JP4310041B2 - 改ざん検出用情報埋込/改ざん検出装置および方法並びに当該方法を実施するプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
改ざん検出用情報埋込/改ざん検出装置および方法並びに当該方法を実施するプログラムを記録した記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、改ざん検出用情報埋込/改ざん検出装置および方法並びに当該方法を実施するプログラムを記録した記録媒体に関し、より特定的には、デジタル画像の部分的な改ざんの有無および改ざんの位置を検出するため、デジタル画像信号に改ざん検出用の認証データを埋め込み、そして抽出(検出)する装置、およびこの装置で行われる方法、並びにこの方法を実施するプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットを利用した情報の提供が盛んになっている。特に、WWW(World Wide Web)は、画像や音声などを統合した情報送受信サービスとして頻繁に利用されている。しかしながら、こうしたオープンなネットワーク環境では、不特定多数の者が画像などのデジタル情報を容易にコピーすることができる。しかも、これら不特定多数の者は、市販の画像処理ソフトウェアを利用して、簡単にデジタル画像を編集・加工することが可能である。このため、送信途中でデジタル画像が第三者によって改ざんされても、改ざんされたことが受信者に気付かれない場合が想定される。
そこで、送信されたデジタル画像が改ざんされているか否かを判定できる改ざん検出技術の確立が、早急に求められている。従来、その対策の1つとして知られているものに、電子認証技術がある。
【0003】
図14は、従来の電子認証の手順の概要を説明する図である。
送信側は、オリジナルのデジタル画像に、ハッシュ関数によるデータ圧縮を施して、デジタル画像のダイジェストを作成する。次に、送信側は、送り手において予め定められた秘密鍵で、ダイジェストを暗号化する。そして、送信側は、オリジナルのデジタル画像および暗号化されたダイジェストを、ネットワークを通して受信側へ送信する。
受信側は、まず送信側と同様に、ネットワークを通して受信したデジタル画像に、ハッシュ関数によるデータ圧縮を施して、デジタル画像のダイジェストを作成する。これと共に、受信側は、ネットワークを通して受信した暗号化されたダイジェストに対して、送り手において予め定められた公開鍵を用いた暗号解読を行って、ダイジェストを復号する。そして、受信側は、デジタル画像から作成したダイジェストと復号したダイジェストとを比較し、両方のダイジェストが同一であれば改ざんされていないと判定し、逆に異なっていれば改ざんされていると判定する(電子認証)。
【0004】
ところが、上述した従来の電子認証を行う場合、送信側は、オリジナルのデジタル画像および暗号化されたダイジェストの2種類のデータを、受信側へ送信する必要がある。このため、デジタル画像が大量である場合には、ネットワークを通して2種類のデータを送信する際に、どのデジタル画像に対してどのダイジェストが対応しているのかを、送信側で適切に管理することが必要不可欠となる。
【0005】
そこで、このような管理を行うことなく(すなわち、2種類のデータを送信することなく)電子認証が可能である手法として、従来、電子透かし技術を用いた手法がある。電子透かしとは、デジタル画像のデータ内部に、人間には知覚できないような形でデジタル情報を埋め込む技術である。この電子透かしを用いた電子認証に関する典型的な従来技術は、例えば、文献「PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.87,NO.7,JULY 1999 p1167−1180」で開示されている。
【0006】
ここで、電子透かし技術を、上述したダイジェストを用いる電子認証に応用した場合を考えてみる。
送信側は、デジタル画像(の各画素)の上位ビットから予め定めたビット数分だけ、デジタル画像のダイジェストを作成する。次に、送信側は、このダイジェストを、送り手において予め定められた秘密鍵で暗号化する。そして、送信側は、デジタル画像の下位ビットに、暗号化したダイジェストを埋め込んだ後、ネットワークを通して受信側へ送信する。
受信側は、ネットワークを通して受信したデジタル画像の下位ビットに埋め込まれている暗号化されたダイジェストを抽出する。次に、受信側は、抽出したダイジェストに対して、送り手において予め定められた公開鍵を用いた暗号解読を行って、ダイジェストを復号する。一方、受信側は、受信したデジタル画像の上位ビットから予め定めたビット数分だけ、照合用のダイジェストを作成する。そして、受信側は、この照合用のダイジェストと復号したダイジェストとを比較し、両方のダイジェストが同一であれば改ざんされていないと判定し、逆に異なっていれば改ざんされていると判定する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電子透かし技術では、送信途中でデジタル画像が改ざんされたことを受信側で発見できても、デジタル画像中のどの部分が改ざんされたかを特定することができないという課題があった。
また、上述した電子透かし技術は、一般に人間の目には知覚しにくい高周波成分を利用して、特定の情報を埋め込むようにしている。このため、情報が埋め込まれた後にJPEGなどの非可逆的な画像処理(圧縮や伸長)が行われた場合、埋め込まれた情報が変化してしまい、正しく情報が読み出せないという課題があった。すなわち、悪意を持った者による故意のデジタル画像の改ざんと、悪意はないが一般的に行われる非可逆的な画像処理によるデジタル画像の改ざんとの、区別ができないという課題があった。
さらに、画像の高周波成分に対応する部分は、一般的にエッジやテクスチャ部分であるため、平坦な部分が多い画像(コントラストの変化があまりない画像)では、画像全体に情報が埋め込まれないことになる。そのため、平坦部分が改ざんされた場合には、埋め込まれた情報を検出できない場合が発生する可能性があるという課題もある。
【0008】
それ故、本発明の目的は、画像の高周波成分だけではなく、画像全体に特定の情報を埋め込み、すなわち比較的低周波成分の変換係数に特定の情報を埋め込み、後に埋め込まれた情報を抽出することにより、画像の改ざん行為と非可逆的な画像処理とを区別することができ、しかも改ざん部分の特定が可能な改ざん検出用情報埋込装置、改ざん検出装置および当該装置で行われる方法並びに当該方法を実施するプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、デジタル画像信号内に予め定めた改ざん検出用の情報を埋め込む装置であって、
デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割する帯域分割部と、
予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成する認証データ作成部と、
複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(MRA)の変換係数に、鍵データを埋め込む鍵データ埋込部と、
複数の周波数帯域のうち、MRA以外の周波数帯域(MRR)の変換係数に、認証データを埋め込む認証データ埋込部と、
データ埋め込み処理後のMRAとMRRとを用いて、情報の埋め込みがなされたデジタル画像信号を再構成する帯域合成部とを備える。
【0010】
上記のように、第1の発明によれば、デジタル画像信号が複数の階層に帯域分割され、MRR中の変換係数に、認証データが埋め込まれる。しかも、認証データが、鍵データを用いて疑似乱数系列から作成され、その鍵データがMRAの変換係数に埋め込まれる。
このように、比較的低周波成分の変換係数に情報を埋め込んでいるので、非可逆的な画像処理が行われても、埋め込まれた鍵データおよび認証データの変化は、故意の改ざんによる変化よりも小さくなる。すなわち、改ざん検出装置において、非可逆的な画像処理と故意の改ざん行為とを区別させることが可能となる。また、第1の発明では、埋め込まれた周波数帯域や変換係数、変換係数の読み出し順序および鍵データ等の情報を知らない第三者による認証データの解読が困難なため、第三者による埋め込み情報の上書きやすり替えが不可能になる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
