JP4262474B2 - 結紮装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外科手術等において、結紮糸による縫合・結紮作業を行なう結紮装置に関するものであり、特に、内視鏡の観察下において外科手術を行なう際に使用される結紮装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、手術では、数々の血管を結紮したり体組織を縫いあわせたりするという作業が頻繁に行なわれるが、その中で特に、縛るという作業に多くの時間が費やされる。
【0003】
近年、内視鏡観察下での外科手術が多く行なわれるようになり、この際にも、やはり血管を結紮したり体組織を縫いあわせるという作業がなされるが、モニターを見ながら動きの限定された体腔内で特殊な道具を用いて糸の縫合・結紮を行なうことは非常に難しい。そのため、簡単に糸縛りを行なう道具(結紮装置)や方法が多数開発されている。
【0004】
ところで、結紮の方法には、体外結紮と体内結紮とがある。体外結紮は、所望の組織下に糸を通し、その糸の両端を体外に引き出した状態で体外にて結び目をつくり、その結び目をノットブッシャー等と呼ばれる道具により体内に送るものである。また、体内結紮は、体腔内に導入された2本の鉗子にて糸を縛るものである。
【0005】
体内での結び目作りを簡略化するものとしては、縫合時の結紮を行なうものとして特開平6−54855号公報に開示されたものがある。また、体外での結び目作りを簡略化するものもいくつか知られている。さらに、血管等の管状組織等を結紮するもので、内視鏡下手術にて体腔内に1つの孔(体壁に開けた孔)でアプローチできるものとしては、米国特許第5336229号、米国特許第5336231号、米国特許第5312423号等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、体外結紮においては、組織下に糸を通す作業と、その糸の両端を体外に引き出す作業と、結び目を体外で作り体内へ送り込む作業とが必要であり、このような作業に使用される道具の持ち換えや出し入れが多く、操作が面倒である。また、糸を体外まで引き出すため、対象組織から体外までの長い距離にわたって糸を引かねばならず、組織が糸で長く擦られる虞がある。体内結紮においては、2本の鉗子にて行なう場合、特殊な環境下での作業となり、通常の開腹手術のような操作は非常に難しく、技術や熟練を必要とする。
【0007】
先に示した従来技術は全てこの糸結びを簡略化しているものであるが、体外/体内を問わず、これらは大きく2種類の方法に大別される。すなわち、1つ目の方法は、特開平6−54855号公報と米国特許第5312423号とに示されている方法である。これは、一方向に糸の一端を引き、その糸上に結び目を形成し、この結び目を糸上で滑らせて送り込み、組織を締め込むものである。通常、開腹手術などで行なわれる方法は、まず、最初の結節で組織を締め、次にその結節が緩まないように結び目を締めるという方法である。しかしながら、特開平6−54855号公報と米国特許第5312423号とに示されている方法は、こうした通常の方法とは異なり、結び目は滑らせていくものであるため、結び目自体を固く締め付けることが難しい場合がある。また、1本の糸を中心とした結び目であるため、2本の糸端の絡まりが少ない。2つ目の方法は、米国特許第5336229号と米国特許第5336231号とに示されている方法である。これは、原理的に前述したと同じような作りの結び目である略投げ縄状のループ(ループを形成する糸の一端を引くとループが締まる。)内に、組織下に回したループ形成糸の一端を通し、この糸を引いて組織を締めるとともに、糸の他端を引いてループを締めることによりループ内を通った糸を締め付けて結節を形成するものである。この方法は、開腹手術の手順に近いが、しかし、投げ縄状のループが1つ目の方法と同様の問題点を有しており、また、結節については、これも、1本の糸を中心にしてループを締めるような形となるため、2本の糸端の絡まりが少ない。
【0008】
次に、前記各従来例毎にその問題点を述べる。
【0009】
体内での糸結びを簡単にする特開平6−54855号公報のものは、サポートの鉗子も含めて2本の鉗子での操作が可能であり、結紮を体壁に開けた1つの孔を通じて行なうことができるようになっている。しかし、これもやはり前述したように結び目を固く締めることが難しい場合がある。また、結節を形成する際には鉗子操作の他に体外に出る糸を持ってプッシャーを押し込む操作をするため、操作が複雑で煩わしい。また、結紮カートリッジはプッシャーを組み込まなければならず、製造上面倒である。
【0010】
体内で管状物を結紮する米国特許第5336229号、米国特許第5336231号、米国特許第5312423号のものは、体壁に開けた1つの孔を通じて結紮が可能であるが、結紮に関しては、前述したと同様の問題がある。また、米国特許第5336231号のものは構造上操作が複雑であり、米国特許第5336229号および米国特許第5312423号のものは、操作を簡略化するため構造が複雑になっている。
【0011】
また、前記従来の結紮装置を用いて組織の複数箇所において結紮を行なう場合には、結紮作業の度毎に装置に糸を巻き付けたりしなければならないため、作業が面倒であるとともに、手術時間の長期化を招く。仮に、この面倒を回避するために、結紮装置を予め複数準備しておくことも考えられるが、手術コストの増大に繋がり、好ましくない。また、血管等の管状物の結紮においては、通常、管状物を周囲組織から剥離した後に管状物の下に糸を回して結紮を行なう。したがって、前記従来の結紮装置は、糸を管状物の下側に回すためのアーム部材を備えており、このアーム部材を管状物の下側に回すことで管状物の下側に糸を回すようにしている。しかしながら、アーム部材を管状物の下側に回すためには、管状物を周辺組織から剥離する剥離作業が必要である。また、結紮する必要のない組織と結紮すべき組織とを見分けるという意味においても、剥離操作は必要である。この剥離作業は剥離鉗子によって行なわれ、剥離鉗子による剥離後に器具の入れ換え作業が必要となる。したがって、操作が面倒である。特に、米国特許第5336231号のものは、U字状のアームを管状物の下側の癒着組織下に貫通させるが、後にこの管状物を切断する等の操作を行なう必要がある場合には、管状物の回りを比較的大きく剥離しておく必要がある。しかしながら、前記U字状のアームでは十分な剥離が望めない。
【0012】
また、前記従来の結紮装置は、管状物結紮の際に、結紮以外の他の処置(剥離処置等)ができず、処置の汎用性が低いといった問題がある。また、こうした結紮以外の処置は、体壁に開けたその他の孔を通じて体内に挿入された他の鉗子に頼らざるを得ない。
【0013】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、他の処置具を要することなくそれ自身で体内結紮を行なうことができるとともに、簡単な操作で結紮糸の結び目を強固に締め付けることができる結紮装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の結紮装置は、各々が独立して結び目を形成可能な複数の結び目形成用ループを有する一本の結紮糸と、前記結紮糸の一端側を把持解放する把持部を先端に有する把持体と、前記把持体をその先端から突没可能に挿通する貫通孔と、前記結紮糸の他端側を固定する糸固定手段と、前記結紮糸を保持可能な保持部とを有し、前記貫通孔に挿通された把持体に対して進退可能な保持体と、前記複数の結び目形成用ループを前記保持部の外周または前記把持体の外周に個別に巻装保持させる個別保持手段と、前記保持部の外周または前記把持体の外周に個別に巻装保持された前記複数の結び目形成用ループを個別に解放する個別解放手段と、を有していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【0017】
図1ないし図19は本発明の第1の実施例を示している。図1中、1は結紮用カートリッジ1であり、この結紮用カートリッジ1は、カートリッジ本体2と、カートリッジ本体2に嵌め込み固定されるループ保持部材3とから成る。図1及び図2の(b)に示すように、カートリッジ本体2は、後述する操作シース30(図6参照)の先端にねじ込み固定される筒状の取付部4と、筒状のループ押さえ部5と、ループ押さえ部5の端縁部から略水平に延びる板状の糸係止部6とから成り、内視鏡下手術に使用されるトラカール等に挿入可能な外径に形成されている。取付部4とループ押さえ部5のそれぞれの内孔は、内視鏡下手術に使用される鉗子等を挿通できる貫通孔10を形成しており、貫通孔10の内径は前記鉗子等の外径よりも僅かに大きく設定されている。
【0018】
ループ押さえ部5の下部には糸固定部13が設けられている。この糸固定部13は、図2の(d)に示すように、ループ押さえ部5の外周面下部からその端面に抜ける糸挿通孔13aと、ループ押さえ部5の外周面側に位置する糸挿通孔13aの端部開口に形成され且つ糸挿通孔13aよりも大径な座ぐり孔としての糸固定孔13bとから成る。糸挿通孔13aには外科手術用の結紮糸(縫合糸)12が挿通されており、この結紮糸12は、ループ押さえ部5の外周面から突出するその端部に結び目29が形成されて糸固定孔13bに引掛かり固定されている。このような結紮糸12は外科手術に使用されるものであればどのようなものであっても良い。
【0019】
糸係止部6は、ループ押さえ部5の端面から延びる幅の細い部材であり、その長さがこれに組み合わせて使用される鉗子の歯長(処置部の長さ)よりも長く形成されている。また、糸係止部6の長さは、ループ保持部材3よりも十分に長く、適度な弾性を有している。糸係止部6の先端には結紮糸12を挿入できる切り欠き16が設けられ、この切り欠き16内にはカッター17が埋め込まれている。糸係止部6の先端付近には、結紮糸12を係止可能な係止スリット19が糸係止部6の長手方向に沿って設けられている。この係止スリット19は、図2の(a)に示すように、中央に位置する挿通スリット19aと、この挿通スリット19aと略垂直に交差し且つ結紮糸12を挿通スリット19a内に導入可能な導入スリット19dと、挿通スリット19aの両端に位置する係止スリット19b,19cとから成る。この場合、係止スリット19b,19cは結紮糸12を挟んで保持できる幅になっており、挿通スリット19a及び導入スリット19dは結紮糸12を楽に通過できる幅になっている。
【0020】
図2の(c)に示すように、ループ保持部材3は、段付きの円柱形状に形成されており、糸巻装部20と、カートリッジ本体2の貫通孔10に嵌合可能な固定部22と、ループ隔離部21とから成る。固定部22と糸巻装部20とにはこれらにわたって連続した内孔23が形成されている。この内孔23は、ループ保持部材3と組み合わせて使用される鉗子の先端部が挿入できる大きさに形成してあり、ループ保持部材3の途中で終端している。ループ隔離部21は、その外径が糸巻装部20の外径よりも大きく、固定部22をカートリッジ本体2の貫通孔10に嵌合してループ保持部材3をカートリッジ本体2に組み合わせた際にその外周面が糸係止部6の内側面と接するようになっている。したがって、ループ保持部材3をカートリッジ本体2に組み合わせた際、糸巻装部20の側に位置するループ隔離部21の端面と、カートリッジ本体2のループ押さえ部5の端面と、糸巻装部20の外周面と、糸係止部6の内側面とによって、ループ保持空間が形成される。ループ隔離部21の外周面には、一部に、結紮糸12の外径よりも大きな幅の糸通過溝24が形成されている。この糸通過溝24は、ループ保持部材3をカートリッジ本体 2に組み合わせた際に糸係止部6の内側面の側に配置される。
【0021】
図1に示すように、一端がカートリッジ本体2の糸固定部13に固定された結紮糸12は、ループ押さえ部5の端面から延びる部分が糸巻装部20に巻き付けられる。これによって、糸巻装部 20上に結紮糸12のループ部Lが形成される。ループ保持部材3をカートリッジ本体2に組み合わせた状態において、結紮糸12のループ部Lは、そのループ状態を保ったまま、前記ループ保持空間内に保持される。ループ部Lを形成する結紮糸12の端部は、ループ隔離部21の糸通過溝24を介してループ保持空間の外部に延出され、カートリッジ本体2の先端付近に設けられた係止スリット19の挿通スリット19aに下側から通された後、一旦、後側の係止スリット19cに固定され、そこから延びる部分が今度は上から挿通スリット19aに通されて前側の係止スリット19bに固定される。したがって、結紮糸12の先端部12aは、糸係止部6に対して下向きに保持され、カートリッジ本体2の内側に向いている。なお、この場合、糸係止部6の内側に向かって延びる結紮糸12の長さは、カートリッジ本体2の貫通孔10に挿通される鉗子(後述する)の先端と糸係止部6との間の距離よりも長くなっている。
結紮糸12のループ部Lの形成の仕方は基本的に結び目になるようなものであれば構わないが、本実施例では、図3のようにループ部Lが形成されている。図3のループ部Lの形成の仕方について図4を参照しながら説明すると、まず、図4の(a)に示すように、糸巻装部20に結紮糸12を1回巻き付け、第1のループL1 を形成する。続いて、図4の(b)に示すように、点線で示した対称軸Aに関して第1のループL1 と対称になるように糸巻装部20に結紮糸12を巻き付け、第2のループL2 を形成する。さらに、図4の(c)に示すように、点線で示した対称軸Bに関して第2のループL2 と対称になるように糸巻装部20に結紮糸12を巻き付け、第3のループL3 を形成する。したがって、第1のループL1 と第3のループL3 は互いにその巻き方向が同一となり、第2のループL2 はループL1 ,L3 と巻き方向が逆になる。これにより、図3に示す3重結紮の結び目形成用ループ部Lが形成される。このようなループ部Lでは、図5の(a)に矢印で示すように、結紮糸12の一端部12aをこの3つのループL1〜L3 内に通して締めると、一端部12aとループ部Lの各ループL1 〜L3 との絡まり方の関係は、図5の(b)に示す男結びの3重結紮と同様になる。つまり、第1のループL1 、第2のループL2 、第3のループL3 のそれぞれが、図5の(b)に示す3重結紮の1重結紮部o、2重結紮部p、3重結紮部qのそれぞれに対応する。この3重結紮は、1重目、2重目、3重目の結びの向きがそれぞれ互い違いになる強固な絡みを形成する。
【0022】
図6は操作シース30を示している。この操作シース30は、略筒状に形成されており、その外径がトラカール等に挿通可能な寸法に設定されている。操作シース30の内孔には図7に示す内視鏡下手術用鉗子35等を進退自在に挿通することができるようになっている。操作シース30の先端部の内孔面には、カートリッジ本体2の取付部4の雄ネジがねじ込まれる雌ネジ31が切ってある。操作シース30の基端部には操作シース30を操作する際に把持する把持部32が設けられている。操作シース30の基端には、操作シース30の内孔に挿通された鉗子35と操作シース30との間の気密を保つゴム栓33が設けられている。操作シース30内に鉗子35を挿通した状態が図8に示されている。図示のように、操作シース30は、その先端開口から鉗子35の先端部を突出させることができるような長さに形成されている。また、本実施例では、カートリッジ1をシース30の先端に装着し、これに鉗子35を挿通した場合、鉗子35のループ押さえ部5からの最大突出長は、結紮糸12の長さより大きくなるようにシース長が形成されている。
【0023】
次に、上記構成の結紮用カートリッジ1を用いて生体組織を結紮する場合について説明する。
【0024】
結紮用カートリッジ1は、前述した操作シース30及び鉗子とともに使用されて結紮装置を構成する。鉗子は状況によって様々なものが使用されるが、本実施例では、図7に示すようなケリー鉗子35を用いた場合について説明する。このケリー鉗子35は、図10に拡大して示すように、湾曲して形成され且つ内面に歯42が形成された開閉自在な一対の鉗子部41,41を先端部に配置して成るものであり、通常、血管等の管状物を剥離する際に使用されることが多い。このようなケリー鉗子35を用いて生体組織を結紮する場合には、まず、ケリー鉗子35を操作シース30内に基端側から挿入して図8の状態にする。次に、図9の(a)に示すように、カートリッジ本体2とループ保持部材3とが組み合わされた結紮用カートリッジ1の内孔にケリー鉗子35の先端部を挿入する。すなわち、ケリー鉗子35の先端部を、カートリッジ本体2の貫通孔10を通じて、貫通孔10内に嵌め込まれたループ保持部材3の内孔23に挿入していく。さらに、ケリー鉗子35の先端部をループ保持部材3の内孔23に挿入していくと、ケリー鉗子35の先端がループ保持部材3の糸巻装部20に位置する内孔23の終端に到達する。この状態から更にケリー鉗子35を押し進めると、図9の(b)に示すように、ループ保持部材3がカートリッジ本体2から外れ、ループ保持部材3に巻き付けられていた結紮糸12のループ部Lが、そのループ状態を崩さずにループ保持部材3から外れ、代わって挿入されてきたケリー鉗子35に巻き付くように配置される。その後、ループ保持部材3をケリー鉗子35から取り外し、カートリッジ本体2をケリー鉗子35の外周上で回転させて、取付部4を操作シース30の先端の雌ネジ31にねじ込み固定する。この状態で、カートリッジ本体2が取り付けられた操作シース30とケリー鉗子35とをトラカール等を介して体腔内に挿入する。
【0025】
血管などの管状組織を結紮する場合には、まず、図10に示すように、ケリー鉗子35によって目標の管状物37を周囲組織から剥離する。この操作は、管状物37の下にケリー鉗子35の先端を押し当てた状態で鉗子部41,41を開き、これによって、管状物37を周囲組織から鈍的に引き離すもので、外科手術では普通に行なわれる操作である。管状物37下で剥離を進め、剥離が終了したら、図11に示すように、鉗子部41,41を開いたままの状態で、操作シース30を押し出し、カートリッジ本体2の糸係止部6の先端を管状物37の前方に位置させる。この時、図12に示すように、係止スリット19により下向きに保持された結紮糸12の端部12aは、管状物37の上を折れ曲がって通過し(図12の(b)参照)、管状物37を越えた時点でケリー鉗子35の鉗子部41,41間でそれ自身の弾性により下向きに直る(図12の(c)参照)。この時、結紮糸12の端部12aは、これをケリー鉗子35の鉗子部41,41で把持できるに十分な長さを有している。
【0026】
ケリー鉗子35の鉗子部41,41によって結紮糸12の端部12aを把持した図13の(a)に示す状態から、図13の(b)に示すように、操作シース30をケリー鉗子35に対して後方へ引くように動かすと、結紮糸12の端部12aが係止スリット19から外れる。次に、結紮糸12の端部12aを鉗子部41,41で把持したまま、鉗子部41,41を管状物35の下側に通し、結紮糸12の端部12aを管状物37の下側に回す(図14参照)。この時、管状物37が太かったり或いは結紮糸12が短かすぎるなどして結紮糸12の長さに余裕がない場合には、結紮糸12の長さに余裕ができるまで操作シース30を前方に送って結紮糸12を管状物37の下側に回す。この場合、糸係止部6が前に出過ぎて管状物37がケリー鉗子35の鉗子部41,41と糸係止部6との間に入った状態になっても、糸係止部6には適度な弾性があるため、図19の(a)に示すように、管状物37に押し当たった糸係止部6が変形し、結紮糸12を管状物37の下側に回すことができる。図19の(b)は、太い管状物37の下側に結紮糸12を回す際に糸係止部6が弾性変形する状態を示している。
【0027】
こうして結紮糸12を管状物37の下側に回したら、今度は、図15に示すように、結紮糸12の端部12aを把持した鉗子部41,41を操作シース30内に引き込む。この時、ケリー鉗子35の鉗子部41,41に把持された結紮糸12の端部12aがループ部Lの中を通過するとともに、ケリー鉗子35上に巻装されていたループ部Lがカートリッジ本体2のループ押さえ部5の端面に突き当たってケリー鉗子35から外れる。この状態から更に鉗子部41,41を操作シース30内に引き込むと、図16の(a)に示すように、ループ部Lの結び目が締まり始める。鉗子部41,41を操作シース30内に引き込むこの段階では、まず、ループ部Lを構成する3つの結び目のうち最も前方に位置するループL1が締まる。これにより、管状物37が適度な締め付け量で結紮される。この時、管状物37にテンションがかかり過ぎるような場合には、図16の(b)及び(c)に示すように、ループ押さえ部5の端面を管状物37に押し当てて管状物37を固定した状態で、鉗子部41,41を操作シース30内に引き込む。
【0028】
以上のようにして適度に管状物37を締め付けたら、今度は、図17に示すように、ケリー鉗子35を操作シース30に対して前方に押し出しながら操作シース30(カートリッジ本体2)を後退させる。これにより、鉗子部41,41によって把持された結紮糸12の自由端12aとカートリッジ本体2の糸固定部13に固定された固定端とが互いに反対方向に移動し、締まりきっていなかったループ部Lの残りの結び目が締めつけられる。
【0029】
なお、本実施例では、このような結紮工程において図18に示すような結紮を行なうことも可能である。図18の(a)は図16の(a)の結紮状態に対応している。この状態では、結紮糸12の自由端12aを引張ることによって結び目を締めているため、第1のループL1 が結紮糸12の自由端12aを中心に強く締まり、その作用によって第2のループL2 もある程度締まっている。図18の(b)は図17の結紮状態に対応している。このように、結紮糸12のケリー鉗子35を前方へ押し出して結紮糸12の自由端12aを手前側に引張ると、第3のループL3 が回転して糸が絡まり合う(図18の(c)参照)。この状態から更に締め込むと、第2のループL2 と第3のループL3 の結び目が縛られる(図18の(d)参照)。この結び目は、結節中の糸の絡まりが1本の糸を中心としたものではなく、糸が互いに絡まり合った状態になっており、1本の糸を中心としたものよりも結節強度が強い。
【0030】
以上の結紮作業が終了したら、糸係止部6の先端に設けられたカッター17によって結び目の両側の糸を切り、その後、操作シース30及びケリー鉗子35をトラカールを通じて体内から抜き出す。なお、切り取られた糸屑の一方は鉗子部41,41に保持されており、糸屑の他方は糸固定部に固定されているため、操作シース30及びケリー鉗子35を体内から抜き出すことにより、糸屑を回収することができる。また、再度、結紮作業を行なう場合は、使用済みのカートリッジ本体2を操作シース30から取り除き、新しいカートリッジ1を鉗子35及び操作シース30に取り付ければ良い。
【0031】
以上説明したように、本実施例の結紮装置は、鉗子35を備えているため、他の処置具を要することなくそれ自身で体内結紮を行なうことができるとともに、簡単な操作で結紮糸の結び目を強固に締め付けることができる。本実施例のこのような効果をさらに具体的に説明すると、まず、本実施例の結紮装置は、その結紮用カートリッジ1のカートリッジ本体2に結紮糸12の両端を保持させることができるため、装置をトラカール等に挿入する際に結紮糸12が所定位置からずれたり、ループ部Lが鉗子35から外れたり、結紮糸12が他の部材に引掛かったりすることがない。また、本実施例の結紮用カートリッジ1は、ループ保持部材3によってループ部Lを崩すことなく鉗子35の外周に配置させることができる。
【0032】
