JP4301460B1 - 伸縮棒状体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1棒状体と、該第1棒状体を出没可能に内部に収納する筒状の第2棒状体を備えている伸縮棒状体であって、前記第1棒状体を前記第2棒状体から突出した状態でロック可能であるとともに、前記第2棒状体に対して前記第1棒状体を所定角度回転させることによりロックが解除されるロック機構を備えており、前記第1棒状体は、後端部に大径部を有しており、前記第2棒状体は、前端部近傍の内周面に前記大径部を係止する段部を有しており、前記段部は、別部材を介することなく直接、前記大径部を係止することを特徴とする伸縮棒状体である。
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示された伸縮棒状体は、第2棒状体の段部に樹脂リングが介装されており、この樹脂リングを介して第1棒状体の大径部を係止するように構成されている。
そのため、第1棒状体に大きい引張力が加わった場合、樹脂リングが破損してしまう虞がある。樹脂リングが破損すると、ロック板で引張力を受けなければならなくなるが、ロック板は小片であるために引張力に耐えることができずに破損してしまう。
しかしながら、この方法を採用しようとすると、樹脂リング及び大径部の外径を大きくしなければならないから、その分だけ第2棒状体の肉厚が薄くなって強度の低下を招いてしまう。
しかしながら、樹脂リングの幅を大きくすると、樹脂リングは扁平な形状となるため、幅方向の圧縮力に対して変形し易くなる。そのため、第1棒状体に大きい引張力が加わると、大きく変形して破損してしまう虞がある。
このように、摺動性を向上させようとすると引張強度が低下するため、摺動性と引張強度とを両立させることが困難であった。
特許文献1に開示された伸縮棒状体では、この接続部分に作用する力は、第1棒状体の大径部を介して樹脂リングへと作用することから、曲げ方向に加わる力が大きいと樹脂リングに作用する力が大きくなり、樹脂リングが破損する虞があった。
しかしながら、第1棒状体及び第2棒状体を共にアルミニウムで形成した場合、第2棒状体に対して第1棒状体を摺動させた時に、第1棒状体と第2棒状体との間に焼き付きが生じる虞がある。
これを防ぐためには、第1棒状体と第2棒状体とを異種金属から形成する、例えば第2棒状体を鋼から形成するという方法が考えられる。しかし、そうすると重量が大幅に増加するために操作性が大きく低下するという問題が生じる。
しかしながら、このように第2棒状体に雌ねじを形成すると、肉厚が薄くなって強度が低下してしまうという問題がある。また、製造の工程数が多くなるために、製造コストが増加するという問題もある。
特に、近年増加傾向にある凶悪事案に対し、緊急対応しなければならない警察官が振り下ろして素早く伸張した場合に陥る破損や機能不全が多発した。このような過酷な使用条件での反復使用を可能にする十分な引張強度を有する警棒の発明が、警察官の生命を守る意味からも待望されていた。
特許文献1に開示された伸縮棒状体の構造ではこれを満たす事が困難であった。
また、第1棒状体は後端部に大径部を有しており、第2棒状体は前端部近傍の内周面に大径部を係止する段部を有しており、段部は別部材を介することなく直接大径部を係止することから、第1棒状体に大きい引張力が加わった場合でも、この引張力を大径部で直接受けることができる。そのため、引張力によりロック機構が破損することが防がれ、非常に高い引張強度を発揮することが可能となる。
また、引張力を樹脂リング等を介さずに大径部で直接受けることができるため、段部の段差が小さくても大きい引張力を受けることができる。そのため、大径部の外径をあまり大きくする必要がなく、第2棒状体は外径を細くしたままで充分な肉厚を確保することができ、段部を設けることによる強度低下を小さく抑えることができる。
また、第1棒状体に加わった引張力が樹脂リングに幅方向の圧縮力として作用することがないため、摺動性を高めるために樹脂リングの幅を大きくしても、引張強度が低下することがなく、高い引張強度を維持したまま優れた摺動性を確保することが可能となる。