設定値T(Tは、正の整数)および設定値m(mは、T以下の正の整数)を予め定め、また、変換係数を所定の量子化ステップサイズで割った値をqとして予め定め、
認証データ埋込部は、
変換係数の絶対値と設定値Tとをそれぞれ比較して、変換係数の絶対値が設定値T未満の場合、埋め込むべき認証データのビット値に応じて、当該変換係数を設定値+mまたは−mに設定し、変換係数の絶対値が設定値T以上の場合、埋め込むべき認証データのビット値に応じて、当該変換係数を値qに最も近い偶数または奇数の整数値に設定することによって、
MRRの各変換係数に、認証データをそれぞれ埋め込むことを特徴とする。
【0012】
上記のように、第2の発明は、第1の発明における認証データを埋め込むための好ましい手法を示したものである。この手法を用いることにより、少ない画質劣化で高精度な情報埋め込みを実現することができる。
【0013】
第3の発明は、特定の装置によってデジタル画像信号内に埋め込まれた改ざん検出用情報を用いて、デジタル画像の改ざんを検出する装置であって、
デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割する帯域分割部と、
複数の周波数帯域のうち、MRAの変換係数から、特定の装置で埋め込まれた鍵データを抽出する鍵データ抽出部と、
鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成する認証データ作成部と、
複数の周波数帯域のうち、MRRの変換係数から、特定の装置で鍵データに基づいて埋め込まれた埋込情報を抽出する埋込情報抽出部と、
認証データと埋込情報とを比較照合して、デジタル画像の改ざんの有無を判定する改ざん判定部とを備える。
【0014】
第4の発明は、第3の発明に従属する発明であって、
改ざん判定部は、
デジタル画像を、予め定めた複数の画素で構成される複数の単位ブロックに分割するブロック分割部と、
単位ブロック毎に、当該単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRR内に埋め込まれている情報を、埋込情報の中から系列的に読み出す領域対応埋込情報読出部と、
単位ブロック毎に、領域対応埋込情報読出部で系列的に読み出された埋込情報と同じ位置に対応するデータを、認証データの中から系列的に読み出す領域対応認証データ読出部と、
読み出された埋込情報の系列と認証データの系列とを、単位ブロック毎に比較することによって、単位ブロック毎の改ざんの有無を判定するブロック改ざん判定部とを備えることを特徴とする。
【0015】
上記のように、第3および第4の発明によれば、デジタル画像を予め定めた複数の画素から構成される単位ブロックに分割し、各単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRRの変換係数内に埋め込まれた埋込情報を読み出して、改ざん検出用情報埋込装置で埋め込まれたであろう認証データとこの埋込情報とを比較照合する。
これにより、デジタル画像中の改ざん部分の位置を、単位ブロックに基づく領域別で検出することができる。また、改ざん検出用情報埋込装置において、比較的低周波成分の変換係数に情報が埋め込まれているので、非可逆的な画像処理が行われても、埋め込まれた鍵データおよび認証データの変化は、故意の改ざんによる変化よりも小さくなる。すなわち、非可逆的な画像処理と故意の改ざん行為とを区別することがでる。
【0016】
第5の発明は、第3および第4の発明に従属する発明であって、
設定値Tおよび変換係数を量子化ステップサイズで割り四捨五入した値をpとして予め定め、
埋込情報抽出部は、
変換係数の絶対値と設定値Tとをそれぞれ比較して、変換係数の絶対値が設定値T未満の場合、当該変換係数の値が正か負かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出し、変換係数の絶対値が設定値T以上の場合、値pが偶数か奇数かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出することによって、
MRRの各変換係数から、そこに埋め込まれた埋込情報をそれぞれ抽出することを特徴とする。
【0017】
上記のように、第5の発明は、第3および第4の発明における埋め込まれた認証データを抽出するための好ましい手法を示したものである。この手法を用いることにより、少ない画質劣化で高精度な情報抽出を実現することができる。
【0018】
第6の発明は、デジタル画像信号内に予め定めた改ざん検出用の情報を埋め込む方法であって、
デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRAの変換係数に、鍵データを埋め込むステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRRの変換係数に、認証データを埋め込むステップと、
データ埋め込み処理後のMRAとMRRとを用いて、情報の埋め込みがなされたデジタル画像信号を再構成するステップとを備える。
【0019】
上記のように、第6の発明によれば、デジタル画像信号が複数の階層に帯域分割され、MRR中の変換係数に、認証データが埋め込まれる。しかも、認証データが、鍵データを用いて疑似乱数系列から作成され、その鍵データがMRAの変換係数に埋め込まれる。
このように、比較的低周波成分の変換係数に情報を埋め込んでいるので、非可逆的な画像処理が行われても、埋め込まれた鍵データおよび認証データの変化は、故意の改ざんによる変化よりも小さくなる。すなわち、改ざん検出時において、非可逆的な画像処理と故意の改ざん行為とを区別させることが可能となる。また、第6の発明では、埋め込まれた周波数帯域や変換係数、変換係数の読み出し順序および鍵データ等の情報を知らない第三者による認証データの解読が困難なため、第三者による埋め込み情報の上書きやすり替えが不可能になる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明に従属する発明であって、
設定値Tおよび設定値mを予め定め、また、変換係数を所定の量子化ステップサイズで割った値をqとして予め定め、
認証データを埋め込むステップは、
変換係数の絶対値と設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T未満の場合、埋め込むべき認証データのビット値に応じて、当該変換係数を設定値+mまたは−mに設定するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T以上の場合、埋め込むべき認証データのビット値に応じて、当該変換係数を値qに最も近い偶数または奇数の整数値に設定するステップとを含み、
MRRの各変換係数に、認証データをそれぞれ埋め込むことを特徴とする。
【0021】
上記のように、第7の発明は、第6の発明における認証データを埋め込むための好ましい手法を示したものである。この手法を用いることにより、少ない画質劣化で高精度な情報埋め込みを実現することができる。
【0022】
第8の発明は、特定の装置によってデジタル画像信号内に埋め込まれた改ざん検出用情報を用いて、デジタル画像の改ざんを検出する方法であって、
デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRAの変換係数から、特定の装置で埋め込まれた鍵データを抽出するステップと、
鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRRの変換係数から、特定の装置で鍵データに基づいて埋め込まれた埋込情報を抽出するステップと、
認証データと埋込情報とを比較照合して、デジタル画像の改ざんの有無を判定するステップとを備える。
【0023】
第9の発明は、第8の発明に従属する発明であって、
改ざんの有無を判定するステップは、
デジタル画像を、予め定めた複数の画素で構成される複数の単位ブロックに分割するステップと、
単位ブロック毎に、当該単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRR内に埋め込まれている情報を、埋込情報の中から系列的に読み出すステップと、単位ブロック毎に、系列的に読み出された埋込情報と同じ位置に対応するデータを、認証データの中から系列的に読み出すステップと、
読み出された埋込情報の系列と認証データの系列とを、単位ブロック毎に比較することによって、単位ブロック毎の改ざんの有無を判定するステップとを備えることを特徴とする。
【0024】
