JP4302460B2 - 耐紫外線光学材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エキシマレーザ等の紫外域の高出力レーザ光を利用する光学装置に使用される光学用ガラス、マスク材料、遠紫外線、紫外線伝送用光学レンズ、プリズム等の耐紫外線性が要求される光学材料を製造する方法に関するものである。
エキシマレーザ等の紫外域の高出力レーザ光を利用する光学装置に使用される光学材料は、ほとんどが石英ガラスであり、二酸化珪素(以下「SiO」と記す)を基本構造としているものである。そして、エキシマレーザ等の紫外光に対する耐性を高めるために、その一部の構造を水酸基(以下「OH基」と記す)で置き換えたり(特開平8−2591255号公報及び特開平6−183752号公報参照)、フッ素で置き換えたり(特開平7−291635号公報参照)している。
また、他の方法として、石英ガラス内へ水素分子を溶存させたり(特開平3−101282号公報参照)、含有する不純物金属濃度や塩素濃度を規定したり(特開2001−48571号公報参照)して、紫外光に対する耐性を高めている。
しかし、エキシマレーザ等の紫外光に対する耐性を高めるために、SiO基本構造の一部をOH基やフッ素で置き換える方法があるが高濃度でドープすると、基本構造が≡Si−OHや≡Si−Fで終端される割合が増えることにより粘度や屈折率が下がるとともに耐レーザ特性も悪くなる。また、ドープ量を下げた場合、3員環、4員環といった前駆体を生起し易く、そしてこれら生起された前駆体はレーザ照射によってNBOHCやE'センターといった欠陥へと変化、進展するとされている。
さらに、OH基やフッ素が高いと、ガラスの屈折率が下がり、レンズ材料として使用するには開口数が低く、レンズも薄くすることが出来なくなるため、あまりOH基やフッ素濃度を高くすることは好ましくない。
なお、屈折率を調整する目的で、例えばゲルマニウムをドープすると、波長240nm付近に光学的吸収が存在することとなり、耐紫外線光学材料の屈折調整用としてゲルマニウムを使用するには不適であった。また、その他の元素をドープしても、波長180〜200nm付近に光学的吸収が生じることとなり、耐紫外線光学材料の屈折率調整用としてこれら元素を使用するには不適であった。
また、石英ガラスを製造する方法として、原料を直接酸水素バーナで加熱してガラス化する直接法に加え、ゾル−ゲル法やVAD法などの気相合成法などの一旦ガラス多孔質体を形成せしめた後、各種雰囲気中にて加熱処理して透明ガラス化する方法が行われている。特に、一旦ガラス多孔質体を形成した後、これを各種雰囲気条件下で加熱処理してガラス化する方法では、ガラス内部に種々の元素をドープすることが出来るという特徴を有する。
しかしながら、ガラス多孔質体へ元素をドープする場合、ガラス多孔質体自体が高い断熱性を有しているため、加熱によって内部まで一様な温度分布にするには多くの時間を要する。これは、ガラス多孔質体の寸法が大きいほど、内部まで均一に熱するのにより一層多くの時間を必要とし、製造するために要する時間やその間のエネルギー消費等コスト的に大きな問題を持っていた。
さらに、ドープする元素を含んだ雰囲気下での加熱では、外周部が他の部位より早く温度上昇するため、反応は外周部から起き、ガラス多孔質体の内部と外部とで反応が不均一となる問題が生じる。特に、ガラス多孔質体をさらに高温で加熱して透明ガラス化する場合には、外周部よりガラス化するため、内部の反応で生成したガス成分がガラス化したガラス内部に閉じこめられ易いという問題があった。
一方、石英ガラス等のガラス製造に際して、窒素ガスを供給して行うことが種々の目的のために提案されている。例えば、特開平3−40929号公報においては、ガラスの粘性を高めて、高温耐性を向上せしめる目的のために、又特開平5−345636号公報においては、窒素の発泡によって不透明なガラスを得る目的ためになされている。
