JP4279619B2 - 移動端末の移動特性を求める方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動端末に関し、特に、位置認識サービスを提供するための移動端末の移動パターンを求めることに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の位置認識サービスは、ユーザーの移動端末プロファイルの位置に従ってサービスとマルチメディアコンテンツを適合及び配信する。Catovic等著「Geolocation Updating Scheme For Location Aware Services in Wireless Networks」 Proc. MobiCom'01, 2001によると、移動端末のユーザーは、歩行者、高速道路の車両のドライバー、市街地の車両のドライバーに一般に分類することができる。
【0003】
従来技術では、端末位置は位置認識サービスに使用される主要な測定基準である。Tekinay著「Modeling and Analysis of Mobile Cellular Networks with Highly Mobile Heterogeneous Traffic Sources,」 Ph.D. dissertation, School of Information Technology and Engineering, George Mason University, Virginia, 1994、Rose等著「Location Uncertainty in Mobile Networks: A Theoretical Framework,」 IEEE Communications Magazine, February 1997、Lei等著「Probability Criterion Based Location Tracking Approach for Mobility Management of Personal Communications Systems,」IEEE 0-7803-4198-8/97、Lei等著「Wireless Subscriber Mobility Management Using Adaptive Individual Location Areas for PCS Systems,」 IEEE 0-7803-4788-9/98によると、移動性には、平均速度および速度変化も含めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
移動端末の移動パターンを、従来技術で利用可能であるよりもさらに詳細に理解することが望ましい。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、第1と第2の瞬間における移動端末の移動の第1と第2の角度方向を計測することで、移動特性を求める。
【0006】
第1の角度方向が第2の角度方向から減算され、第1の瞬間と第2の瞬間との間隔内の携帯端末の方向性が求められる。
【0007】
方向性を、平均、分散、ヒストグラムに関して使用して携帯端末を分類することが可能で、その分類に従って位置認識サービスを適合及び配信することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、移動端末の方向特性を求め、移動端末の方向特性に従って位置認識サービス(LAS:Location Aaware Service)をカスタマイズし配信するためのシステムと方法を提供する。
【0009】
移動端末は自身の位置を求め、サービスマネージャはこの位置情報をポーリングして方向特性を求め、アプリケーションサービスプロバイダがさまざまな方向特性に従って個人に合わせたマルチメディアサービスと一般的なマルチメディアサービスを適合及び配信できるようにする。
【0010】
システムダイアグラム
図1は、本発明による方向特性を求めるためのシステム100を示す。システム100は、携帯電話や携帯コンピューティングデバイスなどの移動端末(MT)120を備える。MT120は、サービスマネージャ(サーバー)130とアプリケーションサービスプロバイダ(ASP)140にアクセスネットワーク110を介して接続されている。アクセスネットワーク110は、有線部分と無線部分を備えることができる。たとえば特定の地域の地元企業などの複数のASPが存在し得る。マルチメディアコンテンツなど、提供するサービスがサービスデータベース160に格納され得る。
【0011】
移動端末120の位置101は、GPSなどの位置サービス(LS:Location Service)111を使用することにより求めることができ、または、1999年10月19日にBi他に対して発行された米国特許第5,970,414号、「Method for estimating a mobile-telephone's location」を参照されたい。通常、位置サービス111はネットワーク110の一部である。
