JP4319906B2 - 心臓弁補綴具の製造方法 - Google Patents

心臓弁補綴具の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4319906B2
JP4319906B2 JP2003503129A JP2003503129A JP4319906B2 JP 4319906 B2 JP4319906 B2 JP 4319906B2 JP 2003503129 A JP2003503129 A JP 2003503129A JP 2003503129 A JP2003503129 A JP 2003503129A JP 4319906 B2 JP4319906 B2 JP 4319906B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
leaflet
wave
valve
frame
leaflets
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003503129A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005512611A (ja
Inventor
バーナード、オウカナー
スタッフォード、ウイリアム、ハース
Original Assignee
エイオアテック、インターナショナル、ピーエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エイオアテック、インターナショナル、ピーエルシー filed Critical エイオアテック、インターナショナル、ピーエルシー
Publication of JP2005512611A publication Critical patent/JP2005512611A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4319906B2 publication Critical patent/JP4319906B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F2/00Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
    • A61F2/02Prostheses implantable into the body
    • A61F2/24Heart valves ; Vascular valves, e.g. venous valves; Heart implants, e.g. passive devices for improving the function of the native valve or the heart muscle; Transmyocardial revascularisation [TMR] devices; Valves implantable in the body
    • A61F2/2412Heart valves ; Vascular valves, e.g. venous valves; Heart implants, e.g. passive devices for improving the function of the native valve or the heart muscle; Transmyocardial revascularisation [TMR] devices; Valves implantable in the body with soft flexible valve members, e.g. tissue valves shaped like natural valves
    • A61F2/2415Manufacturing methods
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F2/00Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
    • A61F2/02Prostheses implantable into the body
    • A61F2/24Heart valves ; Vascular valves, e.g. venous valves; Heart implants, e.g. passive devices for improving the function of the native valve or the heart muscle; Transmyocardial revascularisation [TMR] devices; Valves implantable in the body
    • A61F2/2412Heart valves ; Vascular valves, e.g. venous valves; Heart implants, e.g. passive devices for improving the function of the native valve or the heart muscle; Transmyocardial revascularisation [TMR] devices; Valves implantable in the body with soft flexible valve members, e.g. tissue valves shaped like natural valves

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Prostheses (AREA)

