JP4316529B2 - 行動支援装置、行動支援方法および行動支援プログラム - Google Patents

行動支援装置、行動支援方法および行動支援プログラム Download PDF

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Description

本発明は、行動支援装置、行動支援方法および行動支援プログラムに関する。
対象機器が存在する、保守業務や運転業務、機器操作等におけるマニュアルの内容である情報の整理は、「エキスパートシステムの構築」として捉えられており、対象ドメインに関する知識を根拠に対象ドメインの専門家に整理が任せられている。
従来から、保守業務や運転業務、機器操作を支援するシステムとして、上述のエキスパートシステムや、ヘルプシステムがあったが、思いの外利用されておらず、せっかくの情報が有効利用されずに業務効率が改善されていない。紙ベースのマニュアルもこれら従来システムと等価な存在である。
これら従来のシステムや紙ベースのマニュアルが有効利用されていない原因は、マニュアル形態にあるのではなく、マニュアルの内容である情報の整理が、現場での人の思考に馴染まないことにあると考える。
対象ドメインに関する知識だけを根拠に整理された情報は、時間などの制約が課された現場では参照しにくい。保守業務や運転業務における非効率は、作業従事者個人の思い込みや行動パターン(固定とは限らない) に依存した判断でなされた行動選択に適合性がかけていた場合に生じると考える。
一方、正しい知識を繰り返し与えても人の誤解を解くには至らないという指摘が教育現場でなされている。さらに、人は、対象ドメインに直接依存しない論理構造にしたがって推論行動をおこなっているという指摘もある。
適切でない行動選択を人に変更させるためには、結果としての間違いを指摘するだけでは奏効せず、行動する本人の判断過程に踏み込んだ修正指示が必要である。つまり、人の行動時の心理的状況を適正に推定することが必要である。
非特許文献1には人に誤りを気付かせることを目的とした方法が提案されている。これは、心理的状況を推し量るのではなく、あらかじめ、対象に関する間違った論理を用意しておき、人に自分と同じ考えのものを選択させてそれが誤りであるということを気付かせるものである。したがってこの方法は、人の行動時の心理的状況を推定するものではない。このことは、特許文献1に記載された技術についても同様である。この技術は、自分が対象に関して保有している部分的知識を元に、対象知識のデータベースを検索することで自分の判断が正しかったか否かを確認するものである。
特開平6−301546公報 平嶋,堀口,Error Awareness: 誤りへの気付きを支援する学習環境,第43回人工知能学会人工知能基礎論研究会,SIG-FAI-A003,pp.59-64(2000)
本発明は、利用者の心理状況を考慮しつつ対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援装置、行動支援方法および行動支援プログラムを提供する。
本発明の一態様としての行動支援装置は、対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援装置であって:前記対象機器に関する情報を対象状況情報として記憶する対象状況情報記憶手段と;前記対象機器に対する利用者の行動履歴を記憶する行動履歴記憶手段と; 前記対象機器が受け付ける行動と、前記行動に対して設定される人間の特性に基づくパラメータの値とを記憶するパラメータ化行動情報記憶手段と;一連の行動と、前記一連の行動の目的とを関連づけて記憶する行動目的情報記憶手段と;対象機器に対する行動時における利用者の心理状況を推定する状態推定部であって、前記行動履歴から利用者の目的を把握する目的把握手段と、把握された目的を達成するために必要な行動の中から、適正に行われていない行動の候補を、前記目的を達成するために必要な行動に対応するパラメータの値に基づいて検出する行動候補検出手段と、前記検出された行動の候補と、前記把握された目的とに基づき、前記行動履歴の中から推定を行う対象となる行動を決定する推定範囲決定手段と、前記推定範囲決定手段によって決定された行動に対応するパラメータの値から、前記推定範囲決定手段によって決定された行動を行っている時における利用者の心理状況を推定する心理状況推定手段と、を有した状態推定部と;前記心理状況推定手段によって推定された利用者の心理状況を記憶する状態記憶部と;前記推定範囲決定手段によって決定された行動と、前記適正に行われていない行動の候補と、前記対象状況情報とに基づき、前記適正に行われていない行動の候補の中から適正に行われていない行動を推定する行動推定手段と;前記行動推定手段によって推定された適正に行われていない行動と、前記推定された心理状況とを利用者への提示のために出力する出力手段と;を備える。
本発明の一態様としての行動支援方法は、対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援方法であって:前記対象機器に対する利用者の行動履歴を取得し;前記対象機器に対する一連の行動と前記一連の行動の目的とを関連づけた行動目的情報と、前記行動履歴とから利用者の目的を把握し;前記対象機器が受け付ける行動と人間の特性に基づくパラメータの値とを関連づけたパラメータ化行動情報に基づいて、把握された前記目的を達成するために必要な行動の中から、適正に行われていない行動の候補を検出し;前記検出された行動の候補と、前記把握された目的とに基づき、前記行動履歴の中から推定を行う対象となる行動を決定し;決定された行動に対応するパラメータの値から、前記決定された行動を行っている時における利用者の心理状況を推定し;前記決定された推定を行う対象となった行動と、前記適正に行われていない行動の候補と、前記対象機器に関する情報としての対象状況情報とに基づき、前記適正に行われていない行動の候補の中から適正に行われていない行動を推定し;前記推定された適正に行われていない行動と、推定された前記心理状況とを利用者への提示のために出力することを特徴とする。
