JP4296645B2 - Nuclear fuel material storage container, neutron shielding material and manufacturing method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば使用済ウラン酸化物などの核燃料物質を貯蔵するための核燃料物質貯蔵容器、これに用いられる中性子遮蔽材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ウラン酸化物あるいはプルトニウム酸化物をはじめとする核燃料物質は、核燃料物質貯蔵容器に収容され、保管または搬送される。このとき核燃料物質貯蔵容器の容器本体外周には、中性子を遮蔽するための中性子遮蔽材が設けられる。この中性子遮蔽材の材質としては中性子遮蔽効果の大きい有機材料が挙げられる。有機材料のプラスチックは軽量で、弾性、可塑性、機械加工性に優れているとともに、再処理施設で特に必要とされる耐薬品性が良好であり、中でも高分子量ポリエチレンは耐衝撃性に優れ使用限界照射線量の値が高いので、安全性や耐久性の点でも有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高分子量ポリエチレンは分子量が大きいために成形加工性に難点があり、一般的に圧縮成形法によって板状の加工素材を成形し使用している。したがって従来の中性子遮蔽材は、高分子量ポリエチレンの板材を機械加工によってブロック状とし、これを貯蔵容器の周囲に積み木式に積み上げて組み立てられていた。しかし、このような方法では大量の部品(ブロック)を必要とするとともにこの部品を加工するための時間が長くなるといった問題があった。また、検査や組立施工などにも長時間を必要とするため、製品価格や施工コストは上昇し、効率が悪かった。さらに、板材をブロック状にするときの切断時に大量の屑が発生するため、材料ロスが多くなるとともにこの屑の処理やコストの上昇が問題であった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、短期間で容易に製造され、経済的にも有利な核燃料物質貯蔵容器、これに用いられる中性子遮蔽材及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、核燃料物質が収容される貯蔵容器本体と、この貯蔵容器本体を収納するための複数の空間部を有したバスケット本体と、前記バスケット本体の空間部内に設けられ前記核燃料物質から放出される中性子を遮蔽するための中性子遮蔽材と、前記バスケット本体の空間部に収納された貯蔵容器本体を固定するための固定手段とを備え、前記中性子遮蔽材は、密度が0.830g/cm 3 以上、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量ポリエチレンからなる厚みが、3.0mm未満のシートを複数重に巻いて筒状に形成され前記貯蔵容器本体の外周を覆うように配されたものであることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、シート状に形成された高分子量ポリエチレンを筒状に巻いた中性子遮蔽材を備えたため、貯蔵容器本体内部に収容された核燃料物質から放出される中性子は確実に遮蔽される。また、シートを巻いたものであるため半径方向に弾性を有するので外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができるとともに、短時間且つ容易に形成することができる。そして外周に中性子遮蔽材を配した貯蔵容器本体は、バスケット本体の空間部内部に固定手段によって固定されているので、保管や搬送は安定して行われる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、核燃料物質を収容した貯蔵容器本体の外周を覆うように配され前記核燃料物質から放出される中性子を遮蔽するための中性子遮蔽材であって、密度が0.830g/cm 3 以上、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量ポリエチレンからなる厚みが、3.0mm未満となるシートを複数重に巻いて筒状に形成されたものであることを特徴とする中性子遮蔽材である。
【0008】
本発明によれば、中性子遮蔽材は、シート状に形成された高分子量ポリエチレンを筒状に巻いたものであるため、短時間且つ容易に形成することができる。また、シートを巻いた構成であるため、筒状に形成された中性子遮蔽材は半径方向に弾性を有するようになり、外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の中性子遮蔽材であって、前記シートは、押出成形によって形成された厚肉パイプを外周側から厚みが、3.0mm未満となるように桂剥きして形成されることを特徴とする中性子遮蔽材である。
【0010】
本発明によれば、高分子量ポリエチレンからなるシートは、押出成形によって形成された厚肉パイプを外周側から桂剥きして形成されるため、材料ロスを抑えつつ短時間で得ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の中性子遮蔽材であって、前記高分子量ポリエチレンからなるシートを複数重に巻いて形成される複数の円筒状部材が同軸状となるように連結されたものであって、相接するそれぞれ接続端部は雄雌のテーパ形状に形成されたことを特徴とする中性子遮蔽材である。
【0012】
本発明によれば、中性子遮蔽材を複数の円筒状部材が連結されたものとすることによって、貯蔵容器本体が大型化した場合においても容易に対応することができるとともに簡単な施工で形成することができる。さらに、この複数の円筒状部材の相接するそれぞれ接続端部を雄雌のテーパ形状に形成することによって中性子の遮蔽の確実性は向上される。
【0015】