Description

本発明は、医療用インプラントに関し、詳細には、心臓及び血管のインプラント及び補綴具に関する。より詳細には、本発明は、フレーム及びリーフレットを備える心臓弁補綴具に関する。このような弁は、剛性フレームを用いずに製作することもでき、患者に対して永久移植を意図するのか一時的なサポートを意図するのかにかかわらず、人工心臓内の弁として使用することもできる。
哺乳動物では、心臓は、身体の全ての部位への血液の供給、即ち酸素及び栄養分の適切な供給を維持することを司る器官である。心臓を通る血液の逆流は、心臓のポンプ室である2個の心室それぞれの入口及び出口として働く4つの弁によって防止されている。
これらの弁の一以上が機能不全を起すと、重大な医学的帰結を招く恐れがある。そのような機能不全は、先天的欠陥、又は疾病により誘発される損傷による場合がある。機能不全の形態としては狭窄(開いた弁の開口部の減少)や反流(閉鎖されつつある、又は閉鎖された弁を介する逆流)があり、どちらの場合も、身体への適切な血流を維持するために心臓に要求される仕事を増やす。
多くの場合に、効果的な唯一の解決策は、機能障害を起こした弁を取換えることである。この弁置換手術は費用がかかり、開心外科手術のための専用設備を必要とする。不良人工心臓弁の取換えは、最初の置換から回を増すたびに危険が大きくなり、そのため再手術を行うことができる回数は事実上、制限される。従って、人工弁の設計及び材料は、患者の体内での弁の耐久性を提供するものでなければならない。人工弁はまた、閉じる途中又は閉じている時に高い圧力勾配又は過度の逆流を伴わずに動作しなければならない。なぜなら、そのためにこそ自然弁の代りに人工弁を用いるからである。
弁開放部材としてボールやディスク、又は一対の枢支剛性リーフレットを使用する機械弁は、上述の血行力学的性能と耐久性との要件を共に満たすことができる。残念ながら、機械弁を移植された患者は、抗凝固剤による治療を受けなければならず、そうしなければ血液が弁上で凝固する。弁上の凝固物は、弁開放部材の動きを制限し、弁機能を損なう可能性があり、又は凝固物が壊れて弁から離れ、弁の下流にある血管を塞ぐ可能性があり、あるいはその両方が起こる可能性もある。機械弁を入れる患者は一生の間、抗凝固剤を用いた治療を受けることになる。
豚から摘出され、グルタルアルデヒド処理により組織を架橋・安定化させた弁を、欠陥弁の代わりに使用することもできる。これは、どちらかといえば堅いフレーム上に取り付けて移植を容易にすることができ、あるいは取り付けずに、手術時に血管壁に医師が直接縫い付けることができる。更なるタイプの弁代用物は、グルタルアルデヒド処理された心膜などの自然組織から構成されるもので、フレーム上に取り付けられる。豚から又は他の動物もしくは人の組織から作成された弁を総称して組織弁と呼ぶ。機械弁に勝る組織弁の主要な利点は、血液の凝固を誘発する可能性がはるかに小さく、そのため組織弁を受け入れる患者は通常、手術直後の期間中以外は抗凝固剤を投与されないことである。残念ながら組織弁は、時間の経過と共に、しばしば架橋された自然組織の石灰化によって劣化する。この劣化は、若年患者で特に問題となる。従って、組織弁のレシピエントは抗凝固剤の投与を必要としない反面、組織弁の耐久性は機械弁よりも短い。
リウマチ熱が依然として一般的である第三世界諸国では、若年患者における弁置換の問題は重大である。機械弁が必要とする抗凝固剤は実際的でなく、組織弁の早い石灰化もその使用を妨げる。
西側世界では、余命が引き続き長くなっており、これに呼応して心臓弁置換を必要とする患者、及び過去に移植し劣化した人工弁の置換を必要とする患者が増大している。従って、良好な血行力学特性を有し、耐久性が長く、凝固を誘発する危険が十分低く抗凝固剤を必要としない置換心臓弁が求められている。
自然心臓弁の閉鎖部材は、薄い可撓性の組織リーフレットである。血液が弁を介して流れ始めると、リーフレットはオリフィスの外方へと容易に動くので、それにより開いた弁からの流れはリーフレットによって制限されない。組織弁も同様に機能し、弁が開くときにオリフィスは比較的制限されない。一方、機械弁では、閉鎖部材がオリフィス内で回転する。しかし弁が開くときに閉鎖部材がオリフィスから離れるわけではない。このため、流れに幾らかの制限が与えられることになる。しかし、より重要なことは、血流パターンを乱してしまうことである。この流れの乱れが、凝固物の発生を開始する、又は少なくとも機械弁に凝固物が発生するという目に見える傾向を生じることに大きく寄与すると広く考えられている。
いくつかのトリリーフレット(三葉)ポリウレタン弁の構成がこれまでに提案されている。
閉じた弁位置において半径方向で楕円であり、周線方向で双曲線であるリーフレット幾何形状を備え、リーフレットが射出成形ポリウレタンフレーム上に非生体安定性の(non-biostable)ポリウレタン溶液によりディップコートされている弁設計は、生体外の疲労試験中に8億サイクルを超える耐久性を達成している(Mackay TG、 Wheatley DJ、 Bernacca GM、Hindle CS、Fisher AC著「New polyurethane heart valve prosthesis:design, manufacture and evaluation」Biomaterials 1996; 17:1857〜1863; Mackay TG、Bernacca GM、Wheatley DJ、 Fisher AC、 Hindle CS著「In vitro function and durability assessment of a polyuretane heart valve prosthesis」Artifical Organs 1996;20:1017〜1025; Bernacca GM、Mackay TG、Wheatley DJ著「In vitro function and durability of a polyurethane heart valve:material consideration」J Heart Valve Dis 1996;5:538〜542; Bernacca GM、Mackay TG、Wilkinson R、Wheatley DJ著「Polyurethane heart valves:fatigue failure、calcification and polyurethane structure」J Biomed Mater Res 1997;34:371〜379; Bernacca GM、 Mackay TG、 Gulbransen MJ、Donn AW、 Wheatley DJ著「Polyurethane heart valve durability:effects of leaflet thickness」Int J Artif Organs 1997;20:327〜331)。しかし、この弁設計は、小サイズにおいて許容できない狭窄をもたらすものであった。従って、再設計が行われ、自由端部からリーフレットベースへの双曲線角度を変え、射出成形フレームを剛性の高モジュラスポリマーフレームに交換した。この再設計により、より薄いフレームの使用が可能となり、それにより弁オリフィス領域が増大した。非生体安定性のポリウレタンリーフレット材料を備えるこの弁設計は、成長中のモデル羊に移植された。弁性能は、6ヶ月の移植期間にわたって良好であったが、弁の流入側のフレームポスト(柱)に近い領域は、完全なリーフレット開放が達成されず、局所的に血栓が蓄積した(Bernacca GM、 Raco L、 Mackay TG、Wheatley DJ「Durability and function of a polyurethane heart valve after six months in vivo」XII World Congress of International Society for Artificial Organs and XXVI Congress of the European Society for Artificial Organs、 Edinburgh、 1999年8月で発表。Wheatley DJ、 Raco L、Bernacca GM、Sim I、Belcher PR、Boyd JS著「Polyurethane:material for the next generation of heart valve prostheses?」Eur.J.Cardio−Thorac. Surg. 2000;17;440−448)。非生体安定性のポリウレタンを使用したこの弁設計は、許容可能な機械的耐久性を有したが、生体内で6ヵ月後にポリマー劣化の兆候を示した。
「心臓弁補綴物」という発明の名称の国際特許出願公開WO98/32400号に、同様の設計、即ち自由縁部に向かう球とリーフレットのベースに向かう円錐体とからなる幾何形状を呈するように成形されたリーフレットを有するトリリーフレット弁を基本構造とする閉じたリーフレット幾何形状構造が開示されている。半径によって画定される球面は、リーフレットが背圧下にあるときしっかりした封止を提供するように意図されており、半角によって規定される円錐セグメントによって、リーフレットのベースで迅速な開放が提供される。球面部分がリーフレットベースに位置する場合、弁が閉じられ且つ背圧下にあるとき、応力分布の点での利点を提供できるであろうと述べられている。
1994年12月27日に発行されJansenらに対して付与された「Closing Member Having Flexible Closing Elements、 Especially a Heart Valve」という名称の米国特許第5,376,113号に、ベースリングに取り付けられたリーフレットを使用して可撓性心臓弁リーフレットを作成する方法が開示されている。これにおいては、リーフレットはベースリングから延設されたポストに取り付けられている。リーフレットは、広がった位置でベースリングに形成され、リングの収縮時に弛緩するポリマー製の事実上平坦なシートである。結果として得られる弁は、ニュートラルな無負荷位置では弁リーフレット中に曲げ応力を有するが、脈動圧力がないときには安定な開放位置と安定な閉鎖位置との両方を維持することができる。実質的に平坦なシートから弁を製造することにより、リーフレットがフレームに取り付けられるときの該リーフレットの自由縁部における該リーフレット間の挟み角は、3個のリーフレット弁に関して60°である。
「Artificial Heart Valve」という名称の米国特許第5,500,016号には、数式z2+y2=2RL(x−g)−α(x−g)2によって画定されるリーフレット形状を有する弁が開示され、ここで、gはフレームからのリーフレットのずれであり、RLは、(g,0,0)でのリーフレットの曲率半径であり、αは形状パラメータであって、>0且つ<1である。
弁が圧力勾配を受けていないときに部分的に開いた形状を有し、しかし順方向流れの間、完全に開いた位置を取る弁設計が「Method for Producing Heart Valves」という名称の国際特許出願公開WO97/41808で開示されている。弁は、ポリウレタントリリーフレット弁であってよく、円筒形外部スリーブの内部に含まれる。
米国特許第4,222,126号及び第4,265,694号は、ポリマーの一体式バンドによって強化された先導縁部を有する一体式ポリウレタンエラストマーリーフレットと、ポリウレタンのより厚いラインによって半径方向で強化されたリーフレットとを有するトリリーフレットポリウレタン弁を開示している。
弁の縫合リングにより生じる慢性血栓形成及び組織肥大の問題は、「Prosthetic Heart Valve」という名称の米国特許第4,888,009号に開示されるように、縫合リングの両側に弁本体を延在させることよって対処されている。
現行ポリウレタン弁の設計には、いくつかの潜在的欠点がある。良好な弁閉鎖を保証しながらリーフレットを閉鎖接合(close coaptation)することにより、特に交連部(commissure)でのステントポスト付近の領域で、血行力学的機能における血液の洗い出しが制限される。この沈滞領域は、局所血栓形成を促進しやすく、より長期での弁オリフィスの更なる制限をもたらし、循環中の材料塞栓の危険を高める。材料の劣化(生物学的に不安定なポリウレタンにおける)及び石灰化は血栓形成に関連する可能性があり、リーフレットの局所的な硬直、応力集中、及びリーフレット故障がもたらされる。前述したように、トリリーフレットのポリウレタン弁設計物を動物へ移植すると、血栓がこの領域内に集まる傾向があり、弁オリフィスを制限し、弁の構造を損傷することを示している。
現在の弁設計は、20年以上に亘り臨床機能性を期待できるような良好な機械特性及び十分な耐久性をもつ適切なポリウレタンの入手困難性によって制限されている。良好な流体力学的機能を提供する多くの低モジュラス材料が、蓄積された歪の影響に対する感受性が大きいため、疲労試験中に許容できない短い期間で故障する。より高モジュラスのポリウレタンを用いれば大きな損傷を蓄積することなく、繰り返しの応力に良く耐え得るであろうが、硬度が大きすぎるため、従来のほぼ閉じた幾何形状の弁設計における良好な流体力学的機能を提供できない。現行の設計戦略は、潜在的により耐久性があり、より高モジュラスのリーフレット材料の組込みを可能にすることを対象にしておらず、また、厚いリーフレットとして製造される低モジュラスポリウレタンを用いて良好な流体力学機能を維持することができる弁設計の作成も対象にしていない。
フレームへの弁リーフレット取付けにおける問題は、多くの弁設計において、フレームに近いリーフレット領域がフレームによって拘束されてしまうことである。この領域は、リーフレットの自由移動部と界合する前にリーフレット内にいくらかの距離だけ延在している場合や、フレームとリーフレットの界面に直接ある場合もあろう。従って、比較的可動であり、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間の移行下に置かれるリーフレット領域と、比較的静止した交連部領域との間に応力集中が存在する。この曲げ応力集中の強度は、リーフレットを完全に開いた位置にするための高い曲げ歪が設計パラメータにより帰結される場合に最大となる。
米国特許第4,222,126号及び第4,265,694号には、リーフレットの脆弱領域を補強するために肥厚化リーフレット領域を使用する弁を開示されている。しかし、この手法は、曲げ応力を増大させる可能性があり、リーフレット流体力学機能の点で欠点がある。
人工リーフレット心臓弁の設計でもたらされる主な難点は、次のように説明することができる。自然トリリーフレット心臓弁(大動脈及び肺)を形成する材料は、そのような弁の機能に特に適した変形特性を有する。具体的には、非常に低い初期モジュラスを有し、そのため小さい歪で生じる曲げに関して非常に可撓性がある。この低いモジュラスはまた、弁が閉じられて負荷を加えられるときにリーフレットが変形できるようにし、それによりリーフレットの取付け部即ち接合部で発生する応力が低減されるようにする。次いで、リーフレット材料は十分に硬くなり、これにより弁が脱出を起さずに閉じた負荷を維持することができるようにする。このような機械的特性を有する人工材料は入手可能ではない。
良好な血液取扱い性及び良好な耐久性を有するポリウレタンを合成することができる。自然心臓弁材料ほど低いモジュラスを有するものはないが、広範囲の機械的性質を有するポリウレタンが入手可能である。これらポリウレタンは、大きい歪でのモジュラスの増大を示すが、この増大は、リーフレット心臓弁で生じる歪よりもはるかに大きな歪となるまで生じない。
ポリウレタンは、最近数十年で、人工リーフレット心臓弁用に選択される材料になった。さらに最近では、移植されたときの劣化に対する耐性を有するポリウレタンが入手可能となっている。このようなポリウレタンは安定でないポリウレタンよりも人工リーフレット心臓弁を作成するのに明らかに適しているが、その使用は、機械的特性から生じる同様の制限を受ける。従って、人工トリリーフレット心臓弁を最良の利用可能な材料を用いて機能させることができるようにする設計変更を追及する必要がある。
人工リーフレット心臓弁を設計するときに考慮しなければならない主な性能パラメータには、圧力勾配、反流(regurgitation)、血液取扱い性、及び耐久性が含まれる。
