JP4258662B2 - O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子が導入された酵母形質転換体 - Google Patents

O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子が導入された酵母形質転換体 Download PDF

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Description

本発明は、O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子が導入された酵母形質転換体、該酵母形質転換体を用いたO−フコース結合型タンパク質の製造方法、該合成系遺伝子の一部を欠失させた酵母形質転換体、該酵母形質転換体を用いるO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子のスクリーニング方法、これらの酵母形質転換体を作製するための遺伝子キット、同組み換えプラスミドに関する。
蛋白質に結合した糖鎖構造は、その蛋白質の生物活性における機能において非常に重要なことが明らかにされている。また、近年、プロテオミクスやゲノミクスによって蛋白質を基礎にした数多くの治療薬開発が盛んに行われているが、その治療蛋白質の機能発現においても、多くの場合翻訳後修飾である糖鎖修飾が必須である。哺乳類の糖鎖修飾は主にAsn結合型、ムチン型、プロテオグリカン型などがよく知られており(非特許文献1参照)、それぞれに異なった生合成経路を経て固有の糖鎖構造を形成している。
現在、治療蛋白質の多くは動物細胞によって発現、生産されている。しかしながら生産量や生産物の不均一性、培養のコスト、ウイルスのコンタミネーション、安定な生産細胞の取得にかかる時間などを考慮すると、動物細胞での発現には不都合な点も多くみてとれる。それでも動物細胞による発現生産が大きなアドバンテージを有するのは、動物細胞で発現した蛋白質が哺乳類本来の多岐にわたる複雑な糖鎖修飾を受け、治療薬として速やかに体内に取り込まれ機能を発揮するためである。
前述のような動物細胞での問題を克服するために、治療蛋白質の中には大腸菌のような原核生物の発現システムにより非常に安価に生産されているものもある。しかし、原核生物では一般に蛋白質を糖鎖で修飾する代謝経路自体が存在しない。つまり、糖鎖修飾を可能にするための宿主としては、少なくとも、真核生物であることが必要である。そこで、現在では植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞などの代替宿主による蛋白質発現システムが検討されるに至っている。その中でも酵母は、真核生物でありながら単細胞生物であるため扱いやすく、モデル生物として古くから研究の場で広く利用されており、その代謝経路に関しても最も多くの知見が蓄積されている。基本的な糖鎖構造を解明したうえで酵母を代替宿主として利用すべく改変することは、安価な治療薬開発につながることを意味する。
Asn結合型糖鎖は哺乳類でも酵母でも小胞体までは同じ機構で合成される。小胞体ではマンノース8残基とN-アセチルグルコサミン2残基からなるM8ハイマンノース型糖鎖(Man8GlcNAc2)が結合した糖蛋白質が合成される。続くゴルジ体以降での修飾は哺乳類と酵母で本来全く異なっているが、近年、酵母の遺伝子工学的操作によって、Asn結合型糖鎖のヒト型への改変がなされている。動物細胞に比べて遺伝子レベルでの改変が容易であり、安価な培養と生産性の向上が期待できる酵母細胞を、糖蛋白質治療薬の生産宿主として利用するための試みである。
哺乳類細胞ではゴルジ体において、小胞体で合成した上記のMan8GlcNAc2構造が何等変化を受けない場合、リン酸基の付加により酸性糖鎖をもつ糖蛋白質に変化する場合、混成型及び複合型と呼ばれる多様な糖単位による修飾を受ける場合に分けられる。しかしながら、酵母におけるゴルジ体での糖鎖修飾はMan8GlcNAc2にマンノースが数残基から100残基以上付加した糖外鎖を生成する。この非常に大きなマンノース構造を削るために、初発のマンノース転移反応をつかさどる酵素をコードするOCH1遺伝子の破壊を行うと、酵母においてもMan8GlcNAc2構造のみが付加した糖蛋白質が生産されることがわかっている(非特許文献2参照)。さらにOCH1破壊株を用いて、哺乳類細胞における混成型や複合型糖鎖へ近づけるための研究も行われている。外来のマンノシダーゼを導入することによってMan8GlcNAc2構造の刈り込みを試み、より哺乳類ヒト型に近いコア構造を実現した例(非特許文献3参照)や、刈り込んだコア構造にさらに酵母内在の糖ヌクレオチドを利用してGlcNAcを転移した例(非特許文献4参照)などが挙げられる。