本発明の一態様としての行動支援プログラムは、対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援プログラムであって:前記対象機器に対する利用者の行動履歴を取得するステップと;前記対象機器に対する一連の行動と前記一連の行動の目的とを関連づけた行動目的情報と、前記行動履歴とから利用者の目的を把握するステップと;前記対象機器が受け付ける行動と人間の特性に基づくパラメータの値とを関連づけたパラメータ化行動情報に基づいて、把握された前記目的を達成するために必要な行動の中から、適正に行われていない行動の候補を検出するステップと;前記検出された行動の候補と、前記把握された目的とに基づき、前記行動履歴の中から推定を行う対象となる行動を決定ステップと;決定された行動に対応するパラメータの値から、前記決定された行動を行っている時における利用者の心理状況を推定するステップと;前記決定された推定を行う対象となった行動と、前記適正に行われていない行動の候補と、前記対象機器に関する情報としての対象状況情報とに基づき、前記適正に行われていない行動の候補の中から適正に行われていない行動を推定するステップと;前記推定された適正に行われていない行動と、推定された前記心理状況とを利用者への提示のために出力するステップと;をコンピュータに実行させる。
本発明により、利用者の心理状況を考慮しつつ対象機器に対する利用者の行動を支援できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係わる行動支援装置を含む操作ガイドシステムの構成を概略的に示す図である。
この操作ガイドシステムは、統合AV装置10と、リモコン20とを備える。
統合AV装置10は、モニター11、アナログTVチューナ(BSアナログ、アナログ地上波)付きVHS録画再生装置12、デジタルTVチューナ13およびデジタル録画再生装置14を有する。
リモコン20は、統合AV装置10を操作するものである。リモコン20は、利用者からの入力に基づき、統合AV装置10における対象機器に制御信号を出力し、これにより統合AV装置10を操作する。リモコン20は、利用者からの入力を受け付ける操作部21と、統合AV装置10における各機器と通信する通信部23と、本実施の形態の特徴となる行動支援装置22とを有する。
昨今、アナログ放送およびデジタル放送の視聴、アナログおよびデジタル録画および再生において操作が複雑化している。場合によっては複数の機器を連携して操作しなければならず、複雑さが増している。
本実施の形態では、以下の事例を想定する。すなわち、利用者がデジタル放送をVHSテープに録画したいと考えて、リモコン20を用いて統合AV装置10に対する操作を行ったが、後で確認してみたところ、望みの番組が録画されていなかった。この場合において、なぜ望みの番組が録画されなかったのかを、操作時(行動時)における利用者の心理状況を考慮しつつ、行動支援装置22を用いて推定する。
図2は、行動支援装置22の構成を概略的に示すブロック図である。
行動支援装置22は、対象特性記憶装置31および行動推定装置32を備える。
対象特性記憶装置31は、統合AV装置10の各機器に関する種々の情報、例えば各機器の属性情報、機器間の接続情報、各機器のマニュアル情報を、静的対象状況情報として格納している。各機器の属性情報および機器間の接続情報の一例を以下に示す。機器名情報は属性情報の一例である。

機器名情報:(登録名: 名称)
Eqp1: モニター
Eqp2: アナログTVチューナ付きVHS録画再生装置
Eqp3: デジタルTVチューナ
Eqp4: デジタル録画再生装置

接続情報:(「>」一方向接続、「<>」双方向接続)
Eqp2 > Eqp1
Eqp3 > Eqp1
Eqp3 > Eqp2
Eqp3 <> Eqp4
上記接続情報は、物理的な接続配線の情報と、通信可能な方向の情報とを含んでいる。例えば「Eqp2 > Eqp1」は、アナログTVチューナ付きVHS録画再生装置とモニターとがケーブルで接続されており、アナログTVチューナ付きVHS録画再生装置側からモニター側へ通信可能であることを意味している。
行動推定装置32は、リモコン20の操作部21から、利用者による操作履歴(利用者行動履歴)と、機器の稼働状況等の状況を表す情報(動的対象状況情報)とを逐次取得する。操作部21は、機器の状況を、利用者による操作履歴から把握してもよいし、機器との通信により把握してもよい。行動推定装置32は、これら利用者行動履歴および動的対象状況情報と、対象特性記憶装置31内の静的対象状況情報と、後述する行動目的関連情報(パラメータ化行動情報、パラメータ化目的情報、行動目的情報)とに基づき、行動時における利用者の心理状況を推定するとともに、望みの結果が得られなかった原因を推定する。
以下、本行動支援装置22についてさらに詳細に説明する。
行動推定装置32における対象状況情報記憶部41は、リモコン20の操作部21から動的対象状況情報を逐次取得して記憶する。これにより機器の現在および過去における稼働状況が把握できる。また、対象状況情報記憶部41は、対象特性記憶装置31から静的対象状況情報を取得して記憶する。動的対象状況情報の一例を以下に示す。
機器状況情報:Eqp1:ON or OFF(電源が入っているか否か)

Eqp1::ボタン1:ON or OFF(ボタンが押された状態にあるか否か)
Eqp1::ボタンN:ON or OFF
Eqp2:ON or OFF
Eqp3:ON or OFF
Eqp4:ON or OFF
パラメータ化行動・目的情報および行動目的情報記憶部(行動目的関連情報記憶部)42は、各機器が受け付け可能な1つ1つの行動(例えばボタンを押す、チャンネルを設定する)に対して、機器操作に直接関係するパラメータ(本例ではMB、EP)の値を付したものをパラメータ化行動情報として記憶する。また、行動目的関連情報記憶部42は、一連の行動と規定の目的(例えばアナログ放送視聴を行う、アナログ放送VHS録画設定を行う)とを対応付けて行動目的情報として記憶する。行動目的関連情報記憶部42は、各規定の目的に対して、利用者の状況に依存したパラメータ(本例ではEG)の値を付したものをパラメータ化目的情報として記憶する。上述のパラメータ化行動情報、行動目的情報およびパラメータ化目的情報をまとめて行動目的関連情報と称する。利用者の状況に依存したパラメータは後述のように他にも存在する(RS、BR、TM)。パラメータの内容の理解は本実施の形態を理解するために重要な事項の1つであるため、以下パラメータの内容について詳しく説明する。