また、本実施例の結紮用カートリッジ1を用いれば、血管等の管状物37の剥離作業、管状物37の下側に結紮糸12を回す作業、結紮作業、糸切り作業、糸の切り屑回収作業といったこれら全ての作業を1本の鉗子35によって行なうことができる。したがって、体壁に鉗子35を挿通するため穴以外に余計な穴を開ける必要がないため低侵襲である。また、結紮作業及び結紮糸12の受け渡し作業を、鉗子35に対して操作シース30を進退させるだけで行なうことができるため、作業性が格段に良好である。また、カートリッジ式で結紮糸12を鉗子35に装着できるため、次の結紮作業に素早く移行できる。
【0033】
また、本実施例の結紮用カートリッジ1を用いた結紮方法では、結び目から延びる結紮糸12の各端部を互いに逆方向に引いて結び目を締め込めるため、結び目をきつく締めることが可能である。また、結び目を2段階に分け、まず結び目を滑らせることによって組織を結紮し、その後、その結び目を結紮することができるため、十分な締付力が得られる。
【0034】
なお、本実施例において、カートリッジ本体2を透明な材料によって形成すれば、図13の(a),(b)に示すようにケリー鉗子35で結紮糸12をつかむ際にも、見易くつかみ易いとともに、図16の(c)に示すように結紮糸12を締め込む際に結紮装置とその結紮作業を観察する内視鏡との位置関係が悪く結紮作業を観察しにくい状況であっても、管状物37の締め込み具合が透けて見えるため、管状物37を締め込む様子を容易に確認できる。
【0035】
以上説明した本実施例の特徴は、従来例として既に説明した米国特許第5312423号と対比することによりさらに明確になる。まず、米国特許第5312423号と本実施例との差異を明確にするために、米国特許第5312423号の結紮装置の構成および作用について簡単に説明する。
【0036】
米国特許第5312423号の結紮装置は、長い管状の本体と、この本体内に配され本体結紮糸の結び目形成用ループを保持する管状のループ保持部と、ループ保持部の内部に進退自在に設けられ結紮糸を引掛けてこれをループ保持部内に引き込む糸引き込み部材とからなる。本体の先端には弾性を有するアームが設けられている。このアームは、血管などの組織をそこに捕獲するための捕獲空間を形成しており、糸引き込み部材の軸方向延長線上まで延びる糸係止部を有している。結紮糸は、その中央部がループ保持部材に巻かれ、一端が本体の一部に係止されるとともに体組織下に回される他端がアームに巻かれてアーム先端の糸係止部に係止されている。糸係止部に係止される結紮糸の他端にはタグが設けられており、このタグは、糸引き込み部材をループ保持部内に引き込む時に糸引き込み部材に引掛かるようになっている。糸引き込み部材は、ループ保持部内に所定量引き込まれた段階でループ保持部と係合してループ保持部とともに本体内に引き込まれる。この時、ループ保持部と本体とを部分的に接続する接続部が破壊される。
【0037】
米国特許第5312423号の結紮装置を用いて剥離された例えば血管を結紮するためには、まず、血管下にアームを配し、アームによって形成される捕獲空間内に血管を捕獲する。次いで、糸引き込み部材を血管上で本体の前方に押し出してアームの係止部まで進め、再度糸引き込み部材を引き戻すと、係止部に係止された結紮糸のタグが引き込み部材の先端に引掛って糸係止部から結紮糸が外れる。この状態で糸引き込み部材を本体内に引き込んでループ保持部と係合させると、ループ保持部と本体との接続が破壊されるとともに、ループ保持部が糸引き込み部材とともに本体内に引き込まれる。この動作によって、ループ保持部に保持された結紮糸のループは、本体の先端面に突き当たってループ保持部から脱落するとともに、既に糸引き込み部材によってループ保持部内に引き込まれた結紮糸上に解放される。つまり、ループはその内側に結紮糸の他端が通った状態で本体の前方に解放される。この状態からさらに引き込み部材とループ保持部とを本体内に引き込むと、結紮糸は、アームに巻かれた状態で、そのループが閉じて結び目が締まる。この状態でさらに引き込み部材を本体内に引き込むと、アームがその弾性によって湾曲してアームに巻かれていた結紮糸がアームから外れる。さらにこの状態から引き込み部材を本体内に引き込むと、先に形成された結び目が本体の先端面の溝に引掛かって結紮糸上を滑り、これによって体組織が締め付けられる。
【0038】
以上説明した米国特許第5312423号の欠点を以下に列挙する。
【0039】
(1)米国特許第5312423号の結紮装置は一方向だけに結紮糸を引いて結紮を行なうため、組織に対して一方向にテンションがかかる虞がある。
【0040】
(2)通常の外科手術における結紮手順は、まず適当な締め具合に組織を締め、次に、結び目を強くする結紮を重ねる。これに対し、米国特許第5312423号の結紮手順は、まず結び目を締め、次にその結び目を滑らせて体組織を結紮するものであり、通常の外科手術における操作と逆である。したがって、結び目を十分に締められない場合があり、結び目を最後に硬く締め付けることができない。
【0041】
(3)米国特許第5312423号の結紮装置によって複数箇所の結紮を行なう場合には、事前に装置を複数用意する必要があり不便である。
【0042】
(4)組織を結紮する場合、その組織を周辺組織から剥離しなければならない場合があるが、米国特許第5312423号の結紮装置ではそれを行なうことができない。したがって、別の鉗子で剥離操作を行なう必要があり、この鉗子と結紮装置との入れ換えを行わなければならないため、非常に面倒である。
【0043】
(5)糸引き込み部材に結紮糸を受け渡すアームが、糸引き込み部材の長手軸方向に位置するため、糸引き込み部材の前進動作を妨げる虞がある。
【0044】
これに対し、本実施例の結紮装置は、以下の特徴を有していることから上記に列挙した欠点を有さない。以下、本実施例の結紮装置の特徴を米国特許第5312423号と対比しながら列挙する。
【0045】
(1)本実施例の結紮装置は、鉗子35をカートリッジ1に対して突出させることにより結び目を中心としてその両側に反対方向の力を作用させて結び目をきつく締め付けるようにしているため、結紮対象組織に対して一方向のみにテンションがかからない。したがって、組織に無理な力をかける虞がない。これに対し、米国特許第5312423号の結紮装置は、結紮糸を一方向に引いて組織を結紮する手法を採用するため、組織に対して一方向のみにテンションがかかり、また、特定の形状を有する糸引き込み部材と、結紮糸の端部に設けられたタグと、弾性を有するアームとを必須の構成要件としなければならなくなる。
【0046】
(2)本実施例の結紮装置は、通常の外科手術における結紮手順とほぼ同じであり、結び目を最後に硬く締め付けることができる。
【0047】
(3)本実施例の結紮装置は、カートリッジ式であり、カートリッジ1さえ取り代えれば容易に次の結紮作業にとりかかることができ、装置それ1つで複数箇所の結紮を行なうことができる。
【0048】
(4)本実施例の結紮装置は、組織を剥離することができ且つ結紮糸を把持することができる鉗子35を備えているため、装置それ1つで結紮に必要な全ての作業を行なうことができる。したがって、手術中に鉗子の入れ換えを行なわないで済む。
【0049】
(5)本実施例の結紮装置は、鉗子35に結紮糸を受け渡す糸係止部6が鉗子35と平行に延びているため、鉗子35をカートリッジ1に対して突出させる際に糸係止部6がその突出動作を妨げることはない。
【0050】
(6)本実施例の結紮装置は、鉗子35上に結紮糸のループ部Lを配置し、このループ部Lを鉗子35の後退動作によってカートリッジ1の端面に突き当てて解放するため、結紮作業を行なうための要素が鉗子35とカートリッジ1の2つのみで済み、構造が非常に簡単となる。また、米国特許第5312423号のように、鉗子35とカートリッジとの機械的な接続による連動を必要としないため、一般的な鉗子類の使用が可能になり、処置の汎用性が高くなる。また、鉗子35によって結紮糸を把持するため、米国特許第5312423号のように結紮糸の自由端にタグを設けないで済む。
【0051】
図20ないし図22は本発明の第2の実施例を示すものである。図20及び図21に示すように、本実施例のカートリッジ本体2aは、そのループ押さえ部5の端面の下部に溝45が設けられ、また、ループ押さえ部5の側方外周面の角が斜めに切り落とされて形成された切り欠き部46を有しているものであり、その他の構成は第1の実施例と同一である。
【0052】
このような構成のカートリッジ本体2aを操作シース30に取り付けて、結紮糸12の端部12aをケリー鉗子35によって操作シース30内に引き込んで管状物37を締める際には、結紮糸12を溝45に引掛けて操作シース30内に引き込むようにする(図22参照)。これにより、結紮糸12のループ部Lが溝45の縁部に引掛かって締め込まれる。したがって、細い血管などを結紮する際にも、血管を操作シース30内に引き込んだり、組織にテンションをかけたりしないため、組織を引きちぎったりすることがない。
【0053】
また、本実施例のカートリッジ本体2aは、ループ押さえ部5の側面の角が切り落とされた切り欠き部46を有しているため、結紮糸12の端部12aを操作シース30内に引き込んで管状物37を結紮する際、その様子が見易い。
【0054】
図23ないし図29は本発明の第3の実施例を示すものである。図23に示すように、結紮用カートリッジの一方を構成するカートリッジ本体2bは、糸係止部56と、糸固定部57と、カートリッジ固定部50とから成る。糸固定部57とカートリッジ固定部50は、略筒状に形成されており、その内孔60に鉗子を挿入することができるようになっている。特に、糸固定部57の先端側の内孔部位60bは、ここに挿入される鉗子の外径よりも大きな径に形成されており、糸固定部57の内壁と鉗子との間に結紮糸12が入っても鉗子を問題なく出し入れすることができる大きさに形成されている。なお、内孔60の基端側部位を図中60aで示してある。
【0055】
糸固定部57の側面には、糸固定部57の前端面から長手方向に大きく切り欠いて形成された開口部53が設けられている。この開口部53は、図23に示すように、糸固定部57の内孔を側方から外部に露出させている。また、開口部53の終端部に位置する糸固定部 57の壁内にはカッター54が組み込まれている。
【0056】
糸固定部57の端面の下部には締め込み用溝55が設けられている。また、締め込み用溝55のすぐ後方には糸固定孔59が設けられている。この糸固定孔59には、後端に結び目29が形成された結紮糸12が外側から内孔60(先端側の内孔部位60b)に向けて通されてあり、結紮糸12は結び目29によりこの糸固定孔59に固定される。
【0057】
カートリッジ固定部50の外周面には2つのピン51,51が突設されており、これらのピン51,51は操作シース30の先端部外周面に設けられた2つのカム溝52,52にそれぞれ対応して係合できるようになっている。ピン51が係合するカム溝52は、操作シース30の先端面で開口し且つ操作シース30の長手方向に延びるピン導入溝52aと、このピン導入溝52aの終端部に通じ且つ操作シース30の周方向に沿って延びる係止溝52bとから成る。したがって、ピン51,51をピン導入溝52a,52aを通じてカム溝52内に導入し、ピン導入溝52a,52aの終端部でカートリッジ本体2bを回転させることによってピン51,51を係止溝52b,52bに嵌め入れて係止させれば、カートリッジ本体2bを操作シース30の先端部に取り付けることができる。なお、ピン51,51を係止溝52bに嵌め入れてカートリッジ本体2bを操作シース30の先端部に取り付けた状態では、図24に示すように、カートリッジ固定部50の基端面が操作シース30の内孔に嵌着されたゴムパッキン56に当接されてこのゴムパッキン56により前方に向けて付勢される。したがって、ピン51が係止溝52bの溝壁に押し付けられるため、操作シース30に対してカートリッジ本体2bを回転させない限り、ピン51が係止溝52bから簡単に外れてしまうことがない。
【0058】
また、糸係止部56は、糸固定部57の先端面の上部から前方に突き出して延びる非常に細い棒状体であり、その先端には、結紮糸12を係止し得る糸係止溝61が設けられている。
【0059】
一方、結紮用カートリッジの他方を構成するループ保持部材3aは、第1の実施例のものとその構成が略同一であり、糸巻装部20と、カートリッジ本体2bの内孔60(基端側の内孔部位60a)に嵌合可能な固定部22と、ループ隔離部21とから成る。ただ、第1の実施例と異なる点は、糸巻装部20の長さが第1の実施例のものよりも長い点である。すなわち、糸巻装部20は、ループ保持部材3aをカートリッジ本体2bに取り付けた状態で、カートリッジ本体2bの糸係止部56の先端付近まで延びている。
【0060】
なお、図23ないし図25に示すように、糸固定孔59からカートリッジ本体2bの外部に延び出た結紮糸12は、ループ保持部材3a上で巻かれてループ部Lを形成し、その後、糸係止部56の外周に螺旋状に巻かれ、糸係止部56の先端部の糸係止溝61に上側から通されて、その端部が下向きに保持されている。以上説明した本実施例の結紮用カートリッジを操作シース30に取り付けて行なう縫合作業の手順は、基本的には、第1の実施例と同様である。すなわち、第1の実施例と同様の手順により結紮糸12をケリー鉗子35の鉗子部41,41によって把持する(図25参照)。次に、この状態からケリー鉗子35に対して操作シース30を後方に引いて、結紮糸12の端部12aを糸係止溝61から外す。この状態から更に操作シース30をケリー鉗子35に対して後方に引くと、糸係止部56に巻き付けられていた結紮糸12が全て前方に引き出される(図26参照)。
【0061】
次に、ループ部L内に結紮糸12の端部12aを通過させるために,ケリー鉗子35を図27に示すように操作シース30内に引き込むが、この時、結紮糸12のもう一方の端部は糸固定孔59に固定されているため、ループ部Lが鉗子35の外周から外れる。また、この際、糸固定部57の内壁とケリー鉗子35との間には一定の空間が形成されている(これは、内孔60の大径な先端側部位60bによって実現される。)ため、ループ部Lがケリー鉗子35に引きずられる際に結紮糸12が鉗子35と糸固定部57の内壁との間に挟まれて引きちぎられたり、挟まれた結紮糸12によってケリー鉗子35の進退動作が妨げられたりするといった事態を防止することができる。
【0062】
結紮糸12の端部12aをケリー鉗子35によって操作シース30内に更に引き込んで管状物37を締める際には、結紮糸12を糸固定部57の下面に設けられた糸締め込み用溝55に引掛けて操作シース30内に引き込むようにする(図28参照)。これにより、結紮糸12のループ部Lが糸締め込み用溝55の外縁部に引掛かって締め込まれる。したがって、細い血管などを結紮する際にも、血管を操作シース30内に引き込んだり、組織にテンションをかけたりしないため、組織を引きちぎったりすることがない。そして、結紮作業が終了したら、カッター54によって余分な結紮糸12を切除する。なお、カッター54は糸固定部57の側面に埋め込まれているため、普段は組織を傷つけることがない。
【0063】
本実施例の結紮用カートリッジは以上のようにして使用され前述したような作用効果を奏するが、以下、本実施例によって得られるその他の作用効果を列挙する。
【0064】
(1)糸係止部56が非常に細い棒状体であるため、図29に示すように、管状物37を周辺組織から剥離する状況や、結紮糸12の端部をケリー鉗子35によって把持する状況等を内視鏡等により上方から確実に観察することができる。
【0065】
(2)糸係止溝61が糸係止部56の先端に設けられているため、結紮糸12の端部12aは糸係止部56の最先端に保持される。したがって、鉗子部41,41によって把持すべき結紮糸12の端部12aが見易くなる。
【0066】
(3)結紮糸12を糸係止部56に巻き付けることによって余分な長さの結紮糸12を予め確保しておくことができる。したがって、比較的太い管状物を結紮する場合であっても、組織にテンションをかけることなく管状物37の下側に結紮糸12を回すことができる(図25及び26参照)。また、余分な結紮糸12を糸係止部56に巻き付けておくことができるため、結紮糸12を弛ませることなく体腔内に導入することができる。したがって、体腔内操作中に結紮糸12が他の部位に引掛かって操作が邪魔されるといったことがない。
【0067】
(4)糸固定部57の側面に開口部53が形成されているため、結紮糸12による組織の結紮状態を容易に観察することができる。
【0068】
図30ないし図32は本発明の第4の実施例を示すものである。図30に示すように、本実施例の結紮用カートリッジ70は、糸係止部材71とループ保持部材72とから成る。ループ保持部材72は、糸巻装部76とループ隔離部75とから成る。
【0069】
糸巻装部76には内孔77が形成されている。この内孔77は、ループ保持部材72と組み合わせて使用される鉗子の先端部が挿入できる程度の大きさに形成してある。
【0070】
また、ループ隔離部75は、糸巻装部76の外径よりも大きな外径に形成されている。したがって、後述するように糸係止部材71をループ隔離部75に取り付けると、ループ隔離部75の端面と、糸係止部材71の表面と、糸巻装部76の外周面とによって、ループ保持空間が形成される。
【0071】
ループ隔離部75の外周部には糸係止部材71を挿通して嵌合できる嵌合孔74が設けられている。この嵌合孔74は、糸係止部材71の断面形状と略同一の形状を有し、ループ隔離部 75の両端面で開口する貫通孔として形成されている。また、図32にも示すように、嵌合孔74の上側には、糸係止部材71の上方向への抜けを防止する一対の係止部89,89が形成されている。これらの係止部89,89は、例えば、嵌合孔74に通じる幅狭なスリットSをループ隔離部75の外周面に設けることによって形成される。
【0072】
図31に示すように、糸係止部材71は、非常に細い棒状部材として形成されている。糸係止部材71の先端には結紮糸12を係止させる糸係止溝73が設けられている。この糸係止溝73は、糸係止部材71の先端から糸係止部材71の長手方向に沿って延びるスリットとして形成されている。糸係止部材71の基端側の側面には刃78が形成されている。刃78の先端側には結紮糸12の端部を固定するための糸固定孔80が設けられている。
【0073】
また、糸係止部材71の基端部は二股状に延びる一対の脚部79a,79bから成る取り付け部79として形成されている。すなわち、脚部79a,79bの端部には脚部79a,79bの側方に突出するラッチ固定部82,82が形成されており、このラッチ固定部82,82を操作シース30の固定孔85の奥端部に形成された大径な係合孔部92に係合させることによって糸係止部材71を操作シース30に取り付けることができるものである。
【0074】
上記構成の結紮用カートリッジ70は、図30に示すように、糸係止部材71をループ保持部材72の嵌合孔74に挿通した状態で使用される。結紮糸12は、その一端部が糸係止部材71の糸固定孔80に通されて縛り固定された後、ループ保持部材72の糸巻装部76に巻き付けられる。これによってルーブ部Lが形成される。その後、残りの結紮糸12は、糸係止部材71の先端の糸係止溝73に上側から通されて、その端部12aが下向きに保持される。
【0075】
また、これとは別に、予めケリー鉗子35を操作シース30内に基端側から挿通しておき、この鉗子35の先端を図30の状態を成す結紮用カートリッジ70のループ保持部材72の内孔77へと挿入する。さらに、鉗子35を内孔77に押し込んでいき、糸係止部材71を手で押えた状態で、ループ保持部材72を糸係止部材71に対して押し出してループ保持部材72を糸係止部材71から外すと、結紮糸12の両端は糸係止部材71に固定されているため、結紮糸12のループ部Lがループ保持部材72から外れて、鉗子35の外周に配置される(図32参照)。
【0076】
この状態で、今度は、係止部材71の脚部79a,79bを互いに接近するように弾性変形させた状態で操作シース30の糸固定孔80に押し込み、脚部79a,79bのラッチ固定部82,82を固定孔85の奥端部に形成された大径な係合孔部92に係合させて、係止部材71を操作シース30に取り付ける。なお、それ以降は、第1の実施例と同様な手順によって対象部位を結紮する。
【0077】
以上説明したように、本実施例の結紮用カートリッジ70は、第1の実施例と同様の作用効果を奏するとともに、糸係止部材71の側面に刃78が設けられているため、操作シース30を回転操作させれば、刃78によって結紮糸12を簡単に切断することができる。
【0078】
また、操作シース30に対する結紮用カートリッジ70の固定は、糸係止部材71のラッチ固定部82,82と操作シース30の係合孔部92との係合によって成されるため、操作シース30に対するカートリッジ70の装着が簡単に行なえる。
【0079】
また、糸係止部材71が非常に細く形成されているため、結紮糸12の端部12aを鉗子35で把持する際の視認性が良好となる。
【0080】
また、本実施例においては、操作シース30は、断面がU字状で、側面において外側に開放するようなものであっても良い(図示せず)。
【0081】
図33ないし図39は本発明の第5の実施例を示すものである。本実施例の結紮用カートリッジ100は、カートリッジ本体2cとループ保持部材3とから成る。なお、ループ保持部材3は第1の実施例と同一のものであるため、その説明を省略する。
【0082】
図33の(a)に示すように、カートリッジ本体2cは、糸固定部110と取付け部112とから成る。図33の(a)及び(b)に示すように、糸固定部110の一端側の外周縁部には結紮糸12を係止するための糸係止溝104が設けられている。また、糸固定部110の他端側の外周面部位には糸掛け溝106が設けられており、糸係止溝104と対向する糸掛け溝106の部位にはカッター105が設けられている。
【0083】
なお、取付け部112の外周面には、後述する操作シース140の端部内周面に形成された雌ネジと螺合し得る雄ネジ112aが形成されている。また、カートリッジ本体2cは、ループ保持部材3の固定部22が嵌合可能(図33の(b)参照)で且つ鉗子等を挿通可能な貫通孔118と、第1の実施例と同様にして形成された糸固定部13とを有している。
【0084】
本実施例の結紮用カートリッジ100は、ループ保持部材3の固定部22をカートリッジ本体2cの貫通孔118に嵌合させることによってカートリッジ本体2cとループ保持部材3とを組み合わせた図33の(a)の状態で使用される。結紮糸12は、その一端部がカートリッジ本体2cの糸固定部13に固定されている。また、結紮糸12の他端部側は、ループ保持部材3の糸巻装部20に巻き付けられてループ部Lを形成した後、カートリッジ本体2cの糸係止溝104に固定されている。なお、糸係止溝104から延びる結紮糸12の自由端には縫合針103が設けられている。この縫合針103は、後述する操作シース140内を通過できる形状及び寸法に形成されている。
【0085】
図34には、前述した操作シース140と、この操作シース140内に挿通された鉗子142とが示されている。操作シース140の基端部には操作ハンドル130が延設されている。操作ハンドル130は、操作シース140と組み合わせて使用される鉗子142のハンドル131を握る指を外して操作できる範囲に配置されている。すなわち、操作ハンドル130は、図36に示すようにして鉗子142を手で握った状態で鉗子142のハンドル131から親指160を外した際に、その親指160を操作シース140のハンドル130に掛け渡すことができるような位置に配置されているものである。
【0086】
なお、操作シース140と組み合わせて使用される鉗子142は、持針器であり、ハンドル131にラチェット132を有する構造のものが望ましい。
【0087】
