JP4287618B2 - 匂い提示方法、匂い提示システム、匂い演算装置および匂い演算プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望する匂いを擬似的に提示する匂い提示方法、匂い提示システム、匂い演算装置および匂い演算プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
放送、映画、コンピュータゲームなどの分野において、より臨場感のある演出を目指して、映像や音楽とともに匂いを提示する試みがなされている。例えば、海の映像に合わせて「潮の香り」を提示すれば、視聴者は、あたかも海辺にいるような感覚を得ることができる。
【0003】
ところで、匂いには、光の三原色に相当するような「匂いの原臭」が存在しない。したがって、映像に合わせて匂いを提示する場合には、提示すべき匂いそのものを準備しておくか、あるいは、準備された香料を適宜組み合わせて提示すべき匂いを調香する必要があった。
【0004】
ここで、従来の匂いの調香方法について説明する。図6は、従来の匂いの調香方法の原理を説明する概念図である。なお、図6は、香料の匂いを公知の匂い検出装置で測定したときのセンサ出力値に対応させて表現したものである。従来は、香料X(図6(a))と香料Y(図6(b))とを混ぜ合わせて、すなわち、香料Xと香料Yとを「加算」して所望する匂いAを得ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、匂いの種類が数千、数万にもおよぶ一方で、設備やコストとの兼ね合いから、準備できる香料の数に限りがあるため、調香できない匂いが多く存在する。すなわち、幾つかの香料を単に「加算」する方法以外に所望する匂いを提示する方法がないので、提示できる匂いの種類も少ない。
【0006】
このような観点から、本発明は、従来の調香方法によっては得ることのできなかった匂いを提示することが可能で、すなわち、従来の調香方法によって得ることのできる匂いよりも、より多くの種類の匂いを提示することが可能な匂い提示方法および匂い提示システムを提供することを課題とし、さらには、この匂い提示方法および匂い提示システムにおいて発生させるべき匂いの成分を演算するための匂い演算装置および匂い演算プログラムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、請求項1の匂い提示方法は、第一の匂いを発生させた後、前記第一の匂いに順応させた状態のまま所望する匂いの成分を含有する第二の匂いを発生させて、所望する匂いを擬似的に提示する匂い提示方法であって、前記第一の匂いの成分は、匂い検出装置で予め測定して得た前記第二の匂いの成分のセンサ出力値から、匂い検出装置で予め測定して得た前記所望する匂いの成分のセンサ出力値を減算して得られたものであることを特徴とする。
【0008】
かかる匂い提示方法は、人間の匂いに対する順応現象を利用して所望する匂いを擬似的に得るものである。人間の嗅覚系は、一定の匂いを継続して嗅いでいると、その匂いに対する嗅覚受容器の感度が次第に鈍り、最終的にはその匂いを感じなくなる。つまり、ある匂い(第一の匂い)に順応させた後に、その匂いとは異なる匂い(第二の匂い)を提示すると、第二の匂いの成分のうち、第一の匂いに含まれていた成分を感じなくなる。したがって、第二の匂いが所望する匂いの成分を含有する場合に、第二の匂いの成分から所望する匂いの成分を減算して得られる第一の匂いに予め順応させ、その後に第二の匂いを提示すると、当該第二の匂いを、第二の匂いの成分から第一の匂い成分を減算して得られる匂い、すなわち、所望する匂いとして感じることになる。
【0009】
請求項2の匂い提示システムは、第一の匂いを発生させた後、前記第一の匂いに順応させた状態のまま所望する匂いの成分を含有する第二の匂いを発生させて、所望する匂いを擬似的に提示する匂い提示システムであって、それぞれ異なる種類の香料が封入される複数の匂い発生器と、前記各香料で調香可能な匂いの成分データであって匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した成分データに基いて、予め発生させるべき第一の匂いの成分データと、当該第一の匂いを発生させた後に発生させるべき第二の匂いの成分データとを演算する演算手段と、前記第一の匂いと前記第二の匂いとを調香するための香料の組合せに関するデータ及び前記第一の匂いと前記第二の匂いとを時間間隔をあけて発生させるための駆動制御信号を前記各匂い発生器へ出力する制御手段と、を備え、前記演算手段は、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算する構成である。
【0010】