上記のように、第8および第9の発明によれば、デジタル画像を予め定めた複数の画素から構成される単位ブロックに分割し、各単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRRの変換係数内に埋め込まれた埋込情報を読み出して、埋め込み時に埋め込まれたであろう認証データとこの埋込情報とを比較照合する。
これにより、デジタル画像中の改ざん部分の位置を、単位ブロックに基づく領域別で検出することができる。また、改ざん検出用情報の埋め込み時において、比較的低周波成分の変換係数に情報が埋め込まれているので、非可逆的な画像処理が行われても、埋め込まれた鍵データおよび認証データの変化は、故意の改ざんによる変化よりも小さくなる。すなわち、非可逆的な画像処理と故意の改ざん行為とを区別することがでる。
【0025】
第10の発明は、第8および第9の発明に従属する発明であって、
設定値Tおよび変換係数を量子化ステップサイズで割り四捨五入した値をpとして予め定め、
埋込情報を抽出するステップは、
変換係数の絶対値と設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T未満の場合、当該変換係数の値が正か負かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T以上の場合、値pが偶数か奇数かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップとを含み、
MRRの各変換係数から、そこに埋め込まれた埋込情報をそれぞれ抽出することを特徴とする。
【0026】
上記のように、第10の発明は、第8および第9の発明における埋め込まれた認証データを抽出するための好ましい手法を示したものである。この手法を用いることにより、少ない画質劣化で高精度な情報抽出を実現することができる。
【0027】
第11の発明は、デジタル画像信号内に予め定めた改ざん検出用の情報を埋め込む方法が、コンピュータ装置で実行可能なプログラムとして記録された媒体であって、
デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRAの変換係数に、鍵データを埋め込むステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRRの変換係数に、認証データを埋め込むステップと、
データ埋め込み処理後のMRAとMRRとを用いて、情報の埋め込みがなされたデジタル画像信号を再構成するステップとを、少なくとも実行するためのプログラムを記録している。
【0028】
第12の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
設定値Tおよび設定値mを予め定め、また、変換係数を所定の量子化ステップサイズで割った値をqとして予め定め、
認証データを埋め込むステップは、
変換係数の絶対値と設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T未満の場合、埋め込むべき認証データのビット値に応じて、当該変換係数を設定値+mまたは−mに設定するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T以上の場合、埋め込むべき認証データのビット値に応じて、当該変換係数を値qに最も近い偶数または奇数の整数値に設定するステップとを含み、
MRRの各変換係数に、認証データをそれぞれ埋め込むことを特徴とする。
【0029】
第13の発明は、特定の装置によってデジタル画像信号内に埋め込まれた改ざん検出用情報を用いて、デジタル画像の改ざんを検出する方法が、コンピュータ装置で実行可能なプログラムとして記録された媒体であって、
デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRAの変換係数から、特定の装置で埋め込まれた鍵データを抽出するステップと、
鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
複数の周波数帯域のうち、MRRの変換係数から、特定の装置で鍵データに基づいて埋め込まれた埋込情報を抽出するステップと、
認証データと埋込情報とを比較照合して、デジタル画像の改ざんの有無を判定するステップとを、少なくとも実行するためのプログラムを記録している。
【0030】
第14の発明は、第13の発明に従属する発明であって、
改ざんの有無を判定するステップは、
デジタル画像を、予め定めた複数の画素で構成される複数の単位ブロックに分割するステップと、
単位ブロック毎に、当該単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRR内に埋め込まれている情報を、埋込情報の中から系列的に読み出すステップと、
単位ブロック毎に、系列的に読み出された埋込情報と同じ位置に対応するデータを、認証データの中から系列的に読み出すステップと、
読み出された埋込情報の系列と認証データの系列とを、単位ブロック毎に比較することによって、単位ブロック毎の改ざんの有無を判定するステップとを備えることを特徴とする。
【0031】
第15の発明は、第13および第14の発明に従属する発明であって、
設定値Tおよび変換係数を量子化ステップサイズで割り四捨五入した値をpとして予め定め、
埋込情報を抽出するステップは、
変換係数の絶対値と設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T未満の場合、当該変換係数の値が正か負かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップと、
比較の結果、変換係数の絶対値が設定値T以上の場合、値pが偶数か奇数かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップとを含み、
MRRの各変換係数から、そこに埋め込まれた埋込情報をそれぞれ抽出することを特徴とする。
【0032】
上記のように、第11〜第15の発明は、第6〜第10の発明の改ざん検出用情報埋込/改ざん検出方法を実行するためのプログラムを記録した媒体である。これは、既存の装置に対し、第6〜第10の発明の改ざん検出用情報埋込/改ざん検出方法を、ソフトウェアの形態で供給することに対応させたものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の一実施形態に係る改ざん検出装置2の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1は、帯域分割部11と、認証データ作成部12と、鍵データ埋込部13と、認証データ埋込部14と、帯域合成部15とを備える。図2において、本実施形態に係る改ざん検出装置2は、帯域分割部11と、鍵データ抽出部21と、鍵データ判定部22と、認証データ作成部12と、埋込情報抽出部23と、領域対応埋込情報読出部24と、領域対応認証データ読出部25と、ブロック改ざん判定部26とを備える。
【0034】
なお、本実施形態に係る改ざん検出装置2の帯域分割部11および認証データ作成部12は、本実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1の帯域分割部11および認証データ作成部12と同様の構成であり、以下当該構成について、同一の参照番号を付してその説明を省略する。
以下、図3〜図13をさらに参照して、本実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1および改ざん検出装置2が行うデジタル画像の改ざんを検出するための方法を、順に説明する。
【0035】
最初に、図1および図3〜図9を用いて、本実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1が行う情報埋め込み方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1が行う処理を示すフローチャートである。
【0036】
まず、図4〜図6を参照して、従来の離散ウェーブレット変換処理を用いて、デジタル画像信号を3階層へ帯域分割する帯域分割部11の処理を説明する。図4は、図1の帯域分割部11の構成の一例を示すブロック図である。図4において、帯域分割部11は、それぞれ同じ構成を有する第1〜第3の帯域分割フィルタ100、200および300を備える。
