JP4320437B2 - 移動システムおよびその移動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動システムとその移動方法に関し、特に振動体の振動を直進移動の推進力に変換する移動システムおよびその移動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、移動システムにおいては、通常、その移動の推進力として、モーターなどの動力部品の回転運動が利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子機器の小型化がますます加速されている現在、モーターなどの複雑な動力部品を機器に組み込むことが困難となっており、移動システムの簡素化、微小化が解決すべき課題となっている。
【0004】
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、モーターなどの回転運動を伴う複雑な動力部品を用いることなく、振動運動を直進運動の推進力とする移動システムおよびその移動方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、伸縮を行うことによって振動する振動部と、該振動部の振動運動を直進運動に変換する変換部と、を有するものであって、前記振動部は、該移動システムの有する固有の振動数に近い振動数で一次元方向に振動することを特徴とする移動システム、が提供される。
そして、好ましくは、前記変換部が、前記振動部の振動方向に沿った一端および他端にそれぞれ接続された変換部よりなり、前記一端に接続された変換部において前記移動システムが媒質中あるいは固体表面上を移動する際に媒質あるいは固体表面から受ける抵抗力が前記振動部が収縮したときに増加し、前記振動部が伸張したときに減少し、前記他端に接続された変換部における前記媒質あるいは固体基板から受ける抵抗力が前記振動部が収縮したときに減少し、前記振動部が伸張したときに増加する。
【0006】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、移動システム中に該移動システムのもつ固有の振動数に近い振動数の一次元方向の振動を誘起させ、該振動に基づいて前記移動システムを一方向に移動させることを特徴とする移動システムの移動方法、が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための側面図である。
図1(a)は、ばね2が伸縮していない平衡状態において移動システム1が固体表面8の上に配置されている状態を示している。図1(a)に示すように、本実施の形態に係る移動システム1は、ばね2と、ばね2の紙面左右両端にそれぞれ固定された抵抗調整ユニット3B、3Aと、を有している。抵抗調整ユニット3A、3Bは、それぞれ、支持体4A、4Bと、支持体4A、4Bにそれぞれ方向制御板6A、6Bを介して取りつけられた半球状体5A、5Bと、を備えている。支持体4A、4Bの下端には、それぞれ、微小なキャスター7A、7Bが取り付けられている。キャスター7A、7Bは、移動システム1が固体表面8上を移動する際に固体表面8との摩擦を小さくするためのものである。固体表面8上には液体あるいは気体等の流体よりなる媒質9があり、この媒質9中を移動システム1が移動する。移動システム1の重心は、ばね2のほぼ中央にある。
【0008】
半球状体5A、5Bは、その内部が空洞であり、開口15A、15Bにおいて媒質9に開口している。10A、11Aは、それぞれ、半球状体5Aの内面、外面であり、10B、11Bは、それぞれ、半球状体5Bの内面、外面である。方向制御板6A、6Bは、それぞれ、支持体4A、4Bの上で回転可能であり、方向制御板6A、6Bが180°回転することによって、半球状体5A、5Bの開口15A、15Bの開口方向が反転する。半球状体5A、5Bの開口15A、15Bの開口方向がともに紙面左方向である場合について、本実施の形態の移動システムの動作を説明する。
【0009】
このような平衡状態にある移動システム1の支持体4Aの右端と支持体4Bの左端とに力Fを印加する。図1(b)は、支持体4Aの右端と支持体4Bの左端とに印加された力Fによって、ばね2が収縮した状態を示している。ばね2が収縮する際、半球状体5Aは、開口15Aを通して内面10Aに媒質9から応力を受ける。したがって、抵抗調整ユニット3Aが左に移動する運動に対する媒質9からの抵抗力は大きい。一方、半球状体5Bは、ばね2が収縮する際、その外面11Bに媒質9から応力を受けるだけである。したがって、抵抗調整ユニット3Bが右に移動する運動に対する媒質9からの抵抗力は小さい。そのため、力Fによって、抵抗調整ユニット3Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット3Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。これによって、移動システム1の重心は、紙面右方に移動する。
【0010】
次に、この状態で、支持体4Aの右端と支持体4Bの左端から力Fを解除すると、ばね2は伸張する。図1(c)は、ばね2が伸張した状態を示している。ばね2が伸張する際、半球状体5Aは、その外面11Aに媒質9から応力を受けるだけである。したがって、抵抗調整ユニット3Aが右に移動する運動に対する媒質9からの抵抗力は小さい。一方、半球状体5Bは、開口15Bを通して内面10Bに媒質9から応力を受ける。したがって、抵抗調整ユニット3Bが左に移動する運動に対する媒質9からの抵抗力は大きい。そのため、力Fを解除したことによって、抵抗調整ユニット3Aが紙面右方に移動する距離は、抵抗調整ユニット3Bが紙面左方に移動する距離に比して長い。これによって、移動システム1の重心は、紙面右方に移動する。