結紮用カートリッジ100を操作シース140に装着する手順は第1の実施例と同じである。つまり、操作シース140を鉗子142に装着し(図34の状態)、この状態で操作シース140の端部にカートリッジ100を取り付け、体腔内に挿入する。
【0088】
次に、体腔内において、縫合針103を鉗子142によって保持し、創傷部位などの体組織150に縫合針103を通した後、縫合針103側の糸端12aを鉗子142で掴み(図35の状態)、ラチェット132をかける。
【0089】
その後、鉗子142のハンドル131から親指160を外し、この親指160を操作シース140のハンドル130に掛ける。以下、この親指160の操作によって、操作シース140の前後動操作を行なう(図36の状態)。
【0090】
次に、操作シース140を鉗子142に対して後方に引くように操作して、結紮糸12を糸係止溝104から外す。そして、糸端12aを保持した鉗子142を操作シース140内に引き込んでループ部Lを鉗子142から外し、ループ部L内に縫合針103側の糸端12aを通過させる(図37の状態)。
【0091】
その後は、第1の実施例と同様の手順によって作業を行なう。すなわち、まず、操作シース140に対して鉗子142を手元側に引くことによって縫合針103側の糸端12aを手元側に引いて、組織150を適度に締め付ける(図37の状態)。その後、操作シース140を手元側に引き戻すとともに鉗子142を手前に押し出して、操作シース140の先端と鉗子142の先端とを相対的に離す方向に動作させる。これによって、縫合針103側の糸端12aが前方に押し出されるとともに結紮糸12の固定端側が手元側に引かれて、結び目が締め付けられる(図38の状態)。次いで、カートリッジ本体2cの糸掛け溝106に結紮糸12を引掛け、そこに設けられたカッター105によって結び目の両側の糸を切除し、体外に回収する(図39の(a)及び(b)参照)。
【0092】
以上説明したように、本実施例の結紮用カートリッジ100は、結紮糸12の先端に縫合針103が設けられているため、縫合が可能である。また、カートリッジ本体2cは、第1の実施例のように糸係止部6のごとき先端突起物を有していないため、結紮糸12を締め付ける様子等が見易い。
【0093】
また、本実施例の結紮用カートリッジ100は、糸掛け溝106が後方に向いているため、結紮糸12を引掛け易い。また、糸掛け溝106は糸固定部110の側面すなわちこれが取付けられている操作シース140の側面に設けられているため、結紮糸12を操作シース140に沿わせて移動させるだけで、糸掛け溝106に結紮糸12が入るため、結紮糸12を糸掛け溝106に引掛ける操作が楽である。さらに、結紮糸12を切断するカッター105は、この糸掛け溝106に内蔵されているため、カッター105が臓器などに触れて損傷を起こすことが少ない。
【0094】
また、操作シース140の操作ハンドル130は、鉗子142のハンドル131を手で保持したまま、その手の指で操作できる範囲に設けられるため、片手だけで結紮操作が可能である。
【0095】
図40ないし図47は本発明の第6の実施例を示すものである。図40に示すように、本実施例の結紮用カートリッジ170は、カートリッジ本体171とループ保持部材172とから成る。
【0096】
図40の(a)に示すように、カートリッジ本体171は、半円筒状のループ支持部175と、筒状の糸固定部173と、操作シース140に取り付けられる取付部174とから成る。カートリッジ本体171は、これと組み合わせて使用される鉗子142を挿通可能な内孔を有している。この内孔は、ループ支持部175の下側に開口する内孔175aと、糸固定部173の内孔173aと、取付部174を構成する複数の脚部174a…によって囲まれる空間とから形成されており、鉗子の外径より僅かに大きな径となっている。
【0097】
ループ支持部175の側面には、内孔175aに通じる複数の開口176…が形成されている。これらの開口176…は、後述するように、結紮糸12の結び目となるループ部Lの各ループL1 〜L4 を収納するループ収納部176a〜176dを形成する(図41参照)。
【0098】
糸固定部173には、結紮糸12の端部を固定するための糸固定孔13が設けられている。この糸固定孔13は第1の実施例のものと同一である。
【0099】
取付部174は、糸固定部173の基端面からカートリッジ本体171の長手方向に延設された複数の脚部174a…によって構成されている。各脚部174a…の端部には操作シース140の取付孔180の係合部180a(図42参照)にラッチ係合するラッチ固定部174bが設けられている。
【0100】
図40の(b)に示すように、ループ保持部材172は、鉗子142の外径とほぼ同径な棒状部材としてのループ巻付部178と、ループ巻付部178と一体に形成され且つループ巻付部178よりも太径な取手部177とから成る。ループ巻付部178の後端には鉗子142の先端部が嵌合可能な窪み部178aが設けられている。
【0101】
本実施例の結紮用カートリッジ170は、図41に示すように、カートリッジ本体171の糸固定部173の内孔173aにループ保持部材172のループ巻付部178の一端部を挿入嵌合するとともに、ループ巻付部178の残りの部位をループ支持部175の内孔175aに挿入した状態で使用される。
【0102】
結紮用カートリッジ170に装着される結紮糸12は、図41に示すように、その先端に縫合針103が取り付けられている。結紮糸12の基端部は、結び目によって糸固定部173の糸固定孔13に固定され、好ましくは接着剤によって接着固定されている。糸固定孔13に固定された結紮糸12は、カートリッジ本体171のループ収納部176a〜176dの部位でループ保持部材172の糸巻付部178に巻装される。つまり、結紮糸12は、糸固定部13に近いループ収納部から順に連続的に巻かれている。この巻き方は、図4に示した巻き方と同じであり、ループを4つ形成した点だけが異なる。1カ所のループ収納部にはループが一つ収納されている。すなわち、第1のループ収納部176aに第1のループL1 が収納され、第2のループ収納部176bに第2のループL2 が収納され、第3のループ収納部176cに第3のループL3 が収納され、第4のループ収納部176dに第4のループL4 が収納されている。
【0103】
次に、上記構成の結紮用カートリッジ170を使用して体組織150を縫合する場合について説明する。
【0104】
まず、図34に示すように、操作シース140を持針器である鉗子142に装着する。この状態で、今度は、図41の状態に組み合わされた結紮用カートリッジ170のカートリッジ本体171の取付部174を操作シース140の取付孔180に挿入し、取付孔180の奥端に形成された係合部180aに取付部174のラッチ固定部174bを係合させる。これによって、結紮用カートリッジ170が操作シース140に装着される(図42の(a)の状態)
次に、カートリッジ本体171の内孔を通じてループ保持部材172の窪み部178aに鉗子142の先端を挿入し、この状態で鉗子142とともにループ保持部材172を前方に押し出すと、各ループL1 〜L4 が鉗子142の外周に配置される(図42の(b)の状態)。この場合、各ループL1 〜L4 は、ループ収納部176a〜176dに収納されているため、ループ保持部材172と共に押し出されずに、後から挿入されてきた鉗子142の外周に配置される。この状態で体腔内に挿入する。
【0105】
次に、体腔内において、縫合針103を鉗子142によって保持し、創傷部位などの体組織150に縫合針103を通した後、縫合針103側の糸端12aを鉗子142で掴み(図43の状態)、ラチェット132をかける。
【0106】
その後、鉗子142に対して相対的に操作シース140を前方に動かし、1番目のループL1 を鉗子142上から抜く。すなわち、カートリッジ本体171の第1のループ収納部176aから鉗子142の先端が抜けるまで操作シース140を相対的に動かすことにより、第1のループL1 を第1のループ収納部176aの壁で鉗子142上から落とし、第1のループL1 内に縫合針103側の糸端12aを通す(図44参照)。
【0107】
次に、鉗子142を操作シース140に対して相対的に押し出す方向に移動させ、糸端12aを第1のループL1 の外側で前方に移動させる(図45参照)。さらに、鉗子142を押し出し、相対的に鉗子142の先端に把持された糸端12aとカートリッジ本体171に固定された糸固定端とを反対方向に引き、第1のループL1 を締め、結び目を形成し、適度な力量にて組織を締め込む(図45参照)。これが1重結紮である。
【0108】
続いて、第2のループ収納部176bが鉗子142の先端を通過するまで操作シース140を鉗子142に対して相対的に前方へ動かし、第2のループL2 を鉗子142上から落とし、第2のループL2 内に縫合針103側の糸端12aを通す(図46の状態)。次に、鉗子142を相対的に前方へ押し出して、第2のループL2 を締め、2番目の結び目を締め込む(図47参照)。これが2重結紮である。以下、同様にして、3重結紮、4重結紮を行なう。
【0109】
以上説明したように、本実施例では、結紮糸12の両端を逆方向に引いて結び目を締めるため、1方向に引く場合のように組織に無理なテンションをかけることがない。
【0110】
また、各ループL1 〜L4 をループ収納部176a〜176dに1つずつ収納することができるため、結び目を順次に締めることができ、通常の手術と同様の感覚で確実に結び目を締めることができる。また、必要に応じて、また、術者の好みに応じて、結び目(本実施例においては4重結紮まで)の追加ができる。
【0111】
また、カートリッジ本体171の開口176…は側面に開放して連なった空間を作るため、3番目、4番目の結び目を落とす際に、鉗子142を深く引き込んでも、縫合針103がカートリッジ本体171(開口176…)の外側に配置されて内部に引き込まれない。したがって、ループ収納部176a〜176d等に縫合針103が引掛かってしまうことを防止できる。また、開口176…の存在によって、操作シース140の内孔に引き込めないサイズ/形状の縫合針103でも使用できる。
【0112】
また、操作シース140と鉗子142との相対的な前後動だけで、複数回の結節を形成することができ簡単である。また、結び目を1つずつ締め込むことができるため、例えば、マルチフィラメントのような滑りの悪い結紮糸であっても、結び目が組織を締め込む途中で締まってしまうため、結びづらいということがない。
【0113】
図48及び図49は本発明の第7の実施例を示すものである。図48に示すように、本実施例の結紮具200は、第1の実施例のカートリッジ本体2と操作シース140とを一体に形成して成るシース部201と、このシース部201に着脱自在に取り付けられるループ保持部材3(第1の実施例のループ保持部材と同一のもの)とから構成されている。
【0114】
シース部201内にはOリング(図示せず)が配置されており、これと併用される鉗子142(図48参照)との気密性が保たれている。シース部201の基端には図示しないトラカールの端部に引掛かる段差部202が設けられている。本実施例の結紮具200を使用する場合は、まず、鉗子142をシース部201の基端から挿入し(図49参照)、シース部201の先端で第1の実施例と同様にしてループLを鉗子142の外周に配置する。体腔内挿入後は、第1の実施例と同様の操作によって結紮作業を行なう。
【0115】
このように、本実施例の構成によれば、結紮具200の交換が鉗子142の挿入だけで済むため、簡単である。また、シース部201の基端に段差部202が形成されているため、結紮具200が必ずトラカールに引掛かる。
【0116】
図50ないし図66は本発明の第8の実施例を示している。図50に示すように、本実施例に係る結紮装置210は、鉗子部材210aとカートリッジ部210bとからなる。カートリッジ部210bは、カートリッジ本体250とカートリッジ本体250に着脱自在に接続されるカートリッジ操作部 217とからなる。鉗子部材210aは、鉗子213と、鉗子213に接続され且つ鉗子213とカートリッジ部210bとをカバーするシース215からなる。
【0117】
図51の(a)に示すように、鉗子部材210aの一方を構成するシース215は、筒状に形成され、その基端にL字状の溝221を有する固定部220を備えている。図51の(b)に示すように、鉗子部材210aの他方を構成する鉗子213は、外科手術において通常用いられる鉗子とほぼ同様のものであり、特に本実施例では血管などを結紮する場合に剥離作業や糸の受け渡しがし易いケリー鉗子として形成されている。具体的には、鉗子213は、軸部222と、軸部222の先端に設けられた開閉可能な把持部223と、軸部222の基端に設けられ把持部223を操作するための操作部224とを備えている。把持部223はその先端が湾曲されている。軸部222の基端部にはシース215が固定されるシース固定部225が設けられている。シース固定部225には、シース215の固定部220の溝221と係合するピン226が立設されている。シース固定部225からは軸部222と平行に延びる長尺なアーム229が延びており、このアーム229の先端には、カートリッジ部210bのカートリッジ本体250を構成する糸保持部材270(後述する)を回動させるためのカムピン230が下方に向けて突設されている(図52参照)。
【0118】
図51の(b)に示すように、カートリッジ部210bの一方を構成するカートリッジ操作部217は、鉗子213の軸部 222に摺動自在に装着されている。このカートリッジ操作部217は、鉗子213と平行に延び且つ鉗子213のシース固定部225を貫通する操作棒227と、操作棒227の基端に設けられ操作棒227の進退を操作する操作ハンドル297とを備えている。操作ハンドル297は鉗子213の操作部224に隣接して配置されている。操作棒227の先端にはカートリッジ本体250を構成するケース280(図53の(b)参照…後述する)とラッチ係合する係合部228が設けられている。なお、シース固定部225と操作棒227との間は、ゴムキャップ(図示しない)等のシール部材によってシールされている。
【0119】
図55の(b)に示すように、カートリッジ部210bの他方を構成するカートリッジ本体250は、結紮糸212を連続したループ状に保持する糸保持部材270と、糸保持部材270を収容するケース280と、糸保持部材270の先端側に設けられた後述する糸保持部271(図53の(a)および図55の(a)参照)をカバーするカバー部材290とからなる。
【0120】
図53の(a)に示すように、糸保持部材270は、鉗子213の軸部222を挿通可能な内孔を有する筒状部材として形成され、糸保持部271と手元部272とからなる。糸保持部271の外周面にはその全長にわたて螺旋状の糸収納溝273が形成されており、この糸収納溝273に結紮糸212が巻かれて収納されている。手元部272の外周面には鉗子213のアーム229に設けられたカムピン230が噛み合うカム溝274が形成されている。手元部272を展開してカム溝274の形状を分かり易くした図が図54に示されている。図示のように、カム溝274は、手元部272の長手方向に沿って手元部272の後端部近傍から手元部272の先端まで延びる長い第1の直線部274aと、第1の直線部274aの延長上に第1の直線部274aと所定距離離間して延び且つ手元部272の後端まで延びる比較的短い第2の直線部274bと、第1の直線部274aの後端aと第2の直線部274bの先端近傍の部位bとを接続し且つ手元部272の外周を螺旋状に1周する螺旋部274cと、直線部274a,274bから若干それるようにして第2の直線部274bの先端dを第1の直線部274aの後端近傍の部位cに接続するバイパス部274dとからなる。螺旋部274cの螺旋方向は糸保持部271の糸収納溝273の螺旋方向と逆方向になっている。
【0121】
図53の(b)に示すように、ケース280は、略筒状に形成され糸保持部材270の手元部272を回転自在に収納するケース本体281と、ケース本体281の先端から直線状に延びる長尺部材282とからなる。長尺部材282の長さは、糸保持部材270をケース280の後端から挿入して図55の(a)に示すように組み合わせた状態でその先端282aが糸保持部271の先端から突き出すように設定されている。長尺部材282の先端282aは上方に曲げられている。ケース本体281の外面には、鉗子213のアーム229を嵌め入れることができるスリット283が、ケース本体281の長手方向に沿って形成されている。ケース本体281の後端にはカートリッジ操作部217の係合部228とラッチ係合する被係合部284が設けられている。
【0122】
図53の(c)に示すように、カバー部材290は、その長手方向に沿って直線状に延びる切り欠き291を有する断面がC字形状の筒状部材として形成されている。切り欠き291は、ここにケース280の長尺部材282を配置できるような大きさに設定されている。カバー部材290の後端には、ケース本体281の先端に設けられた接続部283に対して接続する被接続部292が設けられている。接続部283と被接続部292との接続方法としては、接着やネジ止めなど様々な方法が考えられる。
【0123】
次に、糸保持部材270の糸保持部271に結紮糸212をセットする方法について説明する。結紮糸212は、図55の(a)に示すように糸保持部材270とケース280とが組み合わせられた状態でセットされる。結紮糸212のセット状態を拡大した図が図57の(a)(b)および図58の(a)(b)に示されている。これらの図に示すように、糸収納部271の糸収納溝273の最後端の溝部内には糸固定部材295が嵌め入れられており、この糸固定部材295に結紮糸212の一端が固定されている。図58の(a)に示すように、糸固定部材295は、結紮糸212を固定可能な小孔295aと、ケース280の長尺部材282が貫通可能な大孔295bとを有しており、大孔295bに長尺部材282が貫通した状態で糸収納溝 273の最後端の溝部内に嵌め入れられている。
【0124】
一端が糸固定部材295に固定された結紮糸212は、長尺部材282と糸保持部271とを取り纏めるようにして巻かれて糸収納溝273内に配される。結紮糸212の巻き方が図56の(a)に示されている。すなわち、結紮糸212を糸収納溝273に1回巻き付けてループL1 を形成した後、ループL1の両端m,nを交差させ、さらに糸収納溝273に巻き付けられるループL1の端部n側を今度はループL1 の巻き方向と逆方向に巻き付けてループL2 を形成し、ループL2 の端部n´をループL1 の端部nと交差させてループL1 側とループL2 側とが点線xに関して対称となるようにする。この巻き方法を多数回繰り返して、点線xに対して互いに対称なループL1 ,L2 ,L3 ,L4 ,L5 …を形成する。
【0125】
図57の(a)(b)および図58の(a)(b)に示すように、各ループL1 ,L2 …は、長尺部材282上に位置する部分以外の部位が、糸収納溝273の1回転分に相当する各溝部M1 ,M2 …内にそれぞれ個別に配される。すなわち、糸収納溝273の第1の溝部M1 内にはループL1 を形成するように結紮糸212が巻かれて配され、第2の溝部M2 内にはループL2 を形成するように結紮糸212が巻かれて配され、ループL1 とループL2 とを接続する結紮糸212の交差部299と長尺部材282上に位置する結紮糸212の部位とが糸収納溝273の外側に配されている。
【0126】
以上のようにして結紮糸212をセットした場合、例えば図56の(b)に示すように結紮糸212の自由端側である端部mをループL1 内に通した状態でループL1 を糸保持部271から脱落させて締めると、結節が形成される。この状態から、図56の(c)に示すように端部mをループL2 内に通した状態でループL2 を糸保持部271から脱落させて締めると、2重結節が形成される。このように形成された2重結節は、ループL1 とループL2 の巻き方向が互いに逆方向であることから、結紮強度が高いいわゆる男結びと同じである。なお、この状態からさらに結紮回数を増したい場合には、前述と同様にして各ループL3 ,L4 ,L5 …を順次糸保持部271から脱落させて締めれば3重、4重に結節を形成して3重結紮、4重結紮を行なうことができる。また、図56の(c)の状態から別の箇所を結紮する場合には、図56の(c)の状態で一旦結紮糸212を切断すれば良い。
【0127】
図56の(b)に示すようにループL1 が糸保持部271から脱落した状態では、ループL2 が糸保持部271上に巻かれて縛られている状態すなわち糸保持部271に固定されている状態にあるため、ループL2 はループL1 に対して固定端となる。したがって、脱落した結紮糸212の自由端mを引張れば、ループL1 が締め込まれて結び目が締まる。
【0128】
次に、上記構成の結紮装置210を組み立てる場合について説明する。まず、図55の(b)に示すような状態にカートリッジ本体250を組み立てる。この組み立て状態では、カバー部材290の切り欠き291内に、ケース280の長尺部材282と結紮糸212の交差部299とが配置される。次に、このようにして組み立てられたカートリッジ本体250の後端から、カートリッジ操作部217が装着された図51の(b)に示す状態の鉗子213の軸部222をカートリッジ本体250内に挿入し、カートリッジ操作部217の係合部228にカートリッジ本体250のケース本体281の被係合部284をラッチ係合させる。この時、ケース本体281のスリット283に鉗子213のアーム229が嵌まり込み、スリット283から露出する糸保持部材270の手元部272のカム溝274にアーム229のカムピン230が係合する。
【0129】
次に、このカートリッジ部210bが装着された鉗子213をシース215の後端からシース215内に挿入して、カートリッジ部210b上にシース215を被せる。そして、シース215の固定部220の溝221に鉗子213のシース固定部225に突設されたピン226を係合させて、シース215と鉗子213とを回転不能に固定する。この時、ピン226は溝221の終端に対してばね等の付勢手段によって押し付けられており、これによって、ピン226と溝221との係合状態すなわちシース215と鉗子213との固定状態が容易に解除されることが防止される。また、この時、シース215の内部は、固定部220とシース固定部225との間に設けられたゴムパッキンやOリング等のシール手段によって気密状態に保持されている。なお、シース215の内径はカートリッジ部の被係合部284の外径よりも僅かに大きい寸法に設定されている。したがって、シース215をカートリッジ部210b上に被せた状態では、係合部228と被係合部284とのラッチ係合が外れることはない。
【0130】
この組み立て状態で、カートリッジ操作部217をカートリッジ本体250とともに前方に十分に押し出した状態では、カートリッジ本体250の糸保持部材270のカム溝274に係合するアーム229のカムピン230がカム溝274の部位bに位置し、鉗子213の先端がカートリッジ本体250内に引き込まれた状態となる。つまり、カムピン230と鉗子213の先端との間の長さは、カム溝274の部位bとカートリッジ本体250の先端との間の長さと同じかそれよりも小さく設定されている。
【0131】
