JP4307315B2 - 光学素子の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子製造方法に係り、特に、微粒子を周期的に配列させた微粒子周期構造体を利用した導波路、光共振器やレーザ、光スイッチなどのフォトニック結晶光学デバイスや、インバースオパール構造、およびその間隙に機能材料を充填させた光デバイスなどの光学素子製造方法に関する。
フォトニックバンドギャップにより結晶中に光を閉じ込めることが可能なフォトニック結晶は、光学デバイスに利用できる材料として期待され、研究開発が盛んになされている。
フォトニック結晶形成技術として、光学媒質(微粒子)の自己組織化を利用した方法がある。自己組織化を利用して配列された微粒子膜(周期構造体、フォトニック結晶)は、高品質、大表面積を可能にするものとして特に期待されている。
永山らは、特開平7−116502号公報(特許文献1)およびそれに対応する特許第2828386号公報(特許文献2)において、コロイド溶液を用いた「微粒子薄膜の製造方法」を報告している。
これは、液体の毛管力を利用し、溶媒の蒸発速度、微粒子の体積分率を制御することにより集積される結晶の高品質化を図ったものである。2枚の実質的に平行な面の間の狭い間隙にコロイド結晶を成長させる方法もピュージ、ピーター・ニカラスら(特許第2693844号公報「懸濁コロイド球」(特許文献3))をはじめとして報告されている。
その際に、2枚の基板のうちの下部基板に型を施し、この型を利用して、微粒子で形成される形状を制御するようにした技術が、Younan Xiaらによって提案されている(B. T. Mayers, et al., Advanded Materials, 12, No.21, pp.1629-1632, 2000.(非特許文献1)、S. H. Park, et al., Advanded Materials, 11, No.6, pp. 462-466, 1999.(非特許文献2)参照)。
使用する微粒子としては単分散の良いシリカやポリスチレンが用いられるのが一般的である。しかしながら、これらの物質ではデバイス材料としては屈折率が十分に高くなく所望の特性のデバイスを得ることができない。
屈折率のより高い微粒子膜を作製するために、上記の方法により作製された微粒子膜を利用してさらに改善した方法が報告されている。その方法とは、微粒子膜の微粒子間の空隙に光硬化性樹脂などのモノマーを流し込み、固体させた後、微粒子をエッチングにより取り除いて、ポリマーによる周期構造体(反転構造、逆オパール構造、インバース構造、あるいはテンプレートと呼ばれる)を得るインバースオパール法と呼ばれる方法である。
インバースオパール法については、V. L. Colvinらによって精力的に報告されている(P. Jiang, et al., J. Am. Chem. Soc., 121, pp. 11630-11637, 1999.(非特許文献3)、K. M. Kulinowski, et al., Advanded Materials, 12, No.11, pp.833-838, 2000.(非特許文献4)、特開2003−2687号公報(特許文献4)参照)。
さらに、改善された方法も提案されている。それは、インバースオパール法において、最初に微粒子が存在していた空隙に屈折率のより高い材質を充填し、インバースオパール法によって得られた箇所(逆オパール構造)を取り除くようにしたものである。その結果、自己組織化によって最初に得られた周期構造とほぼ同等な周期構造体を材質が変わった形で得ることができる。
このような中空微粒子構造体に関するものとしては、V. L. Colvinグループ、デイビット・ノリスらによるP. Jiang, et al., Science, Vol.291, pp. 453-457, 2001.(非特許文献5)や特許第3183344号公報(特許文献5)がある。微粒子が存在していた空隙に液晶分子を充填することも可能である。このような周期構造体においても最初に作製される微粒子膜が鋳型になるので、微粒子を欠陥なく配列させる技術を高めることは重要である。
光学素子として使用する場合には、例えば、導波路では周期構造体の中に例えば微粒子が存在しない空間が連続的に存在するなど、光路となる箇所が必要となる。光路となる箇所の作製方法としては、Lee, et al.により提案されている(Adv. Mater.14, 271-274, 2003;非特許文献6参照)。
この文献で提案されている方法は、シリカ球による周期構造体の間隙にモノマーを流し込み、レーザを用いて特定の箇所のモノマーを選択的に硬化させるとともに、硬化していないモノマーを取り除いてシリコンを導入し、シリカ球とポリマーを選択的に取り除き、ポリマーが存在していた箇所を導波路とする方法である。
特開平7−116502号公報 特許第2828386号公報 特許第2693844号公報 特開2003−2687号公報 特許第3183344号公報 B. T. Mayers, et al., Advanded Materials, 12, No.21, pp.1629-1632, 2000. S. H. Park, et al., Advanded Materials, 11, No.6, pp. 462-466, 1999. P. Jiang, et al., J. Am. Chem. Soc., 121, pp. 11630-11637, 1999. K. M. Kulinowski, et al., Advanded Materials, 12, No.11, pp.833-838, 2000. P. Jiang, et al., Science, Vol.291, pp. 453-457, 2001. Lee, et al. 周期構造体を用いた光学素子のデバイス化の提案Adv. Mater.14, 271-274, 2003