【0012】
方向性の更新
図2に示すように、LS111は、移動端末120から定期的に位置座標112を受信する。位置座標は、たとえば1秒間隔113で、定期的に受信され得る。位置から、速度や方向など、その他の要素を求めることができる。図2は、定期的な位置についての要求214とアプリケーションサービスプロバイダ140による位置についての応答215も示している。この信号伝達は、Location Interoperability Forum (LIF) Ltd.の移動位置プロトコル(MLP:Mobile Location Protocol)仕様に準拠している。MLPは、移動ネットワークのオペレータ、アプリケーション、サービスプロバイダが位置ベースのサービスを移動端末に提供できるようにするための業界標準である。MLPは、位置ベースのアプリケーションと無線アクセスネットワーク110との間で位置情報を交換するための共通インターフェイスを定義する。
【0013】
移動端末は、速度と位置座標を計測し120、この情報112を位置サーバー111に定期的な時間間隔で、または不定期に送信する。LS111はデータベース180を方向性とプロファイルの情報により更新する。ASP140からの要求114が到着すると、LS111は該当する端末の方向性とプロファイルをデータベース180で検索して、この情報を含む応答115をASP140に返すことができる。
【0014】
以降で説明する方向性分析器150は、データベース180に格納された方向性情報の履歴に対して統計的信号処理を施して、MT120の方向特性を求める。
【0015】
方向性を移動プロファイルと移動パターンの分類に使用可能な移動パラメータとして定義する。たとえば、方向特性は、歩行者、自転車に乗った人、市街地ドライバー、高速道路ドライバー、または航空機の乗客などさまざまな種類の移動端末ユーザーの分類に使用することができる。
【0016】
方向性分析器150は、データベース180内の移動プロファイルを不定期に更新する。サービスマネージャ130は、この情報をポーリングして、配信するサービス160を方向特性に従ってカスタマイズすることができる。サービスマネージャ130は、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)140にASP140の近傍内にある任意のMT120とMT120の方向特性を知らせる。ASP140はコンテンツの適合を実施して、カスタマイズされたサービスをMT120に配信する。
【0017】
方向性
図3に示すように、方向性は、前回の計測値と比較した移動端末の方向の角度変化の量と定義される。方向性の計測値は、時間尺度により異なる。図3に示すように、1つの方向性計測値を得るには、3つの座標と1つの時間尺度が必要である。移動端末は経路A−B−Cに沿って移動する。前回の角度方向に対する時刻(n+1)の角度方向の変化が、所与の時間尺度での「方向性」である。
【0018】
2つの連続する座標(xn,yn)Aと(xn+1,yn+1)Bにより、(t,t+T)の間の移動の角度方向は次のように求められる。
【0019】
【数5】
【0020】
時間間隔(t+T,t+2T)の間の角度方向は次のように求められる。
【0021】
【数6】
【0022】
時間尺度Tについての方向性は次のように求められる。
【0023】
【数7】
【0024】
図4(a)〜(d)に示すように、角度方向θnは、移動端末の位置が存在する直交座標系の象限に依存し、移動の方向が求められる。
【0025】
ベクトル
【0026】
【数8】
【0027】
は、方向性ベクトルと呼ばれ、間隔Tごとにβi,i+1=(θi+1−θi)である。
【0028】
ベクトルには時間尺度Tについての最近のN個の方向性の計測値が含まれる。
【0029】
【数9】
【0030】
がわかっていると、方向性の変動と統計量を求めることができる。
【0031】
移動端末が時刻t=0にその位置、速度、角度方向112を更新すると、移動端末の速度と角度方向がそれ以降変更されない場合、移動端末がサービス領域を離れるときの時刻Tcを求めることができる。
【0032】
しかし、方向性が時間尺度Tcで観測される場合には、時間単位Tc内の現在の移動の角度の逸脱が予測可能で、その逸脱を考慮して、MTがサービス領域内にとどまる時間を求めることができる。
【0033】
たとえば、車両、航空機、列車内の移動端末など、高速で移動する移動端末については、方向性の変動は比較的遅い。一方、歩行したり自転車に乗っているユーザーが携行している端末など、低速で移動する端末については、方向性は比較的速く変動する。方向性が不規則になり、それが移動パターンに現れることもある。
【0034】