この押し出し状態からカートリッジ操作部217を手元側に引いてカートリッジ操作部217に接続されたカートリッジ本体250を後退させると、カムピン230は、カム溝274の部位bから第2の直線部274bの先端dを通ってバイパス部 274dに入り、部位cを経て第1の直線部274a内へと導入される。カムピン230が部位dから部位cに進む間に糸保持部材270が僅かに回転するが、部位cで元の状態に戻るため、糸保持部271に巻装された結紮糸212の巻装状態も元の状態に戻る。このようにしてカートリッジ本体250を後退させていくと、カートリッジ本体250の先端から鉗子213が突出し始めるが、カートリッジ本体250を鉗子213の軸部222の最後端まで後退させた時の鉗子213の突出長は、一度に解放されるループLの展開長(糸収納溝273の1つの溝部M内に収納された1つのループLの展開長)以上の長さに設定され且つ後述するように1つのループLが糸保持部271から完全に解放された時に把持部223の先端がカートリッジ本体250内に引き込まれるような長さに設定されている。好ましくは、この突出長は、糸保持部271に巻装されていない結紮糸212の自由端側の部位の長さと一度に解放されるループLの展開長の3〜4倍とを足した長さである。本実施例においては、ループLの展開長の4倍以上を足したものとする。結紮糸212の自由端側の部位の長さは、結紮糸212を体組織下に回して鉗子213の先端把持部223によって把持することができるに十分な長さであることが必要であるが、あまり長くないことが望ましい。次に、上記構成の結紮装置210を用いて管状組織を結紮する場合について図59ないし図64を参照しながら説明する。例えば内視鏡下で血管を結紮する場合は、まず、カートリッジ本体250を後方に十分に後退させてカムピン230をカム溝274の第1の直線部274aに位置させた状態で、結紮装置210をトラカール等を通じて体内に導入し、カートリッジ本体250から突出する鉗子213の先端を結紮対象となる血管300の近傍に位置させる。次に、結紮対象となる血管300を周辺組織から剥離し、剥離した血管300の裏側に結紮糸212の自由端を回して、その自由端を鉗子213の把持部223により把持する(図59の(a)(b)参照)。血管300の剥離から結紮糸2
12の把持に至るこのような一連の動作を別の鉗子で行なっても構わないが、本実施例の鉗子213はケリー鉗子であるため、第1の実施例で述べたごとく鉗子213それ自身によってこれら一連の作業を行なうことができる。
【0132】
図59の(a)(b)に示す状態からカートリッジ操作部217の後端の操作ハンドル297を押してカートリッジ本体250を前進させると、カムピン230がカム溝274の第1の直線部274aから螺旋部274cに導入されて糸保持部材270がケース280内で回転する(図60の(a)(b)参照)。この時、糸保持部材270は、糸保持部271の糸収納溝273内に巻装された結紮糸121の各ループLを前方に押し出すように回転する。これは、糸保持部材270の糸収納溝273の螺旋方向とカム溝274の螺旋部274cの螺旋方向とが逆方向になっており、また、結紮糸212が長尺部材282を跨ぐようにして巻かれ、さらに、カバー部材290の切り欠き291内に結紮糸212の交差部299が配置されているためであり、糸保持部材270が回転しても切り欠き291を形成するカバー部材290の端縁に結紮糸212の交差部299が突き当たって結紮糸212の回転が規制されるためである。また、この時、長尺部材282も結紮糸212の回転規制を補助する。したがって、糸保持部材270が回転すると、結紮糸121は、それ自身回転が規制された状態で各ループLが糸収納溝273内で前方に押し出される。具体的には、糸保持部材270の回転によって、最先端のループL1 が徐々に糸保持部271上から解放され始め、同時に、他のループL2 ,L3 …と糸固定部材295とが糸収納溝273内を前進する。カムピン230がカム溝274の部位bまで移動して糸保持部材270が完全に1回転すると、ループL1 が糸保持部271上から完全に解放され、ループL2 が糸収納溝273の最先端の溝部M1 に移動する。その他のループL3 ,L4…も1巻き分だけ前方の溝部Mに移動する。また、この時、鉗子213の先端の把持部223も糸保持部材270内に完全に引き込まれる。したがって、結果的に、鉗子213に把持された結紮糸212の自由端側がループL1 内に通され、ループL1 は結紮糸 212の自由端側上に解放される (図61の(a)(b)参照)。
【0133】
次に、カートリッジ操作部217の後端の操作ハンドル297を手元側に引いてカートリッジ本体250を後退させ、カートリッジ本体250の先端から鉗子213を突出させていく。この時、ループL1 は鉗子213の前方に解放されているため、ループL1 の外側で結紮糸212の自由端を把持した鉗子213が移動することとなる。このまま、さらに操作ハンドル297を手元側に引くと、後方に移動するカートリッジ本体250と前方に移動する鉗子213との相対的な移動によって、カートリッジ本体250で固定状態(前述した)にあるループL1 の一端と鉗子213に把持された他端(自由端)とが互いに反対方向に引かれ、ループL1 の結び目が締まる。すなわち、カートリッジ本体250と鉗子213との相対的な移動による締め込み手段によって、ループL1 が収縮し血管300が締め付けられて1つ目の結節が形成される(図62の(a)参照)。なお、このようにカートリッジ本体250を後退させてループL1 を締め込む工程では、カムピン230が糸収納溝273の部位bからバイパス部274dに導入されるため、僅かに糸保持部材270が一方向に回転(図62の(b)参照)するが、カムピン230が糸収納溝273の部位cに位置する段階で糸保持部材270が先程と逆方向に回転(図62の(c)参照)して元の状態に戻るため、糸収納溝273における各ループLの巻装状態に変化はない。すなわち、往路では糸保持部材270は一回転するが、復路では糸保持部材270は回転せず、糸収納溝273の最先端の溝部Mに準備されたループLは元に戻ることなく先端に準備されたままの状態となる。
【0134】
次に、鉗子213によって結紮糸212の自由端を把持したまま、再度操作ハンドル297を前方に押し出してカートリッジ本体250を前方に移動させると、2つ目のループL2 が糸保持部271から解放され(図63参照)、その後、操作ハンドル297を手元側に引くと、ループL2 が締まって2つ目の結節が形成される(図64参照)。この2重の結紮によって形成された結びは締め付け強度の高い男結びとなる。さらにそれ以上結紮を行ないたい場合には以上説明した動作を繰り返せば良い。2重、3重…と結紮が繰り返されてループLが2つ、3つ…と解放されると、その分、締め込みに必要なストロークが大きくなるが、鉗子213の位置に対する結節の位置は最初に結節を形成した位置から外れないため、締め込みに必要なストロークはカートリッジ本体250の鉗子213に対する後方向への移動量に積み重ねられる。したがって、結び目の位置に対する鉗子213の先端の突出量は、最初の結節を作った時に要した突出量しか必要としない。なお、本実施例では、鉗子213の突出量(ストローク)を一度に解放されるループLの長さの4倍以上に設定してあるため、ほぼ4重結紮まで行なうことができる。しかし、もし、結紮糸212の自由端を長く取りすぎたり、5重結紮以上行なう場合には、ストロークが足りなくなり充分にループLを締め込めなくなる場合がある。その場合には、別に挿入された鉗子によって結紮糸212の固定端側を引けばよい。
【0135】
結紮作業が完了したら、結紮糸212の固定端側を切断する。その後、他の場所の結紮を行なう場合には、そのカートリッジ側切断端を自由端として、その場所で前述した操作を繰り返せば良い。結紮回数は糸収納溝271に収納されているループLがなくなるまで可能である。長尺部材282の先端282aの湾曲形状によって長尺部材282からの糸固定部材295の抜けが防止されるため、ループLを最後まで使いきることができる。最後のループLを締め込む場合でも、糸固定部材295がそのループLの固定端となるため、カートリッジ本体250の前進動作によってそのループLを締めこむことが可能である。なお、ループLの残量はカバー部材290の切り欠き291を通じて確認することができる。また、カバー部材290を透明材料によって形成すれば、ループLの残量を容易に確認することができる。
【0136】
結紮対象組織が生体の深部に位置していたり、あるいは、結紮対象組織の前方に臓器などが位置している場合には、結紮位置の前方に鉗子213を十分に突出させることができず結び目を十分に締め込むことができない場合がある。この場合の解決策について、以下、図101の(a)および(b)を参照しながら説明する。
【0137】
まず、図101の(a)に示すように、結紮対象組織301の下側に結紮糸212を回した後、結紮糸212の自由端を鉗子213によって把持し、前述したようにカートリッジ本体250を前進させて1つ目のループLを糸保持部271から解放する。この時、体内に挿入された別の鉗子302を、結紮糸212の自由端側と解放されたループLと結紮糸212の固定端側とによって囲まれる空間内に挿入する。そして、この状態で、カートリッジ本体250を手元側に後退させて結紮糸212の両端にテンションをかけながら、前記空間内に挿入された別の鉗子302を図101の(b)に示すように組織301側に移動させて結び目を組織301側に下降させていく。これによってループLは締まり組織301が締め付けられて1つ目の結節が形成される。この時、結紮糸212の端部を十分に引くことができない場合には、さらに別の鉗子で結び目を押し付けたままカートリッジ本体250を後退させて、結び目に十分なテンションをかけ、結び目を硬く締め付ける。以後、2重、3重…と結紮を行なう場合も同様である。
【0138】
以上説明した本実施例の結紮装置210の作用効果を以下に列挙する。
【0139】
(1)複数箇所の結紮を行なうことができる。
【0140】
(2)術者が必要と思う分だけ結節を重ねることができる。
【0141】
(3)通常の外科手術で行なわれる結紮を簡単かつ確実に行なうことができ、通常の開腹手術のように結び目を一回ずつ形成するため、結紮強度が高く確実な結紮作業を行なうことができる。
【0142】
(4)ループLを糸保持部271から連発して解放することができる。
【0143】
(5)結紮糸212の後端が糸固定部材295に固定され且つ糸固定部材295が結紮糸212のループLとともに糸収納溝273内を前進するとともに、長尺部材282の先端282aの湾曲形状によって長尺部材282からの糸固定部材295の抜けが防止されているため、ループLを最後まで使いきることができる。
【0144】
(6)カートリッジ式であるため、取り換えが便利である。
【0145】
(7)1本の鉗子213とカートリッジ本体250とを相対的に移動させるだけで結紮作業を行なうことができるため、操作が簡単である。
【0146】
(8)作業の途中で結紮糸212が切れてしまった場合でも、鉗子213の把持部223によって糸保持部271から結紮糸212を引き出すことなくカートリッジ本体250を単に動作させるだけで糸保持部271からループLを解放させて結紮糸212の不足分を補うことができるため、その後、即座に結紮作業のやり直しを行なうことができる。このことは、大きな組織の下側に結紮糸212を回す際に結紮糸212の自由端側の糸長が不足している場合でも同様である。
【0147】
(9)外部に対して装置210内が気密に保たれているため、気腹操作が必要な手術にも適用可能である。
【0148】
(10)シース215がラッチ係合部228,284の外側を覆っているため、結紮作業時に装置210に大きな力がかかってもラッチ係合が外れることがない。
【0149】
(11)カートリッジ本体250はそのストロークのほぼ全長にわたってシース215により覆われているため、装置210の挿入部分を無駄なく体内に導入することができる。
【0150】
(12)通常の鉗子形状と機能とを有しているため、結紮以外の処置も可能であり、汎用性が高い。
【0151】
(13)結紮糸212のループLがカバー部材290によって覆われているため、装置 210を体内に導入する場合などにおいて結紮糸212が絡まることがない。また、糸固定部材295によって結紮糸212の後端が固定されているため、結紮糸212がほどけたり、絡まったりすることがない。
【0152】
(14)カバー部材290によって結紮糸212の回転が規制されているため、スムーズに糸保持部材270を回転させることができる。
【0153】
(15)鉗子213とカートリッジ本体とを逆方向に移動させることにより、結び目はそれ自身を略中心として逆方向に引かれて締め付けられるため、確実に結び目を締めることができる。また、結び目を締め付ける際に組織を一方向に引いてしまうことがない。
【0154】
(16)結び目を締め込む際、結紮の位置からの鉗子213の突出量が短くなるように最初の結紮を行なえば、それ以後に結紮を重ねる際にも結紮の位置からの鉗子213の突出量は初めと変わらないため、鉗子213の先端方向に臓器などがあるような場合でも十分な結紮が可能である。
【0155】
(17)カバー部材290の切り欠き291からループLの残量を確認できるため、非常に便利である。
【0156】
(18)ループLが糸保持部材270上に縛られて個別に収納されているため、解放されたループLの次のループLは、解放されたループLをカートリッジ本体250に対して固定する役割を果たし、これによって、カートリッジ本体250の動作に伴う結び目の締め込みが可能となる。
【0157】
(19)鉗子213がカートリッジ本体250内に引き込まれてからループLが糸保持部270から解放されるように各構成要素の長さ寸法が設定されているため、鉗子213上でループLが絡まることなくループL内に結紮糸212の自由端を通すことができる。
【0158】
(20)長尺部材282は結紮糸212によって糸保持部271とともに取り纏められてカバー部材290の切り欠き291に位置されている。したがって、結紮糸212の径が細い場合でも、長尺部材282は、糸保持部材270が回転した際に結紮糸212がカバー部材290と糸保持部材270との隙間に滑り込んでいくことを防止する。長尺部材282は結紮糸212の回転を規制する補助部材として作用する。
【0159】
以上説明した本実施例の特徴は、従来例として挙げることができる米国特許第3687138号、米国特許第5391176号、および既に説明した米国特許第5312423号と対比することによりさらに明確になる。まず、米国特許第3687138号と本実施例との差異を明確にするために、米国特許第3687138号の結紮装置の構成および作用について簡単に説明する。
【0160】
米国特許第3687138号の結紮装置は、結び目形成用ループを形成する8の字状の結紮リングによって連続的に組織を結紮するための器具である。前記結紮リングは、その一方側の第1のループを引くと他方側の第2のループが縮小して結び目が締まるもので、筒状のカートリッジの外周に形成された螺旋溝に前記第2のループが個別に巻装されている。カートリッジ内には鉗子が進退自在に配置されている。カートリッジ内での鉗子の進退に連動してカートリッジが回転し、この回転によってカートリッジの螺旋溝に個別に収納された第2のループのそれぞれが順次前方に移動してカートリッジの最先端に位置する第2のループがカートリッジから解放される。カートリッジと鉗子との連動は、カム溝とカムピンとの係合によって達成される。カートリッジに巻装されていない第1のループのそれぞれは、カートリッジと平行に延在し且つ結紮リングの回転を規制する棒状部材に通されている。棒状部材の先端には、第1のループを引張ることにより第2のループを縮小させて結紮リングを締め付ける締め付け手段が設けられている。
【0161】
米国特許第3687138号の結紮装置を用いて体組織を結紮するためには、まず、結紮対象組織を鉗子によって掴み、カートリッジを前進させることによってカートリッジを結紮対象組織に押し当てて、鉗子と鉗子によって掴んだ組織とをカートリッジ内に引き込む。カートリッジを前進させる過程で、カートリッジが1回転し、カートリッジに巻装され且つ棒状部材によって回転が規制された結紮リングの第2のループが鉗子で掴んだ組織の外周に解放されるとともに、棒状部材に通されていた第1のループが締め付け手段に引掛かる。この状態で、締め付け手段により第1のループを引張ると、組織の外周に解放された第2のループが締まり、組織が結紮される。
【0162】
以上説明した米国特許第3687138号の欠点を以下に列挙する。
【0163】
(1)米国特許第3687138号の結紮装置は、体組織の表面部位を掴んでその部位を結紮するものであり、血管の断端や平面組織の結紮に使用されるものである。したがって、本実施例のように剥離した管状組織下に結紮糸を回して結紮作業を行なうことはできない。
【0164】
(2)結紮リングはカートリッジ上に複数収納されているが、それぞれが単体で結紮を完結するものである。したがって、結節の強度を増すために結節回数を増やしたり、術者が望む回数だけ結紮を重ねるといったことができない。
【0165】
(3)結紮リングを締め込むためには、締め付け手段の操作と、鉗子の開閉操作と、カートリッジの前後動とを行なわなくてはならず、操作が煩雑である。
【0166】
これに対し、本実施例の結紮装置は、以下の特徴を有していることから上記に列挙した欠点を有さない。以下、本実施例の結紮装置の特徴を米国特許第3687138号と対比しながら列挙する。
【0167】
(1)前述したように、本実施例の結紮装置は管状組織下に結紮糸を回して結紮作業を行なうことができる。米国特許第3687138号の鉗子は結紮対象組織を掴むために用いられるが、本実施例の鉗子213は、糸保持部271に配置された最先端のループLから延びる結紮糸212の自由端を把持するために使用され、これによって管状組織下に結紮糸212を回して結紮作業を行なうことができる。米国特許第3687138号の結紮リングには把持鉗子によって把持される自由端がない。
【0168】
(2)本実施例の結紮装置は、連続したループLと個別にこれを解放する手段が設けられており、カートリッジ本体250からループLが解放された後でも、そのループLは糸保持部271に保持された他のループLと繋がっており、解放されたループに対して糸保持部271に保持された他のループLが固定端として作用する。したがって、ループLを連続的に解放して結紮を幾重にも重ねることができる。また、結紮後、結紮糸を切り、その断端を自由端として用いて引き続き全く同じ作業により複数箇所に通常の外科結紮を繰り返すことができる。これに対して、米国特許第3687138号の結紮装置は、このような作業を行なうことができず、また、結紮リングのそれぞれが単体で結紮を完結するものであり、結紮を幾重にも重ねることができない。
【0169】
(3)本実施例の結紮装置は、鉗子213とカートリッジ本体250との相対的な移動のみによって、通常の外科手術と同様な結紮作業を行なうことができるものであり、その操作は非常に簡単である。
【0170】
(4)本実施例の結紮装置は、ループLが緩んで絡まったりしないように糸保持部271がカバー部材290によってカバーされている。また、カバー部材290には切り欠き291が設けられ、この切り欠き291にループLの交差部299が配置されてループLの回転が規制されるようになっている。このような回転規制手段は米国特許第3687138号の棒状部材とは全く異なるものである。
【0171】
(5)本実施例の結紮装置は、その装置内が外部に対して気密状態に保持されている。また、内視鏡下手術用のトラカールに挿入できるようにその挿入部の外形が筒状に形成されている。これに対して米国特許第3687138号の結紮装置は挿入部の外形が筒状に形成されていない。
【0172】
次に、米国特許第5391176号と本実施例との差異を明確にするために、米国特許第5391176号の結紮装置の構成および作用について簡単に説明する。
【0173】
米国特許第5391176号の結紮装置は、腹腔鏡下等の内視鏡手術において、通常の外科手術と同様の結紮方法にて結紮を行なうための器具であり、その構成は、スロットを有する棒体の上に結び目形成用のループが連続的に巻かれて成るものである。
【0174】
米国特許第5391176号の結紮装置を用いて体組織を結紮するためには、まず、体内に挿入され且つ装置とは別体の鉗子を用いてループから延びる結紮糸の自由端側を体組織下に通す。その後、体組織下に通した結紮糸の自由端を前記スロットを通じてループの内側に通した後、この自由端を別の鉗子でスロットからループの外側に出す。さらに別の鉗子で結紮糸の自由端を把持するとともにこの自由端を引いて棒体からループを脱落させて締め込む。
【0175】
以上説明した米国特許第5391176号の欠点を以下に列挙する。
【0176】
(1)米国特許第5391176号の結紮装置は、結紮作業を行なうために別の鉗子による操作を必要とし、また、棒体の先端に設けられた僅かなスロットの間に結紮糸(もしくは針)を通し、さらに、この結紮糸を持ち換えて結紮糸をループ内にくぐらせなければならない。したがって、その操作は非常に煩雑であり、特に2次元画像をTVモニタによって観察しながら行なう内視鏡下手術には術者の熟練を要する。
【0177】
(2)米国特許第5391176号の結紮装置は、解放されるループが棒体の先端に常時待機しているものではなく、先端のループを解放してしまうと、次に解放するループが先に解放したループよりも棒体の手元側に位置することとなる。これでは、ループ内に糸を通す操作が作業を重ねる毎に難しくなる。
【0178】
(3)米国特許第5391176号の結紮装置では、ループが外部に露出された状態にあるため、内視鏡下手術のように体壁に開けた小孔から装置を体内に導入するような場合には、ループが障害物に引掛かったり、棒体からループが外れたりすることが予想される。
【0179】
(4)棒体にループが個別に収納されていないため、棒体上でループがずれてしまったら、選択的に1つのループ内に糸を通すことが難しくなる。
【0180】
これに対し、本実施例の結紮装置は、以下の特徴を有していることから上記に列挙した欠点を有さない。以下、本実施例の結紮装置の特徴を米国特許第3687138号と対比しながら列挙する。
【0181】
(1)本実施例の結紮装置は、鉗子213とカートリッジ本体250との相対的な移動のみによって、通常の外科手術と同様な結紮作業を行なうことができるものであり、その操作は非常に簡単である。
【0182】
(2)本実施例の結紮装置は、解放されるループLが糸保持部271の先端に常時待機しているため、結紮作業がし易い。また、鉗子にて糸端を掴んでいれば、ループは必ず糸端上に解放されるため、糸端を容易にループ内に通すことができる。
【0183】
(3)本実施例の結紮装置は、糸保持部271がカバー部材290によってカバーされている。したがって、作業中にループLが外れたり絡まったりしてしまうことがない。
【0184】
(4)糸保持部271にループLが個別に収納されているため、ループがずれてしまうことがない。
【0185】
なお、米国特許第5312423号と本実施例との差異は、既に説明した米国特許第5312423号の欠点と、以上説明してきた本実施例の特徴とを対比させれば明白である。
【0186】
図102の(a)〜(c)は前述した第8の実施例の第1の変形例を示している。図示のように、この変形例では、カートリッジ本体250のケース280に、結紮糸212の回転規制を補助する長尺部材282が設けられていない。これは、長尺部材282がなくても、切り欠き291を形成するカバー部材290の端縁に結紮糸212の交差部299が突き当たることで結紮糸212の回転を十分に規制できるためである。このような構成から、結紮糸212の後端を固定する本実施例の糸固定部材295は、図102の(b)(c)に示すようにカバー部材290の切り欠き291の幅とほぼ同じ大きさに形成されており、また、長尺部材282を貫通させるための孔295bを有していない。また、糸固定部材295は、糸収納溝273内に収納できる厚みを有し、糸収納溝273に収納される部位の幅がカバー部材290の切り欠き291の幅よりも広くなっている。なお、カバー部材290の先端付近には切り欠き291の幅を若干狭くする環状の突起310が形成されている。また、本変形例において、結紮糸212は、糸保持部材 270とカバー部材290との間の隙間に入らない太さであることが望ましい。