上記の微細加工方法により作製される導波路では、2次元的な光の閉じ込めは可能であるが、上下方向への光の閉じ込めができないため上下方向に光が漏れてしまい実用化できないという問題がある。従って、3次元的に光を閉じ込めることが可能な周期構造体を有する導波路などの光学素子作製方法の開発が待たれている。
そこで、本発明の目的は、3次元的(厚さ方向)に光を閉じ込めることが可能な周期構造体を有する光学素子製造方法を提供することである。
以下、本発明の目的を請求項毎に述べる。
(a)請求項1目的
請求項1係る発明の目的は、周期構造体に凹凸加工を施すことにより、3次元的に光を閉じ込めることが可能な周期性構造体を有する光学素子(光レーザ素子)を簡易に作製する作製方法を提供することである。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、非周期構造体を空隙とすることを目的とする。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、単分散性の良い微粒子を用いることにより、光学素子を簡易に作製し、光の損失を少なくすることを目的とする。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、工程(c)にて高分子からなるポリマーを使用することにより、固化もしくは固定化を簡易にし、また、後の工程で簡易に除去することを目的とする。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、請求項に係る発明の目的と同じである。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、空隙による周期構造を作製することである。
(g)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、請求項に係る発明の目的と同じである。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、低分子からなるモノマーを使用することにより、固化もしくは固定化を簡易にし、また、後の工程で簡易に除去することを目的とする。
)請求項の目的
請求項に係る発明の目的は、微粒子の周期的配列と微粒子間の充填を同時に行い、作製時間の短縮と微粒子配列精度の向上を図ることである。
)請求項10の目的
請求項10に係る発明の目的は、液状物質もしくはナノ粒子として安定に供給できる材料を用いて、構造体の信頼性を上げることである。
)請求項11の目的
請求項11に係る発明の目的は、微粒子を簡易に除去することである。
本発明は、上記目的と達成するために次の如き構成を採用した。
(1)請求項1に係る発明は、屈折率の異なる2種類以上の媒質がフォトニックバンドギャップを有する周期構造体を形成し、前記周期構造体中の一部に3次元的に取り囲まれた非周期構造体を含む光学素子の作製方法であって、以下の工程順に作製することを特徴とする。
(a)コロイド溶液を用いて、1枚の基板表面に、微粒子を周期的に配列させることにより周期構造体を作製する工程。
(b)工程(a)にて作製された周期構造体の表面にレーザ照射により凹凸加工を施す工程。
(c)工程(a)および工程(b)により基板上に形成された周期構造体の凹部分に液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程。
(d)工程(a)にて用いたコロイド液を用いて、工程(c)による作製物表面に新たに周期構造体を作製する工程。
)請求項に係る発明は、請求項に記載の光学素子の作製方法において、前記工程(d)の後に、さらに以下の工程(e)を加えたことを特徴とする。
(e)前記工程(c)にて使用した液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を固化もしくは固定化したものを除去する工程。
)請求項に係る発明は、請求項1または2に記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)におけるコロイド液シリカ微粒子もしくはポリスチレン微粒子を含むことを特徴とする。
)請求項に係る発明は、請求項のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(c)における液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程は、低分子を含み、光もしくは熱により、ポリマーとして固化もしくは固定化する工程であることを特徴とする。
(5)請求項5に係る発明は、屈折率の異なる2種類以上の媒質がフォトニックバンドギャップを有する周期構造体を形成し、前記周期構造体中の一部に3次元的に取り囲まれた非周期構造体を含む光学素子の作製方法において、以下の工程順に作製することを特徴とする。
(a)コロイド溶液を用いて、最終的に1枚の基板表面に、微粒子を周期的に配列させることにより周期構造体を作製する工程。
(b)工程(a)にて作製された周期構造体の表面にレーザ照射により凹凸加工を施す工程と、工程(a)において作製された周期構造体の微粒子間に工程(a)にて用いた材質とは異なる液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体を流し込み、それを固化もしくは固定化する工程からなる工程。
(c)工程(b)にて加工を施した凹箇所に液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程。
(d)工程(a)にて用いたコロイド溶液を用いて、工程(c)による作製物表面に新たに微粒子を規則配列させて周期構造体を作製する工程。
