JP4320805B2 - リニアモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばロボットなどの負荷を移動させるための手段として用いられるリニアモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばロボットなどの負荷を一方向に移動させる手段として直動型のリニアモータが用いられることがある。
図4に示すように、このようなリニアモータ1は、推力を発生するためのリニアモータ本体(推力発生部)2と、直動軸受3とから構成されている。
リニアモータ本体2は、図示しない励磁コイルによって励磁される複数の極歯(図示なし)を備えた一次側コア4と、一方向に延在して一次側コア4に対向するよう配置された多数の極歯5aを備えた二次側コア5とから構成されている。
直動軸受3は、このようなリニアモータ本体2の両側にそれぞれ配置されており、二次側コア5に平行に取り付けられたレール6と、このレール6に沿って移動自在に係合したスライダ7とから構成されている。このスライダ7は取付ベース8を介して一次側コア4に一体化されている。
このようなリニアモータ1は、リニアモータ本体2の一次側コア4を励磁することによって、二次側コア5が連続する方向に推力を発生し、このときの一次側コア4の移動方向は、両側の直動軸受3のレール6によってガイドされる構成となっている。
【0003】
このようなリニアモータ1にロボット等の負荷Aを取り付けるには、取付ベース8の上面に、負荷Aをボルト等の接合手段で固定するのが通常である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のリニアモータには、以下のような問題が存在する。
すなわち、リニアモータ1側の取付ベース8の上面の面精度に対して、負荷Aの取付面側の面精度が低い場合、負荷Aを取付ベース8にボルト等の接合手段で取り付けると、その締付力によって取付ベース8側が負荷Aの取付面に倣って変形してしまうことがある。その結果、リニアモータ本体2の動作不良を招いたり、また、動作時に一次側コア4と二次側コア5との間隙が不均一となることによって、異音や振動が発生したり、一次側コア4と二次側コア5の摩耗による異物の発生等の問題が生じる。
また、駆動軸受に大きな荷重がかかり、軸受の寿命を著しく低下させ、信頼性を低下させる。
このような問題は、本来、非接触型であるために、メンテナンスフリーおよびクリーン度が高い等といった、リニアモータの本来の利点が損なわれてしまうこととなる。
【0005】
このため、このような場合には、取付時に、取付ベース8と負荷Aとの間に、シムCなどの調整部材を噛ませて調整を行っていたが、この調整は非常に面倒であるのは言うまでもない。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、負荷の取付に手間をかけることなく、しかもモータ側の変形を防ぐことができるリニアモータを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、直動型のリニアモータであって、一方向に延在するレールに沿ってスライダが移動自在に備えられた直動軸受と、前記レールに対して前記スライダを移動させるための推力を発生させる推力発生部を備えるとともに、前記推力発生部は、複数の極歯を備えて前記各極歯が励磁される一次側コアと、前記一次側コアの前記極歯に対向する多数の極歯が形成されて、一方向に延在する二次側コアとから構成されて、前記直動軸受のレールが前記二次側コアに平行に設けられるとともに、前記一次側コアと前記直動軸受のスライダとが取付ベースに一体に備えられて、該取付ベースの上面には、板状の取付部材が接合部材によって該取付部材における前記スライダの移動方向中央部で固定されて設けられ、前記リニアモータによって駆動される負荷が、前記取付部材に他の接合部材によって固定される構成となっており、前記取付部材と前記負荷とは、該取付部材における前記スライダの移動方向両端部で前記他の接合部材により固定されたことを特徴とする。
【0008】
これにより、取付ベースと負荷との間に取付部材を介在させ、この取付部材を取付ベースと負荷とにそれぞれ個別に接合することによって、負荷の取付面の精度が低い場合等には、この取付部材がレールと平行な断面において負荷の取付面に倣って個々に変形する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のリニアモータであって、前記取付部材が前記レールの幅方向または長さ方向へ複数設けられたことを特徴としている。
【0010】
これにより、取付部材がレールの長さ方向において個々に変形して取付面に倣うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリニアモータの実施の形態の一例を、図1ないし図3を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、リニアモータ10はリニアモータ本体(推力発生部)11と、直動軸受12とから構成されている。
【0013】
リニアモータ本体11は、励磁コイルによって励磁される複数の極歯(図示なし)を備えた一次側コア13と、一方向に延在して、一次側コア13に対向するよう多数の極歯14aを備えた二次側コア14とから構成されている。そして、一次側コア13の励磁コイルに電流を供給して極歯(図示なし)から磁束を発生させることにより、二次側コア14との間で電磁吸引力を発生させ、これによって、一次側コア13と二次側コア14との間で、二次側コア14が延在する方向に沿った推力を発生するようになっている。
【0014】
直動軸受12は、このようなリニアモータ10の両側にそれぞれ配置されている。各直動軸受12は、二次側コア14の両側にそれぞれ平行に取り付けられたレール15と、レール15に沿って移動自在に係合されたスライダ16とから構成されている。
【0015】
そして、このスライダ16は、一次側コア13に一体に設けられた取付ベース18の下面に固定されている。これによって、リニアモータ本体11が発生する推力によって一次側コア13と二次側コア14とが相対移動するときに、その移動方向を各直動軸受12のレール15でガイドする構成となっている。
【0016】
