JP4289822B2 - 自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間が日常的なコミュニケーションに使用する自然言語を数学的に取り扱うための自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、日本語構文の統語・意味解析を行なう自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、形容詞連用形を含む日本語文を正確に解析する自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、形容詞連用形を含む構文から副詞的解析結果以外の解析結果を抽出する自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
日本語や英語など、人間が日常的なコミュニケーションに使用する言葉のことを「自然言語」と呼ぶ。多くの自然言語は、自然発生的な起源を持ち、人類、民族、社会の歴史とともに進化してきた。勿論、人は身振りや手振りなどによっても意思疎通を行なうことが可能であるが、自然言語により最も自然で且つ高度なコミュニケーションを実現することができる。
【0004】
他方、情報技術の発展に伴い、コンピュータが人間社会に定着し、各種産業や日常生活の中に深く浸透している。いまやコンピュータ・データだけでなく、画像や音響などほとんどすべての情報コンテンツがコンピュータ上で取り扱われ、情報の編集・加工、蓄積、管理、伝達、共有など高度な処理を行なうことが可能となっている。
【0005】
自然言語は、本来抽象的であいまい性が高い性質を持つが、文章を数学的に取り扱うことにより、コンピュータ処理を行なうことができる。この結果、機械翻訳や対話システム、検索システムなど、自動化処理により自然言語に関するさまざまなアプリケーション/サービスが実現される。
【0006】
自然言語処理は一般に、形態素解析、構文解析、意味解析、文脈解析という各処理フェーズに区分される。
【0007】
形態素解析では、文を意味的最小単位である形態素(morpheme)に分節して品詞の認定処理を行なう。構文解析では、文法規則などを基に句構造などの文の構造を解析する。文法規則が木構造であることから、構文解析結果は一般に個々の形態素が係り受け関係などを基にして接合された木構造となる。意味解析では、文中の語の語義(概念)や、語と語の間の意味関係などに基づいて、文が伝える意味を表現する意味構造を求めて、意味構造を合成する。文脈解析では、文の系列である文章(談話)を解析の基本単位とみなして、文間の意味的なまとまりを得て談話構造を構成する。
【0008】
統語意味解析では、構文解析などで係り受け関係を求めた後の構造文に対して、動詞と主語などの文中の他の構成要素との関係を記述した結合価辞書を用いて、述部とそれに係る語の意味関係を抽出するということが行なわれている。
【0009】
ところで、数多の自然言語の中でもとりわけ日本語はあいまい性が高いとされている。その要因の1つとして、形容詞の連用形を含む文に現れるあいまい性を挙げることができる。
【0010】
例えば、「子供を優しく育てる。」という文には、「(両親などの)育て方が優しい」という、形容詞連用形が副詞的に働く意味と、「子供が優しくなるように育てる」という、形容詞連用形が動詞「育てる」の帰結状態を表す格を示す意味の2通りの解釈が可能である。
【0011】
このような場合、どちらの意味が正しいかは、文脈などによるため(すなわち文脈解析に委ねるべき問題である)、この文だけから判断することはできない。
【0012】
また、以下に示す3つの文例はいずれも似たような意味を持つが、下線部のみが異なる。
【0013】
(a)子供を優しく育てる。
(b)子供を親切に育てる。
(c)子供を善人に育てる。
【0014】
文例(a)は形容詞連用形であり、文例(b)は形容動詞語幹に助詞「に」が連結したもの、文例(c)は名詞と助詞「に」で構成される。これら3つの文例の意味解析結果が意味の類似性を示すようにするためには、同じ構造で表現されている必要がある。
【0015】
従来、上記に示したような文例を解析するために、構文解析などで係り受け関係を求め、その次の段階で結合価辞書などを用いて述部とそれに係る語の意味関係を抽出することなどが行なわれている。したがって、文例(b)と(c)に関しては、結合価辞書に「[主語]ガ[目的語]ヲ[必須格]ニ育てる」という項目を記述しておけば、正しい解析結果を得ることができる。
【0016】
しかしながら、文例(a)には格助詞が含まれていないので、このような結合価辞書を用いた方式では、格関係を示す意味を抽出することができず、副詞的な意味、すなわち、「育て方が優しい」という解析結果しか出力することができない。
【0017】
