本発明は、入力装置および電子機器に関する。
従来、電子機器に対する入力装置が提案されている。図1は従来の入力装置を説明するための図である。図1において、符号30はリモートコントローラ装置を示しており、このリモートコントローラ装置30は、コンピュータ装置に指令を与えるものである。入力装置10は、リモートコントローラ装置30に組み込まれている。
図1に示すように、入力装置10は、傾斜可能なキートップ11、キートップ11に固定された永久磁石12、プリント回路基板20、プリント回路基板20に実装された複数のホール素子21、22を備える。操作者が指先1でキートップ11を操作して傾斜させると、永久磁石12の各ホール素子21、22に対する姿勢が変化し、各ホール素子21、22に作用する磁界が変化するため、ホール素子21、22の出力信号が変化して、この出力信号をコンピュータ側に送ることにより、コンピュータに接続されたディスプレイ装置の画面上のポインタがキートップ11を操作した方向に移動する。
ディスプレイ装置の画面上で、ポインタが所定の領域を指した状態で、実行操作釦を押すことにより、ポインタが指示する領域を選択できるようになっている。従来は、ポインタがディスプレイ装置の画面上のある領域から別の領域に移ったときにリズム音を発するようにして、ポインタが別の領域に移ったことを操作者にフィードバックして操作者の聴覚に刺激を与えることによって、操作の確認を図っていた。
しかし、操作者に上記リズム音が聞こえない場合、操作の確認ができないという問題がある。例えば、聴覚に障害がある場合には利用できないという問題があった。このような問題を解決する従来技術として、特許文献1記載の電子機器が提案されている。
特許文献1記載の電子機器は、タッチパネルや操作キーに対する操作入力が受け付けられたことを検知した場合、磁石とコイルとからなる振動アクチュエータを駆動し振動を発生させるようにしたので、ユーザが画面を見ずに容易に電子機器の反応を確認できるというものである。
また、入力装置の操作部に操作感を与えるようにした従来技術として特許文献2記載の入力装置が提案されている。特許文献2記載の入力装置は、操作棒を所望の方向に傾けると、スイッチ素子がその方向にある一つのソレノイドコイルに向かって接近し、操作部がソレノイドコイルに引き寄せられ、最終的に接触する。これにより、操作感のある入力装置を提供することができるというものである。
特開2002−149312号公報
特開平8−286824号公報
しかしながら、特許文献1記載の電子機器では、ユーザが画面を見ずに電子機器の反応を確認することができるものの、振動アクチュエータで電子機器を振動させるため、操作している指も一緒に振動してしまうため、操作がしにくいという問題がある。
また、特許文献2記載の入力装置では、操作部がソレノイドコイルに引き寄せされるため、引っ張り力による操作感を与えることができるものの、ユーザの操作に応じた加速感やブレーキ感を表現することは出来ないという問題がある。
そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、操作性を低下させることなく、機器への反応を確認できる入力装置および電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、ユーザの操作に応じて加速感やブレーキ感を与えることができる入力装置および電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の入力装置は、請求項1に記載のように、指を当てて操作され、傾斜可能に支持された操作部と、前記指の触覚を刺激する触覚刺激素子と、前記触覚刺激素子と共に移動するコイルと、前記コイルとの間で磁力を発生させ、前記コイルと外形が等しい磁石と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記コイルに流れる電流を制御する制御部とを有することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、操作感を低下させることなく、機器への反応を確認することができる。また、磁石のエッジからでる磁力線を効果的に使うために磁石とコイルをほぼ同じ大きさにしたので、使用する部品を大きくすることなく、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明の入力装置は、請求項2に記載のように、指を当てて操作され、傾斜可能に支持された操作部と、前記指の触覚を刺激する触覚刺激素子と、前記触覚刺激素子と共に移動する磁石と、前記磁石との間で磁力を発生させ、前記磁石と外形が等しいコイルと、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記コイルに流れる電流を制御する制御部とを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、操作感を低下させることなく、機器への反応を確認することができる。また、磁石のエッジからでる磁力線を効果的に使うために磁石とコイルをほぼ同じ大きさにしたので、使用する部品を大きくすることなく、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は請求項2記載の入力装置において、前記磁石は、筒形状であり、前記コイルは、二重コイルであることを特徴とする。請求項3記載の発明によれば、筒形状の磁石を用いる場合でも、二重コイルを用いて大きな磁力を発生させることができるので、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項3記載の入力装置において、前記二重コイルは、電流が外側と内側で逆向きに流れるように構成されていることを特徴とする。請求項4記載の発明によれば、筒形状の磁石を用いる場合でも、電流が外側と内側で逆向きに流れるため、大きな磁力を発生させることができる。これにより、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明の入力装置は、請求項5に記載のように、指を当てて操作され、傾斜可能に支持された操作部と、筒形状の磁石と、前記磁石との間で磁力を発生させる第1のコイルと、前記第1のコイルの内側に配置され、前記磁石との間で磁力を発生させる第2のコイルと、前記第1のコイル及び前記第2のコイルと共に移動し、前記指の触覚を刺激する触覚刺激素子と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記第1のコイル及び前記第2のコイルに流れる電流を制御する制御部を有することを特徴とする。
請求項5記載の発明によれば、操作感を低下させることなく、機器への反応を確認することができる。また、磁石が筒形状であっても、磁石に穴部に対応する位置に第2のコイルを配置するようにしたので、大きな磁力を発生させることができる。これにより、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明の入力装置は、請求項6に記載のように、指を当てて操作され、傾斜可能に支持された操作部と、前記指の触覚を刺激する触覚刺激素子と、前記触覚刺激素子と共に一部が移動し、磁力を発生させる磁力発生手段と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記磁力を制御する制御部とを有し、前記磁力発生手段は、円筒形状の磁石と、前記磁石との間で前記磁力を発生させる二重コイルとを含むことを特徴とする。
