JP4263669B2 - 導波管減衰器 - Google Patents

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Description

本発明は、電波吸収部材を挿入して電磁波の電力を減衰させる導波管減衰器に関する。
移動体通信システムやPSTN網などの通信システムにおける基地局間の無線通信回線設計では、他の無線通信回線との干渉を極力低減するような配慮がなされる。そのため、基地局のアンテナ電力およびアンテナから送信される電磁波のビーム幅は必要最小限に抑えられるよう設計される。アンテナ電力を低減する場合には、アンテナ指向性利得を低減すればよい。しかしながら、熱損失を生じさせることなくアンテナ指向性利得を低減させるようアンテナを構成すると、一般にアンテナビーム幅は広がる傾向にあり、他の無線通信回線との干渉は避けられないこととなる。そこで、アンテナビーム幅を一定に保ちつつアンテナ指向性利得のみを低減させるため、アンテナ給電部に減衰器を設けることが考えられる。
マイクロ波帯より高い周波数の電磁波を扱う無線通信システムのアンテナ給電部においては、導波管が用いられることが多い。これは、導波管が同軸線路などと比べて低損失であることや、アンテナ給電線路を伝搬する電磁界からアンテナが放射する電磁界への変換が容易であること等の理由によるものである。アンテナ給電部が導波管で構成されている場合、アンテナ給電部に設ける減衰器は導波管によって構成されることとなる。
上述のことから、ある通信システムに適用されるアンテナのアンテナ指向性利得およびアンテナビーム幅の設計目標値は、無線通信回線設計に基づいて決定される。アンテナ設計においては、まずアンテナビーム幅が設計目標値となるように構造が決定され、その構造によってアンテナ指向性利得が定まる。このアンテナ指向性利得が設計目標値を超過している場合には、超過分の減衰量を呈する導波管減衰器をアンテナ給電部に設ける。
導波管減衰器としては、導波管にフェノール樹脂などの電波吸収効果を有する部材(以下、電波吸収部材とする。)を設けたものがあり、図9(a)に従来の構成例を示す。これは、円形導波管90によって構成されたものであり、円形導波管90の内部には、図9(b)に示す形状の電波吸収部材60が設けられている。図9(b)の電波吸収部材60は、減衰部62とそれを挟む2つの整合部64とから構成される。また、減衰部62は直径がDCである円柱によって、整合部64は直径がDtである円柱によって形成されている。減衰量は主に減衰部62の導波管伝搬方向の長さLCによって決定され、整合部64はこれを含む導波管90の部分が4分の1波長変成器を成すようその長さおよび断面積が決定される。減衰部62は整合部64に挟まれているため、LCのみによって導波管減衰器5の減衰量は定まらないが、LCを大きくすれば大きな減衰量が得られ、LCを小さくすれば小さな減衰量が得られるため、LCを主な減衰量決定パラメータとすることができる。
その他の導波管減衰器の例としては、特開平11−41009号公報に開示されているものがある。この導波管減衰器は、導波管内壁に接着性電波吸収体を塗布することで構成され、接着性電波吸収体の塗布量によって減衰量を調整することが可能となるものである。
また、特開200−339231号公報には、抵抗体を用いた導波管減衰器をアンテナ給電部に設けることで、アンテナ本体の構造を変化させることなくアンテナ指向性利得を調整することが可能なアンテナ装置が開示されている。
特開平11−41009号公報 特開2001−339231号公報
さて、上述したアンテナ指向性利得の超過分の減衰量は、図9(a)に示した従来の導波管減衰器5の構成において実現可能な最小減衰量近傍の値であることが多い。この場合、整合部64の長さLtは整合条件を維持するため変更できないために図9(b)のLCを非常に小さい値とせざるを得ず、機械的強度が損なわれてしまうという問題があった。また、LCの誤差に基づく減衰量の誤差、および電波吸収部材60の損失のばらつきに基づく減衰量の誤差が大きく、量産した場合の性能のばらつきや経年変化による減衰量の変動が大きくなる等、電磁気的安定度が損なわれるという問題があった。これらの問題点を払拭するためには、電波吸収部材60として最適なものを選択することも考えられるが、そのような最適な部材が見あたらないのが現状である。