第1〜第3の帯域分割フィルタ100、200および300は、入力した画像を4つの周波数帯域に分割し、各周波数帯域毎のウェーブレット係数(以下、変換係数という)を算出する(ステップS301)。なお、サブバンド分割によっても、離散ウェーブレット変換による帯域分割と等価である変換係数を得ることもできる。帯域分割部11は、デジタル画像信号71を、第1の帯域分割フィルタ100に入力する。
【0037】
第1の帯域分割フィルタ100は、デジタル画像信号71を、水平周波数成分と垂直周波数成分とのパラメータに基づいて、4つの帯域の信号、すなわちLL1信号、LH1信号、HL1信号およびHH1信号(以下、これらを総称して第1の階層信号という)に分割する。第2の帯域分割フィルタ200は、上記第1の階層信号のうち最も低域のLL1信号を入力し、さらに4つの帯域のLL2信号、LH2信号、HL2信号およびHH2信号(以下、これらを総称して第2の階層信号という)に分割する。そして、第3の帯域分割フィルタ300は、上記第2の階層信号のうち最も低域のLL2信号を入力し、さらに4つの帯域のLL3信号、LH3信号、HL3信号およびHH3信号(以下、これらを総称して第3の階層信号という)に分割する。
【0038】
図5は、図4の第1の帯域分割フィルタ100の構成の一例を示すブロック図である。図5において、第1の帯域分割フィルタ100は、第1〜第3の2帯域分割部101〜103を備える。この第1〜第3の2帯域分割部101〜103は、それぞれ1次元の低域通過フィルタ(LPF)111〜113と、1次元の高域通過フィルタ(HPF)121〜123と、信号を2:1に間引くダウンサンプラ131〜133および141〜143とを備える。
第1の2帯域分割部101は、デジタル画像信号71を入力し、水平方向成分に関してLPF111およびHPF121により低域および高域のフィルタリングを行い、2つの信号を出力する。そして、第1の2帯域分割部101は、低域および高域のフィルタリングがされた信号を、それぞれダウンサンプラ131および141を用いて2:1に間引いた後、次段に出力する。第2の2帯域分割部102は、ダウンサンプラ131からの信号を入力し、垂直方向成分に関してLPF112およびHPF122によりそれぞれフィルタリングを行い、ダウンサンプラ132および142を用いて2:1に間引いた後、LL1信号とLH1信号の2つの信号を出力する。一方、第3の2帯域分割部103は、ダウンサンプラ141からの信号を入力し、垂直方向成分に関してLPF113およびHPF123によりそれぞれフィルタリングを行い、ダウンサンプラ133および143を用いて2:1に間引いた後、HL1信号とHH1信号の2つの信号を出力する。
【0039】
これにより、第1の帯域分割フィルタ100からは、水平方向・垂直方向共に低域のLL1信号、水平方向に低域で垂直方向に高域のLH1信号、水平方向に高域で垂直方向に低域のHL1信号および水平方向・垂直方向共に高域のHH1信号の4つの信号、すなわち変換係数が出力される。なお、第2および第3の帯域分割フィルタ200および300も、入力する信号に対して上記と同様の処理を行う。
上述した第1〜第3の帯域分割フィルタ100、200および300による帯域分割処理の結果、デジタル画像信号71は、LL3信号、LH3信号、HL3信号、HH3信号、LH2信号、HL2信号、HH2信号、LH1信号、HL1信号およびHH1信号の10個の周波数帯域に分割される。図6は、これらを2次元周波数領域で表現した図である。ここで、最も低い周波数帯域LL3信号をMRAといい、MRA以外の周波数帯域、つまりLH3信号、HL3信号、HH3信号、LH2信号、HL2信号、HH2信号、LH1信号、HL1信号およびHH1信号をMRRという。
【0040】
図6において、縦軸は垂直方向の周波数成分を表し、下側に行くほど高域となり、横軸は水平方向の周波数成分を表し、右側に行くほど高域となる。
図6における各々の領域は、1つの画像としてのデータであり、その領域の面積比は、各々の帯域信号が有するデータ数の比に一致する。すなわち、第3の階層信号であるLL3信号、LH3信号、HL3信号およびHH3信号のデータ数を「1」とした場合、第2の階層信号であるLH2信号、HL2信号およびHH2信号のデータ数は「4(2×2サイズ)」となり、第1の階層信号であるLH1信号、HL1信号およびHH1信号のデータ数は「16(4×4サイズ)」となる。
【0041】
従って、例えば、LL3信号の左上の1個のデータに関しては、LH3信号、HL3信号およびHH3信号のそれぞれ左上の1個のデータが、LH2信号、HL2信号およびHH2信号のそれぞれ左上の正方形の4個のデータが、LH1信号、HL1信号およびHH1信号のそれぞれ左上の正方形の16個のデータが、原画像上での同一画素を表現することとなる(図6中、黒で塗りつぶしてある部分である)。つまり、画像信号において左上の正方形の64個(8×8サイズ)の画素データは、上記各周波数帯域の変換係数と同一の空間的領域を表現する。
【0042】
次に、認証データ作成部12は、予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成する(ステップS302)。具体的には、認証データ作成部12は、生成された疑似乱数系列のランダムな実数値が正か負かをそれぞれ判断し、正の場合はビット値「1」と、負の場合はビット値「0」として認証データを作成する。例えば、下記のように疑似乱数系列PNから認証データADが作成される。
PN={0.12,-0.23,-1.21,0.23,1.1,-0.34,0.01,-0.51,…,-0.33}
AD={ 1, 0, 0, 1, 1, 0, 1, 0,…, 0}
鍵データには、例えば、疑似乱数系列を生成するための初期値、乱数発生関数の種類、系列のビット長を示す情報等が含まれる。本実施形態では、簡単のために、鍵データは8ビットのデータ長で表される値とする。また、以下の説明において、認証データは、ビット値「1」と「0」とに2進数化されたビットストリームであるとする。
なお、鍵データの情報は、埋め込み処理を行うためのキー情報であり、これらの情報は、改ざん検出装置2においてデータが抽出される際にも用いられる。従って、改ざん検出用情報埋込装置1および改ざん検出装置2の双方間で、予め鍵データの情報を決定しておく必要がある。
【0043】
次に、鍵データ埋込部13は、帯域分割部11で分割された画像信号のMRAの変換係数を予め定めた順序で読み出し、予め定めた手法に従って変換係数に鍵データを埋め込む(ステップS303)。この鍵データの埋め込みには、様々な手法を用いることができるが、本願発明者が以前に提案(先願)した埋め込み手法(特開平11−196262号公報)を用いれば、少ない画質劣化で高精度な埋め込みを実現することができる。この本願発明者が先願した埋め込み手法とは、変換係数を量子化ステップサイズQで割った値をqとして、変換係数に対応する鍵データのビット値に応じてqの値を最も近い偶数または奇数の整数値に設定し、鍵データを埋め込むものである。
なお、MRAの変換係数を読み出す予め定めた順序は、埋め込み処理を行うためのキー情報であり、これらの順序は、改ざん検出装置2において鍵データが抽出される際にも用いられる。また、鍵データを暗号化したまたは誤り訂正符号を付加したデジタル情報に変換し、そのデジタル情報を埋め込むようにしてもよい。さらに、埋め込むデジタル情報のビット数が、MRAの変換係数より少ない場合は、例えば、デジタル情報を一通り埋め込んだ後に、当該デジタル情報の第1ビットに戻って引き続き埋め込むようにすればよい。
【0044】
次に、認証データ埋込部14が行う処理(ステップS304)を、図7を参照して説明する。図7は、図1の認証データ埋込部14が行う処理の一例を示すフローチャートである。
まず、認証データ埋込部14は、帯域分割部11で分割された画像信号のMRRの中から、図4で示したLH3信号の変換係数Wiを予め定めた順序で読み出す(ステップS701)。次に、認証データ埋込部14は、読み出した変換係数の絶対値|Wi|が、予め定めた設定値T以上であるか否かを判定する(ステップS702)。
このステップS702の判定において変換係数の絶対値|Wi|が設定値T未満である場合、認証データ埋込部14は、認証データ作成部12で作成された変換係数に対応する認証データのビット値に応じて、変換係数Wiを予め定めた数値+mまたは値−mに設定する(ステップS703)。この数値mは、設定値Tより小さな値であれば自由に定めることができる。しかし、数値mを小さくすると画質劣化は少なくなるが攻撃に対して弱くなり、大きくすると攻撃に対しては強くなるが置換量が大きくなるので画質劣化が顕著になるため、装置の使用目的および扱う画像信号のレベル等に対応させて、適宜任意に設定するようにすればよい。これに対し、ステップS702の判定において変換係数の絶対値|Wi|が設定値T以上である場合、認証データ埋込部14は、上述した鍵データ埋込部13と同様に、変換係数Wiを量子化ステップサイズQで割った値をqとして、変換係数に対応する認証データのビット値に応じて、qの値を最も近い偶数または奇数の整数値に設定する(ステップS704)。
