JP4299528B2 - 粘着剤および粘着フィルム - Google Patents

粘着剤および粘着フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電荷制御剤を含有した粘着剤およびその粘着剤を用いた粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着フィルムは、支持体に粘着剤層を有し、他の面に剥離層を設けてそのままロール状に巻き取るか、または、粘着剤層に剥離紙等を貼り合わせて巻き取り、使用するときには粘着フィルムを展開し、あるいは剥離紙を剥離して被着体へ貼着される。
【0003】
表面の保護に用いる場合、粘着フィルムは被着体に貼着された後に使用にあたって剥離される。この際に静電気が発生する(以後、剥離帯電と称する)。これにより、剥離除去したフィルムが手にまとわりつき、作業性を悪くし、薄い被着体では被着体が粘着フィルムに吸引されたり、剥がした後のフィルムに埃が付着して汚れやすい、等の問題を生じる。
【0004】
液晶表示装置の偏光板表面の保護では、特に剥離帯電が大きな問題となる。大画面化、高精細化、小額縁化、薄肉化へ移行する液晶表示装置は、IC回路の狭線幅化が進み静電気耐性が低下する傾向にあり、剥離帯電によるドライバIC、TFT駆動素子等の静電破壊が生じ、製品の歩留まり低下の原因となる。
【0005】
これらの問題を回避する手法として、特開平1−238620号公報、特開平8−134416号広報のように粘着フィルムの背面、若しくは粘着剤層と基材フィルムとの界面に界面活性剤やその他の帯電防止剤からなる薄膜を形成する方法や、特開平6−83267号公報に記載されているような粘着剤層に導電剤を混合する方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、剥離帯電の発生を抑制する粘着剤、それを用いた粘着フィルムを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電荷制御剤を含有する粘着剤であり、その粘着剤を用いた粘着フィルムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
(電荷制御剤)
電荷制御剤としては、例えば、N型と称される金属錯体タイプやイミド系、ビスフェノール系、尿素系、りん酸系、カルボン酸系、P型と称されるニグロシン系や4級アミンタイプ、オニウム系、イミダゾール系などが挙げられる。電荷制御剤は粘着剤に混合されて使用されるので、粘着剤との混和性に優れ、粘着剤を希釈する際に用いられる有機溶剤に可溶な有機金属錯体タイプが好ましい。電荷制御剤の粘着剤への添加量は、電荷制御剤の効果を発揮し、かつ粘着特性に影響を与えない範囲が好ましく、粘着剤樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部で用いることが出来る。
【0009】
電荷制御剤の中には負極性タイプと正極性タイプとがある。粘着フィルムを貼着する被着体によって粘着剤中に混合する電荷制御剤のタイプを変更するか、若しくはその添加量を調整することにより剥離帯電の発生を抑制することができる。
【0010】
(粘着層)
粘着剤は特に限定されないが、アクリル系粘着剤は耐久性、透明性、粘着特性の調整の容易さなどの面から好ましい。アクリル系粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを用いたものである。上記アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルであって、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
【0011】
アクリル系粘着剤は架橋剤と配合してアクリルポリマーを架橋し得る組成として用いることができる。架橋剤としては、例えばアジリジン系、金属キレート系、エポキシ系、更には、脂肪族系ジイソシアネート、芳香族系ジイソシアネート、芳香族系トリイソシアネートのようなイソシアネート系化合物が用いられる。架橋剤の配合量は架橋剤の種類、用途に応じて適宜調整することができるが、粘着剤樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲で用いることが出来る。
【0012】
粘着剤を基材フィルムに塗工する方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン法、グラビア法、メッシュ法、バー塗工法等を適応することができる。塗工された粘着剤の厚みは、乾燥後の厚みで1〜100μmとすることができる。
【0013】
(基材フィルム)
基材フィルムを構成する樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、延伸ポリプロピレンなどが挙げられるが、腰強度や該粘着フィルムを剥離する際のフィルムの変形の有無等、取扱いの面を考慮しポリエステルフィルムを用いることが好ましい。その厚みは取扱いの面から10〜200μmのものが好ましい。