コンピュータは膨大なメモリ容量を備え、多量のデータを非常に短時間に計算処理することができるが、人間は短時間で処理できるデータ数はそれほど多くない。本実施の形態は、人間の脳の情報処理特性に沿ってコンピュータに利用者行動履歴等を処理させることで、行動時における人間の心理状況を推定し、また、推定した心理状況を人間にフィードバックし、これにより人間にとってコンピュータをより利用し易くしようとするものである。このために、本実施の形態では、人間の脳の情報処理特性を表現するモデルを想定する。モデルは、種々のパラメータと、パラメータ間の相互関係とによって表現されるものとする。
具体的にパラメータは以下のもの(1)〜(6)を想定する。
(1)繰り返して取り組む度合を示すパラメータ(RS:Recursive Solution)
(2)選択候補数を示すパラメータ(BR:Brain Restriction)
(3)経験的予断(思い込み)の確度を示すパラメータ(EP:Empirical Prejudice)
(4)行動に対する経験的度合い(馴れ)を示すパラメータ(EG:Experiential Gain)
(5)ある行動について実際の行動を回避しようとする心理的障壁の度合いを示すパラメータ(MB:Mental Barrier/面倒くささ)
(6)行動および問題解決における時間的な余裕度を示すパラメータ(TM:Time Margin)
以下、各パラメータについて個別に説明する。
(1)RS(Recursive Solution)
本実施の形態は、利用者による行動中もしくは行動後において、うまく行かなかった行動について、行動過程においてどのような心理状況にあったかを推論することで、うまくいかなかった問題を解決することを目的の1つとしている。推論中も問題解決の最中であると考える。
人間は、対象の状況について完全には判明していない場合は、多くの場合、試行錯誤を行うことになる。どのように試行錯誤が行われるのかは、その人に依存することになるが、「繰り返しながら問題解決を図る」ということでは各人に共通している。
対象に対する実際の問題解決を行う場合、人間は、対象に対する行動を論理的に整理した手順にそのまま従うのではなく、まずどういう行動をとるかを考え、ひとつの行動をとる、ということを繰り返すと考える。この繰り返しのカウントを示すパラメータをRSというラベルで表し、パラメータRSの定義域(特に最大値)も定める。RSの値が大きいと利用者の苛立ちの度合いが高くなる。脳の情報処理機能の特徴として、パラメータRSは、その値によっては、他のパラメータと相互に影響を与えあうことも想定される。
(2)BR(Brain Restriction)
古くは、ミラーによる指摘で、脳の短期記憶の容量は7±2個と言及されたように、短時間における人の記憶は限られている。したがって、行動を決断する瞬間に脳にある情報(行動にかかわる)も限られていると想定できる。また、行動を決断するときは、いくつかの行動の候補があってその中から選択していると思われる。そこで、選択する際の候補の数を表すパラメータをBRというラベルで表すことにする。また、上と同様に、脳の情報処理機能の特徴として、パラメータBRは、その値によっては、他のパラメータと相互に影響を与えあうことも想定される。
(3)EP(Empirical Prejudice)
必ずしも対象に対する行動を論理的に整理した手順にそのまま従って問題解決を行うというのでないのは、人間の過去の経験や思い込みが行動の決断に深く係わっており、かつ、過去の経験や思い込みが対象そのものの情報と論理的に整合性があるわけではないからである。
そこで、過去の経験や思い込みのデータ(行動)をあらかじめ定めておき、うまくいかない状況に対して、この行動を選択する候補となり易い度合いを表すパラメータEPを導入する。また、上と同様に、脳の情報処理機能の特徴として、パラメータEPは、その値によっては、他のパラメータと相互に影響を与えあうことも想定される。
(4)EG(Experiential Gain)
問題の状況が、比較的近い過去に経験したものである場合、その問題を解決ができるか否か、および、解決ができるならばその解決策を大体分かっていると思われる。その問題が解決できないものである場合でも、その他の選択を選ぶべきだということが明確になっている。このような状況では、比較的、心理的な余裕が存在していると思われる。また、逆に、問題の状況が過去に経験が無いような場合は、その問題に対する慣れが無いということから、行動におけるミスが比較的起こり易いと考えられる。このような心理的な余裕度は、行動そのものの決断に直接影響を及ぼすものではないが、特に、脳の情報処理機能に深く影響を与えていると思われる。例えば、心理的な余裕度は、上記BRを小さくするように作用することが想定される。
そこで、各目的にあらかじめ、慣れの度合いを表すパラメータを設定することにし、このパラメータをEGというラベルで表すことにする(ここではパラメータの値としては「不慣れ度」を示すものとする。すなわち値が大きいほど慣れの度合いが低い)。複数の目的に定められる各EGの合計が大きくなると、これらの目的に対する行動に不慣れで、これらの目的を達成するための時間も多く要し、したがって、間違いも起こし易い。パラメータEGは、上記BRへの影響だけではなく、上と同様に、脳の情報処理機能の特徴として、その値によっては、他のパラメータと相互に影響を与えあうことも想定される。
(5)MB(Mental Barrier)
とるべき行動にいくつかの選択肢が存在する場合、その中からどれを選ぶかについては、論理的な判断を行うということだけではなく、行動のとっつきやすさや、行動そのものの易しさなども影響していると想定される。そこで、各行動について、手順の多さや、複雑さの度合いをあらかじめパラメータとして設定しておくことにし、そのパラメータをMBというラベルで表すものとする。MBの値の低い行動が実際には選択され易いということになる。また、上と同様に、脳の情報処理機能の特徴として、パラメータMBは、その値によっては、他のパラメータと相互に影響を与えあうことも想定される。