請求項6記載の発明によれば、操作感を低下させることなく、機器への反応を確認することができる。また、二重コイルを設けたので、筒形状の磁石を用いた場合でも、大きな磁力を発生することができるため、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明の入力装置は、請求項7に記載のように、指を当てて操作され、傾斜可能に支持された操作部と、筒形状の磁石と、前記磁石との間で磁力を発生させる二重コイルと、前記磁石又は前記二重コイルと共に移動し、触覚を刺激する触覚刺激素子と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記二重コイルに流れる電流を制御する制御部を有することを特徴とする。
請求項7記載の発明によれば、操作感を低下させることなく、機器への反応を確認することができる。また、二重コイルを設けたので、筒形状の永久磁石を用いた場合でも、大きな磁力を発生することができるので、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項6又は請求項7記載の入力装置において、前記二重コイルは、電流が外側と内側で逆向きに流れるように構成されていることを特徴とする。請求項8記載の発明によれば、外側と内側で流れる電流の向きが異なるため、大きな磁力を発生することができる。これにより、筒形状の磁石を用いた場合でも、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の入力装置において、前記入力装置は更に、ヨークを有することを特徴とする。請求項9記載の発明によれば、磁石からの磁束密度を有効に利用するためにヨークを設けたので、磁石からでる磁力線を吸着させたい部分に集中させることができる。
本発明によれば、操作性を低下させることなく、機器への反応を確認できる入力装置および電子機器を提供することができる。また、本発明によれば、ユーザの操作に応じて加速感やブレーキ感を与えることができる入力装置および電子機器を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図2は、入力装置50を組み込んだリモコン装置の斜視図である。図2に示すように、リモコン装置60は、入力装置50、実行キー61を備える。入力装置50は、リモコン装置60の中央部に組み込まれている。実行キー61は、入力装置50の近くに配置されている。操作者は、指先で入力装置50、実行キー61を操作することにより、各種信号を図示省略するコンピュータに送信することができる。
次に、入力装置50の構成について説明する。図3は、入力装置50の外観図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は底面図である。図4は、入力装置50の分解斜視図である。図5は、図4(A)のA−A線に沿う拡大断面図である。図3において、X1−X2、Y1−Y2は水平面の方向、Z1−Z2は垂直方向をそれぞれ示している。
図3〜図5に示すように、入力装置50は、永久磁石12、ホール素子21〜24、ハウジング51、キートップ52、コイルバネ53、ホルダ54、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56、スペーサ57を有する。符号20はプリント回路基板を示している。この入力装置50は、指先をキートップ52に当てて、キートップ52をX−Y方向の任意の方向に傾斜させることによって、座標情報を出力してポインタをディスプレイ装置の画面上で移動させることができるように構成されている。
永久磁石12は、円筒形状であり、上側がN極、下側がS極となるように、ホルダ54内部に固定される。この永久磁石12は、キートップ52の動きに応じて移動する。ホール素子21〜24は、プリント回路基板20に90°間隔で実装されている。ホール素子21〜24は、操作者が指先でキートップ11を傾斜させると、検出する磁界に応じたタッチ信号を出力する。
ハウジング51は、底部に配置され、底板部の中央に凸部51aが形成されており、この凸部51aの周囲に4つの開口部51bが形成されている。この開口部51bには、装着時にホール素子21〜24が配置される。
キートップ52は、操作部であり、裏面に固定してあるスペーサ57を介して、ホルダ54の円筒部54aの頂上部に固定され、ホルダ54の上端の開口を塞いでいる。キートップ52には、中央に円錐突起部56bが突き出すための孔52aが形成されている。この孔52aから円錐突起部56bが突き出すことにより、操作者の指先に接触する。キートップ52は、コイルバネ53を撓ませつつ、凸部51aを中心として、ホルダ54と一体的に傾斜する。
コイルバネ53、ホルダ54は、ハウジング51とキートップ52の間に配置されている。コイルバネ53は、円錐形状であり、その下端のターン部53aをハウジング51の突起係止部51cに係止させてハウジング51内側に固定される。ホルダ54は、底板付きの円筒形状であり、円筒部54a、底板部54bを有する。ホルダ54は、コイルバネ53の内側に位置し、底板部54bの下面の中央の凹部54cが凸部51aに嵌合し、且つ、円筒部54aの頂上側の外周部分がコイルバネ53の上端のターン部53bに係合された状態で支持される。
可動駆動コイル55は、円筒形状で且つ空芯であり、ホルダ54の円筒部54a内に嵌合される。この可動駆動コイル55aは、永久磁石12上に載っており、Z1方向に移動できるように構成されている。可動駆動コイル55の両端は、ホルダ54の外側に引き出されており、後述する駆動回路74に接続される。
永久磁石12と可動駆動コイル55は、外形が同じ大きさであるとよい。これにより、磁石のエッジからでる磁力線を効果的に使うことができる。
触覚刺激素子56は、円板部56aの中央に円錐突起部56bを有し、可動駆動コイル55の上面に固定される。入力装置50は、ハウジング51の下側のフック51dを介してプリント回路基板20上に実装される。このとき、各開口部51bにホール素子21〜24が嵌合される。なお、永久磁石12、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56が触覚刺激装置59を構成する。
図6は、第1実施例に係る入力装置50のブロック図である。図6に示すように、入力装置50は、永久磁石12、4つのホール素子21〜24、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56、CPU(Central Processing Unit)70、A/D変換回路71、ポインタ移動回路72、駆動回路74、昇圧回路75を有する。
永久磁石12は、円筒形状に構成され、ホール素子21の上部で、可動駆動コイル55の下部にN極が可動駆動コイル55側に向くように配置されている。ホール素子21〜24は、永久磁石12の下部に配置されており、このホール素子21〜24は、ブリッジ状に接続され、ブリッジ回路25を構成する。ホース素子21〜24は、A/D変換回路71を介してCPU70に接続されている。
