JP4305321B2 - ガス漏れ警報器の点検方法 - Google Patents
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Description
図4は、ガス漏れ警報器を壁面に取り付ける場合の斜視図である。ガス漏れ検知器2は壁面に設置する場合は取り付け治具1の掛け金1aに掛けられる。取り付け治具は通常金属板であり両面粘着シールかネジ止めによって壁面に固定される。円形格子状流通孔24の奥にガスセンサS(図5に示す)が搭載されている。
図5はガス漏れ警報器の図4におけるA-A断面図である。
ガス漏れ警報器2の外形は上カバー21、下カバー22からなっており、それぞれの周円部が合致して組み立てられている。下カバー22に固定されたプリント基板23には、ガスセンサSが必要な電子部品と共に実装されている。上カバー21のガスセンサに対向する位置にはガスの流通孔24が開けられている。ガスセンサSは雑ガス除去用のフィルターFを備えている。
検知対象ガスまたは代替ガス(これらを総称して点検ガスという)としては、燃料ガスに対する動作確認にはライターガス(ブタンガス)が、あるいは、ガスコンロなどで採取される都市ガスをスポイト状の点検ガス供給手段Vに採取して用いられており、一方、一酸化炭素ガスセンサの動作確認にはライターガスの燃焼炎中の一酸化炭素を利用する方法が知られている(例えば特許文献1。)。
一方、ガス漏れ警報器に搭載されているガスセンサには、雑ガスによる誤報を防止するために、活性炭等のフィルターが使用されている。フィルターは、都市ガスの主成分であるメタンや水素や一酸化炭素などのガスは吸着しないものの、ブタンガスやアルコールなどのガスは容易に吸着する。そのため、ライター用のブタンガスを用いる場合は、長時間ガスセンサ部分に生ガスを噴射し、フィルターの吸着能を超えるブタンガスを噴射しなければならない。
本発明の目的は、ガス漏れ警報器を設置する現場で行うにおいて、簡便であり、安全なガス漏れ警報器の点検方法およびそれに適した点検ガス供給装置を提供することにある。
点検ガスとして前記フィルタに吸着されないアセチレンガスまたはメタンガスを化学反応によって発生させ、前記ガスセンサに外部から該点検ガスを与えて点検することとする。
前記アセチレンガスを、カーバイド(CaC2)と水との化学反応によって得ると良い。
前記メタンガスを、炭化アルミニウムと水との化学反応によって得ると良い。
上記の点検ガス発生装置において、前記化学反応の量を制御する手段を備えていることとする。
上記の点検ガス発生装置は、少なくとも、水を保有する第1容器とガス発生原料を保有する第2容器とからなり、前記化学反応の量を制御する手段として、それら2容器の間の隔壁に外部から操作できるバルブが、前記化学反応の量を制御する手段として、設けられ、また第2容器には発生したガスを外部に放出するパイプが設けられていると良い。
点検ガスとして、点検現場で、化学反応により発生させたアセチレンガスを用いるようにしたので、従来用いられなかったアセチレンガスを用いることができるようになった。
アセチレンガスをカーバイド(CaC2)と水(H2O)との化学反応((1)式に従う)によって発生させるので、これらの原料は取り扱いが容易であり、簡単な作業で点検を行なうことができる。
また、点検ガスとして、点検現場で、化学反応により発生させたメタンガスを用いるようにしたので、従来用いられなかったメタンガスを用いることができるようになった。
メタンガスは、炭化アルミニウム(Al4C3)と水(H2O)との化学反応((2)式に従う)あるいは酢酸ナトリウム(CH3CO2Na)とソーダ石灰(水酸化ナトリウムと酸化カルシウムを1:1で混合したもの)との化学反応(メタンガス発生に関わる化学反応は(3)式に従う)によって発生させるので、これらの原料は取り扱いが容易であり、簡単な作業で点検を行なうことができる。
