JP4279802B2 - 水処理管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水処理管理方法に関するものである。
従来、各種の生産施設(工場)等からの排水や下水等の被処理水を細菌により処理する水処理プロセスでは、活性汚泥量(活性汚泥濃度)を維持管理指標の1つとして、必要量以上の活性汚泥量を保持することにより排水処理を行ってきた。しかしながら、活性汚泥量を必要量以上に保持しても、処理性能が不充分である場合があった。
一方、水処理プロセスにおいて、処理が順調に行われている場合と、悪化した状態で行われている場合とでは、各細菌種の数が異なることが一般的に知られている。そこで、処理が順調に行われるためには各細菌種の数を監視することが考えられている。例えば、処理が順調に行われているかどうかを判定する方法として、顕微鏡観察により特異的な細菌と処理性能とを関連づけて判定する方法が試みられている。
さらに、特異的な細菌の特徴、形状、数等に関する画像情報を得て知識デ−タベ−スに蓄え、活性汚泥プロセスの状態を判別する方法を備えた方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、微生物学で知られている方法では、細菌懸濁液を薄く希釈して寒天培地上に撒き、各個体が充分に空間的に分離された状態で培養して、その結果細菌が繁殖した集団(コロニー)を数え、各細菌種のコロニー数の比率から処理性能を判定する。
特開平1−31539号公報
しかしながら、顕微鏡観察により特異的な細菌と処理性能とを関連づけて判定する方法において、一般には水処理槽から活性汚泥をサンプリングし、オペレータが顕微鏡を使用して細菌の観察を行っている。これらは全て手作業であり、時間も要し、さらに専門的な知識と熟練とを要する。したがって、顕微鏡観察による判定は、その意義が認められているにも拘わらず普及していない。
また、画像処理を得て細菌の観察に利用する方法もあるが、現在では糸状の微生物の長さを計測したり、活性汚泥フロックの面積や数を計測したりする段階であり、動きによって形状が変わる原生動物や大きさが1ミクロン程度の細菌の同定等への適用は実用化されていない。
さらに、寒天培地上に撒いた細菌懸濁液から出てきたコロニ−数の比率を計算する方法では、培養に月単位の時間がかかり、しかも培養できるものしか計数されない、あるいは、寒天培地の種類やコロニ−数を数えるタイミングで全く違った値が出てくるため、細菌懸濁液中の各細菌種の数の絶対値を正確に求めることはできないという問題がある。したがって、日々変化する水処理プロセスに対して管理の指標となりえない上に、各細菌種のコロニー数の比率はその時点での正確な細菌の数の比率、つまり正確な各細菌種の数を表していない。
すなわち、水処理槽内に複数の細菌を存在させる水処理プロセスは、その細菌の種類とその活性を解析することが困難であるために、一種のブラックボックスのように扱われてきた。
一方、窒素成分を除去する方法で、硝化脱窒法が知られている。硝化脱窒法は、活性汚泥に含まれる細菌により排水のアンモニア性窒素から亜硝酸性窒素を経て硝酸性窒素まで酸化した後、硝酸性窒素から亜硝酸性窒素を経て窒素分子まで還元して、その後、窒素ガスとして大気中に放散させる方法である。なお、アンモニア性窒素から硝酸性窒素まで酸化する反応を硝化と呼び、硝酸性窒素から窒素分子まで還元する反応を脱窒と呼ぶ。すなわち、硝化と脱窒とが組み合わさって硝化脱窒法となっている。
硝化脱窒法は、単一の細菌が行える反応ではなく、活性汚泥に存在する複数の細菌が担っている。まず、硝化であるが、アンモニア性窒素から亜硝酸性窒素まで酸化するアンモニア酸化細菌や、亜硝酸性窒素から硝酸性窒素まで酸化する亜硝酸酸化細菌が存在することが知られている。アンモニア酸化細菌としては、Nitrosomonas、Nitrosococcus、Nitrosospira、Nitrosobolus等が挙げられる。亜硝酸酸化細菌としては、Nitrobacter、Nitrococcus、Nitrospira等が挙げられる。
脱窒については、硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素を窒素分子まで還元するさまざまな脱窒細菌の存在が知られている。硝酸性窒素から亜硝酸性窒素まで還元する硝酸還元細菌、亜硝酸性窒素から一酸化窒素まで還元する亜硝酸還元細菌、一酸化窒素から亜酸化窒素まで還元する細菌、亜酸化窒素から窒素分子まで還元する亜酸化窒素還元細菌等が挙げられる。硝酸還元細菌としては、Azotobacter、Bacillus、Paracoccus、Pseudomonas等が挙げられる。亜硝酸還元細菌としては、Paracoccus、Pseudomonas等が挙げられる。亜酸化窒素還元細菌としては、Corynebacterium、Pseudomonas等が挙げられる。
そこで、本発明は上記の点に鑑み、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌を特定することにより、対策の遅れを生じることがなく、オペレータの能力に依存せずに、処理性能を維持できる水処理管理方法を提供することを目的とする。
特に、本発明は上記の点に鑑み、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌をアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から特定することにより、対策の遅れを生じることがなく、オペレータの能力に依存せずに、処理性能を維持できる水処理管理方法を提供することを目的とする。