さらに、特開2001−302274号公報においては、熱処理時での酸化防止のため雰囲気を不活性にするために窒素ガス使用されている。その他、脱水処理における脱水剤の供給等のキャリアガスとしても用いられている。
しかし、耐紫外線性を高めるために、窒素ガス等の不活性ガスを活用することについては何ら示唆はない。
特開平3−40929号公報 特開平5−345636号公報 特開2001−302274号公報
よって、本発明における課題は、紫外線に対する耐性の向上を図り、耐用寿命を延長することができ、紫外光線領域の高出力レーザを利用する光学装置に好適に使用し得るレンズ、プリズム等の耐紫外線光学材料の製造方法を提供することにある。
かかる課題を解決するため、
請求項1に係わる発明は、気相合成法にて形成した多孔質状のスート体を、水素雰囲気でマイクロ波加熱して第1熱処理を施し、続いて雰囲気を不活性ガスに置換して、フッ化物ガスを導入しながらマイクロ波加熱する第2熱処理を施した後、雰囲気を不活性ガス雰囲気にしてマイクロ波加熱する第3熱処理を施して透明ガラス化するとともに不活性ガスをガラス内部に溶存せしめることを特徴とする耐紫外線光学材料の製造方法である。
請求項2に係わる発明は、前記第3熱処理での不活性ガスが、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載の耐紫外線光学材料の製造方法である。
請求項3に係わる発明は、前記第3熱処理での不活性ガス雰囲気の圧力が、10Pa〜10MPaの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の耐紫外線光学材料の製造方法である。
請求項4に係わる発明として、前記マイクロ波の周波数が、20GHz〜300GHzであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐紫外線光学材料の製造方法である。
本発明の耐紫外線光学材料の製造方法によれば、多孔質状のスート体を、第1熱処理で水素雰囲気でマイクロ波加熱して、スート体を還元反応させて脱水し、これを第2熱処理でフッ化物ガスを流してマイクロ波加熱して、スート全体を均一にフッ素で反応させ、次いで第3熱処理で窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気でマイクロ波加熱するようにしたので、SiO基本構造内に窒素を溶存せしめた状態のガラス体を得ることができる。そして、この時溶存不活性ガスにより、SiO基本構造形成に無理な歪みが付加されることなく、ボンディングが進行し、3員環、4員環といった前駆体の生成が抑制されて、その後のエキシマレーザなどの紫外線の照射よる劣化が抑えられ、優れた耐紫外線特性を有する光学材料のガラス体を得ることができる。
そして本発明によれば、加熱手段としてマイクロ波加熱を採用しているので、酸水素炎や電気炉による加熱で生じる温度勾配が生じることなく、被加熱物内部の温度分布をほぼ均一に加熱でき、緻密化したガラス体を得ることができる。しかも、周波数が20GHz〜300GHzという高い周波数のマイクロ波を使用するようにしているので、高い熱が均一に発生して透明ガラス化が進むので、従来の均熱炉のような外周部から透明ガラス化が進んで、内部にガスが閉じこめられるようなことはなく、ガラス体内で発泡することがなく、透明度が高く、紫外線透過率の優れた耐紫外線特性を有する光学材料としてのガラス体を製造することができる。
以下、本発明の一例を詳しく説明する。
この耐紫外線光学材料の製造方法は、例えば、図1に図示する製造工程系統図に従って行われるものである。
先ず、スート形成工程10で、例えば公知のVAD法などの気相合成法によって、多孔質状の高純度石英ガラスからなるスート体Sを得る。ついで、このスート体Sをマイクロ波加熱装置に入れて、水素ガス雰囲気にしてマイクロ波加熱する第1の熱処理1を行い、スート体S内を均一に還元反応せしめる。
