JP4293910B2 - 流体管理バルブ - Google Patents

Description

本発明は、一般的には医療器具に関し、より詳しくは、注入装置における流体の流れを制御するための装置に関する。

医療処置手順においては、導管を開閉することが、しばしば必要である。例えば、血管造影法においては、Ｘ線不透過の造影剤をその源から吸引し、造影剤をカテーテルを介して患者へ注入するために、少なくともひとつの注射器が提供される。カテーテルは注射器に直接的に結合されるか、又はカテーテルと注射器との間にマニホールドやｙ字形アダプタなどの他の器具が提供される。ｙ字形アダプタは、１又は複数の源から受けた流体を同一のカテーテルへ提供するために、又はマニホールドにひとつの入口を提供し、介在装置に第２の入口を提供するために使用される。

現在、ｙ字形アダプタは、患者の失血を最小にするために、止血バルブを含んでいる。止血バルブは、円筒形のグランドを含んでいて、かかるグランドをカラーで圧縮することによって、グランドの径を変化させている。グランドにカテーテルを挿通してから、グランドの径を変化させることによって、グランドはカテーテルを十分に圧縮して、止血を提供すると共に、カテーテルを所定位置に固定する。グランドをカラーで圧縮することは、代表的にはｙ字形アダプタのキャップをねじることによって行われる。ｙ字形アダプタは、ｙ字形アダプタの本体に設けられたネジと螺合するようなネジを含んでいる。本体に対してキャップをねじると、キャップはｙ字形アダプタの本体へ向かって動いて、カラーが圧縮される。
所望の密封状態を達成するのに必要な圧縮の量にも依るが、しばしばキャップを何回も回転させることが必要になる。例えば、そうしたｙ字形アダプタを使用する代表的な心臓病の処置においては、各介入装置を介入させ、取り除き、及び操作するために、医師は何回もグランドを開閉しなければならない。時には、ｙ字形アダプタは、カテーテルシャフトを所定位置に固定するために使用される。医師がカテーテルを何度も調節しなければならないことは珍しいことではない。

従来は、受動的なバルブ（通常は閉じているバルブ）が提供されていて、挿入された器具によって弁体に適度な力を働かせると、バルブが押し開かれるようになっている。現在、そうした受動的な器具は、これを開くために、比較的強い力を必要としている。

本発明のひとつの観点によれば、注入器具と医療器具とバルブとを備えてなる、流体管理装置が提供される。医療器具は、注入器具と連通している。バルブは医療器具に機能的に関連付けられていて、バルブは、摺動式にバルブを開くための機構を含む。
本発明のこれらの及びその他の観点及び特徴については、以下の詳細な説明に添付図面を関連させることによって、さらに明らかになるだろう。

本発明には様々な変更及び応用を加えることができるけれども、ある種の例示的な実施形態について図示して、以下に説明する。しかしながら、開示される特定の態様に本発明を限定する意図はなく、本発明は、特許請求の範囲に定められた発明の精神及び範囲において、あらゆる変更、応用、及び均等物を包含するものであることを理解されたい。

図１を参照すると、符号２０は、本発明の教示に従って構成された、介入装置の全体を示している。本発明の教示について、かかる介入装置２０に関連させて説明するけれども、本発明の教示は、導管を迅速に且つしっかりと開閉しなければならないような、他の多数の用途に採用することができることを理解されたい。
図１に示すように、装置２０は注入器具２２を含んでいる。注入器具２２は、手作業で操作される注射器でも良いし、動力的に駆動される注入装置であっても良い。図示の注射器２２は、シリンダ２４を含んでいて、その中には操作可能なプランジャ２６が配置されて往復的に動かされる。注射器２２の出口２８には、マニホールド３０が結合されている。マニホールド３０は、限定はしないが例えば、血管造影法に関連して用いられるＸ線不透過の造影剤など、多彩な流体源に結合される。
マニホールド３０から延びた流体供給ライン３２は、ｙ字形アダプタ３４に結合されている。ｙ字形アダプタ３４は、第１の入口３６及び第２の入口３８と、ひとつの出口４０とを含んでいる。出口４０には案内カテーテル４２が結合されて、案内カテーテル４２の管腔内にはバルーンカテーテル４４が配置され、案内カテーテル４２に結合された導入シース４６から、ｙ字形アダプタ３４の第１の入口３６を通って延在している。第１の入口３６の上流側において、バルーンカテーテル４４にはバルーン膨張ポート４８が設けられていて、これに膨張装置５０が結合されている。また、バルーンカテーテル４４のバルーン５６を制御するために、膨張ポート４８に近接して、ガイドワイヤ５２とトルク装置５４とが配置されている。

図１に示すように、止血バルブ５８は、第１の入口３６に配置されている。バルブ５８は、これに挿通されたバルーンカテーテル４４などの医療器具のまわりにおいて、迅速に又はゆっくりと開閉することができる。例えば、カテーテルを交換したり、ステントやバルーンを導入するときには、バルブ５８を迅速に開くことが有利である。また、バルブ５８を効果的に密封し、しっかりと閉じられるような機構を提供することも有利である。医療器具はカテーテル以外の、ガイドワイヤその他の類似物であっても良いことを理解されたい。