本発明は、水処理プロセスの処理性能を管理する水処理管理方法であって、前記水処理プロセスは、複数の種類の細菌を用いて、水処理槽に供給される被処理水から処理対象物質を除去するものであり、処理性能の指標となる指標細菌を、前記複数の種類の細菌から選択する選択工程と、前記水処理槽内の指標細菌の数を測定する測定工程と、前記水処理槽内に所定数以上の指標細菌を保持する保持工程とを含むことを特徴とする(請求項1)。
本発明の水処理管理方法によれば、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌を特定することにより、その後は特定した指標細菌のみを測定すればよいので、迅速に処理性能を把握することが可能となる。
また、特定した指標細菌のみを所定数以上で保持すればよいので、指標細菌の数が所定数未満であるとき、指標細菌に適した基質を加えたり、pH、温度、酸化還元電位(ORP)等を制御したりすることにより、対策の遅れを生じることがなく、処理性能を維持することが可能となる。
さらに、オペレータの能力及び主観的な判断に依存せずに、処理性能を客観的に管理することが可能となる。
ここで、「処理対象物質」とは、窒素成分、特定の化学物質等をいう。
本発明は、水処理プロセスの処理性能を管理する水処理管理方法であって、前記水処理プロセスは、複数の種類の細菌を用いて、水処理槽に供給される被処理水から窒素成分を除去するものであり、処理性能の指標となる指標細菌を、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から選択する選択工程と、前記水処理槽内の指標細菌の数を測定する測定工程と、前記水処理槽内に所定数以上の指標細菌を保持する保持工程とを含むことを特徴とする(請求項2)。
本発明の水処理管理方法によれば、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌をアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から特定することにより、その後は特定した指標細菌のみを測定すればよいので、迅速に処理性能を把握することが可能となる。
また、指標細菌の特定は1〜2日で可能なため、運転管理に迅速に反映させることができる。
また、特定した指標細菌のみを所定数以上で保持すればよいので、指標細菌の数が所定数未満であるとき、指標細菌に適した基質を加えたり、pH、温度、酸化還元電位等を制御したりすることにより、対策の遅れを生じることがなく、処理性能を維持することが可能となる。
さらに、オペレータの能力及び主観的な判断に依存せずに、処理性能を高精度かつ客観的に管理することが可能となる。
ここで、「窒素成分」とは、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素等の窒素原子のことをいう。
また、本発明は、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌について単一の細菌の数と処理性能との関係に基づいて、前記指標細菌を選択することが好ましい(請求項3)。
本発明の水処理管理方法によれば、被処理水を用いて、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌について単一の細菌の数と処理性能との関係を示すものを作成することにより、処理性能において重要になっている反応を把握することができるので、正確に処理性能を把握することが可能となる。
このとき、単一の細菌の数と処理性能との関係を示すものを、五種全ての細菌で作成することが好ましいが、少なくとも一種以上の細菌で作成することとしてもよい。
ここで、「単一の細菌」とは、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から選択される一種の細菌のことをいう。なお、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から選択された一種の細菌であっても、複数種の細菌が存在してもよい。例えば、亜硝酸還元細菌を単一の細菌とした場合には、亜硝酸還元細菌であるParacoccus、Pseudomonas等の複数種の細菌を単一の細菌とすることになる。
また、本発明は、前記測定工程では、定量PCR法を用いることが好ましい(請求項4)。上記定量PCR法としては、C−PCR法、リアルタイムPCR法、MPN−PCR法等が挙げられる。
本発明の水処理管理方法によれば、定量PCR法により判別できるので、前記水処理槽内の指標細菌の数をより迅速かつより正確に測定することが可能となる。
そして、本発明は、前記被処理水は、火力発電所からの排水であることが好ましい(請求項5)。さらに、本発明は、前記指標細菌は、亜硝酸還元細菌であることが好ましい(請求項6)。火力発電所からの排水において、亜硝酸還元細菌が司る反応は硝化脱窒法中で律速になっている可能性が高いからである。
本発明の水処理管理方法によれば、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌を特定することにより、その後は特定した指標細菌のみを測定すればよいので、迅速に処理性能を把握することが可能となる。
また、特定した指標細菌のみを所定数以上で保持すればよいので、指標細菌の数が所定数未満であるとき、指標細菌に適した基質を加えたり、pH、温度、酸化還元電位等を制御したりすることにより、対策の遅れを生じることがなく、処理性能を維持することが可能となる。
さらに、オペレータの能力及び主観的な判断に依存せずに、処理性能を客観的に管理することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り下記に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る水処理管理方法によって処理性能を管理する水処理プロセスの概略構成図である。水処理プロセスは、硝化槽2、脱窒槽4、再曝気槽6、沈殿槽8をこの順に備える構成である。