【0011】
次いで、ばね2が収縮する。図1(d)は、ばね2が収縮した状態を示している。ばね2が収縮する際、半球状体5Aは、開口15Aを通して内面10Aに媒質9から応力を受ける。したがって、抵抗調整ユニット3Aが左に移動する運動に対する媒質9からの抵抗力は大きい。一方、半球状体5Bは、その外面11Bに媒質9から応力を受けるだけである。したがって、抵抗調整ユニット3Bが右に移動する運動に対する媒質9からの抵抗力は小さい。そのため、抵抗調整ユニット3Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット3Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。これによって、移動システム1の重心は、紙面右方に移動する。
【0012】
次に、ばね2が伸張する。ばね2が伸張すると、図1(c)の場合と同様に、抵抗調整ユニット3Aが紙面右方に大きく移動するのに対して、抵抗調整ユニット3Bはわずかに紙面左方に移動するだけであるため、移動システム1の重心は、紙面右方に移動する。
ばね2は、上述の収縮/伸張を繰り返す。このとき、移動システム1の重心が常に紙面右方に移動するため、移動システム1は全体として右に移動する。移動システム1の移動は、ばね2の収縮/伸張によって移動システム1と媒質9との間に生じる摩擦によって外力Fが熱として消費されてしまうまで続く。
【0013】
方向制御板6A、6Bを180°回転させると、開口15A、15Bが右方を向く。これは、移動システム1全体を180°回転させるのと等価である。したがって、この場合には、上述の説明から、移動システム1は左方に移動することが明白である。
以上説明したように、抵抗調整ユニット3A、3Bは、ばね2の振動運動を直進運動に変換する効果を有している。
【0014】
〔第2の実施の形態〕
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る移動システムの平面図〔(a)〕と側面図〔(b)〕である。図3は、本実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための平面図である。
図2(a)に示すように、本実施の形態に係る移動システム101は、ばね102と、ばね102の紙面左右両端にそれぞれ固定された抵抗調整ユニット103B、103Aを有している。抵抗調整ユニット103A、103Bは、それぞれ、支持体104A、104Bと、支持体104A、104Bにそれぞれ蝶番106A、106Bを介して取りつけられた板状体105A、105Bと、を備えている。蝶番106A、106Bは、角度αから90°の範囲で開くことが可能である。角度αは90°よりも小さければ制限がないが、2°から30°程度であることが望ましい。板状体105A、105Bは、それぞれ、蝶番106A、106Bに固定されている。したがって、2枚の板状体105A、2枚の板状体105Bのなす角度は、ともに、最小2αから最大180°までである。ばねが伸縮していない平衡状態にあるときには、2枚の板状体105A、105Bは、ともに、角度2αをなしているか、あるいは、任意の角度に開いている。2枚の板状体105A、105Bの開く方向は、同方向である。
【0015】
図2(b)に示すように、支持体104A、104Bの下端には、それぞれ、微小なキャスター107A、107Bが取り付けられている。キャスター107A、107Bは、移動システム101が固体表面108上を移動する際に固体表面108との摩擦を小さくするためのものである。固体表面108上には液体あるいは気体等の流体よりなる媒質109があり、この媒質109中を移動システム101が移動する。
【0016】
図3(a)は、ばね102が伸縮していない平衡状態において移動システム101が媒質109中に配置されている状態を示している。図3(a)において、図2(a)と同じ構成要素には同じ参照符号が付されている。110A、111Aは、それぞれ、板状体105Aの内面、外面であり、110B、111Bは、それぞれ、板状体105Bの内面、外面である。板状体105A、105Bは、それぞれ、最小角度2αに近い角度をなしている。移動システム101の重心は、ばね102のほぼ中央にある。
【0017】
このような平衡状態にある移動システム101の支持体104Aの右端と支持体104Bの左端とに力Fを印加する。図3(b)は、支持体104Aの右端と支持体104Bの左端とに印加された力Fによって、ばね102が収縮した状態を示している。ばね102が収縮するにつれて、板状体105Aは、その内面110Aに媒質109から応力を受けて、最大角度180°まで開く。一方、板状体105Bは、ばね102が収縮するにつれて、その外面111Bに媒質109から応力を受けて、最小角度2αまで閉じる。板状体105Aは、最大角度180°まで開くため、媒質109から受ける力が大きくなる。板状体105Bは、最小角度2αまで閉じるため、媒質109から受ける力が小さい。したがって、力Fによって、抵抗調整ユニット103Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット103Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。そのため、移動システム101の重心は、紙面右方に移動する。
【0018】