哺乳類細胞における複合型糖鎖には非常に重要な機能を有する糖単位としてフコースやシアル酸などがある。特にフコースの転移は複合型の分岐数を増し、複合型糖鎖の多様性に富む分岐構造を作り出している。また、ムチン型糖鎖においては、フコース含有構造として癌関連糖鎖抗原のシアリルルイスA抗原、シアリルルイスX抗原などが知られており、糖蛋白質中のフコースの重要性が明らかとなっている。
しかしながら、フコースやシアル酸といった糖単位は酵母由来の糖蛋白質には存在しない。これらの糖を蛋白質に転移する代謝系酵素群が、酵母の遺伝子には全くコードされていないためである。酵母を宿主とした有用糖蛋白質生産を発展させるためには、哺乳類細胞において重要な機能を有するこれらの糖単位を含む糖鎖構造形成を可能にする必要がある。既存の技術だけでは、酵母においてフコースやシアル酸から成る糖鎖構造を作り出すことはできない。酵母でこれらを可能にするためには、まず出発材料として酵母には存在しない糖転移酵素の糖供与体となるGDP-フコースやCMP-シアル酸といった糖ヌクレオチドのプールを酵母細胞内に作り出すことが必要であり、これがまず大きな足かせとなっていた。近年、発明者らは、ようやくこの技術に関し、哺乳類から植物までよく保存されているGDP-マンノースからのde novo合成経路を酵母に移植することで、GDP-フコースを酵母細胞内に蓄積させることに成功した(特許文献1参照)。このGDP-フコースを有効活用することができれば、酵母においてフコースの結合した糖鎖構造を作り出すことが可能となるが、従来技術では本来酵母に存在しないGDP-フコースをin vivoで利用することは不可能であった。
一方、哺乳類細胞には、蛋白質中のセリン/スレオニン残基に酸素を介して直接フコースが結合している糖鎖構造があることが明らかとなっている。O−結合型フコース構造は主に細胞表層にある膜蛋白質から発見されており、細胞と細胞の相互作用やシグナル伝達に関わっていることが明らかにされてきている。ノッチ(Notch)シグナルを調節するノッチレセプターには細胞外ドメインに多くのO−結合型フコースが存在する。ノッチのシグナル伝達において、このフコースを含む糖鎖構造が必須であり、その糖鎖の構造や割合によってシグナル伝達が複雑に制御されていることがわかってきている(非特許文献5参照)。さらにノッチリガンドの細胞外ドメインも同じような構造を有していることが明らかとなっており(非特許文献6参照)、N−結合型糖鎖に含まれるフコースと並んで、O−結合型フコースの役割は、近年ますます興味深いものとなっている。糖蛋白質の生理活性を含む糖鎖の構造と機能の関係を解明するためにも、希有な構造体である上述のような糖蛋白質を大量に取得することができれば、これまでにない知見が得られることは明らかである。
さらに、酵母を宿主とする発現系は蛋白質の機能や性質を同定するために使用されており、これまで多くの外来蛋白質の遺伝子が酵母に導入されてきている。その中でも、ヒトを含む動植物における糖ヌクレオチド輸送体による糖ヌクレオチドの輸送活性の測定は、酵母において該糖ヌクレオチド輸送体を組み換え蛋白質として取得し、これを酵母のゴルジ体画分、すなわち酵母の糖タンパク質合成系を利用して、基質とする糖ヌクレオチドの輸送活性を間接的に測定することにより行うのが常法の一つとなっている。しかしながら、酵母における糖蛋白質合成系は、糖ヌクレオチドの種類によって代謝しないものも多く、このような酵母の糖タンパク質合成系が機能しない糖ヌクレオチドを基質とする場合、非常に低い活性を解析することとなる。例えば、本来の動植物の細胞内においては、それ自体の糖ヌクレオチド輸送体が機能発現し、実際に試験基質となる糖ヌクレオチドを輸送しているにもかかわらず、この酵母のゴルジ体画分を用いる測定法によっては、輸送活性が低いと判定される危険性があり、このため、最も高い輸送活性を示す基質を的確に突き止めることは、多くの時間と労力とコストを必要とすることになる。
竹内誠、グリコバイオロジーシリーズ5、グリコテクノロジー、木幡陽・箱守仙一郎・永井克孝編、講談社サイエンティフィック、191-208(1994) Nakayama et al., EMBO J., 11, 2511-2519 (1992) Chiba et al., J. Biol. Chem., 273, 26298-26304 (1998) Choi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 5022-5027 (2003) Okajima et al., Cell 111, 893-904 (2002) Panin et al., J. Biol. Chem., 277, 29945-29952 (2002) 特開2001−145488号公報
