JP4311891B2 - 透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物およびその製造方法 - Google Patents
透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物およびその製造方法 Download PDFInfo
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【発明が属する技術分野】
本発明は、合成樹脂の押出一体成形によって形成され、例えば、内装用化粧材および家具等の木口面の保護および装飾使用される長尺樹脂成形物に関するものであり、低コストで意匠性に優れ、且つ表面に付着した汚れを容易にふき取ることのできる透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂による押出成形品において、多数配列された連続あるいは非連続なダイ穴から押出した板状樹脂あるいはストランド状の樹脂を完全に硬化する前に、密着および形状規正させて形成した図17、18に記載のウエーブ状表面を有する樹脂成形物80、80’は、比較的低コストで立体感に優れ、デザイン性が高いため、内装用の化粧材としてよく用いられる。しかしながら、ウエーブ状表面の凹条81、81’のスキマに塵やほこり・汚れどが堆積しやすく、また、これらが付着した場合、容易にふき取ることができなかった。
【0003】
したがって、ウエーブ状の外観を損なわず、上記問題を回避する方策として、ウエーブ状の成形物を形成後、透明樹脂を塗料や各種フィルム材によってコーティングする方法、あるいは、ウエーブ状の成形物を形成する際に、透明樹脂との共押出成形によって平滑な表面を積層させ、立体的な外観を保持させる方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成形物を透明樹脂で二次的にコーティング加工する場合、最終製品へと誘導する製造工程にコーティング工程を新たに組み込む必要が生じ、コストや手間がかかるといった問題があった。
【0005】
また、透明樹脂との共押出成形によって平滑な表面層を積層する場合は、多層成形用の金型および材料供給ラインがそれぞれの樹脂で必要となり、製造ラインおよび製造工程が複雑化し、コストがかさむという問題があった。
【0006】
さらに、透明樹脂のコーティングおよび共押出成形はいずれも、透明樹脂と成形物との接触面積が表面に限定されていることから、両者の相溶性が低い場合、成形条件によってあるいは長期の使用過程において前記透明樹脂と成形物との間で層間剥離を生じたり、劣化、破損したりという不具合が生じやすいという欠点があった。
【0007】
なお、発泡性樹脂による押出成形品において、多数の小孔を有する口金から押出した多数の細条を完全に硬化する前に、摺曲しながら密着させ、一体化させた集合体の製造方法として、特公昭58−9745および特許第2502420号が挙げられるが、上記手法は、いずれも細条に押出後、摺曲させることによる樹脂同士の密着に加え、樹脂の発泡による膨張によって、適度な空隙を有する一体成形物を形成するために考案された発明であり、ウエーブ状表面を有する板状成形物を形成するための技術およびウエーブ状表面に透明な平滑面を形成するための技術とは別の趣旨のものである。
【0008】
また、同じく発泡性樹脂による押出成形品において、多数の小孔を有する口金から多色の樹脂を多数の細条として押出し、これを完全に硬化する前に、プレス加工し、柾目模様を形成させながら一体化させる技術があるが、上記手法においても、単に柾目模様を有する成形品を形成するために考案された発明であり、ウエーブ状表面を有する板状成形物を形成するための技術およびウエーブ状表面に透明な平滑面を形成するための技術とは別の趣旨のものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、透明平滑表層および畝目状コア層を有する疑似立体性樹脂成形物を形成する製造方法に関するものであって、透明樹脂と該透明樹脂と相溶性の低い高輝度顔料とを混練し、非連続性の孔が一列に配列した多孔プレートおよび該多孔プレートにて形成した複数のストランド状成形体が互いの隣接部で密着する孔断面を有する出口プレートを配設した押出機によって押出成形し、引き続いて冷却槽中のサイジングゲートを通過させる際、該サイジングゲートに設けられた通気孔を介して真空ポンプで吸引し、成形体を該サイジングゲート壁面と密着させることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、透明樹脂と該透明樹脂と相溶性の低い高輝度顔料とを混合し、ホッパから押出スクリュー内へと誘導すると、両樹脂は混練され、まずは押出機に配設された非連続性の孔が一列に配列した多孔プレートを通過することによって複数のストランド状の成形物が一列に形成されることとなる。このとき、元来相溶性の低い透明樹脂および高輝度顔料の混合物である溶融樹脂が、多孔プレートを通過する際、それぞれ孔中央部と孔壁面付近とで生じる圧力および温度の急激な差によって、溶融樹脂中における透明樹脂と高輝度顔料の分布頻度が均等にはならず、高濃度の高輝度顔料を含む樹脂区分が比較的低温かつ流速の大きい中央部に凝集しながら流動する一方、高輝度顔料が希薄な樹脂区分は高温で流速の小さい壁面で流動する傾向にあると考えられ、その結果、各種ストランド状成形物に、それぞれ不明瞭ではあるが、表層とコア層とを形成させることが可能となる。