請求項5に記載の発明は、核燃料物質を収容した貯蔵容器本体の外周を覆うように配され前記核燃料物質から放出される中性子を遮蔽するための中性子遮蔽材の製造方法であって、前記中性子遮蔽材は、密度が0.830g/cm 3 以上、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量ポリエチレンを押出成形によって厚肉パイプ状に形成するとともにこの厚肉パイプを外周側から厚みが、3.0mm未満となるように桂剥きしてシートを形成し、
このシートを前記貯蔵容器本体の外周形状に沿うように複数重に筒状に巻くことによって形成されることを特徴とする中性子遮蔽材の製造方法である。
【0016】
本発明によれば、中性子遮蔽材は、高分子量ポリエチレンからなるシートを貯蔵容器本体の外周形状に沿うように巻くことによって、短時間で効率良く形成されるとともに、半径方向に弾性を有するようになり、外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができる。さらにシートは、押出成形によって形成された高分子量ポリエチレンからなる厚肉パイプを桂剥きすることによって得られるため、材料ロスを抑えつつ短時間に効率良く形成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による核燃料物質貯蔵容器を図面を参照して説明する。図1は本発明の核燃料物質貯蔵容器100全体の側方断面図であり、図2は図1のA−A矢視図である。
【0018】
図1、図2において、核燃料物質貯蔵容器100は、バスケット本体1と、核燃料物質を収容させる容器本体2と、容器本体2の外周に設けられた中性子遮蔽材3と、固定手段である容器本体固定板4とを備えている。
【0019】
バスケット本体1は、例えばSS400といった圧延鋼などの金属からなっており、容器本体2を収納するための有底の空間部5が4つ設けられたものである。このバスケット本体1には複数の柱部6が設けられており、これら柱部6によってバスケット本体1全体の強度が確保されている。また柱部6は、上端6aがバスケット本体1上面より突出するように設けられているとともに下端6bには係合穴6cが設けられている。すなわち、バスケット本体1を段積みさせた場合において、下段のバスケット本体1の柱部6の上端6aを、上段のバスケット本体1の柱部6の下端6bに形成された係合穴6cに係合させることによってバスケット本体1の段積みは安定して実現されるようになっている。
【0020】
容器本体2は、例えばウラン酸化物などの核燃料物質を収納させるためのものであり、SUS304といったステンレス鋼などから形成されている。また容器本体2の上部開口部にはボルトによって固定される蓋2bが取り付けられるようになっている。
【0021】
容器本体固定板4は、空間部5に収納された容器本体2を固定するためのものであって、例えばSS400といった圧延鋼などの金属から形成されている。この容器本体固定板4は下向きに開口した筒部4aを有しており、筒部4aの先端を容器本体2の肩部2aに当接させつつバスケット本体1に固定されることによって容器本体2を固定するようになっている。
【0022】
中性子遮蔽材3は円筒状に形成されたものであって、空間部5のそれぞれの内部に設けられている。容器本体2はこれら中性子遮蔽材3を備えた空間部5にそれぞれ収納可能となっている。
【0023】
図3に示すように、中性子遮蔽材3の内側には、例えばカドミウムなどからなる中性子吸収材8の層が設けられており、さらに内側には内側ステンレス層7が設けられている。一方、中性子遮蔽材3の外側には、外側ステンレス層9が設けられている。そして容器本体2は内側ステンレス層7の内部に収納されるようになっている。これら内側ステンレス層7、外側ステンレス層9、中性子吸収材8はそれぞれ例えば1〜10mm程度の厚みを有している。
【0024】
中性子吸収材8は、図4に示すように複数のシートが複数の層を有するように設けられたものである。すなわち、2枚のシートを筒状に配置して内層とするとともに、それぞれの相接する離間部分8aを覆うように2枚のシートを配置して外層としたものであって、4枚のシートから構成されている。したがって、各シートの離間部分8aは他のシートによって覆われる構成となっており、中性子の遮蔽効果は向上されている。なお、各シートを重なり合わせ、離間部分8aが無くなるように配置することによって中性子の遮蔽の確実性はさらに向上する。また、内側ステンレス層7や外側ステンレス層9も、中性子吸収材8と同じ方法で設けることが可能である。
【0025】
中性子遮蔽材3は、エチレンもしくはエチレンを主体とした重合体であり、密度が0.830g/cm 3 以上、極限粘度が2.5dl/g以上、好ましくは5.0dl/g以上の高分子量ポリエチレンからなるシートを円筒状に巻いたものである。この高分子量ポリエチレンシートとしては、厚みが3.0mm未満であることが望ましく、3.0mm未満とすることによって容易に円筒状に巻くことができる。
【0026】
また、中性子遮蔽材3は内径が500mm〜600mm程度になるように巻かれるため、ひとつのシートの長さは5m以上のものを使用することが望ましい。また、使用される容器本体2の大きさを考慮した場合、シートの幅は500mm以上であることが望ましい。
【0027】
極限粘度が5.0dl/g以上の高分子量ポリエチレンのシートは、押出成形によって成形された厚肉パイプを外周から桂剥きすることによって形成される。すなわち、高分子量ポリエチレンパウダーを加熱溶融し、押出成形法によって高分子量ポリエチレン製の厚肉パイプを形成し、次いでこの厚肉パイプを回転させつつその外周面にカッター刃をあてがうことによって、桂剥きの要領で高分子量ポリエチレンシートは形成される。極限粘度が5.0dl/g未満の高分子量ポリエチレンシートについても、前記方法で形成されるのが一般的であるが、T−ダイシート成形法によってシートを形成することが可能である。このようにして形成させたシートを円筒状に巻くことによって、図5、6に示すような中性子遮蔽材3が形成される。
【0028】