次に図２〜図４を参照すると、バルブ５８の詳細が示されている。ひとつの実施形態におけるバルブ５８は、本体６０と、グランド６２と、カラー６４と、キャップ６６と、第１及び第２のハーフナット６８ａ及び６８ｂとを含んでいる。本体６０の円筒形の頭部７０には、第１及び第２の弓形の開口７２ａ及び７２ｂが設けられている。本体は、さらに環状のフランジ７４を含んでいるが、その重要性については後述する。ハーフナット６８の数が２を越える又は２未満である場合には、これに一致した数の開口７２が、本体６０の円筒形の頭部７０に設けられる。
グランド６２は好ましくは、弾性材料から作られていて、実質的に円筒形である外面７６と、同じく円筒形である中心ボア７８とを含んでいる。
カラー６４は、外面にネジ８２が形成された（図３及び図４参照）、中央部分８０を含んでいる。カラーはさらに、径の拡大したプラットホーム８４と、駆動端８６とを含んでいる。中心ボア８８は、カラー６４を貫通している。
第１及び第２のハーフナット６８ａ及び６８ｂは、これらの内面９２にネジ９０を含んでいると共に（図３及び図４参照）、外面９６にはカム面９４を含んでいる。
キャップ６６は、大径領域１０２と小径領域１０４との間にカム面１００を配置されて有しているような、内面９８を含んでいる。キャップ６６の上面１０６は入口１０７を有していて、該入口から下方へ管１０８が延在し、同様に下方へ少なくとも１本の駆動軸１１０が延在している。キャップ６６の基部には、半径方向の内方へ向けて縁部１１２が設けられていて、該縁部は、本体６０における肩部１１４と環状フランジ７４との間において摺動すべく適合している。

変形例の実施形態においては、ネジとカム面との配置関係が異なるようにしても良い。例えば、キャップ６６の内面９８にネジを含めるようにして（図示せず）、これをナット６８ａ及び６８ｂの外面９６に設けたネジに係合させても良い。そうした実施形態においては、ナット６８ａ及び６８ｂの内面９２にカム面を設けるようにして、該カム面を、カラー６４の中央部分８０に設けたカム面と協働させることができる。この場合、しっかり閉じるモードにおいて、又は迅速に開くモードにおいて、バルブ５８を操作するには、キャップ６６をバルブ５８の残余の部分に対して回転させ、又は摺動させる。
使用に際しては、バルブ５８のキャップ６６が図２及び図３に示した位置の状態にあるときには、キャップ６６のカム面１００によって、ハーフナット６８ａ及び６８ｂは半径方向内方へ動かされている。従って、ネジ９０とネジ８２とは螺合している。駆動軸１１０は、通路１１６によって、回転方向についてはカラー６４に固定されているので、キャップ６６を回転させると、カラー６４も同様に回転する。第１及び第２のハーフナット６８ａ及び６８ｂは、本体６０によって、軸線方向について固定されているので、キャップ６６を第１の方向へ回転させると、カラー６４は第１の方向へ軸線上にて前進し、キャップ６６を反対方向へ回転させると、カラー６４は軸線上にて反対方向へ移動する。

カラー６４が軸線上にてグランド６２へ向けて前進すると、グランド６２は、本体６０における平坦部分１１７に対して押圧されて圧縮され、これにより、バルブ５８に挿通されたカテーテル４４に内向きの力を作用させる。カラー６４を十分に前進させれば、グランド６２が十分に圧縮されて、カテーテル４４を完全にシールする。
キャップ６６を回転させることは時間を要する作業であるため、バルブ５８には迅速に解放して開くための特徴が提供されている。図２と図３を比較すると分かるように、キャップ６６を本体６０へ近づけるように軸線方向に摺動させると、ネジ８２とネジ９０とが係脱する。従って、グランド６２はもはや圧縮されることがなくなって、その通常の状態に復帰して、カテーテル４４を開く。グランド６２が拡張しようとする力が、カラー６４の駆動端８６を押圧するように働くことで、カラー６４は上方へ押し上げられて、第１及び第２のハーフナット６８ａ及び６８ｂは係脱するまで半径方向外方へ移動する。変形例としては、グランド６２の拡張動作を補助するために、バネを提供しても良い。