【0012】
さらに、出口プレートに配設した孔断面は、該多孔プレートから押出された複数のストランド状成形体が互いの隣接部で密着するような形状に設定しているため、各ストランド状成形体が該出口プレートを通過することによって、ウエーブ表面を有する一体成形物として押出されることとなる。
【0013】
また、押出成形に引き続いて、冷却槽中に配設したサイジングゲートを通過させる際、該サイジングゲートに設けられた通気孔を介して真空ポンプで吸引することによって、成形体の表層が急激に冷却しながら固化し、非結晶性の透明な平滑面が形成される。一方、内部のコア層には高輝度顔料が高濃度に存在するとともに表層と比較してゆっくり冷却されるため、結晶性の高い非透明な畝目模様が保持される。その結果、透明平滑表層および畝目状コア層を有する疑似立体性樹脂成形物を形成することが可能となる。
【0014】
また,多孔プレートに配設した孔の配列形態は必ずしも一つの直線に限定されず,任意に設定可能であり,例えば,閉じた円あるいは矩形状などのような,円弧,曲線,直線のうち少なくとも一つの要素で形成されるあらゆる形状に配列させることが可能である。
【0015】
なお、該擬似立体性樹脂成形物における透明平滑表層および畝目状コア層とを明確に形成させるために、透明樹脂と高輝度顔料は押出機内で十分混練され、高輝度顔料を溶融樹脂中に分散させる必要がある。したがって、混練能力が低い押出機およびスクリューにて成形する場合においては、予め透明樹脂に高輝度顔料を分散させたペレット、あるいは前記ペレットに透明樹脂のみのペレットを混合して使用しても良い。
【0016】
また、該擬似立体性樹脂成形物における透明平滑表層および畝目状コア層とをより明確に形成させるために、透明樹脂に混合する高輝度顔料は、前記透明樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部とし、さらに美しい擬似立体性外観を実現するには前記透明樹脂100重量部に対して1重量部程度にすることが好ましい。
【0017】
この場合、押出機内で混練する際、溶融した透明樹脂に高輝度顔料が適度に分散状態が保持されるため、樹脂の流動を良好に保つことが可能となり、且つ形成した表層とコア層に存在する高輝度顔料の濃度差が外観上、透明性の違いによって明確に認識することが可能となる。
【0018】
しかし、上記透明樹脂100重量部に対する高輝度顔料の混合量が0.5重量部未満である場合には、得られた成形物の表層とコア層に存在する高輝度顔料の存在比が小さいため、擬似立体性外観を示さなくなる。
【0019】
一方、上記透明樹脂100重量部に対して、高輝度顔料の混合量が10重量部以上である場合は、押出機内で両成分を混合する際、極度の相分離が生ずる結果として、樹脂の流動性が低下する。また、得られた成形物のコア層だけでなく表層にも高濃度の高輝度顔料が存在することとなり、表層の透明性が失われる結果として、擬似立体性外観を示さなくなる。さらに、流動不良によって成形された成形物は物理的特性が低いため、長期間の使用によって亀裂や強度低下を引き起こす。
【0020】
また、本願発明の請求項2に記載の発明は、上記請求項1記載の透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物を形成する製造方法において、該高輝度顔料に、光輝度性を有するメタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、集光顔料のうち少なくともいずれか一つ以上を含有させることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、コア層を構成する顔料がメタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、集光顔料であるため、前記顔料に含まれるアルミニウム、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、クロム、モリブデン、チタンなどの金属および酸化金属粒子、マイカ、オパール、タルクなど無機系微細粒子等と、透明樹脂との相溶性が低く、さらに両成分の押出機内での流動挙動が大きく異なるため、得られた成形物の透明表面層と内部のコア層との境界がより明確に現れ、外観上優れた効果を発現する。また、前記顔料は、いずれも高い輝度を有しているため、畝目状コア層の陰影が引き立ち、立体性外観をより一層増大させることになる。