次いで、雰囲気を不活性ガスに置換した後、フッ化物ガスを導入して、マイクロ波加熱によって加熱する第2の熱処理2を行い、スート体Sを均一にフッ素と反応させて、欠陥をSi-F結合に置き換える。そして、このSi-F結合に置き換えた多孔質状のスート体Sを、引き続き窒素などの不活性ガス雰囲気に置換した炉内で、マイクロ波加熱する第3の熱処理3を行う。
この第3熱処理3により、スート体S内に窒素などの不活性ガスを均一に溶存せしめるとともに、スート体Sを透明ガラス化してガラス体とする。この時に3員環、4員環等の前駆体の生成が抑制され、耐紫外線性が高い耐紫外線光学材料となる透明ガラス体Zが得られる。
以下、上述の第1熱処理1、第2熱処理2及び第3熱処理3について、詳細に説明する。
[第1熱処理1]
多孔質状のスート体Sを第1熱処理するにあたっては、スート体Sをマイクロ波加熱装置(波長域 近ミリ波〜ミリ波帯:20GHz〜300GHz)に収容して、炉内を水素ガス(H)雰囲気にする。この時水素ガス雰囲気の圧力を約10〜100,000Pa、特に好ましくは100〜500Paに保持する。
この時、水素ガス濃度があまり高いと、水素ガスの吸熱作用により、スート体Sの温度上昇を妨げ、好ましくない。そこで、ヘリウムガス(He)等の不活性ガスを混合して使用することが好ましいが、ヘリウムガスも水素ガスと同様に吸熱作用が大きいため、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスと混合して使用すると良い。
上記第1熱処理1で、水素ガス雰囲気でマイクロ波加熱を行うと、水素が還元剤として働き、主に以下に示す化学反応がスート体S内に起こるものと考えられる。(≡は結合している手が3つあることを表し、・は不対電子を表す。)
≡Si-Si≡ + H → ≡Si-H H-Si≡
および
≡Si-O-Si≡ + H → ≡Si-O-H + H-Si≡
特に、酸素過剰でスートが製造された場合は下記化学反応も起きると考えられる。
≡Si-O-O-Si≡ + H → ≡Si-OH + HO−Si≡
および
(溶存)+2H → 2H
また、マイクロ波を使用した加熱により、スート体Sは内部、外部ともほぼ一様な温度で熱せられ、反応のむらが起き難く、一様な反応を示す。なお、マイクロ波加熱を行う時の加熱温度は、100℃〜1000℃の範囲、好ましくは600℃〜1000℃で、加熱時間を1〜40時間の範囲で調節して実施する。
以上の第1の熱処理1の終了後には、スート体S内部は、SiO基本構造以外に、「≡Si-O・」、「≡Si-H」が主な構成要素となる。
[第2熱処理2]
次に、第2の熱処理2として、マイクロ波加熱装置内を、ヘリウムガス(He)、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガス雰囲気、より好ましくはヘリウムガス(He)雰囲気に置換した後、同不活性ガスとフッ素(F)、4フッ化炭素(CF)、4フッ化珪素(SiF)等より選ばれるフッ化物とを混合したガス、より好ましくは4フッ化珪素(SiF)とを混合したガスをマイクロ波加熱装置に導入して、多孔質のスート体Sをマイクロ波加熱する。
ここで、マイクロ波加熱により、スート体S内部、外部とも、ほぼ一様な温度で熱せられ、反応のむらが起き難く、一様な反応を示す。なお、この第2の熱処理2でマイクロ波加熱を行う時の加熱温度は、700℃〜1300℃の範囲、より好ましくは800℃〜1100℃で、加熱時間を1〜40時間の範囲で調節して実施する。
以上の第2の熱処理2では、例えばSiFが熱分解して以下のような化学反応が起こるものと考えられる。
≡Si-H H-Si≡ + 2F(活性種) → ≡Si-Si≡ + 2HF
≡Si・ + F(活性種) → ≡Si-F + HF
≡Si-OH HO-Si≡ + 2F(活性種) → ≡Si-F F-Si≡ + H
≡Si-OH H-Si≡ + 2F(活性種) → ≡Si-F F-Si≡ + H
もしくは
≡Si−OH H−Si≡ + 2F(活性種) → ≡Si−O−Si≡ + 2HF
以上の第2の熱処理2でスート内の欠陥がほぼ「≡Si-F」に置き換えられる。
[第3熱処理3]
