JP4286459B2 - クローラ - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、請求項１の前提部に記載された案内車、複数のローラ、駆動スプロケットおよびエンドレスチェーンからなる、特にクレーンのためのクローラに関する。
【０００２】
冒頭に記載の種類のクローラはＤＥ２７２０３３２Ｃ２により公知である。このクローラは一体的な駆動スプロケットを有しており、この駆動スプロケットは外周にはカム様歯を備え、両側にはそれぞれ１個のホイールリムを備えている。歯の歯底円の比較的大きい直径とホイールリムの比較的小さい直径との差の結果として、それぞれ１個のホイールフランジが形成される。駆動スプロケット、案内車および複数の走行ローラを介して案内されるエンドレスチェーンは、ダブルウェブプレートとして一体的に形成された個々のリンクからなる。これらのリンクは、ピンと、互いにかみ合う外側リンクプレートおよび内側リンクプレートとによって互いに取り外し可能に接合されている。各々のリンクは、中心に対して対称的に互いに間隔を置いて配置され、かつ進行方向に位置している２個のガイドウェブを有している。これらのリンクは、上側にはホイールリムと協働する直線的な支承面を備え、内側には駆動スプロケットの各フランジと協働する案内面を備えている。両ガイドウェブの間には両ウェブを接合しているカムが配置されていて、このカムが歯と協働する。カムは両側に、１つのエッジに移行する直線的な接触面を備えている。リンクの平らな接触面からボトムプレートへの移行部では、両面カムが両側に凹部を有している。
【０００３】
本発明の課題は、冒頭に記載した種類のクローラを改良して、表面圧力を減らすことによって摩耗を最小限に押さえ、エンドレスチェーンの案内を改善し、しかも伝動能力を減らさないようにすることである。
【０００４】
この課題は、前提部から出発して、本発明により請求項１の特徴部に記載された特徴と組み合わせることによって解決される。本発明の有利な構成が、請求項２以下に記載されている。
【０００５】
この解決手段に従い、駆動スプロケットはカム状部材の直線的なフランクとかみ合うインボリュート歯を有している。このかみ合いのジオメトリーにより、駆動スプロケットとリンクとの組み合わせに、歯車とラックからなる系が近似的にあてはまり、次の利点を提供する。
【０００６】
○インボリュート線を変化させることによって、駆動スプロケットとエンドレスチェーンとの間の表面圧力を変えることができる。
○エンドレスチェーンが進行する際に、駆動スプロケットとエンドレスチェーンのカム状部材との間の接触ポイントが、インボリュートに沿って外方にずれる。すなわち摩耗がより大きい範囲に分散する。
○荷重伝達がインボリュート歯のフランクの中央範囲に位置している。すなわち、摩擦接続している駆動スプロケットの歯の先端部に負荷がかからない。
○インボリュート歯は、かみ合うリンクの軸間隔の変化に対して鈍感である。それゆえこの系では、チェーンの伸びまたは異物の侵入の結果、エンドレスチェーンが駆動スプロケットで上方に変位しても運動に影響を与えない。
【０００７】
別の特徴に従い、それぞれのガイドウェブの上側は凹状に湾曲した支承面を有していて、この支承面が駆動スプロケットの凸状に湾曲したホイールリム面と協働する。凹状に湾曲した支承面の内径が、凸状に湾曲したホイールリム面の外径と等しいことが好都合である。この構成により、駆動スプロケットに対して所定の位置が保証されており、傾きが発生することはない。さらに、ガイドウェブの内側に位置する両面は、公知のように駆動スプロケットの案内を引き受け、外側に位置する両面は走行ローラ間の側方案内を引き受ける。
【０００８】
別の利点は、歯の形状により、また駆動スプロケットに乗り上げる際のエンドレスチェーンの開口部を拡大したことにより、異物の排除が助長されることである。
【０００９】
別の特徴に従えば、駆動スプロケットは複数部分から形成されていて、中央に位置するギアリムと、これと取り外し可能に接合された２個のホイールリムを備えている。この配置構成により、ギアリムを耐摩耗性材料で作製することが可能となる。そうすることによって、エンドレスチェーン・駆動スプロケット系が汚れたり摩耗したりしても、駆動スプロケットの可使時間をより長くすることができる。