CH3CO2Na + NaOH → CH4 + Na2CO3 (3)
アセチレンガスおよびメタンガスは、ガスセンサに用いられている活性炭に吸着されないので、点検ガスの吹きかけ後直ちにガスセンサは反応し、点検作業は短時間で終わる。
また、点検用ガスの供給を、化学反応をその内部で行う携帯用の点検ガス発生装置を用いて行うので、点検作業は簡便、容易である。
また、点検ガス発生量を制御できるようにしたため、可燃性ガスを不必要に発生させることはなく安全である。
また、上記のように、水を保有する第1容器とガス発生原料を保有する第2容器とからなり、それら2の容器の間の隔壁に外部から操作できるバルブが設けられ、また第2容器には発生したガスを外部に放出するパイプが設けられているので、点検ガスの発生量の制御や、ガス漏れ警報器への吹きかけが容易にできるので、点検作業は安全にかつ簡便に行うことができる。
点検ガス発生装置Aは、円筒型の底部にフランジA3を有する第1容器A1および上部周縁にフランジを有する第2容器A2を上下に重ね、フランジ同士を互いにゴムパッキンA4を挟んでネジA5で固定されている。下段の第2容器A2にはガス発生原料GS、例えばカーバイド(CaC2)、を入れる。そして、上段の第1容器A1には水Wを貯めておく。第1容器A1の底は第2容器A2との間の隔壁をなしており、第1容器A1の底には第2容器A2に水Wが落ちるように、つまみA6、連動するニードルバルブA7およびこれらの位置決めに用いられるスクリューA8とからなる注水機構すなわちガス発生量制御機構が取り付けられている。
つまみA6を緩めてニードルバルブA7を開閉して注水すると、化学反応が起こり、注水された量に応じた点検ガスG、この場合はアセチレンガス、が発生する。発生した点検ガスGは、第1容器A1に取り付けられたガス吹き出しパイプA9を通って外部に吹き出すようになっている。
図2は本発明に係る簡易型の点検ガス発生装置の断面図である。
柄杓子(カップB1に柄B2が取り付けられたもの)Bを簡易型の点検ガス発生装置として用いることもできる。カップB1にガス発生原料GSを適量入れておき、ガス漏れ警報器2の円形格子状流通孔24に近づけておく。そして、ガス発生原料GSに水を蓄えたスポイトB3から水Wを適量滴下させて、点検ガスを発生させれば良い。
実施例1
この実施例は、点検ガスとして、アセチレンガスを用いた場合にである。
ガス発生原料として、適当な大きさの粒に砕いたカーバイドを第1の容器に入れ、第2の容器には水を溜めておく。
点検ガス発生装置の吹き出しパイプをガス漏れ警報器の円形格子状流通孔に近づけておき、つまみ10bを緩めてニードルバルブ10aを開けて、約0.1mlの水を注ぎ、約40mlのアセチレンガスを発生させたところ、約10秒後に警報を発し、点検を行なうことができた。
実施例2
図2に示した簡易型の点検ガス発生装置を用いた。
カップに約0.1gのカーバイドを入れておき、設置したガス漏れ警報器の円形格子状流通孔24に近づけて、適量の水を加えてアセチレンガス約40mlを発生させたところ、約10秒後に警報を発し、点検を行なうことができた。
実施例3
この実施例は、点検ガスとして、メタンガスを用いた場合である。
ガス発生原料として、適当な大きさの粒に砕いた炭化アルミニウムを第1の容器に入れ、第2の容器には水を入れておく。
点検ガス発生装置の吹き出しパイプをガス漏れ警報器の円形格子状流通孔に近づけておき、つまみを緩めてニードルバルブを開けて、約0.4mlの水を注ぎ、約40mlのメタンガスを発生させたところ、約10秒後に警報を発し、点検を行なうことができた。
実施例4
図2に示した簡易型の点検ガス発生装置を用いた。
カップに約0.2gの炭化アルミニウムを入れておき、設置したガス漏れ警報器の円形格子状流通孔に近づけて、適量の水を加えてメタンガス約40mlを発生させたところ、約10秒後に警報を発し、点検を行なうことができた。