取付ベース18の上面には、所定の大きさの凹部19が例えば2カ所に形成されており、各凹部19には板状の取付部材20が収められる構成となっている。この取付部材20は、例えばバネ鋼,鉄板,アルミ,エンジニアプラスチックス等で構成され、取付ベース18自体よりも低剛性となるような寸法(例えば薄板形状等)あるいは材料から形成されている。
【0017】
図2に示したように、取付部材20には、例えばその中央部の所定位置にボルト取付穴21が形成されており、ボルト取付穴21に挿通させたボルト(接合部材)22を、取付ベース18側に形成されたネジ穴23にねじ込むことによって、取付部材20が取付ベース18の凹部19に固定される。
また、取付部材20の両端部の所定位置には、ネジ穴24が形成されており、このネジ穴24に、負荷Aのボルト穴25に挿通させたボルト(他の接合部材)26をねじ込むことによって、負荷Aがこの取付部材20に固定されるようになっている。
【0018】
これにより、負荷Aが、取付部材20を介して取付ベース18に取り付けられた構成となっている。
このような構成のリニアモータ10では、負荷Aの底面の精度が低い場合には、取付ベース18と負荷Aとにそれぞれ個別にボルト接合された取付部材20が、負荷Aの底面に倣って変形する。
【0019】
上述したような構成のリニアモータ10によれば、負荷Aの底面の面精度が低い場合にも、ボルト26の締付力によって取付部材20のみが変形し、その影響が取付ベース18側に及ばないようになっているので、その結果、リニアモータ本体11にストレスがかかるのを防止することができ、動作不良、異音や振動の発生、異物の発生等の不具合を抑えることができる。その結果、メンテナンスフリーおよびクリーン度が高い等と言ったリニアモータ特有の利点を最大限に発揮することができる。しかも、負荷Aの取付に際して、従来のようにシムC(図4参照)による調整等が不要であり、作業を容易に行うことが可能となる。
【0020】
なお、上記実施の形態で、取付部材20の材質として、例えば、バネ鋼,鉄板,アルミ,エンジニアプラスチックス等を例として挙げたが、負荷Aを取り付けたときに、取付部材20のみが変形するような構成となればよいのであって、その材質や形状についてはなんら限定する意図はない。
例えば、バネ鋼や鉄板以外の材質のものを採用しても良い。
また、図3に示すように、例えば4枚の取付部材20を備える構成としても良いし、もちろんこれ以外の枚数であっても良い。
さらには、取付部材20を、円形、或いは正方形、正多角形状とし、その中央部側の複数箇所で取付ベース18側にボルト接合し、外周側で負荷A側にボルト接合するような構成としても良い。
また、取付部材20にスリットを入れ、曲がりやすくすること等も考えられる。
これ以外にも、取付部材20を、取付ベース18に形成した凹部19に収める構成としたが、必ずしも凹部19を形成する必要はなく、負荷A側に取付部材20を収める凹部を形成したり、また凹部自体を省略するような構成も採用可能である。
【0021】
また、リニアモータ本体11の自体の構成については、上記実施の形態では基本的な構成のものを例に挙げたが、本発明は、他の様々な構成のものにも上記と同様にして容易に適用することが可能である。
もちろん、搭載する負荷Aの種類についても何ら問うものではなく、いかなる用途にもリニアモータ10を用いることが可能である。
【0022】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るリニアモータによれば、リニアモータ側の取付ベースと負荷との間には、取付部材が介在するよう設けられた構成となっている。
このようにして、取付ベースと負荷との間に取付部材を介在させ、この取付部材を取付ベースと負荷とにそれぞれ個別に接合することによって、負荷の取付面の精度が低い場合等にも、リニアモータ側の取付ベースが変形するのを防止することができる。したがって、リニアモータにストレスがかかるのを防止することができ、動作不良、異音や振動の発生、異物の発生等の不具合を回避することができる。その結果、メンテナンスフリーおよびクリーン度が高い等と言ったリニアモータの利点を最大限に発揮することができる。しかも、負荷の取付に際して、従来のようなシムによる調整等が不要であり、作業を容易に行うことが可能となる。
【0024】
請求項2に係るリニアモータによれば、取付部材が取付ベースよりも低剛性である構成とした。これにより、取付部材が取付ベースよりも確実に先行して変形するので、上記請求項1に係る効果を一層顕著なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリニアモータの一例を示す斜視図である。
【図2】 前記リニアモータの要部を示す図であって、リニアモータと負荷との間に介装された取付部材が変形した状態を強調して示す側断面図である。
【図3】 本発明に係るリニアモータの他の一例を示す斜視図である。
【図4】 従来のリニアモータの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 リニアモータ
11 リニアモータ本体(推力発生部)
12 直動軸受
13 一次側コア
14 二次側コア
15 レール
16 スライダ
18 取付ベース
20 取付部材
22 ボルト(接合部材)
26 ボルト(他の接合部材)
A 負荷
Claims (2)
- 直動型のリニアモータであって、一方向に延在するレールに沿ってスライダが移動自在に備えられた直動軸受と、前記レールに対して前記スライダを移動させるための推力を発生させる推力発生部を備えるとともに、
前記推力発生部は、複数の極歯を備えて前記各極歯が励磁される一次側コアと、前記一次側コアの前記極歯に対向する多数の極歯が形成されて、一方向に延在する二次側コアとから構成されて、
前記直動軸受のレールが前記二次側コアに平行に設けられるとともに、前記一次側コアと前記直動軸受のスライダとが取付ベースに一体に備えられて、該取付ベースの上面には、板状の取付部材が接合部材によって該取付部材における前記スライダの移動方向中央部で固定されて設けられ、
前記リニアモータによって駆動される負荷が、前記取付部材に他の接合部材によって固定される構成となっており、
前記取付部材と前記負荷とは、該取付部材における前記スライダの移動方向両端部で前記他の接合部材により固定されたことを特徴とするリニアモータ。 - 請求項1に記載のリニアモータであって、前記取付部材が前記レールの幅方向または長さ方向へ複数設けられたことを特徴とするリニアモータ。
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