(e)工程(a)にて用いたコロイド溶液を用いて工程(d)により作製した周期構造体の微粒子間隙に工程(b)にて用いた液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体を流し込み、それを固化もしくは固定化する工程。
)請求項に係る発明は、請求項5記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)および前記工程(d)にて用いた微粒子を除去する工程を含むことを特徴とする。
)請求項に係る発明は、請求項5または6のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)におけるコロイド液シリカ微粒子もしくはポリスチレン微粒子を含むことを特徴とする。
)請求項に係る発明は、請求項のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(c)における液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程は、低分子を含み、光もしくは熱により、ポリマーとして固化もしくは固定化する工程であることを特徴とする。
(9)請求項9に係る発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)と前記工程(b)のうち「工程(a)において作製される周期構造体の微粒子間に工程(a)にて用いた材質とは異なる液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体を流し込み、それを固化もしくは固定化する工程」、もしくは前記工程(d)と前記工程(e)の少なくとも一方を同時に行うことを特徴とする。
10)請求項10に係る発明は、請求項のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程()における液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体と、前記工程(e)における液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体は、シリカナノ粒子もしくはチタニアナノ粒子を含むことを特徴とする。
11)請求項11に係る発明は、請求項10のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記微粒子を除去する工程は、熱による微粒子の焼失であることを特徴とする。
以下、本発明の各請求項の効果を述べる。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、簡易に非周期構造体を作製できるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、空隙からなる非周期構造体を得ることができるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、配列が規則的な周期構造体を作製できるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程は、低分子を含み、光もしくは熱により、ポリマーとして固化もしくは固定化する工程であることを特徴とするため、後に簡易にその箇所を空隙にできるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、簡易に非周期構造体を作製できるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、微粒子を除去する工程を含むことを特徴とするため、球形空隙からなる周期構造を作製できるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法では、コロイド液として、シリカ微粒子もしくはポリスチレン微粒子を含むことを特徴とするため、規則的に配列した周期構造体を作製できるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程は、低分子を含み、光もしくは熱により、ポリマーとして固化もしくは固定化する工程であることを特徴とするため、その箇所を後に除去するのが簡易であるという効果を奏する。
請求項に対する効果
請求項に係る光学素子の作製方法によれば、作製時間を短縮できるという効果を奏する。
請求項10に対する効果
請求項10に係る光学素子の作製方法によれば、液状物質、もしくはナノ粒子として、シリカナノ粒子もしくはチタニアナノ粒子を含むことを特徴とするため、安定に材料を供給でき、作製された光学素子の質も高いという効果を奏する。
請求項11に対する効果
請求項11に係る光学素子の作製方法によれば、微粒子を除去する工程は熱による微粒子の焼失である特徴とするため、簡易に微粒子除去を行うことができ、その後の周期構造も破損少なく得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。なお、各実施例の説明中、同様の構造を有する場合は共通の図面を用いて説明する。
<実施例1>
図1は、実施例1により作製した光学素子1の模式図である。
図1に示す光学素子1は、中央部に波長650nm程度の光を伝播させる箇所(縦横各約1μm)があり、光導波路としての役割を果たすものである。本実施例における光導波部は長方形状の断面を持つ直方体形状の空隙からなり、その他の箇所(直方体形状の光導波部を取り囲む部分)はシリカ微粒子(粒径約300nm)による周期構造からなる。
図1(a)は光学素子1の正面図である。基板2上にシリカ微粒子からなる周期構造体が形成されている。図1(a)において光導波部を通るような断面図を図1(b)に示す。以下に示す図1〜17では、粒子径、層数、亀裂の数などは実際に作製した構造体とは異なるが、簡単に模式的に示している。
以下、本実施例における図1の光学素子1の作製方法を説明する。