かかる匂い提示システムは、第一の匂いを発生させた後に、所望する匂いの成分を含有する第二の匂いを発生させて、所望する匂いを擬似的に提示するためのものである。演算手段は、第二の匂いの成分データから第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、所望する匂いの成分データとなるように、第一の匂いの成分データと第二の匂いの成分データとを演算する。そして、第一の匂いと第二の匂いとを調香するための香料の組合せに関するデータ及び第一の匂いと第二の匂いとを時間間隔をあけて放出させるための駆動制御信号が制御手段から各匂い発生器へ出力され、演算手段で指定された組合せで各匂い発生器が香料を放出する。
【0011】
請求項3の匂い提示システムは、請求項2に記載の匂い提示システムであって、前記演算手段は、前記各香料で調香可能な匂いの成分データの中に、所望する匂いの成分データがないと判断されたときに、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算する構成である。
【0012】
かかる匂い提示システムは、各香料で調香可能な匂いの成分データの中に、所望する匂いの成分データがないと判断されたときに、第一の匂いと第二の匂いとを時間間隔をあけて発生させて所望する匂いを擬似的に提示するものである。
【0013】
請求項4に記載の匂い提示システムは、請求項2又は請求項3に記載の匂い提示システムであって、所望する匂いに関する情報を受信する受信手段を備える構成である。
【0014】
かかる匂い提示システムは、所望する匂いに関する情報を受信する受信手段を備えており、「匂い付き放送」の受信機として利用される。すなわち、匂い提示システムをユーザの手元に備え付けておき、一方で、放送事業者が映像や音楽に合わせて匂いに関する情報を送信すれば、映像や音楽の場面にあった匂いを提示することが可能になる。
【0015】
請求項5の匂い演算装置は、それぞれ異なる複数の香料の成分データであって匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した成分データが記憶される記憶手段と、前記記憶手段に記憶された成分データに基いて、予め発生させるべき第一の匂いの成分データ及び当該第一の匂いを発生させた後に発生させるべき第二の匂いの成分データを演算する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算する構成である。
【0016】
かかる匂い演算装置は、所望する匂いを擬似的に提示するために予め発生させるべき第一の匂いの成分データと、当該第一の匂いを発生させた後に発生させる前記所望する匂いの成分を含有する第二の匂いの成分データとを演算するものである。
【0017】
請求項6の匂い演算プログラムは、コンピュータを、所望する匂いの成分データを入力する入力手段と、それぞれ異なる複数の香料の成分データが記憶される記憶手段と、前記各香料で調香可能な匂いの成分データの中から、予め発生させるべき第一の匂いの成分データ及び当該第一の匂いを発生させた後に発生させるべき第二の匂いの成分データとを演算する演算手段として機能させるための匂い演算プログラムであって、前記演算手段は、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算する構成である。
【0018】
かかる匂い演算プログラムは、コンピュータに所望する匂いを擬似的に提示するために予め発生させるべき第一の匂いの成分データと、当該第一の匂いを発生させた後に発生させる前記所望する匂いの成分を含有する第二の匂いの成分データとを演算させるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付した図面を参照して、詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の匂い提示方法の原理を示す概念図である。なお、図1は、「匂い」を公知の匂い検出装置で測定した際に得られるセンサ出力値に対応させて表現したものである。図中、応答量とは、濃度と匂いの種類によって生理的、心理的に決まる量で、濃度の関数である。また、匂い検出装置に用いられるセンサには、詳細な説明は省略するが、例えば、特定の化学物質に反応する化合物半導体や酸化物半導体で構成されたものがある。
【0021】
本発明の匂い提示方法は、第一の匂いPを発生させた後に、第二の匂いSを発生させて、所望する匂いAを擬似的に提示するものである。ここで、第二の匂いSの成分s1〜s10(図1(b)参照)は、所望する匂いAの成分a1〜a10(図1(c)参照)を含有するものであり、第一の匂いPの成分p1,p6(図1(a)参照)は、第二の匂いSの成分s1〜s10から所望する匂いAの成分a1〜a10を減算して得られる。また、本実施形態では、所望する匂いAの成分a2〜a5,a7〜a10は、それぞれ第二の匂いSの成分s2〜s5,s7〜s10と等しい応答量を有している。