たとえば、Nが時間尺度Tの方向性計測値の個数を表すとする。すると、低速で移動する移動端末については、Nが大きくTの値が小さい場合、次に示すように、方向性計測値の平均値Eはゼロに近づき、分散はπに近づく。
【0035】
【数10】
【0036】
一方、高速の移動端末については、次に示すように、方向性計測値の分散はゼロに収束する。
【0037】
【数11】
【0038】
図5は、低速(歩行者)、中速(市街地の車両)、高速(高速道路の車両、列車、航空機)の移動端末のパターンの例501、502、503を示している。
【0039】
図6(a)〜(c)は、それぞれT=1s、T=3s、T=10sについて、方向性計測値に対する時間尺度の影響を示している。したがって、低速で移動する端末には、Nが大きくTが小さい方が適していて、高速の端末には、その逆が適している。さらに、周波数領域の分析を使用して、移動のさまざまなパターンを区別することができる。
【0040】
x座標およびy座標または方位角θに関して以上の説明を行ったが、z(高度)座標も使用することができることを理解すべきである。このような情報は、GPSサービスから容易に利用することができる。GPSサービスからの情報により、仰角φが使用可能になる。仰角が使用できると、気球の乗客を航空機の乗客から区別できるようになるだけでなく、移動端末が通過している地形の垂直形状も区別することができるようになる。
【0041】
方向性記述子
生データ、つまり方向性ベクトル
【0042】
【数12】
【0043】
を効率的に格納、処理、および交換するために、方向性の記述が必要である。この記述は、簡潔で、所与の期間内の所与の時間尺度でのデータサンプルの集合全体を正確に表現しなければならない。
【0044】
単一の方向性計測には、3つの位置座標および2つの連続する位置の更新間の時間間隔(T)の知識が必要である。方向性は、過去の軌跡情報の移動特性の分析と移動プロファイルの分類に使用することができる。方向性は、移動端末の将来の挙動の予測にも使用することができる。しかし、単一の方向性の値では十分ではない。そのため、MTの移動プロファイル情報を抽出し、将来の移動経路を予測するには、方向性の履歴が必要になる。
【0045】
平均と分散
方向性の計測値の履歴から方向性ベクトルを構築するには、ベクトルのサイズ、つまり方向性計測値の数(N)、が必要になる。平均や分散などの、方向性ベクトルの1次と2次の統計属性は、移動パターンの変化の記述に適している。
【0046】
たとえば、方向性ベクトルが5秒間隔で計測された20個の連続した計測値を有し、各計測値が2であるとする。これは、MTの角度方向が5秒ごとに2°変化していることを意味する。直前の100秒の間に、MTの角度方向の角度変化の合計は40°であった。この例では、方向性ベクトルの分散がゼロで、5秒ごとの平均が2°である。これは、MTの角度方向が次の5秒間にさらに2°変化する確率が高いことを示している。
【0047】
ヒストグラム
方向性ベクトルのヒストグラムも、方向性ベクトルを記述するのに適している。ヒストグラムは、移動パターンについての重要な情報を簡潔に示す。ヒストグラムは、方向の変化の程度と頻度に関連した情報を取り込むことができる。そのため、ヒストグラムは、さまざまな移動パターンを分類するのに適した記述子である。
【0048】
ヒストグラムにはM個のビンが含まれる。i番目のビンは、i*π/Mラジアン〜(i+1)*π/Mラジアンの範囲を網羅し、iは0〜M−1の値をとる。MTが移動する期間と所与の時間尺度が与えられると、ヒストグラムは、各ビンに対応した角度変化の頻度を示す。各ビン内の値は、方向性ベクトルのサイズNに従って正規化される。Mの値が小さい場合、方向性ベクトルをより簡潔に表現することができる。しかし、Mの値が小さすぎると、ヒストグラムによる記述子の精度が減少する。ヒストグラムに基づいて移動性を分類するために、Mに適切な値が選択される。Mの値が16〜32であると、簡潔さと正確さの間のトレードオフが十分に確保される。
【0049】
アプリケーション
方向性記述子は、従来技術におけるような単なる位置と速度よりも個別の移動特性の分類に適した尺度である。方向性の分散により、歩行者、高速道路の乗り物、航空機、列車などのさまざまな移動プロファイルが区別される。歩行者、たとえば買い物客の移動は短い時間尺度では方向変化が0からπまでと大きく、不規則になり得る。一方、列車や航空機上の端末などの高速で移動するMTは、時間経過に伴う方向変化は少ない。歩行者のタイプの低速で移動するMTを高速で移動するMTから区別する測定基準として速度を使用できるが、方向性記述子を使用すると、これらの各移動プロファイルをより細かく分類することができる。
【0050】
たとえば、短い時間尺度で方向性を計測すると、潜在的にまったく異なるサービスに興味を持っているにもかかわらず同じ歩行者に分類されてしまう買い物客を観光客から区別するのに役立つ。方向性の尺度により、この差を認識することができる。