開いた弁にわたる圧力勾配を最小限に抑えるために、リーフレットは、ステントの内径によって画定され、且つ取り得る最大のオリフィスまで広く開かなければならない。これは、リーフレットの材料が適切でそれによりそれらがステント内径に等しい直径の管の形に曲げられなければならないことを意味する。さらに、弁を開くのに利用可能な圧力が小さいので、この曲げに関する低いエネルギー経路が存在しなければならず、勾配が低ければそれだけ圧力が小さくなる。全てのリーフレットが、臨床作業時に弁が受ける可能性がある最小心臓出力に対して開かなければならない。
閉鎖反流(閉じた弁を介して失われる逆流)を最小限に抑えるために、弁リーフレットは、弁の閉じた位置あるいはその近傍で一方向に延びた形状をとらなければならない。閉鎖弁逆流(弁を閉じた後の弁からの逆流)を最小限に抑えるためには、交連部領域内でリーフレットが並列していることが重要であることが分かっており、この観点から、閉じた位置で交連部を形成すべきである。
適切な血液の取扱いは、凝固系と血小板の両方の活性を最小限に抑えることを意味する。弁の構成材料は明らかに非常に重要な因子であり、しかしまた、弁からの流れは、高せん断(速度勾配)領域や相対的沈滞領域に血液を曝さないようにしなければならない。高せん断領域を回避することは、弁が完全に開く場合に達成され、相対的沈滞は、リーフレット/フレーム取付け及び交連部領域が特に広く開く場合に回避される。これは、通常の合成材料では、合成材料の剛性が非常に高いため、交連部がほぼ閉じられて成形されるときには達成されない。
耐久性は、弁リーフレットの構成材料に大きく依存するが、任意の提供される材料に関して、高い応力の領域が回避された場合に寿命が最大となる。閉じた弁に対する負荷は、弁開放中に発生する負荷よりもかなり大きい。従って、閉じた位置を重要視すべきである。応力は、ステントに負荷が伝達される交連部の領域で最大になるが、リーフレットの腹部が、閉じた弁において実現可能な程度に低いときに低減される。これは、所望の小さい閉鎖を可能にするのに十分なリーフレットの材料が存在しなければならないことを意味する。
本発明は、フレームと、フレームに取り付けられた2個以上(好ましくは3個)のリーフレットとを備える心臓弁補綴具を提供する。
本発明の二種の実施態様について説明する。
1.第一態様
リーフレットは、ポスト間でフレームに取り付けられており、弁が背圧下で閉じているときにリーフレットを一体に封止することができる自由縁部を有する。リーフレットは、数学的に画定された形状で作成され、フレームポスト付近の領域を含めたリーフレットオリフィス全体の良好な洗い出しを可能にし、それにより臨床移植条件下での血栓付着の問題を軽減する。
リーフレット形状の第二の設計上の特徴は次の通りである。即ち、弁を開くのに必要な圧力、及び開いた位置での弁にわたる圧力勾配が、安定な非応力位置で部分的に開く弁を作成することによって低減される。部分的に開いた位置でのリーフレットを成形することにより、それらがより広い角度まで簡単に開くようにせしめ、それにより、所定のいかなるポリウレタン/エラストマー材料に対しても、実効的なオリフィス領域が増大する。これは、比較的堅い性質のものを含めたより広い範囲の機械的特性からの材料を使用してリーフレットを製造することができるようにし、また、より厚い、従ってより耐久性のあるリーフレットとして低モジュラス材料を組み込むことができるようにし、その一方で許容しうるリーフレットの流体力学機能を維持する。
第三の設計上の特徴は、リーフレットの交連部領域の近傍での応力集中の低減である。多くの弁設計において、可撓性リーフレットの開いた部分が弁フレーム近傍のリーフレットの静止領域に合流する所に局所的に大きい曲げ領域が存在する。この設計は、この領域で、曲げ従って局所的応力集中を低減させる。この特徴は、弁の耐久性を高めるために設計されている。
ステントポスト付近のリーフレット接合に広い開口を確保させることによって、血液洗い出しが改善され、血栓形成が低減されると共に、血流が弁オリフィス全体からビルドアップのない通路を通ることができるのでレシピエントに対する塞栓の危険を最小限に抑える。
部分的に開いた設計によって、弁を開くのに必要な流体圧力が低減される。これにより、弁にわたるより低い圧力勾配がもたらされ、耐久性があって堅いポリウレタンを使用して、循環応力の印加や、低モジュラスポリウレタンの厚いリーフレットに対処するためにより良く装備し得る弁を製造し、それにより良好な耐久性と、良好な流体力学機能を達成することができる。安定な非応力状態でのリーフレットの位置は、リーフレット曲げにより生じる応力集中を低減し、それにより弁耐久性を高める。
本発明はその一アスペクトにおいて、血流軸を画定するフレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個のリーフレットとを備える心臓弁補綴具に提供する。少なくとも2個のリーフレットは、開いた位置から閉じた位置に可動であるように構成されている。リーフレットは、血液入口側及び血液出口側を有し、流体圧力が出口側に加えられるときには閉じた位置にあり、流体圧力が入口側に加えられるときには開いた位置にある。流体圧力がリーフレットに加えられていないときには開いた位置と閉じた位置の中間の中立(ニュートラル)位置にある。前記した少なくとも2個のリーフレットは第1のリーフレットを含む。第1のリーフレットは、第1のリーフレットと血流軸に垂直な少なくとも1つの平面との交線が第1の合成波を形成するような表面輪郭を有する。第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される少なくとも1つの第2の波と組み合わせることによって実質的に画定される。第1の波は第1の周波数を有し、第2の波は、第1の周波数と異なる第2の周波数を有する。あるいは、第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される第2及び第3の波と組み合わせることよって画定することができる。第3の波は、第1の周波数と異なる第3の周波数を有する。
第1の波及び第2の波はどちらも、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る(intersecting)平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であっても非対称であってもよい。第1の合成波は、次の平面、即ち血流軸に平行であり且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であっても非対称であってもよい。前期少なくとも2個のリーフレットは、第2及び第3のリーフレットを含むことができる。第2及び第3のリーフレットと、血流軸に垂直な平面との交線が、第2及び第3の合成波を形成する。第2及び第3の合成波は、第1の合成波と実質的に同じである。第1及び第2の波は、次の関数即ち三角関数、楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、滑らかな解析関数、の関数式、又は数値表によって画定することができる。少なくとも2個のリーフレットは、中立位置にあるときに曲げ応力から実質的に自由であるように構成することができる。フレームは、第1及び第2の端部を有する実質的に円筒形のものであってよく、端部の1方は、少なくとも2個のポストによって離隔された少なくとも2個のスカラップ縁部を画定し、各ポストは先端を有し、各リーフレットは、フレームのそれぞれのスカラップ縁部に接合された固定縁部と、2個のポストの前記先端間に事実上亘って延在する自由縁部とを有する。第1及び第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であってよく、又は第1及び第2の波の少なくとも一方が、そのような平面に関して対称であってもよい。第1のリーフレットは、第1のリーフレットが中立位置にあるときに、第1のリーフレットと、血流軸に平行且つこの軸を通り第1のリーフレットを二分する平面との交線が第4の波を形成するような表面輪郭を有することができる。
本発明はその別のアスペクトにおいて、心臓弁補綴具を製作する方法に関する。弁補綴具は、弁補綴具を通る血流に実質的に平行な血流軸を画定するフレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個の可撓性リーフレットとを含む。本方法は、少なくとも2個のリーフレット形成面を有する成形要素を提供することを含む。成形要素はフレームに係合される。コーティングがフレーム及び係合された成形要素の上に塗布される。コーティングはフレームに結合する。リーフレット形成面上のコーティングによって、少なくとも2個のリーフレットが形成される。少なくとも2個のリーフレットは、開いた位置から閉じた位置に可動であるように構成される。リーフレットは、血液入口側及び血液出口側を有し、流体圧力が出口側に加えられるときには閉じた位置にあり、流体圧力が入口側に加えられるときには開いた位置にある。リーフレットは、流体圧力がリーフレットに加えられていないときには開いた位置と閉じた位置の中間の中立位置にある。少なくとも2個のリーフレットが第1のリーフレットを含む。第1のリーフレットは、第1のリーフレットと血流軸に垂直な少なくとも1つの平面との交線が第1の合成波を形成するような表面輪郭を有する。第1の合成波は、第1の波を第2の重畳波と組み合わせることによって実質的に画定される。第1の波は第1の周波数を有し、第2の波は第1の周波数と異なる第2の周波数を有する。コーティングが塗布された後、成形要素がフレームから外される。コーティング段階で形成される第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される第2及び第3の波と組み合せることによって画定することができる。第3の波は、第1の周波数と異なる第3の周波数を有する。
コーティング段階で形成される第1及び第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であっても非対称であってもよい。コーティング段階で形成される第1の合成波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であっても非対称であってもよい。コーティング段階で形成される少なくとも2個のリーフレットは、第2及び第3のリーフレットを含むことができる。第2及び第3のリーフレットと、血流軸に垂直な平面との交線が、それぞれ第2及び第3の合成波を形成する。第2及び第3の合成波は、第1の合成波と実質的に同じである。コーティング段階で形成される第1及び第2の波は、次の関数即ち三角関数、楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、滑らかな解析関数、の関数式、又は数値表によって画定することができる。
コーティング段階での第1及び第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であってよく、又は第1及び第2の波の少なくとも1つが、そのような平面に関して非対称であってもよい。コーティング段階での少なくとも2個のリーフレットは、中立位置にあるときに曲げ応力から実質的に自由であるように構成される。
本発明はその更なるアスペクトにおいて、血流軸を画定するフレームと、第1のリーフレットを含むフレームに取り付けられた少なくとも2個のリーフレットとを備える心臓弁補綴具を提供する。第1のリーフレットは、血流軸に面する内面、及び血流軸と反対向きの外面を有する。第1のリーフレットは、第1のリーフレットの第1の半分の平均厚さが第1のリーフレットの第2の半分の平均厚さと異なるように構成される。これら第1及び第2の半分は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面によって画定される。第1のリーフレットはさらに、血流軸に垂直な平面と第1のリーフレットとの交線によって画定される断面に沿った内面と外面の間の第1のリーフレットの厚さが、第1の断面端部から第2の断面端部へ徐々に、実質的に連続に変化するように構成することができる。
本発明は更に他のアスペクトにおいて、弁補綴具を通る血流に実質的に平行な血流軸を画定するフレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個の可撓性リーフレットとを含む心臓弁補綴具を製作する方法を提供する。この方法は、フレームを収容するようにサイズ取りしたキャビティを有するモールド(鋳型)を提供すること、フレームをモールド内に挿入すること、モールドを射出成形機械内に挿入すること、及び溶融ポリマーをモールドのキャビティ内に注入して、少なくとも2個のリーフレットを形成することを含む。溶融ポリマーの注入により、少なくとも2個のリーフレットをフレームに結合させる。キャビティは、所望の形状で少なくとも2個のリーフレットを形成するように形づくられている。少なくとも2個のリーフレットは、開いた位置から閉じた位置に可動であるように構成される。リーフレットは、血液入口側及び血液出口側を有し、流体圧力が出口側に加えられるときには閉じた位置にあり、流体圧力が入口側に加えられるときには開いた位置にある。リーフレットは、流体圧力がリーフレットに加えられていないときには開いた位置と閉じた位置の中間の中立位置にある。少なくとも2個のリーフレットは、第1のリーフレットが中立位置にあるとき、第1のリーフレットと血流軸に垂直な少なくとも1つの平面との交線が第1の合成波を形成するような表面輪郭を有する第1のリーフレットを含む。第1の合成波は、第1の波を少なくとも1つの第2の重畳波と組み合わせることによって実質的に画定される。第1の波は第1の周波数を有し、第2の波は第2の周波数を有し、第1の周波数は第2の周波数と異なる。
本発明はその更なるアスペクトにおいて、フレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個の可撓性リーフレットとを含む心臓弁補綴具を設計する方法を提供する。この方法は、第1の所望の形状のリーフレットを第1の位置で画定すること、第2の所望の形状のリーフレットを、第1の位置とは異なる第2の位置で画定すること、及び第1及び第2の形状の少なくとも1つを画定する調節可能パラメータの値を識別するためにドレーピング分析を行うことを含む。ドレーピング分析を行うことにより、リーフレットが、第1及び第2の両所望形状を取るのに十分な量及び分布のリーフレット用材料からなることを保証する。画定ステップでの第1及び第2の位置のどちらかが閉じた位置にあってよく、第1及び第2の位置の他方が部分的に開いた位置にあってもよい。
2.第二態様
本発明はその一アスペクトにおいて、心臓弁補綴具を提供し、心臓弁補綴具は血流軸を画定する実質的に円筒形のフレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個の可撓性リーフレットとを備え、前記フレームは第1及び第2の端部を有し、その一方が、少なくとも2個のポストによって離隔された少なくとも2個のスカラップ縁部を画定すると共に、各ポストは先端を有する。前記少なくとも2個のリーフレットは、開いた位置から閉じた位置に可動であるように構成されており、前記少なくとも2個のリーフレットは、血液入口側及び血液出口側を有し、前記少なくとも2個のリーフレットは、流体圧力が出口側に加えられるときには閉じた位置にあり、流体圧力が入口側に加えられるときには開いた位置にあり、流体圧力がリーフレットに加えられていないときには開いた位置と閉じた位置の中間の中立位置にあり、各リーフレットが、フレームのそれぞれのスカラップ縁部に接合された固定縁部と、2個のポストの先端間に実質的に延在する自由縁部とを有する。前記した少なくとも2個のリーフレットは第1のリーフレットを含んでいてもよく、第1のリーフレットは、第1のリーフレットが中立位置にあるとき、血流軸に垂直な少なくとも1つの平面との第1のリーフレットの交線が第1の合成波を形成するような表面輪郭を有し、第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される少なくとも1つの第2の波と組み合わせることによって実質的に画定され、第1の波は第1の周波数を有し、第2の波は、第1の周波数と異なる第2の周波数を有し、第1の波は円弧を含む。