【００１０】
リンクの選択された構成においてさらに大きい力を伝達できるようにするために、一方の長手方向側には６個の外側リンクプレートが配置され、反対の長手方向側にはこれとずらして４個の内側リンクプレートが配置されている。２個のリンクが互いに密着すると、それぞれ３個の外側リンクプレートと２個の内側リンクプレートとがそれぞれ１本のピンによって接合されて両面接合が生じ、大きい力を伝達できる。ピンが軸方向に滑らないように固定することは、外側でそれぞれ第１の外側リンクプレートと第３の外側リンクプレートに配置されるボルト・ナット接合によって行われる。
【００１１】
以下に、解決手段に従うクローラの構成を実施例に基づき詳細に説明する。
【００１２】
図１は、エンドレスチェーン２の一部を示した駆動スプロケット１の正面図である。解決手段に従い、駆動スプロケット１はインボリュート歯を有している。各々の歯３は、２個のフランク４．１、４．２を有しており、それらの輪郭はインボリュートに相応している。エンドレスチェーンは一体的に形成されて、互いに取り外し可能に接合された個々のリンク５（図３）からなる。これに関する詳細は、以下の図で説明する。従来の公知技術とは異なり、駆動スプロケット１は複数部分から形成されていて、中央のギアリム６と、これと取り外し可能に接合された２個のホイールリム７．１、７．２とを有している。公知のように、それぞれのホイールリム７．１、７．２の外径８はギアリム６の歯底円の直径９よりも小さい。この直径差の結果として、ギアリム６の両側にそれぞれ１個のフランジ１０．１、１０．２が形成される。個々のリンク５は、同様に公知のように中心に対して対称的に、かつ互いに間隔を置いて配置された２個のガイドウェブ１１．１、１１．２を有している。両ガイドウェブ１１．１、１１．２のそれぞれの内面１２．１もしくは１２．２はガイドとして、ホイールリム７．１、７．２のそれぞれのフランジ１０．１もしくは１０．２と協働する。
【００１３】
個々のリンク５を取り外し可能に結合することは、長手方向側に配置された外側リンクプレート１３．１〜１５．１、１３．２〜１５．２と内側リンクプレート１６．１、１７．１、１６．２、１７．２と、ピン（図示しない）とによって行われる。ピンは図３および図４に示されたリンクプレートの孔に差し込まれる。好ましくは一方の長手方向側には合計６個の外側リンクプレート１３．１〜１５．１、１３．２〜１５．２があり、他方の長手方向側にはそれらの間の隙間に４個の内側リンクプレート１６．１、１６．２、１７．１、１７．２がある。リンク５の中央範囲で破線で示した凹部は、中実部材の重量を減らす働きをする。ピンを軸方向で滑らないように固定することは、それぞれ第１の外側リンクプレート１３．１もしくは１３．２と第３の外側リンクプレート１５．１もしくは１５．２に配置されるボルト・ナット接合（図示せず）によって行う。
【００１４】
図４は、リンク５とホイールリム７．１、７．２との間の改善された協働を示す。解決手段によれば、ガイドウェブ１１．２の上側１８は凹状に湾曲しており、好ましくはこの凹状湾曲の内径１９がそれぞれのホイールリム７．１、７．２の外径８に等しい。両ガイドウェブ１１．１、１１．２の間に位置し、かつ両ガイドウェブを接合しているカム状部材２０は、両端部にそれぞれ１個の直線的なフランク２１．１、２１．２を有しており、これらが駆動スプロケット１のそれぞれの歯３のインボリュートとして形成されたフランク４．１、４．２とかみ合う。
【００１５】
図５および図６は、それぞれのガイドウェブ１１．１、１１．２の外面２３．１、２３．２（図３）による走行ローラ２２の改善された案内を示す。走行ローラ２２は軸２４によって２個のウェブ２５．１と２５．２の間に支承されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】 エンドレスチェーンの一部を示した駆動スプロケットの正面図である。
【図２】 図１でＸ方向に見た部分図である。
【図３】 図２でＹ方向に見たリンクの平面図である。