具体的には、容器本体2が外径500mm、高さ1000mmのSUS304製である場合、まず、厚肉パイプ用ダイを備えた押出成形機によって例えば外径500mm、内径186mm,長さ1200mmの高分子量ポリエチレン製大口径厚肉パイプを形成する。そしてこの厚肉パイプをスカイビング・レースDF−13型(田之内鉄工所製)などを用いて外周面側から順次連続的に桂剥きにして、厚み1.0mm、幅1200mm、長さ88mの連続シートを形成させる。そして、このシートを内径を500mmに規制しつつ40周巻き上げることによって、図5、図6に示すような円筒状の中性子遮蔽材3が形成される。
【0029】
以上のような構成を持つ核燃料物質貯蔵容器100において核燃料物質を貯蔵する場合、まず、容器本体2に核燃料物質を収容させる。そして、容器本体2の開口部に蓋2bをし、ボルトなどによって固定させる。また、バスケット本体1のそれぞれの空間部5には、外側ステンレス層9、中性子遮蔽材3、中性子吸収材8、内側ステンレス層10をあらかじめ設けておく。そして、核燃料物質を収容した容器本体2を、中間子遮蔽材3の内部に挿入する。
【0030】
容器本体2を、中性子遮蔽材3が備えられた空間部5に収納したら、バスケット本体1の上方より容器本体固定板4を覆い、筒部4aを容器本体2の肩部2aに当接させる。そして、この容器本体固定板4をバスケット本体1に例えばボルトやコンクリートなどによって固定することによって容器本体2はバスケット本体1に固定されつつ収容される。
そしてこの容器本体2を収容したバスケット本体1を、柱部6の上端6aと係合穴6cとを係合させつつ積み上げることによって核燃料物質貯蔵容器100は保管あるいは搬送される。
【0031】
このように、中性子遮蔽材3は、シート状に形成された高分子量ポリエチレンを円筒状に巻いたものであるため、短時間かつ容易に形成することができる。また、シートを巻いたものであるため半径方向に弾性を有するので外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができる。すなわち、ブロック状や一体成形の中性子遮蔽材においては外力が加わると割れたりするおそれがあるが、シートを巻いた構成とすることにより破損は防止される。
【0032】
そして、容器本体2内部に収容されている核燃料物質から放出される中性子は、容器本体2の外周を覆うように配された円筒状の中性子遮蔽材3によって確実に遮蔽される。さらに容器本体2は、バスケット本体1の空間部5内部に容器本体固定板4によって固定されているので、保管や搬送は安定して行われる。
【0033】
さらに、高分子量ポリエチレンシートは、押出成形によって形成された厚肉パイプを外周側から桂剥きして形成されるため、材料ロスを抑えつつ短時間で得られる。すなわち、従来の高分子量ポリエチレンの板材から小さなブロックを削り出す方法では、材料のロスが製品重量の例えば少なくとも3倍程度発生していたが、本発明のように厚肉パイプの外周面から順次連続的に桂剥きする方法においては材料ロスを10%未満に抑えることができる。
【0034】
また、高分子量ポリエチレンシートを巻いて円筒形状にする方法は、容器本体2の外径寸法の仕様変更に容易に対応することが可能である。さらに、厚肉パイプを備蓄して必要なときにシート状にすればよいため、中性子遮蔽材3は必要なときに効率良く短時間で形成されることが可能であり、例えば製品として即時に納めることができる。
【0035】
柱部6を設けたことによってバスケット本体1全体の強度は確保されているため、例えば落下してしまった場合においても、バスケット本体1は局部変形のみが生じて全体の変形には至らず、容器本体2には影響を及ぼさない。したがって、安全性は向上されている。
【0036】
さらに、容器本体2を収容したバスケット本体1を、柱部6の上端6aと係合穴6cとを係合させつつ積み上げてることによって例えば1000本といった大量の容器本体2を一度に安定して保管することができる。
【0037】
また、中性子吸収材8を併用することによって中性子遮蔽材3の機能を補うことができるので、容器本体2に収容された核燃料物質から放出される中性子の遮蔽の確実性はさらに向上される。
【0038】
なお、上述のように中性子遮蔽材3をあらかじめ空間部5に備えさせてから容器本体2を収納するのではなく、容器本体2の外周に直接中性子遮蔽材3を巻き付けてから空間部5に収納することも可能である。すなわち容器本体2を回転機構に設置して回転させつつ、厚肉パイプを連続的にシート状に桂剥きすると同時にこのシートを回転する容器本体2の外周に連続的に巻き付けることも可能である。
【0039】
次に、本発明の中性子遮蔽材の第2実施形態を図7、図8を参照しながら説明する。
図7、図8において、中性子遮蔽材13は、複数の円筒状部材が連結されたものであって、相接するそれぞれ接続端部は雄雌のテーパ形状に形成されている。すなわち、中性子遮蔽材13は、2つの円筒状の部材13a、13bからなっており、それぞれの部材の接続部分は、雄雌のテーパー状に形成されて嵌合されている。
【0040】
この2つの部材13a、13bからなる中性子遮蔽材13を形成するために、まず押出成形法によって得られた高分子量ポリエチレン製の厚肉パイプを桂剥きにし、例えば厚み1.0mm、最大幅1150mm、長さ50mの連続シートを形成する。次いで、この形成されたシートを内径500mmに規制しつつ40回巻き上げることにより2つの円筒状部材が形成される。形成されたこれらの部材のうち、一方の部材の端面が雄形テーパーに、他方の部材の端面が雌形テーパーになるように旋盤で加工することにより、2つの円筒状部材13a、13bが得られる。これらの円筒状部材13a、13bの雄雌のテーパー部分を嵌合させるように連結することによって中性子遮蔽材13が得られる。
形成された中性子遮蔽材13の内部には、例えば外径500mm、高さ1000mmのSUS304製容器本体2が挿入可能となる。
【0041】