また、特開平11−41009号公報に開示されている導波管減衰器では、電界エネルギーが集中していない部分に接着性電波吸収体を塗布することが可能であるため、実現可能な最小減衰量は小さいものと考えられる。しかしながら、円形導波管など、いかなる偏波方向に対しても同一の減衰量を与える必要がある導波管については、いかなる偏波方向に対しても均一の減衰量が得られるように接着性電波吸収体を塗布しなければならないため適用が困難である。
本発明はこのような課題に対してなされたものであり、導波管に電波吸収部材を設けた導波管減衰器において、減衰量を微細に決定できる構造とし、従来の導波管減衰器において実現可能であった最小減衰量より小さい減衰量を安定して実現することができる導波管減衰器を提供する。
本発明は、導波管の内部に電波吸収部材を有する導波管減衰器であって、電波吸収部材は、導波管減衰器の減衰量を決定する減衰部と、導波管減衰器の入出力に接続される入出力導波管とのインピーダンス整合を行う整合部と、を含み、減衰部は、減衰部を形成する部材が存在しない中空部を含み、整合部は、導波管伝搬方向を法線とする平面内における断面積と、導波管伝搬方向への長さとが、導波管減衰器と入出力導波管とのインピーダンス整合がとれるよう決定されることを特徴とする。
また、本発明に係る導波管減衰器においては、前記電波吸収部材は、減衰部と整合部とを導波管伝搬方向に貫通する貫通孔を有し、前記中空部は前記貫通孔によって形成される構成とすることが好適である。
また、本発明に係る導波管減衰器においては、前記減衰部は、2つの整合部に挟まれて配置され、前記減衰部の導波管伝搬方向への長さは、前記導波管のうち減衰部を含む部分における管内波長の4分の1の長さに基づいて決定され、前記整合部の導波管伝搬方向への長さは、前記導波管のうち整合部を含む部分における管内波長の4分の1の長さに基づいて決定される構成とすることが好適である。
また、本発明に係る導波管減衰器においては、前記導波管のうち減衰部を含む部分の特性インピーダンスと前記導波管のうち整合部を含む部分の特性インピーダンスのいずれか一方は、4分の1波長整合器を構成する場合の整合特性インピーダンスからずれた値となるよう決定され、当該ずれた値に基づいて整合周波数帯域幅が決定される構成とすることが好適である。
また、本発明に係る導波管減衰器においては、前記減衰部は、導波管の内壁と接する外壁形状を以て形成され、前記電波吸収部材は、減衰部において導波管に固定される構成とすることが好適である。
また、本発明に係る導波管減衰器においては、前記導波管として円形導波管を用いることが好適である。
本発明によれば、図9(a)に示すような従来の導波管減衰器5において実現可能であった最小減衰量より小さい減衰量を安定して実現することができる導波管減衰器を構成することができる。また、円形導波管など、いかなる偏波方向に対しても同一の減衰量を与える必要がある導波管にも容易に適用することができる。更に、本発明に係る導波管減衰器においては、複数の共振モードの結合共振によって整合周波数帯域幅を拡張することが可能である。
本発明の第1の実施形態につき説明する。図1(a)は本発明に係る導波管減衰器を円形導波管20によって構成したものを示す。円形導波管20の内部には図2(b)に示すような電波吸収部材10が設けられている。電波吸収部材10としては、フェノール樹脂などの損失を含む誘電体を用いることが好適である。電波吸収部材10は、外径がDCの円筒である減衰部12と外径がDtの円筒である整合部14とから構成され、減衰部12と整合部14はその軸を同じくし、同一の内径D0を有する。また、導波管減衰器1を構成する導波管20のうち減衰部12を含む部分を減衰部導波管22と、整合部14を含む部分を整合部導波管24とする。
減衰部12の導波管伝搬方向への長さLC、整合部14の導波管伝搬方向への長さLtは、それぞれ、減衰部導波管22の管内波長λgC、整合部導波管24の管内波長λgtの4分の1の長さに基づいて決定される。ここで、管内波長とは基本伝搬モードに対する管内波長をいう。管内波長λgCおよび管内波長λgtは、電波吸収部材10を挿入しない場合の管内波長λg0とは異なる。減衰部導波管22および整合部導波管24においては、自由空間とは異なる媒質定数を有する電波吸収部材10の存在によって基本伝搬モードの電磁界分布が影響を受けるためである。
図1(a)の導波管減衰器1の減衰量は、主に電波吸収部材10の内径D0によって調整される。すなわち、減衰部12の導波管伝搬方向への長さLCを変化させる代わりに、電波吸収部材10の内径D0を変化させることで導波管減衰器1の減衰量を調整するわけである。導波管断面の中心部は電界エネルギーが最も集中する部分であり、この部分を中空とすることで減衰量の微細な調整が可能となる。ただし、減衰部12は整合部14に挟まれているため、D0のみによって導波管減衰器1の減衰量は定まらず、最終的には整合部14の存在をも考慮して減衰量が調整されることとなる。