【0022】
また、本願発明の請求項3に記載の発明は、上記請求項1記載の擬似立体性外観を有する押出成形物を形成する製造方法において、該多孔プレートに配設した非連続性の孔の直径が、それぞれ0.3〜10mmであることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、該多孔プレートに配設した非連続性の孔の直径を、それぞれ0.3〜10mmにすることによって、元来相溶性の低い透明樹脂および高輝度顔料の混合物である溶融樹脂が通過する際、孔中央部と孔壁面付近との間に十分な圧力差が生じることとなり、ストランド状成形物それぞれに微視的な表層およびコア層とを形成することが可能となり、その結果、成形物の擬似立体外観を向上させることが可能である。
【0024】
しかし、該多孔プレートに配設した非連続性の孔の直径を0.3mm未満に設定した場合、顔料の粒子およびその凝集体による流動不良が生じ、成形が困難になる。また、得られる成形物が極めて薄くなるため、擬似立体性の視覚的効果が失われる。
【0025】
また、逆に該多孔プレートに配設した非連続性の孔の直径を10mm以上に設定した場合、透明樹脂および高輝度顔料の混合物である溶融樹脂が通過する孔中央部と孔壁面付近との間の圧力差が不十分となり、高輝度顔料の分布勾配度が低下するため、ストランド状成形物に微視的な表層およびコア層が形成されなくなる。その結果として、得られた成形物においても、明確な透明表層および畝目状コア層が認められなくなる。
【0026】
また、本願の請求項4に記載の発明は、透明樹脂と、該透明樹脂と相溶性の低い高輝度顔料とでなり、非連続性の孔が一列に配列した多孔プレートおよび該多孔プレートから押出された複数のストランド状成形体が互いの隣接部で密着する孔断面を有する出口プレートを配設した押出機によって押出成形し、引き続いて冷却槽中のサイジングゲートを通過させる際、該サイジングゲートに設けられた通気孔を介して真空ポンプで吸引し、成形体を該サイジングゲート壁面と密着させることにより一体成形された、透明平滑表層および畝目状コア層を有する疑似立体性樹脂成形物を形成することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、本願請求項1から3の製造方法で形成される結果として、透明で平滑な表層を有しながら、前記透明表層を透して内部の畝目状コア層を見ることが可能な透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物が簡便がつ低コストで得られることになり、この擬似立体性樹脂成形物は立体感に富み、意匠性に優れるとともに、表面が平滑であるため、塵や汚れが付着した場合においても、容易にふき取り除去することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の擬似立体性樹脂成形物の実施の形態について説明する。
【0029】
図1、2に本願発明にかかる擬似立体性樹脂成形物の第1の実施の形態を示す。擬似立体性樹脂成形物1は、押出成形によって形成される長さ約200mの長尺部材を所定寸法で切断したもので、幅は約24mm、厚みは約3mmである。
【0030】
また、透明な表面層2と、内部に形成された複数の畝目状コア層3から構成され、前記畝目状コア層それぞれの幅は、約2.4mmである。
【0031】
また、上記表面層2が透明であるため、内部の畝目状コア層3の畝目模様を見ることができ、一見、擬似立体性樹脂成形物1が立体的なウエーブ状表面を有しているように感じる。しかし、実際は透明な表面層2が平滑である。
【0032】
また、図3、4に示すような、本願発明の第2、第3の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物1’および1’’について説明する。図3に示す擬似立体性樹脂成形物1’は、畝目状コア層3’の幅が中心に向かって徐々に広くなっていること以外は第1の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物1と同様に形成されている。また、図4に示す擬似立体性樹脂成形物1’’は、異なる幅を有する二つの畝目状コア層3’’が交互に配列していること以外は第1の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物1と同様に形成されている。また、押出機に配設する多孔プレートの非連続性の孔径を自在に制御することによって、前記実施の形態に限定されず、様様な畝目模様を構成することが可能である。