(6)TM(Time Margin)
行動および問題解決においては、時間が限られているのが普通である。時間的な余裕度については、繰り返して取り組む度合いを示すパラメータRSでもある程度表現できるが、行動によってかかる時間に差異が出るため、RSと、時間的余裕とは区別されるべきものと考える。そこで、時間的余裕を表すパラメータを導入し、このパラメータをTMというラベルで表すことにする。例えば、行動に費やした時間をパラメータTMの値から逐次減少させてゆくことにより、ある時点における時間的余裕度を算出できるものとする。当然のことながら、時間的余裕がなくなれば、パラメータBRが小さくなったり、パラメータMBが大きくなったりするというように、パラメータTMは他のパラメータに影響を与える。パラメータTMは、パラメータBR、MBへの影響だけではなく、上と同様に、脳の情報処理機能の特徴として、その値によっては、他のパラメータと相互に影響を与えあうことも想定される。
以上の他にも、パラメータ間の相互関係としては、例えば、以下のような関係があると想定される。
・TMが小さくなれば、BRは小さくなる。
・TMが小さくなれば、MBは大きくなる。
・RSが大きくなれば、TMは小さくなる。
・EGが大きくなれば、MBは大きくなる。
・EGが大きくなれば、BRは小さくなる。
・EPが大きくなれば、BRは小さくなる。
・EPが大きくなれば、MBは大きくなる。
・MBが大きくなれば、TMは小さくなる。
・EPが大きくなれば、EGは小さくなる。
さて、上述したように、行動目的関連情報記憶部42は、各機器が受け付け可能な1つ1つの行動(例えばボタンを押す、録画チャンネルを設定する)に対してパラメータMB、EPの値を記憶する。また、行動目的関連情報記憶部42は、一連の行動からなる規定の目的(アナログ放送視聴を行う、アナログ放送VHS録画設定を行う)に対してパラメータEG、さらに総MB(各行動のMB値の合計)を記憶する。総MBは記憶せずに必要時に計算するようにしてもよい。その他のパラメータRS、BR、TMは、後に述べる処理において使用する。以下にパラメータの設定例を示す。
(1)パラメータMB、EGの設定例(EGは値が小さいほど慣れ度が高いことに注意する)
(1)−1 ボタン操作(押す)(MB=1)
(1)−2
A:アナログ放送視聴(EG=1、MB=1+1+1=3)
1)Eqp1 電源ON(MB=1)
2)Eqp2 チャンネル設定(例 ボタンNをON)(MB=1)
3)Eqp1 チャンネル設定(アナログTVチューナ入力)(MB=1)

B:デジタル放送視聴(EG=1、MB=1+1+1=3)
1)Eqp1 電源ON(MB=1)
2)Eqp3 チャンネル設定(MB=1)
3)Eqp1 チャンネル設定(デジタルTVチューナ入力)(MB=1)

C:アナログ放送VHS録画設定(EG=2、MB=2+2+3+1+1=9)
1)Eqp2 チャンネル設定(MB=2)
2)Eqp2 録画時間設定(MB=2)
3)Eqp2 VHSテープセット(MB=3)
4)Eqp2 録画指令(ボタンを押す)(MB=1)
5)Eqp2 録画開始時刻までに電源をOFFする(MB=1)

D:デジタル放送録画設定(EG=2、MB=1+2+2+1+1=7)
1)Eqp3 電源ON(MB=1)
2)Eqp3 電子番組情報による番組選択(MB=2)
3)Eqp3 録画条件設定(例 放送時間の変更にも対応可能にする)
(MB=2)
4)Eqp3 録画指令(ボタンを押す)(MB=1)
5)Eqp3 録画開始時刻までに電源をOFFする(MB=1)
以上において、(1)−2におけるA〜Dは規定の目的であり、(1)−1およびA〜D内の各操作は1つの行動に対応する。1つの行動が複数の手順から成ってもよい。各目的における行動は、あくまで一例であり、各機器のマニュアル情報に記載された通りの行動であってもよいし、当該目的に関係のない手順が各目的に含まれてもよい。例えば、目的Cにおいて、1)の前に「Eqp2 ON」が追加されてもよい。ここで、規定の目的A〜Dの平均MBを計算すると、
MB=(3+3+9+7)÷4=5.5
となる。
また、以上において、各規定の目的と、各規定の目的に対応する操作群とのセットが行動目的情報に対応し、各操作と各操作に対応するパラメータ値(ここではMB)とのセットがパラメータ化行動情報に対応し、各規定の目的と、各規定の目的に設定されたパラメータ値とのセットがパラメータ化目的情報に対応する。
(2)パラメータEPの設定例
A:アナログ放送視聴
1)Eqp1 電源ON(EP=1)
2)Eqp2 チャンネル設定(EP=2)
3)Eqp1 チャンネル設定(アナログTVチューナ入力)(EP=3)

B:デジタル放送視聴
1)Eqp1 電源ON(EP=1)
2)Eqp3 チャンネル設定(EP=2)
3)Eqp1 チャンネル設定(デジタルTVチューナ入力)(EP=3)

C:アナログ放送VHS録画設定
1)Eqp2 チャンネル設定(EP=3)
2)Eqp2 録画時間設定(EP=3)
3)Eqp2 VHSテープセット(EP=1)
4)Eqp2 録画指令(ボタンを押す)(EP=1)
5)Eqp2 録画開始時刻までに電源をOFFする(EP=2)

D:デジタル放送録画設定
1)Eqp3 電源ON(EP=3)
2)Eqp3 電子番組情報による番組選択(EP=1)
3)Eqp3 録画条件設定(EP=2)
4)Eqp3 録画指令(ボタンを押す)(EP=1)
5)Eqp3 録画開始時刻までに電源をOFFする(EP=2)
図2に戻り、行動履歴記憶部46は、リモコン20の操作部21から利用者の行動履歴を逐次取得する。行動履歴の一例を表1に示す。この行動履歴は、利用者がデジタルTV放送をアナログTVチューナ付きVHS録画再生装置でVHSテープに録画する設定を行った際に得られたものである。
Figure 0004316529
状態推定部43は、行動履歴に示される各行動の結果、所望の結果が得られなかった原因の候補を推定し、さらに行動時における利用者の心理状況を推定する(状態推定)。状態推定部43は、推定した原因の候補および推定した心理状況等を、行動推定部45および状態記憶部44に出力する。以下、状態推定部43についてさらに詳細に説明する。
状態推定部43は、目的把握部51、行動候補検出部52、推定範囲決定部53、心理状況推定部54および更新部55を備える。