そして、第3の熱処理では、第2熱処理2の後にマイクロ波加熱装置内を例えば、窒素ガス(N)雰囲気に置換し、圧力を10Pa〜10MPa、好ましくは100Pa〜0.1MPaの範囲に調整し、この雰囲気で前記第1の熱処理1及び第2熱処理2を経て得られたスート体S内の欠陥が「≡Si-F」に置き換えられた多孔質状のスート体Sをマイクロ波加熱する。その結果スート体Sが透明ガラス化するとともに透明ガラス内部に窒素が溶存した透明ガラス体Zを得る。
この時、あまり高い圧力にすると、窒素の濃度が高くなり、加熱によって透明ガラス化したガラス内に窒素が気泡となって残り、不透明なガラスを形成することとなる。また、ここで使用するマイクロ波加熱は近ミリ波〜ミリ波帯のものであるので、スート体Sは内部、外部とも、ほぼ一様な温度で熱せられ、反応のむらが起き難く、一様な反応を示す。
そして、この第3の熱処理3での窒素ガス雰囲気でマイクロ波加熱を行う時は、一旦、700℃〜1300℃の範囲、より好ましくは800℃〜1100℃で、約1〜40時間の範囲で加熱し、窒素ガスをスート体S内部まで拡散させた後、1300℃〜1500℃に昇温せしめて、ガラス化するものであるが、1300℃〜1500℃に昇温させた後は、約0.5〜10時間の範囲で加熱処理する。
この第3の熱処理3では、第2熱処理2で生成せしめたSi-F結合後に窒素を溶存させるので、屈折率が高くなり、屈折率が低下するのを防ぐことが出来る。この時の溶存窒素は、Nの状態でもSi-N結合状態でもかまわない。Si-N結合を多くする場合には、第2の熱処理2でフッ素ガスを流すより先に窒素ガス雰囲気中で加熱を行い、その後フッ素ガス流すようにすることで達成される。
また、上記窒素はこれに代えて、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス等の不活性ガスを使用することが出来る。さらに、窒素の代わりに、アンモニア(NH)や、一酸化窒素(NO)等の還元性ガスの使用も可能であるが、水素原子や酸素原子がガラス内に残り、反応し易くなるため、これの使用にあたっては、この点を注意する必要がある。
上記した方法で得られた透明ガラス体Zは、スート形成工程10で高純度の原料を使用し、ターゲット上へ酸水素バーナにより多孔質状のスート体Sを作るので、金属不純物に汚染されることもなく、次工程の第1、第2及び第3の各熱処理でのマイクロ波加熱装置も、装置内はステンレス鋼材で覆われていて、マイクロ波加熱時もこのステンレス鋼材部分は殆ど温度上昇しないため、金属不純物が被加熱物のスート体Sを汚染することもなく、金属不純物濃度が極めて低いものとなる。
また、スート体Sをマイクロ波装置へ搬入移動する際には、スートSを清純な容器(又は袋)に入れて、人体や周囲雰囲気からのナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)等が付着しないように工夫することが必要である。得られたガラス体中の金属不純物濃度をICP−MS(誘導結合プラズマ・質量分析装置)で測定すると、Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Ge、Al等の金属不純物濃度は20ppb未満となる。
さらに、この方法で得られる光学材料の透明ガラス体Zについて、レーザラマン分光光度計で3員環、4員環の強度測定をしたところ、窒素を溶存させていない従来の製造方法で得られたガラス体と比較して、その量は、SiOに対する強度比で2/10以下となっていた。
これは、第3の熱処理3でスートSから透明化したガラス体Zにする際に、溶存窒素がSiO基本構造形成時に余分な空間を埋めることで、SiO基本構造形成時に無理な歪みがかかることなくボンディング進行したことによるものである。この作用効果は、窒素ガスに代えて、不活性ガスを使用しても、同様に期待し得る。なお、分子サイズから不活性ガスとしては、窒素の他にアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)等から選ばれるものがより好ましい。