まず、図2に示すように、表面に加工が施されたシリコン基板3を用意した。同図(a)はシリコン基板3を横から見た図、同図(b)はシリコン基板3を上から見た図であり、シリコン基板3には凹凸が形成されていることを示している。図2では、簡単化のために凹凸箇所を3箇所示しているが、実際には数多く形成可能である。
上記シリコン基板3にフッ酸処理を施して撥水性を出した後、硫酸に浸すことにより親水性を施した平坦な石英基板4とテフロン(登録商標)スペーサ5を介して図3に示すように重ね合わせクリップで挟んで固定した。
次に、これらのシリコン基板3と石英基板4の間に、シリカ微粒子からなるオパール結晶を作製する工程を行った。
この工程では、まず、直径300nm、粒度分布の標準偏差が3%以内のシリカ微粒子7を分散させたシリカ微粒子分散エタノール溶液(1wt%、100ml)6を用意した。
次に、図4に示すように、上記のように重ね合わせたシリコン基板3と石英基板4を、シリコン基板3の凹凸の方向と水面が垂直になるようにシリカ微粒子分散エタノール溶液6に浸し、2枚の基板の上部を固定した(図4(a)は基板に平行な方向から見た図、図4(b)は基板と垂直な方向から見た図)。
シリカ微粒子分散エタノール溶液中には、常に攪拌子(図示せず)が回転するようにした。3〜4日程度そのまま放置し、シリカ微粒子分散エタノール溶液内の溶媒を乾燥させた。シリカ微粒子7が溶媒の蒸発に伴ってシリコン基板3と石英基板4の間を上昇して集積する。
その後、重ね合わせたシリコン基板3と石英基板4をシリカ微粒子分散エタノール溶液6から取り出し、十分乾燥させた。この際に、シリコン基板3と石英基板4の間には自己組織化により、図5に示すように、シリカ微粒子7による周期構造体8が形成されている。
基板上の微粒子膜の硬度を高めるために300℃にて5時間の加熱を行い、その後、シリコン基板3と石英基板4間に光硬化型樹脂を充填し、紫外線による光硬化をさせた後、シリコン基板3を取り外した。
図6に示す構造体9は、シリカ微粒子7が周期的に配列し、そのシリカ微粒子間隙を光硬化型樹脂が埋めた構造体である。シリコン基板3の凹凸加工によって形成した構造体の凹箇所(幅数μm)に、図7に示すように、さらに光硬化型樹脂10を滴下し、光硬化させた。このようにして、シリカ微粒子間および凹部に光硬化型樹脂10が埋められた構造体11を作製した。
図7(a)では、簡単化のために、凹部を微粒子の大きさと同程度のスケールで示してあるが、実際は図7(b)の拡大図に示すように、凹部のサイズは微粒子数個以上(図は3個の場合)の微粒子に対応するサイズを有している。10は凹部などに充填された光硬化型樹脂を、14は凹部を取り囲む周期構造体を示している。
上記構造体11をそのままシリカ微粒子を含むエタノール溶液に浸し、図8に示すように、構造体表面にシリカ微粒子膜15を形成した。400℃、5時間の加熱を行った結果、構造体に含まれる光硬化型樹脂10はすべて焼失した。その結果、図9に示すように、直方体状の空隙13をもつシリカ微粒子からなる周期構造体16が形成された。後にこれらを切り分けて、図1に示す光学素子1を作製した。
図1に示す光導波路型デバイスは、コロイド溶液の毛管力、微粒子の自己組織化を利用した周期構造体(微粒子膜)を作製し、シリコン基板に形成された加工形状を反映している。
2回目の微粒子膜形成工程では、シリコン基板に形成された加工形状が光硬化型樹脂によって保たれたまま、表面に微粒子膜が形成される。加工が施されたシリコン基板を用いているため、凹凸の加工精度は高い。
加熱により最終的には光硬化型樹脂は焼失するため、シリコン基板に形成された加工形状部分は空洞となる。図1に示す光導波路型デバイスは3次元的な光の閉じ込めを、微粒子周期構造を利用して作製したものであり、閉じ込めの効果は高い。
また、微粒子が自己組織的に配列する現象を利用したボトムアップ手法では、エッチング装置などを用いて材料を加工するトップダウン手法と比較して、材料の無駄がなく、プロセスとしても容易であるため、省資源・省エネルギーであり、環境面でも優れている。
従来では導波路などのフォトニック結晶は微細加工を施す方法でしか作製できず、環境面で問題があった。しかしながら、本発明により、環境面に優れかつある程度複雑な構造をもつフォトニック結晶を加工精度よく作製できるようになった。
<実施例2>
図1は、本願実施例2により作製した光学素子1の模式図でもある。
図1に示す光学素子は中央部に波長650nm程度の光を伝播させる箇所(縦横各約1μm)があり、光導波路としての役割を果たすものである。光導波部は空隙からなり、その他の箇所はシリカ微粒子(粒径約300nm)による周期構造からなる。図1(a)は正面図である。基板2上にシリカ微粒子からなる周期構造体が形成されている。図1(a)において光導波部を通るような断面図を図1(b)に示す。
以下、図1の光学素子1の作製方法を説明する。
まず、自己組織化により1枚の石英基板表面にシリカからなる周期構造体を作製した。上述した実施例1では、2枚の基板間に毛管力により周期構造体を作製する例を示したが、実施例2では、1枚の基板表面に周期構造体を形成した。この際に、直径300nm、粒度分布の標準偏差が3%以内のシリカ微粒子分散エタノール溶液(1wt%、100ml)を用い、基板を一定の速度で引き上げた。
上記周期構造体が形成された基板を十分乾燥させたのち、300℃にて5時間の加熱を行った。その後、周期構造体表面にフェムト秒レーザを用いて微粒子を一部除去し数μmの導波路を形成した。本実施例では、エネルギービームとしてフェムト秒レーザを用いた。
上記構造体に光硬化型樹脂を少量滴下し、光硬化を行った。このようにして、図7に示すような構造体を得た。シリカ微粒子の間隙およびフェムト秒レーザによって微粒子が除去された箇所を光硬化型樹脂が埋める形の構造体11を得た。