可動駆動コイル55は、駆動回路74に接続されており、永久磁石12の上部に配置され、Z1−Z2方向に移動できるように構成されている。触覚刺激素子56は、円錐突起部56bを有し、可動駆動コイル55の上部に固定されており、可動駆動コイル55とともにZ1−Z2方向に移動できるように構成されている。
CPU70は、所定のプログラムを実行することにより各部を制御する。このCPU70は、ホール素子21〜24の出力を演算してポインタをディスプレイ装置の画面上で移動させる信号を作成し、ディスプレイ装置の画面上のポインタの位置を監視し、ポインタがディスプレイ装置の画面上の所定の領域に移動したことを判断する等の働きをする。
ポインタ移動回路72は、CPU70からポインタをディスプレイ装置の画面上で移動させるための指令を受け取ると、指令に応じたポインタ移動信号を生成する。駆動回路74は、CPU70から供給される波形データに従って、可動駆動コイル55に供給する駆動信号を生成する。昇圧回路75は、駆動回路74で生成する駆動信号を昇圧する。
操作者が指先で入力装置50のキートップ11を傾斜させると、永久磁石12の各ホール素子21〜24に対する姿勢が変化するため、各ホール素子21〜24に作用する磁界が変化する。このため、ホール素子21〜24の出力信号(タッチ信号)が変化する。CPU70は、A/D変換回路71からのタッチ信号に基づき、ポインタ移動回路72を介してポインタ移動信号を生成し、生成したポインタ移動信号をコンピュータ側に送信する。これにより、コンピュータの表示画面上のポインタがキートップ11を操作に応じて移動する。
また、CPU70は、A/D変換回路71からのタッチ信号に応じて駆動回路74に波形データを供給する。駆動回路74は、可動駆動コイル55に駆動信号を印加する。永久磁石12、可動駆動コイル55から発生する磁力により、駆動コイル55は、図中、Z1−Z2方向に移動する。触覚刺激素子56の円錐突起部56bが操作者の指先に触れることで、操作者の指先に刺激を与えることができる。
次に、駆動回路74について説明する。図7(A)は、駆動回路74の例を示す図、同図(B)〜(G)は可動駆動コイル55に流れる電流波形を示す図である。図7(A)に示すように、トランジスタQのエミッタに可動駆動コイル55が接続されている。ディスプレイ装置の画面上のポインタが移動した所定の領域に入り、CPU70からの波形データが端子150に加えられると、図7(B)に示すパルスの駆動電流i1が可動駆動コイル55に流れる。
CPU70は、種々の波形データを入力することにより、図7(C)に示すパルス幅Tが相違する駆動電流i2、同図(D)に示す複数回のパルスの駆動電流i3、同図(E)に示すパルスの周期Tを変えた駆動電流i4、同図(F)に示すパルスレベルを変えた駆動電流i5を駆動コイル55に流すことができる。
また、図3に示した昇圧回路75を利用して、同図(G)に示すように、パルスの最初のレベルが高くされたパルスの駆動電流i6を可動駆動コイル55に流すことができる。この場合には、可動駆動コイル55は駆動初期に加速されて迅速に動作する。触覚刺激素子56は、上記駆動電流i1〜i6に応じて動作するため、操作中の指先の触覚に異なった刺激を与えることができる。なお、CPU70が駆動回路74に入力する波形データは、図示しないメモリ内に格納されている。
次に、永久磁石12に対するホール素子21〜24および可動駆動コイル55の位置関係について説明する。図8は、永久磁石12に対するホール素子21〜24および可動駆動コイル55の位置関係を説明するための図である。
キートップ52が操作されて傾斜すると、永久磁石12は図6中矢印79で示す方向に傾斜する。図8に示すように、永久磁石12の下側には、永久磁石12が発生する磁界13が及ぶ位置にホール素子21〜24が配置されている。永久磁石12の上側には、永久磁石12が発生する磁界13が及ぶ位置に可動駆動コイル55が配置されている。
操作者が指先でキートップ11を傾斜させると、永久磁石12の各ホール素子21〜24に対する姿勢が変化し、ホール素子21〜24に作用する磁界が変化する。このため、ホール素子21〜24の出力信号が変化する。CPU70は、この変化した出力信号に基づいてキートップ11の操作量を求めることができる。
また、CPU70からの波形データに従って、駆動回路74から可動駆動コイル55に図7に示す方向に駆動電流i1が供給されると、永久磁石12に向かう方向に磁界が発生する。可動駆動コイル55には、永久磁石12から離れるZ1向きに反発力F1が発生して、可動駆動コイル55はZ1方向に図5中二点鎖線で示すようにキートップ52の下面に当るまで移動され、円錐突起部56bが孔52aより少し突き出す。これにより、キートップ52に接触している指先に円錐突起部56bが接触する。可動駆動コイル55は、CPU70の制御によって駆動電流i1が断たれると、反発力F1が消滅して、重力によってZ2方向に沈んで元の位置に戻される。
次に第1実施例に係る入力装置の動作について説明する。図9は、入力装置50の動作およびポインタの動作を説明する図であり、同図(A)は触覚刺激素子56が移動する前の入力装置の断面図、同図(B)は(A)に対応するディスプレイ装置の画面を示す図、同図(C)は触覚刺激素子56が移動した後の入力装置の断面図、同図(D)は(C)に対応するディスプレイ装置の画面を示す図である。
図10は、第1実施例に係る入力装置50の動作フローチャートである。図9(A)及び(C)において、符号1は指先、50は入力装置、12は永久磁石、52はキートップ、52aは孔、55は可動駆動コイル、56は触覚刺激素子、56bは円錐突起部、59は触覚刺激装置をそれぞれ示している。図9(B)及び(D)において、符号80はディスプレイ装置の画面、85はポインタ、86はディスプレイ装置の画面80上のある領域をそれぞれ示している。
ステップS11で、CPU70は、ホール素子21〜24からタッチ信号が入力されたか否かを判別し、ホール素子21〜24からタッチ信号が入力された場合は、ステップS12に進む。キートップ52を操作していない状態では、図5に示すように、永久磁石12は、プリント回路基板20と平衡にホール素子21〜24の中央の上に位置する。このため、永久磁石12からの磁界13は、各ホール素子21〜24に均一に作用し、ブリッジ回路25からのタッチ信号は出力されない。
操作者が指先1をキートップ52に当てて任意の方向に移動させると、図9(A)に示すように、キートップ52が傾斜して、永久磁石12のホール素子21〜24に対する姿勢が変化し、各ホール素子21〜24に作用する磁界の強さが変化し、ブリッジ回路25からはキートップ52の傾斜方向及び傾斜角度に応じたタッチ信号が出力される。
ステップ12で、CPU70は、ポインタ85をディスプレイ装置の画面80上で移動させる指令をポインタ移動回路72に出力する。ポインタ移動回路72は、CPU70からの指令に応じたポインタ移動信号を生成する。CPU70は、ポインタ移動回路72が生成したポインタ移動信号を入力装置50から図示省略するコンピュータに送信する。これにより、図9(B)に示すように、ディスプレイ画面80上のポインタ85がキートップ52の操作に応じた方向に移動する。