以上の処理を行い、変換係数Wiに認証データのビット値を埋め込み、埋め込み処理された変換係数Wi’を作成する。
【0045】
上記LH3信号に対する処理が完了すると、認証データ埋込部14は、続いてLH2信号の変換係数Wiを予め定めた順序で読み出して、上述したステップS701〜S703の処理を行う。
なお、ここでは、LH3信号の変換係数に対する処理に続いて、LH2信号の変換係数に対する処理を行ったが、この処理の順序は逆であってもよい。また、認証データの埋め込みは、LH3信号およびLH2信号内の全ての変換係数Wiに対して行う必要はなく、例えば、縦横1つ毎に行ってもよい(後述する改ざん検出装置2での説明を参照)。こうすることで、情報の埋め込みに伴う画質劣化を低減させることができる。
このLH3信号とLH2信号との処理順序、LH3信号およびLH2信号の変換係数を読み出すための予め定めた順序は、埋め込み処理を行うためのキー情報であり、これらの情報は、改ざん検出装置2においてデータを抽出する際にも用いられる。また、LH2信号とLH3信号の変換係数を比較する設定値Tは、必ずしも同一でなくてもよい。好ましくは、LH3信号の変換係数を比較する設定値は、LH2信号の変換係数を比較する設定値より小さくする方がよい。例えば、LH3信号の変換係数を比較する設定値は「7」、LH2信号の変換係数を比較する設定値は「10」、数値mは「2」等と決めておく。
【0046】
次に、帯域合成部15が行う処理を、図8および図9を用いて説明する。
図8は、図1の帯域合成部15の構成の一例を示すブロック図である。図8において、帯域合成部15は、それぞれ同じ構成を有する第1〜第3の帯域合成フィルタ400、500および600を備える。
第1〜第3の帯域合成フィルタ400、500および600は、4つの周波数帯域信号を入力し、1つの信号に合成して出力する(ステップS305)。第1の帯域合成フィルタ400は、LL3信号、LH3信号、HL3信号およびHH3信号を入力し、これらを合成してLL2信号を作成する。次に、第2の帯域合成フィルタ500は、上記合成されたLL2信号と、LH2信号、HL2信号およびHH2信号とを入力し、これらを合成してLL1信号を作成する。そして、第3の帯域合成フィルタ600は、上記合成されたLL1信号と、LH1信号、HL1信号およびHH1信号とを入力し、これらを合成してデジタル画像信号72を再構成する。
【0047】
図9は、図8の第1の帯域合成フィルタ400の構成の一例を示すブロック図である。図9において、第1の帯域合成フィルタ400は、第1〜第3の2帯域合成部401〜403を備える。この第1〜第3の2帯域合成部401〜403は、それぞれLPF411〜413と、HPF421〜423と、信号に対して2:1の割合で零を挿入するアップサンプラ431〜433および441〜443と、加算器451〜453とを備える。
第1の2帯域合成部401は、LL3信号とLH3信号とを入力して、それぞれアップサンプラ431および441を用いて2倍のサイズの信号に変換し、変換した2つの信号を垂直方向成分に関してLPF411およびHPF421でフィルタリングした後、加算して出力する。一方、第2の2帯域合成部402は、HL3信号とHH3信号とを入力して、それぞれアップサンプラ432および442を用いて2倍のサイズの信号に変換し、変換した2つの信号を垂直方向成分に関してLPF412およびHPF422でフィルタリングした後、加算して出力する。そして、第3の2帯域合成部403は、加算器451および452の出力を入力して、それぞれアップサンプラ433および443を用いて2倍のサイズの信号に変換し、変換した2つの信号を水平方向成分に関してLPF413およびHPF423でフィルタリングした後、加算して出力する。
【0048】
これにより、第1の帯域合成フィルタ400からは、第2の階層信号である水平・垂直方向共に低域のLL2信号が出力される。なお、第2および第3の帯域合成フィルタ500および600も、入力する信号に対して上記と同様の処理を行う。帯域合成部15は、上述のようにLL3信号、LH3信号、HL3信号、HH3信号、LH2信号、HL2信号、HH2信号、LH1信号、HL1信号およびHH1信号の10個の周波数帯域信号を、埋め込み処理が行われたデジタル画像信号72に再構成して出力する。
【0049】
次に、本実施形態に係る改ざん検出装置2が行う改ざん検出方法を、図2および図10〜図13を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る改ざん検出装置2が行う処理を示すフローチャートである。
【0050】
図2において、帯域分割部11は、デジタル画像信号73を入力する。このデジタル画像信号73は、上記改ざん検出用情報埋込装置1の帯域合成部15から出力されるデジタル画像信号72が、送信途中で圧縮符号化・伸長化の処理、あるいは改ざん処理等が施された信号である。帯域分割部11は、入力されたデジタル画像信号73に関して離散ウェーブレット変換を行って、10個の周波数帯域LL3信号、LH3信号、HL3信号、HH3信号、LH2信号、HL2信号、HH2信号、LH1信号、HL1信号およびHH1信号に分割し、それぞれの変換係数を算出する(ステップS1001)。
【0051】
次に、鍵データ抽出部21は、帯域分割部11で分割されたデジタル画像信号73のMRAの変換係数を、上記改ざん検出用情報埋込装置1の鍵データ埋込部13で行われたのと同じ順序で読み出し、そこに埋め込まれている鍵データを抽出する(ステップS1002)。この鍵データの抽出には、様々な手法を用いることができるが、上述した本願発明者の先願に開示されている技術を用いれば、少ない画質劣化で高精度に鍵データを抽出することができる。すなわち、変換係数を量子化ステップサイズQで割った後に四捨五入した値をpとして、このpの値が偶数か奇数かを判定して埋め込まれた鍵データのビット値を抽出する。
【0052】
次に、鍵データ判定部22は、鍵データ抽出部21で抽出された鍵データが、改ざん検出用情報埋込装置1において用いられた鍵データと同一であるか否かの正当性を判定する(ステップS1003)。この正当性の判定は、鍵データ抽出部21で抽出された鍵データと、予め有している改ざん検出用情報埋込装置1において用いられた鍵データとを、比較することで行われる。ここで、改ざん検出用情報埋込装置1において複数の鍵データが用いられる場合には、鍵データ判定部22は、対応する複数の鍵データを予め有しておき、鍵データ抽出部21で抽出された鍵データとこれらの複数の鍵データとを、それぞれ比較するようにすればよい。
【0053】
このステップS1003において、上記抽出された鍵データが予め有している鍵データと同一であると判定された場合、鍵データ判定部22は、ステップS1004以降の処理を行う。一方、ステップS1003において、上記抽出された鍵データが予め有している鍵データと同一でないと判定された場合、鍵データ判定部22は、デジタル画像信号73に改ざんが有ると判断する(ステップS1011)。
なお、この鍵データ判定部22は、改ざん検出装置2において必須の構成ではない。しかし、このように鍵データの正当性を判定することにより、本発明のデジタル画像の改ざんを検出するための改ざん検出装置2における信頼性が増し、実用上好ましくなる。
【0054】
次に、認証データ作成部12は、上述したように、予め有している改ざん検出用情報埋込装置1において用いられた鍵データ(疑似乱数系列を生成するための初期値、乱数発生関数の種類、系列のビット長を示す情報等を含む)を用いて、疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データKを作成する(ステップS1004)。
【0055】
次に、埋込情報抽出部23の処理(ステップS1005)を、図11を参照して説明する。図11は、図2の埋込情報抽出部23が行う処理の一例を示すフローチャートである。