状態推定部43は、推定指令が入力されることにより、処理を開始する。推定指令は利用者から操作部21を介して状態推定部43に入力される。また、行動目的関連情報記憶部42に逐次蓄積される行動履歴を監視する監視部(図示せず)を設け、所定の推定基準を満たす行動履歴が発生したと監視部が判断した場合に(例えば同じ行動の繰り返しが複数回連続して発生した場合)、監視部が推定指令を生成し、状態推定部43に入力する。
ここでは、表1の利用者行動履歴情報に示される一連の行動の結果、希望の番組が録画されていなかった場合を想定する。具体的には、デジタル放送視聴予約やアナログ放送VHS録画時間設定等の操作は正常に行われたが、アナログTVチューナ付きVHS録画再生装置の入力チャンネルをデジタルTVチューナ側にするのを忘れていたとする。ただし利用者はこのことを知らない。利用者は希望の番組が録画されたかった原因を調べるべく、操作部21から推定指令を入力したとする。
状態推定部43は、推定指令が入力されると、対象状況情報記憶部41から静的対象状況情報および動的対象状況情報を読み出す。また、状態推定部43は、行動目的関連情報記憶部42から行動目的関連情報を読み出す。また、状態推定部43は、行動履歴記憶部46から利用者行動履歴情報を読み出す。ここでは、利用者行動履歴情報として表1に示すものが入力されたとする。推定対象とする行動履歴の範囲は、例えば推定指令に含まれる。ここでは、表1に示す利用者行動履歴情報の全範囲を対象とする。
図3は、状態推定部43による状態推定を説明するフローチャートである。
まず、例えば、パラメータRS=1とする(STEP1)。すなわち最初の推定では利用者は苛立っていないものと想定する。パラメータRS=1は初期値として状態記憶部44にあらかじめ格納されている。次に、利用者行動履歴情報内の各行動に対してパラメータ、例えばMB、EP、TMの値を設定する。表1の各行動に対してこれらのパラメータ値を設定した例を表2に示す。但し、表1において、総MBは、MBの累積値である。パラメータMB、EPの値は、行動目的関連情報におけるパラメータ化行動情報に基づいている。順番1におけるTMの値(=20)は、状態記憶部44にあらかじめ格納された初期値に基づいている。順番2以降のパラメータTMの値は行動毎に1ずつ減算した。表1の各行動にパラメータを設定する処理は、状態記憶部44が利用者行動履歴情報を行動履歴記憶部46から読み出す際に、行動履歴記憶部46において行ってもよい。この他、利用者行動履歴が行動履歴記憶部46に蓄積されるたびにパラメータの設定を行ってもよい。
Figure 0004316529
次に、状態推定部43における目的把握部51は、利用者行動履歴情報と行動目的関連情報とに基づいて、利用者の目的(問題候補)を推定する(STEP2)。例えば、行動目的関連情報における行動目的情報に含まれる各規定の目的(例えばA〜D)内の行動と利用者行動履歴情報とを対比することで利用者の目的を推定する。この他、行動目的関連情報を用いずに利用者行動履歴情報から利用者の目的を検出するアルゴリズムを別途用意しておきこのアルゴリズムに従って利用者の目的を推定しても良い。ここでは、利用者の目的として、デジタル放送視聴とアナログ放送VHS録画とが推定されたとする。
次に、状態推定部43における行動候補検出部52は、推定した目的(問題候補)の全体に対する習熟度(総EG)を設定する(STEP3)。行動目的関連情報におけるパラメータ化目的情報に基づき、デジタル放送視聴のEGは1、アナログ放送VHS録画のEGは2である。よって、総EG=1+2=3である。なお、前述したように、EGが小さいほど、習熟度が高いことに注意する。総EG=3であるから、利用者にとって、問題候補の全体(デジタル放送視聴およびアナログ放送VHS録画)は、単純なアナログ放送VHS録画(EG=2)よりも不慣れな操作であるといえる。
次いで、行動候補検出部52は、推定された問題候補の数を制限し、各問題候補について優先順位付けを行う(STEP4−1)。
制限数は選択候補数を示すパラメータBRの値によって規定する。ここでは例えばBR=2とする。この値は初期値としてあらかじめ状態記憶部44に格納されている。上述のSTEP3で推定された問題候補の数は2つであるから、ここではSTEP3で検出された全ての問題候補を選択する。仮にSTEP3で検出された問題候補の数が3以上である場合は、例えば、心理的障壁(MB)の値が大きい問題候補を2つ選択するなどにより、問題候補を2つ以下に制限する。
選択された問題候補の優先順位付けは、例えば各問題候補の総MBに基づき行う。推定された2つの問題候補、すなわちデジタル放送視聴およびアナログ放送VHS録画の総MBは、行動目的関連情報から、それぞれ3および9である。つまり、アナログ放送VHS録画の総MB>デジタル放送視聴の総MBであり、よって、ここではアナログ放送VHS録画の優先順位を高くする。
次いで、行動候補検出部52は、優先順位付けされた問題候補の各々において、経験的予断(EP)に基づき、誤操作の可能性が高い行動(個別原因)を列挙する(STEP4−2)。各問題候補からそれぞれ列挙する個数は、上記BRの値の範囲内であるとする。
まず、アナログ放送VHS録画について個別原因を列挙すると以下の通りである。アナログ放送VHS録画に含まれる行動は、前述した通り、行動目的関連情報におけるパラメータ化行動情報により、
1)Eqp2 チャンネル設定(EP=3)
2)Eqp2 録画時間設定(EP=3)
3)Eqp2 VHSテープセット(EP=1)
4)Eqp2 録画指令(ボタンを押す)(EP=1)
5)Eqp2 録画開始時刻までには電源OFFする(EP=2)
である。これらの行動の中から、例えばEPの値が大きいものを、2つ(=BR)の範囲内で選択すると、
1)Eqp2 チャンネル設定(EP=3)
2)Eqp2 録画時間設定(EP=3)
となり、これらを個別原因として列挙する。
次に、デジタル放送視聴について個別原因を列挙すると以下の通りである。デジタル放送視聴に含まれる行動は、前述した通り、
1)Eqp1 電源ON(EP=1)
2)Eqp3 チャンネル設定(EP=2)
3)Eqp1 チャンネル設定(デジタルTVチューナ入力)(EP=3)