また、第3熱処理3で窒素などの不活性ガスを導入して熱処理する前に、第1熱処理1で水素ガスでOH基を除去し、第2熱処理2でフッ化物ガスにより、前駆体及び欠陥をSi-F結合に置き換えた後に、第3熱処理3で窒素ガスを導入しているので、温度を高くしても窒化(Si-N結合生成)は生起し難く、窒素ガスとしてSiO基本構造内部に溶存する割合が高くなるものと考えられる。
このようにして得られる光学材料の透明ガラス体Zについて、エキシマレーザに対する耐性を評価するため、ArFエキシマレーザ(波長:193.4nm)をエネルギー密度80mJ/cm、繰り返し周波数100Hz、1×10ショットの条件で連続照射を行った結果、その波長での透過率の劣化量は初期透過率に対して1%以下であって、耐紫外線の光学材料として優れた耐性特性を有することが確認された。
さらに、真空紫外分光光度計(日本分光社製)にて、内部透過率を測定したところ、波長193nmにおける内部透過率は約99.5%以上であって、満足し得る特性であった。なお、波長400nm以下の波長の内部透過率(%/cm)についてのグラフを図2に図示する。図2によりSiOガラスの透過限界波長155nm付近まで良好な透過特性を有することが認められた。
また、複屈折測定装置(Hind Instruments 社製)により複屈折特性を測定したところ、10nm/cm(波長:633nm)以内に保っており、良好な特性を有することが認められた。ここで、アニール等の熱処理を行うことなしに、良好な複屈折が得られるのは、Si-F結合の存在および窒素溶存の効果により、冷却時に歪みが残留し難いためであると考えられる。
そして又、フィゾー式干渉計(富士写真光機社製)により、屈折率均質性を測定した結果、20×10−6(波長:633nm)以内であることが測定され、良好な特性を有することが認められた。
また、加熱手段としてマイクロ波(近ミリ波〜ミリ波帯:20GHz〜300GHz)加熱を使用しているので、酸水素炎や電気炉による加熱で生じる温度勾配が生じることなく、被加熱物内部の温度分布をほぼ均一に加熱でき、特に緻密化したガラス体を得ることが出来る。そして、マイクロ波加熱は、20GHz〜300GHzの高周波であるので、別途他の加熱手段を併用する必要がなく、多孔質状のスート体Sをマイクロ波のみの加熱で透明ガラス化をすることができる。
実施例として、上記製造方法によって、耐紫外線性ガラスを製造し、その特性を測定し、効果を確認した。
スート形成工程10で、VAD法により、SiOからなるかさ密度約0.45g/cm、高さ約300mm、直径約200mmの多孔質状のスート体Sを作製した。
ついで、このスート体Sを不活性ガスを充填した清浄な袋に収容して、28GHzのマイクロ波加熱装置炉内に移動搬入せしめた。続いて、このマイクロ波加熱装置炉で、以下の如く第1熱処理1、第2熱処理2及び第3熱処理3を順次行った。
第1熱処理1では、マイクロ波加熱装置炉内を水素ガス圧力200Paの雰囲気にした後、徐々に加熱し、約1時間で700℃に昇温させて、同温度にて約2時間保持した。
次いで第2熱処理2するため、マイクロ波加熱装置炉内の雰囲気をHeで置換し、引き続きHeとSiFとを流量比で900:1の割合にして炉内に導入した。そして、温度を1000℃として約30時間その温度にスート体Sを保持した。
続いて、マイクロ波加熱装置炉内の雰囲気を窒素ガスに置換して、以下の第3の熱処理3を行った。すなわち、炉内圧力を約0.1MPaの窒素ガス雰囲気に調整した後、温度を1000℃にして約10時間保持した。その後約1400℃の温度まで約3時間で昇温せしめ、1400℃の温度に約1時間保持して、スート体Sを透明ガラス化した。
その後、特に徐冷(50℃/時間より緩やかな温度勾配で冷却すること)することなく炉内を冷却して、透明ガラス化したガラスインゴットをマイクロ波加熱装置炉内より取り出した。そして、ガラスインゴット内部を精査観察したところ、透明であり、肉眼では気泡の存在を確認出来なかった。このガラスインゴットを輪切り加工し、両面研磨して、円板試料とし、この円板試料について以下の特性を測定した。