このように中性子遮蔽材13を複数の円筒状部材13a、13bが連結されたものとすることによって、例えば高さが1000mmを越える長身の容器本体2に対しても円筒状部材13a、13b、…を複数個連結させることによって容易に対応することができる。さらにこの複数の円筒状部材13a、13bの相接するそれぞれ接続端部を雄雌のテーパ形状に形成することによって、各部材13a、13bは安定して連結され中性子の遮蔽の確実性は向上される。さらに、各部材13a、13bは接続端部を嵌合することによって連結されるため、中性子遮蔽材13を組み立てるときの施工は極めて簡単に行うことができる。
【0042】
次に、図9、10を参照しながら中性子遮蔽材の第3実施形態について説明する。
これらの図に示すように、中性子遮蔽材23は、厚み1.0mm、幅950mm、長さ30mの高分子量ポリエチレン製の第1シート23aと、厚み1.0mm、幅1050mm、長さ30mの高分子量ポリエチレン製の第2シート23bとを、外径500mm、高さ2000mmのSUS304製容器本体2の高さの中央付近で互いに相接させつつ外周に巻き付けてなる内層24と、内層24の外側に第2シート23bと第1シート23aとを先に巻き付けた内層24側とそれぞれ異なった位置、すなわち互いに逆の位置に巻き付けた外層25とからなっており、計4本の円筒状部材から構成されたものである。
【0043】
この第1、第2シート23a、23bは、押出成形法によって得られた高分子量ポリエチレン製の厚肉パイプを桂剥きにすることによって得られる。このとき、それぞれの第1、第2シート23a、23bの所望の幅に合わせて厚肉パイプの長さを定めることが可能であるが、幅広のシートをスリットするなどして所望の幅の第1、第2シート23a、23bを得ることも可能である。
【0044】
このように、幅の異なる複数のシートを互いに相接するように容器本体2の外周に巻き付けるとともに、さらにこれらのシートを容器本体2の外周に互いに逆に位置するように巻き付けることによって、これらのシートの相接部分の形状は複雑化される。したがって、容器本体2に収容された核燃料物質からの中性子の放出の遮蔽の確実性は向上される。また、複数のシートを組み合わせる構成であるため、長身の容器本体2に対しても容易に対応することができるとともに、例えば幅広のシートを所望の幅にスリットするなどして、様々なサイズの容器本体2に対しても容易に対応することができる。
【0045】
なお、この場合においても、容器本体2の外周に第1、第2シート23a、23bを直接巻き付ける方法の他に、内径を規制しつつ内層24を円筒状に巻き次いでその外側に外層25を設けて中性子遮蔽材23としたのち、この内部に容器本体2を挿入することも可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の核燃料物質貯蔵容器、中性子遮蔽材及びその製造方法は、以下のような効果を有するものである。
請求項1に記載の発明によれば、シート状に形成された高分子量ポリエチレンを筒状に巻いた中性子遮蔽材を備えたため、貯蔵容器本体内部に収容された核燃料物質から放出される中性子は確実に遮蔽される。また、シートを巻いたものであるため半径方向に弾性を有するので外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができるとともに、短時間且つ容易に形成することができる。そして外周に中性子遮蔽材を配した貯蔵容器本体は、バスケット本体の空間部内部に固定手段によって固定されているので、保管や搬送は安定して行われる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、中性子遮蔽材は、シート状に形成された高分子量ポリエチレンを筒状に巻いたものであるため、短時間且つ容易に形成することができる。また、シートを巻いた構成であるため、筒状に形成された中性子遮蔽材は半径方向に弾性を有するようになり、外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができる。
【0048】
請求項3に記載の発明によれば、高分子量ポリエチレンからなるシートは、押出成形によって形成された厚肉パイプを外周側から桂剥きして形成されるため、材料ロスを抑えつつ短時間で得ることができる。
【0049】
請求項4に記載の発明によれば、中性子遮蔽材を複数の円筒状部材が連結されたものとすることによって、貯蔵容器本体が大型化した場合においても容易に対応することができるとともに簡単な施工で形成することができる。さらに、この複数の円筒状部材の相接するそれぞれ接続端部を雄雌のテーパ形状に形成することによって中性子の遮蔽の確実性は向上される。
【0051】
請求項6に記載の発明によれば、中性子遮蔽材は、高分子量ポリエチレンからなるシートを貯蔵容器本体の外周形状に沿うように巻くことによって、短時間で効率良く形成されるとともに、半径方向に弾性を有するようになり、外力が加わっても破損することなくたわんで元の形状に戻ることができる。さらにシートは、押出成形によって形成された高分子量ポリエチレンからなる厚肉パイプを桂剥きすることによって得られるため、材料ロスを抑えつつ短時間に効率良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核燃料物質貯蔵容器の実施形態の一例を示す側方断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】中性子遮蔽材近傍の層構成を説明する図である。
【図4】中性子吸収材の配置を説明する図である。
【図5】中性子遮蔽材の第1実施形態を説明する斜視図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】中性子遮蔽材の第2実施形態を説明する斜視図である。
【図8】図7の断面図である。
【図9】中性子遮蔽材の第3実施形態を説明する斜視図である。
【図10】図9の断面図である。
【符号の説明】
1 バスケット本体
2 容器本体
3、13、23 中性子遮蔽材
4 容器本体固定板(固定手段)
5 空間部
6 柱部
7 内側ステンレス層
8 中性子吸収材
9 外側ステンレス層
13a、13b 円筒状部材
24 内層
25 外層