更に、伸縮棒状体を伸長した状態で、第1棒状体に曲げ方向(伸長方向と直角方向)の力が加わった場合、その力が第1棒状体の大径部を介して樹脂リングへと作用することが無いため、曲げ方向に加わる力によって樹脂リングが破損する虞がなく、高い曲げ強度を発揮することが可能となる。
また、筒状キャップを設けることで、第2棒状体全体の材質を第1棒状体と異ならせる必要がなくなり、第2棒状体の材質異種化による重量増加を、筒状キャップの部分の材質異種化による重量増加分のみに抑えることができる。
また、第1の磁石は、第1棒状体の後端部に圧入された圧入部材に固定されていることから、第1棒状体の後端部に雌ねじを形成する必要が無くなり、第1棒状体の肉厚が薄くなって強度が低下することが防がれる。更に、圧入による組立となるから、製造の工程数を減らすことができ、製造コストを低く抑えることができる。
図1は本発明に係る伸縮棒状体の全体構成を示す正面図であって、(a)は伸長した状態、(b)は短縮した状態を示している。図2は図1(a)の円内拡大断面図である。
本発明に係る伸縮棒状体は、第1棒状体(1)と、この第1棒状体(1)を出没可能に内部に収納する筒状の第2棒状体(2)と、第1棒状体(1)を第2棒状体(2)から突出した状態でロック可能であるとともに、第2棒状体(2)に対して第1棒状体(1)を所定角度回転させることによりロックが解除されるロック機構(後程詳述する)を備えている。
第1棒状体(1)は円筒状であって、その前端部には略半球形状のトップボール(3)が螺着されており、後端部には大径部(4)が形成されている。
尚、本明細書における「前」、「後」の用語は、伸縮棒状体において第1棒状体(1)が突出する方向(図3の左方向)を「前」とし、その反対側(図3の右方向)を「後」とする。
第1棒状体(1)に形成された大径部(4)の外周面には、環状溝(5)が形成されており、この環状溝(5)には、樹脂リング(6a)及び円弧状に曲げられた帯状の板バネ部材(6b)が装着されている(図2参照)。
樹脂リング(6a)は、例えばPTFE等のフッ素樹脂から形成されており、第2棒状体(2)の内周面に当接することにより、第1棒状体(1)と第2棒状体(2)との間の良好な摺動性を確保することが可能となっている。
板バネ部材(6b)は、その復元力によって拡径する方向に付勢されており、図2に示すように樹脂リング(6a)を介して第2棒状体(2)の内周面を押圧することにより、第1棒状体(1)と第2棒状体(2)との間のガタツキを防止する。
圧入部材(7)の外周面には窪み(8)が2箇所に形成されており、これらの窪み(8)に重なる位置の大径部(4)にはねじ穴(9)が形成されている。
ねじ穴(9)にはねじ(10)が螺合され、ねじ(10)の先端部が窪み(8)に嵌まっており、これによって圧入部材(7)が第1棒状体(1)の内部で回転することが防止されている。
この第1の磁石(11)は、第2棒状体(2)の後端部に埋設された第2の磁石(図示略)と引き合うことにより、伸縮棒状体が短縮した状態を維持することができるようになっている。
つまり、伸縮棒状体が短縮した状態では、第1の磁石と第2の磁石とが引き合う磁力によって不用意に伸長することが防がれている。一方、第2棒状体(2)を手に持って伸縮棒状体を強く振ると、第1の磁石と第2の磁石とが引き合う磁力よりも強い力(遠心力)が第1棒状体(1)に作用するため、第1棒状体(1)が第2棒状体(2)から突出して伸縮棒状体が伸長することとなる。
このように、本発明に係る伸縮棒状体は、不使用時には短縮状態を維持することができ、緊急時には振り下ろすことにより素早く伸長させて使用することが可能であるため、警察官が使用する警棒として特に好適なものとなる。
大径部(4)は段部(16)に係止される時、大径部(4)の周方向全部分で係止されることが強度的には好ましいが、周方向の一部分でのみ係止されるようにしてもよい。
具体的には、第1棒状体(1)の大径部(4)の外周面に、軸方向に延びる切欠(25)を周方向に間欠的に形成することができる(図4(c)参照)。この場合、大径部(4)は、切欠(25)と切欠(25)の間の凸状部分でのみ段部(16)に係止されることとなる。