である。これらの行動の中から、例えばEPの値が大きいものを、2つの範囲内で選択する。ただし、ここではEPが1以下のものは対象外とする。また、3)のEqp1(モニター)のチャネル設定はここでは無関係であるため外すとする。すると、
2)Eqp3 チャンネル設定(EP=2)
が選択され、これを個別原因として列挙する。
以上のように列挙された各個別原因に対応して、以下の順序で、誤操作があったと考えられる。以下の順序は、各問題候補の総MB値、各行動のEP値によっている。
(1)アナログ放送VHS録画ミス(録画チャンネルがデジタルTVチューナからの入力になっていない)
(2)アナログ放送VHS録画ミス(録画時間を間違えた)
(3)デジタル放送視聴ミス(番組の指定を間違えた)
次に、列挙された各個別原因(1)〜(3)と、利用者行動履歴情報と、上記推定した目的とに基づき、行動時における利用者による心理状況を推定する(STEP4−3)。より詳細には以下の通りである。
まず、状態推定部43における推定範囲決定部53は、個別原因(1)(2)に対応する行動を利用者行動履歴情報から検出する。この結果、行動7、8が検出される。仮に個別原因に直接対応する行動が行動履歴に存在しない場合は、当該個別原因を含む目的に対応する行動を利用者行動履歴情報から検出する。例えば仮に利用者行動履歴情報において個別原因(2)に対応する行動8が存在しなかった場合は、アナログTVチューナ付きVHS録画再生装置(Eqp2)に対する行動のうちアナログVHS録画に係わる行動を利用者行動履歴情報から検出する、または行動目的関連情報における行動目的情報に基づき、アナログ放送VHS録画設定に含まれる各行動に対応する行動を検出する。この結果、例えば、行動6、7、9〜11が検出される。ただし、行動6が誤りであることはないため除外してもよい。
一方個別原因(3)に対応する行動を利用者行動履歴情報から検出すると、行動5となる。
次に、状態推定部43における心理状況推定手段54は、以上のように検出された行動5、7、8のパラメータ値およびその他のパラメータ値に基づき、これらの行動5、7、8時における利用者の心理状況を推定する。より詳細には以下の通りである。
行動5における総MB=5は、先に計算した平均MB(=5.5)とほぼ同じであり、行動7の総MB(=8)および行動8の総MB(=10)は、平均MBを越えている。これらの事実および他のパラメータの値とから、利用者による心理状況は例えば以下のように推定される。パラメータ値や行動履歴等から心理状況を推定するアルゴリズムはあらかじめ別途用意しておく。
I)不慣れな操作において(総EG=3>2)
II)平均的な面倒くささ(MB=5.5)よりも長く手順が続いたところで
III)アナログ放送VHS録画において面倒な(MBが大)似たような操作が2つ続き(行動7、8)
IV)よく起こり得る(EPが大)ミスが生じた
V)(TMが大きいため(行動8の時点でTM=12))時間的にはまだ余裕があるといえる
図2において、状態推定部43は、推定された心理状況I)〜V)と、STEP4−1で選択した問題候補および各問題候補から列挙された個別原因とを、行動推定部45および状態記憶部44に出力する(STEP4−4)。また、状態推定部43は、STEP1〜STEP4−3で扱った各パラメータ(行動履歴に設定された各パラメータの値も含む)の値を、状態記憶部44に出力する(STEP4−4)。
行動推定部45は、対象状況情報記憶部41から動的対象状況情報を取得し、取得した動的対象状況情報と、状態推定部43から受け取った問題候補および個別原因とから、利用者が希望の結果を得ることができなかった原因を推定する。より詳細には以下の通りである。
まず、対象状況情報記憶部41から取得した動的対象状況情報から、以下の2つの事実が判明したとする。
A)デジタルTVチューナにおいてデジタル放送がある時間帯視聴されていた
B)アナログTVチューナ付きVHS録画再生装置においてアナログ放送がデジタル放送と同時間帯に録画されていた
A)およびB)の事実と、状態推定部43からの入力とから、「アナログ録画の時間帯については間違っていない」という事実が推定される。
以上の結果、行動推定部45は、アナログ放送VHS録画においてチャンネル設定が間違っていたと推定し、「アナログ放送VHS録画においてチャンネル設定が間違っていた」という行動推定結果を生成する。ここでは、アナログ放送VHS録画の方がデジタル放送視聴よりも層MBの値が大きいため、デジタル放送視聴ミス(番組指定が間違っていた)よりもアナログ放送VHS録画ミスの方の可能性が高いとしている。
行動推定部45は、生成した行動推定結果を、上記推定した利用者の心理状況とともに、利用者に提示する。提示の手法は、例えばリモコン20に表示部を設けこの表示部にデータを出力しても良いし、パーソナルコンピュータ(図示せず)とリモコン20とを接続してパーソナルコンピュータにデータを転送し、パーソナルコンピュータの表示部で表示しても良い。すなわち行動推定部45は、利用者への提示のための出力手段を含む。
この後、行動推定装置32は、処理を続ける場合は(STEP5のNO)、更新部55を用いて、状態記憶部44内のパラメータを必要に応じて更新して(STEP6、STEP1)、再度、状態推定を行う。すなわち繰り返しの推定では更新後のパラメータ値を用いる。そして、行動推定装置32は、推定結果を利用者に提示する。行動推定装置32は、以上を繰り返す。すなわち、行動推定装置32は、推定を繰り返しながら、誤操作をすばやく特定し、早急な問題解決を図る。繰り返しの推定では、推定作業の中で用いる条件を適宜変えてもよい。例えば、前述した推定作業では、問題候補の選択をMBが大きいものから2つ選択するとしたが、2番目に大きいものから2つを選択するとしてもよいし、MBが小さいものから2つを選択するとしてもよい。ここでパラメータの更新の例について以下に簡単に説明する。
(1)EGの更新:行動履歴の蓄積に応じて所定の条件により習熟度を高く(EGを小さく)する。例えば、表2よりも時間的に前に蓄積された行動履歴が存在し、この時間的に前の行動履歴に、表2の行動履歴と共通する規定の目的が存在する場合は、その共通する目的のEGを小さくする。