【0033】
なお、本願発明の擬似立体性樹脂成形物1、1’および1’’は実施の形態で記載した寸法に限られるものではなく、幅は約10mm〜約1000mm程度、厚みは約1mm〜約7mm程度まで適応させることが可能である。
【0034】
また,図5に示すような、本願発明の第4の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物1’’’について説明すると、押出機に配設する多孔プレートの非連続性の孔を円周に沿って配列させることによって形成され、長さ約3mの長尺部材を所定寸法で切断したもので、外径は約15mm、厚みは約3mmの管を形成している。
【0035】
また、透明な表面層2’’’と、内部に形成された複数の畝目状コア層3’’’から構成され、前記畝目状コア層3’’’において、それぞれの幅が約2.0mmである。
【0036】
また、透明な上記表面層2’’’を透して、内部の畝目状コア層3’’’の畝目模様を見ることができ、一見、擬似立体性樹脂成形物1’’’が立体的なウエーブ状表面を有しているように感じる。しかし、実際は透明な表面層2’’’は平滑である。
【0037】
また,図6に示すような、本願発明の第5の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物1’’’’について説明すると、押出機に配設する多孔プレートの非連続性の孔を対応する断面形状に沿って配列させることによって形成され、長さ約3mの長尺部材を所定寸法で切断したもので、肉厚は約4mmである。
【0038】
また、透明な表面層2’’’’と、内部に形成された複数の畝目状コア層3’’’’から構成され、前記畝目状コア層3’’’’において、それぞれの幅が約2.4mmである。
【0039】
また、透明な上記表面層2’’’’を透して、内部の畝目状コア層3’’’’の畝目模様を見ることができ、一見、擬似立体性樹脂成形物1’’’’が立体的なウエーブ状表面を有しているように感じる。しかし、実際は透明な表面層2’’’’は平滑である。
【0040】
以下、本発明に係る図1に示す擬似立体性樹脂成形物1の製造方法の第1の実施の形態について説明する。
【0041】
まず、図7に示す模式図にて本発明に使用した成形設備について説明する。
【0042】
65mm押出機52(池貝株式会社社製)において、ホッパ51より供給された樹脂は、多段階温度制御装置を有するシリンダ54内で単軸フルフライトスクリュー(L/D25)53にて混練されながら、押出口へと誘導され、多孔プレート55、続いて出口プレート56を通過し、押出される。さらに、水冷式の冷却漕中57に配設したサイジングゲート58を通過させる際、上面および底面から成形体を吸引することによって、平滑面を形成させ、擬似立体性樹脂成形物1を成形する。
【0043】
また、図8に多孔プレート55の断面図を示す。多孔プレート55に配設した孔はそれぞれ直径2.4mmであり、1.75mmの間隔で10個直列している。
【0044】
また、図9は出口プレート56の断面図を示している。出口プレート56に配設した孔の形状は、押出機より吐出した直後の樹脂の不均一な膨張を考慮して、中央部よりも両端部の方が若干厚く、中央部を4mmおよび両端部を5mmとし、幅は35mmの略矩形状である。
【0045】
また、サイジングゲート58の断面図を図10に示す。サイジングゲート58は上下対称な二つの部材より形成され、ゲート高さは3mmである。また、サイジングゲート58の上下面にはそれぞれ5対の通気孔が等間隔に3列敷設され、すべて真空ポンプで吸引することができる。
【0046】
次に、本発明に使用した原料について説明する。
【0047】
透明樹脂としてはPET樹脂(イーストマンケミカル社製:プロビスタ)、高輝度顔料として該PET樹脂にマイカを主原料とするメタリックシルバー顔料を混合させたマスターバッチ(オーケー化成株式会社製:MB/EKM−57305−6)を用いた。なお、成形物の失透および発泡を防ぐため、使用する樹脂はいずれも除湿型乾燥機にて約60℃で5時間以上乾燥させてから用いた。
【0048】
前記PET樹脂を100重量部および前記PET樹脂にメタリックシルバー顔料を混合させたマスターバッチ10重量部を力学的に均一に混合させ、ホッパー51に投入した。シリンダ54の制御温度はホッパー側から押出口へ、195℃?210℃?215℃とし、単軸フルフライトスクリュー53にてそれぞれの原料を混練、溶融させた。
【0049】
さらに、溶融樹脂を190〜200℃に設定した多孔プレート55および出口プレート56を連続的に通過させ、表面に若干のウエーブ状の凹凸を保持しつつ、各ストランド状成形物が隣接部で密着した一体成形物を押出成形した。この段階では、まだ明確な透明表層およびコア層の識別は困難であり、一様に不透明な様相を呈している。
【0050】