100 核燃料物質貯蔵容器[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a nuclear fuel material storage container for storing nuclear fuel material such as spent uranium oxide, a neutron shielding material used therefor, and a method for manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
Nuclear fuel materials such as uranium oxide or plutonium oxide are stored in a nuclear fuel material storage container and stored or transported. At this time, a neutron shielding material for shielding neutrons is provided on the outer periphery of the container body of the nuclear fuel material storage container. Examples of the material of the neutron shielding material include organic materials having a large neutron shielding effect. Organic plastics are lightweight and have excellent elasticity, plasticity, and machinability, as well as good chemical resistance especially required in reprocessing facilities. Among them, high-molecular-weight polyethylene has excellent impact resistance and is the limit of use. Since the value of irradiation dose is high, it is advantageous in terms of safety and durability.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, since the high molecular weight polyethylene has a large molecular weight, it has a difficulty in molding processability. In general, a plate-like processed material is molded and used by a compression molding method. Therefore, the conventional neutron shielding material has been assembled by making a block of high molecular weight polyethylene into a block shape by machining and stacking it in the form of a building block around the storage container. However, such a method has a problem that a large amount of parts (blocks) are required and a time for processing the parts becomes long. In addition, inspection and assembly work require a long time, so the product price and construction cost increased and the efficiency was poor. Furthermore, since a large amount of waste is generated at the time of cutting when the plate material is made into a block shape, the material loss is increased and the processing of the waste and the cost increase are problems.
[0004]
The present invention has been made in view of such circumstances, and provides a nuclear fuel material storage container that is easily manufactured in a short period of time and is economically advantageous, a neutron shielding material used therefor, and a method of manufacturing the same. It is an object.