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み、酵母においてO−フコース結合型タンパク質を大量生産するための手段、及びO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子あるいはその発現タンパク質の新たな探索手段を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明者らが先に開発した酵母の細胞内にGDP−フコースを生産させる技術をさらに進め、本来酵母に存在しないO−フコース結合型タンパク質の合成系遺伝子を酵母に新たに導入することにより、酵母においてO−フコース結合型タンパク質を効率良く生産させることに成功した。また、本発明者らは、酵母において新たに構築したO−フコース結合型タンパク質の合成系が、有用なO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子あるいはその発現タンパク質の新たな探索手段として有効に利用できることをも見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(20)に関する。
(1) O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子が導入された、酵母形質転換体。
(2) O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子が、GDP−フコース合成酵素遺伝子、GDP−フコース輸送体遺伝子、フコース転移酵素遺伝子、及びフコース受容体遺伝子であることを特徴とする、(1)に記載の酵母形質転換体。
(3) フコース受容体遺伝子が、分泌シグナル配列を付加したものであることを特徴とする、(2)に記載の酵母形質転換体。
(4) フコース受容体遺伝子が、少なくともEGFドメインをコードする塩基配列を含むDNAであることを特徴とする、(3)に記載の酵母形質転換体。
(5) 酵母用プロモーターの制御下にGDP−フコース輸送体遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
(6) 酵母用プロモーターの制御下にフコース転移酵素遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
(7) 酵母用プロモーターの制御下にフコース受容体遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
(8) フコース受容体遺伝子が、分泌シグナル配列を付加したものである、(7)に記載の組換えベクター。
(9) フコース受容体遺伝子が、少なくともEGFドメインをコードする塩基配列を含むDNAであることを特徴とする、(8)に記載の組換えベクター。
(10) 酵母用プロモーターの制御下に、GDP−フコース合成酵素遺伝子、GDP−フコース輸送体遺伝子及び/又はフコース転移酵素遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
(11) (1)〜(4)のいずれかに記載の酵母形質転換体を作製するための、(5)〜(10)のいずれかに記載の組換えベクターの使用。
(12) (1)〜(4)のいずれかに記載の酵母形質転換体を培養し、培養物からO−フコース結合型タンパク質を採取することを特徴とする、O−フコース結合型タンパク質の製造方法。
(13) GDP−フコース合成酵素遺伝子、GDP−フコース輸送体遺伝子、フコース転移酵素遺伝子、及びフコース受容体をコードする遺伝子を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の酵母形質転換体を作製するための遺伝子キット。
(14) 以下の(a)又は(b)の遺伝子を導入したことを特徴とする酵母形質転換体。
(a) GDP−フコース合成酵素遺伝子及びGDP−フコース輸送体遺伝子
(b) GDP−フコース合成酵素遺伝子、フコース転移酵素遺伝子及び/又はフコース受容体遺伝子
(15) (14)に記載の酵母形質転換体を培養し、発現タンパク質を採取し、該発現タンパク質における糖分子の存在を指標として、O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子及び/又は該遺伝子の発現タンパク質をスクリーニングする方法。
(16) (14)に記載の酵母形質転換体を培養し、発現タンパク質を採取し、該発現タンパク質における糖分子の存在を指標として、O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子の発現タンパク質の活性を確認又は測定する方法。
(17) 以下の(a)又は(b)の遺伝子を含む、(14)に記載の酵母形質転換体を作製するための遺伝子キット。
(a) GDP−フコース合成酵素遺伝子及びGDP−フコース輸送体遺伝子
(b) GDP−フコース合成酵素遺伝子、フコース転移酵素遺伝子及び/又はフコース受容体遺伝子