さらに、前記一体成形物が完全に固化する前に、水冷式の冷却漕中57に配設した、ゲート高さ約3mmのサイジングゲート58を通過させ、上面および底面から成形体を吸引した。これにより、成形体表面をサイジングゲート58の上下壁面に密着させ、表層を急激に冷却しながら、透明且つ平滑な表面を形成させた。一方、高輝度顔料が高濃度に存在する内部のコア層は、表層と比較してゆっくり冷却されるが、先に固化した表層に保護され、且つサイジングゲート58のゲート高さよりもストランド径が小さいため、吸引により過剰に偏平な形状へと変形することを免れ、結晶性の高い非透明な畝目模様を保持することができ、図1に示すような擬似立体性樹脂成形物1が得られる。
【0051】
次に、本発明に係る図5に示す擬似立体性樹脂成形物1’’’の製造方法の第2の実施の形態について説明する。
【0052】
図7に示す模式図にて本発明に使用した成形設備を用いて説明する。
【0053】
第1の実施の形態と同様に、65mm押出機52(池貝株式会社社製)を使用し、ホッパ51より供給された樹脂は、多段階温度制御装置を有するシリンダ54内で単軸フルフライトスクリュー(L/D25)53にて混練されながら、押出口へと誘導され、多孔プレート55’、続いて出口プレート56’を通過し、押出される。さらに、水冷式の冷却漕中57に配設したサイジングゲート58’を通過させる際、上面および底面から成形体を吸引することによって、平滑面を形成させ、擬似立体性樹脂成形物1’’’を成形する。
【0054】
また、図11に多孔プレート55’の断面図を示す。多孔プレート55’に配設した孔はそれぞれ直径2.0mmであり、1.14mmの間隔で15個直列している。
【0055】
また、図12は出口プレート56’の断面図を示している。出口プレート56’に配設した孔形状は内径が13mm、外径が15mmである。
【0056】
また、サイジングゲート58’の断面図を図13に示す。サイジングゲート58’は上下対称な二つの部材より形成され、ゲート内の直径は15mmである。また、サイジングゲート58’にはそれぞれ3対の通気孔が等間隔に3列敷設され、すべて真空ポンプで吸引することができる。
【0057】
なお、上記以外の成形設備、原料の選択および製造工程は第1の実施の形態で記載した条件と同様に行うことにより、図5に示すような擬似立体性樹脂成形物1’’’が得られる。
【0058】
次に、本発明に係る図6に示す擬似立体性樹脂成形物1’’’’の製造方法の第3の実施の形態について説明する。
【0059】
図7に示す模式図にて本発明に使用した成形設備を用いて説明する。
【0060】
第1の実施の形態と同様に、65mm押出機52(池貝株式会社社製)を使用し、ホッパ51より供給された樹脂は、多段階温度制御装置を有するシリンダ54内で単軸フルフライトスクリュー(L/D25)53にて混練されながら、押出口へと誘導され、多孔プレート55’’、続いて出口プレート56’’を通過し、押出される。さらに、水冷式の冷却漕中57に配設したサイジングゲート58’’を通過させる際、上面および底面から成形体を吸引することによって、平滑面を形成させ、擬似立体性樹脂成形物1’’’’を成形する。
【0061】
また、図14に多孔プレート55’’の断面図を示す。多孔プレート55’’に配設した孔はそれぞれ直径2.4mmであり、1.75mmの間隔で直列している。
【0062】
また、図15は出口プレート56’’の断面図を示している。出口プレート56’’に配設した孔形状は、押出機より吐出した直後の樹脂の不均一な膨張を考慮して、端部が若干厚く、端部以外の幅は5mm、端部は6mmである。
【0063】
また、サイジングゲート58’’の断面図を図16に示す。サイジングゲート58’’は上下二つの部材より形成され、ゲート内の幅は4mmである。また、サイジングゲート58’’にはそれぞれ複数の通気孔が等間隔に3列敷設され、すべて真空ポンプで吸引することができる。
【0064】
なお、上記以外の成形設備、原料の選択および製造工程は第1の実施の形態で記載した条件と同様に行うことにより、図6に示すような擬似立体性樹脂成形物1’’’’が得られる。
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、合成樹脂の押出一体成形において、低コストで立体性外観など意匠性に優れ、且つ表面に付着した汚れを容易にふき取ることのできる透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物が提供でき、さらに該擬似立体性樹脂成形物の製造方法を簡便に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物の断面斜視図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物の断面図である。