図2には、図1(a)の導波管減衰器1の等価回路80を示す。この等価回路80は、基本伝搬モードの電界を伝送線路82上に現れる電圧波に、基本伝搬モードの磁界を伝送線路82を流れる電流波に対応付けることで、導波管減衰器1における電磁界の振る舞いの定量的な検討を容易にするものである。Z0は入出力導波管の特性インピーダンス、ZCは減衰部導波管22の特性インピーダンス、Ztは整合部導波管24の特性インピーダンスを表す。ここで特性インピーダンスとは基本伝搬モードの電界の振幅と基本伝搬モードの磁界の振幅との比であり、導波管および電波吸収部材10の構造によって定まる固有の値である。電波吸収部材10は損失を有するため、減衰部導波管22および整合部導波管24の特性インピーダンスは厳密には複素数となるが、本実施形態で目標としている減衰量を実現する場合の動作原理を説明する限りにおいては、実数であるものとして扱うことができる。
電波吸収部材10の内径D0がある大きさに決定されると、減衰部導波管22の基本伝搬モードの電磁界分布が定まり、減衰部導波管22の特性インピーダンスZCが定まる。いま、入出力導波管は整合終端してあるものとし、減衰部導波管22の長さに対応する長さLC’をLC’=λgC/4、整合部導波管24の長さに対応する長さLt’をLt’=λgt/4としておけば、整合状態となる整合部導波管24の特性インピーダンスはZtは、Zt=(Z0・ZC1/2として求められる。
なお、等価回路80上では、LC’=λgC/4、Lt’=λgt/4としてLC’およびLt’を定めているが、実際の電波吸収部材10の減衰部導波管22の長さLC、整合部導波管24の長さLtはそれぞれLC’、Lt’とは若干異なる。これは、減衰部導波管22の端面および整合部導波管24の端面において電磁界の境界条件が満足されるように高次遮断モードが発生するためである。高次遮断モードは基本伝搬モードに対しては、減衰部導波管22の端面および整合部導波管24の端面にリアクティブなエネルギーを蓄積するように作用する。この現象は等価回路上では各伝送線路82の接続点にπ型あるいはT型のリアクタンス回路が挿入されたものとして表され、等価回路は図3のようになる。各伝送線路82の電気長はリアクタンス回路84による位相回転の影響を受ける。したがって、実際の電波吸収部材10の減衰部12の長さLCおよび整合部14の長さLtは、等価的に挿入されるリアクタンス回路84の影響を十分考慮した上で決定されることとなる。
本発明に係る導波管減衰器1の設計においては、円筒形の電波吸収部材10を設けた導波管の管内波長や特性インピーダンスを算出したり、減衰部導波管22の端面および整合部導波管24の端面において発生する高次遮断モードの影響を考慮した上でそれらの長さを決定したりする手順を踏む必要がある。これらの手順は、電子計算機においてマックスウェルの方程式を数値解析的に解くソフトウエアプログラムを実行する電磁界シミュレーションによって行われる。マックスウェルの方程式を数値解析的に解くソフトウエアプログラムとしては、モード整合法や有限要素法などの周波数領域における解法や、FDTD法などの時間領域における解法を用いたもの等がある。これらの数値解析法は、計算過程において導波管減衰器の構造パラメータを読み込み、場合によっては特性インピーダンスや管内波長等が算出され、最終的には導波管減衰器1の減衰量が算出されるものであることが好ましい。
このような電磁界シミュレーションを行うことを前提として、設計は次の手順で行えばよい。なお、設計は導波管減衰器1が適用される無線通信システムで使用される周波数帯域について行い、管内波長、特性インピーダンス等は、その周波数帯域の中心周波数において定義されるものを設計パラメータとして用いる。以下、導波管減衰器が適用される無線通信システムで使用される周波数帯域を使用周波数帯域、その中心周波数を設計周波数とする。また、電波吸収部材10の比誘電率および誘電正接は既知であるものとする。
(1)導波管減衰器1の目標とする減衰量が得られるであろう内径D0を決定することでZCを算出し、
(2)Zt=(Z0・ZC1/2の関係に基づいてZtを決定する。
(3)次に、整合部導波管24の特性インピーダンスZtが上記(2)で決定した値となるように外径Dtを決定する。
(4)上記(1)で決定した内径D0に基づいて管内波長λgCを、上記(3)で決定した外径Dtに基づいて管内波長λgtを求める。