<特性の測定>
(i)OH基含有量:FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)にてOH基濃度を測定した結果、10wtppm以下であった。
(ii)金属不純物:ICP−MS(誘導結合プラズマ・質量分析装置)にて金属不純物を測定した結果、Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Ge、Al等の金属不純物濃度は20ppb以下であった。
(iii)塩素濃度:XRF(蛍光X線分析装置)にて塩素濃度を測定した結果、10wtppm以下であった。
(iv)Si-F結合濃度:レーザラマン分光光度計にてSi-F結合濃度を測定した結果、4500wtppmであった。
(v)窒素濃度:レーザラマン分光光度計にて窒素濃度を測定した結果、10000wtppmであった。
(vi)屈折率:屈折率測定装置で絶対屈折率を測定した結果、1.4571(波長633nm)であった。
さらに、別の両面研磨試料を作製し、以下の特性を測定した。
(vii)3員環、4員環の強度:レーザラマン分光光度計にて3員環、4員環の強度を測定した結果、従来の窒素を溶存せしめていないガラス試料と比較して、その量は、SiOに対する強度比で約20%程度であった。
(viii)内部透過率:真空紫外分光光度計(日本分光社製)にて内部透過率を測定した結果、波長193nmにおける内部透過率は約99.75%/cmであった。
(ix)複屈折:複屈折測定装置(Hind Instruments 社製)により複屈折特性を測定した結果、直径比で80%のエリアで2nm/cm(波長:633nm)以内であった。
(x)屈折率均質性:フィゾー式干渉計(富士写真光機社製)により屈折率均質性を測定した結果、直径比で80%のエリアで1×10−6(波長:633nm)以内であった。
(xi)そして、耐紫外線特性を検証するため、エキシマレーザに対する耐性を評価した。ArFエキシマレーザ(波長:193.4nm)をエネルギー密度80mJ/cm、繰り返し周波数100Hz、1×10ショットの条件で連続照射を行った結果、その波長での透過率の劣化量は、初期透過率に対して1%以下であった。これより、耐紫外線性の光学材料として優れた特性を有することが確認された。
本発明の耐紫外線光学材料の製造方法を説明する製造工程系統図である。 本発明の製造方法で得られる光学材料ガラス体の波長400nm以下の波長における内部透過率を示すグラフである。
符号の説明
10…スート形成工程、 1…第1熱処理、 2…第2熱処理、
3…第3熱処理、 S…スート体、 Z…光学材料透明ガラス体

Claims (4)

  1. 気相合成法により形成した多孔質状のスート体を、水素雰囲気でマイクロ波加熱して第1熱処理を施し、続いて雰囲気を不活性ガスに置換して、フッ化物ガスを導入しながらマイクロ波加熱する第2熱処理を施した後、雰囲気を不活性ガス雰囲気にしてマイクロ波加熱する第3熱処理を施して透明ガラス化するとともに不活性ガスをガラス内部に溶存せしめることを特徴とする耐紫外線光学材料の製造方法。
  2. 前記第3熱処理時の不活性ガスが、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載の耐紫外線光学材料の製造方法。
  3. 前記第3熱処理での不活性ガスの圧力が、10Pa〜10MPaの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の耐紫外線光学材料の製造方法。
  4. 前記マイクロ波の周波数が、20GHz〜300GHzであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐紫外線光学材料の製造方法。
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