次に、この状態で、支持体104Aの右端と支持体104Bの左端から力Fを解除すると、ばね102は伸張する。図3(c)は、ばね102が伸張した状態を示している。ばね102が伸張するにつれて、板状体105Aは、その外面111Aに媒質109から応力を受けて、最小角度2αまで閉じる。一方、板状体105Bは、ばね102が伸張するにつれて、その内面110Bに媒質109から応力を受けて、最大角度180°まで開く。板状体105Aは、最小角度2αまで閉じるため、媒質109から受ける力が小さくなる。板状体105Bは、最大角度180°まで開くため、媒質109から受ける力が大きくなる。したがって、力Fを解除したことによって、抵抗調整ユニット103Aが紙面右方に移動する距離は、抵抗調整ユニット103Bが紙面左方に移動する距離に比して長い。そのため、移動システム101の重心は、紙面右方に移動する。
【0019】
次いで、ばね102が収縮する。図3(d)は、ばね102が収縮した状態を示している。ばね102が収縮するにつれて、板状体105Aは、その内面110Aに媒質109から応力を受けて、最大角度180°まで開く。一方、板状体105Bは、ばね102が収縮するにつれて、その外面111Bに媒質109から応力を受けて、最小角度2αまで閉じる。板状体105Aは、最大角度180°まで開くため、媒質109から受ける力が大きくなる。板状体105Bは、最小角度2αまで閉じるため、媒質109から受ける力が小さくなる。したがって、抵抗調整ユニット103Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット103Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。そのため、移動システム101の重心は、紙面右方に移動する。
【0020】
次に、ばね102が伸張する。ばね102が伸張すると、図3(c)の場合と同様に、抵抗調整ユニット103Aが紙面右方に大きく移動するのに対して、抵抗調整ユニット103Bはわずかに紙面左方に移動するだけであるため、移動システム101の重心は、紙面右方に移動する。
ばね102は、上述の収縮/伸張を周期的に繰り返す。このとき、移動システム101の重心が常に紙面右方に移動するため、移動システム101は全体として右に移動する。移動システム101の移動は、ばね102の収縮/伸張によって移動システム101と媒質との間に生じる摩擦によって外力Fが熱として消費されてしまうまで続く。
【0021】
以上の説明においては、蝶番106A、106Bの開く角度をαから90°とし、板状体105A、105Bが左方のみに開くようにしたが、蝶番106A、106Bの開く角度をαから90°、および、90°から(180°−α)の2段階とし、板状体105A、105Bが右方にも開くようにすることによって、移動システム101が固体表面108の上を左方にも移動できるようにすることが可能である。
以上説明したように、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、抵抗調整ユニット103A、103Bが、ばね102の振動運動を直進運動に変換する効果を有している。さらに、本実施の形態においては、抵抗調整ユニットが、ばねが伸張している間および収縮している間において、媒質からの抵抗力を変化させる手段を有しているので、2つの抵抗調整ユニットの移動距離の比を、第1の実施の形態のそれよりも大きくすることができる。
【0022】
なお、上述の第1および第2の実施の形態において、移動システムが固体表面の上を移動したが、例えば移動システムの全体としての比重が媒質の比重と同じになるように設計することによって、移動システムが固体表面上を移動するのではなく、媒質中の任意の点から任意の方向に移動可能になるようにすることができる。
【0023】
〔第3の実施の形態〕
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る移動システムの側面図である。図5は、本実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための側面図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る移動システム201は、ばね202と、ばね202の紙面左右両端にそれぞれ固定された摩擦調整ユニット203B、203Aと、を有している。摩擦調整ユニット203A、203Bは、それぞれ、支持体204A、204Bと、支持体204A、204Bにそれぞれ回転可能に取りつけられた丸鋸形状の車輪212A、212Bと、板状体205A、205Bと、を備えている。板状体205A、205Bは、それぞれ、ピン206A、206Bによって、支持体204A、204Bに取り付けられている。板状体205A、205Bは、それぞれ、ピン206A、206Bを中心として回転可能である。ばね202が伸縮していない平衡状態にある場合には、板状体205A、205Bのピン206A、206Bよりも左側の細く延びた部分(以後、「先端部」という)は、車輪212A、212Bの鋸歯状部213A、213Bの内部に入り込んでいる。車輪212A、212Bが右回転する際には、板状体205A、205Bの先端部が鋸歯状部213A、213Bの背面によって下方に押されているので、板状体205A、205Bは、固体表面208から離れている。一方、車輪212A、212Bが左回転する際には、鋸歯状部213A、213Bの先端が、板状体205A、205Bの先端部を上方に押す。このため、板状体205A、205Bのピン206A、206Bよりも右側の部分が下がり、固体表面208に接触し、固体表面208を押しつける。支持体204A、204Bの右端には、第1の実施の形態と同様に、移動システム201が固体表面208上を移動する際に固体表面208との摩擦を小さくするために、それぞれ、微小なキャスター207A、207Bが取り付けられている。