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problem, the invention according to claim 1 is a storage container main body in which nuclear fuel material is stored, a basket main body having a plurality of space portions for storing the storage container main body, and the basket A neutron shielding material for shielding neutrons emitted from the nuclear fuel material provided in a space portion of the main body, and a fixing means for fixing a storage container main body housed in the space portion of the basket main body, The neutron shielding material is formed in a cylindrical shape by winding a plurality of sheets having a thickness of less than 3.0 mm made of high molecular weight polyethylene having a density of 0.830 g / cm 3 or more and an intrinsic viscosity of 2.5 dl / g or more. It is arranged to cover the outer periphery of the storage container body.
[0006]
According to the present invention, since the neutron shielding material in which the high molecular weight polyethylene formed in a sheet shape is wound in a cylindrical shape is provided, neutrons emitted from the nuclear fuel material accommodated inside the storage container body are reliably shielded. Further, since the sheet is wound, it has elasticity in the radial direction, so that it can be bent and returned to its original shape without being damaged even when an external force is applied, and can be easily formed in a short time. And since the storage container main body which has arrange | positioned the neutron shielding material on the outer periphery is being fixed by the fixing means inside the space part of a basket main body, storage and conveyance are performed stably.
[0007]
The invention according to
[0008]
According to the present invention, the neutron shielding material can be formed in a short time and easily because the sheet is formed by winding high molecular weight polyethylene formed in a sheet shape. In addition, since the sheet is wound, the cylindrical neutron shielding material has elasticity in the radial direction, and can be returned to its original shape without being damaged even when an external force is applied. .
[0009]
Invention of
[0010]
According to the present invention, the sheet made of high molecular weight polyethylene can be obtained in a short time while suppressing material loss because the thick pipe formed by extrusion molding is peeled off from the outer peripheral side.
[0011]
Invention of
[0012]
According to the present invention, a plurality of cylindrical members are connected to the neutron shielding material, so that even when the storage container body is enlarged, it can be easily handled and formed by simple construction. Can do. Furthermore, the reliability of neutron shielding is improved by forming the connecting end portions of the plurality of cylindrical members in contact with each other in a male and female tapered shape.