また、形容詞連用形が帰結関係を示す格であるというルールを記述して文例(a)を解析したとしても、助詞「に」がどこにも出現していないため、意味表現が文例(b)、(c)とは異なってしまう。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、形容詞連用形を含む日本語文を正確に解析することができる、優れた自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、形容詞連用形を含む構文から副詞的な意味以外の解析結果を抽出することができる、優れた自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、形容詞連用形を含む構文から格関係的な意味の解析結果を抽出することができる、優れた自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、形容詞連用形を含む日本語構文を統語・意味解析する自然言語処理システム又は自然言語処理方法であって、
形容詞連用形を含む文の述部が動詞である場合に、動詞がニ格を持っているかどうかを判断する判断手段又はステップと、
動詞がニ格を持っていることに応答して、当該形容詞連用形を含む文についての格関係的解析結果を出力する出力手段又はステップと、
を具備することを特徴とする自然言語処理システム又は自然言語処理方法である。
【0022】
ここで、前記判断手段又はステップは、結合価辞書を参照することによって動詞がニ格を持っているかどうかを判断することができる。結合価辞書は動詞と文中の他の構成要素との関係を記述したものであり、述部とそれに係る語の意味関係を抽出することができる。
【0023】
そして、動詞がニ格を持っている場合には、形容詞連用形が帰結状態を示す格であるとは認められる。このような場合、前記出力手段又はステップは、当該文の意味構造の中で格助詞「ニ」に相当する部分に省略されていることを表示するための零記号を挿入するとともに、必須格の部分に形容詞を入れることによって、格関係的解析結果を出力する。このように、零記号を文の意味構造中に挿入することにより、省略されていない構文との整合性を図ることができる。
【0024】
この結果、形容詞連用形に副詞的・修飾成分以外としての解釈を与えることができる。また、従来と同じ意味構造を用いて格関係的な意味を与えることができるので、文脈解析など後段の処理を変更せずに済む。
【0025】
また、前記出力手段又はステップは、副詞的解析結果をさらに出力するようにしてもよい。
【0026】
このように、統語・意味解析の段階では、形容詞連用形を含む文に対して格関係的解析結果と副詞的解析結果の双方を出力することにより、どちらの意味が正しいかの判断を後段の文脈解析処理に委ねることが可能となる。
【0027】
また、本発明の第2の側面は、形容詞連用形を含む日本語構文を統語・意味解析する自然言語処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
形容詞連用形を含む文の述部が動詞である場合に、動詞がニ格を持っているかどうかを判断する判断ステップと、
動詞がニ格を持っていることに応答して、当該形容詞連用形を含む文についての格関係的解析結果を出力する出力ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0028】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る自然言語処理システム及び自然言語処理方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0029】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0031】
自然言語の構文解析手法は、統計処理に基づく方法と文法ルール記述に基づく方法に大別することができる。本発明は、とりわけ文法ルール記述に基づく統語・意味解析に適用することで顕著な効果を奏することができる。
【0032】
本発明に係る自然言語処理システムは、例えば、LFG(Lexical-Functional Grammar)文法理論に基づく統語・意味解析処理に組み込んで実装することができる。LFGでは、ネイティブ・スピーカの言語知識すなわち文法を、コンピュータ処理や、コンピュータの処理動作に影響を及ぼすその他の非文法的な処理パラメータとは切り離したコンポーネントとして構成している。まず、自然言語処理システムの全体像について簡単に説明する。なお、本実施形態ではLFG文法理論に基づいて説明するが、勿論、他の文法ルールを備えた解析システムにおいても本発明を同様に適用することができる。
【0033】
図6には、LFGに基づく自然言語処理システム1の構成を模式的に示している。
【0034】
形態素解析部2は、日本語など特定の言語に関する形態素ルール2Aと形態素辞書2Bを持ち、入力文を意味的最小単位である形態素に分節して品詞の認定処理を行なう。例えば、「私の娘は英語を話します。」という文が入力された場合、形態素解析結果として、「私{Noun} の{up} 娘{Noun} は{up} 英語{Noun} を{up} 話す{Verb1}{tr} ます{jp} 。{pt}」が出力される。
