し細かな粒子となり放出される。出口側および室内の温湿度を測定し、目的の送風量または湿度などを制御する。制御は、CPUが各種センサの信号を受け、滴下量、送風機の能力の制御とON・OFFを行う。
【0018】
本発明の流体を加湿するための加湿装置は、加湿器内部に水を噴霧し(粒子径が大きい)そこを通過するガス成分を吸収し取り除くことができる。そして、噴霧する水は、循環として電気伝導度などのセンサ類により汚染が増加した(認められた)ときに入れ替える。汚染水はドレンタンクへ移動する。化学物質を吸収した水粒子は、比較的粒径が大きいため止水剤でトラップされ噴霧器へ戻る。
【0019】
(1)加湿器の後ろに止水剤と空間および噴霧器を取り付ける。
(2)加湿用の室内空気が通過するところに、比較的大きな粒径の水を噴霧し化学 物質を吸収させる。
(3)吸収した水粒子を止水剤で回収し循環使用する。
(4)液だまりにセンサを付け、許容量以上の汚染が認められた時、ドレン水として回収し新液を充填する。また、臭いの強い脂肪酸などの水溶性の物質を捕集できる。さらに、加湿と空気清浄が同時にでき、水に非水性のガスも吸着する機能を付加させることにより水溶性成分以外の成分も取り除くことが出来る。
【0020】
本発明の加湿装置の特徴は、以下の通りである。(1)小型から大型まで同一構造で対応可能である。(2)加湿は、ルーバーなどの空気流れの変更手段を用いること無く、真上から真下まで360°の方向から加湿空気の放出が可能である。(3)送気部分以外に可動部分が無くシンプルな構造である。(4)完全にユニット化した構造物のなかにHPAフィルター、メンブランフィルターなどの隔壁を設けることにより、内部での雑菌、カビなどの繁殖を防ぐことができる。また、内部構造が簡単であり安価に交換ユニットを提供できる。供給する水は、高純度水か一般水を使用できる。一般水の場合、活性炭、イオン交換樹脂などのユニットを付加すれば使用できる。この場合、水質チェックのため抵抗などを測定し評価もできる。
【0021】
(5)高純度の水と完全独立したユニットにより雑菌、カビ、ゴミの滞留などがないクリーンな湿度供給ができるため一般家庭、病院、老人福祉施設などにも安心して使用できる。
(6)保水材の保水、離水の能力(性質)供給能力を変えることにより、短時間のみの加湿、連続的な加湿装置両方に対応できる。
(7)排出される空気は、無色透明の完全に湿った状態で排出される。従来の超音波噴霧、加熱気化、霧吹きのように白っぽい(蒸気)水粒子の排出とは異なり装置周りが水浸しになったりしない、その結果、カビが生えたりしない。すなわち、大気がしめった状態で放出される。
【0022】
本発明の加湿装置は、水漏れなく360°全ての方向から加湿できるため、民生用の加湿装置、空気清浄器、ヘアードライヤー、美顔器、消臭・殺菌器等にも応用することができる。特に、ヘアセットなどには、ヘアーアイロンと称せられる加熱気化タイプが使用されているが、気化量と気化成分がいきわたる範囲が限定されている。しかし、本発明の加湿装置では、微細に霧化した成分を髪にいきわたすことができる
【0023】
次に、本発明の物体(材料試料)の表面から発生する成分、例えば、揮発成分を採取するための加湿装置付試料採取装置は、以下の作用効果をもたらす。すなわち、住宅建材、部位、自動車部品、部位その他からの揮発成分を任意な環境条件下で採取、解析することができる。また、円錐構造、ガラス製の部品を組み合わせることにより多重管構造のチャンバーを構成する。そして、ガラスの外部、底面などから試料面にエネルギーを加え加熱する。また保水材、空気層、止水材からなる簡便な加湿装置で加湿する。
【0024】
本発明の加湿装置付試料採取装置では、試験対象とする試料の温度及び湿度の少なくとも一つを制御することにより、例えばエアコン用エバポレータのように試験対象とする試料が実際の作動時において温度や湿度が変化するものである場合に、当該温度や湿度の変化をシミュレーションすることができるようになり、これによって、実際の作動状態と略同様の条件下における揮発成分の挙動を分析、評価することが可能となる。このように、本発明の加湿装置付試料採取装置では、環境条件が制御されかつ試料の温度や湿度が制御されている状態で揮発成分を取り出すことができるため、実際の環境条件に添った(略同様の条件下における)試料の揮発成分の挙動を分析、評価することができる。