[0015]
The invention according to
It is a method for producing a neutron shielding material, characterized in that the sheet is formed by winding a plurality of sheets into a cylindrical shape so as to follow the outer peripheral shape of the storage container body.
[0016]
According to the present invention, the neutron shielding material is formed efficiently in a short time by winding a sheet made of high molecular weight polyethylene along the outer peripheral shape of the storage container body, and has elasticity in the radial direction. Thus, even if an external force is applied, the original shape can be bent without being damaged. Further, since the sheet is obtained by peeling a thick pipe made of high molecular weight polyethylene formed by extrusion molding, it can be efficiently formed in a short time while suppressing material loss.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a nuclear fuel material storage container according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a side sectional view of the entire nuclear fuel
[0018]
1 and 2, a nuclear fuel
[0019]
The basket body 1 is made of a metal such as rolled steel such as SS400, and is provided with four bottomed
[0020]
The
[0021]
The container main
[0022]
The
[0023]
As shown in FIG. 3, a layer of a
[0024]
The
[0025]
The
[0026]
Moreover, since the
[0027]
A high molecular weight polyethylene sheet having an intrinsic viscosity of 5.0 dl / g or more is formed by peeling a thick pipe formed by extrusion from the outer periphery. That is, high molecular weight polyethylene powder is heated and melted, a thick pipe made of high molecular weight polyethylene is formed by an extrusion method, and then the cutter blade is applied to the outer peripheral surface of the thick pipe while rotating it. In this way, a high molecular weight polyethylene sheet is formed. A high molecular weight polyethylene sheet having an intrinsic viscosity of less than 5.0 dl / g is generally formed by the above-described method, but the sheet can be formed by a T-die sheet molding method. A
[0028]
Specifically, when the container
[0029]
When nuclear fuel material is stored in the nuclear fuel
[0030]
When the container
The nuclear fuel
[0031]
Thus, since the
[0032]
And the neutron emitted from the nuclear fuel substance accommodated in the inside of the container
[0033]
Furthermore, since the high molecular weight polyethylene sheet is formed by peeling a thick pipe formed by extrusion from the outer peripheral side, it can be obtained in a short time while suppressing material loss. That is, in the conventional method of cutting out a small block from a high molecular weight polyethylene plate, material loss occurs, for example, at least about 3 times the product weight. In particular, the material loss can be suppressed to less than 10% in the method of peeling off the katsura.
[0034]
Moreover, the method of winding a high molecular weight polyethylene sheet into a cylindrical shape can easily cope with a change in the specification of the outer diameter of the
[0035]
Since the strength of the entire basket body 1 is ensured by providing the
[0036]
Furthermore, the basket body 1 containing the
[0037]
Moreover, since the function of the
[0038]
As described above, the
[0039]
Next, a second embodiment of the neutron shielding material of the present invention will be described with reference to FIGS.
7 and 8, the
[0040]
In order to form the
For example, a
[0041]
As described above, by connecting the
[0042]
Next, a third embodiment of the neutron shielding material will be described with reference to FIGS.
As shown in these drawings, the
[0043]
The first and
[0044]
In this way, a plurality of sheets having different widths are wound around the outer periphery of the
[0045]
Even in this case, in addition to the method of directly winding the first and
[0046]
【The invention's effect】
The nuclear fuel material storage container, neutron shielding material and method for producing the same of the present invention have the following effects.
According to the first aspect of the present invention, since the neutron shielding material in which the high molecular weight polyethylene formed in a sheet shape is wound in a cylindrical shape is provided, neutrons released from the nuclear fuel material accommodated inside the storage container body are surely obtained. Shielded by. Further, since the sheet is wound, it has elasticity in the radial direction, so that it can be bent and returned to its original shape without being damaged even when an external force is applied, and can be easily formed in a short time. And since the storage container main body which has arrange | positioned the neutron shielding material on the outer periphery is being fixed by the fixing means inside the space part of a basket main body, storage and conveyance are performed stably.