【0035】
このような形態素解析結果は、次いで、統語・意味解析部3に入力される。統語・意味解析部は、文法ルール3Aや結合価辞書3Bなどの辞書を持ち、文法ルールなどに基づく句構造の解析や、文中の語の語義や語と語の間の意味関係などに基づいて文が伝える意味を表現する意味構造の解析を行なう(結合価辞書は動詞と主語などの文中の他の構成要素との関係を記述したものであり、述部とそれに係る語の意味関係を抽出することができる)。
【0036】
そして、構文解析した結果として、単語や形態素などからなる文章の句構造を木構造として表した"c−structure(constituent structure)"と、主語、目的語などの格構造に基づいて入力文を疑問文、過去形、丁寧文など意味的・機能的に解析した結果として"f−structure(functional structure)"を出力する。
【0037】
図7及び図8には、入力文「私の娘は英語を話します。」を統語・意味解析部1により処理した結果として得られるc−structure及びf−structureをそれぞれ示している。
【0038】
c−structureは、文中の単語や句の構造を木構造形式で表したものであり、構文カテゴリーによって定義される。例えば音素列を生成するための音韻学的な解釈を、c−structureを基に行なうことができる。一方、f−structureは、文法的な機能を明確に表現したものであり、文法的な機能名、意味的形式、並びに特徴シンボルにより構成される。f−structureを参照することにより、主語(subject)、目的語(object)、補語(complement)、修飾語(adjunct)といった意味理解を得ることができる。f−structureは、c−structureの各節点に付随する素性の集合であり、図8に示すように属性−属性値のマトリックスの形で表現される。すなわち、[]で囲まれた中の左側は素性(属性)の名前であり、右側は素性の値(属性値)である。
【0039】
なお、LFGの詳細に関しては、例えばR. M. Kaplan及びJ. Bresnan共著の論文"Lexical-Functional Grammar: A Formal System for Grammatical Representation"(The MIT Press, Cambridge (1982). Reprinted in Formal Issues in Lexical-Functional Grammar, pp. 29-130. CSLI publications, Stanford University(1995).)に記述されている。
【0040】
既に述べたように、日本語構文において、形容詞連用形は、副詞的に働く意味と、動詞の帰結状態を表す格を示す意味の2通りの解釈が可能であり、あいまい性を生ずる一因となっている。
【0041】
このような場合、どちらの意味が正しいかは、文脈などによるため、一文だけから判断することができない。そこで、一文を処理対象とする統語・意味解析の段階では、どちらの解析結果も出力して、後段の文脈解析処理に判断を委ねるようにすることが好ましいと思料される。
【0042】
統語・意味解析においては、一般に、結合価辞書を用いて述部とそれに係る語の意味関係を抽出することが行なわれている。結合価辞書は、動詞と文中の他の構成要素との関係を記述した辞書であり、そこに形容詞連用形における2通りのルールを記述しておくということも考えられる。しかしながら、「子供を優しく育てる」のように、形容詞連用形を含む構文においては格助詞が含まれていないため、格関係を示す意味を抽出することができず、副詞的な解析結果しか得られない。また、形容詞連用形が帰結関係を示す格であるというルールを記述して解析しても、助詞「に」がどこにも出現しないので、意味表現を正しく捉えることができない。
【0043】
本発明では、「零記号」という概念を導入することにより、上述したような不具合を解消することにした。
【0044】
ここで、零記号とは、助詞や助動詞の省略などを零記号と呼ばれる省略を示す記号を文の意味構造中に挿入することにより、省略されていない構文との整合性を図るものである。
【0045】
図1には、本実施形態に係る統語・意味解析処理の手順をフローチャートの形式で示している。図示のフローチャートは、統語・意味解析処理のうち、形容詞連用形を含む文の意味解析処理ルーチンのみを取り出したものである。
【0046】
まず、文の述部が動詞であるかどうかを判断する(ステップS1)。動詞でなければ、後続の処理ステップをスキップして、形容詞連用形が副詞的に働く意味を持つという副詞的解析結果のみを出力して(ステップS5)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0047】
他方、文の述部が動詞である場合には、さらに結合価辞書を参照して(ステップS2)、当該動詞がニ格を持っているかどうかを判断する(ステップS3)。
【0048】