【0025】
本発明の加湿装置付試料採取装置は、具体的には、材料、部品などからの揮発成分を取り出すためのチャンバー容器を有し、チャンバーをVOC(揮発性有機化合物)の吸着の少なく安価なガラス製で全て構成する。チャンバーは、揮発した成分がガス溜まりなく速やかに移動できるように円錐形とする。また、採取口に至る部分は、細い管形状(10〜20mmφ程度が望ましい)としガス流速を上げ揮発成分の吸着を防ぐ。チャンバーは、ロートを逆向きに重ね合わせ多重管構造を形成する。
【0026】
本発明の加湿装置付試料採取装置は、外筒部分に清浄化した空気またはNなどのガスを通過させることによりエアカーテン技術を利用したガスシールを形成する(10cmφ程度のチャンバーでは、5L/min程度が望ましい)。この場合、内筒部分が揮発成分の採取部位となる。本発明では、内筒部分に供給された空気をシール用の下面と大気開放の上面の2方向に逃がす簡易シール構造としたことにより内筒部分と外筒部分の圧力差を極力少なくすることができた。これにより従来に比べ圧力調整機能を簡略化でき同時にガスの移動、拡散を必要量のみに限定することが可能となった。
簡易シール構造としたことにより、内筒に流す空気量を増加させることができる。これにより、採取口から最適な採取量250mL/min〜500mL/min程度(10cmφチャンバー)の空気を採取したとしても速やかに清浄空気を提供でき。揮発成分の外筒、外部への漏れを防ぐことができる。
【0027】
また、圧力差を少なくでき、同時にエアーシールドガスの供給力を向上させたことにより外因による影響、チャンバー底面の精度、気密性を従来品に比べ大幅に簡略化できた。例えば、従来では、圧力100kpaで1L/minの様な制御が必要であったが,本発明では、圧力100kpa程度、約3〜5L/min程度の表現する精度で制御可能であるチャンバー要素部位ごとに部品化・規格化することにより容積、底面積が異なるチャンバーを簡単に構成することがてき幅広い試料形状に対応できた。さらに、破損時の交換が速やかにできると同時に、汚染部位の交換も容易になった。
【0028】
本発明の加湿装置付試料採取装置は、チャンバー容器内の環境を制御するための装置として、正確なVOC評価のため、温度・湿度の制御を行う。一般的にチャンバー試験は、目的により常温〜150℃程度まで加熱されることがある。本発明では、チャンバー容器をガラス製のロート型としたことにより赤外線ランプ、ハロゲンランプなどによる外部からの常温〜150℃程度までの温度加熱が可能となった。また、小型であるためオーブンなどに入れ全体を加熱するとランプとオーブンの組み合わせでより良い制御が可能である。さらに、他の特定波長光などをあてることにより光触媒などの反応解析にも応用できる。
【0029】
また、本発明の加湿装置付試料採取装置は、湿度制御のため、保水剤、空気層、止水剤からなる加湿装置を使用する。この装置は、高圧下でも安定に加湿できると同時に、従来の水バブリングなどに比べ破損、水漏れが無く360°全ての方向から加湿した空気を供給できる。チャンバーは、外部空気の影響を受けないため、一般の乾燥器内などに設置しても影響されない。必要によりチャンバーの外部、内部、底面などから加熱を行う。
【0030】
さらに、本発明の加湿装置付試料採取装置は、環境を制御するためのシステムとして、供給ガス流量、温度、湿度などの情報および試料の成分を計測する各種センサーなどをパソコンなどから制御することによりリアルタイムで且つ任意な条件下での材料などからの揮発挙動を計測、制御できる
【0031】
さらに、本発明の加湿装置付試料採取装置は、揮発成分を計測するための装置として、臭いセンサー、炭化水素検出器などの各種ガスセンサー、光波長の検出器および、紫外・可視光分析装置、炭化水素分析装置、ガスクロマトグラフ装置、液体クロマトグラフ装置などにより各種環境条件での揮発成分を評価する。
【0032】