【0022】
第一の匂いPを発生させると、人間の嗅覚系は、第一の匂いPに対応する嗅覚受容器の感度が次第に鈍り、最終的には第一の匂いPを感じなくなる(図4参照)。この現象は順応と呼ばれている。すなわち、順応した状態では、実際には第一の匂いPが存在しているにも係らず、第一の匂いPがあたかも無いように感じられる。なお、順応に要する時間は、匂いの種類や濃度、あるいは人によっても異なるが、長くても数秒程度である。
【0023】
そして、第一の匂いPの発生を停止した後に、第二の匂いSを提示すると、第二の匂いSの成分s1〜s10のうち、第一の匂いPに含まれていた成分p1,p6については、嗅覚受容器がこれを感知しない。つまり、成分s1の応答量は、実際には0.8であるにも係らず、嗅覚受容器では、0.4であると認識される。第二の匂いSの成分s6についても同様であり、すなわち、成分s6の応答量は、実際には0.6であるにも係らず、嗅覚受容器では、0.2であると認識される。
【0024】
したがって、第一の匂いPに順応した後に第二の匂いSを提示すると、あたかも所望する匂いAが提示されたものと錯覚する。すなわち、第二の匂いPの成分から第一の匂いPの成分を減算した匂いを提示できることになる。
【0025】
ここで、具体的な例として、コーヒーの「モカ」と「ブルーマウンテン」の匂いをあげて、匂い提示方法を説明する。図5(a)は、「モカ」の匂いC1と「ブルーマウンテン」の匂いC2を公知の匂い検出装置で測定した際に得られるセンサ出力値に対応させて表現したものである。また、図5(b)は、モカの匂いC1の成分からブルーマウンテンの匂いC2を減算したものである。
【0026】
図5(a)に示すように、モカの匂いC1とブルーマウンテンの匂いC2では、その応答特性が類似してはいるものの、図5(b)に示すように、その応答量に差がある。すなわち、この応答量の差が「モカ」と「ブルーマウンテン」の匂いを特徴付けているといえる。
【0027】
そして、モカの匂いC1を基に、ブルーマウンテンの匂いC2を提示する場合を考える。従来の調香方法では、複数の香料を加算することによって、所望する匂いを得るので、ブルーマウンテンの匂いC2の成分よりも突出する成分を有するモカの匂いC1に、どんな匂いを加算しても、ブルーマウンテンの匂いC2を提示することはできない。
【0028】
一方、本発明の匂い提示方法によれば、モカの匂いC1を基に、ブルーマウンテンの匂いC2を提示することができる。すなわち、モカの匂いC1を提示する前に、図5(b)に示す成分を有する匂いC3を予め提示すれば、モカの匂いC1の成分のうち、匂いC3に含まれる成分を感覚受容器が感知しなくなるので、モカの匂いC1が提示されているにもかかわらず、あたかも、ブルーマウンテンの匂いC2が提示されたかのように感じられる。
【0029】
このように、本発明の匂いの提示方法によれば、香料を「減算」するのと同様の効果が得られ、したがって、香料を「加算」する従来の調香方法では提示できなかったような匂いも提示することができる。
【0030】
次に、このような匂い提示方法に用いる匂い提示システムについて図2を参照して、詳細に説明する。
【0031】
図2は、匂い提示システムを示す概略構成図である。匂い提示システムは、本実施形態では、それぞれ異なる種類の香料を放出させる複数の匂い発生器1と、各匂い発生器1を制御する制御装置2、匂い発生器1から発生した匂いを混合する匂い合成器3とにより構成される。
【0032】
匂い発生器1は、香料が封入される容器1bと、香料の放出量を調節する調節弁1aなどから構成され、制御装置2からの香料組合せデータJsおよび駆動制御信号Ksに基づいて作動して、所定量の香料を放出する。なお、香料には、天然香料や食品の香気成分を科学的、物理的に分離したものや、石油や天然テルペン化合物から化学反応によって製造したものなど様々なものがある。
【0033】
制御装置2は、所望する匂いAの成分データを入力する入力手段21と、容器1bに封入された香料の成分データが記憶された記憶手段22と、予め発生させるべき第一の匂いPの成分データと、第一の匂いPを発生させた後に発生させるべき第二の匂いSの成分データとを演算する演算手段23と、香料組合せデータJsおよび駆動制御信号Ksを各匂い発生器1へ出力する制御手段24とから構成される。制御装置2は、具体的には、図示は省略するが、中央演算装置、ハードディスクなどの記憶手段、キーボードなどの入力手段により構成される。
【0034】
記憶手段22には、匂い発生器1に封入された香料の成分データが記憶されている。成分データとは、例えば、匂いを特定するための情報であり、例えば、公知の匂い検出装置で匂いを測定したときに得られるセンサ出力値(応答量)などである。