基板上に形成された上記構造体をそのまま、シリカ微粒子を含むエタノール溶液に浸し、一定速度で基板を溶液から引き上げることにより、図8に示すように構造体表面にシリカ微粒子膜15を形成した。400℃、5時間の加熱を行った結果、構造体に含まれる光硬化型樹脂はすべて焼失した。その結果、直方体状の空隙13をもつ周期構造体が図9に示すように形成された。後にこれらを切り分けて、図1に示す光学素子1を作製した。
図1に示す光導波路型デバイスは、コロイド溶液の毛管力、微粒子の自己組織化を利用した周期構造体(微粒子膜)を作製し、フェムト秒レーザを用いて加工を施した形状を反映している。2回目の微粒子膜形成工程では、加工形状が光硬化型樹脂によって保たれたまま、表面に微粒子膜が形成される。
フェムト秒レーザを用いた熱エネルギーによる凹凸の加工を行っているため、凹凸の加工精度は高い。加熱により最終的には光硬化型樹脂は焼失するため、フェムト秒レーザによる加工形状部分は空洞となる。
図1に示す光導波路型デバイスは3次元的な光の閉じ込めを、微粒子周期構造を利用して作製したものであり、閉じ込めの効果は高い。
<実施例3>
図10は、本願実施例3により作製した光学素子1の模式図である。
図10に示す光学素子17は、中央部に波長650nm程度の光を伝播させる箇所があり、光導波路としての役割を果たすものである。光導波部は直方体状の空隙(縦横各約1μm)からなり、その他の箇所は球形の空隙(直径約300nm)が周期的に配列した周期構造からなる。球形空隙の側壁はシリカナノ粒子が結合することによって形成されている。
ナノ粒子の大きさは、球形空隙の大きさの数百分の一程度であり、図では特にナノ粒子を球形として表していない。図10(a)は正面図である。基板2上に球形空隙からなる周期構造体が形成されている。図10(a)において光導波部を通るような断面図を図10(b)に示す。
次に、図10の光学素子17の作製方法を説明する。
まず、図2に示すように、表面に加工が施されたシリコン基板3を用意した。シリコン基板3には凹凸が形成されている。図2では、凹凸箇所を3箇所示しているが、実際には数多く形成可能である。
上記シリコン基板3にフッ酸処理を施して撥水性を出した後、硫酸に浸すことにより親水性を施した平坦な石英基板4とテフロン(登録商標)スペーサ5を介して図3に示すように重ね合わせクリップで固定した。
次にこれらの基板間にポリスチレン微粒子からなる周期構造、その微粒子間をシリカナノ粒子が埋める構造を作製する工程を行った。
直径300nm、粒度分布の標準偏差が3%以内のポリスチレン微粒子およびシリカナノ粒子(粒径4〜6nm)の混合水溶液(濃度は各粒子ともに0.5wt%、100ml)を用意した。
上記の重ね合わせた基板を、シリコン基板3の凹凸の方向と水面が垂直になるように溶液に浸し、基板の上部を固定した。3〜4日程度そのまま放置し、溶液内の溶媒を乾燥させた。
重ね合わせた基板を取り出し、十分乾燥させた。この際に、基板間には自己組織化によりポリスチレン微粒子による周期構造体18が形成されている。さらにポリスチレン微粒子間にはシリカナノ粒子が充填されている。この構造体を80℃で30分加熱し、ポリスチレン微粒子の結合を強めた。その後、シリコン基板を周期構造体18から取り外した(図12)。
図12に示す構造体はポリスチレンが周期的に配列し、その間隙をシリカナノ粒子が埋めた構造体である。シリコン基板の凹凸加工により形成された凹箇所に図13に示すように、光硬化型樹脂19を滴下し、光硬化させた。このようにして、ポリスチレン周期構造の粒子間にシリカナノ粒子および凹部に光硬化型樹脂が埋めた構造体を作製した。
上記構造体をそのままポリスチレンおよびシリカナノ粒子を含む水溶液に浸し、構造体表面にポリスチレン周期構造、その間隙をシリカナノ粒子が埋めた構造体20を新たに形成した(図14)。
500℃、5時間の加熱を行った結果、ポリスチレン微粒子および光硬化型樹脂はすべて焼失した(図15)。また、シリカナノ粒子は焼結した。この結果、直方体形状の空隙をもち、球形空隙からなる周期構造体21が形成された。後にこれらを切り分けて、図10に示す光学素子17を作製した。
図10に示す光導波路型デバイスは、コロイド溶液の毛管力、微粒子の自己組織化を利用した周期構造体(微粒子膜)の反転構造であり、シリコン基板に形成された加工形状を反映している。2回目の微粒子膜形成工程では、シリコン基板に形成された加工形状が光硬化型樹脂によって保たれたまま、表面に微粒子膜およびその間隙を埋めた構造が形成される。
加工が施されたシリコン基板を用いているため、凹凸の加工精度は高い。加熱により最終的にはポリスチレン微粒子、光硬化型樹脂は焼失するため、逆オパール構造が作製できるほか、シリコン基板に形成された加工形状部分は空洞となる。図10に示す光導波路型デバイスは3次元的な光の閉じ込めを、空隙周期構造を利用して作製したものであり、閉じ込めの効果は高い。
<実施例4>
図10は、本願実施例4により作製した光学素子1の模式図でもある。
図10に示す光学素子17は中央部に波長650nm程度の光を伝播させる長方形状の箇所があり、光導波路としての役割を果たすものである。光導波部は直方体状の空隙(縦横各約1μm)からなり、その他の箇所は球形の空隙(直径約300nm)が周期的に配列した周期構造からなる。
球形空隙の側壁はチタニアナノ粒子が結合することによって形成されている。ナノ粒子の大きさは、球形空隙の大きさの数百分の一程度であり、図では特にナノ粒子を球形として表していない。図10(a)は正面図である。基板2上にから空隙からなる周期構造体が形成されている。図10(a)において光導波部を通るような断面図を図1(b)に示す。
作製方法は実施例3に示した方法と同様であるが、コロイド混合液として、直径300nm、粒度分布の標準偏差が3%以内のポリスチレン微粒子およびチタニアナノ粒子(粒径5〜8nm)の混合水溶液(濃度は各粒子ともに0.5wt%、100ml)を用意した。実施例3とは異なり、シリカナノ粒子は用いなかった。また、最終的にポリスチレン微粒子および光硬化型樹脂を焼失させる工程では加熱条件は800℃、10時間とした。