【0187】
このような構成によれば、カバー部材290の先端付近に形成された突起330によって糸収納溝273(切り欠き291)からの糸固定部材295の抜けが防止されるため、ループLを最後まで使いきることができる。また、本変形例では、長尺部材282がないため、糸収納溝273に結紮糸212を巻装する際に長尺部材282を一緒に巻き込む必要がなく、したがって、糸保持部271に対する結紮糸212の巻装作業が容易となる。また、長尺部材282を不要としたことから、長尺部材282の厚み分だけカバー部材290の厚み、すなわちカバー部材290の外径を小さくすることができるため、結果的にカートリッジ本体250の外径を小さくでき、体内の挿入性を向上させることができる。
【0188】
なお、結紮糸212の先端に針を取り付けて縫合作業を行なえるようにしてもよい。これは前述した各実施例においても同様である。
【0189】
図65は第8の実施例の第2の変形例を示している。本変形例では、長尺部材282の先端を、第8の実施例のように上向きの湾曲形状とせず、糸固定部材295の長尺部材貫通用の孔295bよりも大きな膨大部282bとして形成している。このような手段によっても、カートリッジ本体250からの糸固定部材295の抜けを防止でき、ループLを最後まで使いきることができる。
【0190】
図66は第8の実施例の第3の変形例を示している。本変形例では、結紮糸212の自由端側と反対側の最後端に止め輪312が設けてあり、この止め輪312が長尺部材282に通してある。したがって、この止め輪312は固定部材295と同様な作用をなす。
【0191】
図67ないし図71は本発明の第9の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、図67の(a)に示すカートリッジ本体250aと、図70に示す鉗子213とからなる。カートリッジ本体250aは、図67の(b)に示す糸保持部材270aと、図67の(c)に示すケース280aと、図67の(d)に示すカバー部材290aとからなる。
【0192】
図67の(b)に示すように、糸保持部材270aは、内部に鉗子213の軸部222を挿通可能な筒状の部材であり、そのほぼ全体を占める長尺な糸保持部271と、糸保持部271よりも大径の回転支持部320とからなる。糸保持部271の外周面には、糸保持部271の全長にわたって螺旋状の糸収納溝273が形成されている。この糸収納溝273には第8の実施例と同様な手段によって結紮糸212が保持されている。糸保持部材270aの内周面には、図69に示すように糸保持部材270aのほぼ全長にわたってカム溝274´が形成されている。このカム溝274´は図中矢印G方向から見た展開形状が図54に示すカム溝274の展開形状と正反対になっている。このカム溝274´の螺旋部274c´の螺旋方向は、第8の実施例と同様、糸収納溝273の螺旋方向と逆方向になっている。
【0193】
図67の(c)に示すように、ケース280aは、筒状の把持部323と、第8の実施例と同一の形状を有する長尺部材282とからなる。把持部323には把持部323の後端を閉じる蓋321が取り付けられるようになっている。把持部323は、その後端から糸保持部材270aを挿入できるように形成されており、糸保持部材 270aの回転支持部320を回動自在に収納することができる。長尺部材282は、把持部323から直線状に長く延び、糸保持部材270aと組み合わされた際に、糸保持部271の先端から突き出す長さに設定されている。長尺部材282の先端282aは上方に向けて曲げられている。蓋321は、その中心部に糸保持部材270aの内孔口と連通する鉗子挿通口322を有している。この鉗子挿通口322の内径は、鉗子213の軸部222の外径よりも僅かに大きく、鉗子213の軸部222に設けられた後述するカムピン325を挿通することができる大きさに設定されている。鉗子挿通口322と鉗子213の軸部222との間には図示しないシール手段が設けられている。このシール手段は、鉗子挿通口322に鉗子213が挿通された状態で、把持部323内を外部に対して気密に保持する。なお、蓋321と把持部323との取り付け手段は、接着、ネジ止め、溶着等どのようなものであっても構わない。
【0194】
図67の(d)に示すように、カバー部材290aは、第8の実施例とほぼ同様の形状をなしており、ケース280aの把持部に対して密着して接続される。この接続手段は、接着やネジ止め等どのような方法であっても良い。
【0195】
図70に示すように、鉗子213は、第8の実施例とほぼ同様のものであり、その軸部222のほぼ中央部に、糸保持部材270aのカム溝274´と係合するカムピン325が突設されている。カムピン325と鉗子213の先端との間の距離は、第8の実施例と同様、糸保持部材270aの先端とカム溝274´の部位bとの間の距離と同一もしくはそれより短くなっている。また、軸部222の基端とカムピン325との間の距離は糸保持部材270aの長さより短くなっている。
【0196】
以上説明した本実施例の結紮装置は、鉗子213をカートリッジ本体250の後端から挿入してカムピン325をカム溝274´に係合させた状態で例えば体壁331に挿入されたトラカール330を通じて体内に導入される。結紮作業は、把持部323を把持した状態でカートリッジ本体250を第8の実施例と同様に動作(図71参照)させることにより行なわれる。
【0197】
したがって、本実施例によれば、第8の実施例と同様な作用効果を得ることができる。しかしながら、特に本実施例では、前述したように第8の実施例を変形させた構成を採用したことに伴い、以下のようなさらなる効果を有する。
【0198】
(1)カム溝274´が糸保持部材270aの内面に形成されているために、糸保持部材270aのほぼ全長に渡って糸収納溝273を形成することができる。したがって、結紮用のループ部Lを第8の実施例よりも多く収納することができる。
【0199】
(2)図71に示すように一方の手で鉗子213の操作部224を把持し、他方の手でカートリッジ本体250の把持部323を把持して操作を行なうことができるため、すなわち、両手で操作を行なうことができるため、結紮糸212の締め加減が分かり易い。
【0200】
(4)操作部も含めて全てがカートリッジであり、カートリッジの着脱が楽になる。また、術後のメンテナンスは鉗子213を洗浄するだけで済み、非常に楽である。
【0201】
図72および図73は本発明の第10の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、糸保持部材270の回転動作が電動で行なわれる以外、その構成が第8の実施例とほぼ同一であるため、第8の実施例と同一部材については同一符号を付してその説明の詳細を省略する。以下、第8の実施例と異なる構成のみについて説明することとする。
【0202】
本実施例の結紮装置は、シース215(図72の(a)参照)と鉗子213(図72の(c)参照)とからなる鉗子部材と、鉗子213の軸部222に摺動自在に装着されたカートリッジ操作部217(図72の(c)参照)とカートリッジ本体250(図72の(b)参照)とからなるカートリッジ部とから構成されている。なお、カートリッジ本体250のケース280bは、第8の実施例で示したケース280とカバー部材290とを一体に形成したものである。ケース280bの後端に設けられた被係合部284が係合するカートリッジ操作部217のリング状の係合部288には、回転駆動するギア340が設けられている。このギア340は、制御装置347によってその駆動が制御される駆動装置346に接続されており、糸保持部材270の後端に設けられたギア345と噛み合って糸保持部材270を回転駆動させることができる。駆動装置346は、電気により駆動される例えば超音波モーターである。
【0203】
操作部224が位置する鉗子213の部位には電源スイッチ341が設けられている。この電源スイッチ341は、カートリッジ操作部217の操作ハンドル297が最も前方に押し出された際に操作ハンドル297と当接してそのスイッチが入るようになっている(図73参照)。電源スイッチ341のスイッチが入ると、鉗子213の操作部224内に設けられた電源342から電力がカートリッジ操作部217の操作棒227を通じて駆動装置346に供給される。これによって、駆動装置346は、制御装置347による制御の下、ギア340と噛み合う糸保持部材270が1回転するようにギア340を回転駆動させる。
【0204】
上記構成の結紮装置を使用する場合は、まず、カートリッジ本体250に鉗子213をセットする。この時、ケース280bの被係合部284がカートリッジ操作部217の係合部288に係合すると、係合部288に設けられたギア340に糸保持部材270のギヤ345が噛み合う。このセット状態で、結紮装置を体内に導入して、第8の実施例と同様の操作を行なう。体組織下に結紮糸212を回して鉗子213の把持部223によって結紮糸212の自由端を把持した後、カートリッジ操作部217の操作棒227を押し込んでカートリッジ本体250を前進させると、電源スイッチ341のスイッチが入り、糸保持部材270が1回転する。これにより、第8の実施例と同様に糸保持部材270上でループLが前進し、最先端のループLが糸保持部材270上から解放される。この状態から操作棒227を手元側に後退させると、解放されたループLが収縮して結び目が締まり、結節が形成される。この状態からさらに前述したと同様の操作を行なえば2重、3重と結紮を行なうことができる。
【0205】
以上説明したように、本実施例の結紮装置は、糸保持部材270をモーターによって自動的に回転させることができるため、結紮作業に要する操作力が軽くて済む。また、カートリッジ本体250にカム溝274等を設けなくて済むため、カートリッジ本体250の製造が容易となる。
【0206】
図74ないし図76は本発明の第11の実施例を示している。本実施例の結紮装置は第9の実施例とほぼ同一であるため、第9の実施例と同一部材については同一符号を付してその説明の詳細を省略する。以下、第9の実施例と異なる構成のみについて説明することとする。
【0207】
本実施例の結紮装置は、図74に示すように、カートリッジ本体250を構成するカバー部材 290aの先端が糸保持部271の先端から長く突き出している。カバー部材290aの先端は斜めにカットされており、切り欠き291と対向するカバー部材290aの部位には締め込み溝350が形成されている。図75の(a)に示すように、糸収納溝273の各溝部M1 ,M2 …には、各ループ群L1 ´,L2 ´…が巻装状態で配置されている。各ループ群L1 ´,L2 ´は、図75の(b)に示すように、第8の実施例で示したループL1 を2回巻いて成るループS1 と、ループL2 を2回巻いてなるループS2 とからなる。また、図示しないが、鉗子213のカムピン325は図70と反対側に設けられており、したがって、カートリッジ本体250に鉗子213を装着すると、図76に示すように、長尺部材282が上側に位置する。
【0208】
本実施例の結紮装置を用いて体組織を結紮する場合は、まず、繰り返し前述した動作によって結紮糸212を体組織下に回し、これを鉗子213の把持部で把持た後、カートリッジ本体250を前進させて第1のループ群L1 ´を糸保持部271上から解放する。ループ群L1 ´の締め込みは、これを締め込み溝350に引掛けながら第1の実施例と同様の操作によって行なわれる。すなわち、カートリッジ本来250の進退動作によってループS1 とループS2 とが順次締め込まれ、結果的に体組織300がループ群L1 ´によって結紮される。
【0209】
以上説明したように、本実施例の結紮装置は、簡単な操作で且つ少ない手順で結紮を連発して行なうことができる。したがって、結紮作業を迅速に行なうことができる。
【0210】
図77は本発明の第12の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、第8の実施例とほぼ同一であるため、第8の実施例と同一部材については同一符号を付してその説明の詳細を省略する。以下、第8の実施例と異なる構成のみについて説明することとする。
【0211】
本実施例の結紮装置では、カートリッジ本体250を構成するカバー部材290の先端から糸係止部材351が延びている。この糸係止部材351は、第1の実施例で示した糸係止部6と全く同様のものである。すなわち、糸係止部材351の先端には結紮糸12を挿入できる切り欠き16が設けられ、切り欠き16内にはカッター17が埋め込まれている。糸係止部材351の先端付近には、結紮糸212を係止可能な係止スリット19が糸係止部材351の長手方向に沿って設けられており、この係止スリット19によって結紮糸212が下向きに保持されている。係止スリット19の形状およびこれに対する結紮糸212の係止態様は第1の実施例と同一である。
【0212】
上記構成の結紮装置を用いて結紮糸212を体組織の下側に回して鉗子213で把持するまでの操作は第1の実施例と同様である。その後、体組織を結紮する場合は、第8の実施例と同様の操作を行なえば良い。したがって、本実施例の結紮装置は、結紮糸212の受け渡しから結紮作業までをそれ1本で行なうことができる。また、カッター17がカートリッジに取り付けられているため、カートリッジを取り替える毎に切れ味のよい刃を提供できる。
【0213】
図78および図79は本発明の第13の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、筒状のカートリッジ360と、カートリッジ360内を進退可能な鉗子(図示せず)とを備えている。カートリッジ360は、カートリッジ本体361と、カートリッジ本体361に設けられたループ移動部材362とからなる。図78の(a)(b)および図79の(a)〜(d)に示すように、カートリッジ本体361は、その外周面上に、結紮糸412のループLを個別に収納する収納部363を有している。この収納部363は、カートリッジ本体361の長手方向に沿って延び、複数の凹部364と複数の凸部365とからなる。凹部364と凸部365は交互に繰り返してカートリッジ本体361の長手方向に沿って一列に並んでいる。なお、収納部363の先端には凸部365が位置している。
【0214】
ループ移動部材362は、収納部363と平行に延びており、カートリッジ本体361の外面上に収納部363と平行に延設された収容溝366内に動作可能に収容されている。ループ移動部材362の上面には、ループ移動部材362の長手方向に沿って複数の凹部367と複数の凸部368とが形成されている。凹部367と凸部368は交互に繰り返してループ移動部材362の長手方向に沿って一列に並んでいる。なお、ループ移動部材362の先端には凹部367が位置している。
【0215】
ループ移動部材362は、その手元側がカム機構369に接続されており、このカム機構369によって収納部363と平行を保ったまま円運動を行なうことができるようになっている。すなわち、ループ移動部材362は、その凹部367がカートリッジ本体361の収納部363の凹部364と重なる位置(図78の(b)で示す位置)から上方に円運動しながら前進する(図79の(a)参照)ことによって凹部1つ分だけ移動し(図79の(b)参照)、次いで、その位置から収容溝366内を下方に円運動しながら後退する(図79の(c)参照)ことによって凹部1つ分だけ戻り、元の位置(図78の(b)および図79の(d)で示す位置)に帰る動作を行なう。また、ループ移動部材362は、図79の(a)に示すその最上点では、その凹部367がカートリッジ本体361の凸部365よりも高い位置となり、図79の(c)に示すその最下点では、その凸部368がカートリッジ本体361の凹部364よりも低い位置となる。
【0216】
なお、カム機構369の駆動手段は、特に図示しないが、カムを直接回転させるもの(例えば、手動のハンドル)であっても良いし、また、カートリッジ360内を進退する鉗子の動きに連動してカムを駆動させるものであっても良い。鉗子の動きに連動してカムを駆動させる場合は、鉗子の先端がカートリッジ本体361内に引き込まれた際にカムを駆動させることが望ましい。また、カートリッジ本体361の収納部363に収納される結紮糸412の複数の連続したループL(第8の実施例8と同じもの)は、その最後端が縛られて閉じており、ループ移動部材362が図78の(b)に示す位置に位置する状態で収納部363の凹部364とループ移動部材362の凹部367とに掛け渡して巻装される。
【0217】
次に、上記構成の結紮装置を用いて体組織を結紮する場合について説明する。まず、カートリッジ本体361内に鉗子を挿入し、この状態で体内に導入する。そして、体組織下に結紮糸412を回してその自由端を鉗子によって把持する。その後、カートリッジ本体361を前進させて鉗子の先端がカートリッジ本体361内に位置した段階でカム機構369を駆動させる。これによって、ループ移動部材362が図78の(b)に示す位置から上方に円運動しながら前進し始め、ループ移動部材362の凹部367に引掛けられていたループLが収納部363の凹部 364から凸部 365の上方へと引き上げられる(図79の(a)参照)。このまま、さらにループ移動部材362が前方に向けて円運動を行なうと、全てのループLが今まで収納されていた収納部363の凹部364から1つ分前方の凹部364へと移動される(図79の(b)参照)。その後、ループ移動部材362が後方に向けて円運動を行なうと、収納部363の最先端の凹部364に収納されていたループLがカートリッジ本体361上から解放される(図79の(c)参照)。この時、鉗子によって把持されていた結紮糸412の自由端は、解放されたループL内を通って、鉗子とともにカートリッジ本体361内に引き込まれている。その後、ループ移動部材362は元の後退位置に戻り、その凹部367にループLを捕捉する(図79の(d)参照)。この状態でさらに鉗子をカートリッジ本体361内に引き込むと、解放されたループLが閉じ、ループL内に位置する体組織が結紮される。その後、結紮を2重、3重と重ねる場合には、今までと同様の操作を繰り返せばよい。
【0218】
図80ないし図85は本発明の第14の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、カートリッジ本体と鉗子とからなる。なお、カートリッジ本体は第9の実施例のカートリッジ本体250と同一のものであるため、以下、鉗子についてのみ説明する。
【0219】
図80に示すように、本実施例の鉗子370は、管状の軸部372と、軸部372の先端に設けられた中空形状の針部373と、軸部372の基端に設けられた操作部371とからなる。針部373と軸部372にはこれらの内孔を通じて操作ワイヤ375が進退可能に挿通されており、操作ワイヤ375の基端は操作部371にスライド自在に設けられた操作体380に接続されている。操作ワイヤ375の先端には開拡習性が付与された糸把持用の弾性爪374が設けられている。この弾性爪374は、操作ワイヤ375を手元側に牽引して針部373内に収納された状態では収縮し、操作ワイヤ375を前方に押し出して針部373外に突出された状態ではその弾性によって開拡するようになっている。なお、第9の実施例と同様、鉗子370の軸部372の外面には、カートリッジ本体250のカム溝 274´(図69参照)と噛み合うカムピン325が突設されている。また、針部373の先端は、軸部372の径外に飛び出ない範囲で湾曲されている。
【0220】
次に、上記構成の結紮装置を用いて体組織を縫合する場合について説明する。まず、第9の実施例と同一のカートリッジ本体250内に鉗子370を挿入した後、針部373内に弾性爪374を収納した状態で、縫合対象となる体組織410を接合するように体組織410に針部373を刺通する(図82参照)。この状態で針部373から弾性爪374を突出させ、これによって拡開した弾性爪374によってカートリッジ本体250から延びる縫合糸400の自由端を把持する。このような縫合糸400の把持は、拡開状態にある弾性爪374の内側に縫合糸400の自由端を位置させ、その状態で弾性爪374を針部373内に収納して収縮させることによって行なう。
【0221】
その後、弾性爪374によって縫合糸400の自由端を把持した状態で、針部373を体組織410から抜けば、体組織410下に縫合糸400を回すことができる(図83参照)。この状態で、カートリッジ本体250を第9の実施例で既に説明したように動作させれば、ループLがカートリッジ本体250から解放され(図84参照)、ループLを締めて体組織410を縫合することができる(図85参照)。
【0222】
図86ないし図89は本発明の第15の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、カートリッジ本体と鉗子とからなり、その構成が第14の実施例と類似しているため、第14の実施例(カートリッジ本体について第9の実施例と類似している。)と異なる点のみ説明する。カートリッジ本体250のカバー部材290aの先端には針状部材415が設けられている。この針状部材415は、中空針であり、その先端のカット面415aから長軸方向に沿って延びるスリット417を有している(図87参照)。このスリット417は、その幅が縫合糸400の幅よりも僅かに小さく、ここに縫合糸400を係止させることができるようになっている。また、針状部材415はスリット417の後方で半円筒状に形成されており、その半円筒状の部位に設けられ且つスリット417と繋がる開放部419によってその内孔を開放している。カートリッジ本体250から延びる縫合糸400の自由端は、針状部材415の内孔に一旦通され、そこからスリット417内に導入されてスリット417に係止されている。この係止状態では、縫合糸400の自由端が下方に向けて垂れ下がっている(図88参照)。下方に向けて垂れ下がる縫合糸400の長さは、カートリッジ本体250内に挿通される鉗子370によって係止状態の縫合糸400を把持できる長さに設定される。なお、鉗子370の針部373の先端は、第14の実施例と異なり、直線状に形成されている。
【0223】
本実施例の結紮装置を用いて体組織を縫合する場合は、まず、縫合対象となる組織420,421にカートリッジ本体250の針状部材415と鉗子370の針部373とを刺入する(図89の(a)(b)参照)。この刺入時、カートリッジ本体250の針状部材415に保持された縫合糸400は、図89の(b)に示すように折れ曲がって針に沿うようにして組織420,421を通過し、組織420,421を完全に通過した段階で再び下方に向かって垂れ下がる元の状態に戻る(図89の(c)参照)。その後は、第14の実施例と同様の操作によって縫合糸400を鉗子370で把持し、カートリッジ本体250からループLを解放して縫合作業を行なう(図89の(d)参照)。このように、本実施例の結紮装置によれば、縫合糸の受け渡しが容易で且つ複数層の組織の縫い合わせが容易に行なえる。
【0224】