【0014】
粘着フィルムは剥離帯電を抑制するので、液晶を用いた表示装置、プラズマディスプレー等の表面の保護フィルムとして好適に用いることが出来る。
【0015】
【実施例】
実施例でさらに詳しく説明する。
(実施例1)
厚さが38μmのポリエステル系フィルム(帝人・デュポンフィルム社製、PET−SL)の片面に、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、SKダイン1496)の樹脂100重量部に対して電荷制御剤(保土谷化学社製、TN−105)0.3重量部と硬化剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートD−90)0.2重量部を混合した粘着性溶液をバーコーターを用いて塗布した。100℃で1分間乾燥した後の粘着層の厚みは約14μmであった。
【0016】
(実施例2)
厚さが38μmのポリエステル系フィルム(帝人・デュポンフィルム社製、PET−SL)の片面に、アクリル系粘着剤(東洋インキ社製、BPS5227−1)の樹脂100重量部に対して電荷制御剤(保土谷化学社製、TN−105)0.3重量部と硬化剤(東洋インキ社製、BXX5134)1.0重量部を混合した粘着性溶液をバーコーターを用いて塗布した。100℃で1分間乾燥した後の粘着層の厚みは約18μmであった。
【0017】
(比較例1)
厚さが38μmのポリエステル系フィルム(帝人・デュポンフィルム社製、PET−SL)の片面に、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、SKダイン1496)の樹脂100重量部に対して硬化剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートD−90)0.2重量部を混合した粘着性溶液をバーコーターを用いて塗布した。100℃で1分間乾燥した後の粘着層の厚みは約14μmであった。
【0018】
(比較例2)
厚さが38μmのポリエステル系フィルム(帝人・デュポンフィルム社製、PET−SL)の片面に、アクリル系粘着剤(東洋インキ社製、BPS5227−1)の樹脂100重量部に対して硬化剤(東洋インキ社製、BXX5134)1.0重量部を混合した粘着性溶液をバーコーターを用いて塗布した。100℃で1分間乾燥した後の粘着層の厚みは約18μmであった。
【0019】
実施例および比較例において得られた粘着フィルムの剥離帯電量測定を次のように実施した。
(剥離帯電量測定)
30mm×150mmサイズのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムに25mm×125mmサイズの粘着フィルムを2kgのローラーを1往復させて貼着し、5分放置した。セラミック製ピンセットを用いて毎分300mmの速度にてTACフィルムから粘着フィルムを剥がした後に、ファラデーケージ内に投入してフィルム表面に発生した電荷量を測定した。剥離帯電量の測定には、Electro−Tech System社のナノクーロンメーターおよびファラデーケージを使用した。
以上の評価方法による評価結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
Figure 0004299528
【0021】
表1に示されたように電荷制御剤を混合した粘着剤を塗工したサンプルにて剥離帯電量を測定したところ、単身にて塗工したサンプルの測定値より小さな値を示した。この傾向は粘着剤のグレードを問わず同様な結果が得られており、電荷制御剤を混合することにより発生する電荷量を低く抑えることができる。
【0022】
【発明の効果】
電荷制御剤を粘着剤に含有させることにより、粘着フィルムを剥離する際に発生する剥離帯電量を低減させることができ、静電気発生による障害を抑制することが可能となる。

Claims (4)

  1. アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを用いたアクリル系粘着剤と、粘着剤を希釈する際の有機溶剤に可溶な3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸とジルコニウムとの金属化合物の有機金属錯体からなる電荷制御剤とを含有する粘着剤。
  2. アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを用いたアクリル系粘着剤100重量部に対して、前記有機金属錯体からなる電荷制御剤を0.1〜10重量部含有する請求項1に記載の粘着剤。
  3. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着剤を用いた粘着フィルム。
  4. 請求項の粘着フィルムを用いた表示装置用の保護フィルム。
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