第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される第2及び第3の波と組み合わせることよって画定することができ、第3の波は、第1及び第2の周波数と異なる第3の周波数を有する。第1の合成波及び第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称であっても非対称であってもよい。少なくとも2個のリーフレットは、第2及び第3のリーフレットを更に含んでいてもよい。第2及び第3のリーフレットと、血流軸に垂直な平面との交線が、第2及び第3の合成波をそれぞれ形成することができ、第2及び第3の合成波は、第1の合成波と実質的に同じである。第2の波は、次の関数即ち三角関数、楕円関数、双曲線関数、滑らかな解析関数、の関数式及び数値表によって画定することができる。少なくとも2個のリーフレットは、中立位置にあるときに曲げ応力から実質的に自由であるように構成することができる。第1のリーフレットは、第1のリーフレットが中立位置にあるときに、第1のリーフレットと、血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面との交線が第4の波を形成するような表面輪郭を有することができる。
本発明はその第二のアスペクトにおいて、心臓弁補綴具を製作する方法を提供し、この心臓弁補綴具は、弁補綴具を通る血流に実質的に平行な血流軸を画定する実質的に円筒形のフレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個の可撓性リーフレットとを含む。この方法は、少なくとも2個のスカラップ縁部をフレーム上に形成し、それぞれのスカラップ縁部の形状は血流軸に対して傾斜する平面とフレームとの交線によって画定されること;前記フレームを処理することにより、その表面エネルギーを約64mN/mより高くさせること;少なくとも2個のリーフレット形成面を有する成形要素を提供すること;成形要素とフレームとを係合すること;フレーム及び係合された成形要素上にコーティングを塗布し、コーティングによりフレームに結合して、リーフレット形成面上のコーティングによって、少なくとも2個の可撓性リーフレットを形成し、少なくとも2個のリーフレットは、開いた位置から閉じた位置に可動であるように構成され、少なくとも2個のリーフレットは、血液入口側及び血液出口側を有し、少なくとも2個のリーフレットは流体圧力が出口側に加えられるときには閉じた位置にあり、少なくとも2個のリーフレットは流体圧力が入口側に加えられるときには開いた位置にあり、流体圧力がリーフレットに加えられていないときには開いた位置と閉じた位置の中間の中立位置にあり、少なくとも2個のリーフレットは第1のリーフレットを含み、第1のリーフレットは、第1のリーフレットが中立位置にあるとき、血流軸に垂直な少なくとも1つの平面との第1のリーフレットの交線が第1の合成波を形成するような表面輪郭を有し、第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される少なくとも1つの第2の波と組み合わせることによって実質的に画定され、第1の波は第1の周波数を有し、第2の波は第2の周波数を有し、第1の周波数と異なり、第一の波は円弧を含むこと;及び成形要素をフレームからはずすことを含む。
a.設計考慮事項
上述した要因の考察により、本発明の補綴心臓弁によって達成されるいくつかの設計目標が特定される。第1に、補綴心臓弁は、広い開放及び小さい閉鎖のためにリーフレットが十分な材料を含む必要があるが、これよりも量が多いと、開放のためのエネルギー障壁を増大させ。材料が十分であり、且つ過剰でないことを確実にするためには、後に詳しく説明するドレーピング分析が使用される。第2に、広い開放及び小さい閉鎖に十分な材料を保証するために、弁は、(a)製造中に外方向にステントポストを変形することによって、(b)リーフレット自由縁部に複数の曲線を導入することによって(以下参照)、(c)閉じた位置を非対称にすることによって、及び(d)これらの組合せによって、部分的に開いた位置でのみ製造することができる。第3に、小さい閉鎖及び広い開放に十分な材料が存在する場合、開放のためのエネルギー障壁は、低フローで全てのリーフレットが開放するのを防止するのに十分な高さである場合がある。エネルギー障壁は、(a)リーフレットに複数の曲線を導入することによって、(b)リーフレットを非対称にすることによって、及びこれらの組合せによって最小限に抑えることができる。第4に、血液の取扱いのためには開いた交連部が必要であり、逆流の問題のためには閉じた交連部が必要であり、従って、弁は部分的に開いた交連部を有するべきである。特に、弁交連部にある隣接するリーフレット自由縁部がなす角(例えば、図1に示される対称形リーフレットの角度α参照のこと)は、10〜55°、好ましくは25〜55°にすべきである。
上述したように、リーフレットに複数のカーブを使用することにより、弁の広い開放及びより完全な閉鎖が保証され、且つ弁の開放のためのエネルギー障壁を最小限に抑えられる。しかし、リーフレットに対し1.5波長よりも大きい複数のカーブを導入することは、欠点となる場合がある。リーフレット中に十分な材料があってなお且つこのリーフレットを完全に開放できる場合もあろうが、これでも問題ないためには、リーフレットの曲げを完全に伸ばせるものでなければならない。これを行うために利用可能なエネルギーは、開いた弁にわたる圧力勾配によってのみ生じ、これは、リーフレットがより開くにつれて、即ち弁オリフィス領域が増大するにつれて減少する。このエネルギーは比較的小さく(弁設計が成功すればそれだけ小さくなる)、弁製造に利用可能な材料の剛性を仮定して1.5波長よりも大きいリーフレットカーブをなくする(remove)のに十分なエネルギーとはならない。その結果、曲線は伸びず、弁は完全には開かない。
全有限要素分析に対する第1の近似としてドレーピング分析を使用して、膜の初期形状が、最終位置に配置されたときに所望の最終形状を取るようなものであるかどうかを判定する。耐久性の観点からは、閉鎖位置に焦点があてられ、閉鎖位置でのリーフレットの所望の形状が画定される。ドレーピング分析によって、部分的に開いた位置でリーフレットを再形成することができる。
ドレーピング分析は、非常に低いエネルギーでの変形が可能であることを前提としている(実際には、変形のいずれの様式もエネルギーを必要とする)。変形を起こすためには、リーフレット/膜の曲げ剛性を小さくしなければならず、膜の各要素が、隣接要素に対して自由に変形し、各要素が自由に形状を変えるはずである。即ち、材料のせん断弾性係数は非常に低いものと仮定する。ドレーピング分析を適用する際、元の画定された閉鎖位置から、リーフレットが製造される新たな位置にリーフレットを簡単に移動することができることを仮定する。弁が実際に循環されるとき、閉鎖時のリーフレットは製造位置から元来画定されている閉鎖位置に移動すると仮定される。これにより、応力分布の観点から閉じた位置を最適化することができ、開放のためのエネルギー障壁を低減する観点から製造位置を最適化することができる。
リーフレットが対称形状と非対称形状のどちらであっても、完全な開放を可能にする限りは十分量の材料をリーフレット自由縁部に組込むことができる。図1は、対称形リーフレット(実線)と非対称形リーフレット(点線)の形状を比較し、且つリーフレットがフレームに接続する接合部領域12を示す線図である。非対称形状の利点は、より小さな曲率半径16を有する対称形曲線で達成されるよりも大きな曲率半径14の領域が生成されることである。この領域は、より簡単に座屈することができ、それにより開放のためのエネルギー障壁が低減される。
また、非対称形リーフレットは、リーフレットでの不安定な座屈をもたらすことによってエネルギー障壁を低減する。開放中、対称形リーフレットは対称的に座屈する。即ち、リーフレットの座屈は通常、リーフレットの中心線に関して鏡映になっており、従って、この中心線に関して曲げエネルギーのバランスが取れている。非対称形弁では、より大きい半径の領域が座屈しやすく、これらの曲げエネルギーは中心線に関してアンバランスなので、この座屈はリーフレットを介して巻くように進み、帆状運動を生じて、開放のための低エネルギー経路をもたらす。
非対称形弁の更なる特徴は、開放位置もわずかに非対称であることであり、その結果いくぶん螺旋状の流れ経路を提供する。これは、大動脈の自然な螺旋の向きに合致させることができる。この螺旋流れ経路の予測される利点としては、壁におけるせん断応力の不均一性の低減、従って血小板活性の低減が挙げられる。
b.弁補綴具
第一及び第二実施態様に係る弁補綴具を、添付図面を参照しながら説明する。図2は、本発明に従って製作される心臓弁補綴具の斜視図である。弁10は、ステント又はフレーム1とそれに取り付けられたリーフレット2a、2b、及び2cとを備える。これらリーフレットは、スカラップ5a、5b、及び5cにおいてフレームに接合されている。各スカラップ間にポスト8があり、その最も下流の部分は、ステント先端6と呼ばれる。リーフレット2a、2b、及び2cは、それぞれ自由縁部3a、3b、及び3cを有する。ステント先端6におけるリーフレット間の領域が交連部4を形成する。
1.心臓弁補綴具の第一実施態様
以下、本発明の第一実施態様の弁を設計する特定の方法を説明するが、本明細書で開示する弁の構造的特徴を有する弁を設計するために、他の異なる設計方法を利用することもできよう。この特定の方法には5つの計算ステップが含まれる。
(1)スカラップ幾何形状を画定する(スカラップ5は、リーフレット2とフレーム1の交線である)。
(2)閉じた位置Cでの弁リーフレットを幾何学的に画定する。
(3)閉じた位置でのリーフレットにわたる領域の分布をマップして、計算する。
(4)部分的に開いた位置Pでのリーフレットを再構築する。
(5)部分的に開いた位置、又は成形位置Pで計算されたリーフレット領域分布を、閉じた位置Cで画定されたリーフレットに合致させる。これにより、高い閉鎖圧力がリーフレットに加えられるときに、リーフレットが最終的に、閉じた位置Cで画定された形状に相当する形状を取ることが保証される。
この手法により、位置Cでのリーフレットの閉じた形状を耐久性に関して最適にすることができ、成形された、部分的に開いた形状Pで形づくられたリーフレットを血行力学に関して最適にすることができる。これは、良好な血行力学的特性を有するより堅いリーフレット材料を弁のために使用することができるようにする。図2に示すようにXYZ座標系を画定する。Z軸は、弁を介して流れる血液の流れ方向である。
リーフレットはフレームに取り付けられ、フレームの形状は、前述したリーフレット形状と、本質的に円筒形、円錐形、又は球形である3次元幾何形状との交線から得られる。スカラップ形状は、次式によって囲まれた表面と、半径R(ここでRは弁の内径である)の円筒形との交差によって画定される。
ここで、f(Z)は、Zと共に変化する関数である。
スカラップの形状は、定数Es0、EsJ、Hs0、f(Z)を用いて変化させることができる。これらの式、及び本明細書におけるその他の式で使用するパラメータの定義を表4に記載する。
背圧下での(即ち閉じた位置Cでの)リーフレットの形状は、XYを血流に垂直な弁の平面とし、Zを血流に平行な方向とするXYZ座標系内において、楕円座標もしくは双曲線座標、又はこれらの組合せを用いて数学的に近似することができる。簡便なリーフレット再開放を可能にし、血流に平行な方向で作用する応力成分の影響を最小限に抑え、またその一方で背圧下での効果的な封止を生成するように背圧下でのリーフレットの形状を近似的に画定するようにパラメータが選択される。
閉じた位置Cでの閉じたリーフレット幾何形状は、特に弁交連部で生じる傾向があるリーフレットの応力集中を最小限に抑えるように選択される。この形状に関する規格は次のことを含む。
(1)大きく開くリーフレットオリフィスを可能にするのに足る材料を含むこと、
(2)余剰(自由縁部3での余剰材料)、及び自由縁部3の中心での捩れを最小限に抑えるように上記材料を配置構成すること、及び
(3)自由縁部3が低応力下にあること、即ちフレーム及びリーフレット腹部が背圧を支えるようにするよう、上記材料を配置構成すること。
図3は、閉じた位置にあるリーフレットに対して単に期待される位置を示した(図2に示される断面3−3を用いた)部分断面図である。この所期位置の形状は、関数XClosed(Z)によって表される。この関数を使用して、閉じた位置Cでのリーフレットの形状を、前述した規格に合うように構成することができる。この曲線は以下の式を用いて画定され、定数EcJ、Ec0、Zc0と、関数EcN(Z)及びXT(Z)とを用いて操作される。
ここで、EcNは、Zと共に線形に変化する関数であり、XT(Z)は、Zと共に非線形に変化する関数である。
従って、スカラップ形状及び関数XClosed(Z)を使用して、閉じた位置Cでの閉じたリーフレットに関し突出した境界が形成される。リーフレットの残りの部分は、スカラップから閉じたリーフレット腹部関数XClosed(Z)へ掃引する輪郭S(X,Y)nを使用して形成され、ここでnは無限数の輪郭線であり、図4Bにはそれらの輪郭線のうちの2個を示す。
円周方向(XY)でのリーフレットの長さ(即ち輪郭S(X,Y)n)が計算され、半径方向(Z)で繰り返されて関数L(Z)を生み出し、この関数は後で、部分的に開いた位置Pでの幾何形状の画定に使用される。当該の輪郭間に含まれる領域も計算されて、関数K(Z)を生み出し、この関数も位置Pでの幾何形状の画定に使用される。輪郭間に含まれる領域は、図4Bに示される三角測量のプロセスを使用して概算される。表面を表すために使用される輪郭の数を低減する(100<n<200)ことによって、このプロセス全体を短縮することができる。
前述のプロセスは本質的にリーフレット形状を画定するものであるが、これを操作して耐久性を最適にすることができる。血行力学に関して最適にするためには、弁の開きという点で中間にある位置Pで同じリーフレットを成形する。これは、大きな半径の曲線をリーフレットに成形することを伴い、閉じた位置から開いた位置へリーフレットを座屈するのに必要なエネルギーを低減する働きをする。大きな半径の曲線は、種々の異なる方法で構成することができる。これらのいくつかを本明細書で概説する。
リーフレットは、図14に示されるディッピングフォーマー上で成形することができる。好ましくは、型は、端部29が端部22よりも大きな直径を有するように刃先角θでテーパを付けられている(これは、製造中のフレームと型との並置を保証する)。この場合、前に画定されたスカラップ形状が、(閉じたリーフレット形状の画定に用いる円筒形幾何形状とは異なる)テーパ付き幾何形状の上に位置するように再画定される。これは、スカラップ上の各点を半径方向に移動させ、この移動において、各点がテーパ付き幾何形状の上に位置するまで、スカラップの底部に一致するX−Y平面に関して各点を回転することによって達成される。
リーフレット形状の幾何形状は、XY平面内で本質的に好ましくは正弦であり、一以上の波を備え、フレーム上に基準点を有する三角法構成(又はその他の数学的関数)として画定することができる。従って、弁リーフレットは、少なくとも2個の数学的関数を組み合わせて合成波を生成し、これらの波を使用して、前述のスカラップと共にリーフレット表面を囲むことによって画定される。
そのような幾何形状で実現可能な1例は、基本低周波正弦波とこれに重畳された第2のより高い周波数の正弦波とからなる合成曲線である。得られた合成波に、第1及び第2の波とは異なる周波数を有する第3の波を重畳することもできる。これは、弁が完全に開いたときに、交連部領域における隣接リーフレット間のより広い角度を保証し、それによりこの領域の良好な洗い出しを保証する。
合成曲線、及び結果として得られるリーフレットは、血流方向に平行で且つ2個のステント先端間に引かれた線を二分する平面、例えばリーフレット2aに関しては図2の線3−3に沿った断面に関して、対称であっても非対称であってもよい。対称形の基本曲線を非対称形の重畳曲線と組み合わせる、又はその逆で組み合せることによって非対称にすることができる。
以下、対称形基本関数と非対称形重畳関数との使用を説明するが、非対称形基本関数の使用も当業者には明らかであろう。基本関数は、XY平面で画定され、弁のベースから所与の高さでリーフレット取付け点をスカラップに接続する。図5に示されるこの基本関数は、三角関数、楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、もしくは他の滑らかな解析関数であってよく、又は数値表であってもよい。