ステップ13で、CPU70は、ポインタ85が移動して、図9(D)に示すように、所定の領域86内に入ったことを検出すると、所定のメモリから読み出した波形データを駆動回路74に出力して、駆動信号生成を指示する。ステップS14で、CPU70は、駆動信号に印加時間を計時するためのカウント値をリセットする。ステップS15で、CPU70は、印加時間の計時を開始する。ステップS16で、CPU70は、印加時間の計時開始に応じて、印加時間計時用のカウント値をカウントアップする。
駆動回路74は、CPU70から供給された波形データを用いて駆動信号i1を生成し、CPU70から印加停止が指示されるまでの間、生成した駆動信号i1を可動駆動コイル55に供給する。可動駆動コイル55は、駆動電流i1によって磁界を発生させて、永久磁石12との間に働く反発力によってZ1方向に移動して、図9(C)に示す位置に移動する。これにより、触覚刺激素子56の円錐突起部56bが孔52aから突き上げて、キートップ52を操作する操作者の指1を刺激する。
ここで、円錐突起部56bが衝撃的に当る指1は、操作を行っており注意が集中している指であるため、操作者は、操作に関与していない指が円錐突起部56bで衝撃的に押された場合に比べて大きい刺激を感じる。
操作者が指1に刺激を感じた際に、実行キー61を押すと、CPU70は、所定の信号をコンピュータに送信し、信号を受信したコンピュータは領域86の表示に対応した動作を行う。よって、操作者はディスプレイ装置の画面80上のポインタ85の動きを注意深く観察していなくても、ポインタ85が領域86を押したことをフィードバック的に認識することができ、例えば操作を長い時間続けており疲労している状態においても、リモコン装置60の操作を能率良く且つ確実に行うことが可能となる。
ステップS17で、CPU70は、カウント値が予め設定された規定時間に相当するカウント値に達したか否かを判別し、印加時間が規定時間を越えたと判別した場合は、ステップS18で、駆動回路74に駆動信号の印加停止を指示する。その後、駆動回路74は、CPU70からの印加停止が指示されると、可動駆動コイル55への駆動信号の印加を停止する。
可動駆動コイル55は、駆動電流i1が零となると、重力によって降下して元の位置に戻される。なお、キートップ52の上面に薄いシートを貼って孔52aを塞いでもよい。この場合には、触覚刺激装置59が動作したときにおける指1への刺激が穏やかになり、指を痛める危険もない。
駆動電流i1はパルス状であってもよい。駆動電流がパルス状である場合には、触覚刺激装置59が繰り返し動作され、指1の触覚は繰り返して刺激される。駆動電流i1を交番的な波形として、可動駆動コイル55の復帰に電磁力が利用されるようにしてもよい。
第1実施例によれば、指を当てて操作される操作部に触覚刺激装置を設けた構成であるため、指の触覚に刺激を与えることができる。よって、目的とする操作が行われたことを操作者にフィードバックして認識させるという操作の確認性の向上を図ることができる。
なお、本実施例では、可動駆動コイル55に触覚刺激素子56を固定するようにしたが、永久磁石12と可動駆動コイル55の位置を逆にして、永久磁石12を上側に配置して、触覚刺激素子56に固定するようにしてもよい。永久磁石12および可動駆動コイル55が磁力発生手段に、ホール素子21〜24が検出手段に、キートップ52が操作部に、CPU70が制御部にそれぞれ相当する。
次に第2実施例について説明する。図11は、触覚刺激素子の変形例を示す図である。図11において、符号56A〜56Cは触覚刺激素子をそれぞれ示している。図11(A)に示すように、触覚刺激素子56Aは、天板部付き円筒部56Aa、円錐突起部56Abを有する。可動駆動コイル55は、天板部付き円筒部56Aaの内部に装着される。
図11(B)に示すように、触覚刺激素子56Bは、天板部付き円筒部56Ba、円錐突起部56Bbを有する。天板部付き円筒部56Ba及び円錐突起部56Bbはインサート成形時に形成される。天板部付き円筒部56Baの内部に可動駆動コイル55がインサート成形される。図11(C)に示すように、触覚刺激素子56Cは、天板部56Ca、円錐突起部56Cb、ボビン56Ccを有する。可動駆動コイル55はボビン56Ccの周囲に装着される。
次に第3実施例について説明する。
図12は、触覚刺激素子56の変形例を示す図であり、同図(A)は突起部の先端が半球形状に形成された触覚刺激素子を示す図、同図(B)は突起部が円柱形状に形成された触覚刺激素子を示す図、同図(C)は突起部の先端が平面状に形成された触角刺激素子を示す図、同図(D)は突起部の先端に微小な突起が格子状に形成された触覚刺激素子を示す図、同図(E)は突起部の先端に微小な突起がマトリックス状に形成された触覚刺激素子を示す図、同図(F)は突起部の先端に凹部が形成された触覚刺激素子を示す図、同図(G)は(F)の断面図、同図(H)は複数の突起部が形成された触覚刺激素子を示す図である。
図12(A)に示すように、触覚刺激素子56Dは、例えば、径が1mm程度の円柱形状で先端が半球形状の突起部56Daを有する。図12(B)に示すように、触覚刺激素子56Eは、例えば、径が1mm程度の円柱形状の突起部を有する。
また、同図(C)に示すように、突起部の先端は平坦な平面56Eeを有していてもよいし、同図(D)に示すように、突起部の先端は平坦な平面に微小なリブが格子状に形成された面56Efを有していてもよく、さらに、突起部の先端は同図(E)に示すように、平坦な平面に微小な突起がマトリックス状に形成された面56Egを有していてもよい。
図12(F)、(G)に示すように、触覚刺激素子56Fは、例えば径が1mm程度の円柱形状で、突起部の先端に凹部56Fh、その周囲部に環状の突き出し部56Fiが形成されている。図11(H)に示すように、触覚刺激素子56Gは、例えば、三つの円錐形状の突起部56Gbを有する。
次に第4実施例について説明する。図13は、触覚刺激装置59の変形例を示す図である。第4実施例に係る触覚刺激装置59A、59Bでは、ヨーク90を配置させることを特徴としている。
図13(A)に示すように、触覚刺激装置59Aは、永久磁石12、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56、ヨーク90を有する。ヨーク90は、円板部90a、この円板部90aの中央に突き出している円柱部90bを有し、円板部90aの一方の面は、永久磁石12のN極側に固定され、円柱部90bが可動駆動コイル55の中心孔55a内に突き出している。
図13(B)に示すように、触覚刺激装置59Bは、永久磁石12、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56C、ヨーク90を有する。この触覚刺激装置59Bは、図13(A)の触覚刺激素子56に代えて、図11(c)に示した触覚刺激素子58Cを用いたものである。触覚刺激素子56Cは、ボビン56Ccがヨーク90の円柱部90bにガイドされて上下動する。
ボビン55Ccと円柱部90bとの滑りは良く、接触刺激素子56Cは図11(A)の触覚刺激素子56Aに比べて更に円滑に昇降する。触覚刺激装置59A、59Bでは、永久磁石12、可動駆動コイル55、ヨーク90の外形をほぼ同じ大きさにするとよい。これにより、永久磁石12のエッジから出る磁力線を効果的に使うことができるため、各部品を大きくすることなく、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