このような切欠(25)を形成することにより、第1棒状体(1)を軽量化することが可能となる。尚、切欠(25)の数及び幅については、強度とのバランスを考慮して設定すればよく、特に限定されない。
尚、切欠を形成しないもの(図4(c)の仮想線参照)も本発明に含まれることは勿論であり、この場合には第1棒状体(1)を引っ張った時の引張強度において優れたものとなる。
第2棒状体(2)は円筒状であって、その内径は第1棒状体(1)の外径よりも大きく形成されている。
第2棒状体(2)の前端部には筒状キャップ(12)が取り付けられており、後端部には上記した第2の磁石が埋設された蓋体(13)が螺着されており、前端部と後端部の中間付近には鍔部材(24)が取り付けられている。
筒状キャップ(12)は、前端部に大径の鍔部(14)が形成されており、鍔部(14)よりも後方の外周面には雄ねじ部(15)が形成されている。
筒状キャップ(12)は、その外周面に形成された雄ねじ部(15)を第2棒状体(2)の内周面に形成された雌ねじ部と螺合することにより、第2棒状体(2)の内周面に固定される。このとき、鍔部(14)が第2棒状体(2)の前端面に当接した状態となる(図2参照)。
筒状キャップ(12)の長さ(軸方向長さ)は、第2棒状体(2)の長さよりも充分に短い長さであって、例えば第1棒状体(1)の大径部(4)の長さと略同じ長さに設定される。
すなわち、図2に示すように、第1棒状体(1)の大径部(4)が段部(16)に当たることにより、第1棒状体(1)が第2棒状体(2)からそれ以上突出することが防がれ、第1棒状体(1)が抜け落ちることが防がれるようになっている。
そのため、第1棒状体(1)に大きい引張力が加わった場合でも、この引張力を大径部(4)で直接受けることができる。これにより、引張力により後述するロック機構が破損することが防がれ、非常に高い引張強度を発揮することが可能となる。
また、引張力を樹脂リング等を介さずに大径部(4)で直接受けることができるため、段部(16)の段差が小さくても大きい引張力を受けることができる。そのため、大径部(4)の外径をあまり大きくする必要がなく、第2棒状体(2)の外径を細くすることが可能となる。
樹脂リング(18a)は、例えばPTFE等のフッ素樹脂から形成されており、図2に示すように第1棒状体(1)の外周面に接触することによって、第1棒状体(1)と第2棒状体(2)との間の良好な摺動性を確保することが可能となっている。
板バネ部材(18b)は、その復元力によって拡径する方向に付勢されており、図2に示すように、樹脂リング(18a)を介して第1棒状体(1)の外周面を押圧することにより、第1棒状体(1)と第2棒状体(2)との間のガタツキを防止する。
また、第1棒状体(1)に加わった引張力が樹脂リング(18a)に作用することがないため、摺動性を高めるために樹脂リング(18a)の幅を大きくしても、引張強度が低下することがなく、摺動性と引張強度とを高いレベルで両立させることが可能となる。
これにより、伸縮棒状体が伸縮する際に、第1棒状体(1)は第2棒状体(2)の前端部において異種素材からなる筒状キャップ(12)に対して摺動することとなり、摺動時の焼き付きを防ぐことができる。
これにより、全体として軽量でありながら、摺動時の焼き付きを防止することができるとともに、高い強度を有する伸縮棒状体が得られる。
特に、伸縮棒状体を伸長した状態において引張力や曲げ力が主に作用する部分である、第2棒状体(2)の前端部に高強度の鋼が使用されていることから、伸縮棒状体を伸長した状態で作用する引張力や曲げ力に対する強度が高くなる。
そして、係止溝(19)の後方寄り位置の内周面には、内方に向けて突出する突出部(20)が設けられている(図2参照)。
突出部(20)は、内方への突出部分が半球状に形成されており、全周に亘って突出しているのではなく、周方向の一部分において突出している。そして、突出部の突出長さは係止溝(19)の深さと略同じとなっている(図2、図7参照)。
尚、図示例では、突出部(20)は筒状キャップ(12)と別部材から形成されているが、筒状キャップの一部として形成してもよい。