【0024】
図5(a)は、ばね202が伸縮していない平衡状態において移動システム201が固体表面208上に配置されている状態を示している。図5(a)において、図4と同じ構成要素には同じ参照符号が付されている。移動システム201の重心は、ばね202のほぼ中央にある。なお、図5を通じて、車輪212A、212Bの鋸歯状部213A、213Bは、一点鎖線の外接円で示されている。
【0025】
このような平衡状態にある移動システム201の支持体204Aの右端と支持体204Bの左端とに力Fを印加する。図5(b)は、印加された力Fによって、ばね202が収縮した状態を示している。ばね202が収縮するとき、車輪212Aが左回転しようとするが、車輪212Aが左回転するとすぐに、板状体205Aは固体表面208に強く押しつけられる。一方、車輪212Bは右回転を行い、板状体205Bは固体表面208から離れている。板状体205Aが固体表面208に強く押しつけられるので、板状体205Aと固体表面208との間には強い摩擦力が働く。板状体205Bは固体表面208から離れているので、板状体205Bと固体表面208との間には摩擦力が働かない。したがって、力Fによって、摩擦調整ユニット203Aはわずかに紙面左方に移動するだけであるのに対して、摩擦調整ユニット203Bは紙面右方に大きく移動する。そのため、移動システム201の重心は、紙面右方に移動する。
【0026】
次に、この状態で、力Fを解除すると、ばね202は伸張する。図5(c)は、ばね202が伸張した状態を示している。ばね202が伸張するとき、車輪212Aは右回転を行い、板状体205Aを固体表面208から離す。一方、ばね202が伸張するとき、車輪212Bは左回転しようとするが、車輪212Bが左回転するとすぐに、板状体205Bが固体表面208に強く押しつけられる。板状体205Aが固体表面208から離れるので、板状体205Aと固体表面208との間に摩擦力が働かなくなる。一方、板状体205Bが固体表面208に強く押しつけられるので、板状体205Bと固体表面208との間には強い摩擦力が働く。したがって、力Fを解除したことによって、摩擦調整ユニット203Aが紙面右方に大きく移動するのに対して、摩擦調整ユニット203Bはわずかに紙面左方に移動するだけである。そのため、移動システム201の重心は、紙面右方に移動する。
【0027】
次いで、ばね202が収縮する。図5(d)は、ばね202が収縮した状態を示している。ばね202が収縮するとき、車輪212Aが左回転しようとするが、車輪212Aが左回転するとすぐに、板状体205Aは固体表面208に強く押しつけられる。一方、ばね202が収縮するとき、車輪212Bは右回転を行い、板状体205Bは固体表面208から離れる。板状体205Aが固体表面208に強く押しつけられるので、板状体205Aと固体表面208との間には強い摩擦力が働く。板状体205Bは固体表面208から離れるので、板状体205Bと固体表面208との間には摩擦力が働かなくなる。したがって、摩擦調整ユニット203Aはわずかに紙面左方に移動するだけであるのに対して、摩擦調整ユニット203Bは紙面右方に大きく移動する。そのため、移動システム201の重心は、紙面右方に移動する。
【0028】
次に、ばね202が伸張する。ばね202が伸張すると、図5(c)の場合と同様に、摩擦調整ユニット203Aが紙面右方に大きく移動するのに対して、摩擦調整ユニット203Bはわずかに紙面左方に移動するだけであるため、移動システム201の重心は、紙面右方に移動する。
ばね202は、上述の収縮/伸張を繰り返す。このとき、移動システム201の重心が常に紙面右方に移動するため、移動システム201は全体として右に移動する。移動システム201の移動は、摩擦調整ユニットと固体表面との間に生じる摩擦によって外力Fが熱として消費されてしまうまで続く。
【0029】
以上の説明においては、板状体205A、205Bを機械的に固体表面208から離したり、固体表面208に押しつけたりしたが、車輪212A、212Bの回転方向を検知するセンサを取りつけ、このセンサからの信号に基づいて、板状体205A、205Bを電気的に上下させることによって、固体表面208から離したり、固体表面208に押しつけたりしてもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態の移動システムは、第1および第2の実施の形態と同様に、ばねの振動運動を直進運動に変換するという効果を有している。
上述の第1から第3の実施の形態において、力Fは機械的に印加されるだけではなく、磁気的あるいは電気的に印加されてもよい。例えば、支持体が磁性体で作製され、磁場によって力が印加される。あるいは、支持体が荷電状態にされ、電界によって力が印加される。
【0031】
〔第4の実施の形態〕
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための側面図である。