図90ないし図97は本発明の第16の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、図91に示すようなカートリッジ420を備えている。図90に示すように、カートリッジ420は内筒421と外筒422とからなる。外筒422は、鉗子(後述する)上に締まりばめによって固定される固定部 423を有している。また、外筒422は、その側面の一部に、内孔を外部に開放させるための開放部424を有している。外筒422の先端には、縫合糸400の後述するループG1 ,G2 ,G3 をそれぞれ個別に係止するための係止溝M1 ,M2 ,M2が設けられている。外筒422は、その内孔に後述するループL1 ,L2 ,L3を収納できるようになっている。内筒421は、その外周にループL1 ,L2 ,L3 が巻装されており、この巻装状態で外筒422内に挿入されるようになっている。内筒421を外筒422内に挿入することにより、内筒421の外周に巻装されたループL1 ,L2 ,L3 が保持される。なお、内筒421の外周に巻装されるループL1 ,L2 ,L3 は、互いに連続して繋がっており、基本的に第8の実施例のループL1 ,L2 ,L3 と同じものであるが、ループL1 とループL2 との間の縫合糸400の部位は開ループG1 を形成しており、ループL2 とループL3 との間の縫合糸400の部位は開ループG2 を形成しており、ループL3 と外筒422に固定される縫合糸400の固定端400aとの間の縫合糸400の部位は開ループG3 を形成している。これらの開ループG1 ,G2 ,G3 は、外筒422に形成された溝M1 ,M2 ,M2 に係止される。
【0225】
次に、上記構成の結紮装置を用いて体組織を縫合する場合について図92ないし図97を参照しながら説明する。
【0226】
まず、第1の鉗子430(図92参照)を外筒422の固定部423の側からカートリッジ420内に挿入することにより、外筒422から内筒421を押し出して、内筒421に巻装された各ループL1 ,L2 ,L3 を鉗子430上に巻装状態で受け渡す。その後、図92に示すように、縫合糸400の先端に設けられた針429を体組織440に刺通して縫合糸400を体組織440下に回した後、第1の鉗子430によって縫合糸400の自由端側を把持する。次に、第2の鉗子435をループG1 内に通して(図92)ループG1 を引き出し、外筒422の係止溝M1 からループG1 を外す。この状態から更にループG1 内に位置する第2の鉗子435を動かすと、ループL1 が第2の鉗子435上を滑って第2の鉗子435上から解放される(図93参照)。したがって、第1の鉗子430で把持している縫合糸400の自由端側を中心にループL1 が配置される。さらに、この状態から第2の鉗子435を動かすと、ループL1 が針429上を通過し、縫合糸400の自由端とループG1 とが引かれて、ループL1 が締め込まれる。その結果、体組織440が縫合され、第1の結節422が形成される(図94参照)。次に、第2の鉗子435をループG2 内に挿入してループ L2 を引き出し、同様に第2の結節を形成する。そして、さらに結節を重ねる必要がある場合には、第2の鉗子435をループG3 内に挿入(図95参照)してループL3 を引き出し(図96および図97参照)、同様に第3の結節を形成する。これによって3重の結紮状態が完成する。
【0227】
以上説明したように、本実施例の結紮装置において、解放されたループLは、その一端が次に待機する巻装状態のループLによって固定されて締められる。したがって、第2の鉗子435によって縫合糸400を直接把持して引かなくても、開ループG内に鉗子435を差し入れて引くだけでループLの締め込みを行なうことができる。なお、本実施例では3重結紮を行なう場合しか示されていないが、ループLの数を増やしてこれを個別に収納しておけば、4重、5重の結紮あるいは複数箇所の結紮を行なうことができる。
【0228】
図98および図99は本発明の第17の実施例を示している。本実施例の結紮装置は、第8の実施例とほぼ同一であり、第8の実施例と異なる点は図98に示すようにシース215の先端にカッター450と糸誘導溝451とが設けられている点のみである。
【0229】
このような構成では、結紮後、カートリッジ本体250をシース215内まで引き戻して結紮糸212を糸誘導溝451内に引き込み、その後、カートリッジ本体250を先端方向に押し出して結紮糸212をカッター450に突き当てれば(図99参照)、カッター450によって結紮糸212を切断することができる。
【0230】
図100の(a)〜(c)は本発明の第18の実施例を示している。本実施例の結紮装置は第8の実施例とほぼ同一であるため、以下、第8の実施例と異なる点のみ説明する。
【0231】
本実施例の結紮装置は、シース215(図100の(a)参照)と鉗子213(図100の(c)参照)とからなる鉗子部材と、鉗子213の軸部222に摺動自在に装着されたカートリッジ操作部217(図100の(c)参照)とカートリッジ本体250(図100の(b)参照)とからなるカートリッジ部とから構成されている。なお、カートリッジ本体250のケース280bは、第8の実施例で示したケース280とカバー部材290とを一体に形成したものである。ケース280bの後端に設けられた被係合部284が係合するカートリッジ操作部217のリング状の係合部288には、カートリッジ操作部217に設けられたケース480と一体に回転するギア340が設けられている。このギア340は、糸保持部材270の後端に設けられたギア345と噛み合って糸保持部材270を回転させることができる。ケース480には、アーム229に設けられたカムピン230と係合するカム溝274(図54参照)が設けられている。
【0232】
この構成によれば、カートリッジ本体250を前進させれば、ケース480が回転し、これに伴ってギア340が回転して糸保持部材270が回転し、糸保持部材270上から1つのループLが解放される。カートリッジ本体250に回転機能がないため、カートリッジ本体250の製造が容易となる。
【0233】
なお、以上説明してきた態様により、以下の項で示す各種の構成が得られる。
1.結紮糸を把持可能な把持部を先端に有する把持体と、前記把持体をその先端から突没可能に挿通する貫通孔と、結紮糸の一端を固定する糸固定手段と、結紮糸を保持可能な保持部とを有し、前記貫通孔に挿通された把持体に対して進退可能な保持体と、結紮糸に形成された少なくとも1つの結び目形成用ループを前記保持体の外周または前記把持体の外周に巻装状態で保持させる巻装保持手段と、結紮糸の他端を把持する前記把持部が前記保持体内に引き込まれる動作に伴って、前記保持体または把持体に対する前記結び目形成用ループの巻装状態を解放するループ解放手段と、前記把持体と前記保持体との相対的な移動によって、解放された前記結び目形成用ループを締め込む締め込み手段と、を具備することを特徴とする結紮装置。
【0234】
2.前記巻装保持手段は、前記保持体に着脱自在に取り付けられ、その外周に結紮糸の結び目形成用ループを巻装状態で保持する糸保持部材であり、この糸保持部材は前記把持体の外周に結び目形成用ループを巻装状態で受け渡すことを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0235】
3.前記ループ解放手段は、結紮糸の他端を把持する前記把持部が前記保持体内へ引き込まれる動作によって移動する結び目形成用ループと当接してこれを把持体の外周から脱落させることができる当接面を有しており、この当接面は、前記貫通孔の先端開口に位置して保持体に形成されていることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0236】
4.前記把持体は前記保持体内に進退可能に挿通されていることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0237】
5.前記巻装保持手段は、前記保持体の保持部の外周に形成され且つ結紮糸の結び目形成用ループを収容可能な螺旋状の溝であることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0238】
6.前記ループ解放手段は、螺旋状の溝に収容された結び目形成用ループが保持部から脱落するように前記保持部を回転させる回転手段を有していることを特徴とする第5項に記載の結紮装置。
【0239】
7.前記回転手段は、前記把持体と前記保持体の一方に設けられた係合ピンと、前記把持体と前記保持体の他方に設けられ前記係合ピンと係合するカム溝とを有し、前記カム溝は、前記保持体内に前記把持体が引き込まれる動作によって前記保持部が回転するように、前記係合ピンを案内することを特徴とする第6項に記載の結紮装置。
【0240】
8.前記把持体に対して前記保持体を進退移動させて前記係合ピンを前記カム溝に沿って移動させる操作手段を備えていることを特徴とする第7項に記載の結紮装置。
【0241】
9.前記回転手段は、回転駆動する駆動ギアと、前記保持部に設けられ且つ前記駆動ギアと噛み合う従動ギアとからなり、駆動ギアの回転駆動力を従動ギアを介して前記保持部に伝達して保持部を回転させることを特徴とする第6項に記載の結紮装置。
【0242】
10.螺旋状の溝に収容された結び目形成用ループの回転を防止する回転防止手段を備えていることを特徴とする第6項に記載の結紮装置。
【0243】
11.前記回転手段は、前記回転防止手段によって、螺旋状の溝に収容された結び目形成用ループを螺旋状の溝に沿って前進させることを特徴とする第10項に記載の結紮装置。
【0244】
12.前記糸固定手段が前記結び目形成用ループとともに螺旋状の溝に沿って前進することを特徴とする第11項に記載の結紮装置。
【0245】
13.螺旋状の溝に沿って前進する前記糸固定手段の溝からの脱落を防止する手段を備えていることを特徴とする第12項に記載の結紮装置。
【0246】
14.前記保持体を外側から保護する保護カバーを備えていることを特徴とする第6項に記載の結紮装置。
【0247】
15.前記保護カバーは、前記保持体に保持された結び目形成用ループの残量を確認できる切り欠きを有していることを特徴とする第14項に記載の結紮装置。
【0248】
16.前記保護カバーは、前記保持体に保持された結び目形成用ループの残量を確認できるように、透明材料によって形成されていることを特徴とする第14項に記載の結紮装置。
【0249】
17.前記保持体と前記把持体とが着脱自在であることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0250】
18.前記保持体は、前記糸固定手段と前記保持部とを有する筒状のカートリッジと、このカートリッジに着脱自在に取り付けられるシースとからなることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0251】
19.前記結紮糸の他端には針が設けられていることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0252】
20.前記把持体は前記保持体内にシール状態で挿通されていることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0253】
21.前記糸固定手段は保持体に穿設された糸挿通穴であり、この糸挿通穴は、その内径が結紮糸の外径よりも大きく且つ結紮糸に形成されたタグの外径よりも小さく設定されていることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0254】
22.前記糸固定手段は、保持体に対して結紮糸を接着固定することを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0255】
23.前記保持体は、保持部に保持された結紮糸の他端を係止させて仮止めする係止手段を有していることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0256】
24.前記係止手段によって係止された結紮糸の他端は、把持体の長手中心軸の延長線上に向かって保持部からほぼ垂直下方に垂れ下がるように配置されることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0257】
25.前記係止手段は、把持体の長手中心軸の延長線から一定の距離離間されていることを特徴とする第24項に記載の結紮装置。
【0258】
26.前記貫通孔の先端開口に位置する前記保持体の部位には、締め込まれる結び目形成用ループと係合してこの結び目形成用ループの結び目を押さえる係合溝が設けられていることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0259】
27.前記ループ解放手段は、複数の結び目形成用ループを個別に解放する個別解放手段を有していることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0260】
28.前記個別解放手段は、前記保持体の保持部の外周に形成され且つ結紮糸の結び目形成用ループを収容可能な螺旋状の溝と、螺旋状の溝に収容された結び目形成用ループが保持部から脱落するように前記保持部を回転させる回転手段とを備えていることを特徴とする第27項に記載の結紮装置。
【0261】
29.前記巻装保持手段は、複数の結び目形成用ループを前記保持体の外周または前記把持体の外周に個別に巻装保持させる個別保持手段を有していることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0262】
30.前記個別保持手段は、前記保持体の保持部の外周に形成され且つ結紮糸の結び目形成用ループを収容可能な螺旋状の溝であることを特徴とする第29項に記載の結紮装置。
【0263】
31.前記個別保持手段は、前記保持体に設けられ且つ結び目形成用ループ同士を区画する複数の隔壁であることを特徴とする第29項に記載の結紮装置。
【0264】
32.前記保持体の先端から突出する把持体の突出長さは、前記ループ解放手段によって解放される結び目形成用ループの展開長よりも長いことを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0265】
33.前記保持体は、結紮糸を切断するための刃を内蔵していることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0266】
34.前記締め込み手段は、前記保持体からの前記把持体の突出であることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0267】
35.前記糸固定手段は、前記巻装保持手段によって前記把持体もしくは前記保持体の外周に複数の連続した結び目形成用ループを巻き付けることを特徴とする第1項に記載の結紮装置。
【0268】
36.複数の連続した結び目形成用ループからなるループ群を形成する1本の結紮糸と、前記結紮糸の一端を固定するとともに前記ループ群を巻装状態で保持することによって前記結紮糸を保持する結紮糸保持手段と、前記ループ群を形成する各結び目形成用ループを前記結紮糸保持手段から個別に解放するループ個別解放手段と、を具備することを特徴とする結紮装置。
【0269】
37.前記結紮糸保持手段は、前記ループ群の内側に位置して配され且つ前記結紮糸の自由端を把持可能な把持部を先端に備えた把持体を有することを特徴とする第36項に記載の結紮装置。
【0270】
38.前記結紮糸保持手段は結紮糸の一端を固定する糸固定手段を有する管状体を有し、前記把持体は、前記管状体の先端から突没可能に前記管状体に進退自在に挿通され、前記ループ群を巻装状態で保持することを特徴とする第37項に記載の結紮装置。
【0271】
39.前記ループ個別解放手段は、前記管状体に設けられ且つ把持体に巻装状態で保持された各結び目形成用ループを区画する区画手段を有し、前記区画手段は、前記管状体に対して進退する前記把持体と協働して把持体に巻装状態で保持された各結び目形成用ループを個別に解放することを特徴とする第38項に記載の結紮装置。
【0272】
40.前記結紮糸保持手段は、結紮糸の一端を固定する糸固定手段を有し且つ前記ループ群を巻装状態で保持する管状の保持体を有し、前記把持体が前記保持体の先端から突没可能に前記保持体に進退自在に挿通されていることを特徴とする第37項に記載の結紮装置。
【0273】
41.前記ループ個別解放手段は、前記把持部が前記保持体内に引き込まれる動作に連動して前記保持体に巻装状態で保持された各結び目形成用ループを個別に解放することを特徴とする第40項に記載の結紮装置。
【0274】
42.前記糸固定手段は、前記保持体の外周に複数の連続した結び目形成用ループを巻き付けることを特徴とする第40項に記載の結紮装置。
【0275】
43.複数の連続した結び目形成用ループからなるループ群を形成する1本の結紮糸と、前記結紮糸の一端を固定するとともに前記ループ群を巻装状態で保持することによって前記結紮糸を保持する結紮糸保持手段と、前記ループ群を形成する各結び目形成用ループを結紮糸保持手段に個別に保持させるループ個別保持手段と、を具備することを特徴とする結紮装置。
【0276】
44.前記結紮糸保持手段は、結紮糸の一端を固定する糸固定手段を有する管状体と、前記管状体の先端から突没可能に前記管状体に進退自在に挿通され、前記ループ群を巻装状態で保持するとともに、前記結紮糸の自由端を把持可能な把持部を先端に有する把持体とからなることを特徴とする第 43項に記載の結紮装置。
【0277】
45.前記結紮糸保持手段は、結紮糸の一端を固定する糸固定手段を有し且つ前記ループ群を巻装状態で保持する管状の保持体を有し、ループ個別保持手段は、前記保持体の外周面に形成され且つ結紮糸の結び目形成用ループを収容可能な螺旋状の溝であることを特徴とする第43項に記載の結紮装置。
【0278】
46.前記ループ群を形成する各結び目形成用ループを前記結紮糸保持手段から個別に解放するループ個別解放手段を備えることを特徴とする第43項に記載の結紮装置。
【0279】
47.前記糸固定手段は、前記保持体の外周に複数の連続した結び目形成用ループを巻き付けることを特徴とする第43項に記載の結紮装置。
【0280】
48.一部に少なくとも1つのループを形成してなる結紮糸と、結紮糸の一端を固定する糸固定部と、前記ループを巻装状態で保持するループ保持手段と、前記ループの巻装状態を解放するループ解放手段とを備え、手術器具を前記ループの内部に挿通可能に配置できる本体と、を具備することを特徴とする結紮装置。
【0281】
49.結紮糸に形成された少なくとも1つの結び目形成用ループを保持し且つ前記結紮糸の一端を固定する保持体と、保持体内に挿入され且つ結紮糸を把持可能な把持手段を先端に有する把持体とを体内に導入し、保持体から延びる結紮糸の自由端部を別の鉗子もしくは前記把持体の把持手段によって把持してこれを体組織下に回し、体組織下に回した結紮糸の自由端を前記把持体の把持手段によって把持してこれを保持体内に引き込むことによって結び目形成用ループを保持体から解放してこの解放された結び目形成用ループ内に結紮糸の自由端を通し、前記把持体を保持体から突出させて把持体と保持体とを体組織をほぼ中心として相対的に移動させることにより、結び目形成用ループ内を通り把持体に把持された結紮糸の自由端を結び目形成用ループの外側で引き、且つ、これと逆方向に、把持体に把持された結紮糸の自由端を引いて結び目形成用ループを締込む、ことを特徴とする結紮方法。
【0282】
50.結紮糸に形成された複数の結び目形成用ループをそれぞれ個別に保持し且つ前記結紮糸の一端を固定する保持体と、保持体内に挿入され且つ結紮糸を把持可能な把持手段を先端に有する把持体とを体内に導入し、保持体から延びる結紮糸の自由端部を別の鉗子もしくは前記把持体の把持手段によって把持してこれを体組織下に回し、体組織下に回した結紮糸の自由端を前記把持体の把持手段によって把持してこれを保持体内に引き込むことによって第1の結び目形成用ループだけを保持体から解放してこの解放された第1の結び目形成用ループ内に結紮糸の自由端を通し、前記把持体を保持体から突出させて把持体と保持体とを体組織をほぼ中心として相対的に移動させることにより、第1の結び目形成用ループ内を通り把持体に把持された結紮糸の自由端を第1の結び目形成用ループの外側で引き、且つ、これと逆方向に、把持体に把持された結紮糸の自由端を引いて第1の結び目形成用ループを締込み、第1の結び目形成用ループから延びる結紮糸の自由端を前記把持体の把持手段によって把持してこれを保持体内に引き込むことによって第2の結び目形成用ループだけを保持体から解放してこの解放された第2の結び目形成用ループ内に結紮糸の自由端を通し、前記把持体を保持体から突出させて把持体と保持体とを体組織をほぼ中心として相対的に移動させることにより、第2の結び目形成用ループ内を通り把持体に把持された結紮糸の自由端を第2の結び目形成用ループの外側で引き、且つ、これと逆方向に、把持体に把持された結紮糸の自由端を引いて第2の結び目形成用ループを締込む、ことを特徴とする結紮方法。
【0283】
51.結紮糸に形成された少なくとも1つの結び目形成用ループを保持し且つ前記結紮糸の一端を固定する保持体と、保持体内に挿入され且つ結紮糸を把持可能な把持手段を先端に有する把持体とを体内に導入し、保持体から延びる結紮糸の自由端部を別の鉗子もしくは前記把持体の把持手段によって把持してこれを体組織下に回し、体組織下に回した結紮糸の自由端を前記把持体の把持手段によって把持してこれを保持体内に引き込むことによって結び目形成用ループを保持体から解放してこの解放された結び目形成用ループ内に結紮糸の自由端を通し、結紮糸の自由端側と、解放された結び目形成用ループと、結び目形成用ループから結紮糸の固定端側に向かって延びる結紮糸の部位と、前記把持体とによって囲まれた空間内に鉗子を挿入し、この状態で鉗子を体組織に向けて押し進めることにより結び目形成用ループを体組織に移動させて結び目形成用ループを締込む、ことを特徴とする結紮方法。
【0284】
52.一部にループを形成し且つそこから伸びる2端(自由端と固定端)を有する縫合糸と、軸方向に長く伸び且つ先端に把持手段を有する第1部材と、前記ループを第1部材の外側に保持するループ保持手段と、前記第1部材に沿って把持手段に対して相対的に移動可能に設けられ且つ前記ループより伸びる縫合糸の固定端を固定する糸固定手段を有する第2部材と、前記ループを前記把持手段先端外へ開放するループ開放手段とからなり、体組織下へ回した縫合糸の自由端を前記把持手段が把持し、前記ループ開放手段によりループを第1部材先端外へ開放し、したがって、ループ内に糸の自由端を配置し、体組織を締め付け、結び目を形成するものであり、結び目を略中心にしてループ内に通った縫合糸の一端を把持した把持手段と糸固定手段とが相対的に軸方向に沿って平行に反対に移動し、ループ内に通った縫合糸の自由端側と縫合糸の固定端側とを略逆方向に引いて結び目を締めるようにしたことを特徴とする結紮具。
【0285】
53.第1部材外周にループが保持され、第2部材にループ開放手段が設けられ、ループ開放手段が第2部材の第1部材に対する前進動に連動することを特徴とする第52項に記載の結紮具。
【0286】
54.ループ開放手段は、第2部材先端に設けられた軸方向に略垂直な面であるループ押し面からなり、第2部材の第1部材先端方向への移動によりループを第1部材先端から開放するものであり、前記ループ押し面はループの後方に配置されてループの少なくとも一部と接触することを特徴とする第52項に記載の結紮具。
【0287】
55.ループ開放手段は、縫合糸の糸固定端が第1部材の先端を越えて移動することによる第53項に記載の結紮具。
【0288】
56.第2部材は略筒状であり、第1部材はその内腔に配置され、第1部材と第2部材は摺動可能であり、第1部材の先端は第2部材を最も後方に引いたとき第2部材先端より突出するような長さを有し、把持手段により縫合糸の自由端をつかみ、第2部材を先端方向へ一旦移動させることにより、連動してループを第1部材先端方向に開放した後、第2部材の先端から後方向への移動とそれに伴う第1部材の突出により、結び目を略中心に糸の固定端側と自由端側を引いて、結び目を締めるようにしたことを特徴とする第 53項ないし第55項に記載の結紮具。