ヨーク90を設けたことによって、磁界13Aの状態が変化して、磁束は主に円柱部90bの先端側から放射状に出るようになる。このため、可動駆動コイル55の各ターン部に作用する磁束の水平方向の成分は、ヨーク90を設けない場合に比べて大きくなる。
しかも、可動駆動コイル55がZ1方向に移動した状態でも、可動駆動コイル55の各ターン部に作用する磁力線の水平方向の成分の減少の程度は少なく、可動駆動コイル55がZ1方向に移動されても各ターン部は依然として強い磁束の水平方向の成分を受け続ける。よって、可動駆動コイル55に駆動電流i1が供給されたときに発生する力F1aはヨーク90を設けない場合に比べて強くなり、接触刺激素子56は効率良く駆動される。
次に第5実施例について説明する。図14は、触覚刺激装置59の変形例を示す図である。図14に示すように、触覚刺激装置59EC、永久磁石12C、可動駆動コイル55C、触覚刺激素子56を有する。永久磁石12Cは、筒形状で、上面がN極、下面がS極となるように軸方向に着磁されている。
可動駆動コイル55Cは、2重コイルであり、外側コイル55C1は、永久磁石12C上面の外側に位置するように配置されされている。内側コイル55C2は、永久磁石12Cに形成された穴部12C1に対応して設けられたものであり、永久磁石12C上面の内側に位置するように配置されている。外側コイル55C1、内側コイル55C2は、駆動回路74によりそれぞれ駆動電流が供給される。外側コイル55C1、内側コイル55C2とからなる二重コイルは、電流が逆方向に流れるように構成されている。
図15は、第5実施例に係る入力装置のブロック図である。図15に示すように、入力装置50は、永久磁石12、4つのホール素子21〜24、可動駆動コイル55C、触覚刺激素子56、CPU(Central Processing Unit)70、A/D変換回路71、ポインタ移動回路72、駆動回路74A、74B、昇圧回路75A、75Bを有する。
上記実施例と同一構成要素については同一符号を付するものとしてその説明を省略する。可動駆動コイル55は、外側コイル55C1、内側コイル55C2を有する。外側コイル55C1は、駆動回路74Aにより駆動電流が供給され、内側コイル55C2は、駆動回路74Bにより駆動電流が供給される。
次に、第5実施例に係る入力装置の動作について説明する。図16は第5実施例に係る入力装置の動作フローチャートである。なお、第1実施例と同様に、図6および図9を用いて説明する。
ステップS21で、CPU70は、ホール素子21〜24からタッチ信号が入力されたか否かを判別し、ホール素子21〜24からタッチ信号が入力された場合は、ステップS22に進む。キートップ52を操作していない状態では、図5に示すように、永久磁石12は、プリント回路基板20と平衡にホール素子21〜24の中央の上に位置する。このため、永久磁石12からの磁界13は、各ホール素子21〜24に均一に作用し、ブリッジ回路25からのタッチ信号は零である。
操作者が指先1をキートップ52に当てて任意の方向に移動させると、図9(A)に示すように、キートップ52が傾斜して、永久磁石12のホール素子21〜24に対する姿勢が変化し、各ホール素子21〜24に作用する磁界の強さが変化し、ブリッジ回路25からはキートップ52の傾斜方向及び傾斜角度に応じたタッチ信号が出力される。
ステップ22で、CPU70は、ポインタ85をディスプレイ装置の画面80上で移動させる指令をポインタ移動回路72に出力する。ポインタ移動回路72は、CPU70からの指令に応じたポインタ移動信号を生成する。CPU70は、ポインタ移動回路72が生成したポインタ移動信号をリ入力装置50から図示省略するコンピュータに送信する。これにより、図9(B)に示すように、ディスプレイ装置の画面80上のポインタ85がキートップ52の操作に応じた方向に移動する。
ステップ23で、CPU70は、ポインタ85が移動して、図9(D)に示すように、所定の領域86内に入ったことを検出すると、所定のメモリから読み出した波形データを駆動回路74A、74Bに出力して、駆動信号生成を指示する。ステップS24で、CPU70は、駆動信号に印加時間を計時するためのカウント値をリセットする。
駆動回路74Aは、CPU70から供給された波形データを用いて駆動信号i1を生成し、CPU70から印加停止が指示されるまでの間、生成した駆動信号i1を外側コイル55C1に供給する。
ステップS25で、CPU70は、印加時間の計時を開始する。ステップS26で、CPU70は、印加時間の計時開始に応じて、印加時間計時用のカウント値をカウントアップする。駆動回路74Bは、CPU70から供給された波形データを用いて駆動信号i1を生成し、CPU70から印加停止が指示されるまでの間、生成した駆動信号i1を内側コイル55C2に供給する。
永久磁石12CのN極から磁束13Cは、可動駆動コイル55Cに向かう方向に出る。永久磁石12C上面の穴部分では、N極から出た磁束13Cが、穴部12C1を通って裏側のS極に向かう。外側コイル55C1は、駆動電流i1によって、永久磁石12に向く方向に磁束を発生させ、永久磁石12Cとの反発力により、外側コイル55C1には、上向きの推進力が発生する。
また、内側コイル55C2は、駆動電流i1によって、永久磁石12とは反対方向に磁束を発生させ、永久磁石12Cの穴12C1を通る磁束との反発力により、内側コイル55C2にも、上向きの推進力が発生する。これにより、触覚刺激素子56は、図9(C)に示す位置に移動するため、円錐突起部55bが孔52aから突き上げて、操作者の指1を刺激する。
操作者が指1に刺激を感じた際に、実行キー61を押すと、CPU70は、所定の信号をコンピュータに送信し、信号を受信したコンピュータは領域86の表示に対応した動作を行う。よって、操作者はディスプレイ装置の画面80上のポインタ85の動きを注意深く観察していなくても、ポインタ85が領域86を押したことをフィードバック的に認識することができ、例えば操作を長い時間続けており疲労している状態においても、リモコン装置60の操作を能率良く且つ確実に行うことが可能となる。
ステップS27で、CPU70は、カウント値が予め設定された規定時間に相当するカウント値に達したか否かを判別し、印加時間が規定時間を越えたと判別した場合は、ステップS28で、駆動回路74A、74Bに駆動信号の印加停止を指示する。その後、駆動回路74A、74Bは、CPU70からの印加停止が指示されると、外側コイル55C1、内側コイル55C2への駆動信号の印加を停止する。可動駆動コイル55Cは、駆動電流i1が零となると、重力によって降下して元の位置に戻される。
第5実施例によれば、可動駆動コイルに2重コイルを用いるようにしたので、筒状の磁石を用いる場合でも、内側と外側のコイルを用いて大きな磁力を発生させることができる。
なお、本実施例では、可動駆動コイル55Cの2重コイルの構成として、外側コイル55C1と、内側コイル55C2とを別々のコイルを用いて構成するようにしたが、一本のコイルを二重に巻いて外側と内側のコイル部を形成するようにしてもよい。また、本実施例では、外側コイル55C1、内側コイル55C2に逆向きの駆動電流を流すようにしたが、外側コイル55C1、内側コイル55C2には同一方向の駆動電流を流すようにしてもよい。これにより、触覚刺激素子56の移動を細かく制御することができる。