【0035】
演算手段23は、所望する匂いAの成分データと記憶手段22に記憶された香料の成分データに基づいて、第一の匂いPの成分データと第二の匂いSの成分データとを演算する。ここで、第二の匂いSの成分データは、所望する匂いAの成分データを含有し、第一の匂いPの成分データは、第二の匂いSの成分データから所望する匂いAの成分データを減算して得られる。すなわち、演算手段23は、第二の匂いSの成分データから第一の匂いPの成分データを減算して得られる成分データが、所望する匂いAの成分データとなるように、第一の匂いPの成分データと第二の匂いSの成分データとを演算する。また、第一の匂いPおよび第二の匂いSは、前記の各香料を調香して得ることのできる匂いである。
【0036】
制御手段24は、第一の匂いPと第二の匂いSとをそれぞれ調香するために必要な香料の組合せに関するデータ(香料組合せデータJs)及び第一の匂いPと第二の匂いSとを時間間隔をあけて発生させるための駆動制御信号Ksを各匂い発生器1に出力する。なお、時間間隔は、第一の匂いPに順応するのに十分な長さである。また、第二の匂いSだけで所望する匂いAが提示できる場合には、第一の匂いPを放出させるための駆動制御信号は出力しない。
【0037】
ここで、制御装置2の動作を図3に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、以下では、第一の匂いPおよび第二の匂いSは、前記の各香料を調香して得ることのできる匂いであるとする。
【0038】
まず、所望する匂いAの匂い成分データを、入力手段21を利用して入力する(ステップ101)。
【0039】
次に、演算手段23により、記憶手段22に記憶された香料の成分データの中から、準備された香料によって調香可能な匂いBの成分データを演算し(ステップ102)、その中に、所望する匂いAの成分の成分データと等しい成分データを有する匂いがあるか否かを判断する(ステップ103)。
【0040】
ステップ103で、匂いBが所望する匂いAと等しい成分データを有すると判断された場合、すなわち、香料を「加算」するだけで所望の匂いAが得られる場合には、所望する匂いAそのものを発生させるために必要な香料の組合せに関するデータ(香料組合せデータJs)と、匂い発生器1に所定量の香料を放出させる駆動制御信号Ksとを匂い発生器1へ出力する(ステップ104)。
【0041】
一方、ステップ103で、匂いBが所望する匂いAの成分データと等しくないと判断された場合、すなわち、香料を「加算」するだけでは所望する匂いAが得られないと判断された場合には、所望する匂いAの成分を含有する第二の匂いSの成分データを演算する(ステップ105)。
【0042】
次に、第二の匂いSの成分s1〜s10から所望する匂いAの成分a1〜a10を減算して、第一の匂いPの成分p1〜p10を演算する(ステップ106)。
【0043】
そして、香料組合せデータJsと駆動制御信号Ksとを各匂い発生器1へ出力する(ステップ107)。
【0044】
制御手段2は、以上のように作動し、各匂い発生器1は、制御装置2からの香料組合せデータJsおよび駆動制御信号Ksに基づいて所定の香料を放出する。すなわち、各匂い発生器1は、制御装置2からの香料組合せデータJsおよび駆動制御信号Ksに基づいて、第一の匂いPを発生させた後に、第二の匂いSを発生させる。そして、第一の匂いPに順応した人間は、第二の匂いSを所望する匂いAと錯覚する。
【0045】
このように、第一の匂いPを発生させた後に、第二の匂いSを発生させることで、第二の匂いSの成分から第一の匂いPの成分を「減算」した匂いを提示するのと同様の効果が得られ、したがって、香料を「加算」する従来の調香方法では提示できなかったような匂いも提示することができる。
【0046】
また、演算手段23で演算された第一の匂いPの成分データと第二の匂いSの成分データとを、通信回線や電波を利用して送信するとともに、ユーザの手元に配置された匂い発生器1で、第一の匂いPと第二の匂いSとを発生させる構成であってもよく、これによって、「匂い付き放送」を実現することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の匂いの提示方法によれば、従来の調香方法で得ることのできる匂いよりも多くの種類の匂いを提示することが可能で、すなわち、従来の調香方法では得ることのできなかった匂いを提示することが可能である。
【0048】