[0047]
According to the invention described in
[0048]
According to the invention described in
[0049]
According to the fourth aspect of the present invention, the plurality of cylindrical members are connected to the neutron shielding material, so that it is possible to easily cope with a case where the storage container body is enlarged and simple. It can be formed by construction. Furthermore, the reliability of neutron shielding is improved by forming the connecting end portions of the plurality of cylindrical members in contact with each other in a male and female tapered shape.
[0051]
According to the invention described in
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side sectional view showing an example of an embodiment of a nuclear fuel material storage container according to the present invention.
FIG. 2 is a view taken in the direction of arrows AA in FIG.
FIG. 3 is a diagram illustrating a layer configuration in the vicinity of a neutron shielding material.
FIG. 4 is a diagram illustrating the arrangement of neutron absorbers.
FIG. 5 is a perspective view for explaining a first embodiment of a neutron shielding material.
6 is a cross-sectional view of FIG.
FIG. 7 is a perspective view for explaining a second embodiment of the neutron shielding material.
8 is a cross-sectional view of FIG.
FIG. 9 is a perspective view for explaining a third embodiment of the neutron shielding material.
10 is a cross-sectional view of FIG. 9. FIG.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Basket
5
Claims (5)
この貯蔵容器本体を収納するための複数の空間部を有したバスケット本体と、
前記バスケット本体の空間部内に設けられ前記核燃料物質から放出される中性子を遮蔽するための中性子遮蔽材と、
前記バスケット本体の空間部に収納された貯蔵容器本体を固定するための固定手段とを備え、
前記中性子遮蔽材は、密度が0.830g/cm 3 以上、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量ポリエチレンからなる厚みが、3.0mm未満のシートを複数重に巻いて筒状に形成され前記貯蔵容器本体の外周を覆うように配されたものであることを特徴とする核燃料物質貯蔵容器。A storage container body containing nuclear fuel material;
A basket body having a plurality of spaces for storing the storage container body;
A neutron shielding material provided in the space of the basket body for shielding neutrons emitted from the nuclear fuel material;
A fixing means for fixing the storage container main body stored in the space of the basket main body,
The neutron shielding material is formed in a cylindrical shape by winding a plurality of sheets having a thickness of less than 3.0 mm made of high molecular weight polyethylene having a density of 0.830 g / cm 3 or more and an intrinsic viscosity of 2.5 dl / g or more. A nuclear fuel material storage container, wherein the storage container body is disposed so as to cover an outer periphery of the storage container body.
前記シートは、押出成形によって形成された厚肉パイプを外周側から厚みが、3.0mm未満となるように桂剥きして形成されることを特徴とする中性子遮蔽材。The neutron shielding material according to claim 2,
The neutron shielding material, wherein the sheet is formed by peeling a thick pipe formed by extrusion from the outer peripheral side so that the thickness is less than 3.0 mm .
前記高分子量ポリエチレンからなるシートを複数重に巻いて形成される複数の円筒状部材が同軸状となるように連結されたものであって、
相接するそれぞれ接続端部は雄雌のテーパ形状に形成されたことを特徴とする中性子遮蔽材。The neutron shielding material according to claim 2 or 3,
A plurality of cylindrical members formed by winding a plurality of sheets made of the high molecular weight polyethylene are coaxially connected,
A neutron shielding material characterized in that each connecting end portion in contact with each other is formed into a male and female tapered shape.
前記中性子遮蔽材は、密度が0.830g/cm 3 以上、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量ポリエチレンを押出成形によって厚肉パイプ状に形成するとともにこの厚肉パイプを外周側から厚みが、3.0mm未満となるように桂剥きしてシートを形成し、
このシートを前記貯蔵容器本体の外周形状に沿うように複数重に筒状に巻くことによって形成されることを特徴とする中性子遮蔽材の製造方法。A method for producing a neutron shielding material for shielding neutrons that are arranged so as to cover an outer periphery of a storage container main body containing nuclear fuel material and emitted from the nuclear fuel material,
The neutron shielding material has a density of 0.830 g / cm 3 or more, the thickness of the thick pipe from the outer peripheral side with an intrinsic viscosity forms a thick pipe shape by extrusion 2.5 dl / g or more high molecular weight polyethylene Is peeled off to form a sheet so that it is less than 3.0 mm ,
A method for producing a neutron shielding material, wherein the sheet is formed by winding a plurality of sheets in a cylindrical shape along the outer peripheral shape of the storage container body.
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