次に第6実施例について説明する。図17は第6実施例に係る触覚刺激装置の変形例を示す図であり、同図(A)は触覚刺激装置の分解斜視図、同図(B)は内側の触覚刺激素子が上昇した状態を示す図、同図(C)は内側の触覚刺激素子および外側の触覚刺激素子が上昇した状態を示す図である。
図17に示すように、触覚刺激装置59Dは、永久磁石12、可動駆動コイル55D、触覚刺激素子56Dを有する。触覚刺激装置59Dは、中央に位置する第1の触覚刺激素子56D1とこれを囲む環状である第2の触覚刺激素子56D2とを有する。可動駆動コイル55Dは、二重コイルであり、内側コイル55D2、外側コイル55D1を有する。
第1、第2の触覚刺激素子56D1、56D2は別々のコイル55D1、55D2に固定されている。第6実施例で説明したように、外側コイル55D2は駆動回路74A、内側コイル55D1は駆動回路74Bにより駆動電流が供給される。
触覚刺激装置59Dでは、永久磁石12、外側コイル55D1の外形をほぼ同じ大きさにするとよい。これにより、永久磁石12のエッジから出る磁力線を効果的に使うことができるため、各部品を大きくすることなく、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
次に動作について説明する。ディスプレイ装置の画面上をポインタが移動して所定の領域内に入ると、まず、駆動回路74Aから外側コイル55D1にパルス駆動電流が供給され、続いて、駆動回路74Bから内側コイル55D2にパルス駆動電流が供給される。これによって、最初に、図17(B)に示すように、第1の触覚刺激素子56D1が外側コイル55D1と共に上昇し、次に、図17(C)に示すように、第2の触覚刺激素子56D2が内側コイル55D2と共に上昇する。よって、指先には、刺激を二段階に亘って与えることができる。
第6実施例によれば、触覚刺激素子56D1、56D2は、夫々が独立に昇降するように構成されているので、刺激を二段階に亘って与えることができる。
次に第7実施例について説明する。図18は、触覚刺激装置の別の変形例を示す図である。図18に示すように、触覚刺激装置59Dは、永久磁石12、可動駆動コイル55E、触覚刺激素子56Eを有する。触覚刺激装置59Dは、中央に位置する触覚刺激素子56E1と、これを囲み周方向に四分割した4つの触覚刺激素子56E2〜58E5を有する。
可動駆動コイル55Eは、5つの触覚刺激素子56E1〜E5に対応して5つのコイル55E1〜55E5を有する。各触覚刺激素子56E1〜56E5は、それぞれコイル55E1〜55E5に固定されている。各コイル55E1〜E5は、図示を省略するが、それぞれ駆動回路74に接続されている。触覚刺激装置59Eでは、永久磁石12と、可動駆動コイル55Eの外形をほぼ同じ大きさにするとよい。これにより、永久磁石12のエッジから出る磁力線を効果的に使うことができるため、各部品を大きくすることなく、触覚刺激素子を十分に移動させることができる。
次に動作について説明する。ディスプレイ装置の画面上のポインタが移動して所定の領域に入ると、まず、駆動回路74から可動駆動コイル55E1に駆動電流が供給され、続いて、駆動回路からコイル55E2〜55E5に駆動電流が供給される。これによって、最初に接触刺激素子56E1が上昇し、続いて、他の接触刺激素子56E2〜56E5が順次に上昇し、指先には5段階に亘って刺激を与えることができる。
次に第8実施例について説明する。図19(A)は駆動回路74の他の例を示す図、同図(B)はパルス駆動電流の波形を示す図である。図19(A)に示すように、本実施例に係る駆動回路74Cは、4つのトランジスタQ1〜Q4と可動駆動コイル55とがHブリッジを構成している。
各端子151〜154にはCPU70からの信号が加えられる。CPU70からの信号が最初に端子151、154に加えられ、トランジスタQ1、Q4がオンとなり、可動駆動コイル55には実線の矢印で示す方向にパルス駆動電流i1が流れ、続いて、CPU70からの信号が端子152、153に加えられ、トランジスタQ2、Q3がオンとなり、可動駆動コイル55には破線の矢印で示す逆の方向のパルス駆動電流i2が流れる。
触覚刺激素子56は、パルス駆動電流i1によって永久磁石12から離れる方向に移動され、パルス駆動電流i2によって触覚刺激素子56は永久磁石12に近づく方向に移動される。これにより、触覚刺激装置59は、リモコン装置60の姿勢に影響を受けずに、例えばリモコン装置60が表裏逆転されている姿勢であっても、正常に動作させることができる。
次に第9実施例について説明する。第9実施例では、入力装置50を備えた機器を示す図である。図20は、入力装置を備えた機器を示す図であり、同図(A)は携帯電話機、同図(B)はジョイスティック装置、同図(C)はマウス、同図(D)はPDA(Personal Digital Assistant)、同図(E)はゲームパッドをそれぞれ示している。入力装置50は、図20(A)に示すように、携帯電話機250、同図(B)に示すように、ジョイスティック装置251、同図(C)に示すようにマウス252、同図(D)に示すように、PDA253、同図(E)に示すように、ゲームパッド254の指で操作される部分に組み込むことが可能である。
次に第10実施例について説明する。図21は入力装置50を備えたキーボードを示す図である。図21に示すように、キーボード255は、ドームポイント256に入力装置50が組み込まれている。触覚刺激装置59を、各キー257及びキーボード255のうち手のひらが当る部分258に並べて配置し、触覚刺激装置59を適宜駆動させて、指先及び手のひらに刺激を与えてマッサージ効果を得ることも可能である。
次に第11実施例について説明する。図22(A)は触覚刺激装置59をマトリックス状に並べて配置して触覚ディスプレイ装置260を示す図、同図(B)は(A)のB−B断面図である。触覚ディスプレイ装置260は、永久磁石12、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56を有する。触覚刺激素子56は、円錐突起部56bを有する。
永久磁石12、可動駆動コイル55、触覚刺激素子56が触覚刺激装置59を構成する。触覚ディスプレイ装置260上に手のひらを置いた状態で、例えば或るパターンに対応する位置の触覚刺激装置59を駆動させることによって、手のひらから受ける触覚によって、上記のパターンを認識することが可能となる。
次に第12実施例について説明する。図23は第12実施例に係る入力装置100の斜視図である。図24は第12実施例に係る入力装置100の平面図である。図25は第12実施例に係る入力装置100の正面図である。図26は図24で示した入力装置100のC−C断面図である。
図27は第12実施例に係る入力装置100のブロック図である。図23〜26に示すように、入力装置100は、ケース101、操作部102、永久磁石112〜115、駆動コイル155A〜155D、ホール素子122〜124を有する。この入力装置100は、指先を操作部102に当てて、操作部102を任意の方向に移動させることによって、座標情報を出力してポインタをディスプレイ装置の画面上で移動させることができるように構成されている。