正弦関数を用いた、利用しうる基本波の1例を図5に示す。これは次式によって画定される。
重畳波は、XY平面内で画定され、弁のベースの上方の所与の高さでリーフレットの取付け点をスカラップに接続する。重畳波は、基本波よりも高い周波数を有し、三角関数、楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、あるいは他の滑らかな解析関数であってよく、又は数値表であってもよい。
正弦関数を用いると、1つの可能な対称形リーフレット設計は、次式から生成される重畳波と基本波が組み合わされるときに得られる。
sをリーフレットに亘って変えて、リーフレットに亘って変化する波振幅、例えば交連部においてリーフレット中心よりも小さい振幅を生成することができる。Bsは、波の長さを調節するために変えることができる。この重畳波を図6に示す。基本波(図5)を重畳波(図6)と組み合わせることによって形成される合成波を図7に示す。
正弦関数を用いると、考えうる非対称形リーフレット設計の1例は、次式によって形成される重畳波と基本波(図5)が組み合わされるときに得られる。
sをリーフレットに亘って変えて、リーフレットに亘って変化する波振幅、例えば交連部においてリーフレット中心よりも小さい振幅を生成することができる。Bs(Y)は、波の長さを調節するために変えることができる。この重畳波を図8に示す。結果として得られる非対称形合成波を図9に示す。合成波W(Xc,Ycnは、基本波の表面に重畳波を垂直にずらすことによって生成される(図7、9)。
位置Pでのリーフレットの概略形状は合成波を使用して決定されるが、この段階では、任意の特定の位置に指定されていない。Pの位置を指定するために、部分的に開いたリーフレット位置の形状をXopen(Z)と画定することができる。これは、図10の参照番号7で示されている。
この形状を決定できる関数の1例は、次のものである。
腹部形状Xopen(Z)を生成するように合成波を操作するために、個々の正弦波の振幅のそれぞれを、自由縁部からリーフレットベースへ変えることができる。例えば、位置Pでのリーフレットの「開放性」の度合を、リーフレット全体を通して変えることができる。
従って、合成波は、リーフレットの成形「座屈」を生成するように画定され、Xopen(Z)を使用して位置Pでのリーフレットの幾何形状を画定する。この段階では、位置Cでの閉じたリーフレット形状と関係しない場合がある。両方のリーフレット位置の領域分布を合致させる(従って、異なる位置で本質的に同じリーフレットを生成する)ために、位置Cでの関連するリーフレット輪郭の長さと合成波の長さとのマッチングを反復する。従って、個々の波の振幅及び周波数を、(a)長さ関数L(Z)の関連値と等しい長さの最終的な波を生成し、それにより、背圧が加えられたときに求められる閉じた形状を近似すること、及び(b)効率の良いオリフィス洗い出し、及び迅速なリーフレット開放を可能にすること、の間でバランスを取るように変えることができる。また、閉じた位置Cと同じ三角法プロセスを使用して、開いたリーフレットでの輪郭間に含まれる領域が測定され、(互いに対して関してPの輪郭を傾けることにより、)関連する位置Cでの輪郭間に含まれる領域(K(Z)で表す)と合致するまで反復される。従って、適正な領域がP(X,Y)nとP(X,Y)n-1の間に含まれるまで、輪郭n及び長さL(Z)に関係する合成波(P(X,Y)n)を、取付け点X(n,0)、Y(n,0)及びX(n,0)、−Y(n,0)の周りでXY平面に対してある角度で傾けることができる(図10及び11)。
このプロセスによって、弁リーフレット用の成形体を構成する際に使用すべきBS、AUの値及び輪郭傾斜角が特定される。BS及びAUなどの定数と、XY平面に関する輪郭の傾斜角とが分かっている限り、成形位置でのリーフレットの表面を従来の様式で視覚化し、囲み、機械加工することができる。この適合プロセスの結果、合成波は、同じ基本形態を保持するが、詳細にはリーフレットの上部からリーフレットの下部に向かって変化する。合成波は、リーフレット表面とZ軸に垂直な平面との交線としてリーフレット表面で画定することができる。この合成波は、リーフレット設計で使用される合成波と同じ一般的形態を有するが、上述した傾斜プロセスにより詳細にはそれと異なる。
従って、要約すると、本発明の第一実施態様に係るリーフレットの設計で用いうる方法の1例は、次のようなものである。
(1)スカラップ形状を画定する。
(2)楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、滑らかな解析関数、又は数値表を使用して、閉じたリーフレットの形状に近似する形状を画定する。
(3)Z軸に沿ったXY平面内でのリーフレットの長さと、Z軸に沿ったリーフレットの領域分布とを画定する関数L(Z)及びK(Z)を計算する。
(4)一以上の関連する正弦波を使用して、部分的に開いている幾何形状であって、通常の弁機能の2個の極限状態、即ちリーフレット開放とリーフレット閉鎖との間のリーフレット位置に関連する幾何形状を生成する。
(5)正弦波の周波数及び振幅を変えて長さ関数L(Z)に適合させ、XY平面に対して輪郭が傾けられる角度を変えて領域関数K(Z)に適合させる。及び、
(6)個々の正弦波の当該の振幅を、自由縁部からリーフレット底部へ変えることができる。例えば、リーフレットの「開放性」の度合を、リーフレット全体を通して変えることができる。
以下、本発明の第一実施態様をいかに実施しうるかに関し、実施例1及び2として記載する。表1のスカラップ定数を用いる際、対称形リーフレット弁の例(実施例1、図12)及び非対称形リーフレット弁の例(実施例2、図13)を生成するのに必要な定数を、それぞれ表2及び表3に示す。これらの定数は、リーフレット幾何形状を画定するために前述の式に関連して使用される。
前述の式を使用して記述される1個のリーフレットの他、残りの2個のリーフレットは、Z軸に回りに120°に亘って、次いで240°に亘って幾何形状を回転することにより生成される。これらのリーフレット形状は、ディッピングモールド(あるいはディッピングフォーマーと呼ばれる)のリーフレット形成面として挿入され、これが次いで3次元ディッピングモールドを形成する。従って、前述の式で記述した合成波は、リーフレット内面を生成するフォーマーの表面を実質的に画定する。
図14に示すように、ディッピングモールド20は、端部29が端部22よりも大きい直径を有するようにわずかにテーパを付けられており、フレームの内径よりもわずかに小さい外径を有する第1の端部22を有する。型は、スカラップ縁部26及び平坦部28によって画定される少なくとも2個の、好ましくは3個のリーフレット形成面24を含む。製造型内、及びフレーム上の鋭い縁部は、完成した弁において応力集中を低減させるべく丸められる。ディップモールディングプロセス中、フレームが、型の端部22の上に挿入され、それにより、フレームのスカラップ5及びステントポスト8が、型(フォーマー)のスカラップ縁部26及びフラット28と位置合わせされる。リーフレット形成面24は、本明細書で記述する幾何形状を有するリーフレットを成形プロセス中に形成するように構成されている。この成形体は、機械加工、放電加工、射出成形など様々な方法によって製造することができる。血流が乱れないように、ディッピングモールドでの高い表面仕上げが不可欠である。
フレームに関しては、好ましくは3個のポストが存在し、リーフレットは、ポスト間でフレームに掛かっている。冠状フレーム又はステント1は、浸漬成形スカラップに合致するスカラップ幾何形状を有して製造される。フレームスカラップを、半径方向に0.1mmだけずらして、フレーム全体をリーフレット材料の薄層で被覆し、リーフレットの接着を助けることができる。複数正弦波形態を作成するように機械加工又は成形されるディッピングフォーマーを使用して、ディップモールディングプロセスによってリーフレットをフレームに追加することができる。
フレームの好ましい材料は、機械加工又は射出成形等によって製造されるポリエーテルーエーテルーケトン(PEEK)、高モジュラスポリウレタン、チタン、強化ポリウレタン、又はポリアセタール(Delrin)等の半剛性の耐疲労性、耐クリープ性のフレーム材料である。フレームは、機械加工又は射出成形することができ、好ましくは、PEEK又はポリアセタール(Delrin)から製造される。
また、フレーム材料は、比較的低いモジュラスのポリマーを含んでいてもよく、ファブリック強化や繊維強化することにより、大動脈壁をより良く真似ることができる。このような弁は、自然の組織弁の合成等価物となろう。このような弁には、剛性フレームに後から縫合リングを取り付けるよりはむしろ、リーフレットのマージンにファブリックを取り込み、マージンを介して外科医が縫合して弁を取り付けるであろう。このような弁のリーフレットやスカラップの幾何形状は、剛性ステント弁と全く同様に設計される。ファブリックに含まれる低モジュラスのポリマーは、好ましくは弁リーフレットを作成したものと同様のポリマーであり、弁リーフレットのディッピング又はモールディングプロセスの間にファブリックに取り込まれる。
ガスプラズマへの曝露あるいは他の方法による処理によって、フレームの表面エネルギーを64mN/m(ミリニュー−トン/メートル)に上昇させる。その後、フレームを、ポリウレタン溶液(好ましくは、Aortech Biomaterials Pty(オーストラリア、シドニー)によって製造されるElast−Eon(商標))中に浸漬して、約0.1mmの厚さのコーティングを塗布する。塗布されたコーティングを有するフレームをオーブン内で一晩乾燥させた後、それをディッピングフォーマー上に配置して、先のスカラップと位置合わせする。次いで、フレームと3次元ディッピングフォーマーとの組合せをポリウレタン溶液中に浸漬し、フレーム及びモールド上に溶液のコーティングを形成する。このコーティングは、モールド表面全体に亘ってゆっくりと流れ、滑らかなコーティングを保証する。フレーム及びディッピングモールド上の新たなコーティングは、初期フレームコーティングを溶媒を媒介として、リーフレットとフレームの間の良好な結合を保証する。ポリウレタンが被覆されたディッピングモールドは、全ての溶媒が除去されるまでオーブンで乾燥される。1回又は複数回の浸漬により、平均厚さが40μm〜500μmのリーフレットを得ることができる。フォーマーの形状と、ポリウレタン溶液の粘性及び溶媒相互作用特性とが、リーフレットの厚さ、及びリーフレットの厚さの分布を制御する。ディッピングプロセスにおいては、リーフレット厚さ、及びリーフレットにわたる厚さのばらつきは精密に制御できない。特に、ディッピングフォーマー上での凸形表面は、凹形の表面と比較してリーフレットの厚さの低減をもたらす。さらに、フレーム近傍のリーフレット領域は、さらなるポリマー溶液を捕捉する非常に小さな凹形半径を有するため、これらの領域は厚くなる。
フォーマーの形状は、実質的には合成波によって画定される。フォーマーの丸めと研磨はどちらも、形状の多少のばらつきをもたらす可能性がある。リーフレットの内面の形状は、フォーマーの形状を忠実に再現する。リーフレットの外面の形状は、内面の形状と同様であるが、ポリマー溶液の処理特性や、弁を生成するために使用されるディッピングプロセスの詳細な条件によってばらつくであろう。リーフレットは、100MPa未満、好ましくは5〜50MPaの範囲のヤング率を有するポリウレタンから形成することができる。
次に、弁がディッピングモールドから取り外される。フォーマーのテーパによって撓められていたステントポストが、ここで元の姿勢を回復する。ステントポストの移動により、リーフレットの形状がわずかに変化する。
この段階では、ディッピングモールド及びフレームは、排出領域30と呼ばれるモールドの領域上へのポリマーの排出により、過剰なポリウレタンでカバーされている。開いたリーフレットの周りで回転する鋭利なブレードを使用して、あるいはレーザ切断技法を使用して、リーフレット自由縁部から余分な材料をトリミングすることができる。
他の弁製造方法は射出成形である。モールドは、モールド内に弁フレームを挿入できるようにするキャビティを有して構成される。キャビティはまた、前記の如く画定したリーフレット幾何形状をリーフレット内面として有するように設計される。所望の厚さ分布がリーフレットに関して画定され、モールドの外側リーフレット面は、通常はリーフレット内面にリーフレット厚さを追加することによって構成される。リーフレットは、全体に亘って、40〜500ミクロン、好ましくは50〜200ミクロン、より好ましくは80〜150ミクロンの範囲の均一な厚さにすることができる。リーフレットは、フレームへの取付部に向けて厚くなっていてもよい。別法として、血流軸に垂直な平面とリーフレットとの交線によって画定される断面に沿って、リーフレットの厚さを、リーフレットの第1の半分の平均厚さがリーフレットの第2の半分の平均厚さと異なるように、第1の断面端部(即ちリーフレットの第1の縁部)から第2の断面端部(即ちリーフレットの第2の縁部)へ徐々に、実質的に連続に変えることができる。このモールドが従来の射出成形機械内に挿入され、フレームがモールド内に挿入され、機械が溶融ポリマーをキャビティ内に注入して、リーフレットを形成し、それらをフレームに結合する。ポリマーは冷却時に凝固し、完成した弁を取り外すことができるようにモールドが開かれる。
リーフレットは、リーフレット形成中にポリマーが合成される反応成形プロセス(RIM)を使用して形成することもできる。モールドは上述したように構成される。モールドを反応射出成形機械内に挿入し、フレームをモールド内に挿入し、反応混合物は機械によってキャビティ内に注入される。キャビティ内での反応によってポリマーが生成され、リーフレットを形成する。各リーフレットはフレームに結合される。反応が完了したらモールドを開いて完成した弁を取り出す。
更なるオプションは、はじめに浸漬された弁を圧縮成形するものである。この手法は、リーフレット厚さ又は厚さ分布を、はじめに製造されたものから調節可能とする。リーフレットの厚さを変えることによって、弁開放及び閉鎖の力学特性を変更することができる。例えば、血流軸に垂直な平面とリーフレットとの交線によって画定される断面に沿ったリーフレットの厚さを、リーフレットの第1の半分の平均厚さがリーフレットの第2の半分の平均厚さと異なるように、第1の断面端部(即ちリーフレットの第1の縁部)から第2の断面端部(即ちリーフレットの第2の縁部)へ徐々に、実質的に連続的に変化するように変えることができる。これにより、リーフレットの薄いほうの半分がまず開いて、リーフレットの自由縁部に沿った帆状開放運動を生み出す。
従来の射出成形、反応射出成形、又は圧縮成形で達成されるリーフレット形状は、前述の合成波によって実質的に画定されるが、詳細にはディップモールディングに関して特定される多くの同じ理由によって形状は異なる。
本発明の弁は、中立位置又はそこに近い位置で製造され、それにより、この位置では曲げ応力から実質的に開放されている。その結果、リーフレットがその閉じた位置に移動されるとき、リーフレット中心自由縁部及び交連部での全曲げエネルギーは、米国特許第5,376,113号に従って製作される弁に比べて低減される。
本発明の弁を、心臓内部において必要とされる任意の位置で使用して、血流を一方向に制御する、又は任意のタイプの心臓補助デバイス内部での流れを制御することができる。
以下の実施例1及び2は、表1に記載した定数を用いて説明したのと同じスカラップ幾何形状を使用する。本明細書で説明する実施例は1つの弁サイズに関係しているが、同じ方法を使用して、広い範囲のサイズで弁を製造することができる。これは、式で使用される定数を変更することによって、Xclosed(Z)などバウンド曲線を倍率変更して、通常の様式で計算し反復することによって、あるいはリーフレット寸法を変更することによって実施することができる。
実施例1
前のセクションで記述したパラメータに、表2に記載する値を割り当て、対称形弁を製造するために使用する。この弁の弁交連部における隣接リーフレット自由縁部がなす角は約50°である。
図12に、表1及び表2に掲載した値を使用して製造される対称形弁を示す。
実施例2
前のセクションで説明したパラメータに、表3に記載する値を割り当て、非対称形弁を製造するために使用する。この弁の弁交連部における隣接リーフレット自由縁部がなす角は約48°である。
図13に、表1及び表3で掲載した値を使用して製造される弁を示す。
2.心臓弁補綴具の第二実施態様