【図４】 図３のＡ−Ｂ方向断面図である。
【図５】 走行ローラの範囲の側面図である。
【図６】 図５でＸ方向に見た図である。
【符号の説明】
１ 駆動スプロケット
２ エンドレスチェーン
３ 歯
４ フランク
５ リンク
６ ギアリム
７ ホイールリム
８ ホイールリムの外径
９ 歯底円の直径
１０ フランジ
１１ ガイドウェブ
１２ ガイドウェブの内面
１３、１４、１５ 外側リンクプレート
１６、１７ 内側リンクプレート
１８ ガイドウェブ上側
１９ 内径
２０ カム状部材
２１ フランク
２２ 走行ローラ
２３ ガイドウェブの外面
２４ 軸心
２５ ウェブ

Claims (7)

1. 複数の走行ローラと、少なくとも１個の駆動スプロケットと、エンドレスチェーンとからなり、前記駆動スプロケットが外周には歯を備え、両側にはそれぞれ１個のホイールリムを備えており、歯の歯底円の直径と当該歯底円より小さく形成されたホイールリムの外径との直径差に基づきそれぞれ１個のフランジが形成され、前記エンドレスチェーンが、それぞれ１個のボトムプレートを有する、一体的に形成された個々のリンクを備えていて、これらのリンクがピンと、複数の互いにかみ合う外側リンクプレートおよび内側リンクプレートとによって互いに取り外し可能に接合されており、各々のリンクが、中心に対して対称的に互いに間隔を置いて配置され、かつ進行方向に位置している２個のガイドウェブを有し、ホイールリムと協働する支承面および駆動スプロケットのそれぞれのフランジと協働する案内面を備えており、さらに両ガイドウェブの間には両ウェブを接合している、より低い位置にあるカム状部材が配置されていて、このカム状部材が駆動スプロケットの歯とかみ合うようにしたクローラにおいて、
   駆動スプロケット（１）がカム状部材（２０）の直線的なフランク（２１．１、２１．２）とかみ合うインボリュート歯を有しており、当該フランクと前記インボリュート歯とのかみ合う位置が、前記リンク上の前記走行ローラの走行する面から前記駆動スプロケット（１）の外周側に配置されており、それぞれのガイドウェブ（１１．１、１１．２）の上側（１８）が凹状に湾曲した支承面を有していて、この支承面が駆動スプロケット（１）の凸状に湾曲したホイールリム面と協働し、さらにそれぞれのガイドウェブ（１１．１、１１．２）の外側に位置する面（２３．１、２３．２）が走行ローラ（２２）の間の側方ガイドを形成していることを特徴とするクローラ。
2. 凹状に湾曲した支承面の内径（１９）がそれぞれのホイールリム（７．１、７．２）の外径（８）に等しいことを特徴とする、請求項１記載のクローラ。
3. 駆動スプロケット（１）が複数部分からなり、中央に位置するギアリム（６）と、これと取り外し可能に接合された２個のホイールリム（７．１、７．２）とを有していることを特徴とする、請求項１または２記載のクローラ。
4. ギアリム（６）がホイールリム（７．１、７．２）よりも耐摩耗性の大きい材料から作られていることを特徴とする、請求項３記載のクローラ。
5. 各々のリンク（５）が一方の長手方向側に６個の外側リンクプレート（１３．１〜１５．１、１３．２〜１５．２）を有し、反対の長手方向側にこれとずらして４個の内側リンクプレート（１６．１、１７．１、１６．２、１７．２）を有していることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項記載のクローラ。
6. 中心に対して対称的にそれぞれ３個の外側リンクプレート（１３．１〜１５．１もしくは１３．２〜１５．２）と、これに対応する２個の内側リンクプレート（１６．１、１７．１もしくは１６．２、１７．２）とが、軸方向に滑らないように固定されたピンによって接合可能であることを特徴とする、請求項５記載のクローラ。
7. 前記ピンを固定するための固定部材が、外側のそれぞれ第１の外側リンクプレート（１３．１もしくは１３．２）と第３の外側リンクプレート（１５．１もしくは１５．２）に配置可能であるボルト・ナット接合であることを特徴とする、請求項６記載のクローラ。

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