(5)上記(4)で求めた管内波長の4分の1の長さに基づいて、減衰部12の長さLCおよび整合部14の長さLtを決定する。この際、減衰部導波管22の端面および整合部導波管24の端面に等価的に挿入される図3のリアクタンス回路84の影響を考慮する。
(6)上記(1)から(5)までの手順によって決定された導波管減衰器1の構造につき減衰量を求める。当該減衰量が設計目標値とならない場合は、D0の値を変更した上で上記(1)から(5)までの手順を実行する。
以上説明した手順に基づいて設計された導波管減衰器1の反射損失特性は、例えば図4のように使用周波数帯域内において整合周波数が1点現れるものとなる。ここで、整合周波数とは、反射損失特性において極小値の現れる周波数をいう。無線通信システムにおいては、許容される最大限の反射損失が定められているのが一般的であり、ここでは許容される最大限の反射損失を所要反射損失とし、所要反射損失が得られる周波数帯域を所要反射損失帯域と称することとする。適用する無線通信システムの所要反射損失が大きく使用周波数帯域幅が狭い場合には、所要反射損失帯域内に使用周波数帯域を含ませることが容易となるため、整合周波数が1点であっても十分な整合条件が得られる。しかしながら、適用する無線通信システムの所要反射損失が小さく使用周波数帯域幅が広い場合には、所要反射損失帯域内に使用周波数帯域を含ませることが困難となる場合がある。そこで、整合周波数が使用周波数帯域に内に2点現れるように整合部導波管24の特性インピーダンスを決定するものが本発明の第2の実施形態である。
第2の実施形態による導波管減衰器1の設計は次のようにして行う。
(1’)導波管減衰器1の目標とする減衰量が得られるであろう内径D0を決定することでZCを算出し、
(2’)Zt=α(Z0・ZC1/2の関係に基づいてZtを決定する。ここに、係数αは1ではない任意の正の値である。
(3’)次に、整合部導波管24の特性インピーダンスZtが上記(2’)で決定した値となるように外径Dtを決定する。
(4’)上記(1’)で決定した内径D0に基づいて管内波長λgCを、上記(3)で決定した外径Dtに基づいて管内波長λgtを求める。
(5’)上記(4’)で求めた管内波長の4分の1の長さに基づいて、減衰部12の長さLCおよび整合部14の長さLtを決定する。この際、減衰部導波管22の端面および整合部導波管24の端面に等価的に挿入されるリアクタンス回路84の影響を考慮する。
(6’)上記(1’)から(5’)までの手順によって決定された導波管減衰器1の構造につき減衰量を求める。当該減衰量が設計目標値とならない場合は、D0の値を変更した上で再度(2’)から(5’)までの手順を実行する。
(7’)上記(1’)から(6’)までの手順によって決定された導波管減衰器1の構造につき反射損失を求める。使用周波数帯域内で所要反射損失以下の反射損失が得られない場合は、係数αの値を変更した上で上記(1’)から(6’)までの手順を繰り返す。
所要反射損失帯域幅を広げる場合、係数αは1より小さい値に決定することが好適である。このように、整合部導波管24の特性インピーダンスZtを整合インピーダンスからずれた値に決定すると導波管減衰器1の反射損失特性は、図5のように整合周波数が2点現れるものとなる。なお、ここではZtを整合インピーダンスからずれた値に決定するものとして説明したが、上記(7’)の手順において、減衰部導波管22の特性インピーダンスZCを整合インピーダンスからずれた値に決定するものとしてもよいことは明らかである。以下では、このように整合周波数が2点現れる原理について図2を参照して説明する。
入力導波管側の整合部導波管24と減衰部導波管22は、1−1’面と3−3’面に挟まれる2分の1波長共振器を形成する。この2分の1波長共振器は、共振器線路途中に不連続面2−2’が存在するものの、この不連続面の存在下においても同調周波数の電磁波が入力された場合には共振状態となり、入力導波管と出力導波管との間の共振伝送を行う。ただし、出力導波管へは出力導波管側の整合部導波管24を介して共振エネルギーが伝送される。以下、1−1’面と3−3’面に挟まれる2分の1波長共振器を第1の共振器とする。
同様に、出力導波管側の整合部導波管24と減衰部導波管22は、2−2’面と4−4’面に挟まれる2分の1波長共振器を形成する。この2分の1波長共振器は、共振器線路途中に不連続面3−3’が存在するものの、この不連続面の存在下においても同調周波数の電磁波が入力された場合には共振状態となり、入力導波管と出力導波管との間の共振伝送を行う。ただし、入力導波管からは入力導波管側の整合部導波管24を介して共振エネルギーが伝送される。以下、2−2’面と4−4’面に挟まれる2分の1波長共振器を第2の共振器とする。