当該動詞がニ格を持っていない場合には、形容詞連用形が帰結状態を示す格であるとは認められない。そこで、後続の処理ステップをスキップして、形容詞連用形が副詞的に働く意味を持つという副詞的解析結果のみを出力して(ステップS5)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0049】
これに対し、当該動詞がニ格を持っている場合には、形容詞連用形が帰結状態を示す格であると認められる。そこで、形容詞連用形が動詞の帰結状態を表す格を示す意味を持つという格関係的解析結果を出力する(ステップS4)。より具体的には、当該文の意味構造の中で、格助詞「ニ」に相当する部分に零記号(以下、これを「ε4」とする)を挿入するとともに、必須格の部分には形容詞を入れる。零記号を文の意味構造中に挿入することにより、省略されていない構文との整合性を図ることができる。また、従来と同じ意味構造を用いて格関係的な意味を与えることができるので、文脈解析など後段の処理を変更せずに済む。
【0050】
さらに、次ステップS5において、形容詞連用形が副詞的に働く意味を持つという副詞的解析結果も併せて出力して、本処理ルーチン全体を終了する。
【0051】
このように、統語・意味解析の段階では、形容詞連用形を含む文に対して格関係的解析結果と副詞的解析結果の双方を出力することにより、どちらの意味が正しいかの判断を後段の文脈解析処理に委ねることが可能となる。
【0052】
ここで、「子供を優しく育てる」という文に対して図1に示した処理を適用した場合を例にとって、統語・意味解析処理の動作について説明する。
【0053】
まず、「子供を優しく育てる」という文に対して、この文の述部が同士であるかどうかを判断する(ステップS1)。この文の述部は「育てる」なので、この条件は真である。
【0054】
次に、「育てる」の結合価辞書を参照して(ステップS2)、動詞「育てる」がニ格の結合価を持っているかどうかを判断する(ステップS3)。
【0055】
「育てる」の結合価辞書を参照することにより、図2に示されるような解析結果が出力される。但し、この意味解析結果はf−structure形式で記述されており、属性−属性値のマトリックスの形で表現される。すなわち、[]で囲まれた中の左側は素性(属性)の名前であり、右側は素性の値(属性値)である。
【0056】
図2に示す通り、述部(PRED)「育てる」は、主語(SUBJ)、目的語(OBJ)、必須格(OBL)で構成され、主語にはNULLが、目的語には「子供」が挿入される。そして、格関係的解析結果を出力するために、形容詞連用形「優しく」は、零記号ε4が述部でその目的語が「優しい」である必須格として表現される。
【0057】
また、図3には、日本語文「子供を優しく育てる」の意味解析結果を示している。但し、上述と同様にf−structure形式で記述されている。同図に示す通り、述部(PRED)「育てる」は、主語(SUBJ)、目的語(OBJ)、必須格(OBL)で構成され、主語にはNULLが、目的語には「子供」が挿入される。そして、必須格は、「親切」を目的語とする述部「に」で構成されている。
【0058】
同様に、図4には、「子供を親切に育てる」の意味解析結果を示している。同図に示す通り、述部(PRED)「育てる」は、主語(SUBJ)、目的語(OBJ)、必須格(OBL)で構成され、主語にはNULLが、目的語には「子供」が挿入される。そして、必須格は、「善人」を目的語とする述部「に」で構成されている。
【0059】
図2、図3、及び図4を比較しても判るように、意味構造が一致していることから、これらの文の意味解析結果では,形容詞連用形が持つ意味の類似性が表現されている。すなわち、形容詞連用形を含む文に対して格関係的解析結果が得られている。また、従来と同じ意味構造を用いて格関係的な意味を与えることができるので、文脈解析など後段の処理を変更せずに済む。
【0060】
さらに、ステップS5では、図5に示すような副詞的意味解析結果を出力する。図示の通り、形容詞連用形「優しく」は動詞「育てる」とは格関係を持たない、単なる修飾成分(ADJUNCT)として表現される。
【0061】
以上の処理により、形容詞連用形を含む日本語文「子供を優しく育てる」に対して2通りの意味解析結果が出力される、ということを充分理解されたい。
【0062】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0063】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、形容詞連用形を含む日本語文を正確に解析することができる、優れた自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0064】
また、本発明によれば、形容詞連用形を含む構文から副詞的な意味以外の解析結果を抽出することができる、優れた自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0065】