また、本発明の匂い演算装置あるいは匂い演算プログラムによって演算された第一の匂いの成分データと第二の匂いの成分データとを、通信回線や電波を利用して送信するとともに、ユーザの手元に配置された匂い発生器でこれらのデータに基づいて匂いを発生させることで、「匂い付き放送」を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の匂い提示方法の原理を説明する概念図である。
【図2】 本発明の匂い提示システムを示す概略構成図である。
【図3】 制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】 順応を説明する概念図である。
【図5】 本発明の匂い提示方法の具体例を示す図である。
【図6】 従来の調香方法の原理を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 匂い発生器
2 制御装置
21 入力手段
22 記憶手段
23 演算手段
24 制御手段
3 匂い合成器
P 第一の匂い
p1,p6 第一の匂いの成分
S 第二の匂い
s1〜s10 第二の匂いの成分
A 所望する匂い
a1〜a10 所望する匂いの成分
Js 香料組合せデータ
Ks 駆動制御信号
Claims (6)
- 第一の匂いを発生させた後、前記第一の匂いに順応させた状態のまま所望する匂いの成分を含有する第二の匂いを発生させて、所望する匂いを擬似的に提示する匂い提示方法であって、
前記第一の匂いの成分は、匂い検出装置で予め測定して得た前記第二の匂いの成分のセンサ出力値から、匂い検出装置で予め測定して得た前記所望する匂いの成分のセンサ出力値を減算して得られたものであることを特徴とする匂い提示方法。 - 第一の匂いを発生させた後、前記第一の匂いに順応させた状態のまま所望する匂いの成分を含有する第二の匂いを発生させて、所望する匂いを擬似的に提示する匂い提示システムであって、
それぞれ異なる種類の香料が封入される複数の匂い発生器と、
前記各香料で調香可能な匂いの成分データであって匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した成分データに基いて、予め発生させるべき第一の匂いの成分データと、当該第一の匂いを発生させた後に発生させるべき第二の匂いの成分データとを演算する演算手段と、
前記第一の匂いと前記第二の匂いとを調香するための香料の組合せに関するデータ及び前記第一の匂いと前記第二の匂いとを時間間隔をあけて発生させるための駆動制御信号を前記各匂い発生器へ出力する制御手段と、
を備え、
前記演算手段は、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算することを特徴とする匂い提示システム。 - 前記演算手段は、前記各香料で調香可能な匂いの成分データの中に、所望する匂いの成分データがないと判断されたときに、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算することを特徴とする請求項2に記載の匂い提示システム。
- 所望する匂いに関する情報を受信する受信手段を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の匂い提示システム。
- それぞれ異なる複数の香料の成分データであって匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した成分データが記憶される記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された成分データに基いて、予め発生させるべき第一の匂いの成分データ及び当該第一の匂いを発生させた後に発生させるべき第二の匂いの成分データを演算する演算手段とを備え、
前記演算手段は、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、匂い検出装置で予め測定して得たセンサ出力値を用いて作成した所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算することを特徴とする匂い演算装置。 - コンピュータを、
所望する匂いの成分データを入力する入力手段と、
それぞれ異なる複数の香料の成分データが記憶される記憶手段と、
前記各香料で調香可能な匂いの成分データの中から、予め発生させるべき第一の匂いの成分データ及び当該第一の匂いを発生させた後に発生させるべき第二の匂いの成分データとを演算する演算手段として機能させるための匂い演算プログラムであって、
前記演算手段は、前記第二の匂いの成分データから前記第一の匂いの成分データを減算して得られる成分データが、所望する匂いの成分データとなるように、前記第一の匂いの成分データと前記第二の匂いの成分データとを演算することを特徴とする匂い演算プログラム。
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