さらに、本発明の加湿装置付試料採取装置は、その他の実施の態様として、装置を小型化したため試料形状に柔軟に対応できる。さらに大型の環境装置が不要となり移動が可能となった。これらより、今まで不可能であった現場での迅速な揮発分の評価が可能になる。さらに、本発明の加湿装置付試料採取装置は、ロート型形状のため、採取部分のみを取り出し反転させるとロートとなる。これにより、内面に吸着した高沸点などの物質を溶媒などで洗い出し回収することが簡単にできる。
【0033】
【作用・効果】
本発明の加湿装置と加湿装置付試料採取装置は、湿度や温度、流量等の環境条件が所定に制御され流体を微粒子状態の液体で適正に加湿することができ、また、正確な分析、評価をするために実情(実際の環境条件)に添った試料の蒸発、例えば、揮発成分を適切に採取することができ、かつこれを小型の構造により実現することができると共に、適用の範囲も拡大するという優れた効果を有する。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態における実験用空気加湿装置Aは、図1、図2に示すように、全体構成が示されている。外装部1は左右両端が開口する円筒形に形成され、右端開口部には流量が所定に制御された加圧空気が供給される供給部2が設けられている。供給部2は送風機、コンプレッサ、シリンジ、空気、窒素等のガスボンベ等の加圧空気供給源3に連絡されている。供給部2は上流に薄膜状のフィルター4とその下流に止水膜5がそれぞれ装備され空気の清浄化と水の漏洩防止するように構成されている。必要に応じてフィルター4に活性炭などの空気浄化機能を付加する。この供給部2に連通して親液性または保水性と透過性を有する材料で構成され高純度水容器等の水供給源6から供給される所定の水を内部に保水すると共に、流通する加圧空気により保水を微粒子状態で放出可能とする膜状の保水材7を有する保水部8が設けられている。保水材7は図2に示すように水供給源6からの適量の水を保水可能に構成されている。即ち、湿度または温湿度センサ14、該センサ14からの出力信号を受け保水の滴下量と加圧空気供給源3からの加圧空気量を制御するCPU16,滴下量制御バルブ13を介して保水し、毛細管現象により保水材7の全面に水の粒子を保有配置するように構成されている。保水材7に保有された水は保水材7を透過して流通する加圧空気により微粒子に形成され放出されるように構成されている。
【0035】
保水材7は外装部1円筒形内周に内装されたドレン水の回収材と連接装備され水を回収可能に構成されている。外装部1の左端開口部には保水部8に連通し、疎液性の材料で構成され流通する加圧空気により水を所定の微粒子状態に制御して流通放出する止水材9を備えた止水部10が設けられている。止水材9はこれにガス透過材(膜)としてのフィルターを配設することにより、水が加圧空気により均一な粒子として圧送されフィルター表面での水粒子の膜の生成が阻止されると共に、水が最適な粒子形状となり無色透明な状態で外部空間に放出可能に構成されている。保水部8と止水部9の間には水の粒子膜の生成を抑制する空間層11が設けられている。本発明の実施の形態における空気加湿装置1は、流通する加圧空気を微粒子状態の水で加湿を行うように構成されている。
【0036】
上記構成からなる本発明の実施の形態における実験用空気加湿装置1は、図1、図2に示すように、供給部2に加圧空気供給源3から加圧空気が供給される。供給部2では薄膜状のフィルター4と止水膜5により供給される空気の清浄化が図られ、水の外部への漏洩を防止することができる。また、保水部8は水供給源6から供給される所定の水を保水材7の内部に保水すると共に、保水材7を透過流通する加圧空気により保水を微粒子状態で放出することができる。保水材7は外装部1の円筒形内周に内装されたドレン水の回収材により、効率良く的確にドレン水を回収することができる。止水部10の止水材9は流通する加圧空気により水を所定の微粒子状態に制御して外部に放出することができる。止水材9はフィルターによって水が加圧空気により均一な粒子として圧送されフィルター表面での水粒子の膜の生成を阻止できると共に、水を最適な粒子形状として、無色透明な状態で外部空間に放出することができる。
【0037】