また、本発明によれば、形容詞連用形を含む構文から格関係的な意味の解析結果を抽出することができる、優れた自然言語処理システム及び自然言語処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0066】
形容詞連用形を含む構文には格関係を示す意味と副詞的な意味があるが、このうちどちらの意味が正しいかは文脈などに依存するため、一文を処理対象とする統語・意味解析の段階では判断することができない。本発明に係る統語・意味解析システムによれば、形容詞連用形を含む構文から、格関係を示す意味と副詞的な意味の双方の解析結果を出力することができるので、後段の文脈解析などにより正しい意味を判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る統語・意味解析処理の手順を示したフローチャートである。
【図2】動詞「育てる」の結合価辞書を参照した結果を示した図である。
【図3】日本語文「子供を優しく育てる」の意味解析結果を示した図である。
【図4】日本語文「子供を親切に育てる」の意味解析結果を示した図である。
【図5】日本語文「子供を優しく育てる」の副詞的な意味解析結果を示した図である。
【図6】LFGに基づく自然言語処理システム1の構成を模式的に示した図である。
【図7】入力文「私の娘は英語を話します。」を統語・意味解析部1により処理した結果として得られるc−structureを示した図である。
【図8】入力文「私の娘は英語を話します。」を統語・意味解析部1により処理した結果として得られるf−structureを示した図である。
【符号の説明】
1…自然言語処理システム
2…形態素解析部
2A…形態素ルール,2B…形態素辞書
3…統語・意味解析部
3A…文法ルール,3B…結合価辞書
Claims (7)
- 形容詞連用形を含む日本語構文を統語・意味解析する自然言語処理システムであって、
形容詞連用形を含む文の述部が動詞である場合に、動詞がニ格を持っているかどうかを判断する判断手段と、
形容詞連用形を含む文に対して副詞的解析結果を出力するとともに、当該形容詞連用形を含む文の述部が動詞であり且つ当該動詞がニ格を持っていると判断されたときには格関係的解析結果を出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする自然言語処理システム。 - 前記判断手段は、動詞と文中の他の構成要素との間に形成されている述部とそれに係る語の意味関係を記述した結合価辞書を参照することによって動詞がニ格を持っているかどうかを判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自然言語処理システム。 - 前記出力手段は、当該文の意味構造の中で格助詞「ニ」に相当する部分に省略されていることを表示するための零記号を挿入するとともに、必須格の部分に形容詞を入れることによって、格関係的解析結果を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自然言語処理システム。 - コンピュータを用いて構築される自然言語処理システムにおいて、形容詞連用形を含む日本語構文を統語・意味解析する自然言語処理方法であって、
前記コンピュータを備える判断手段が、形容詞連用形を含む文の述部が動詞である場合に、動詞がニ格を持っているかどうかを判断する判断ステップと、
前記コンピュータを備える出力手段が、形容詞連用形を含む文に対して副詞的解析結果を出力するとともに、当該形容詞連用形を含む文の述部が動詞であり且つ当該動詞がニ格を持っていると判断されたときには格関係的解析結果を出力する出力ステップと、
を具備することを特徴とする自然言語処理方法。 - 前記判断ステップでは、動詞と文中の他の構成要素との間に形成されている述部とそれに係る語の意味関係を記述した結合価辞書を参照することによって動詞がニ格を持っているかどうかを判断する、
ことを特徴とする請求項4に記載の自然言語処理方法。 - 前記出力ステップでは、当該文の意味構造の中で格助詞「ニ」に相当する部分に省略されていることを表示するための零記号を挿入するとともに、必須格の部分に形容詞を入れることによって、格関係的解析結果を出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の自然言語処理方法。 - 形容詞連用形を含む日本語構文を統語・意味解析するための自然言語処理をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータに対し、
形容詞連用形を含む文の述部が動詞である場合に、動詞がニ格を持っているかどうかを判断する判断手順と、
動詞がニ格を持っていることに応答して、当該形容詞連用形を含む文の意味構造の中で格助詞「ニ」に相当する部分に省略されていることを表示して、当該文についての格関係的解析結果を出力する出力手順と、
を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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