以下、本発明の第二実施態様の弁を設計する他の特定の方法を説明するが、本明細書で開示する弁の構造的特徴を有する弁を設計するために、他の異なる設計方法を利用することもできよう。この特定の方法には5つの計算ステップが含まれる。
(1)スカラップ幾何形状を画定する(スカラップ5は、リーフレット2とフレーム1の交線である)。
(2)輪郭長関数L(z)を定め、この関数を用いて閉じた位置Cでの弁リーフレットを画定し、弁における応力分布を最適化する。応力分布の確認は有限要素分析(FEA)によって行うことができる。このように、輪郭長関数L(z)とFEAとによって得られた応力分布を用いて最適なL(z)を確認する。
(4)部分的に開いた位置Pでのリーフレットを再構築する。
(5)部分的に開いた位置、又は成形位置Pで計算されたリーフレット領域分布を、輪郭長を用いて、閉じた位置Cで画定されたリーフレットに合致させる。これにより、高い閉鎖圧力がリーフレットに加えられるときに、リーフレットが最終的に、閉じた位置Cで画定された形状に相当する形づくられることが保証される。
この手法により、位置Cでのリーフレットの閉じた形状を耐久性に関して最適にすることができ、成形された、部分的に開いた位置Pで形づくられたリーフレットを血行力学に関して最適にすることができる。これは、良好な血行力学的特性を有するより堅いリーフレット材料を弁のために使用することができるようにする。図2に示すようにXYZ座標系を画定する。Z軸は、弁を通って流れる血液の流れ方向である。
リーフレットはフレームに取り付けられ、フレームの形状は、前述したリーフレット形状と、本質的に円筒形、円錐形、又は球形である3次元幾何形状との交線から得られる。
リーフレットはフレームに取り付けられ、フレームの形状は、前述したリーフレット形状と、本質的に円筒形、円錐形、又は球形である3次元幾何形状との交線から得られる。スカラップ形状は、半径R(ここでRは弁の内径である)の円筒を傾斜角を付けて平面で切断することによって画定される。この切断平面の角度は、所望のリーフレットの高さ及び交連部でのリーフレットの所望の間隔によって規定される。
閉じた位置Cでの閉じたリーフレット幾何形状は、特に弁の交連部生じる傾向があるリーフレットの応力集中を最小限に抑えるように選択される。この形状に関する規格は次のことを含む。
(1)大きく開くリーフレットオリフィスを可能にするのに足る材料を含むこと、
(2)材料の余剰(自由縁部3での余剰材料)、及び自由縁部3の中心での捩れを最小限に抑えるように上記材料を配置構成すること、及び
(3)自由縁部3が低応力下にあるように、即ちフレーム及びリーフレット腹部が背圧を支えるようにするよう、上記材料を配置構成すること。
閉じたリーフレット幾何形状は、スカラップの一方の側の取り付け点からそのスカラップの反対側の合致する取り付け点へ掃引する輪郭S(X,Y)を用いて形成される。ここにおいて、nは輪郭線における無限数であり、このうちの2個を図4Bに示す。輪郭S(X,Y)の幾何形状は、単純な円弧又は円弧と接線との集合体をとり得る。それぞれの輪郭長はL(z)で画定される。従って、この幾何形状は輪郭長関数L(z)を用いて画定でき、変更できる。
スカラップ形状及び輪郭S(X,Y)を用いて、閉じた位置Cにおける閉じたリーフレットの主たる境界と形成する。このプロセスは、表面を表すのに用いる輪郭の数を減らすことにより(5<n<200)短縮することができる。設計を繰り返し行うためには、得られるリーフレットの滑らかさにある程度の妥協を許すとしても、輪郭の数を最低(即ち、n=5)にすることによってリーフレット形状の変更しやすさを改善することができる。関数L(z)を応力分布のために最適化する際、リーフレットを画定する輪郭の数を増加させて(100<n<200)、得られるリーフレットの滑らかさを改善することができる。その後、部分的に開いた位置Pで、幾何形状の画定に関数L(z)を用いる。
前述のプロセスは本質的にリーフレット形状を画定するものであるが、これを操作して耐久性を最適にすることができる。血行力学に関して最適にするためには、弁の開きの点で中間にある位置Pで同じリーフレットを成形する。これは、大きな半径の曲線をリーフレットに成形することを伴い、閉じた位置から開いた位置へリーフレットを座屈するのに必要なエネルギーを低減する働きをする。大きな半径の曲線は、種々の異なる方法で構成することができる。これらのいくつかを本明細書で概説する。
第一の実施態様に関して既に述べたように、リーフレットは、図14に示すようにディッピングフォーマーによって成形することができる。しかしながら、第二の実施態様においては、フォーマーから弁を取り出しやすくし、且つリーフレット内の製造応力を低減するためには、フォーマーにはテーパがつけられていないことが好ましい。
リーフレット形状の幾何形状は、XY平面内で本質的に好ましくは円形・正弦であり、一以上の波を備え、フレーム上に基準点を有する円形・三角法構成(又はその他の数学的関数)と画定することができる。従って、弁リーフレットは、少なくとも2個の数学的関数を組み合わせて合成波を生成し、これらの波を使用して、前述のスカラップと共にリーフレット表面を囲むことによって画定される。
そのような幾何形状を実現する1例は、基本円弧又は円形波とこれに重畳された第2のより高い周波数の正弦波とからなる合成曲線である。得られた合成波に、第1及び第2の波とは異なる周波数を有する第3の波を重畳することもできる。これは、弁が完全に開いたときに、交連部領域における隣接リーフレット間のより広い角度を保証し、それによりこの領域の良好な洗い出しを保証する。
合成曲線、及びこれを用いて得られるリーフレットは、血流方向に平行で且つ2個のステント先端間に引かれた線を二分する平面、例えばリーフレット2aに関しては図2の線3−3に沿った断面に関して、対称であっても非対称であってもよい。対称形の基本曲線を非対称形の重畳曲線と組み合わせることによって、又はその逆で組み合せることによって非対称にすることができる。また、リーフレットに亘って振幅を変化させることによっても非対称にすることができる。
以下、対称形基本関数と非対称形重畳関数との使用を説明するが、非対称形基本関数の使用も当業者には明らかであろう。基本関数は、XY平面で画定され、弁のベースから所与の高さでリーフレット取付け点をスカラップに接続する。図15に示されるこの基本関数は、三角関数、楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、あるいは他の滑らかな解析関数であってよく、又は数値表であってもよい。
重畳波は、XY平面内で画定され、弁のベースの上方の所与の高さでリーフレットの取付け点をスカラップに接続する。重畳波は、基本波よりも高い周波数を有し、三角関数、楕円関数、双曲線関数、放物線関数、円関数、あるいは他の滑らかな解析関数であってよく、又は数値表であってもよい。考えうる非対称形リーフレット設計の1例は、次式を用いて生成される重畳波と円弧を用いて生成される基本波とを組み合わせて得られるものである。
図15に示すように、円弧は、弦長2Y(n,0)と振幅Aとにより定義される。Aはリーフレットに亘って可変であり、リーフレットに亘って振幅の変化をもたらす。例えば、一交連部において対向する交連部より低振幅とすることできる。Bは可変であり、波長を調整する。図16に重畳波を示す。合成波は、基本関数(図15)と重畳波(図16)とを組合せて図17に示すように形成される。合成波W(X,Yは、基本関数の表面から重畳波を差し引いて創出する(図17)。正のγはx軸に対して基本関数に垂直方向として定義される。Yが正の場合、合成曲線は正のγの方向に相殺し、Yが負の場合、合成曲線は負のγの方向に相殺する(正の点Y及び負の点Yの相殺の方向を図17に矢印で表す)。
位置Pでのリーフレットの概略形状は合成波を使用して決定されるが、この段階では、任意の特定の位置に指定されていない。Pの位置を指定するために、正弦波の振幅Bに対する円弧の振幅Aの比を用いて、部分的に開いたリーフレット位置の形状を画定することができる。
この比が大きい場合、実質的に閉じた又はその逆のリーフレットとなる。本実施例においては、この比を10(リーフレットの底部)から4(リーフレットの自由縁部)に変化させる。この結果、リーフレットの底部においてよりもリーフレットの自由縁部がより効果的に開いたリーフレットとなる。このようにして、位置Pでのリーフレットの「開放性」の度合を、リーフレット全体を通して変えることができる。
従って、合成波は、リーフレットの成形「座屈」を生成するように画定され、振幅比を使用して位置Pでのリーフレットの幾何形状を画定する。この段階では、位置Cでの閉じたリーフレット形状と関係しない場合がある。両方のリーフレット位置の領域分布を合致させる(従って、異なる位置で本質的に同じリーフレットを生成する)ために、位置Cでの関連するリーフレット輪郭の長さと合成波の長さとのマッチングを反復する。従って、個々の波の振幅及び周波数を、(a)長さ関数L(Z)の関連値と等しい長さの最終的な波を生成し、それにより、背圧が加えられたときに求められる閉じた形状を近似すること、及び(b)効率の良いオリフィス洗い出し、及び迅速なリーフレット開放を可能にすること、の間でバランスを取るように変えることができる。
このプロセスによって、弁リーフレット用のモールドを構成する際に使用すべきAU及びBSの値が特定される。AU及びBS等の定数が分かっている限り、成形位置でのリーフレットの表面を従来の様式で視覚化し、囲み、機械加工することができる。この適合プロセスの結果、合成波は、同じ基本形態を保持するが、詳細にはリーフレットの上部からリーフレットの下部に向かって変化する。合成波は、リーフレット表面と、Z軸に垂直な平面との交線としてリーフレット表面で画定することができる。
従って、要約すると、本発明の第二実施態様に係るリーフレットの設計する1例として次の方法が考えられる。
(1)スカラップ形状を画定する。
(2)輪郭長関数L(z)を使用して、閉じたリーフレットの形状を表す形状を画定する。
(3)円弧及び正弦波を使用して、部分的に開いている幾何形状であって、通常の弁機能の2個の極限状態、即ちリーフレット開放とリーフレット閉鎖との間のリーフレット位置に関連する幾何形状を生成する。
(5)円弧及び正弦波の振幅を変えて長さ関数L(Z)に適合させる。及び、
(6)円弧及び正弦波のそれぞれの振幅を、自由縁部からリーフレット底部へ変えることができる。例えば、リーフレットの「開放性」の度合を、リーフレット全体を通して変えることができる。
以下、本発明の第二実施態様をいかに実施できるかについて、実施例3として記載する。表5のスカラップ定数を用いる際、対称形リーフレット弁の例を生成するのに必要な定数を、表6に示す。これらの定数は、リーフレット幾何形状を画定するために前述の式に関連して使用される。
前述の式を使用して記述される一リーフレットに関し、残りの2個のリーフレットは、Z軸に関して120°に亘って、次いで240°に亘って幾何形状を回転することにより生成される。これらのリーフレット形状は、ディッピングモールド(あるいはディッピングフォーマーと呼ばれる)の成形として挿入され、この形状がリーフレット形成面の大部分を形成する。次いで3次元ディッピングモールドを形成する。従って、前述の式で記述した合成波は、リーフレット内面を生成するフォーマーの表面を実質的に画定する。排出領域30はフォマー上にも創出されて、ポリマー溶液の流出をスムーズにする。排出領域30は、弁リーフレットから約10mm離れ、且つ流れ方向に平行にリーフレット自由縁部を押し出し成形して画定される。ディッピングモールドのリーフレット形成表面24からディッピングモールドの排出表面30への移行部分は、リーフレットの不連続を避けるために、1mmより大きい、好ましくは2mmより大きい半径の丸みを付ける。
第二実施態様の弁の製造の詳細は、弁をディッピングモールドから取り出すまでは、第一実施態様の弁に関して記載してきた製造と同様である。第二実施態様の弁の製造に用いられるフォーマーにはテーパ加工されていないので、弁をディッピングモールドから取り出すまでは、ステントポストはフォーマーによって曲げられることはなく、動かず、リーフレットを変形することもない。この段階では、ディッピングモールド及びフレームは、排出領域30と呼ばれるモールドの領域上へのポリマーの排出により、過剰なポリウレタンでカバーされている。フレームコーティングの完全性を維持するために、リーフレットはステント先端上部で、0.025〜5mm、好ましくは0.5mm〜1.5mmのステント先端からの距離でトリミングする。従って、リーフレットの表面の一部は、合成波W(X,Yを用いて実質的に画定される排出領域30上に形成される。開いたリーフレットの周りで回転する鋭利なブレードを使用して、あるいはレーザ切断技法や同様の技法を使用して、リーフレット自由縁部から余分な材料をトリミングすることができる。
第二実施態様の弁を、心臓内部において要求される任意の位置で使用して、血流を一方向に制御したり、任意のタイプの心臓補助デバイス内部での流れを制御したりすることができる。
以下の実施例3は、表5に記載した定数を用いて説明したのと同じスカラップ幾何形状を使用する。本明細書で説明する実施例3は1つの弁サイズに関係しているが、同じ方法を使用して、広い範囲のサイズで弁を製造することができる。これは、式で使用される定数を変更することによって、通常の様式で計算し反復することによって、あるいはリーフレット寸法を変更することによって実施することができる。
実施例3
前のセクションで記述したパラメータに、表6に記載する値を割り当て、第二実施態様の非対称形弁を製造するために使用する。この弁の弁交連部における隣接リーフレット自由縁部がなす角は約30°である。
図18に、表5及び表6に掲載した値を使用して製造される非対称形弁を示す。
対称形リーフレット(実線)と非対称形リーフレット(破線)の形状を比較する線図である。 中立位置又は部分的に開いた位置での弁補綴具の斜視図である。 図2の線3−3に沿った断面図と同様の断面図であるが、但しリーフレットが閉じた位置にあるときの図であり、かつ閉じたリーフレット腹部の形状XClosed(Z)を画定するために使用される関数を例示する図である。 図4Aは、図2に示される弁リーフレットの正面図である。図4Bは、図4Aと同様の図であり、図3に示されるのと同じ閉じた弁リーフレットの部分概略図であり、S(X,Y)n及びS(X,Y)n-1が、関数XClosed(Z)とスカラップ幾何形状との間にリーフレットを囲い込む輪郭であることを示す図である。 第一態様に従って製作された弁について、成形リーフレットの部分的に開いた位置Pで弁リーフレットを画定する際に使用される基本関数のプロットである。 成形リーフレット位置Pで第一態様の弁リーフレットの形状を画定する際に使用される対称形重畳関数のプロットである。 第一態様に従って製作された弁について、基本関数(図5)と対称形重畳関数(図6)とを組み合わせることにより得られる成形リーフレット位置Pの構成で使用される合成関数のプロットである。 第一態様に従って製作された弁について、成形リーフレット位置Pの構成で使用される非対称形重畳関数のプロットである。 第一態様に従って製作された弁について、基本関数(図5)と非対称形関数(図8)とを組み合わせることにより得られる合成関数のプロットである。 図2の線3−3に沿った中立位置での弁リーフレットの断面図であり、成形リーフレットの腹部の形状Xopen(Z)を画定するために使用される関数を示す図である。 図11Aは、弁の前面図である。図11Bは、図11Aの弁リーフレットの部分概略図であり、P(X,Y)n及びP(X,Y)n-1が、関数Xopen(Z)とスカラップ幾何形状との間にリーフレットを囲い込む輪郭であることを示す図である。 対称形リーフレットを有する第一態様の弁の斜視図である。 非対称形リーフレットを有する第一態様の弁の斜視図である。 本発明の弁の製造に使用される型の側面図である。 第二態様に従って製作された弁について、成形リーフレットの部分的に開いた位置Pで弁リーフレットを画定する際に使用される基本関数のプロットである。 第二態様に従って製作された弁について、成形リーフレット位置Pで第二態様の弁リーフレットの形状を画定する際に使用される非対称形重畳関数のプロットである。 第二態様に従って製作された弁について、基本関数(図15)と非対称形重畳関数(図16)とを組み合わせることにより得られる成形リーフレット位置Pの構成で使用される合成関数のプロットである。 非対称形リーフレットを有する第二態様の弁の斜視図である。