止水材9はガス透過膜の孔径より大きい水粒子にあってはこれを通過することができない。このため、大きい水粒子は止水材9に一端保持されたのち、落下してドレン水の回収材により、効率良く的確にドレン水を回収することができる。この場合、止水材9はガス透過膜の孔径以下の水粒子をそのまま通過することができる。止水材9は中間サイズの水粒子の場合に、加圧空気により押しつぶされ細かな粒子となってガス透過膜の孔径を通過することができる。保水部8と止水部9の間に設けた空間層11の内部において、大きな水の粒子は移動中に落下して回収材に保持されたのち毛細管現象で保水材7に回収することができる。そして、空間層11は止水材9の表面全体に水粒子膜が覆うことを防ぐ重要な役割を果たしている。このため、空間層11の内部を全て空間にする他、空間層11の内部に保水部8の保水材7が部分的に配設され残部に空間が形成されて止水材9の表面全体に水粒子膜が覆うことを防ぐことができる。このように、本発明の実施の形態における空気加湿装置1は、流通する加圧空気を微粒子状態の水で加湿することができる。
【0038】
このため、本発明の実施の形態における実験用空気加湿装置1は、各種各様の実験条件に対応し、かつクリーンな加湿空気を必要な時間、必要な量で供給できるため、様々な実験が可能である。また、加湿空気の取り出し位置が上下左右の様々な位置対応可能であり、さらに供給面積も変更可能で様々な実験が可能である。加湿空気の取り出し方向は、真下から真上まで可能であり、また気化効率向上、凍結防止が必要な場合、保温剤、ヒータ等を用いることが可能である。
【0039】
次に、本発明の実施形態における空気加湿装置1の加湿状況を説明する。保水材7として濾紙を単数と複数用い、これに水0.25mL、0.5mLを保水し、加圧空気5L/min、105L/minを通過させたときの時間と湿度の関係を図3、図4の線図に示す。これからも明らかな通り、保水量がなくなるまで、均一に加湿できることが解かった。
【0040】
保水材7は膜状の他に図5に示すように微細繊維でも良く、微細繊維間に加圧空気が通過するときに、水分気化により空気中に水分が分散して繊維間より押し出されて粒子の大きい水粒子と細かい粒子を発生することができる。保水材7として濾紙パルプと繊維としてアクリル毛糸を用い、これに含水水分量を1g、2g、3gと変化させ、加圧空気5L/minを通過させたときの時間と湿度の関係を図6の線図に示す。これからも明らかな通り、保水量が大きいため、加湿継続時間が図3、図4に比べ長く親水性の強い濾紙パルプの方が繊維よりも湿度が低く、離水率、親水率の組み合わせで湿度の制御が可能である。
【0041】
また、保水材7としてアクリル毛糸、止水材ガス、ガス透過材としてテフロン(登録商標)脱メングランフィルターを用い、これに含水水分量を変化させ、加圧空気5L/minと10L/minを通過させたときの時間と湿度の関係を図7の線図に示す。これからも明らかな通り、前記図3、図4に比し空気量が多くなると表面積が影響して湿度が下がるが実用上実施可能である。
【0042】
【他の実施の形態】
図8には、本発明の他の実施形態に係る燃料電池始動時用加湿装置Bの全体構成が示されている。また、図9には、燃料電池始動時用加湿装置Bの各構成部品の詳細がそれぞれ示され、前記実施形態に係る加湿装置Aと同様の構成は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の他の実施形態に係る燃料電池始動時用加湿装置Bは、長時間の加湿空気を必要としないため、保水部8が膜状または保水容量の少ない保水材7を使用されている。加圧空気の供給路12には切り替えバルブVが設けられ、切り替えバルブVを適宜開閉制御することにより、加湿装置Bと燃料電池Nとの供給路12を選択的に連通可能に構成されている。保水材7への水の供給は燃料電池Nの生成物を利用可能で、保水材7の端部が生成物を収容するタンクTに挿入され、毛細管現象を利用して保水材7に保水可能に構成されている。なお、必要により保水材7への給水は圧力を利用して効率を向上可能に構成することができる。
上記構成からなる本発明の他の実施形態に係る燃料電池始動時用加湿装置Bは燃料電池の始動時に必要な加圧空気を微粒子状態の水で加湿して供給することができる他、気化効率向上、凍結防止が必要な場合、保温剤やヒータなどを用いることが可能で、前記本発明の実施形態に係る加湿装置Aとほぼ同様の作用効果を有する。