まず、埋込情報抽出部23は、帯域分割部11で分割されたデジタル画像信号73のMRRの中から、LH3信号およびLH2信号の変換係数Wiを、改ざん検出用情報埋込装置1の認証データ埋込部14で行ったのと同じ順序、すなわちLH3信号、LH2信号の順かつ予め定めた順序で読み出す(ステップS1101)。次に、埋込情報抽出部23は、読み出した変換係数の絶対値|Wi|が、予め定めた設定値T以上であるか否かを判定する(ステップS1102)。
このステップS1102の判定において変換係数の絶対値|Wi|が設定値T未満である場合、埋込情報抽出部23は、変換係数Wiの値が正か負かをさらに判定し、当該判定の結果に基づいて、変換係数毎に埋め込まれた情報のビット値を抽出する(ステップS1103)。これに対し、ステップS1102の判定において変換係数の絶対値|Wi|が設定値T以上である場合、埋込情報抽出部23は、上記鍵データ抽出部21と同様に、変換係数Wiを量子化ステップサイズQで割った後に四捨五入した値をpとして、このpの値が偶数か奇数かをさらに判定し、当該判定の結果に基づいて、変換係数毎に埋め込まれた情報のビット値を抽出する(ステップS1104)。
以上の処理を行い、埋込情報抽出部23は、各変換係数に埋め込まれた情報からなる埋込情報D(これは、改ざん検出用情報埋込装置1で埋め込まれたであろう認証データに相当する)を抽出する(ステップS1005)。
【0056】
次に、領域対応埋込情報読出部24および領域対応認証データ読出部25の処理を、図12を参照して説明する。図12は、デジタル画像信号73の改ざんの有無を判断するブロック(以下、単位ブロックという)のサイズを32×32画素とした場合における、画像中の左上の網掛けされた位置の単位ブロックと同一の空間的領域を表現するLH3信号およびLH2信号の変換係数(図12中の太い実線の枠線部分に対応する)を示している。すなわち、デジタル画像信号73の単位ブロックサイズが32×32画素である場合、LH3信号およびLH2信号において対応する各ブロックサイズは、それぞれ4×4画素および8×8画素となる。
なお、ここで説明する単位ブロックサイズ(32×32画素)は一例であり、この単位ブロックサイズは、どの程度のブロックサイズ(領域)を単位としてデジタル画像信号73が改ざんされているかを判断したいかによって、任意に設定することが可能である。
【0057】
今、LH3信号およびLH2信号の変換係数を読み出す予め定めた順序(すなわち、改ざん検出用情報埋込装置1において情報が埋め込まれた順序)が、縦横1つ毎である場合を一例に挙げて説明する。この場合、32×32画素の単位ブロックに対応する埋込情報は、LH3信号内の4個とLH2信号内の16個となる(図12中、黒で塗りつぶした部分である)。
従って、この例の場合では、領域対応埋込情報読出部24は、埋込情報抽出部23で抽出された埋込情報Dの中から、改ざんの有無を判断する単位である上記20個の変換係数を、32×32画素の単位ブロックに対応する埋込情報BDとして読み出す(ステップS1006)。
同様に、領域対応認証データ読出部25は、認証データ作成部12で作成された認証データKの中から、埋込情報BDと同じ位置に対応する20個の認証データを、32×32画素の単位ブロックに対応する認証データBKとして読み出す(ステップS1007)。
【0058】
例えば、領域対応埋込情報読出部24および領域対応認証データ読出部25において読み出された埋込情報BDおよび認証データBKが、それぞれ、
BD={1,0,1,1,1,0,0,1,1,0,0,1,1,1,0,1,0,1,0,1}
BK={1,1,1,0,1,0,0,1,1,0,0,0,1,0,0,1,0,1,0,1}
であるとする。
この例では、第2、第4、第12および第14番目のビットの4箇所が、異なっている。
【0059】
次に、ブロック改ざん判定部26は、まず上記読み出された埋込情報BDと認証データBKとの同一位置のビットについて排他的論理和をそれぞれ演算し、その結果の総和Sを求める(ステップS1008)。図13は、排他的論理和による演算の一例を示す図であり、互いのビット値が異なる場合は値「1」を出力し、互いのビット値が同じ場合は値「0」を出力する。そして、ブロック改ざん判定部26は、求めた総和Sと予め定めた設定値BTとを比較することにより、単位ブロックに分割した部分画像(この例では、32×32画素のブロック)において、改ざんがされている否かを判定する(ステップS1009)。
例えば、ブロック改ざん判定部26は、求めた総和Sが予め定めた設定値BTより大きい場合は、改ざんがされていると判定し、反対に小さい場合は、改ざんがされていないと判定する。この予め定めた設定値BTは、どの程度の改ざんを判定するかによって自由に定めることができ、この定め方によって画像の改ざん行為と非可逆的な画像処理とを区別することが可能となる。
上記埋込情報BDおよび認証データBKの例では、4箇所のビットが異なっているので、求められた総和Sは「4」となる。従って、設定値BTが「3」に設定されている場合、総和Sが設定値BTより大きいため、この単位ブロックは改ざんされていると判定される。
【0060】
なお、ブロック改ざん判定部26で演算される排他的論理和は、上述した論理と逆であってもよい。すなわち、互いのビット値が異なる場合は値「0」となり、互いのビット値が同じ場合は値「1」となる。この場合、ブロック改ざん判定部26は、総和Sが設定値BTより小さい場合は、改ざんがされていると判定し、反対に大きい場合は、改ざんがされていないと判定すればよい。また、排他的論理和の総和Sを求める代わりに、埋込情報BDと認証データBKとのビットが一致している個数またはその内積を求めてもよい。さらに、埋込情報BDおよび認証データBKのビット値「0」に代えて値「−1」を与え、その内積を計算してもよい。
【0061】
そして、改ざん検出装置2は、上記ステップS1009における判定の結果、改ざんがされていると判断した場合は、この単位ブロックの位置(32×32画素サイズ内)には改ざんが有るという情報を、一方、改ざんがされていないと判断した場合は、この単位ブロックの位置には改ざんが無いという情報を、メモリに格納またはディスプレイに表示(共に図示せず)する(ステップS1010,S1011)。
以上のステップS1006〜ステップS1009の処理を、全ての単位ブロックに対して繰り返し行うことにより、デジタル画像中の改ざん部分の位置を検出する。
【0062】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、改ざん検出用情報埋込装置1において、デジタル画像信号が3つの階層に帯域分割され、MRR中のLH3信号およびLH2信号の変換係数に、認証データが埋め込まれる。しかも、認証データが、鍵データを用いて疑似乱数系列から作成され、その鍵データがMRAの変換係数に埋め込まれる。また、改ざん検出装置2において、デジタル画像を予め定めた複数の画素から構成される単位ブロックに分割し、各単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRRの変換係数内に埋め込まれた埋込情報を読み出して、改ざん検出用情報埋込装置1で埋め込まれたであろう認証データとこの埋込情報とを比較照合する。
これにより、改ざん検出装置2は、デジタル画像中の改ざん部分の位置を、単位ブロックに基づく領域別で検出することができる。また、改ざん検出用情報埋込装置1において、比較的低周波成分の変換係数に情報を埋め込んでいるので、非可逆的な画像処理が行われても、埋め込まれた鍵データおよび認証データの変化は、故意の改ざんによる変化よりも小さくなる。すなわち、非可逆的な画像処理と故意の改ざん行為とを区別することがでる。さらに、本発明の改ざん検出用情報埋込方法および改ざん検出方法では、埋め込まれた周波数帯域や変換係数、変換係数の読み出し順序および鍵データ等の情報を知らない第三者による認証データの解読が困難なため、第三者による埋め込み情報の上書きやすり替えが不可能になる。
【0063】
なお、上記実施形態の帯域分割部11で行われる離散ウェーブレット変換による階層化は、上述した3つの階層に限られるものではなく、LL信号が1×1の要素になるまで何回行ってもよい。また、認証データの埋め込みに用いる帯域は、LH3信号およびLH2信号に限ったものではなく、MRRの他の帯域であっても、またMRRの全帯域であってもよい。この場合も同様に、処理する帯域の順序を、予め定めておく必要がある。
ただ、本発明の有用な効果を十分に発揮させるためには、より深い階層信号のみの変換係数に認証データを埋め込むのが好ましい。すなわち、図4において、第3の階層信号のLH3信号とHL3信号、および/または、第2の階層信号のLH2信号とHL2信号の全てもしくはその一部に、認証データを埋め込むようにするのが最も好ましい。