本発明において、窒素成分を含む排水(被処理水)を連絡管1に導入して、まず硝化槽2に供給する。硝化槽2で、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌等を含む活性汚泥によりアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素に、さらに亜硝酸性窒素の一部又は全部を硝酸性窒素に酸化する。
次いで硝化槽2で処理された水を連絡管3を介して脱窒槽4に送給する。脱窒槽4で、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌等を含む活性汚泥により硝化槽2で生成した亜硝酸性窒素及び/又は硝酸性窒素を窒素ガスに還元する。このとき、窒素ガスを大気中に放散することになる。
次いで脱窒槽4で処理された処理水を連絡管5を介して再曝気槽6に送給する。再曝気槽6で、好気条件下処理することにより有機物を分解除去する。
さらに再曝気槽6で処理された水を連絡管7を介して沈殿槽8に送給する。沈殿槽8で、分離液と沈殿汚泥とに固液分離する。その後、連絡管9により分離液を取り出す。一方、沈殿汚泥の一部を返送汚泥として硝化槽2に返送する。また、沈殿汚泥の残りの一部は、例えば、余剰汚泥として水処理プロセス外に排出され、適宜処理される。
上記排水としては、火力発電所からの排水、製鉄所からの排水、食品プラントからの排水、紙パルププラントからの排水、化学プラントからの排水等の産業排水や下水処理のような生活排水等が挙げられるが、火力発電所からの排水が好ましい。すなわち、上記排水の全窒素濃度が20mg/L以上100mg/L以下であるものにとって、より有効となる。
ここで、図2は、本発明の水処理管理方法のルーチンの一例を示すフローチャートである。本発明の水処理管理方法は、作成工程を含む準備段階と、選択工程、測定工程及び保持工程を含む実行段階とで構成されている。本発明の水処理管理方法において、準備段階は処理性能を管理するために準備するものであり、実行段階は処理性能を実際に管理するためのものである。
最初に、作成工程を行う(ステップS1)。作成工程では、上記排水を用いて、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌について単一の細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、これにより決定係数を算出する。なお、作成工程については、後で詳述することにする。
次に、選択工程を行う(ステップS2)。選択工程では、決定係数に基づいて処理性能の指標となる指標細菌を、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から選択する。なお、選択工程については、後で詳述することにする。
次に、測定工程を行う(ステップS3)。測定工程では、上記水処理槽内の指標細菌の数を測定する。このとき、C−PCR法、リアルタイムPCR法、MPN−PCR法等の定量PCR法を用いることが好ましく、迅速かつより正確に結果が得られるという点ではC−PCR法がより好ましい。なお、測定工程については、後でC−PCR法を用いた場合を詳述することにする。
次に、保持工程を行う(ステップS4)。保持工程では、上記水処理槽内に所定数以上の指標細菌を保持する。なお、保持工程については、後で詳述することにする。
次に、処理性能の管理を継続するか否かを判断する(ステップS5)。処理性能の管理を継続すると判断した場合、再び、測定工程を行う(ステップS3)。すなわち、上述したステップS3〜S4の処理は繰り返し実行される。このように処理を繰り返し実行することにより、再び、水処理槽内の状態を判別し、つまり、処理性能の管理を行うことになる。なお、再び、測定工程を行う際には、前回の日と異なる日に行うことが好ましい。
一方、ステップS5において、処理性能の管理を継続しないと判断したときには、本ルーチンを終了する。
次に、図2に示すステップS1において行われる亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、決定係数を算出する作成工程のサブルーチンについて、図3を用いて説明する。なお、本発明の水処理管理方法では、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌について単一の細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、これにより決定係数を算出することになるが、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、これにより決定係数を算出する作成工程について主として説明する。
(1)作成工程
まず、脱窒槽4内から活性汚泥を採取する(ステップS10)。
次に、活性汚泥に含まれる複数の種類の細菌の全DNAを抽出する(ステップS11)。さらに、混在するRNAを分解した後、全DNAを精製することが好ましい。全DNAを抽出する方法としては、例えば、Current Protocol in Molecularbiology等の文献に記載された定法、又は、市販のDNA抽出キット類を用いて行う方法等が挙げられる。