【0043】
【他の実施の形態】
図10には、本発明の他の実施形態に係る家庭用加湿装置Cの全体構成が示されている。また、図11には、家庭用加湿装置Cの各構成部品の詳細がそれぞれ示され、前記実施形態に係る加湿装置A、Bと同様の構成は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の他の実施形態に係る家庭用加湿装置Cは、長時間加湿する場合が多いため、メインMとこれに流路切り替えバルブ13を介接して連通するサブSからなる給水タンクを備え、膜状と繊維状の保水材7の保水量を多くするように構成されている。保水材7は保水部分を分割してこれに対応するサブSの給水タンクからの保水位置を制御スイッチ15、CPU16、湿度センサ14、流路切り替えバルブ13を通じて制御することにより所望する湿度に調節可能に構成されている。なお、必要により保水材7への給水は圧力を利用して効率を向上可能に構成することができる。給水タンクにはイオン交換樹脂、活性炭等の浄化剤を収容する収納部17を装備することにより保水の消毒、脱臭などを施す構成とすることができる。
上記構成からなる本発明の他の実施形態に係る家庭用加湿装置Cは必要な加圧空気を微粒子状態の水で加湿して供給することができる。この他に加湿空気の放出方向は真下から真上までの360°可能で、また、気化効率向上、凍結防止が必要な場合、保温剤やヒータなどを用いることが可能で、前記本発明の実施形態に係る加湿装置Aとほぼ同様の作用効果を有する。
【0044】
【他の実施の形態】
図12には、本発明の他の実施形態に係る空気清浄器用加湿装置Dの全体構成が示され、前記実施形態に係る加湿装置A、B、Cと同様の構成は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の他の実施形態に係る空気清浄機用加湿装置Dは、供給部2と保水材7の間に設けた空間部18に超音波霧化装置19設けられている。超音波霧化装置19は水位センサ20と水質監視センサ21を装備し、補助タンク23と回収タンク24に連通された給水タンク22内に設けられ、水を超音波により霧化して空間部18に供給可能に構成されている。空間部18には止水材9よりに殺菌作用または殺菌機能を有する部材25が設けられている。
上記構成からなる本発明の他の実施形態に係る空気清浄器Dは必要な加圧空気を微粒子状態の水で加湿して供給することができる。空間部18では超音波霧化装置19にて発生した噴霧により供給部2から供給され流通するガス成分を吸収して取り除くことができる。空間部18の流通空気は水ミストと接触し空気中の例えば、ホルムアルデヒト、アセドアルデヒト、脂肪酸類、アルコール類などの成分を吸収することができる。吸収した水粒子は止水材9により回収して循環使用することができる。臭いの強い脂肪酸などの水溶液の物質を捕集することができる。噴霧する給水は循環として電気伝導度などのセンサ類により汚染が増加した場合に新規なものに入れ替えたり、ドレン用の回収タンク24へ移動させることができる。化学物質を吸収した水粒子は比較的粒径が大きいため止水材9によりトラップして給水タンク22内へ戻すことができる。この他に加湿と空気清浄が同時にでき、水またはフィルター4活性炭などの非水性のガスを吸着する機能を付加することにより水溶性成分以外の成を除去することが可能で、前記本発明の各実施形態に係る加湿装置とほぼ同様の作用効果を有する。
【0045】
【他の実施の形態】
図16,図17には、本発明の他の実施形態に係る加湿装置付試料採取装置Eの全体構成が示されている。また、図13から図15には、加湿装置付試料採取装置Eの各構成部品の詳細がそれぞれ示され、前記実施形態に係る各加湿装置と同様の構成は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