【0064】
また、上記実施形態では、認証データ埋込部14において、予め定めた順序で読み出された変換係数毎に認証データを順番に埋め込むようにしているが、単位ブロックと同一の空間的領域を表現するMRR内の変換係数には、単位ブロック毎に同じ認証データを繰り返し埋め込むようにしてもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態の改ざん検出用情報埋込装置1において、鍵データを公開鍵または共通鍵を用いて暗号化した後に埋め込み、改ざん検出装置2において、暗号化されて埋め込まれた情報を復号する場合は、双方の装置間で予め公開鍵または共通鍵を決定しておく必要がある。
【0066】
なお、典型的には、上記実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1および改ざん検出装置2が実現する各機能は、所定のプログラムデータが格納された記憶装置(ROM,RAM,ハードディスク等)と、当該プログラムデータを実行するCPU(セントラル・プロセシング・ユニット)とによって実現される。この場合、各プログラムデータは、CD−ROMやフロッピーディスク等の記録媒体を介して導入されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る改ざん検出用情報埋込装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る改ざん検出装置2の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の改ざん検出用情報埋込装置1が行う処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の帯域分割部11の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図4の第1の帯域分割フィルタ100の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】離散ウェーブレット変換によって得られる各信号を2次元周波数領域で表現した図である。
【図7】図1の認証データ埋込部14が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図1の帯域合成部15の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図8の第1の帯域合成フィルタ400の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図2の改ざん検出装置2が行う処理を示すフローチャートである。
【図11】図2の埋込情報抽出部23が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】32×32画素サイズのブロックと同一の空間的領域を表現するLH3信号およびLH2信号の変換係数を模式的に示す図である。
【図13】排他的論理和による演算の一例を説明する図である。
【図14】従来の電子認証の手順の概要を説明する図である。
【符号の説明】
1…改ざん検出用情報埋込装置
2…改ざん検出装置
11…帯域分割部
12…認証データ作成部
13…鍵データ埋込部
14…認証データ埋込部
15…帯域合成部
21…鍵データ抽出部
22…鍵データ判定部
23…埋込情報抽出部
24…領域対応埋込情報読出部
25…領域対応認証データ読出部
26…ブロック改ざん判定部
71〜73…デジタル画像信号
100,200,300…帯域分割フィルタ
101〜103…2帯域分割部
111〜113,411〜413…1次元の低域通過フィルタ(LPF)
121〜123,421〜423…1次元の高域通過フィルタ(HPF)
131〜133,141〜143…ダウンサンプラ
400,500,600…帯域合成フィルタ
401〜403…2帯域合成部
431〜433,441〜443…アップサンプラ
451〜453…加算器
Claims (15)
- デジタル画像信号内に予め定めた改ざん検出用の情報を埋め込む装置であって、
前記デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割する帯域分割手段と、
予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成する認証データ作成手段と、
前記複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(以下、MRAという)の変換係数に、前記鍵データを埋め込む鍵データ埋込手段と、
前記複数の周波数帯域のうち、前記MRA以外の周波数帯域(以下、MRRという)の変換係数に、前記認証データを埋め込む認証データ埋込手段と、
データ埋め込み処理後の前記MRAと前記MRRとを用いて、情報の埋め込みがなされたデジタル画像信号を再構成する帯域合成手段とを備える、改ざん検出用情報埋込装置。 - 設定値T(Tは、正の整数)および設定値m(mは、T以下の正の整数)を予め定め、また、変換係数を所定の量子化ステップサイズで割った値をqとして予め定め、
前記認証データ埋込手段は、
前記変換係数の絶対値と前記設定値Tとをそれぞれ比較して、前記変換係数の絶対値が前記設定値T未満の場合、埋め込むべき前記認証データのビット値に応じて、当該変換係数を前記設定値+mまたは−mに設定し、前記変換係数の絶対値が前記設定値T以上の場合、埋め込むべき前記認証データのビット値に応じて、当該変換係数を前記値qに最も近い偶数または奇数の整数値に設定することによって、
前記MRRの各変換係数に、前記認証データをそれぞれ埋め込むことを特徴とする、請求項1に記載の改ざん検出用情報埋込装置。 - 特定の装置によってデジタル画像信号内に埋め込まれた改ざん検出用情報を用いて、デジタル画像の改ざんを検出する装置であって、
前記デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割する帯域分割手段と、
前記複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(以下、MRAという)の変換係数から、前記特定の装置で埋め込まれた鍵データを抽出する鍵データ抽出手段と、
前記鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成する認証データ作成手段と、
前記複数の周波数帯域のうち、前記MRA以外の周波数帯域(以下、MRRという)の変換係数から、前記特定の装置で前記鍵データに基づいて埋め込まれた埋込情報を抽出する埋込情報抽出手段と、
前記認証データと前記埋込情報とを比較照合して、前記デジタル画像の改ざんの有無を判定する改ざん判定手段とを備える、改ざん検出装置。 - 前記改ざん判定手段は、
デジタル画像を、予め定めた複数の画素で構成される複数の単位ブロックに分割するブロック分割手段と、
前記単位ブロック毎に、当該単位ブロックと同一の空間的領域を表現する前記MRR内に埋め込まれている情報を、前記埋込情報の中から系列的に読み出す領域対応埋込情報読出手段と、
前記単位ブロック毎に、前記領域対応埋込情報読出手段で系列的に読み出された埋込情報と同じ位置に対応するデータを、前記認証データの中から系列的に読み出す領域対応認証データ読出手段と、
読み出された前記埋込情報の系列と前記認証データの系列とを、前記単位ブロック毎に比較することによって、前記単位ブロック毎の改ざんの有無を判定するブロック改ざん判定手段とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の改ざん検出装置。 - 設定値T(Tは、正の整数)および変換係数を量子化ステップサイズで割り四捨五入した値をpとして予め定め、
前記埋込情報抽出手段は、
前記変換係数の絶対値と前記設定値Tとをそれぞれ比較して、前記変換係数の絶対値が前記設定値T未満の場合、当該変換係数の値が正か負かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出し、前記変換係数の絶対値が前記設定値T以上の場合、前記値pが偶数か奇数かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出することによって、
前記MRRの各変換係数から、そこに埋め込まれた前記埋込情報をそれぞれ抽出することを特徴とする、請求項3または4に記載の改ざん検出装置。 - デジタル画像信号内に予め定めた改ざん検出用の情報を埋め込む方法であって、