次に、抽出された全DNAに既知数の競合的DNAを添加し、亜硝酸還元細菌に存在した目的DNA断片及び競合的DNA断片をDNA複製酵素連鎖反応(PCR法)で増幅する(ステップS12)。このとき、後述する脱窒槽4内の亜硝酸還元細菌の数を測定する(ステップS16)ために、抽出された全DNAを数個に分け、それぞれに異なる数の競合的DNAを添加してPCR法を行う。PCR法としては、例えば、抽出された全DNA及び競合的DNAに、プライマー、酵素(Taqポリメラーゼ)、dNTPs、塩類等を添加する方法等が挙げられる。なお、プライマーとして、亜硝酸還元細菌を検出するために設計された塩基配列を有するDNA断片、すなわち、亜硝酸還元細菌のDNAと競合的DNAとのみに特異的に結合し、亜硝酸還元細菌と競合的DNA以外の細菌のDNAに結合しないものを選択する。
また、PCR法における反応温度は、プライマーのTm値を考慮に入れた値に設定されることが好ましい。さらに、PCR法のサイクル数は、15サイクル以上50サイクル以下であることが好ましい。
次に、それぞれについて、得られた目的DNA断片と競合的DNA断片とを分離する(ステップS13)。目的DNA断片と競合的DNA断片とを分離する方法としては、例えば、アガロースゲル電気泳動やポリアクリルアミドゲル電気泳動等が挙げられるが、アガロースゲル電気泳動が簡便で好ましい。例えば、1%以上3%以下のアガロースゲルを用いて、室温で、100V、約30分で行うこと等が挙げられる。
次に、DNA断片に特異的に結合して蛍光を発する色素、例えば、エチジウムブロマイド、SYBR Gold、SYBR Green I等を添加する(ステップS14)。
次に、ゲルドキュメンテーションシステム等により所定波長の励起光を照射したときに発する目的DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度を測定する(ステップS15)。なお、図4は、目的DNA断片及び競合的DNA断片のアガロースゲル電気泳動写真の一例である。目的DNA断片と競合的DNA断片とは、塩基対数が異なるので、それぞれに対応する塩基対数の位置に分かれている。そして、それぞれに相当するバンドは、数に対応する蛍光強度を有している。さらに、比較のために、異なる数の競合的DNAを添加したものを1枚のアガロースゲル上で行っている。
次に、目的DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度の比と混合した競合的DNAの数との関係に基づいて脱窒槽4内の亜硝酸還元細菌の数を測定する(ステップS16)。例えば、目的DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度の比と混合した競合的DNAの数との関係として、目的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Tと競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Cとの比の対数を横軸とし、混合した競合的DNAの数Nの対数を縦軸とするグラフ等を作成する(図5参照)。そして、一次関数Y=aX+bで近似する。その結果、目的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度が、競合的DNAに相当するバンドの蛍光強度と等しくなる点、すなわち、log(T/C)が0である線と近似式との交点を読みとることにより、採取した活性汚泥中に含まれた亜硝酸還元細菌の数を得て、脱窒槽4内の亜硝酸還元細菌の数を得る。
次に、排水中の単位時間当りの全窒素及び分離液中の全窒素濃度を測定する(ステップS17)。排水中の単位時間当りの全窒素を測定するために、例えば、連絡管1から排水を採取して、排水中の全窒素濃度T−Nを測定し、さらに単位時間当りの排水量を測定する。一方、分離液中の全窒素濃度T−Nを測定するために、例えば、連絡管9から分離液を採取する。ここで、全窒素濃度T−Nとは、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素等の全ての窒素原子の濃度のことをいう。
また、全窒素の測定方法としては、例えば、総和法、ケルダール窒素法、還元蒸留ケルダール法、紫外線吸光光度法等が挙げられる(「下水試験方法」、上巻、1997年版、財団法人 日本下水道協会参照)。
次に、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示すデータが充分であるか否かを判断する(ステップS18)。亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成するデータが充分でないと判断した場合、再び、脱窒槽4内から活性汚泥を採取する(ステップS10)。すなわち、上述したステップS10〜S17の処理は繰り返し実行される。このように処理を繰り返し実行することにより、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示すデータの数を増加させることになる。なお、再び、脱窒槽4内から活性汚泥を採取する際には、前回の日と異なる日に行うことが好ましい。
一方、ステップS18において、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示すデータが充分であると判断したときには、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成する(ステップS19)。例えば、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式として、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷(排水中の単位時間当りの全窒素/亜硝酸還元細菌の数)を横軸とし、分離液中の全窒素濃度T−Nを縦軸とするグラフ等を作成する(図6(a)参照)。そして、指数関数Y=aebXで近似して、相関式を得る。