図6(a)は、ばね302が伸縮していない平衡状態において移動システム301が固体表面308上に配置されている状態を示している。図6(a)に示すように、本実施の形態に係る移動システム301は、ばね302と、ばね302の紙面左右両端にそれぞれ固定された抵抗調整ユニット303B、303Aを有している。抵抗調整ユニット303A、303Bは、それぞれ、プランジャー316、電磁石317と、プランジャー316、電磁石317にそれぞれ方向制御板306A、306Bを介して取りつけられた半球状体305A、305Bと、を備えている。プランジャー316、電磁石317の下端には、第1の実施の形態と同様に、それぞれ、微小なキャスター307A、307Bが取り付けられている。ばね302のいずれか1つにはストレインゲージ318が取りつけられ、ストレインゲージ318の出力信号が増幅器319によって増幅されて、電磁石317のコイルに供給されるようになっている。固体表面308上には液体あるいは気体等の流体よりなる媒質309があり、この媒質309中を移動システム301が移動する。移動システム301の半球状体およびキャスター以外の部分は、図示しない筐体によって媒質309との接触を遮断されている。移動システム301の重心は、ばね302のほぼ中央にある。
【0032】
半球状体305A、305Bは、それぞれ、第1の実施の形態の半球状体5A、5Bと同様の形状を有しており、方向制御板306A、306Bを回転することによって、その開口315A、315Bの開口方向を変えることが可能である。半球状体305A、305Bの開口315A、315Bの開口方向がともに紙面左方向である場合について、本実施の形態の移動システムの動作を説明する。
【0033】
このような平衡状態にある移動システム301の電磁石317のコイルに図示しないトリガー回路からトリガー信号を印加すると、ばね302は、移動システム301の持つ固有振動数で振動を始める。ばね302が振動を始めると、ばね302に取りつけられたストレインゲージ318から、ばね302の振動周期を持つ信号が増幅器319に出力される。増幅器319は、この信号を増幅して、一定の振幅を有する電流パルスを電磁石317のコイルに供給する。電流パルスの周期が移動システム301の持つ固有振動の周期と一致するから、ばね302には自励振動が誘起される。
【0034】
図6(b)は、ばね302が収縮した状態を示している。ばね302が収縮する際、半球状体305Aは、開口315Aを通して内面310Aに媒質309から応力を受ける。したがって、抵抗調整ユニット303Aが左に移動する運動に対する媒質309からの抵抗力は大きい。一方、半球状体305Bは、ばね302が収縮する際、その外面311Bに媒質309から応力を受けるだけである。したがって、抵抗調整ユニット303Bが右に移動する運動に対する媒質309からの抵抗力は小さい。そのため、抵抗調整ユニット303Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット303Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。これによって、移動システム301の重心は、紙面右方に移動する。
【0035】
以後、第1の実施の形態と同様に、ばねが伸張/収縮を繰り返すにつれて、移動システムが右方に移動する。ただし、第1の実施の形態においては、移動システムが移動する際、移動システムと媒質との間に生じる摩擦によって移動が停止するのに対して、本実施の形態においては、電磁石317のコイルへ電流パルスが供給される限り、移動システムの移動が継続する。
【0036】
方向制御板306A、306Bを回転させると、移動システム301の移動方向が変化することは、第1の実施の形態と同様である。
なお、以上の説明においては、ばね302の振動周期を検出するために、ストレインゲージが用いられたが、ストレインゲージに限らず、圧電素子や光検出器等、振動周期や変位量を検出できるものであればどのようなものでも用いられ得る。
【0037】
〔第5の実施の形態〕
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る移動システムの平面図〔(a)〕と側面図〔(b)〕である。図8は、本実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための平面図である。
図7(a)に示すように、本実施の形態に係る移動システム401は、ばね402と、抵抗調整ユニット403A、403Bと、を有している。抵抗調整ユニット403A、403Bは、それぞれ、支持体404A、404Bと、支持体404A、404Bにそれぞれ蝶番406A、406Bを介して取りつけられた板状体405A、405Bと、を備えている。蝶番406A、406Bは、角度αから90°の範囲で開くことが可能である。角度αは90°よりも小さければ制限がないが、2°から10°程度であることが望ましい。板状体405A、405Bは、それぞれ、蝶番406A、406Bに固定されている。したがって、2枚の板状体405A、2枚の板状体405Bのなす角度は、ともに、最小2αから最大180°までである。ばねが伸縮していない平衡状態にあるときには、2枚の板状体405A、405Bは、ともに、角度2αをなしているか、あるいは、任意の角度に開いている。2枚の板状体405A、405Bの開く方向は、同方向である。
【0038】
図7(b)に示すように、支持体404A、404Bは、それぞれ、微小なキャスター407A、407Bが取り付けられたプランジャー416、電磁石417の上に固定されている。キャスター407A、407Bは、移動システム401が固体表面408上を移動する際に固体表面408との摩擦を小さくするためのものである。ばね402は、その一端を電磁石417に、他端をプランジャー416に固定されている。電磁石417のコイルに電流が流れることによって、電磁石417とプランジャー416との間に、吸引力が発生する。固体表面408上には液体あるいは気体等の流体よりなる媒質409があり、この媒質409中を移動システム401が移動する。移動システム401の板状体、支持体およびキャスター以外の部分は、図示しない筐体によって媒質409との接触を遮断されている。
【0039】