第1の共振器と第2の共振器は、2−2’面および3−3’面において互いにエネルギーを授受し合う。すなわち、2−2’面および3−3’面において電磁界エネルギーの結合がある。また、第1の共振器と第2の共振器は同一の共振周波数を有する。このような電磁気的に結合された2つの共振器からなる系には、第1の共振器と第2の共振器に同位相関係にある共振電磁界をもたらす偶共振モードと、第1の共振器と第2の共振器に逆位相関係にある共振電磁界をもたらす奇共振モードとが生じる。
係数αが1のときは、偶共振モードの共振周波数と奇共振モードの共振周波数は一致し、これらの共振モードの共振伝送によって1つの整合点が生じる。この状態は第1の共振器と第2の共振器とのエネルギー結合が密である状態であるといえる。ところが、係数αを1からずれた値にし、第1の共振器と第2の共振器のエネルギー結合を疎にすると、偶共振モードの共振周波数と奇共振モードの共振周波数は異なるものとなり、これらの共振モードの共振伝送によって2つの整合点が生ずる。本実施形態は、係数αを1からずらすことで偶共振モードの共振周波数と奇共振モードの共振周波数を分離し、所要反射損失帯域内に2つの整合点を設けることで整合周波数帯域の拡張を行うものであるといえる。
次に、第1の実施形態および第2の実施形態による電波吸収部材10を、実際に円形導波管20に固定する場合の構造を図6に示す。整合部14の外径DC2は導波管の導波部46の内径DCよりも大きく加工する。はめ込み導波管44の端面には導波管内径を整合部14の外径DC2と等しくしたはめ込み円筒部52が設けられている。はめ込み円筒部52の導波管伝搬方向への長さは、整合部14の長さLCに等しい。はめ込み導波管44のはめ込み円筒部52と導波部46の境界には、環状棚54が形成され、整合部14ははめ込み円筒部52と環状棚54から形成されるはめ込み部50に勘合してはめ込まれる。一方、固定導波管42にははめ込み円筒部52は設けられておらず、端面の内径はそのまま導波部46の内径DCと等しくなっている。そのため、はめ込み部50に電波吸収部材10をはめ込み、固定導波管42とはめ込み導波管44を導波管フランジ40においてネジ48によって固定すれば、電波吸収部材10は固定導波管42とはめ込み導波管44との間に固定されることとなる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7(a)は本発明に係る導波管減衰器を正方形導波管70によって構成したものを示す。正方形導波管70の内部には図7(b)に示すような電波吸収部材30が設けられている。正方形導波管70では、図7(a)のy方向に電界成分を有するTE10モードと、図7(a)のx方向に電界成分を有するTE01モードのいずれのモードをも同一の特性で伝送可能であるため、偏波共用伝送が可能である。電波吸収部材30は、一辺の長さが導波管内壁の一辺の長さaと同一である正方形断面を有する減衰部32と、一辺の長さが導波管内壁の一辺の長さaよりも短い、一辺の長さがbである正方形断面を有する整合部34とから構成され、減衰部32および整合部34の断面形状の点対称軸と軸を同じくする直径D1の貫通孔36を有する。減衰部32の導波管伝搬方向への長さLC、整合部34の導波管伝搬方向への長さLtは、図1(a)の円筒導波管で構成された導波管減衰器1の場合と同様、それぞれ、減衰部導波管72の管内波長λgC、整合部導波管74の管内波長λgtの4分の1の長さに基づいて決定される。
導波管減衰器3の設計は、上述の(1)から(6)の手順、あるいは(1’)から(7’)の手順と同様にして行うことができる。ここで貫通孔36の直径D1は、上述の(1)から(6)の手順、あるいは(1’)から(7’)の手順における内径D0に相当する。
このように、正方形導波管70に本発明を適用することで、TE10モードとTE01モードのいずれに対しても同一の減衰量を与えることが可能となる。また、電波吸収部材30に貫通孔36を設けるのみで最終形状が得られるため加工が容易となる。
なお、整合部34の断面は必ずしも正方形である必要はなく、長方形や円形などであってもよい。また、正方形導波管のみならず、より一般的な矩形導波管にも適用可能であることはいうまでもない。