(2)TMの更新:繰り返しの推定をする中で、時間的な余裕(TM)を小さくする。例えば、2度目の推定では、利用者が心理的に焦って行動していたと想定して、TMの開始値を、前回よりも小さくしたり、また、TMの減少幅を1ずつではなく2ずつとしたりする。
(3)BRの更新:時間的余裕が小さくなるにつれて、選択候補数(BR)を小さくする。例えば、TMの開始値が小さい場合は、これに応じてBRを小さくする。
(4)MBの更新:時間的余裕が小さくなるにつれて、心理的障壁(MB)を高くする。例えばTMの開始値が小さくした場合はMBを大きくする。また、習熟度を低くした(EGを大きくした)場合は、MBを大きくし、逆に、習熟度を高くした(EGを小した)場合は、MBを小さくする。
(5)EPの更新:利用者に提示した内容が正しくなかった場合は(後述)、提示された行動に対する経験的予断(EP)を小さくし、逆に正しかった場合はEPを大きくする。
(6)RSの更新:例えば行動履歴で同じパターンの行動が繰り返されている場合はRSを大きくする。
以上の更新例はあくまで一例であり、例えばパラメータ間の相互関係には、以上の他にも、前述したように、種々の形態が存在し得る。
また、以上の更新例では、パラメータ間の相互関係を定性的に示したが、パラメータの更新は、実際には、例えば単純な一次関数または指数関数などの関数(関係式)に基づいて行ったり、また、If〜Then〜などの関数(関係式)に基づいて行ったりする。
図4は、図1の行動支援装置22に対して情報確認装置34を設けた例を示す図である。情報確認装置34は行動支援装置22の内部に設けられても良い。情報確認装置34は応答受取手段に対応する。
情報確認装置34は、行動推定部45による提示内容(行動推定結果および心理状況)に納得したか否かの入力を利用者から受け付ける。すなわち、情報確認装置34は、「アナログ放送VHS録画におけるチャンネルの設定」が実際に間違っていたのかどうかを利用者に確認させ、確認の結果を確認信号として受け取る。
情報確認装置34は、提示内容が適切である旨を示す確認信号を受け取った場合は、行動支援装置22に推定停止信号を出力しても良い。推定停止信号を受け取った行動支援装置22は状態推定を停止する(図3のSTEP5のYES)。
一方、情報確認装置34は、提示内容が適切でない旨を受け取った場合は、推定継続信号を行動支援装置22に出力する。推定継続信号を受け取った行動支援装置22は状態推定を継続する(STEP5のNO)。この場合において、例えばパラメータ更新(STEP6)において、提示内容に対応する行動のEPを小さくした場合などは、次回は、「デジタル放送視聴」の操作に間違いがあったことが検出され得る。
図5は、図1の行動支援装置の内部に推奨行動策定装置33を設けた例を示す図である。
推奨行動策定装置33は、行動推定部45によって推定された「間違った行動」と、対象特性記憶装置31内のマニュアル情報(静的対象状況情報)とに基づいて、利用者に確認することを奨める行動を示した情報を生成する。
例えば推定された「間違った行動」が、前述した「アナログ録画におけるチャンネル設定」である場合、この「アナログ録画におけるチャンネル設定」と、マニュアル情報とを突き合わせて、「アナログ録画のチャンネル設定を再確認」の情報を生成する。仮にチャネル設定が複数の手順からなる場合は、各手順をマニュアル情報から取得し、取得した各手順を含む情報を生成する。
以上に説明した図2、図4および図5に示す各構成要素はハードウェア的に実現してもよいし、通常のプログラミング技法により生成したプログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。または、これらの手法の両方を組み合わせて実現してもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、適切でない行動を推論するとともに、その適切でない行動に対しその行動を行った際の利用者の心理状況を推論するようにしたため、適切でない行動または正しい選択行動とともに、判断誤りの理由を利用者に提示することで、説得性の高い支援を利用者に提供することができる。よって、本発明は、保守業務や運転業務、機器操作、この他種々の教育現場に用いて、極めて有用である。
本発明の実施の形態に係わる操作ガイドシステムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に従った行動支援装置の構成を示すブロック図である。 行動支援装置における状態推定部による処理を説明するフローチャートである。 図2の行動支援装置に対して情報確認装置を設けた構成を示す図である。 図2の行動支援装置の内部に推奨行動策定装置を設けた構成を示す図である。
符号の説明
22、35 行動支援装置
31 対象特性記憶装置
32 行動推定装置
33 推奨行動策定装置
34 情報確認装置
41 対象状況情報記憶部
42 行動関連情報記憶部
43 状態推定部
44 状態記憶部
45 行動推定部
46 行動履歴記憶部
51 目的把握部
52 行動候補検出部
53 推定範囲決定部
54 心理状況推定部
55 更新部

Claims (11)

  1. 対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援装置であって:
    前記対象機器に関する情報を対象状況情報として記憶する対象状況情報記憶手段と;
    前記対象機器に対する利用者の行動履歴を記憶する行動履歴記憶手段と;
    前記対象機器が受け付ける行動と、前記行動に対して設定される人間の特性に基づくパラメータの値とを記憶するパラメータ化行動情報記憶手段と;
    一連の行動と、前記一連の行動の目的とを関連づけて記憶する行動目的情報記憶手段と;
    対象機器に対する行動時における利用者の心理状況を推定する状態推定部であって、
    前記行動履歴から利用者の目的を把握する目的把握手段と、
    把握された目的を達成するために必要な行動の中から、適正に行われていない行動の候補を、前記目的を達成するために必要な行動に対応するパラメータの値に基づいて検出する行動候補検出手段と、
    前記検出された行動の候補と、前記把握された目的とに基づき、前記行動履歴の中から推定を行う対象となる行動を決定する推定範囲決定手段と、