図8(a)は、ばね402が伸縮していない平衡状態において移動システム401が媒質409中に配置されている状態を示している。図8(a)において、図7(a)と同じ構成要素には同じ参照符号が付されている。410A、411Aは、それぞれ、板状体405Aの内面、外面であり、410B、411Bは、それぞれ、板状体405Bの内面、外面である。板状体405A、405Bは、それぞれ、最小角度2αに近い角度をなしている。移動システム401の重心は、ばね402のほぼ中央にある。
【0040】
このような平衡状態にある移動システム401の支持体404Bが設置されている電磁石のコイルに一定の電流を供給する。図8(b)は、支持体404Bが設置されている電磁石のコイルに一定の電流が供給された直後において、ばね402が収縮した状態を示している。ばね402が収縮する際、板状体405Aが、その内面410Aに媒質409から応力を受けて最大角度180°まで開くため、抵抗調整ユニット403Aの左方への移動は、移動後直に停止してしまう。一方、板状体405Bは、ばね402が収縮するにつれて閉じて行き、媒質409から受ける抵抗が減少していく。即ち、ばね402が収縮するにつれて媒質409から受ける抵抗が減少して、ばね402の収縮が加速され、抵抗調節ユニット403Bが右方に急激に移動していく。抵抗調節ユニット403Bが右方に急激に移動すると、ばね402の反発力によってばね402が逆に伸張しはじめる。
【0041】
図8(c)は、ばね402が伸張した状態を示している。ばね402が伸張する際、板状体405Bが、その内面410Bに媒質409から応力を受けて最大角度180°まで開くため、抵抗調整ユニット403Bの左方への移動は、移動後直に停止してしまう。一方、板状体405Aは、ばね402が伸張するにつれて閉じて行き、媒質409から受ける抵抗が減少していく。即ち、ばね402が伸張するにつれて媒質409から受ける抵抗が減少して、ばね402の伸張が加速され、抵抗調節ユニット403Aが右方に急激に移動していく。抵抗調節ユニット403Aが右方に急激に移動すると、ばね402が逆に収縮しはじめる。
【0042】
以後、第4の実施の形態と同様に、ばねが伸張/収縮を繰り返すにつれて、移動システムが右方に移動する。本実施の形態においては、電磁石417による磁界からエネルギーが供給されて、ばね402の振動の振幅がいわゆるリミットサイクルを描く。
本実施の形体の移動システムは、第2の実施の形態の移動システムのばねの振動がリミットサイクルを描くように変形したものであり、第3の実施の形態の移動システムのばねの振動もリミットサイクルを描くように変形可能であることは明白である。
【0043】
なお、上述の第4および第5の実施の形態において、移動システムが固体表面の上を移動したが、例えば移動システムの全体としての比重が媒質の比重と同じになるように設計することによって、移動システムが固体表面上を移動するのではなく、媒質中の任意の点から任意の方向に移動可能になるようにすることができる。また、ばねの振動は、磁気的手段のみではなく、電気的手段あるいは機械的手段を用いてなされてもよい。
【0044】
〔第6の実施の形態〕
図9は、本発明の第6の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための平面図である。
図9(a)に示すように、本実施の形態に係る移動システム501は、コア514A、514Bと、コア514Aの紙面右側に側鎖部505A1、505A2と、コア514Bの紙面左側に側鎖部505B1、505B2と、を有するクラスター分子を備えている。ここで、コア514A、514B、および、側鎖部505A1、505A2、505B1、505B2は、それぞれ、単原子で形成されていてもよいし、複数の原子で形成されていてもよい。また、側鎖部505A1、505A2、505B1、505B2は、それぞれ、1つの側鎖を形成していてもよいし、側鎖の一部であってもよい。
ところで、量子力学ならびに固体物性論によれば、コア514Aと514Bとは、その間で振動している。同様に、側鎖部505A1と505A2、側鎖部505B1と505B2、および、コア514Aと側鎖部505A1、505A2、コア514Bと側鎖部505B1、505B2も、それらの間で振動している。
本実施の形態におけるクラスタ分子は、コア514Aと514Bとの間が収縮するときに、側鎖部505A1と505A2との間およびコア514Aと側鎖部505A1、505A2との間が伸張し、側鎖部505B1と505B2との間およびコア514Bと側鎖部505B1、505B2との間が収縮する振動の位相を有する。また、本実施の形態におけるクラスタ分子は、コア514Aと514Bとの間が伸張するときに、側鎖部505A1と505A2との間およびコア514Aと側鎖部505A1、505A2との間が収縮し、側鎖部505B1と505B2との間およびコア514Bと側鎖部505B1、505B2との間が伸張する振動の位相を有する。側鎖部505A1、505A2とが抵抗調整ユニット503Aとなり、側鎖部505B1、505B2とが抵抗調整ユニット503Bとなる。
図9(a)は、クラスタ分子の振動を時間的に平均したときに、コア514A、514Bおよび側鎖部505A1、505A2、505B1、505B2が占める位置を示している。
【0045】
このようなクラスタ分子1個で本実施の形態の移動システムが形成されてもよいが、このクラスタ分子1個を基本構造として、紙面手前から奥に向かって複数のクラスタ分子がアレイ状に並んだアレイ構造を有して、本実施の形態の移動システムが構成されてもよい。隣接するクラスタ分子は、ファンデルワールス力(Van der Waals force)によって互いに結合し合っている。