第2の実施形態における導波管減衰器1を実際に電磁界シミュレーションによって設計した。ここでは、設計周波数を11.1GHz、減衰量を0.6dB、所要反射損失を−40dBとし、電波吸収部材10としては誘電正接0.06、比誘電率3.7のフェノール樹脂を用いた。これらの設計条件の下、LC=5.0[mm]、Lt=10.1[mm]、D0=14.0[mm]、Dt=16.6[mm]、DC=19.2[mm]、DC2=20.2[mm]と各値が決定され、使用周波数帯域10.7GHzから11.5GHzにおいて0.6dB〜0.7dBの減衰量を−40dB以下の反射損失で実現することができた。図8には減衰量特性および反射損失特性の測定結果を示す。
以上、本発明の実施形態および実施例について説明した。本発明はこれらの実施形態および実施例になんら限定されるものではない。例えば、本発明に係る導波管減衰器を円筒導波管によって構成した場合、電波吸収部材10は円筒形状で構成するものとして説明したが、筒状のものであれば構成可能である。また、本発明に係る導波管減衰器を正方形導波管によって構成した場合、電波吸収部材30に設ける孔の断面形状は円形に限られず、様々な形状が可能であることはいうまでもない。
円形導波管で構成した導波管減衰器の構造を示す図である。 導波管減衰器の等価回路を示す図である。 減衰部導波管端面および整合部導波管端面の影響を考慮した場合の導波管減衰器の等価回路を示す図である。 整合周波数が1点現れる反射損失特性を示す図である。 整合周波数が2点現れる反射損失特性を示す図である。 電波吸収部材を円形導波管に固定する場合の構造を示す図である。 正方形導波管で構成した導波管減衰器の構造を示す図である。 設計された導波管減衰器の特性測定結果を示す図である。 従来の導波管減衰器の構造を示す図である。
符号の説明
1,3,5 導波管減衰器、10,30,60 電波吸収部材、12,32,62 減衰部、14,34,64 整合部、20,90 円形導波管、22,72 減衰部導波管、24,74 整合部導波管、36 貫通孔、40 導波管フランジ、42 固定導波管、44 はめ込み導波管、46 導波部、48 ネジ、50 はめ込み部、52 はめ込み円筒部、54 環状棚、70 正方形導波管、80,81 等価回路、82 伝送線路、84 リアクタンス回路。

Claims (6)

  1. 導波管の内部に電波吸収部材を有する導波管減衰器であって、
    電波吸収部材は、導波管減衰器の減衰量を決定する減衰部と、
    導波管減衰器の入出力に接続される入出力導波管とのインピーダンス整合を行う整合部と、
    を含み、
    減衰部は、減衰部を形成する部材が存在しない中空部を含み、
    整合部は、導波管伝搬方向を法線とする平面内における断面積と、導波管伝搬方向への長さとが、導波管減衰器と入出力導波管とのインピーダンス整合がとれるよう決定されることを特徴とする導波管減衰器。
  2. 請求項1に記載の導波管減衰器であって、
    前記電波吸収部材は、減衰部と整合部とを導波管伝搬方向に貫通する貫通孔を有し、
    前記中空部は前記貫通孔によって形成されることを特徴とする導波管減衰器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の導波管減衰器であって、
    前記減衰部は、2つの整合部に挟まれて配置され、
    前記減衰部の導波管伝搬方向への長さは、前記導波管のうち減衰部を含む部分における管内波長の4分の1の長さに基づいて決定され、
    前記整合部の導波管伝搬方向への長さは、前記導波管のうち整合部を含む部分における管内波長の4分の1の長さに基づいて決定されることを特徴とする導波管減衰器。
  4. 請求項3に記載の導波管減衰器であって、
    前記導波管のうち減衰部を含む部分の特性インピーダンスと前記導波管のうち整合部を含む部分の特性インピーダンスのいずれか一方は、4分の1波長整合器を構成する場合の整合特性インピーダンスからずれた値となるよう決定され、
    当該ずれた値に基づいて整合周波数帯域幅が決定されることを特徴とする導波管減衰器。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導波管減衰器であって、
    前記減衰部は、導波管の内壁と接する外壁形状を以て形成され、
    前記電波吸収部材は、減衰部において導波管に固定されることを特徴とする導波管減衰器。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導波管減衰器であって、
    前記導波管は円形導波管であることを特徴とする導波管減衰器。
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