本発明の実施の形態に係る加湿装置付試料採取装置Eは、外装部26および採取部27を備え、外装部26は、上下両端が開口する円筒形に形成され、上端開口部には、嵌合部28が設けられている。外装部26と嵌合部28の組合せと採取部27の間に形成される隙間4へ気体供給部40から密閉用の気体が送り込まれる。この嵌合部28は採取部27に対応して低揮発性のOリングまたはシリコンゴム栓などを有している。Oリングには、必要な微少のスリット等の隙間が設けられ、外装部26と採取部27の固定の他に気体供給部40から供給された気体から余分な気体を外部へ逃がし、密閉用の気体供給と圧力調整の役割と同時にOリング自体からの揮発成分を前記隙間から外へ排出して測定への影響を防ぐ役割をする。また、気体供給部40には環境制御部としての加湿装置Dが接続され、温度、湿度及び流量の少なくとも一つの環境条件が所定に制御された気体が送給可能に構成されている。
【0047】
環境制御部としての加湿装置Dは、図16、図17に示すように、気体供給部に連通されている。外装部26は左右両端が開口する円筒形に形成され、右端開口部には流量が所定に制御された加圧流体が供給される供給部2が設けられている。この供給部2に連通して親液性または保液性と透過性を有する材料で構成され液体供給源3から供給される所定の液体を内部に保液すると共に、流通する加圧流体により保液を微粒子状態で放出可能とする保水材7を有する保水部8が設けられている。外装部1の左端開口部には保水部8に連通し、疎液性の材料で構成され流通する加圧流体により液体を所定の微粒子状態に制御して流通放出する止水材9を備えた止水部10が設けられている。保水部8と止水部10の間には液体の粒子膜の生成を抑制する空間層11が設けられている。このため、空気加湿装置29は流通する加圧流体を微粒子状態の液体で加湿を行うように構成されている。この送給される流体としての例えば、気体であれば揮発成分置換用およびシール用とされ、O2、N2等の大気中の大気中成分を適用することができる。
【0048】
外装部26の下端開口縁の一部には、微少なスリット等の隙間が設けられている。図13ないし図17に示すように外装部26が試料S1(部材)に載置された状態において、送給された気体が当該隙間から僅かに漏れ出すように構成されている。これにより、外装部26と試料S1との間をシールして外気が不要に流入しないように構成されている。
【0049】
また、外装部26は、基底部30をセット可能に構成されている。外装部26の下端開口縁は、簡易な密閉が可能な程度で作られている。これは前述した機構により密閉が可能であり、かつ採取路36から採取のために抜かれた気体を速やかに供給するためでもある。これにより歪な試料形状31のような場合でもアルミホイルなどを巻き付けることにより、密閉可能にすることができる。必要により凹溝31と〇リングを取り付けることにより、密閉性を向上することができる。この場合、〇リングに僅かなスリットなどの隙間を設けることにより、気体の供給と排出を必要とする。基底部30には、試料制御手段としてのヒーターブロック32が設けられている。このヒーターブロック32は、例えばペルチェ素子やセラミック素子により構成され、ヒーター制御部33に接続されている。これにより、試料Sを加熱または冷却してその温度または湿度を制御可能に構成されている。なお、図16、図17に示すように、基底部30を用いる他に、外装部26を直接、試料S1に載置させて適用することも可能である。
【0050】
採取部27は、図13ないし図15に示すように、内管27、外管29により多重の管構造の隙間41が設けられ、内管27と外管29との間を連通する流路が構成される。また、内管27の内側が採取路36に構成されている。さらに、採取部27(採取路36)の先端開口部分は次第にテーパー状に拡径して形成され、試料S1から揮発した気体の流れを円滑にしている。基底部30は、試料被覆口37が設けられている。試料被覆口37の先端開口縁は、試料Sに当接するガス供給シール面とされ、その一部には隙間が設けられている。これにより、図13ないし図15に示すように、採取部27を試料S1(部材)に載置した状態において、当該試料被覆口37の先端開口縁が試料S1に当接して採取部27(採取路36)内をシールすると共に、隙間から僅かに流入可能に構成されている。さらに、外装部26から余分な気体が前記隙間から僅かに外に流出可能に構成されている。これにより、試料S1から発生した揮発成分をこの採取路36を介して外部に取り出すことができる構成である。
【0051】