次に、相関式に基づいて決定係数R2を算出する(ステップS20)。
図3では、亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、決定係数を算出する工程について説明したが、硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌についても同様に行うこととなる(図6(c)参照)。さらに、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌についても、ステップS10における活性汚泥を採取する場所を脱窒槽4から硝化槽2に変更すること以外は同様に行うことになる(図6(b)参照)。このように本発明の水処理管理方法では、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌について単一の細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、これにより決定係数を算出することが好ましい。
なお、図3においては亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式のみを作成する場合を示したが、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌に存在したそれぞれの目的DNA断片及び競合的DNA断片をPCR法で増幅して、それぞれの目的DNA断片及び競合的DNA断片を全て分離することにより、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌の単一の数と処理性能との関係を示す相関式を同時に作成することとしてもよい。
(2)選択工程
次に、図2に示すステップS2において行われる決定係数に基づいて処理性能の指標となる指標細菌を、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から選択する選択工程の一例について説明する。
上述した作成工程で作成されたそれぞれの細菌の決定係数に基づいて、決定係数R2が一番高くなるものを選択して、処理性能の指標となる指標細菌を、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から選択する。
なお、以下においては、亜硝酸還元細菌を指標細菌として選択した場合を説明する。また、処理性能の指標となる指標細菌をアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から特定した後は、処理性能を管理するために、特定した指標細菌の数のみを測定すればよいことになる。
(3)測定工程
次に、図2に示すステップS3において行われる脱窒槽4内の亜硝酸還元細菌の数を測定する測定工程のサブルーチンを図7に示すフローチャートを用いて説明する。まず、脱窒槽4内から活性汚泥を採取する(ステップS21)。
次に、活性汚泥に含まれる複数の種類の細菌の全DNAを抽出する(ステップS22)。DNAを抽出する方法としては、上述したものと同様な方法等が挙げられる。
次に、抽出された全DNAに既知数の競合的DNAを添加し、亜硝酸還元細菌に存在した指標DNA断片及び競合的DNA断片をPCR法で増幅する(ステップS23)。このとき、抽出された全DNAを数個に分け、それぞれに異なる数の競合的DNAを添加してPCR法を行う。PCR法としては、例えば、抽出された全DNA及び競合的DNAに、プライマー、酵素(Taqポリメラーゼ)、dNTPs、塩類等を添加する方法等が挙げられる。なお、プライマーとして、亜硝酸還元細菌を検出するために設計された塩基配列を有するDNA断片、すなわち、亜硝酸還元細菌のDNAと競合的DNAとのみに特異的に結合し、亜硝酸還元細菌と競合的DNA以外の細菌のDNAに結合しないものを選択する。
また、PCR法における反応温度及びPCR法のサイクル数は、上述したものと同様であることが好ましい。
次に、それぞれについて、得られた指標DNA断片と競合的DNA断片とを分離する(ステップS24)。指標DNA断片と競合的DNA断片とを分離する方法としては、上述したものと同様な方法等が挙げられる。
次に、DNA断片に特異的に結合して蛍光を発する色素、例えば、エチジウムブロマイド、SYBR Gold、SYBR Green I等を添加する(ステップS25)。
次に、ゲルドキュメンテーションシステム等により所定波長の励起光を照射したときに発する指標DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度を測定する(ステップS26)。
次に、指標DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度の比と混合した競合的DNAの数との関係に基づいて脱窒槽4内の亜硝酸還元細菌の数を測定する(ステップS27)。例えば、指標DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度の比と混合した競合的DNAの数との関係として、指標DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度の比の対数を横軸とし、混合した競合的DNAの数の対数を縦軸とするグラフ等を作成する。そして、一次関数Y=aX+bで近似する。その結果、指標DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度の比の対数が0である線と近似式との交点を読みとることにより、採取した活性汚泥中に含まれた亜硝酸還元細菌の数を得て、脱窒槽4内の亜硝酸還元細菌の数を得る。