このように作製された周期構造体はチタニアからなり、材質としてシリカを用いた実施例3と比較して、光の閉じ込めが強く、光の伝播における損失が少ない。
<実施例5>
図16は、本願実施例5により作製した光学素子1の模式図である。
図16に示す光学素子22は、中央部に波長650nm程度の光を伝播させる長方形状のシリカからなる箇所があり、光導波路としての役割を果たすものである。
光導波部は直方体状のシリカ(縦横各約1μm)からなり、その他の箇所は球形の空隙(直径約300nm)が周期的に配列した周期構造からなる。球形空隙の側壁はチタニアナノ粒子が結合することによって形成されている。
ナノ粒子の大きさは、球形空隙の大きさの数百分の一程度であり、図では特にナノ粒子を球形として表していない。図16(a)は正面図である。基板2上にからなる周期構造体が形成されている。図16(a)においる光導波部拡大図を図16(b)に示す。
作製方法は実施例3に示した方法と同様であるが、凹部を埋める材質として光硬化型樹脂ではなく、シリカナノ粒子を用いた。そのため、最終的に焼失する光硬化型樹脂とは異なり、シリカナノ粒子が結合した形で残った。また、最終的にポリスチレン微粒子を焼失させる工程では加熱条件は500℃、10時間とした。
このように作製された周期構造体は球形空隙の側壁はチタニアからなり、光導波部はシリカからなる。空隙による構造と比較して、光導波部に材料を充填することにより安定した構造となる。
<実施例6>
図10は、本願実施例6により作製した光学素子1の模式図でもある。
図10に示す光学素子17は中央部に波長650nm程度の光を伝播させる長方形状の箇所があり、光導波路としての役割を果たすものである。光導波部は直方体状の空隙(縦横各約1μm)からなり、その他の箇所は球形の空隙(直径約300nm)が周期的に配列した周期構造からなる。球形空隙の側壁はシリカナノ粒子が結合することによって形成されている。
ナノ粒子の大きさは、球形空隙の大きさの数百分の一程度であり、図では特にナノ粒子を球形として表していない。図10(a)は正面図である。基板2上に球形空隙からなる周期構造体が形成されている。図10(a)において光導波部を通るような断面図を図10(b)に示す。
以下に図10の光学素子17の作製方法を示す。まず、自己組織化により1枚の石英基板表面にポリスチレン微粒子の周期構造体およびその間隙をシリカナノ粒子が充填した構造体を作製した。直径300nm、粒度分布の標準偏差が3%以内のポリスチレン微粒子およびシリカナノ粒子(粒径4〜6nm)の混合水溶液(濃度は各粒子ともに0.5wt%、100ml)を用意した。
上記周期構造体が形成された基板を十分乾燥させたのち、80℃にて30分の加熱を行った。その後、周期構造体表面にフェムト秒レーザを用いて微粒子およびシリカナノ粒子を一部除去し数μmの凹状の導波路を形成した。本実施例では、エネルギービームとしてフェムト秒レーザを用いた。
形成された凹箇所に、光硬化型樹脂を滴下し、光硬化させた。このようにして、ポリスチレン周期構造の粒子間にシリカナノ粒子および凹部に光硬化型樹脂が埋めた構造体を作製した。
上記構造体を再度ポリスチレンおよびシリカナノ粒子を含む水溶液に浸し、構造体表面にポリスチレン周期構造、その間隙をシリカナノ粒子が埋めた構造体を新たに形成した。500℃、5時間の加熱を行った結果、ポリスチレン微粒子および光硬化型樹脂はすべて焼失した。また、シリカナノ粒子は焼結した。この結果、直方体形状の空隙をもち、球形空隙からなる周期構造体が形成された。後にこれらを切り分けて、図10に示す光学素子17を作製した。
図10に示す光導波路型デバイスは、コロイド溶液の毛管力、微粒子の自己組織化を利用した周期構造体(微粒子膜)の反転構造であり、フェムト秒レーザによる凹凸加工形状を反映している。2回目の微粒子膜形成工程では、加工形状が光硬化型樹脂によって保たれたまま、表面に微粒子膜およびその間隙を埋めた構造が形成される。
加工にはフェムト秒レーザを用いているため、凹凸の加工精度は高い。加熱により最終的にはポリスチレン微粒子、光硬化型樹脂は焼失するため、逆オパール構造が作製できるほか、レーザに形成された加工形状部分は空洞となる。図10に示す光導波路型デバイスは3次元的な光の閉じ込めを、空隙周期構造を利用して作製したものであり、閉じ込めの効果は高い。
<実施例7>
図17は、本願実施例7により作製した光学素子1の模式図である。
図17に示す光学素子は、中央部に波長650nm程度の光を閉じ込め、共振させる長方形状の箇所があり、光共振器部としてレーザ発振と同様の役割を果たすものである。
光共振器部は直方体状の空隙(縦横各約1μm)からなり、その他の箇所(周辺)は球形の空隙(直径約300nm)が周期的に配列した周期構造からなる。球形空隙の側壁はシリカナノ粒子が結合することによって形成されている。
ナノ粒子の大きさは、球形空隙の大きさの数百分の一程度であり、図17では特にナノ粒子を球形として表していない。図17(a)は正面図である。基板2上に球形空隙からなる周期構造体が形成されている。図17(a)において光共振器部(導波部)を通るような断面図を図17(b)に示す。作製方法は上述した実施例6とほぼ同様であるが、フェムト秒レーザによる加工の際に、光共振器部とする箇所のみを加工した。
図17に示す光導波路型デバイスは、コロイド溶液の毛管力、微粒子の自己組織化を利用した周期構造体(微粒子膜)の反転構造であり、フェムト秒レーザによる凹凸加工形状を反映している。
2回目の微粒子膜形成工程では、加工形状が光硬化型樹脂によって保たれたまま、表面に微粒子膜およびその間隙を埋めた構造が形成される。加工にはフェムト秒レーザを用いているため、凹凸の加工精度は高い。