操作部102は、ケース101から上方に突出するように形成されており、十字溝103に沿って4方向に傾斜可能に支持されている。この操作部102は、下端部102aがハウジング104に設けられた半球上のボール部104aに固定されている。操作部102は、ボール部104aが回転移動することにより、十字溝103に沿って4方向に傾斜することができるようになっている。
ハウジング104の内部には、ホルダ105がコイルバネ106を介して装着されている。ハウジング104の下端部には、リブ104bが設けられており、このリブ104bを介して、図4で示したようなプリント基板に実装される。ハウジング104は、ハウジング107によって覆われている。
永久磁石112〜115は、操作部102の所定箇所に一部が露出した形で埋め込まれている。永久磁石112〜115は、操作部102を傾けると、一緒に傾斜する。ホール素子21〜24は、永久磁石112〜115に対応して設けられており、操作部102が傾斜する4つの位置に配置されている。このホール素子21〜24は、操作者が操作部102を移動させると、永久磁石112〜115の磁束の変化に応じたタッチ信号を出力する。
駆動コイル155A〜155Dは、永久磁石112〜115に対応して設けられたものであり、ケース101の所定箇所に固定されている。駆動コイル155A〜155Dに流れる電流を制御することにより、永久磁石112〜115との間で発生する磁力を調整できるようになっている。
次に、入力装置100のブロック図を説明する。図27に示すように、入力装置100は、操作部102、永久磁石112〜115、ホール素子21〜24、駆動コイル155A〜155D、CPU70、A/D変換回路71、ポインタ移動回路72、駆動回路74A〜74D、昇圧回路75A〜75Dを有する。なお、上記実施例と同一箇所については同一符号を付するものとしてその説明を省略する。
4つの永久磁石112〜115は、N極が駆動コイル155A〜115Dに向く方向に着磁されている。なお、永久磁石は少なくとも2つ設けてあればよい。駆動コイル155A〜155Dは、それぞれ駆動回路74A〜74Dに接続されている。この駆動コイル155A〜155Dは、軸が各永久磁石112〜115の方向を向くように配置されている。
昇圧回路75A〜75Dは、各駆動回路74A〜74Dに接続されている。CPU70は、所定のプログラムを実行することにより各部を制御する。駆動コイル155A〜155Dは、所定の駆動電流が流れると、永久磁石112〜115の方向に磁束が発生するので、永久磁石112〜115との間に反発力が働く。このため、操作部102に減速感又はブレーキ感を与えることができる。駆動コイル155A〜155Dは、所定の駆動電流が流れると、永久磁石112〜115とは反対方向に磁束が発生するので、永久磁石112〜115との間に引っ張り力が働く。このため、操作部102に加速感を与えることができる。
次に第12実施例に係る入力装置の動作について説明する。図28は、第12実施例に係る入力装置50の動作フローチャートである。なお、第1実施例と同様に、図9(B)(D)を用いて説明する。
操作部102を操作していない状態では、操作部102は、ホール素子21〜24の中央の上に位置するため、永久磁石112〜115からの磁束は、各ホール素子21〜24に均一に作用し、ブリッジ回路25からのタッチ信号は出力されない。
操作者が操作部102を十字溝103に沿って任意の方向に移動させると、操作部102が傾斜して、永久磁石112〜115のホール素子21〜24に対する姿勢が変化し、各ホール素子21〜24に作用する磁界の強さが変化するため、ブリッジ回路25からは操作部102の傾斜方向及び傾斜角度に応じたタッチ信号が出力される。
ステップS31で、CPU70は、ホール素子21〜24からタッチ信号が入力されたか否かを判別し、ホール素子21〜24からタッチ信号が入力された場合は、ステップS32に進む。ステップ32で、CPU70は、ポインタ85をディスプレイ装置の画面80上で移動させる指令をポインタ移動回路72に出力する。
ポインタ移動回路72は、CPU70からの指令に応じたポインタ移動信号を生成する。CPU70は、ポインタ移動回路72が生成したポインタ移動信号を入力装置100から図示省略するコンピュータに送信する。これにより、図9(B)に示すように、ディスプレイ画面80上のポインタ85が操作部102の操作に応じた方向に移動する。
ステップ33で、CPU70は、ポインタ85が移動して、図9(D)に示すように、所定の領域86内に入ったことを検出すると、所定のメモリから読み出した波形データを駆動回路74A〜74Dに出力して、駆動信号生成を指示する。ステップS34で、CPU70は、駆動信号に印加時間を計時するためのカウント値をリセットする。
駆動回路74A〜74Dは、CPU70から供給された波形データを用いて駆動信号i1を生成し、CPU70から印加停止が指示されるまでの間、生成した駆動信号i1を駆動コイル155A〜155Dに供給する。ステップS35で、CPU70は、印加時間の計時を開始する。ステップS36で、CPU70は、印加時間の計時開始に応じて、印加時間計時用のカウント値をカウントアップする。
駆動コイル155A〜155Dは、駆動回路74A〜74Dからの駆動電流i1に応じた磁界を発生させる。永久磁石112〜115は、磁力によって駆動コイル155A〜155Dに近づく方向に引っ張り力を受けたり、駆動コイル155A〜155Dに遠ざかる方向に反発力力を受けたりする。これにより、操作部102に加速感やブレーキ感を与えることができる。
ステップS37で、CPU70は、カウント値が予め設定された規定時間に相当するカウント値に達したか否かを判別し、印加時間が規定時間を越えたと判別した場合は、ステップS38で、駆動回路74A〜74Dに駆動信号の印加停止を指示する。その後、駆動回路74A〜74Dは、CPU70からの印加停止が指示されると、駆動コイル155A〜155Dへの駆動信号の印加を停止する。操作部102は、駆動コイル155A〜155Dに供給される駆動電流i1が零となると、駆動コイル155A〜155Dから発生する磁界もなくなるので、引っ張り力や反発力もなくなるため、加速感やブレーキ感もなくなる。
第12実施例によれば、操作部を倒した時に磁石と駆動コイルにより磁力を発生させるようにしたので、引っ張り力や反発力を用いて、操作部に加速感、減速感を与えることができる。
なお、第12実施例では、4方向に傾斜するようにしているため、永久磁石112〜115、駆動コイル155A〜155Dおよびホール素子21〜24をそれぞれ4個配置するようにしたが、更に多くの方向に傾斜させる場合には、傾斜方向の数に応じて、永久磁石、駆動コイルおよびホール素子を設けるようにすればよい。
次に第13実施例について説明する。図29は第13実施例に係る入力装置200の斜視図である。図30は第13実施例に係る入力装置200の平面図である。図31は第13実施例に係る入力装置200の正面図である。図32は第13実施例に係る入力装置200の断面図である。図33は第13実施例に係る入力装置200のブロック図である。