【0289】
57.第2部材は、第1部材との間のシール状態を保つシール手段を有していることを特徴とする第56項に記載の結紮具。
【0290】
58A.第1部材先端方向にループを開放した後、さらに第1部材を相対的に第2部材に対して後退させることにより組織を締め付け、ついで、第1部材を第2部材より突出させる方向に移動させ結び目を締め付けることを特徴とする第56項に記載の結紮具。
【0291】
58.ループは、自由端とつながり自由端をひくと締まる第1ループと、固定端とつながり固定端をひくと締まる第2ループとを有し、第2部材に対して第1部材は第2部材先端より後方へ移動可能であり、把持手段により縫合糸の自由端をつかみ、第2部材を先端方向へ一旦移動させることにより、連動してループを第1部材先端方向に開放した後、更なる第2部材の先端方向への移動(相対的な第1部材の後進)により、縫合糸の自由端側を第2部材略内腔に引いて、第1ループを縫合糸の自由端上に締め、第2部材先端にて体組織を締め、つづいて結び目を略中心において第2部材の先端から後方向への移動とそれにともなう第1部材の突出により、第2ループとそのループ中を通過した自由端からなる縫合糸の絡まりを逆転し、その結び目を糸の固定端側と自由端側を逆方向に引いて締めるようにしたことを特徴とする第58A項に記載の結紮具。
【0292】
59.第2部材先端面の一部に結び目押さえ溝を設け、第1ループを自由端上に締めて組織を締める際に、溝内に自由端を引き第1ループによる結び目を溝により押さえ体組織を締め付けるようにしたことを特徴とする第58項に記載の結紮具。
【0293】
60.縫合糸の自由端側に針を設けたことを特徴とする第 58項に記載の結紮具。
【0294】
61.糸固定手段は、第2部材に設けられた糸通過穴と、縫合糸の固定端に設けられたタグとからなることを特徴とする第52項に記載の結紮具。
【0295】
62.糸固定手段は、第2部材に設けられた糸通過穴に糸を縛るものであることを特徴とする第52項に記載の結紮具。
【0296】
63.糸固定手段は、第2部材に糸を接着するものであることを特徴とする第52項に記載の結紮具。
【0297】
64.縫合糸が複数の連続したループを形成し、第2部材に個々のループを別個に収納する収納部が設けられ、個々のループを個別に開放する手段が設けられていることを特徴とする第52項ないし第55項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0298】
65.ループは第1部材に保持され、第2部材は第1部材と接する隔壁と第1部材と接しないループ収納部が軸方向に連続して並び、各収納部は完全に隔絶されず部分的に連通し、ループを開放する手段は、第2部材の各ループ収納部が第1部材先端を越えて移動することによる第64項に記載の結紮具。
【0299】
66.縫合糸は特定の弾性を有し、第2部材先端より延び且つ前記縫合糸の自由端を軸方向に対して略垂直方向に第1部材方向に係止する係止手段を備えた棒状の糸係止部を備え、前記縫合糸は、その自由端を、第1部材と糸係止部材の先端間の幅以上の長さを糸係止部より突出して係止されていることを特徴とする第52項ないし第 65項のいずれか1項に記載の糸受け渡し手段を備えている結紮具。
【0300】
67.第1部材と第2部材とが着脱自在であることを特徴とする第52項ないし第66項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0301】
68.一部にループを形成し且つそこから延びる2端(自由端と固定端)を有する縫合糸と、縫合糸の固定端を固定した糸固定部を有し且つ鉗子等の手術用具に摺動自在に着脱可能な結紮具本体と、前記ループを結紮具本体先端付近に仮保持する手段と、手術用具に結紮具本体を装着する際に前記ループを手術用具外周に配置する手段と、手術用具に装着後にループを手術用具先端外へ開放する手段とからなることを特徴とする結紮具。
【0302】
69.本体は略筒状物であり、その内腔に手術用具が挿入可能であり、手術用具上に摺動自在であり、糸固定部は先端付近に設けられ、本体の長さは手術用具に装着時に最後端まで本体を後進させた際に鉗子先端が本体先端より突出するような長さであり、ループ開放手段は本体の手術用具先端方向への移動に連動しループを手術用具先端に開放することを特徴とする第68項に記載の結紮具。
【0303】
70.本体は後端方向に延びる操作部を含むことを特徴とする第68項または第69項に記載の結紮具。
【0304】
71.本体は操作部と糸固定部をそれぞれ含む部材に分離可能であることを特徴とする第70に記載の結紮具。
【0305】
72.本体は手術用具との間にシール手段を有していることを特徴とする第69ないし第71項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0306】
73.手術用具に装着後、ループを開放する手段は本体先端に設けられた軸方向に略垂直な面であるループ押し面と、本体の手術用具先端方向への移動により、ループを手術用具先端から開放するものであり、ループ押し面は、ループの少なくとも一部と接触し、ループの後方に配置されることを特徴とする第68項ないし第72項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0307】
74.ループ開放手段は糸固定部が手術用具先端を越えて移動することによる第68項ないし第73項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0308】
75A.ループを仮保持する手段は、糸固定部を含む本体の一部と着脱自在でああることを特徴とする第68項ないし第74項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0309】
75.ループを仮保持する手段は略筒状部材を含み、この外周にループは巻かれ、ループを手術用具外周に配置する手段はこの筒状部材を含み、本体が手術用具に装着される際に、手術用具先端に押し出され、ループを手術用具の外周に配置し、この筒状部材は糸固定部を含む本体の一部と着脱自在であることを特徴とする第75A項に記載の結紮具。
【0310】
76A.手術用具先端方向にループを開放した後、さらに、手術用具を相対的に本体に対して後退させることにより、組織を締め付け、ついで、手術用具を本体より突出させる方向に移動させ、結び目を締め付けることを特徴とする第75項に記載の結紮具。
【0311】
76.ループは、自由端とつながり自由端をひくと締まる第1ループと固定端とつながり固定端を引くと締まる第2ループとを含むことを特徴とする結紮具であり、手術用具に装着後、手術用具の把持手段により糸の自由端をつかみ、本体を先端方向へ一旦移動させることにより、連動してループを手術用具先端方向に開放した後、更なる本体の先端方向への移動(相対的な手術用具の後進)により、糸の自由端側を本体略内腔に引いて、第1ループを糸の自由端上に締め、本体先端にて体組織を締め、つづいて結び目を略中心において本体の先端から後方向への移動とそれにともなう手術用具の突出により、第2ループとそのループ中を通過した自由端からなる糸の絡まりを逆転し、その結び目を糸の固定端側と自由端側を逆方向に引いて締めるようにしたことを特徴とする第76A項に記載の結紮具。
【0312】
77.本体先端面の一部に結び目押さえ溝を設けたことを特徴とし、第1ループを自由端上に締めて組織を締める際に、溝内に自由端を引き第1ループによる結び目を溝により押さえ体組織を締め付けるようにしたことを特徴とする第76項に記載の結紮具。
【0313】
78.糸の自由端側に針が設けられていることを特徴とする第68項に記載の結紮具。
【0314】
79.糸固定手段は、本体に設けられた糸通過穴と、糸の固定端に設けられたタグとからなることを特徴とする第68項ないし第78項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0315】
80.糸固定手段は、本体に設けられた糸通過穴に糸を縛ることであることを特徴とする第68項ないし第79項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0316】
81.糸固定手段は、本体に糸を接着することであることを特徴とする第68項ないし第80項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0317】
82.縫合糸は複数の連続したループを形成し、本体に個々のループを別個に収納する収納部を設け、ループを仮保持する手段はこれらを全て保持する手段を含み、手術用具装着後、個々のループを個別に開放する手段を設けたことを特徴とする第68項ないし第81項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0318】
83.ループは仮保持手段に保持され、本体には、手術用具と接する隔壁と手術用具と接しないループ収納部が軸方向に連続してならび、各収納部間は部分的に連通し、手術用具に装着後ループを開放する手段は、本体の各ループ収納部が手術用具先端を越えて移動することによる第82項に記載の結紮具。
【0319】
84.糸は特定の弾性を有し、本体は、先端よりさらに先端方向にのび、前記糸状部材の自由端を軸方向に対して略垂直方向に手術用具方向に係止する係止手段を備えた棒状の糸係止部を含み、前記糸は、その自由端を、手術用具と糸係止部材の先端間の幅以上の長さを糸係止部より突出して係止されていることを特徴とする第68項ないし第83項のいずれか1項に記載の糸受け渡し手段を備えた結紮具85.糸係止部が糸固定部と一体に設けられていることを特徴とする第84項に記載の結紮具。
【0320】
86.一対の平行に軸方向に摺動自在な2つの部材と、弾性を有する糸状部材とからなり、第1部材は先端に把持手段を備え、第2部材は、先端に前記糸状部材を軸方向に対して略垂直方向に第1部材方向に係止する係止手段を備え、前記糸状部材は、その一端を、2片の部材の先端間の幅以上の長さを糸係止部より突出して係止されていることを特徴とする糸受け渡し手段を備えた結紮具。
【0321】
87.第1部材は鉗子などの手術器具であり、第2部材は筒状部材よりのびる棒状部材であり、先端付近に糸係止部をもつことを特徴とする第86項に記載の結紮具。
【0322】
88.第2部材が弾性を有していることを特徴とする第86項に記載の結紮具。
【0323】
89.糸係止部が溝であることを特徴とする第86項に記載の結紮具。
【0324】
90.糸係止部は糸が接着されていることを特徴とする第 86項に記載の結紮具。
【0325】
91.第1部材と第2部材との間に少なくとも一部空間が形成されていることを特徴とする第86項に記載の結紮具。
【0326】
92.第1部材がケリー鉗子であることを特徴とする第86項に記載の結紮具。
【0327】
93.ループは、複数のループが略同軸上に連続して形成され、少なくともループの1つは巻き方向が異なる第52項ないし第85項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0328】
94.第2部材を最後端に摺動させた時の第1部材の突出長は、一度に開放されるループの展開長以上であることを特徴とする第56項に記載の結紮具。
【0329】
95.結紮糸が複数の連続したループ群を形成し、個々のループ群は固定端部側と自由端部側を有し、ループ解放手段は、これらの個々のループ群を個別に解放する手段を含むことを特徴とする第52項ないし第63項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0330】
96.糸保持手段は各ループ群を個別に収納する手段を有することを特徴とする第95項に記載の結紮具。
【0331】
97.各ループ群は少なくとも一つ以上のループからなることを特徴とする第95項または第96項に記載の結紮具。
【0332】
98.ループは第1部材に保持され、第2部材は第1部材と接する隔壁と第1部材と接しないループ収納部が軸方向に連続してならび、各収納部は完全に隔絶されず部分的に連通し、ループを解放する手段は、第2部材の各ループ収納部が第1部材先端を越えて移動することによることを特徴とする第95項または第96項に記載の結紮具。
【0333】
99.ループ解放手段は各ループ群を第2部材に対して前進させるループ前進手段を含むことを特徴とする第96項ないし第98項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0334】
100.第2部材は糸保持部材と糸回転止め手段を含む糸保持部材支持部材からなり、糸保持部材はネジ状溝を有する筒状部材であり、収納手段はネジ溝であり、糸保持部材は糸保持部材支持部材に対して回転可能に設けられ、各ループ群は各ネジ溝を跨いで収納され、ループ解放手段並びに前進手段は、糸保持部材を糸保持部材支持部材に対してネジ溝の巻き方向と逆方向に回転させる回転手段であることを特徴とする第99項に記載の結紮具。
【0335】
100A.筒状部材上に被せられるカバーを有し、カバーは側面切り欠きを持つ断面C字状であり、ネジ状溝に巻かれたループの次のループへと繋がるネジ溝に収納されない交差部が前記切り欠きに納められるもので、前記糸回転止め手段はこの切り欠きの端面がループの交差部をおさえることによる第100項に記載の結紮具。
【0336】
101.回転手段は第2部材の第1部材に対する前進動に連動し、後進動には回転しない手段を有することを特徴とする第100項に記載の結紮具。
【0337】
102.回転手段は第2部材に設けられたカム溝と、これと噛み合うように第1部材に設けられたカムピンからなり、カム溝はネジ溝と逆方向に糸保持部材周上に一回転する螺旋溝とこの螺旋溝をバイパスする溝からなることを特徴とする第100項に記載の結紮具。
【0338】
103.回転手段がモーターであることを特徴とする第100項または第111項に記載の結紮具。
【0339】
104.糸端はこれを固定する糸固定部材に固定され、糸固定部材はネジ溝内に収納され、第2部材は糸固定部材抜け落ち防止手段を有することを特徴とする第100項ないし第103項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0340】
105.糸固定手段は糸の固定端を輪状に形成したものであることを特徴とする第100項ないし第103項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0341】
106.糸固定手段は第1部材または第2部材にループが巻き付けられていることによる第95項に記載の結紮具。
【0342】
108.ループ収納部は外周面の少なくとも一部が開放していることを特徴とする第105項ないし第107項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0343】
109.縫合糸が複数の連続したループ群を形成し、個々のループ群は固定端部側と自由端部側を有し、ループ解放手段は、これらの個々のループ群を個別に解放する手段を含むことを特徴とする第68項ないし第81項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0344】
110.糸保持手段は各ループ群を個別に収納する手段を有することを特徴とする第109項に記載の結紮具。
【0345】
111.各ループ群は少なくとも一つ以上のループからなることを特徴とする第109項または第110項に記載の結紮具。
【0346】
112.ループは鉗子に保持され、結紮具は鉗子と接する隔壁と鉗子と接しないループ収納部が軸方向に連続してならび、各収納部は完全に隔絶されず部分的に連通し、ループを解放する手段は、結紮具の各ループ収納部が鉗子先端を越えて移動することによることを特徴とする第109項ないし第111項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0347】
113.ループ解放手段は各ループ群を結紮具に対して前進させるループ前進手段を含むことを特徴とする第109項ないし第111項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0348】
114.結紮具は糸保持部材と糸回転止め手段を含む糸保持部材支持部材からなり、糸保持部材はネジ状溝を有する筒状部材であり、収納手段はネジ溝であり、糸保持部材は糸保持部材支持部材に対して回転可能に設けられ、各ループ群は各ネジ溝を跨いで収納され、ループ解放手段並びに前進手段は、糸保持部材を糸保持部材支持部材に対してネジ溝の巻き方向と逆方向に回転させる回転手段であることを特徴とする第113項に記載の結紮具。
【0349】
114A.筒状部材上に被せられるカバーを有し、カバーは側面切り欠きを持つ断面C字状であり、ネジ状溝に巻かれたループの次のループへと繋がるネジ溝に収納されていない交差部が前記切り欠きに納められるもので、前記糸回転止め手段は、この切り欠き端面がループの交差部を押さえることによる第114項に記載の結紮具。
【0350】
115.回転手段は結紮具の鉗子に対する前進動に連動し、後進動には回転しない手段を有することを特徴とする第114項に記載の結紮具。
【0351】
116.回転手段は結紮具に設けられたカム溝と、これと噛み合うように鉗子に設けられたカムピンからなり、カム溝はネジ溝と逆方向に糸保持部材周上に一回転する螺旋溝とこの螺旋溝をバイパスする溝からなることを特徴とする第114項に記載の結紮具。
【0352】
117.回転手段がモーターであることを特徴とする第114項または第115項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0353】
118.糸固定手段は糸を固定する糸固定部材であり、糸固定部材は糸回転止め部材に摺動可能であり、ネジ溝内に収納され、糸回転止め部材は糸固定部材抜け落ち防止手段を有することを特徴とする第114項ないし第117項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0354】
119.糸固定手段は糸の固定端を輪状に形成したものであることを特徴とする第114項ないし第117項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0355】
120.糸固定手段は、結紮具にループが巻き付けられていることによる第109項に記載の結紮具。
【0356】
122.ループ収納部は外周面の少なくとも一部が開放していることを特徴とする第109項に記載の結紮具。
【0357】
123.複数の連続したループ群を形成しそこからのびる2端(自由端と固定端)を有する縫合糸と、これを保持する糸保持手段を含む結紮具であって、個々のループ群は固定端部側と自由端部側を有し、これらの個々のループ群を個別に解放する手段を設けたことを特徴とする結紮具。
【0358】
124.糸保持手段は各ループ群を個別に収納する手段を有することを特徴とする第123項に記載の結紮具。
【0359】
125.各ループ群は少なくとも一つ以上のループからなることを特徴とする第123項または第124項に記載の結紮具。
【0360】
126.ループ内に摺動自在に配される鉗子を含むことを特徴とする第123項ないし第125項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0361】
127.ループは糸保持手段に保持され、結紮具は糸保持手段と接する隔壁と糸保持手段と接しないループ収納部が軸方向に連続してならび、各収納部は完全に隔絶されず部分的に連通し、ループを解放する手段は、結紮具の各ループ収納部が糸保持手段先端を越えて移動することによることを特徴とする第123項ないし第126項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0362】
128.ループ解放手段は各ループ群を結紮具に対して前進させるループ前進手段を含むことを特徴とする第123項ないし第127項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0363】
129.結紮具は保持手段と糸回転止め手段を含む糸保持手段支持部材からなり、糸保持手段はネジ状溝を有する筒状部材であり、収納手段はネジ溝であり、糸保持手段は糸保持手段支持部材に対して回転可能に設けられ、各ループ群は各ネジ溝に収納され、ループ解放手段並びに前進手段は、糸保持手段を糸保持手段支持部材に対してネジ溝の巻き方向と逆方向に回転させる回転手段であることを特徴とすることを特徴とする第123項ないし第128項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0364】
129A.筒状部材上に被せられるカバーを有し、カバーは側面切り欠きを持つ断面C字状であり、ネジ状溝に巻かれたループの次のループへと繋がるネジ溝に収納されていない交差部が前記切り欠きに納められるもので、前記糸回転止め手段は、この切り欠き端面がループの交差部を押さえることによる第129項に記載の結紮具。
【0365】
130.回転手段は結紮具の鉗子に対する前進動に連動し、後進動には回転しない手段を有することを特徴とする第129項に記載の結紮具。
【0366】
131.回転手段は糸保持手段に設けられたカム溝と、これと噛み合うように鉗子に設けられたカムピンからなり、カム溝はネジ溝と逆方向に糸保持手段周上に一回転する螺旋溝とこの螺旋溝をバイパスする溝からなることを特徴とする第130項に記載の結紮具。
【0367】
132.回転手段がモーターであることを特徴とする第129項または第130項に記載の結紮具。
【0368】
133.糸端はこれを固定する糸固定部材に固定され、ネジ溝内に収納され、糸固定部材抜け落ち防止手段を有することを特徴とする第129項ないし第132項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0369】
134.糸固定手段は糸の固定端を輪状に形成したものであることを特徴とする第129項ないし第132項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0370】
135.糸固定手段は、結紮具にループが巻き付けられていることによる第123項に記載の結紮具。
【0371】
137.糸保持手段の外周面の少なくとも一部が開放していることを特徴とする第123項ないし第136項のいずれか1項に記載の結紮具。
【0372】
138.複数の連続したループ群を形成した縫合糸と、これを保持する糸保持手段を有する結紮具であって、糸保持手段に、個々のループを個別に収納する収納手段を設けたことを特徴とする結紮具。
【0373】
139.収納手段がネジ溝であることを特徴とする第138項に記載の結紮具。
【0374】
140.収納手段は結紮具に設けられた複数のループ係止溝であることを特徴とする第138項に記載の結紮具。
【0375】
141.ループ内に鉗子を挿通可能な先端に把持手段を備えた鉗子を含むことを特徴とする第138項に記載の結紮具。
【0376】
[目的]
(1)第1項〜第35項、第38項〜第42項、第44項〜第47項、第48項、第52項〜第85項、第93項体腔内で簡単に道具の出し入れなしに体壁に必要な穴を少なく、結び目よりのびる糸端を逆方向に締め付けることで、結び目自身を堅く締め付ける。また、これを簡単な構造(製造しやすい)により実現する。
【0377】