加熱により最終的にはポリスチレン微粒子、光硬化型樹脂は焼失するため、逆オパール構造が作製できるほか、レーザに形成された加工形状部分は空洞となる。図17に示す光共振器型デバイスは3次元的な光の閉じ込めを、空隙周期構造を利用して作製したものであり、閉じ込めの効果は高い。
以上、本発明を説明するために実施例を示してきたが、本発明はこれらの実施例にとどまることなく応用できることは言うまでもない。光学媒質(微粒子)の種類は、シリカ、ポリエチレンのほかに酸化チタン、酸化ジルコニウムなど様々である。微粒子間に充填する樹脂やナノ粒子もポリエチレンテレフタレート、酸化アルミナなど様々である。これらを混合することも可能である。また、使用する樹脂は光硬化型樹脂に限らない。
また、微粒子径は通常数nmから数百nmのものが市販されているが、これらのサイズに限定されない。周期構造体を作製するために使用する微粒子径を変えることによって、閉じ込める光の波長を選択することが可能になることを付記しておく。
微粒子の形状は球形が望ましいが、周期構造をとれる形状であれば球形以外の形状でも問題はない。
周期構造体の作製方法は、基板を水平に設置する、基板に加工を施すなど、他の作製方法による周期構造体であってもよい。周期構造体は基板間に作製して、一方の基板を取り外す場合と、最初から1枚の基板表面に作製する場合がある。作製される周期構造体、使用する基板等の大きさ等は限定されず、材質は請求項を満たす範囲で限定されない。
周期構造体作製時における溶液濃度、温度などは限定されない。また、2枚の基板間に周期構造体を形成する場合にはスペーサの形状、材質、大きさ等は限定されない。例えば、球状、シート状など様々である。溶媒の蒸発の際に基板は水平面に対してほぼ垂直であることが好ましいが、多少傾斜しても大きな違いはない。
光導波部の材質としては、空気(空隙)、シリカのほかにも設計により様々である。周期構造体を利用する光学デバイスは光導波路に限らず、使用される材料(光学媒質)などによって、フォトニック結晶ファイバー、スーパープリズム、ディスプレーなど応用範囲は広い。
また、微粒子が自己組織的に配列する現象を利用したボトムアップ手法では、エッチング装置などを用いて材料を加工するトップダウン手法と比較して、材料の無駄がなく、プロセスとしても容易であるため、省資源・省エネルギーであり、環境面でも優れている。
トップダウン方式では、真空装置は真空ポンプ、ヒータなども用いるので電力を大量に長時間使用する上、材料が無駄になる。一方、本発明などのようなボトムアップ手法では基板を微粒子分散液に浸すことにより微粒子が集積し、周期構造体が形成されるので、作製に要するエネルギーが格段に小さく、プロセスそのものも省エネルギーになる。作製プロセスに用いる溶媒なども回収が容易で、省資源かつ環境に優しい。
従来では導波路などのフォトニック結晶は微細加工を施す方法でしか作製できず、環境面で問題があった。しかしながら、非周期構造を内部にもつ周期構造体を作製する方法を本発明にて提案することにより、環境面に優れ、かつ3次元的に光を閉じ込める構造をもつフォトニック結晶を作製できるようになった。
上記実施例では、加工にフェムト秒レーザを用いた例を示したが、荷電ビームなど他のエネルギービームを用いてもよい。
また、上記実施例では、基板上に形成された周期性構造物の凹部分に、液状物質やナノ粒子を含む液体を用いる例を示したが、例えば粉末状のチタニウム(固体)などを充填し、それを燒結して固定化するようにしてもよい。
微粒子周期構造による光学素子の概略図((a)正面図、(b)光導波部を通る断面図)である。 加工が施されたシリコン基板の概略図である。 スペーサを2枚の基板を介して重ね合わせた概略図である。 2枚の基板を重ね合わせて溶液中に浸す概略図((a)周期構造体形成の模式図、(b)基板の凹凸方向とコロイド液の方向を示した図)である。 2枚の基板間に形成された微粒子周期構造体の模式図である。 微粒子間に樹脂を充填・硬化させたのち、シリコン基板を取り除いた図である。 凹箇所にも樹脂を充填・硬化させた構造体を示す図((a)概略図、(b)凹部拡大図)である。 図7の構造体表面にさらに微粒子膜を形成した図である。 光硬化型樹脂が焼失した図である。 球形間隙周期構造による光学素子の概略図((a)正面図、(b)光導波部を通る断面図)である。 2枚の基板間に微粒子周期構造体が形成され、微粒子間にナノ粒子が充填された概略図である。 構造体から基板をシリコン基板を取り外した概略図である。 凹部に光硬化型樹脂などを充填した概略図である。 図13の構造体表面にさらに微粒子膜を形成した図である。 微粒子および光硬化型樹脂を焼失し、球形空隙からなる周期構造に長方形状の光導波部を形成した構造体の概略図である。 微粒子を焼失し、球形空隙からなる周期構造に、空隙ではない光導波部を形成した構造体の図((a)概略図、(b)凹部拡大図)である。 光共振器部をもつ周期構造体の概略図((a)正面図、(b)光共振器部を通る断面図)である。
符号の説明
1:直方体状の空隙をもち、微粒子からなる周期構造体
2:基板
3:加工が施したシリコン基板
4:平坦な石英基板
5:テフロン(登録商標)シートスペーサ
6:シリカコロイドを含むエタノール溶液
7:シリカ微粒子
8:微粒子からなる集積体(周期構造体)
9:微粒子からなる集積体の微粒子間隙を光硬化型樹脂が埋めた構造体
10:凹箇所に入れた光硬化型樹脂
11:凹箇所まで光硬化型樹脂で埋めた構造体
12:表面に新しい微粒子膜を形成した構造体
13:直方体状空隙
14:周期構造体
15:表面に新たに形成した微粒子膜およびその間隙を埋めた構造体
16:直方体状の空隙をもち、微粒子からなる周期構造体がいくつか形成された構造体
17:直方体状の空隙をもち、球形空隙からなる周期構造体
18:微粒子周期構造体およびその微粒子間隙を埋めた構造体
19:凹部を埋めた樹脂
20:2回目の自己組織化により作製された微粒子膜およびその微粒子間を埋めた構造体