図29〜32に示すように、入力装置200は、ケース101、操作部202、永久磁石116、駆動駆動コイル155A〜155D、ホール素子22〜24を有する。なお、上記実施例と同一箇所には同一符号を付するものとしてその説明を省略する。
操作部202は、ケース101から上方に突出するように形成されており、十字溝に沿って傾斜可能に支持されている。永久磁石116は、操作部202と外形を等しくして構成されており、操作部202の所定箇所に埋め込まれている。このため、永久磁石116は、操作部202を傾けると、一緒に傾斜する。この操作部202は、下端部202aがハウジング104に設けられた半球上のボール部104aに固定されている。永久磁石116は、円柱型の磁石であってもよいし、円筒型の磁石であってもよい。
駆動コイル155A〜155Dは、操作部202を傾斜させたときに永久磁石116に対応する位置に配置されている。第13実施例では、第12実施例とは異なり、駆動コイル155A〜155Dは、軸方向が永久磁石116の軸方向と垂直方向を向くように配置されている。ホール素子21〜24は、永久磁石116から磁界の変化を検出して操作部102の位置を検出するためのものである。
次に、図33を用いて入力装置200のブロック図について説明する。図33に示すように、入力装置200は、永久磁石116、ホール素子21〜24、駆動コイル155A〜155D、CPU170、A/D変換回路171、ポインタ移動回路172、駆動回路174A〜174D、昇圧回路175A〜175Dを有する。なお、上記実施例と同一箇所については同一符号を付するものとしてその説明を省略する。
駆動コイル155A〜155Dは、軸方向が永久磁石116の軸方向と垂直方向を向くように配置されている。永久磁石116は、上側がN極、下側がS極となるように着磁されている。駆動コイル155A〜155Dは、所定の駆動電流が流れると、磁束が発生し、永久磁石116との間に反発力が働く。このため、操作部202に減速感又はブレーキ感を与えることができる。駆動コイル155A〜155Dは、逆方向に駆動電流が流れると、上記とは反対方向に磁束が発生し、永久磁石116との間に引っ張り力が働く。このため、操作部202に加速感を与えることができる。
次に、第13実施例に係る入力装置の動作について説明する。操作部202を操作していない状態では、操作部202は、ホール素子21〜24の中央の上に位置するため、永久磁石116からの磁束は、各ホール素子21〜24に均一に作用し、ブリッジ回路25からのタッチ信号は出力されない。
操作者が操作部202を十字溝103に沿って任意の方向に移動させると、操作部202が傾斜して、永久磁石116のホール素子21〜24に対する姿勢が変化し、各ホール素子21〜24に作用する磁界の強さが変化するため、ブリッジ回路25からは操作部202の傾斜方向及び傾斜角度に応じたタッチ信号が出力される。
CPU70は、ポインタ85をディスプレイ装置の画面80上で移動させる指令をポインタ移動回路72に出力する。ポインタ移動回路72は、CPU70からの指令に応じたポインタ移動信号を生成する。CPU70は、ポインタ移動回路72が生成したポインタ移動信号を入力装置200から図示省略するコンピュータに送信する。これにより、図9(B)に示すように、ディスプレイ画面80上のポインタ85が操作部202の操作に応じた方向に移動する。
CPU70は、ポインタ85が移動して、図9(D)に示すように、所定の領域86内に入ったことを検出すると、所定のメモリから読み出した波形データを駆動回路74A〜74Dに出力して、駆動信号生成を指示する。駆動回路74A〜74Dは、CPU70から供給された波形データを用いて駆動信号i1を生成し、CPU70から印加停止が指示されるまでの間、生成した駆動信号i1を駆動コイル155A〜155Dに供給する。
駆動コイル155A〜155Dは、駆動回路74A〜74Dからの駆動電流i1に応じた磁界を発生させる。永久磁石116は、磁力によって駆動コイル155A〜155Dに近づく方向に引っ張り力を受けたり、駆動コイル155A〜155Dに遠ざかる方向に反発力力を受けたりする。これにより、操作部102に加速感やブレーキ感を与えることができる。
第13実施例によれば、操作部を倒した時に磁石と駆動コイルにより磁力を発生させるようにしたので、引っ張り力や反発力を用いて、操作部に加速感、減速感を与えることができる。
なお、第12実施例および第13実施例では、操作部の操作状況検出用の永久磁石と、磁力を発生させるための永久磁石に同一の永久磁石を用いるようにしたが、操作状況検出用の永久磁石(第2の磁石)と、磁力を発生させるための永久磁石(第1の磁石)を別々に設けるようにしてもよい。また、第12実施例および第13実施例では、操作部に永久磁石を配置させ、ケース側に駆動コイルを配置させるようにしたが、本発明ではこれに限定されることなく、操作部に駆動コイルを配置させ、ケース側に永久磁石を配置させるようにしてもよい。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
従来の入力装置を説明するための図である。
入力装置を組み込んだリモコン装置の斜視図である。
入力装置の操作部分の外観図である。
入力装置の操作部分の分解斜視図である。
図4(A)のA−A線に沿う拡大断面図である。
第1実施例に係る入力装置のブロック図である。
(A)は駆動回路の例を示す図、(B)〜(G)は可動駆動コイルに流れる電流波形を示す図である。
永久磁石に対するホール素子および可動駆動コイルの位置関係を説明するための図である。
入力装置の動作およびポインタの動作を説明する図である。
第1実施例に係る入力装置の動作フローチャートである。
触覚刺激素子の変形例を示す図である。
触覚刺激素子の変形例を示す図である。
触覚刺激装置の変形例を示す図である。
触覚刺激装置の変形例を示す図である。
第5実施例に係る入力装置のブロック図である。
第5実施例に係る入力装置の動作フローチャートである。
第6実施例に係る触覚刺激装置の変形例を示す図である。
触覚刺激装置の別の変形例を示す図である。
(A)は駆動回路の他の例を示す図、(B)はパルス駆動電流の波形を示す図である。
入力装置を備えた機器を示す図である。
入力装置を備えたキーボードを示す図である。
(A)は触覚刺激装置をマトリックス状に並べて配置して触覚ディスプレイ装置を示す図、(B)は(A)のB−B断面図である。
第12実施例に係る入力装置の斜視図である。
第12実施例に係る入力装置の平面図である。
第12実施例に係る入力装置の正面図である。
図24で示した入力装置のC−C断面図である。
第12実施例に係る入力装置のブロック図である。
第12実施例に係る入力装置の動作フローチャートである。
第13実施例に係る入力装置の斜視図である。
第13実施例に係る入力装置の平面図である。
第13実施例に係る入力装置の正面図である。
第13実施例に係る入力装置の断面図である。
第13実施例に係る入力装置のブロック図である。
符号の説明
12、112〜115、116 永久磁石
21〜24 ホール素子
25 ブリッジ回路
50、100 入力装置
55 可動駆動コイル
56 触覚刺激素子
59 触覚刺激装置
70 CPU
71 A/D変換回路
72 ポインタ移動回路
74 駆動回路
75 昇圧回路
102、202 操作部
155 駆動コイル