この場合、第2棒状体(2)の前端部近傍の内周面に直接、段部(16)、環状溝(17)、樹脂リング(18a)、板バネ部材(18b)、係止溝(19)及び突出部(20)を上記した要領で設ければよい。
図7は図2のB−B線断面図である。
ロック機構は、上述した筒状キャップ(12)に設けられた係止溝(19)及び突出部(20)と、第1棒状体(1)の大径部(4)に取り付けられた第1ロック板及び第2ロック板とから構成されている。以下、前方側に配設されたものを第1ロック板(21)、後方側に配設されたものを第2ロック板(22)という。
第1ロック板(21)及び第2ロック板(22)は、軸方向及び周方向において重ならないようにずらして配設されており、周方向においては略90°ずれている。
また、第1ロック板(21)及び第2ロック板(22)は、図7に示すように先端面が周方向に湾曲しており、より具体的には一方側の湾曲端が他方側の湾曲端に比べて傾斜が大きくなった湾曲形状を呈している。
先ず、図2に示す状態(伸縮棒状体を最大限伸長させた状態)では、第1ロック板(21)及び第2ロック板(22)は、いずれも係止溝(19)の部分に位置しており、ばね(23)の付勢力によって先端面が係止溝(19)に当接している。
このとき、第2ロック板(22)は、突出部(20)と軸方向においては同位置にあるが、周方向においては90°ずれた位置にある。
この状態では、第1棒状体(1)を第2棒状体(2)の内部に向けて押し込む方向の力(短縮させる方向の力)を加えても、第2ロック板(22)が係止溝(19)に係止されているために、第1棒状体(1)を押し込むことはできない。つまり、第1棒状体が第2棒状体から突出した状態でロックされた状態にある。
この状態では、第2ロック板(22)の先端面は、係止溝(19)の深さと同じ量だけ上昇しているため、第2ロック板(22)による係止が解除された状態となる。
そのため、第1棒状体(1)を第2棒状体(2)の内部に向けて押し込むことが可能となる。
この状態は、ロック機構によるロックが完全に解除された状態であるため、第1棒状体(1)の後端部が第2棒状体(2)の蓋体(13)に当たるまで(即ち図1(b)に示す短縮状態となるまで)、第1棒状体(1)を押し込むことができる。
2 第2棒状体
4 大径部
7 圧入部材
11 第1の磁石
12 筒状キャップ
13 蓋体
16 段部
17 環状溝
18a 樹脂リング
Claims (3)
- 第1棒状体と、該第1棒状体を出没可能に内部に収納する筒状の第2棒状体を備えている伸縮棒状体であって、
前記第1棒状体を前記第2棒状体から突出した状態でロック可能であるとともに、前記第2棒状体に対して前記第1棒状体を所定角度回転させることによりロックが解除されるロック機構を備えており、
前記第1棒状体は、後端部に大径部を有しており、
前記第2棒状体は、前端部近傍の内周面に前記大径部を係止する段部を有しており、
前記段部は、別部材を介することなく直接、前記大径部を係止し、
前記段部よりも前方位置に環状溝が形成されており、
該環状溝に樹脂リングが装着されており、
前記第2棒状体の前端部の内周面に筒状キャップが取り付けられており、
該筒状キャップの内周面に前記段部及び前記環状溝が形成されており、
該筒状キャップの材質は、前記第1棒状体及び前記第2棒状体の材質と異なることを特徴とする伸縮棒状体。 - 前記第1棒状体及び前記第2棒状体の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記筒状キャップの材質が鋼であることを特徴とする請求項1記載の伸縮棒状体。 - 前記第2棒状体の後端部に第2の磁石を備えた蓋体が取り付けられており、
前記第1棒状体の後端部に前記第2の磁石と引き合う第1の磁石が取り付けられており、
前記第1の磁石は、前記第1棒状体の後端部に圧入された圧入部材に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮棒状体。
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