次に、図５〜図７を参照すると、変形例による実施形態のバルブを、符号１５６にて示している。変形例による実施形態において、対応する要素には同一の参照符号を付している。変形例による実施形態では、グランド１５０が前記実施形態とは異なっている。図７に良く示されているように、グランド１５０では、円筒形の基部１５２における上部１５４を横切るようにして、膜１５６が延在している。膜１５６には、直線状の切れ目１５８が設けられている。膜１５６は好ましくは、凹面状であるか、又は球根形状であって、円筒形の基部１５２から離れるように延びている。
変形例による実施形態の他の相違点は、図５及び図６に示すように、バルブ５８がシャトル１６０を含んでいることである。シャトルの上部キャップ１６２から下方へ、作動導管１６４が延びている。作動導管１６４は、入口１６６と出口１６８とを含んでいる。図５と図６を比較すると分かるように、シャトル１６０は開いた状態と閉じた状態との間にて動くことができる。開いた状態においては、シャトル１６０はバルブ５８の下方へ押し込まれて、出口１６８はグランド１５０の切れ目１５８に押し通される。この場合、グランド１５０は、膜１５６が作動導管１６４を取り巻くようにして、開いた状態に保持される。従って、入口１６６から、作動導管１６４を通り、本体６０の中心ボア７８を通って、通路が形成される。この状態においては、ステント（図示せず）やバルーン５６などの器具を、グランド１５０に干渉されずに、バルブ５８に容易に挿入することができる。

逆に、シャトル１６０をバルブ５８から引き離すと、作動導管１６４はグランド１５０から引き離されて、グランド１５０の弾性のために、膜１５６は閉じた状態に復帰して、切れ目１５８が閉じて密封する。キャップ６６の外周には、突起１７０を設けると良い。シャトル１６０に設けられた肩部１７２及び半径方向内方へ向けられた縁部１７４と組み合わさせて、外周突起１７０は、シャトル１６０がバルブ５８から完全に引き抜かれることを防止する。
従って、本発明による教示を使用すれば、しっかり閉じたモードと迅速に解放するモードとにて操作可能であるようなバルブをもった、流体管理装置を構成することができることが理解できるだろう。これによって、ただ単に失血を最小にしたり、カテーテルを精密に位置決めできるだけでなく、カテーテルを迅速に交換することが可能になる。

図１は、本発明の教示に従って構成された注入装置を示した側面図である。 図２は、本発明の教示に従って構成されたバルブを示した分解図である。 図３は、図２に示したバルブの断面図であって、ロック状態を示している。 図４は、図２に示したバルブの断面図であって、解放状態を示している。 図５は、本発明の他の実施形態を示した断面図であって、閉じた状態を示している。 図６は、図５に示した実施形態の断面図であって、開いた状態を示している 図７は、本発明の教示に従って構成された、切れ目をもつグランドを示した斜視図である。

Claims (14)

1. 医療器具とともに用いられる流体管理バルブであって、この流体管理バルブが、
   外面と入口と出口とを有してなる本体と、
   本体の外面内に可動式に取り付けられた少なくともひとつのナットであって、ナットは内面のネジと外面のカム面とを有しているような上記ナットと、
   本体の入口の中に取り付けられて、ナットの内面ネジに螺合すべく適合された外面ネジを含んでいるようなカラーと、
   本体の出口とカラーとの間に設けられた弾性的なグランドと、
   駆動軸とカム面とを有しているキャップであって、キャップはロック状態と解放状態との間において可動になっていて、キャップがロック状態にあるとき、カム面はナットのネジをカラーのネジに係合させるべく配置し、キャップが解放状態にあるとき、グランドはナットのネジをカラーのネジから係脱させるべく配置するような上記キャップと、
   を備えていることを特徴とする前記流体管理バルブ。
2. 前記本体の外面は、第１の開口と第２の開口とを含み、前記バルブは、前記第１の開口と前記第２の開口とにそれぞれ可動式に取り付けられた第１のナットと第２のナットとを含んでいることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
3. 前記キャップは、前記カラーに対して、回転方向については固定され、軸線方向については可動になっていることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
4. 前記駆動軸は、前記カラー内に設けられた通路内で軸方向に摺動可能である、ことを特徴とする請求項３に記載の流体管理バルブ。
5. 前記キャップは、カテーテルを受け入れるべく適合された出口を含んでいることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
6. 前記本体は、カテーテルを受け入れるべく適合された入口を含んでいることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
7. 前記キャップは、前記本体に間隔を隔てて設けられたフランジと肩部との間において摺動すべく適合された、内向きの縁部を含んでいることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
8. 前記グランドは、弾性的な円筒部材であることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
9. 前記グランドは、受動的な弁体を含んでいることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
10. 前記受動的な弁体は、前記グランドを横切って延在している弾性材料の膜であって、膜は切れ目を含んでいることを特徴とする請求項９に記載の流体管理バルブ。
11. 開位置と閉位置との間にて動くように適合されたシャトル要素をさらに含み、シャトル要素は開位置にあるときに、受動的な弁体を開いて維持し、受動的な弁体は通常は閉じた状態になっていることを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
12. 前記シャトルは、前記シャトルが前記キャップに対して押し込まれたとき、前記受動的な弁体を開いて維持すべく適合してなる、中央導管を含んでいることを特徴とする請求項１１に記載の流体管理バルブ。
13. 前記バルブは、迅速に開くモードとしっかり閉じるモードとで作動可能である、ことを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。
14. 前記グランドは、切れ目が設けられた膜を有する、ことを特徴とする請求項１に記載の流体管理バルブ。

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