次に、排水中の単位時間当りの全窒素を測定する(ステップS28)。排水中の単位時間当りの全窒素を測定するために、例えば、連絡管1から排水を採取して、排水中の全窒素濃度T−Nを測定し、さらに単位時間当りの排水量を測定する。
(4)保持工程
次に、図2に示すステップS4において行われる脱窒槽4内の所定数以上の亜硝酸還元細菌を保持する保持工程の一例について説明する。
亜硝酸還元細菌の数が所定数未満である(例えば、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷が所定数より大きい)ときには、脱窒槽4に亜硝酸還元細菌に適した基質を加えたり、脱窒槽4内のpH、温度、酸化還元電位等を制御したりする。一方、亜硝酸還元細菌の数が所定数以上である(例えば、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷が所定数以下である)ときには、特に何もする必要がない。このように亜硝酸還元細菌の数を測定することにより、対策の遅れを生じることがなく、処理性能を維持することが可能となる。
また、本発明の水処理管理方法は、図1を用いて説明したように、硝化槽2、脱窒槽4、再曝気槽6、沈殿槽8をこの順に備える構成に用いることが可能であるが、さらに、本発明では、図8に示すように、脱窒槽21、硝化槽22、沈殿槽23をこの順に備えるとともに、硝化槽22で処理された硝化液を脱窒槽21に循環できる構成に用いることも可能である。
このような構成に用いる場合には、脱窒素21内の亜硝酸還元細菌を指標細菌として選択したとき、脱窒槽21内の亜硝酸還元細菌の数を測定することにより、脱窒槽21内で所定数以上の亜硝酸還元細菌を保持することになる。
また、本発明の水処理管理方法は、図9に示すように、脱窒槽31、硝化槽32、脱窒槽33、硝化槽34、沈殿槽35をこの順に備えるとともに、硝化槽34で処理された硝化液を脱窒槽33に循環でき、かつ、排水を脱窒槽31及び脱窒槽33に供給できる構成に用いることも可能である。
このような構成に用いる場合には、脱窒槽31及び脱窒槽33内の亜硝酸還元細菌を指標細菌として選択したとき、脱窒槽31及び脱窒槽33内の亜硝酸還元細菌の数を測定することにより、脱窒槽31及び脱窒槽33内で所定数以上の亜硝酸還元細菌を保持することになる。
また、脱窒槽、硝化槽等の水処理槽としては、例えば、細菌を含む活性汚泥を水処理槽内に浮遊させる活性汚泥処理装置、細菌を含む活性汚泥を付着させた担体を用いる流動床式処理装置、固定床式処理装置等が挙げられる。したがって、上記活性汚泥処理装置の場合には、水処理槽内から一定体積のサンプルを採取し、その後、水処理槽内の全体のサンプル体積に換算することにより、水処理槽内の状態を把握できることになる。また、上記流動床式処理装置、固定床式処理装置の場合には、水処理槽内から一定数の担体又は一定表面積からの汚泥を採取し、その後、処理槽内の全体の担体数に換算することにより、水処理槽内の状態を把握できることになる。
図1に示すような硝化槽2、脱窒槽4、再曝気槽6、沈殿槽8をこの順に備える構成である水処理プロセスにおいて、火力発電所からの排水から窒素成分を除去して、分離液(T−N:2.0mg/L以下)として取り出す水処理プロセスを行った。なお、脱窒槽4は活性汚泥処理装置であり、脱窒槽4内の有効容積は400000Lであった。
(1)作成工程
まず、脱窒槽4内から1mLの活性汚泥及び排水の混合物を採取した。次に、混合物中の活性汚泥を遠心分離により分離して、活性汚泥を得た。そして、活性汚泥に含まれる複数の種類の細菌の全DNAを、FastDNA SPIN kit for Soil(Qbiogene,Inc.製)を用い、製造業者の推奨する方法にしたがって抽出し、全DNAを11400ng得た。
次に、抽出された全DNAに既知数の競合的DNAとしてcompetitive DNA Construction Kit(宝バイオ株式会社製)を用いて製造業者の推奨する方法にしたがって添加した。このとき、抽出された全DNAが10ngとなるものを5個準備して、それぞれに1.25×103、2.5×103、5×103、1×104、2×104copiesの競合的DNAを1.0μL添加した。さらに、5.0μLの10×PCR Buffer(キアゲン製)、10.0μLの5×Q solution(キアゲン製)、4.0μLの10mM dNTPs(アプライドバイオシステムズジャパン製)、2.0μLの25mM MgCl2、0.3μLの0.3unit Taqポリメラーゼ(キアゲン製)、0.5μLの各プライマーを添加し、そして滅菌水(エッペンドルフ製)を用いて全体量を50μLとした反応液を得た。
なお、各プライマーとして、目的細菌である亜硝酸還元細菌(nir S)を検出するために設計された塩基配列を有する下述するDNA断片を用いた(文献:G.Braker, A.Fesefeldt, and K-P. Witzel, 1998 Appl. Environ. Microbiol. 64, 3769-3775.参照)。
nirS1F:CCTA(C/T)TGGCCGCC(A/G)CA(A/G)T (配列番号1)
nirS6R:CGTTGAACTT(A/G)CCGGT (配列番号2)
そして、得られた反応液を用いて、表1に示す条件でPCR法を実施した。
Figure 0004279802
次に、PCR法で増幅させた目的DNA断片及び競合的DNA断片10μLに1μLのloading dye(東洋紡績株式会社製)を添加して、常法にしたがい、室温で、100V、30分で2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行った。
次に、エチジウムブロマイド染色を行い、電気泳動ゲル撮影/解析方法1D Image Analysis Software(Kodak)により、目的DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度を測定した(図4参照)。