(2)第2項、第48項、第68項〜第85項および第66項〜第67項結び目となるループを形成する糸をすばやく簡単に結び目を形成できる道具にとりつけること。また、これを簡単な (製造しやすい)構造により実現すること。交換部位を必要最低限とすること。また、一般的に用いられる器具に組みあわせて使用することで処置の汎用性を高めること。
【0378】
(3)第23項〜第25項、第86項、第66項、第84項、第87項〜92項容易に体壁にあける穴を少なく血管等の裏側に糸を回す作業を行う。道具の出し入れを少なく剥離等の操作と連続して糸を血管等の裏側に回せる。平行に配置される部材間での糸の受け渡しを容易にする。
【0379】
(4)第58A項、第58項、第76A項、第76項結び目となる糸の絡まりを多くし、結節の強さを増す。開腹手術のようにまず組織をしめ、ついで結節を強くしめる。
【0380】
(5)第34項、第94項解放したループを第1部材と第2部材の移動により確実に締め込む。
【0381】
(6)第5項〜第16項、第27項〜第31項、第35項、38項〜第42項、第44項〜第47項、第95項〜第108項結紮を道具の出し入れを最小限に、糸のもちかえなく、一孔にて、結び目を中心に糸を両側に引いて固く締め付けることができるもので、複数箇所の結紮が可能で、あるいは、通常の手術で行われる結紮を簡単に好適な結節数重ね、確実に糸を締めることができる。
【0382】
(7)第29項〜第31項、第45項〜第47項、第109項〜第122項手術用鉗子にとりつけて用いられる結紮用カートリッジで、結紮を道具のだしいれを最小限に、糸のもちかえなく、一孔にて行えるもので、複数箇所の結紮が可能で、あるいは、通常の手術で行われる結紮を簡単に好適な結節数重ね、確実に糸を締めることができる道具。
【0383】
(8)第36項〜第47項、第123項〜第141項複数箇所の結紮が簡単に行え、あるいは、通常の手術で行われるように結紮を好適な結節数重ねることで、確実に締めることができる道具。
【0384】
[作用]
(1)第1項〜第35項、第38項〜第42項、第44項〜第47項、第48項、第52項〜第67項および第93項本構成のものを体腔内に挿入し、ループから延びる糸の自由端を所望の体組織下に通して、第1部材(手術用具、把持体)先端に把持し、第1部材外へループ開放手段により開放し、ループ内に糸の他端を配置し、糸端を把持した第1部材と糸固定端を固定した第2部材(保持体)をループ部とそれを通過する糸からなる結び目を略中心に相対的に反対方向に移動させ、結び目からのびる糸端を逆方向に締め付けることで、固く結び目を形成する。
【0385】
(2)第2項、第48項、第68項〜第85項本構成においては、手術用の鉗子を用意し、この鉗子にカートリッジ本体(本体、保持体)を装着するが糸端はこれに固定されており、カートリッジと共に鉗子に装着され、このときループ配置手段によりカートリッジに保持されていたループの内側に鉗子が配置される。それ以降は上記(1)と同様にして結紮する。
【0386】
(3)第23項〜第25項、第86項〜第92項、第65項、第84項本構成においては、第1部材(鉗子、手術器具、把持体)で体組織下の癒着領域を剥離等しそのまま体組織下に配置させ、糸状部材を係止した第2部材(糸係止部、結紮具本体、カートリッジ、本体、保持体)を第1部材に対して先端に向け平行にすすめ、その先端は体組織を越えさせる。この時、糸状部材は第1部材に向いて軸方向に略垂直に保持されているが第1部材と第2部材の間にはさまる体組織上を第2部材がのりこえる時は、糸状部材は弾性変形には曲げられ体組織上を通過し、さらに第2部材を先端方向へ移動させると、糸状部材が体組織上をのりこえ、その後、糸の弾性により軸方向に対して略垂直に第1部材方向に向き直る。ここで、第2部材よりでる糸の長さは第1部材、第2部材の先端間の距離よりも長いものとなっているため、第1部材により糸端をつかみ、ついで第1部材と第2部材を相対的に移動させ、糸係止部より糸状部材をはずし、第1部材、第2部材をともに体組織に対してひいて、体組織下に糸を通す。
【0387】
(4)第58A項、第58項、第76A項、第76項糸自由端を体組織下に通した後、この糸端を第1部材(手術用具)にてつかみ、引くことによりループを第1部材より自由端上に開放し、さらに糸端をひくと、第1のループがしまり、糸の自由端をしめつけ、これにより組織をしめつける。ついで、第1部材を第2部材(結紮具本体)に対して押しだすと、ループは開放されくずれており、第1部材はそのループの外側を通り、また相対的に第2部材をひき、両糸端がひかれ、第2ループと自由端側の糸の絡まりが逆転し、自由端側の糸は大きく折れ曲がり、第2ループであった糸固定端と絡まりあって、さらに第1部材と第2部材を動かすと、第2ループと自由端よりなる結び目は、それを中心に両側に糸をひかれ、しぼりこまれる。
【0388】
(5)第34項、第94項ループが解放された後、解放されたループの展開長以上に第2部材(保持体)より第1部材(把持体)を突出させ、ループ縮め、結び目を中心に糸の両端を引き、結び目を締め込む。
【0389】
(6)第5項〜第16項、第27項〜第31項、第35項、第38項〜第42項、第44項〜第47項、第95項〜第108項第2部材からのびる体組織下に回した糸の自由端を第1部材(把持体)にて把持し、第2部材(保持体)に複数巻かれたループの一つのループ群をループ解放手段により解放し、ループ内に糸の自由端側を通し、ついで第2部材を引いて第1部材を突出させることで(糸端は第2部材に固定されており、残りのループが複数巻き付き縛りこまれているため、糸の固定部として機能する)結び目を略中心に糸を両側に反対方向に引き、結び目を締め込む。必要があれば、そのまま、次のループを解放し第2部材を引いて第1部材を突出させ、 さらに結節を重ねる。必要なだけ結節を重ねることができる。また、別の箇所を結紮したい場合には糸を切り、その糸の端部を自由端として、上記作業をくりかえすことが可能である。
【0390】
(7)第29項〜第31項、第45項〜第47項、第109項〜第122項鉗子にカートリッジ(結紮具、保持体)を取り付け、カートリッジからのびる体組織下に回した糸の自由端を鉗子にて把持し、カートリッジに複数巻かれたループの一つのループ群を解放しループ内に糸の自由端側を通し、ついでカートリッジを引いて鉗子を突出させることで(糸端はカートリッジに固定されており、残りのループが複数巻き付き縛りこまれるため、糸の固定部として働く)結び目を略中心に糸を両側に引き、結び目を締め込む。必要があれば、そのまま、次のループを解放しカートリッジを引いて鉗子を突出させ、さらに結節を重ねる。必要なだけ結節を重ねることができる。また、別の箇所を結紮したい場合には糸を切り、その糸の端部を自由端として、上記作業をくりかえすことが可能である。
【0391】
(8)第36項〜第47項、第123項〜第141項体組織化に回された糸の自由端上に複数保持されたループ群の一つを解放し、ループ中をくぐった糸の自由端側とその他端をひき、ループを縮め結び目とし、さらに両端の糸をひき結び目を締め付ける。さらに結節を重ねる必要がある場合には、そのまま自由端上に次のループ群を解放し、同様にループをくぐった糸の自由端とその他端側の糸を引いて結節を重ねることができる。別の箇所を結紮したい場合には、糸を切り、その糸を切った残りの端を自由端として上記作業を繰り返すことができる。
【0392】
[効果]
(1)第1項〜第35項、第38項〜第42項、第44項〜第48項、第52項〜第85項および第93項本構成によれば、1つの孔にて体腔内での結紮作業を行なえ、結び目から延びる糸の2端を反対方向に強く締めることが可能であり、結び目を固く締め付けることができる。また、この結紮作業が、第1部材と第2部材(把持体と保持体、鉗子とカートリッジ本体 )の前後進動だけで行なうことができるため簡単である。さらに、第1部材と第2部材と糸だけの構造であり、構成が簡単であり、製造が容易である。
【0393】
(2)第2項、第48項、第66項〜第85項本構成によれば、一般的に用いられる(内視鏡下)手術用器具と組み合わせことができ、処置の汎用性が高い。使用後の交換が容易であり、糸を巻きなおしたりする手間がなく、結紮作業がスムーズに進められるため、手術時間の短縮が図られる。最低限の部分の交換で済み、手術コストを抑えられる。
【0394】
鉗子に取り付けるだけで、1孔にて体腔内での結紮作業を行なえ、また、糸端が固定された本体(保持体)は鉗子にスライド自在なため結び目より延びる2端の糸を反対方向へ強く締め、結び目を固く締められる。また、カートリッジと鉗子の前後動のみでそれが可能で簡単である。
【0395】
ループは仮保持(巻装保持)されているため、鉗子をループ内に配置しなくても、ループがくずれることなく保管される。また、構成がシンプルである。
【0396】
(3)第23項〜第25項、第86項〜第92項、第66項、第84項剥離操作を行なうと、体組織下に鉗子部材を配置することになるが、これをこのままに1孔で別の道具の出し入れなしに連続的に糸の受け渡しが可能である。平行な部材間でもその間に組織を配置して、その先端で糸の受け渡しが容易に行なえる。
【0397】
(4)第58A項、第58項、第76A項、第76項糸の絡まりが多くなる上、糸の両端をきつく締め込めるため、結節の強度が増す。また、開腹術のように体組織を締め込んだ後、結節を締めることが可能である。
【0398】
(5)第34項、第94項ループの展開長以上に糸を引けるため、糸を締め付けるストロークを一本の鉗子上で稼ぐことができ、このため第1部材と第2部材(把持体と保持体)の移動のみで確実に糸を締め込むことができる。
【0399】
(6)第5項〜第16項、第27項〜第31項、第35項、第38項〜第42項、第44項〜第47項、第95項〜第108項結紮を道具のだしいれを最小限に、糸のもちかえなく、一孔にて、結び目を中心に糸を両側に引いて固く締め付けることができると同時に、通常の手術で行われるように好適な結節数だけ結紮を重ねることができ、確実に糸を締めることができ、あるいは、その後続けて別の箇所の結紮も行うことができる。
【0400】
(7)第29項〜第31項、第45項〜第47項、第109項〜第122項手術用鉗子にとりつけて用いられる結紮用カートリッジ(保持体)で、結紮を道具のだしいれを最小限に、糸のもちかえなく、一孔にて行えるもので、複数箇所の結紮が可能で、あるいは、通常の手術で行われる結紮を簡単に好適な結節数重ね、確実に糸を締めることができる。
【0401】
(8)第36項〜第47項、第123項〜第141項複数箇所の結紮が簡単に行え、あるいは、簡単に通常の手術で行われるように結紮を好適な結節数重ねることで、確実に締めることができる。
【0402】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の結紮装置によれば、他の処置具を要することなくそれ自身で体内結紮を行なうことができるとともに、簡単な操作で結紮糸の結び目を強固に締め付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る結紮装置を構成する結紮用カートリッジの斜視図である。
【図2】(a)は図1の結紮用カートリッジを構成するカートリッジ本体の糸係止部の先端部の平面図、(b)はカートリッジ本体の斜視図、(c)は図1の結紮用カートリッジを構成するループ保持部材の斜視図、(d)はカートリッジ本体の糸固定部の断面図である。
【図3】図2の(c)のループ保持部材に巻装される結紮糸のループ形状を示す図である。
【図4】図3のループを形成する手順を示す説明図である。
【図5】図3のループを締め付ける方法を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る結紮装置を構成する操作シースの半断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る結紮装置を構成する鉗子の斜視図である。
【図8】図7の鉗子を図6の操作シース内に挿通した状態を示す図である。
【図9】(a)は図1の結紮用カートリッジを鉗子の先端に取り付けた状態を示す断面図、(b)は結紮用カートリッジを操作シースに取り付けた状態から鉗子を押し出した状態を示す断面図である。
【図10】図7の鉗子によって管状物を周辺組織から剥離した状態を示す斜視図である。
【図11】図10の状態から操作シースを前方に押し出した様子を示す斜視図である。
【図12】図11の操作における結紮糸の自由端の動作状態を示す断面図である。
【図13】(a)は管状物の前方側に位置した結紮糸の自由端を鉗子によって把持した状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態から操作シースを後方に引き戻して結紮糸の自由端の係合状態を解除した様子を示す斜視図である。
【図14】図13の(b)の状態から結紮糸の自由端を管状物の下側に回した状態を示す斜視図である。
【図15】図14の状態から結紮糸の自由端をループ部内に通した状態を示す図である。
【図16】図15の状態からループ部を締め付ける状態を示す断面図である。
【図17】操作シースと鉗子とを相対的に進退させることにより、鉗子に把持された結紮糸の自由端部と主部材に固定された結紮糸の固定側端部とを逆方向に引張って、結紮糸の自由端部が挿通された結び目形成ループを締め付ける様子を示す斜視図である。
【図18】図17の結紮状態に至るまでを段階的に示した図である。
【図19】異なった結紮状況における使用形態を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施例に係る結紮装置を構成するカートリッジ本体の斜視図である。
【図21】図20のカートリッジ本体の糸固定部周辺を示す斜視図である。
【図22】結紮糸を溝に引掛けて操作シース内に引き込む様子を示す断面図である。
【図23】本発明の第3の実施例に係る結紮装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【図24】図23の結紮装置の先端側断面図である。
【図25】図23の結紮装置に保持された結紮糸の自由端を鉗子によって把持した状態を示す図である。
【図26】図25の状態から操作シースを後方に引き戻して結紮糸の自由端の係止状態を解除した様子を示す図である。
【図27】図26の状態から結紮糸の自由端を操作シース内に引き込む様子を示す断面図である。
【図28】結紮糸を溝に引掛けて操作シース内に引き込む様子を示す断面図である。
【図29】図26の状態を上方から観察した様子を示す図である。
【図30】本発明の第4の実施例に係る結紮装置を構成する結紮用カートリッジの斜視図である。
【図31】結紮用カートリッジを構成する糸係止部材を操作シースに取り付けた状態を示す断面図である。
【図32】図30の結紮用カートリッジを用いて結紮糸のループを鉗子の外周に配置する状態を示す斜視図である。
【図33】(a)は本発明の第5の実施例に係る結紮装置を構成する結紮用カートリッジの斜視図、(b)は図33の(a)の結紮用カートリッジの上側断面図である。
【図34】鉗子を操作シース内に挿通した状態を示す斜視図である。
【図35】本発明の第5の実施例に係る結紮装置を用いて組織を縫合する様子を示す斜視図である。
【図36】図34の鉗子および操作シースの基端部の操作方法を示す説明図である。
【図37】操作シース内に結紮糸の自由端を引き込む様子を示す断面図である。
【図38】ループ部を締込む様子を示す斜視図である。
【図39】不要な結紮糸を切断する様子を示す斜視図である。
【図40】(a)は本発明の第6の実施例に係る結紮装置を構成する結紮用カートリッジのカートリッジ本体の斜視図、(b)は結紮用カートリッジを構成するループ保持部材の斜視図である。
【図41】カートリッジ本体とループ保持部材とを組み合わせた状態を示す図である。
【図42】図40の結紮用カートリッジを用いて結紮糸のループを鉗子の外周に配置する状態を示す図である。
【図43】組織に縫合針を刺し通した状態を示す図である。
【図44】結紮糸の自由端を第1のループ内に引き込む様子を示す図である。
【図45】第1のループを締め付けて組織を縫合する様子を示す図である。
【図46】結紮糸の自由端を第2のループ内に引き込む様子を示す図である。
【図47】第2のループを締め付けて組織を縫合する様子を示す図である。
【図48】本発明の第7の実施例に係る結紮装置の一方を構成する構成部の斜視図である。
【図49】本発明の第7の実施例に係る結紮装置の全体図である。
【図50】本発明の第8の実施例に係る結紮装置の斜視図である。
【図51】図50の結紮装置を構成する鉗子部材の分解斜視図である。
【図52】図51の(a)のAーA線に沿う断面図である。
【図53】図50の結紮装置を構成するカートリッジ部の分解斜視図である。
【図54】図53の(a)のB方向から見たカム溝の展開図である。
【図55】(a)はカートリッジ部を構成する糸保持部材とケースとを組み立てた状態を示す斜視図、(b)はカートリッジ部の斜視図である。
【図56】ループの解放手順を示す図である。
【図57】(a)は(b)のCーC線方向から見た正面図、(b)はカートリッジ部を構成する糸保持部材とケースとを組み立てた状態における側面図である。
【図58】(a)は(b)のDーD線に沿う断面図、(b)はカートリッジ部を構成する糸保持部材とケースとを組み立てた状態における下面図である。
【図59】本発明の第8の実施例の結紮装置の動作を段階的に示す図である。
【図60】本発明の第8の実施例の結紮装置の動作を段階的に示す図である。
【図61】本発明の第8の実施例の結紮装置の動作を段階的に示す図である。
【図62】本発明の第8の実施例の結紮装置の動作を段階的に示す図である。
【図63】本発明の第8の実施例の結紮装置の動作を段階的に示す図である。
【図64】本発明の第8の実施例の結紮装置の動作を段階的に示す図である。
【図65】第8の実施例の結紮装置の長尺部材の変形例を示す下面図である。
【図66】第8の実施例の結紮装置の変形例を示す下面図である。
【図67】本発明の第9の実施例に係る結紮装置を構成するカートリッジ部の分解斜視図である。
【図68】図67の(d)のF方向から見た正面図である。
【図69】図67の(b)の糸保持部材の側断面図である。
【図70】本発明の第9の実施例に係る結紮装置を構成する鉗子の側面図である。
【図71】本発明の第9の実施例に係る結紮装置の操作態様を示す図である。
【図72】本発明の第10の実施例に係る結紮装置の分解図である。
【図73】本発明の第10の実施例に係る結紮装置を用いて体組織を結紮する様子を示す図である。
【図74】本発明の第11の実施例に係る結紮装置の先端部分の斜視図である。
【図75】図74の結紮装置に巻装されるループの状態図である。
【図76】図74の結紮装置を用いて体組織を結紮する様子を示す図である。
【図77】本発明の第12の実施例に係る結紮装置の先端部分の斜視図である。
【図78】(a)は本発明の第13の実施例に係る結紮装置の正面図、(b)は本発明の第13の実施例に係る結紮装置の側面図である。
【図79】本発明の第13の実施例に係る結紮装置の動作状態を段階的に示す図である。
【図80】本発明の第14の実施例に係る結紮装置を構成する鉗子の断面図である。
【図81】図80の鉗子を備えた結紮装置を用いて結紮作業を行なう様子を段階的に示す図である。
【図82】図80の鉗子を備えた結紮装置を用いて結紮作業を行なう様子を段階的に示す図である。
【図83】図80の鉗子を備えた結紮装置を用いて結紮作業を行なう様子を段階的に示す図である。
【図84】図80の鉗子を備えた結紮装置を用いて結紮作業を行なう様子を段階的に示す図である。
【図85】図80の鉗子を備えた結紮装置を用いて結紮作業を行なう様子を段階的に示す図である。
【図86】本発明の第15の実施例に係る結紮装置の先端側の側面図である。
【図87】図86の結紮装置を構成するカバー部材の先端側の下面図である。
【図88】図87のカバー部材によって結紮糸を保持した状態を示す側面図である。
【図89】図86の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図90】本発明の第16の実施例に係る結紮装置の分解斜視図である。
【図91】本発明の第16の実施例に係る結紮装置の斜視図である。
【図92】図91の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図93】図91の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図94】図91の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図95】図92の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図96】図91の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図97】図91の結紮装置を用いて組織を縫合する様子を段階的に示す図である。
【図98】本発明の第17の実施例に係る結紮装置を構成するシースの先端側の斜視図である。
【図99】図98のシースを備えた結紮装置を用いて体組織の結紮を行う様子を示す図である。
【図100】本発明の第18の実施例に係る結紮装置の分解斜視図である。
【図101】結紮方法の別の態様を示す図である。
【図102】(a)は本発明の第8の実施例の変形例に係るカートリッジ本体の正面図、(b)は(c)のEーE線に沿う断面図、(c)は本発明の第8の実施例の変形例に係るカートリッジ本体の先端部の下面図である。
【符号の説明】
1…結紮用カートリッジ
2…カートリッジ本体
3…ループ保持部材
12…結紮糸
13…糸固定部
35…ケリー鉗子
176a〜176d…ループ収納部
273…糸収納溝
L…結び目形成用ループ

Claims (4)

  1. 各々が独立して結び目を形成可能な複数の結び目形成用ループを有する一本の結紮糸と、
    前記結紮糸の一端側を把持解放する把持部を先端に有する把持体と、
    前記把持体をその先端から突没可能に挿通する貫通孔と、前記結紮糸の他端側を固定する糸固定手段と、前記結紮糸を保持可能な保持部とを有し、前記貫通孔に挿通された把持体に対して進退可能な保持体と、
    前記複数の結び目形成用ループを前記保持部の外周または前記把持体の外周に個別に巻装保持させる個別保持手段と、
    前記保持部の外周または前記把持体の外周に個別に巻装保持された前記複数の結び目形成用ループを個別に解放する個別解放手段と、
    を有していることを特徴とする結紮装置。
  2. 前記結び目形成用ループは、結紮対象部位から延出されている前記結紮糸の一端側を前記結び目形成用ループに挿通し、前記結び目形成用ループに挿通されて前記結び目形成用ループから延出されている前記結紮糸の一端側と前記結び目形成用ループから延出されている前記結紮糸の他端側とを引っ張ることにより、結び目を形成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の結紮装置。
  3. 前記個別保持手段は、前記保持体の保持部の外周に形成され且つ前記結び目形成用ループを収容可能な螺旋状の溝を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の結紮装置。
  4. 前記個別保持手段は、前記保持体に設けられ且つ前記結び目形成用ループ同士を区画する複数の隔壁を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の結紮装置。
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