前記デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(以下、MRAという)の変換係数に、前記鍵データを埋め込むステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、前記MRA以外の周波数帯域(以下、MRRという)の変換係数に、前記認証データを埋め込むステップと、
データ埋め込み処理後の前記MRAと前記MRRとを用いて、情報の埋め込みがなされたデジタル画像信号を再構成するステップとを備える、改ざん検出用情報埋込方法。 - 設定値T(Tは、正の整数)および設定値m(mは、T以下の正の整数)を予め定め、また、変換係数を所定の量子化ステップサイズで割った値をqとして予め定め、
前記認証データを埋め込むステップは、
前記変換係数の絶対値と前記設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T未満の場合、埋め込むべき前記認証データのビット値に応じて、当該変換係数を前記設定値+mまたは−mに設定するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T以上の場合、埋め込むべき前記認証データのビット値に応じて、当該変換係数を前記値qに最も近い偶数または奇数の整数値に設定するステップとを含み、
前記MRRの各変換係数に、前記認証データをそれぞれ埋め込むことを特徴とする、請求項6に記載の改ざん検出用情報埋込方法。 - 特定の装置によってデジタル画像信号内に埋め込まれた改ざん検出用情報を用いて、デジタル画像の改ざんを検出する方法であって、
前記デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(以下、MRAという)の変換係数から、前記特定の装置で埋め込まれた鍵データを抽出するステップと、
前記鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、前記MRA以外の周波数帯域(以下、MRRという)の変換係数から、前記特定の装置で前記鍵データに基づいて埋め込まれた埋込情報を抽出するステップと、
前記認証データと前記埋込情報とを比較照合して、前記デジタル画像の改ざんの有無を判定するステップとを備える、改ざん検出方法。 - 前記改ざんの有無を判定するステップは、
デジタル画像を、予め定めた複数の画素で構成される複数の単位ブロックに分割するステップと、
前記単位ブロック毎に、当該単位ブロックと同一の空間的領域を表現する前記MRR内に埋め込まれている情報を、前記埋込情報の中から系列的に読み出すステップと、
前記単位ブロック毎に、前記系列的に読み出された埋込情報と同じ位置に対応するデータを、前記認証データの中から系列的に読み出すステップと、
読み出された前記埋込情報の系列と前記認証データの系列とを、前記単位ブロック毎に比較することによって、前記単位ブロック毎の改ざんの有無を判定するステップとを備えることを特徴とする、請求項8に記載の改ざん検出方法。 - 設定値T(Tは、正の整数)および変換係数を量子化ステップサイズで割り四捨五入した値をpとして予め定め、
前記埋込情報を抽出するステップは、
前記変換係数の絶対値と前記設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T未満の場合、当該変換係数の値が正か負かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T以上の場合、前記値pが偶数か奇数かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップとを含み、
前記MRRの各変換係数から、そこに埋め込まれた前記埋込情報をそれぞれ抽出することを特徴とする、請求項8または9に記載の改ざん検出方法。 - デジタル画像信号内に予め定めた改ざん検出用の情報を埋め込む方法が、コンピュータ装置で実行可能なプログラムとして記録された媒体であって、
前記デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
予め定めた鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(以下、MRAという)の変換係数に、前記鍵データを埋め込むステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、前記MRA以外の周波数帯域(以下、MRRという)の変換係数に、前記認証データを埋め込むステップと、
データ埋め込み処理後の前記MRAと前記MRRとを用いて、情報の埋め込みがなされたデジタル画像信号を再構成するステップとを、少なくとも実行するためのプログラムを記録した、記録媒体。 - 設定値T(Tは、正の整数)および設定値m(mは、T以下の正の整数)を予め定め、また、変換係数を所定の量子化ステップサイズで割った値をqとして予め定め、
前記認証データを埋め込むステップは、
前記変換係数の絶対値と前記設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T未満の場合、埋め込むべき前記認証データのビット値に応じて、当該変換係数を前記設定値+mまたは−mに設定するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T以上の場合、埋め込むべき前記認証データのビット値に応じて、当該変換係数を前記値qに最も近い偶数または奇数の整数値に設定するステップとを含み、
前記MRRの各変換係数に、前記認証データをそれぞれ埋め込むことを特徴とする、請求項11に記載の記録媒体。 - 特定の装置によってデジタル画像信号内に埋め込まれた改ざん検出用情報を用いて、デジタル画像の改ざんを検出する方法が、コンピュータ装置で実行可能なプログラムとして記録された媒体であって、
前記デジタル画像信号を複数の周波数帯域に分割するステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、最も低い周波数帯域(以下、MRAという)の変換係数から、前記特定の装置で埋め込まれた鍵データを抽出するステップと、
前記鍵データを用いて疑似乱数系列を作成し、当該疑似乱数系列から認証データを作成するステップと、
前記複数の周波数帯域のうち、前記MRA以外の周波数帯域(以下、MRRという)の変換係数から、前記特定の装置で前記鍵データに基づいて埋め込まれた埋込情報を抽出するステップと、
前記認証データと前記埋込情報とを比較照合して、前記デジタル画像の改ざんの有無を判定するステップとを、少なくとも実行するためのプログラムを記録した、記録媒体。 - 前記改ざんの有無を判定するステップは、
デジタル画像を、予め定めた複数の画素で構成される複数の単位ブロックに分割するステップと、
前記単位ブロック毎に、当該単位ブロックと同一の空間的領域を表現する前記MRR内に埋め込まれている情報を、前記埋込情報の中から系列的に読み出すステップと、
前記単位ブロック毎に、前記系列的に読み出された埋込情報と同じ位置に対応するデータを、前記認証データの中から系列的に読み出すステップと、
読み出された前記埋込情報の系列と前記認証データの系列とを、前記単位ブロック毎に比較することによって、前記単位ブロック毎の改ざんの有無を判定するステップとを備えることを特徴とする、請求項13に記載の記録媒体。 - 設定値T(Tは、正の整数)および変換係数を量子化ステップサイズで割り四捨五入した値をpとして予め定め、
前記埋込情報を抽出するステップは、
前記変換係数の絶対値と前記設定値Tとをそれぞれ比較するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T未満の場合、当該変換係数の値が正か負かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップと、
比較の結果、前記変換係数の絶対値が前記設定値T以上の場合、前記値pが偶数か奇数かを判定し、当該判定の結果に基づいて当該変換係数に埋め込まれた情報のビット値を抽出するステップとを含み、
前記MRRの各変換係数から、そこに埋め込まれた前記埋込情報をそれぞれ抽出することを特徴とする、請求項13または14に記載の記録媒体。
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