【0046】
図9(b)は、コア514Aと514Bとの間が収縮した状態を示している。コア514Aと514Bとの間が収縮するにつれて、コア514Aと側鎖部505A1、505A2との間が伸張するとともに、側鎖部505A1と505A2との間が伸張する。一方、コア514Bと側鎖部505B1、505B2との間が収縮するとともに、側鎖部505B1と505B2との間が収縮する。側鎖部505A1と505A2とは、その間隔が長くなるため、媒質509から受ける抵抗が大きくなる。側鎖部505B1と505B2とは、その間隔が短くなるため、媒質509から受ける抵抗が小さくなる。したがって、抵抗調整ユニット503Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット503Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。そのため、移動システム501の重心は、紙面右方に移動する。
【0047】
次に、図9(c)に示すように、コア514Aと514Bとの間が伸張する。コア514Aと514Bとの間が伸張するにつれて、コア514Aと側鎖部505A1、505A2との間が収縮するとともに、側鎖部505A1と505A2との間が収縮する。一方、コア514Bと側鎖部505B1、505B2との間が伸張するとともに、側鎖部505B1と505B2との間が伸張する。側鎖部505A1と505A2とは、その間隔が短くなるため、媒質509から受ける抵抗が小さくなる。側鎖部505B1と505B2とは、その間隔が長くなるため、媒質509から受ける抵抗が大きくなる。したがって、抵抗調整ユニット503Aが紙面右方に移動する距離は、抵抗調整ユニット503Bが紙面左方に移動する距離に比して長い。そのため、移動システム501の重心は、紙面右方に移動する。
【0048】
次いで、図9(d)に示すように、コア514Aと514Bとの間が収縮する。コア514Aと514Bとの間が収縮するにつれて、コア514Aと側鎖部505A1、505A2との間が伸張するとともに、側鎖部505A1と505A2との間が伸張する。一方、コア514Bと側鎖部505B1、505B2との間が収縮するとともに、側鎖部505B1と505B2との間が収縮する。側鎖部505A1と505A2とは、その間隔が長くなるため、媒質509から受ける抵抗が大きくなる。側鎖部505B1と505B2とは、その間隔が短くなるため、媒質509から受ける抵抗が小さくなる。したがって、抵抗調整ユニット503Aが紙面左方に移動する距離は、抵抗調整ユニット503Bが紙面右方に移動する距離に比して短い。そのため、移動システム501の重心は、紙面右方に移動する。
【0049】
次に、コア514Aと514Bとの間が伸張する。コア514Aと514Bとの間が伸張すると、図9(c)の場合と同様に、抵抗調整ユニット503Aが紙面右方に大きく移動するのに対して、抵抗調整ユニット503Bはわずかに紙面左方に移動するだけであるため、移動システム501の重心は、紙面右方に移動する。
クラスタ分子は、上述の収縮/伸張を周期的に繰り返す。このとき、移動システム501の重心が常に紙面右方に移動するため、移動システム501は全体として右に移動する。移動システム501の移動は、クラスタ分子の振動が続く限り続く。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態の移動システムは、分子単位で、振動運動を直進運動に変換する効果を有する。
【0051】
上述の全ての実施の形態において、抵抗調整ユニットまたは摩擦調整ユニットが、ばね、または、2原子分子の両端に接続されたが、抵抗調整ユニットまたは摩擦調整ユニットが一端のみに接続され、他端には例えばバランサーが接続された場合においても、抵抗調整ユニットを両端に接続した場合に比して移動距離は短くなるが、ばねの振動運動が直進運動に変換される。
【0052】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の移動システムは、上述した実施の形態のみに制限されるものではなく、本願発明の要旨を変更しない範囲で種々の変化を施した移動システムも、本発明の範囲に含まれる。例えば、移動システムが移動する媒質は、液体、気体以外にも、粒子体あるいはゲル状物質などでもよく、流体であれば特定の媒質に限定されるものではない。さらに、抵抗調整ユニットを形成する板状体や半球状体は、直方体や回転円錐体など、ばねの収縮時と伸張時とにおいて媒体から相異なる抵抗力を受ける形状のどのようなものにも交換可能である。また、ばねは、振動運動を行ういかなる弾性体にも交換可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による移動システムは、その内部の振動部の振動運動を、振動部の両端に設けられた抵抗調整ユニットまたは摩擦調整ユニットを介して直進運動に変換するものであるから、モータなどの複雑な動力部品を要することなく一方向に移動可能である。
また、本発明による移動システムの移動方法は、振動部の両端において媒質や固体表面から受ける抵抗力または摩擦力を、振動部の伸縮の際に互いに逆に増減させる方法であるから、移動システムを一方向に移動させることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための側面図。
【図2】 本発明の第2の実施の形態に係る移動システムの平面図〔(a)〕と側面図〔(b)〕。
【図3】 本発明の第2の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための平面図。