    前記推定範囲決定手段によって決定された行動に対応するパラメータの値から、前記推定範囲決定手段によって決定された行動を行っている時における利用者の心理状況を推定する心理状況推定手段と、
    を有した状態推定部と;
    前記心理状況推定手段によって推定された利用者の心理状況を記憶する状態記憶部と;
    前記推定範囲決定手段によって決定された行動と、前記適正に行われていない行動の候補と、前記対象状況情報とに基づき、前記適正に行われていない行動の候補の中から適正に行われていない行動を推定する行動推定手段と;
    前記行動推定手段によって推定された適正に行われていない行動と、前記推定された心理状況とを利用者への提示のために出力する出力手段と;
    を備えた行動支援装置。
  2. 前記状態記憶部は、さらに前記行動履歴内の各行動に対応するパラメータの値を記憶し、
    前記状態推定部は、前記状態記憶部内のパラメータの値を更新する更新手段をさらに備え、
    前記状態推定部における前記心理状況推定手段は、前記推定範囲決定手段によって決定された行動に対するパラメータの値として、更新後のパラメータの値を用いることを特徴とする請求項1に記載の行動支援装置。
  3. 前記状態推定部における前記更新手段は、前記パラメータ間を関連づけた関係式を用いて更新を行うことを特徴とする請求項2に記載の行動支援装置。
  4. 前記パラメータは、心理的障壁の度合いを示すパラメータ、経験的予断の確度を示すパラメータ、繰り返して取り組む度合を示すパラメータ、選択候補数を示すパラメータ、時間的な余裕度を示すパラメータ、および経験的度合いを示すパラメータの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の行動支援装置。
  5. 前記状態推定部における前記行動候補検出手段は、前記選択候補数を示すパラメータの値に対応して、対象とする目的の数、および検出する候補の数を制限することを特徴とする請求項4に記載の行動支援装置。
  6. 前記状態推定部における前記行動候補検出手段は、前記経験的度合いを示すパラメータの値に基づいて、前記対象とする目的を特定することを特徴とする請求項5に記載の行動支援装置。
  7. 前記状態推定部における行動候補検出手段は、前記心理的障壁の度合いを示すパラメータの値または前記経験的予断の確度を示すパラメータの値またはこれらの両方を用いて、前記検出する候補を決定することを特徴とする請求項5または6に記載の行動支援装置。
  8. 前記推定された適正に行われていない行動および前記推定された心理状況に対する利用者からの応答を受け取る応答受取手段をさらに備え、
    前記状態推定部における前記行動候補検出手段、前記行動推定手段またはこれらの両方は、前記応答の内容を加味して、検出または推定を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の行動支援装置。
  9. 前記対象状況情報と、前記推定された適正に行われていない行動とに基づいて、利用者に対し確認することを奨める行動を策定する推奨行動策定手段をさらに備え、
    前記出力手段は、前記適正に行われていない行動を出力する代わりに、または前記適正に行われていない行動とともに、前記確認することを奨める行動を出力することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の行動支援装置。
  10. 対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援方法であって:
    前記対象機器に対する利用者の行動履歴を取得し;
    前記対象機器に対する一連の行動と前記一連の行動の目的とを関連づけた行動目的情報と、前記行動履歴とから利用者の目的を把握し;
    前記対象機器が受け付ける行動と人間の特性に基づくパラメータの値とを関連づけたパラメータ化行動情報に基づいて、把握された前記目的を達成するために必要な行動の中から、適正に行われていない行動の候補を検出し;
    前記検出された行動の候補と、前記把握された目的とに基づき、前記行動履歴の中から推定を行う対象となる行動を決定し;
    決定された行動に対応するパラメータの値から、前記決定された行動を行っている時における利用者の心理状況を推定し;
    前記決定された推定を行う対象となった行動と、前記適正に行われていない行動の候補と、前記対象機器に関する情報としての対象状況情報とに基づき、前記適正に行われていない行動の候補の中から適正に行われていない行動を推定し;
    前記推定された適正に行われていない行動と、推定された前記心理状況とを利用者への提示のために出力する;
    行動支援方法。
  11. 対象機器に対する利用者の行動を支援する行動支援プログラムであって:
    前記対象機器に対する利用者の行動履歴を取得するステップと;
    前記対象機器に対する一連の行動と前記一連の行動の目的とを関連づけた行動目的情報と、前記行動履歴とから利用者の目的を把握するステップと;
    前記対象機器が受け付ける行動と人間の特性に基づくパラメータの値とを関連づけたパラメータ化行動情報に基づいて、把握された前記目的を達成するために必要な行動の中から、適正に行われていない行動の候補を検出するステップと;
    前記検出された行動の候補と、前記把握された目的とに基づき、前記行動履歴の中から推定を行う対象となる行動を決定ステップと;
    決定された行動に対応するパラメータの値から、前記決定された行動を行っている時における利用者の心理状況を推定するステップと;
    前記決定された推定を行う対象となった行動と、前記適正に行われていない行動の候補と、前記対象機器に関する情報としての対象状況情報とに基づき、前記適正に行われていない行動の候補の中から適正に行われていない行動を推定するステップと;
    前記推定された適正に行われていない行動と、推定された前記心理状況とを利用者への提示のために出力するステップと;
    をコンピュータに実行させるための行動支援プログラム。
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