隙間41には、必要により熱媒送給またはヒータなどの加熱手段を組合わせ、温度を所定に制御できるように構成されている。加湿装置Aの各所には、温度センサ38が設けられ、流路内の温度と、測定する試料S1表面の温度を検出することができる。この温度センサ38は温度制御装置33に接続され、温度センサ38の検出信号に基づいて、流路内の気体の温度を所定に制御し、試料S1の表面の温度を制御する構成である。
【0052】
採取部27は、外装部26の上端開口部から内部へ着脱自在に挿入されて所定位置で嵌合部28によって固定保持され、試料被覆口37が試料S1を被覆する状態でセツト可能に構成されている。
【0053】
次に、上記構成からなる本実施の形態の加湿装置付試料採取装置Eにおける作用効果を説明する。加湿装置付試料採取装置Eは、図13ないし図17に示すように、試料採取装置Eが試料S上に載置することにより、外装部26によって試験対象とする試料S1の少なくとも一部が外部から隔離して収容される。そして、外装部26には、採取部27の試料被覆口37が試料Sを被覆する状態で挿入して固定される。
【0054】
ここで、試料S1が隔離収容された外装部26内では、湿度、温度、流量などの環境条件が所定に制御された気体が送給され、かつ赤外線ランプ39などの熱源によって試料S1が加熱される。これにより、前記所定の環境条件下において試料S1から揮発成分が採取部27(採取路36)を介して外部に取り出される。即ち、試料採取装置Eでは、試験対象とする試料S1の一部を外装部26によって外部から隔離し、当該隔離領域で発生する揮発成分を採取部27(採取路36)によって外部に取り出し、分析、評価を行うようにするものである。そして、外部から隔離された外装部26に所定に制御された気体を送給することで外装部26内の環境条件を制御することができ、簡易かつ高精度に環境条件を設定することができ、よって、実際の環境条件に添った試料S1の揮発成分を適切に採取することができる。
【0055】
また、内管27、外管29で多重の管構造とされると共に、温度が所定に制御された気体が流路に送給される採取部27(採取路36)によって、試料S1の揮発成分を外部に取り出す構成であるため、当該揮発成分を精度良く安定的に採取し取り出すことができる。この場合、内管27、外管29をさらに多重管とすることにより、管内の多重空間(流路34)のそれぞれの温度を制御でき(例えば、加熱部位と冷却部位の混在が可能になる)、より一層安定して揮発成分を採取することができる。さらに、採取部27を多重の管構造にしたことにより、ガスシール等も容易に行うことができ、一層効果的である。
【0056】
試料S1から発生した揮発成分を外部に取り出すための採取部27は、外装部26に着脱自在に挿入されているため、各種各様の試料形状(厚さ、大きさ等)、および採取方法(表面揮発成分採取、全揮発成分採取)にそれぞれ適切に対応することができる。しかも、採取部27は、着脱自在な構成としたことにより、仮に採取部27が不要に汚染されたような場合には、瞬時に交換可能で、常にクリーンな試料採取経路を確保することができる。この試料採取装置Eは外装部26と採取部27とにより構成された簡単な構造であるため、小型化が可能で、装置の移動や搬送も容易である。
【0057】
このように、本実施の形態に係る試料採取装置Eでは、試料対象とする試料S1の少なくとも一部を外装部26により外部から隔離し、外装部27内の環境条件が所定の制御されている状態で試料S1から発生された揮発成分を採取部27によって外部に取り出すことにより、揮発成分の吸着や汚染による影響が極めて小さく、即ち環境条件に対するきめ細かな分析、評価を高精度で行うことができる。
【0058】
また、内管27、外管29によって多重の管構造とされる採取部27としては、ガラス管、または金属にガラスをライニングした管、あるいは同様の不活性素材からなる管などを適用することができる。さらに、内管27と外管29とをそれぞれ異なる(別々の)材質によって構成することもできる。しかも、外装部12に送給される気体としては、O,N等の大気中成分を適用することができる。また、採取部27の流路(送給される気体)の温度範囲としては、−50℃から200℃視程度の範囲が好ましい。
【0059】