Claims (11)

  1. 弁補綴具を通る血流に平行な血流軸を画定する円筒形のフレームと、フレームに取り付けられた少なくとも2個の可撓性リーフレットとを含む心臓弁補綴具を製造する方法であって、
    少なくとも2個のスカラップ縁部を前記フレームに形成すること、ここで各々のスカラップ縁部の形状は前記フレームと血流軸に関して傾斜する平面との交線によって画定される;
    前記フレームを処理して、その表面エネルギーを約64mN/mより高くさせること;
    少なくとも2個のリーフレット形成面を有する成形要素を提供すること、ここで前記成形要素のリーフレット形成面の形状は合成波によって画定される
    成形要素をフレームに係合すること;及び
    フレーム及び係合された成形要素の上にコーティングを塗布することを含み、前記コーティングがフレームに結合し、リーフレット形成面上のコーティングが少なくとも2個の可撓性リーフレットを中立位置に形成し、前記少なくとも2個のリーフレットは、開いた位置から閉じた位置に可動であるように構成され、前記少なくとも2個のリーフレットは、血液入口側及び血液出口側を有し、前記少なくとも2個のリーフレットは、流体圧力が出口側に加えられるときには閉じた位置にあり、流体圧力が入口側に加えられるときには開いた位置にあり、流体圧力がリーフレットに加えられていないときには開いた位置と閉じた位置の中間の中立位置にあり、各リーフレットが、フレームのそれぞれのスカラップ縁部に接合された固定縁部と、2個のポストの前記先端間に亘って延在する自由縁部とを有し、前記少なくとも2個のリーフレットは、第1のリーフレットが中立位置にあるときに、第1のリーフレットと、血流軸に垂直な少なくとも1つの平面との交線が第1の合成波を形成するような表面輪郭を有する第1のリーフレットを含み、第1の合成波が、少なくとも第2の重畳波と組み合わせられた第1の波によって画定され、第1の波が第1の周波数を有し、第2の波が第2の周波数を有し、第1の周波数が第2の周波数と異なり、第1の波が円弧を含み;更に、
    成形要素をフレームから取り外すことを含む心臓弁補綴具の製造方法。
  2. コーティング段階で形成される第1の合成波は、第1の波を、第1の波に重畳される第2及び第3の波と組み合わせることによって画定され、第3の波は、第1の周波数と異なる第3の周波数を有する、請求項1に記載の方法。
  3. コーティング段階で形成される第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称である、請求項1に記載の方法。
  4. コーティング段階で形成される第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して非対称である、請求項1に記載の方法。
  5. コーティング段階で形成される第1の合成波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称である、請求項1に記載の方法。
  6. コーティング段階で形成される第1の合成波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して非対称である、請求項1に記載の方法。
  7. コーティング段階で形成される少なくとも2個のリーフレットが第2及び第3のリーフレットを含み、第2及び第3のリーフレットと血流軸に垂直な平面との交線がそれぞれ第2及び第3の合成波を形成し、第2及び第3の合成波が第1の合成波と同じである、請求項1に記載の方法。
  8. コーティング段階で形成される第2の波が、次の関数即ち三角関数、楕円関数、双曲線関数、滑らかな解析関数、の関数式及び数値表の1つによって画定される、請求項1に記載の方法。
  9. コーティング段階で形成される第1及び第2の波は、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して対称である、請求項5に記載の方法。
  10. コーティング段階で形成される第1及び第2の波の少なくとも1つは、次の平面、即ち血流軸に平行で且つこの軸を通る平面であると共に第1のリーフレットを二分する平面、に関して非対称である、請求項6に記載の方法。
  11. コーティング段階で形成される少なくとも2個のリーフレットは、これらが中立位置にあるときに曲げ応力から自由であるように構成される、請求項1に記載の方法。
JP2003503129A 2001-06-13 2002-06-07 心臓弁補綴具の製造方法 Expired - Lifetime JP4319906B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB0114345.2A GB0114345D0 (en) 2001-06-13 2001-06-13 Heart valve prosthesis and method of manufacture
PCT/GB2002/002409 WO2002100301A1 (en) 2001-06-13 2002-06-07 Heat valve prosthesis and method of manufacture