実施例5
この実施例は、点検ガスとして、メタンガスを用いた場合であり、図3に示す他の点検ガス発生装置を用いた。
縦長のカップ状の容器C1の底部の外側はヒーターC2で覆われている。容器の口にはガス吹き出しパイプC4が貫通されたゴム栓C3がはめられている。電源は図示を省略してある。
容器C1に酢酸ナトリウムとソーダ石灰(水酸化ナトリウムと酸化カルシウムとの1:1混合物)とを混合して入れ、ゴム栓C3で密閉した後、ヒーターC2に通電し、200℃程度に加熱することにより、式(3)の化学反応を起こしてメタンガスGを発生させた。投入電力は適量のガス、約40ml、を発生できるよう予め定めておいた。
点検ガス発生装置の吹き出しパイプをガス漏れ警報器の円形格子状流通孔に近づけたところ、約10秒後に警報を発し、点検を行なうことができた。
そのため、代替ガスであるブタンガスによる点検作業に比べ信頼性が高い。また、これらのガスはフィルターに吸着されないので、センサ部へのガスの到達時間が短く発報までの時間が短縮できる。また、ブタン等の代替ガスがフィルターに吸着され、その経時的な放出による鳴り止みの遅延やベース抵抗の低下に伴う誤報といった問題は皆無となる。
点検ガス発生装置をコンパクトに構成し持ち運び容易にすることができるようにしたため、点検ガス発生装置を直接ガス漏れ警報器近傍まで近づけて検知機能の動作確認をすることができるようになり、点検を容易に行うことができる。
また、スプーン形状容器に少量のカーバイドを入れ適量の水を加えてアセチレンガスを発生させて点検することも可能であり、現地で容易にアセチレンガスを得ることができ、一般家庭の容器内上部壁面に取り付けられた都市ガス用ガス漏れ警報器の検知機能の動作点検を容易に行うことができる。
また、センサの性能を劣化させる雑ガスの進入経路となる点検口や点検ガス用隙間が不要となり、長期的に安定した優れた警報器の提供が可能となる。
F フィルタ
2 ガス漏れ警報器
21 上カバー
22 下カバー
23 プリント基板
24 流通孔
25 格子
V 点検手段
A 点検ガス発生装置
A1 第1容器
A2 第2容器
A3 フランジ
A4 ゴムパキング
A5 ネジ
A6 つまみ
A7 ニードルバルブ
A8 スクリュー
A9 吹き出しパイプ
AH 取手
G 点検ガス
GS 点検ガス原料
W 水
B 簡易型の点検ガス発生装置
B1 カップ
B2 柄
C 他の点検ガス発生装置
C1 容器
C2 ヒーター
C3 ゴム栓
C4 パイプ
Claims (3)
- 半導体の電気抵抗値の変化によって都市ガスを検知するガスセンサと、
このガスセンサに取り付けられて、前記都市ガスの検知を妨害する雑ガスを吸着するフィルタと
を備えたガス漏れ警報器の点検方法において、
点検ガスとして前記フィルタに吸着されないアセチレンガスまたはメタンガスを化学反応によって発生させ、前記ガスセンサに外部から該点検ガスを与えて点検するものであって、
前記点検ガスは、少なくとも水を保有する第1容器および前記点検ガスを発生させる原料を保有する第2容器と、
これら二容器の間の隔壁に前記化学反応の量を制御するバルブと、
前記第2容器に発生した点検ガスを外部に放出するパイプと
を備えた点検ガス発生装置から得ることを特徴とするガス漏れ警報器の点検方法。 - 前記第2容器に保有させる原料は、カーバイド(CaC 2 )であって、前記第1容器に保有された水との化学反応によってアセチレンガスを点検ガスとして発生させるものである請求項1に記載のガス漏れ警報器の点検方法。
- 前記第2容器に保有させる原料は、炭化アルミニウムであって、前記第1容器に保有された水との化学反応によってメタンガスを点検ガスとして発生させるものである請求項1に記載のガス漏れ警報器の点検方法。
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