【図4】 本発明の第3の実施の形態に係る移動システムの側面図。
【図5】 本発明の第3の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための側面図。
【図6】 本発明の第4の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための側面図。
【図7】 本発明の第5の実施の形態に係る移動システムの平面図〔(a)〕と側面図〔(b)〕。
【図8】 本発明の第5の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための平面図。
【図9】 本発明の第6の実施の形態に係る移動システムの動作を説明するための平面図。
【符号の説明】
1、101、201、301、401、501 移動システム
2、102、202、302、402 ばね
3A、3B、103A、103B、303A、303B、403A、403B、503A、503B 抵抗調整ユニット
4A、4B、104A、104B、204A、204B、404A、404B支持体
5A、5B、305A、305B 半球状体
6A、6B、306A、306B 方向制御板
7A、7B、107A、107B、207A、207B、307A、307B、407A、407B キャスター
8、108、208、308、408 固体表面
9、109、309、409 媒質
10A、10B、110A、110B、310A、410A、410B 内面
11A、11B、111A、111B、311B、411A、411B 外面
15A、15B、315A、315B 開口
105A、105B、205A、205B、405A、405B 板状体
106A、106B、406A、406B 蝶番
203A、203B 摩擦調整ユニット
206A、206B ピン
212A、212B 車輪
213A、213B 鋸歯状部
316、416 プランジャー
317、417 電磁石
318 ストレインゲージ
319 増幅器
505A1、505A2、505B1、505B2 側鎖部
514A、514B コア
Claims (13)
- 伸縮を行うことによって振動する振動部と、該振動部の振動運動を直進運動に変換する変換部と、を有する移動システムにおいて、前記振動部は、該移動システムの有する固有の振動数に近い振動数で一次元方向に振動することを特徴とする移動システム。
- 前記移動システムが媒質中または固体表面上を移動する際に、前記変換部が媒質または固体表面から受ける抵抗力または摩擦力が、前記振動部の収縮時と伸張時とで相異なることを特徴とする請求項1に記載の移動システム。
- 前記変換部は、前記移動システムが媒質中または固体表面上を移動する際に、前記変換部が媒質または固体表面から受ける抵抗力または摩擦力を変化させる手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の移動システム。
- 前記変換部が、前記振動部の振動方向に沿った一端または両端に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動システム。
- 前記振動部の振動方向に沿った一端に接続された変換部が受ける前記抵抗力または摩擦力が、前記振動部の収縮時におけるよりも伸張時において小さく、前記振動部の振動方向に沿った他端に接続された変換部が受ける前記抵抗力または摩擦力が、前記振動部の収縮時におけるよりも伸張時において大きいことを特徴とする請求項4に記載の移動システム。
- 前記振動部の収縮時において、前記振動部の振動方向に沿った一端に接続された変換部が受ける前記抵抗力が前記振動部の振動方向に沿った他端に接続された変換部が受ける前記抵抗力よりも大きく、前記振動部の伸張時において、前記振動部の振動方向に沿った一端に接続された変換部が受ける前記抵抗力が前記振動部の振動方向に沿った他端に接続された変換部が受ける前記抵抗力よりも小さいことを特徴とする請求項4または5に記載の移動システム。
- 前記振動部の振動が、機械エネルギーまたは電気エネルギーまたは磁気エネルギーによってなされることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動システム。
- 前記振動部が分子によって形成され、該分子の原子振動が振動部の振動を形成することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動システム。
- 前記移動システムの移動方向を変化させる手段を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の移動システム。
- 前記振動部の振動が自励振動であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の移動システム。
- 前記振動部の振動がリミットサイクルであることを特徴とする請求項10に記載の移動システム。
- 移動システム中に該移動システムのもつ固有の振動数に近い振動数の一次元方向の振動を誘起させ、該振動に基づいて前記移動システムを一方向に移動させることを特徴とする移動システムの移動方法。
- 前記振動の収縮時と伸張時とで、媒質中または固体表面上を移動する移動システムの一端において、該媒質または固体表面から前記移動システムが受ける抵抗力または摩擦力と、前記移動システムの他端において、前記移動システムが受ける抵抗力または摩擦力と、の大小関係を反転させることを特徴とする請求項12に記載の移動システムの移動方法。
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