試料S1を加熱する熱源としては赤外線ランプ39やヒーターを用いることができる。外装部26や採取部27が全て石英ガラスまたはガラスで構成されている場合には、赤外線ランプ39またはハロゲンランプが有効である。また、所定の温度に制御された気体が供給循環される流路からの熱を利用して、試料Sを加熱あるいは冷却することも可能である。さらに、赤外線ランプ39を変更することにより、例えば光に対して変質性を有する(例えば、光硬化性樹脂)の変化を試験したり、光触媒の反応性試験等にも適用可能である。
【0060】
また、試料S1としては、エアコン用エバポレータ、住宅用建築材料や車両用部品、電気製品及び車両用部品、電気製品の構成材料等、揮発成分が発生し得る、あらゆる物体を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の実験用加湿装置を示す概要図である。
【図2】 本発明の実施形態の実験用加湿装置を示す概要図である。
【図3】 本発明の実施形態の実験用加湿装置による加湿状態を示す線図である。
【図4】 本発明の実施形態の実験用加湿装置による加湿状態を示す線図である。
【図5】 本発明の実施形態の他の装置を示す概要図である。
【図6】 本発明の実施形態の他の装置による加湿状態を示す線図である。
【図7】 本発明の実施形態の他の装置による加湿状態を示す線図である。
【図8】 本発明の実施形態の燃料電池用加湿装置を示す概要図である。
【図9】 本発明の実施形態の燃料電池用加湿装置を示す概要線図である。
【図10】 本発明の実施形態の家庭用加湿装置を示す概要図である。
【図11】 本発明の実施形態の家庭用加湿装置を示す概要図である。
【図12】 本発明の実施形態の空気清浄器を示す概要図である。
【図13】 本発明の実施形態の試料採集装置の構成要素を示す概要図である。
【図14】 本発明の実施形態の試料採集装置の構成要素を示す概要図である。
【図15】 本発明の実施形態の試料採集装置の構成要素を示す概要図である。
【図16】 本発明の実施形態の試料採集装置の全体構成を示す概要図である。
【図17】 本発明の実施形態の試料採集装置の全体構成を示す概要図である。
【符号の説明】
1…外装部
2…供給部
3…空気供給源
4…フィルタ
5…止水膜
6…給水源
7…保水材
8…保水部
9…止水材
10…止水部
11…空間部
Claims (3)
- 流量が所定に制御された加圧流体が供給される供給部と、
前記供給部に連通し、親液性または保液性と透過性を有する材料で構成され液体供給源から供給される所定の液体を内部に保液すると共に、流通する加圧流体により保液を微粒子状態で放出可能とする保液材を有する保液部と、
前記保液部に連通し、疎液性の材料で構成され流通する加圧流体により液体を所定の微粒子状態に制御して流通放出する薄膜状のフィルタからなる止液材を備えた止液部と、
前記保液部と前記止液部の間に形成され液体の粒子膜の生成を抑制する空間層と、
前記止液材によって止液された液体を前記保液材に回収する回収材と、
左右両端が開口する筒形に形成された密閉型とされると共に、前記供給部、前記保液部、前記止液部、前記空間層、前記回収材が内部に設けられて装置全体を一体化する加湿装置外装部と、
を備え、
流通する加圧流体を微粒子状態の液体で加湿を行うように構成したことを特徴とする加湿装置。 - 前記空間層には内部に前記保液部の保液材が部分的に配設され残部に空間が形成され、流通する加圧流体を微粒子状態の液体で加湿を行うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の加湿装置に連通し、試料を外部から隔離して収容すると共に、温度、湿度、及び流量の少なくとも一つの環境条件が所定に制御された流体が供給される外装部と、
内管及び外管により多重の管構造とされ、先端開口が採集口とされると共に内部温度が所定に制御され、かつ、採集口が試料を被覆する状態で前記外装部に着脱自在に挿入され、試料から発生した成分を外部に取り出す採集部と、
を備え、
加湿流体を供給可能とし試料を採取するように構成したことを特徴とする加湿装置付試料採取装置。
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