これにより、目的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Tと競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Cとの比の対数を横軸とし、混合した競合的DNAの数Nの対数を縦軸とするグラフを作成した。そして、一次関数Y=aX+bで近似し、Y=−1.3007X+4.0877を得た(図5参照)。
図5からlog(T/C)が0である線とグラフとの交点を4.09と読みとることにより、全DNA10 ng中に含まれた亜硝酸還元細菌の数は104.09copiesと算出した。そして、活性汚泥及び排水の混合物1mLから精製された全DNAは11400ngであったため、活性汚泥及び排水の混合物1mL中に含まれた亜硝酸還元細菌の数は、104.09 ×11400/10 = 107.15copiesであったと算出した。
次に、連絡管1から採取した排水中の全窒素濃度T−Nを40mg/L(NH4-N:20mg/L、NO2-N:10mg/L、NO3-N:10mg/L)と測定し、さらに1日当りの排水量を1800m3と測定した。一方、連絡管9から採取した分離液中の全窒素濃度T−Nを0.9mg/L(1日の水量:1800m3)と測定した。
上述した処理を一定間隔をおいて繰り返し実行した。これにより、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷を横軸とし、分離液中の全窒素濃度T−Nを縦軸とするグラフを作成した。そして、指数関数Y=aebXで近似して、Y=0.5826e4E+0.7Xとなる相関式を得た。さらに、決定係数R2を0.7880と得た(図6(a)参照)。
また、亜酸化窒素還元細菌についても同様に行い、決定係数R2を0.2136と得た(図6(c)参照)。
なお、各プライマーとして、目的細菌である亜酸化窒素還元細菌(Nos Z)を検出するために設計された塩基配列を有する下述するDNA断片を用いた(文献:D.J.Scala and L.J.Kerkhof. 1998 FEMS Microbiology Letters 168, 61-68参照)。
Nos1527F:CGCTGTTC(A/T/C)TCGACAG(C/T)CA (配列番号3)
Nos1773R:AT(A/G)TCGATCA(A/G)CTG(T/C/G)TCGTT (配列番号4)
さらに、アンモニア酸化細菌についても、活性汚泥を採取する場所を脱窒槽4から硝化槽2に変更すること以外は同様に行い、決定係数R2を2×10-9と得た(図6(b)参照)。
なお、各プライマーとして、目的細菌であるアンモニア酸化細菌(amo A)を検出するために設計された塩基配列を有する下述するDNA断片を用いた(文献:J-H. Rotfhauwe, K-P. Witzel and W. Liesack. 1997. Appl. Environ. Microbiol. 63, 4704-4712参照)。
amoA-1F:GGGGTTTCTACTGGTGGT (配列番号5)
amoA-2R:CCCCTC(G/T)G(C/G)AAAGCCTTCTTC (配列番号6)
(2)選択工程
上述した作成工程で作成されたそれぞれの細菌の決定係数に基づいて、決定係数R2が一番高かった亜硝酸還元細菌を指標細菌として選択した。
(3)測定工程
まず、脱窒槽4内から1mLの活性汚泥及び排水の混合物を採取した。次に、混合物中の活性汚泥を遠心分離により分離して、活性汚泥を得た。そして、活性汚泥に含まれる複数の種類の細菌の全DNAを、FastDNA SPIN kit for Soil(Qbiogene,Inc.製)を用い、製造業者の推奨する方法にしたがって抽出し、全DNAを12300ng得た。
次に、抽出された全DNAに既知数の競合的DNAとしてcompetitive DNA Construction Kit(宝バイオ株式会社製)を用いて製造業者の推奨する方法にしたがって添加した。このとき、抽出された全DNAが10ngとなるものを5個準備して、それぞれに1.25×103、2.5×103、5×103、1×104、2×104copiesの競合的DNAを1.0μL添加した。さらに、5.0μLの10×PCR Buffer(キアゲン製)、10.0μLの5×Q solution(キアゲン製)、4.0μLの10mM dNTPs(アプライドバイオシステムズジャパン製)、2.0μLの25mM MgCl2、0.3μLの0.3unit Taqポリメラーゼ(キアゲン製)、0.5μLの各プライマーを添加し、そして滅菌水(エッペンドルフ製)を用いて全体量を50μLとした反応液を得た。
なお、各プライマーとして、指標細菌である亜硝酸還元細菌(nir S)を検出するために設計された塩基配列を有する下述するDNA断片を用いた。
nirS1F:CCTA(C/T)TGGCCGCC(A/G)CA(A/G)T (配列番号1)
nirS6R:CGTTGAACTT(A/G)CCGGT (配列番号2)
そして、得られた反応液を用いて、表1に示した条件でPCR法を実施した。
次に、PCR法で増幅させた指標DNA断片及び競合的DNA断片10μLに1μLのloading dye(東洋紡績株式会社製)を添加して、常法にしたがい、室温で、100V、30分で2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行った。
次に、エチジウムブロマイド染色を行い、電気泳動ゲル撮影/解析方法1D Image Analysis Software(Kodak)により、指標DNA断片及び競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度を測定した。