21:直方体状の空隙からなる光導波部をもつ球形空隙からなる構造体
22:シリカナノ粒子からなる直方体状の光導波部をもち、球形空隙からなる周期構造体

Claims (11)

  1. 屈折率の異なる2種類以上の媒質がフォトニックバンドギャップを有する周期構造体を形成し、前記周期構造体中の一部に3次元的に取り囲まれた非周期構造体を含む光学素子の作製方法であって、以下の工程順に作製することを特徴とする光学素子の作製方法。
    (a)コロイド溶液を用いて、1枚の基板表面に、微粒子を周期的に配列させることにより周期構造体を作製する工程。
    (b)工程(a)にて作製された周期構造体の表面にレーザ照射により凹凸加工を施す工程。
    (c)工程(a)および工程(b)により基板上に形成された周期構造体の凹部分に液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程。
    (d)工程(a)にて用いたコロイド液を用いて、工程(c)による作製物表面に新たに周期構造体を作製する工程。
  2. 請求項1に記載の光学素子の作製方法において、前記工程(d)の後に、さらに以下の工程(e)を加えたことを特徴とする光学素子の作製方法。
    (e)前記工程(c)にて使用した液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を固化もしくは固定化したものを除去する工程。
  3. 請求項1または2に記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)におけるコロイド液はシリカ微粒子もしくはポリスチレン微粒子を含むことを特徴とする光学素子の作製方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(c)における液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程は、低分子を含み、光もしくは熱により、ポリマーとして固化もしくは固定化する工程であることを特徴とする光学素子の作製方法。
  5. 屈折率の異なる2種類以上の媒質がフォトニックバンドギャップを有する周期構造体を形成し、前記周期構造体中の一部に3次元的に取り囲まれた非周期構造体を含む光学素子の作製方法において、以下の工程順に作製することを特徴とする光学素子の作製方法。
    (a)コロイド溶液を用いて、最終的に1枚の基板表面に、微粒子を周期的に配列させることにより周期構造体を作製する工程。
    (b)工程(a)にて作製された周期構造体の表面にレーザ照射により凹凸加工を施す工程と、工程(a)において作製された周期構造体の微粒子間に工程(a)にて用いた材質とは異なる液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体を流し込み、それを固化もしくは固定化する工程からなる工程。
    (c)工程(b)にて加工を施した凹箇所に液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程。
    (d)工程(a)にて用いたコロイド溶液を用いて、工程(c)による作製物表面に新たに微粒子を規則配列させて周期構造体を作製する工程。
    (e)工程(a)にて用いたコロイド溶液を用いて工程(d)により作製した周期構造体の微粒子間隙に工程(b)にて用いた液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体を流し込み、それを固化もしくは固定化する工程。
  6. 請求項5に記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)および前記工程(d)にて用いた微粒子を除去する工程を含むことを特徴とする光学素子の作製方法。
  7. 請求項5または6に記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)におけるコロイド液はシリカ微粒子もしくはポリスチレン微粒子を含むことを特徴とする光学素子の作製方法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(c)における液状物質、ナノ粒子を含む液体、もしくは固体を挿入し、それを固化もしくは固定化する工程は、低分子を含み、光もしくは熱により、ポリマーとして固化もしくは固定化する工程であることを特徴とする光学素子の作製方法。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(a)と前記工程(b)のうち「工程(a)において作製される周期構造体の微粒子間に工程(a)にて用いた材質とは異なる液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体を流し込み、それを固化もしくは固定化する工程」、もしくは前記工程(d)と前記工程(e)の少なくとも一方を同時に行うことを特徴とする光学素子の作製方法。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記工程(b)における液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体と、前記工程(e)における液状物質、もしくはナノ粒子を含む液体は、シリカナノ粒子もしくはチタニアナノ粒子を含むことを特徴とする光学素子の作製方法。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の光学素子の作製方法において、前記微粒子を除去する工程は、熱による微粒子の焼失であることを特徴とする光学素子の作製方法。
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