【図3】本願発明の第2の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物の断面斜視図である。
【図4】本願発明の第3の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物の断面斜視図である。
【図5】本願発明の第4の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物の断面斜視図である。
【図6】本願発明の第5の実施の形態に係る擬似立体性樹脂成形物の断面斜視図である。
【図7】本願発明の成形設備の説明図である。
【図8】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第1の実施の形態に 使用する多孔プレートの断面図である。
【図9】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第1の実施の形態に使用する出口プレートの断面図である。
【図10】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第1の実施の形態に使用するサイジングゲートの断面図である。
【図11】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第4の実施の形態に使用する多孔プレートの断面図である。
【図12】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第4の実施の形態に使用する出口プレートの断面図である。
【図13】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第4の実施の形態に使用するサイジングゲートの断面図である。
【図14】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第5の実施の形態に使用する多孔プレートの断面図である。
【図15】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第5の実施の形態に使用する出口プレートの断面図である。
【図16】本願発明における擬似立体性樹脂成形物の製造方法の第5の実施の形態に使用するサイジングゲートの断面図である。
【図17】従来のウエーブ上表面を有する樹脂成形物の断面斜視図である。
【図18】同じく従来のウエーブ上表面を有する樹脂成形物の断面斜視図である。
【符号の説明】
1,1’,1’’,1’’’,1’’’’ 擬似立体性樹脂成形物
2,2',2’’,2’’’,2’’’’ 表面層
3,3’,3’’,3’’’,3’’’’ 畝目状コア層
51 ホッパー
52 押出機
53 単軸フルフライトスクリュー
54 シリンダ
55,55’,55’’ 多孔プレート
56,56’,56’’ 出口プレート
57 水冷式冷却漕
58,58’,58’’ サイジングゲート
80,80’ 樹脂成形物
81,81’ 凹条
Claims (4)
- 透明樹脂と該透明樹脂と相溶性の低い高輝度顔料とを混練し、非連続性の孔が一列に配列した多孔プレートおよび該多孔プレートにて形成した複数のストランド状成形体が互いの隣接部で密着する孔断面を有する出口プレートを配設した押出機によって押出成形し、引き続いて冷却槽中のサイジングゲートを通過させる際、該サイジングゲートに設けられた通気孔を介して真空ポンプで吸引し、成形体を該サイジングゲート壁面と密着させることにより透明平滑表層および畝目状コア層を有する疑似立体性樹脂成形物を形成する製造方法。
- 該高輝度顔料に、光輝度性を有するメタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、集光顔料のうち少なくともいずれか一つ以上を含有させることを特徴とする請求項1記載の透明平滑表層および畝目状コア層を有する擬似立体性樹脂成形物を形成する製造方法。
- 該多孔プレートに配設した非連続性の孔の直径が、それぞれ0.3〜10mmであることを特徴とする請求項1記載の擬似立体性外観を有する押出成形物を形成する製造方法。
- 透明樹脂と、該透明樹脂と相溶性の低い高輝度顔料とでなり、非連続性の孔が一列に配列した多孔プレートおよび該多孔プレートから押出された複数のストランド状成形体が互いの隣接部で密着する孔断面を有する出口プレートを配設した押出機によって押出成形し、引き続いて冷却槽中のサイジングゲートを通過させる際、該サイジングゲートに設けられた通気孔を介して真空ポンプで吸引し、成形体を該サイジングゲート壁面と密着させることにより一体成形された、透明平滑表層および畝目状コア層を有する疑似立体性樹脂成形物。
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