これにより、指標DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Tと競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Cとの比の対数を横軸とし、混合した競合的DNAの数Nの対数を縦軸とするグラフを作成した。そして、一次関数Y=aX+bで近似し、Y=1.13X+4.18を得た。
log(T/C)が0である線とグラフとの交点を4.18と読みとることにより、全DNA10 ng中に含まれた亜硝酸還元細菌の数は104.18copiesと算出した。そして、活性汚泥及び排水の混合物1mLから精製された全DNAは12300ngであったため、活性汚泥及び排水の混合物1mL中に含まれた亜硝酸還元細菌の数は、104.18×12300/10 =107.27copiesであったと算出した。
次に、連絡管1から採取した排水中の全窒素濃度T−Nを40mg/L(NH4-N:20mg/L、NO2-N:10mg/L、NO3-N:10mg/L)と測定し、さらに1日当りの排水量を1800m3と測定した。
(4)保持工程
図6(a)から分離液の全窒素濃度(T-N)を2.0mg/L以下とするためには、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷を3.2×10-8mg/(copies・日)以下となるよう亜硝酸還元細菌を保持すればよいことになる。そこで、処理性能を管理するために、亜硝酸還元細菌の数を測定する測定工程を10日置きに行った。そして、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷が3.2×10-8mg/(copies・日)を超えるときには、亜硝酸還元細菌に適した基質を加えたり、pH、温度、酸化還元電位等を制御した。一方、亜硝酸還元細菌1ヶ当りの窒素負荷が3.2×10-8mg/(copies・日)以下であるときには、特に何もしなかった。
<評価方法>
処理性能を管理し始めたときから、1、10、20、30及び40日目に、連絡管9から採取した分離液中の全窒素濃度T−Nを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004279802
実施例1に係る水処理管理方法によれば、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌を亜硝酸還元細菌に特定して、その後は亜硝酸還元細菌の数のみを測定することにより、オペレータの能力に依存せずに、処理性能を維持できた。
なお、通常用いられているT-N-SS負荷と処理水質の関連性は低く、処理性能を管理することはできなかった。同様に、アンモニア酸化細菌1ヶ当りの窒素負荷(図6(b))や亜酸化窒素還元細菌1ヶ当りの窒素負荷(図6(c))と処理水質との関連性も低く、本指標で処理性能を管理することはできなかった。
このように、水処理プロセスの処理性能の指標となる指標細菌をアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群から特定することにより、対策の遅れを生じることがなく、オペレータの能力や主観的な判断に依存せずに、処理性能を維持できる。
本発明に係る水処理管理方法によって処理性能を管理する水処理プロセスの概略構成図である。 本発明の水処理管理方法のルーチンの一例を示すフローチャートである。 亜硝酸還元細菌の数と処理性能との関係を示す相関式を作成し、決定係数を算出する作成工程のサブルーチンを示すフローチャートである。 目的DNA断片及び競合的DNA断片のアガロースゲル電気泳動写真の一例である。 目的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Tと競合的DNA断片に相当するバンドの蛍光強度Cとの比の対数を横軸とし、混合した競合的DNAの数Nの対数を縦軸とするグラフである。 細菌1ヶ当りの窒素負荷を横軸とし、分離液中の全窒素濃度T−Nを縦軸とするグラフである。 脱窒槽内の亜硝酸還元細菌の数を測定する測定工程のサブルーチンを示すフローチャートである。 本発明に係る水処理管理方法によって処理性能を管理する他の水処理プロセスの概略構成図である。 本発明に係る水処理管理方法によって処理性能を管理する他の水処理プロセスの概略構成図である。
符号の説明
1、3、5、7、9:連絡管
2、22、32、34:硝化槽
4、21、31、33:脱窒槽
6:再曝気槽
8、23、35:沈殿槽

Claims (3)

  1. 硝化槽と脱窒槽とを有する水処理プロセスの処理性能を管理する水処理管理方法であって、
    前記水処理プロセスは、複数の種類の細菌を用いて、水処理槽に供給される被処理水から窒素成分を除去するものであり、
    硝化槽中のアンモニア酸化細菌又は亜硝酸酸化細菌、脱窒槽中の硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌及び亜酸化窒素還元細菌からなる群について、
    単一の細菌の数と全窒素負荷との関係に基づいて、決定係数が最も高い細菌を処理性能の指標となる指標細菌として選択する選択工程と、
    前記水処理槽内の指標細菌の数を測定する測定工程と、
    前記水処理槽内に所定数以上の指標細菌を保持する保持工程とを含むことを特徴とする水処理管理方法。
  2. 前記測定工程では、定量PCR法を用いる、請求項1に記載の水処理管理方法。
  3. 前記被処理水は、火力発電所からの排水である、請求項1又は2に記載の水処理管理方法。
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