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005512611A JP2005512611A (ja) 2005-05-12
JP4319906B2 true JP4319906B2 (ja) 2009-08-26

Family

ID=9916452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003503129A Expired - Lifetime JP4319906B2 (ja) 2001-06-13 2002-06-07 心臓弁補綴具の製造方法

Country Status (10)

Country Link
EP (1) EP1395205B1 (ja)
JP (1) JP4319906B2 (ja)
AT (1) ATE401045T1 (ja)
AU (1) AU2002319386B2 (ja)
CA (1) CA2450600C (ja)
DE (1) DE60227664D1 (ja)
ES (1) ES2310598T3 (ja)
GB (1) GB0114345D0 (ja)
NZ (1) NZ530145A (ja)
WO (1) WO2002100301A1 (ja)

Families Citing this family (62)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10010074B4 (de) 2000-02-28 2005-04-14 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Vorrichtung zur Befestigung und Verankerung von Herzklappenprothesen
FR2828263B1 (fr) 2001-08-03 2007-05-11 Philipp Bonhoeffer Dispositif d'implantation d'un implant et procede d'implantation du dispositif
DE602004015261D1 (de) 2003-03-20 2008-09-04 Aortech Internat Plc Bellshill Ventil
DE102005003632A1 (de) 2005-01-20 2006-08-17 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Katheter für die transvaskuläre Implantation von Herzklappenprothesen
DE102005051849B4 (de) 2005-10-28 2010-01-21 JenaValve Technology Inc., Wilmington Vorrichtung zur Implantation und Befestigung von Herzklappenprothesen
US20070213813A1 (en) 2005-12-22 2007-09-13 Symetis Sa Stent-valves for valve replacement and associated methods and systems for surgery
US8219229B2 (en) 2006-03-02 2012-07-10 Edwards Lifesciences Corporation Virtual heart valve
US9138315B2 (en) 2007-04-13 2015-09-22 Jenavalve Technology Gmbh Medical device for treating a heart valve insufficiency or stenosis
US7896915B2 (en) 2007-04-13 2011-03-01 Jenavalve Technology, Inc. Medical device for treating a heart valve insufficiency
EP2659861B1 (en) 2007-05-15 2019-03-13 JenaValve Technology, Inc. Handle for manipulating a catheter tip, catheter system and medical insertion system for inserting a self-expandable heart valve stent
US8465540B2 (en) 2008-02-26 2013-06-18 Jenavalve Technology, Inc. Stent for the positioning and anchoring of a valvular prosthesis
US9168130B2 (en) 2008-02-26 2015-10-27 Jenavalve Technology Gmbh Stent for the positioning and anchoring of a valvular prosthesis in an implantation site in the heart of a patient
US9044318B2 (en) 2008-02-26 2015-06-02 Jenavalve Technology Gmbh Stent for the positioning and anchoring of a valvular prosthesis
US8317858B2 (en) 2008-02-26 2012-11-27 Jenavalve Technology, Inc. Stent for the positioning and anchoring of a valvular prosthesis in an implantation site in the heart of a patient
BR112012021347A2 (pt) 2008-02-26 2019-09-24 Jenavalve Tecnology Inc stent para posicionamento e ancoragem de uma prótese valvular em um local de implantação no coração de um paciente
US8579964B2 (en) 2010-05-05 2013-11-12 Neovasc Inc. Transcatheter mitral valve prosthesis
US10856978B2 (en) 2010-05-20 2020-12-08 Jenavalve Technology, Inc. Catheter system
US11278406B2 (en) 2010-05-20 2022-03-22 Jenavalve Technology, Inc. Catheter system for introducing an expandable heart valve stent into the body of a patient, insertion system with a catheter system and medical device for treatment of a heart valve defect
CA2799459A1 (en) 2010-05-25 2011-12-01 Jenavalve Technology Inc. Prosthetic heart valve and transcatheter delivered endoprosthesis comprising a prosthetic heart valve and a stent
GB2488530A (en) * 2011-02-18 2012-09-05 David J Wheatley Heart valve
US9554897B2 (en) 2011-04-28 2017-01-31 Neovasc Tiara Inc. Methods and apparatus for engaging a valve prosthesis with tissue
US9308087B2 (en) 2011-04-28 2016-04-12 Neovasc Tiara Inc. Sequentially deployed transcatheter mitral valve prosthesis
WO2013055977A1 (en) 2011-10-13 2013-04-18 The Research Foundation Of State University Of New York Polymeric heart valve
CN104159543B (zh) 2011-10-21 2016-10-12 耶拿阀门科技公司 用于将可扩张心脏瓣膜支架引入患者体内的导管系统
WO2013171007A1 (en) 2012-05-16 2013-11-21 Jenavalve Technology Gmbh Catheter delivery system for introducing an expandable heart valve prosthesis and medical device for the treatment of a heart valve defect
US9345573B2 (en) 2012-05-30 2016-05-24 Neovasc Tiara Inc. Methods and apparatus for loading a prosthesis onto a delivery system
US9283072B2 (en) 2012-07-25 2016-03-15 W. L. Gore & Associates, Inc. Everting transcatheter valve and methods
US9101469B2 (en) 2012-12-19 2015-08-11 W. L. Gore & Associates, Inc. Prosthetic heart valve with leaflet shelving
US9737398B2 (en) 2012-12-19 2017-08-22 W. L. Gore & Associates, Inc. Prosthetic valves, frames and leaflets and methods thereof
US9144492B2 (en) 2012-12-19 2015-09-29 W. L. Gore & Associates, Inc. Truncated leaflet for prosthetic heart valves, preformed valve
US10039638B2 (en) 2012-12-19 2018-08-07 W. L. Gore & Associates, Inc. Geometric prosthetic heart valves
US10966820B2 (en) 2012-12-19 2021-04-06 W. L. Gore & Associates, Inc. Geometric control of bending character in prosthetic heart valve leaflets
US9968443B2 (en) 2012-12-19 2018-05-15 W. L. Gore & Associates, Inc. Vertical coaptation zone in a planar portion of prosthetic heart valve leaflet
US9572665B2 (en) 2013-04-04 2017-02-21 Neovasc Tiara Inc. Methods and apparatus for delivering a prosthetic valve to a beating heart
CN105491978A (zh) 2013-08-30 2016-04-13 耶拿阀门科技股份有限公司 用于假体瓣膜的径向可折叠框架及其制造方法
US9504565B2 (en) * 2013-12-06 2016-11-29 W. L. Gore & Associates, Inc. Asymmetric opening and closing prosthetic valve leaflet
WO2015171743A2 (en) 2014-05-07 2015-11-12 Baylor College Of Medicine Artificial, flexible valves and methods of fabricating and serially expanding the same
WO2016028591A1 (en) 2014-08-18 2016-02-25 W.L. Gore & Associates, Inc. Frame with integral sewing cuff for prosthetic valves
US9827094B2 (en) 2014-09-15 2017-11-28 W. L. Gore & Associates, Inc. Prosthetic heart valve with retention elements
CN107530168B (zh) 2015-05-01 2020-06-09 耶拿阀门科技股份有限公司 在心脏瓣膜替换中具有降低的起搏器比例的装置和方法
CN108882981B (zh) 2016-01-29 2021-08-10 内奥瓦斯克迪亚拉公司 用于防止流出阻塞的假体瓣膜
CN109475419B (zh) 2016-05-13 2021-11-09 耶拿阀门科技股份有限公司 用于通过引导鞘和装载系统来递送心脏瓣膜假体的心脏瓣膜假体递送系统和方法
US20180140419A1 (en) 2016-11-21 2018-05-24 Neovasc Tiara Inc. Methods and systems for rapid retraction of a transcatheter heart valve delivery system
US11197754B2 (en) 2017-01-27 2021-12-14 Jenavalve Technology, Inc. Heart valve mimicry
CA3073834A1 (en) 2017-08-25 2019-02-28 Neovasc Tiara Inc. Sequentially deployed transcatheter mitral valve prosthesis
CN111182856B (zh) 2017-09-12 2022-04-29 W.L.戈尔及同仁股份有限公司 用于假体瓣膜的瓣叶框架附连件
US11109963B2 (en) 2017-09-27 2021-09-07 W. L. Gore & Associates, Inc. Prosthetic valves with mechanically coupled leaflets
CA3178271A1 (en) 2017-09-27 2019-04-04 W.L. Gore & Associates, Inc. Prosthetic valve with expandable frame and associated systems and methods
US11090153B2 (en) 2017-10-13 2021-08-17 W. L. Gore & Associates, Inc. Telescoping prosthetic valve and delivery system
CA3178262A1 (en) 2017-10-31 2019-05-09 W. L. Gore & Associates, Inc. Transcatheter deployment systems and associated methods
CA3078608C (en) 2017-10-31 2023-03-28 W.L. Gore & Associates, Inc. Prosthetic heart valve
JP7052032B2 (ja) 2017-10-31 2022-04-11 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド 組織内方成長を促進する医療用弁及び弁膜
US11154397B2 (en) 2017-10-31 2021-10-26 W. L. Gore & Associates, Inc. Jacket for surgical heart valve
USD926322S1 (en) 2018-11-07 2021-07-27 W. L. Gore & Associates, Inc. Heart valve cover
CN113271890A (zh) 2018-11-08 2021-08-17 内奥瓦斯克迪亚拉公司 经导管二尖瓣假体的心室展开
US11497601B2 (en) 2019-03-01 2022-11-15 W. L. Gore & Associates, Inc. Telescoping prosthetic valve with retention element
JP7438236B2 (ja) 2019-04-01 2024-02-26 ニオバスク ティアラ インコーポレイテッド 制御可能に展開可能な補綴弁
AU2020271896B2 (en) 2019-04-10 2022-10-13 Neovasc Tiara Inc. Prosthetic valve with natural blood flow
CN114025813B (zh) 2019-05-20 2024-05-14 内奥瓦斯克迪亚拉公司 具有止血机构的引入器
CA3143344A1 (en) 2019-06-20 2020-12-24 Neovasc Tiara Inc. Low profile prosthetic mitral valve
CN114206267A (zh) * 2019-08-08 2022-03-18 W.L.戈尔及同仁股份有限公司 具有不对称瓣叶的假体瓣膜
CN115709153B (zh) * 2022-11-01 2024-02-20 苏州心锐医疗科技有限公司 一种耐久性人工心脏瓣膜的一体式制造方法及装置

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4222126A (en) 1978-12-14 1980-09-16 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Department Of Health, Education & Welfare Unitized three leaflet heart valve
US4265694A (en) 1978-12-14 1981-05-05 The United States Of America As Represented By The Department Of Health, Education And Welfare Method of making unitized three leaflet heart valve
US4364127A (en) * 1981-10-02 1982-12-21 Research Corporation Trileaflet type prosthetic heart valve
US4888009A (en) 1985-04-05 1989-12-19 Abiomed, Inc. Prosthetic heart valve
DE3834545A1 (de) 1988-10-11 1990-04-12 Rau Guenter Flexibles schliessorgan, insbesondere herzklappe, und verfahren zur herstellung desselben
GB9206449D0 (en) 1992-03-25 1992-05-06 Univ Leeds Artificial heart valve
US5562729A (en) * 1994-11-01 1996-10-08 Biocontrol Technology, Inc. Heart valve
CA2146070C (en) * 1995-03-15 2002-01-29 Kees Jonckers Improved reactor for the synthesis of urea
IL118149A0 (en) * 1996-05-05 1996-09-12 Rdc Rafael Dev Corp Method for producing heart valves and heart valves produced by the method
GB9701479D0 (en) 1997-01-24 1997-03-12 Aortech Europ Ltd Heart valve
GB9928905D0 (en) * 1999-12-08 2000-02-02 Aortech Europ Ltd Prosthesis

Also Published As

Publication number Publication date
DE60227664D1 (de) 2008-08-28
AU2002319386B2 (en) 2007-09-06
JP2005512611A (ja) 2005-05-12
WO2002100301A1 (en) 2002-12-19
ATE401045T1 (de) 2008-08-15
ES2310598T3 (es) 2009-01-16
EP1395205B1 (en) 2008-07-16
EP1395205A1 (en) 2004-03-10
GB0114345D0 (en) 2001-08-08
CA2450600A1 (en) 2002-12-19
CA2450600C (en) 2009-10-27
NZ530145A (en) 2005-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4319906B2 (ja) 心臓弁補綴具の製造方法
JP4335487B2 (ja) 心臓弁補綴具および製造方法
US7833565B2 (en) Heart valve prosthesis and method of manufacture
AU2002319386A1 (en) Heart Valve Prosthesis and Method of Manufacture
US20220313425A1 (en) Flow optimized polymeric heart valve
US10327891B2 (en) Intra-annular mounting frame for aortic valve repair
JP4067128B2 (ja) 心臓弁補綴物
JP2000513248A (ja) プロテーゼの僧帽・心臓弁
JP2000513249A (ja) 人工補てつ心臓弁
KR20100046169A (ko) 내벽 대동맥 밸브 강화 장치 및 강화된 생체 대동맥 밸브
WO2013160651A1 (en) Valve
AU2005203435B2 (en) Heart Valve Prosthesis and Method of Manufacture
US20220218479A1 (en) Intra-annular mounting frame for aortic valve repair

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050124

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080513

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080819

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090303

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090512

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090529

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120605

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4319906

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120605

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130605

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term