【0051】
MTの位置更新間隔(LUI:Location Update Interval)を追跡することで、方向性の情報を補足する情報を得ることができる。MTの速度、方向、および方向性は、サービスの境界を横切るときにMTの位置の更新時間に影響する。しかし、LUIからも、速度のように、さまざまな移動プロファイルの高度な識別情報を同様に得ることができる。方向性も使用することで、より細かい分類も可能になる。
【0052】
図7は、セルラネットワーク700内の移動端末(MT)701の移動を示している。各文字は、所与のセル705の担当範囲を示す。座標点730で実施される瞬間的な方向と速度の計測値に基づいて、MT701はセルA−B−C−Hを経由する線形経路720に沿って移動すると予測される。しかし、点730で実施され、点740で確認される方向性計測を考慮すると、MT701が移動する実際の非線形経路710は、セルA−B−C−Eを横切る。
【0053】
したがって、過去およびある瞬間の方向性計測により、実際の経路の予測誤差が減少する。換言すれば、軌道予測の精度の向上は、システムリソースをより効率的に管理するのに役立つ。そのため、方向性は、あるセルから別のセルに移動する移動端末数に関して、拡散率をより正確に予測するための有用な属性である。方向性は、時間の経過に伴う所与の領域内のMTの数、つまり所定の領域内のMTの密度の予測にも使用可能である。
【0054】
本発明は、好ましい実施形態の例により説明してきたが、本発明の精神と範囲内でさまざまなその他の適合や変更が可能なことは明らかである。そのため、そのような本発明の精神と範囲内の変形や変更を網羅することが併記の特許請求項の目的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による移動端末の方向特性を求めるためのシステムのブロック図である。
【図2】 方向性の更新のタイミングチャートである。
【図3】 移動端末の移動方向のグラフである。
【図4】 直交座標系の4つの象限内の移動のグラフである。
【図5】 時間の関数としての方向性の変動のグラフである。
【図6】 更新間隔のグラフである。
【図7】 セルラネットワーク内の方向性の概略図である。
Claims (21)
- 第1の瞬間に移動端末の移動の第1の角度方向を計測することと、
第2の瞬間に前記移動端末の移動の第2の角度方向を計測することと、
前記第1の角度方向を前記第2の角度方向から減算して、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との時間間隔内での前記移動端末の方向性を求めることと、
前記方向性に従って前記移動端末を分類することと
を含む移動端末の移動特性を求める方法。 - 前記方向性ベクトルに従って前記移動端末の方向性記述子を求めることをさらに含む請求項3に記載の方法。
- 前記方向性記述子は前記方向性要素の平均である請求項4に記載の方法。
- 前記方向性記述子は前記方向性要素の分散である請求項4に記載の方法。
- 前記方向性記述子は前記方向性要素の平均と分散を含む請求項4に記載の方法。
- 前記方向性記述子を求めるために、前記方向性要素をヒストグラムのビンに割り当てることをさらに含む請求項4に記載の方法。
- 前記方向性記述子に従って前記移動端末を分類することをさらに含む請求項4に記載の方法。
- 前記方向性記述子に従って前記移動端末に対して、移動端末プロファイルの位置に従うサービスを配信するための位置認識サービスを適合及び配信することをさらに含む請求項4に記載の方法。
- 前記位置認識サービスはマルチメディアコンテンツを含む請求項10に記載の方法。
- 前記移動端末の前記分類に従って位置認識サービスを適合及び配信することをさら含む請求項1に記載の方法。
- 前記移動端末は、歩行者、市街地ドライバー、または高速道路ドライバーに分類される請求項1に記載の方法。
- 前記方向性を得る頻度は前記移動端末の速度に依存する請求項1に記載の方法。
- 前記移動端末の前記方向性は、時間の経過に伴う移動のパターンを示す請求項1に記載の方法。
- 前記方向性は方位角θと仰角φを含む請求項1に記載の方法。
- 複数の前記移動端末の各々について対応する方向性を計測することと、
複数の前記移動端末の前記対応する方向性に基づいて、セルラネットワーク内の前記移動端末の移動を予測することと
をさらに含む請求項1に記載の方法。 - 前記予測された移動は、前記セルラネットワーク内の前記移動端末の拡散率を含む請求項18に記載の方法。
- 前記予測された移動は、前記セルラネットワーク内の前記移動端末の密度を示す請求項18に記載の方法。
- 前記方向性は前記移動端末の非線形経路を決定する請求項1に記載の方法。
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