(18) (1)〜(4)のいずれかに記載の酵母形質転換体を培養し、培養物からO−フコース結合型タンパク質を採取し、得られたO−フコース結合型タンパク質と非フコース結合型タンパク質の分子量を測定することにより、フコースのタンパク質に対する結合による分子量増加を求めることを特徴とする、タンパク質におけるジスルフィド結合の数を測定する方法。
(19) 配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列の1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつGDP−フコース輸送体活性を有するタンパク質。
(20) (19)に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
本発明によれば、酵母に本来存在しないO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子を導入された酵母形質転換体が提供され、酵母形質転換体を用いることによってO−フコース結合型タンパク質を大量生産することが可能となる。
また、本発明のO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子の一部を導入しない酵母形質転換体は、動植物中のO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子、あるいは該遺伝子の発現タンパク質のスクリーニング材料として利用できる。
従って、本発明の酵母形質転換体は、O−フコース結合型タンパク質を基本とする様々な糖鎖構造の合成、新規で有用なO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子又はその発現タンパク質のスクリーニングのための手段として有用であり、例えば、糖タンパク質の糖鎖等の構造に関連する疾病原因の解明、その治療法あるいは医薬品の開発等に大いに貢献できる。
また、本発明においては、酵母に本来存在しない代謝系を用いているので、酵母内在性の糖蛋白質合成系に影響を与えず、形質転換体の高密度培養が期待できるという利点もある。
本発明者らは、上記したように、すでに酵母の細胞内においてGDP結合型フコース(GDP-フコース)を生産させる技術を開発している。しかし、酵母においては、この糖ヌクレオチドを基質とする糖タンパク質合成系が存在していない。
本発明は、このGDP-フコースを基質とするO−フコース結合型タンパク質合成系に関与にする複数の遺伝子を酵母に導入することにより、酵母内に該蛋白質合成系を構築した酵母形質転換体を得るとともに、該酵母形質転換体を用いて、O−フコース結合型タンパク質を生産するものである。
1.O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子
本発明によれば、O−フコース結合型タンパク質を生産することのできる酵母形質転換体が提供される。本酵母形質転換体は、酵母にO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子を導入することにより作製できるが、O−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子としては、GDP−フコース合成酵素遺伝子、GDP−フコース輸送体遺伝子、フコース転移酵素遺伝子、及びフコース受容体遺伝子が含まれる。
以下、図1を参照しつつ本発明を説明する。
図1は、酵母におけるO−フコース結合型タンパク質合成過程を示す図である。
O−フコース結合型タンパク質を酵母で生産させるために、本発明においては、まず、上記本発明者らが開発した手段により酵母の細胞質内に基質となるGDP-フコースを蓄積させる。これには、GDP−フコース合成酵素遺伝子を酵母に導入するが、このGDP-フコース合成酵素遺伝子として、例えば、シロイヌナズナMUR1遺伝子及びAtFX遺伝子の2種の酵素遺伝子を用いることができる。これら遺伝子より発現される2種の酵素の強度により、酵母細胞内において生成しているGDP結合型マンノース(GDP-マンノース)からGDP-フコース への変換能を酵母に付与することが可能になる。MUR1及びAtFX遺伝子の塩基配列及び対応するアミノ酸配列を配列表の配列番号1、2及び3、4にそれぞれ示す。
次に、酵母細胞質内に蓄積したGDP-フコースを糖転移反応と糖蛋白質合成の場となるゴルジ体内部に輸送する能力を酵母に付与するため、GDP-フコース輸送体遺伝子を酵母に導入する。これにより、GDP-フコースは、酵母のゴルジ体内腔に輸送され、ゴルジ体内腔に取り込まれる。GDP-フコース輸送体遺伝子としては、例えば、ヒト由来の遺伝子(hGFT)又はシロイヌナズナ由来の遺伝子(AtGFT1)を用いることができる。
上記のシロイヌナズナ由来のAtGFT1は、酵母における高効率な機能発現を目的として、シロイヌナズナcDNAライブラリーを探索し、新たに単離した遺伝子である。該輸送体遺伝子の探索は、シロイヌナズナのデータベースから既知のGDP-フコース輸送体と相同性のある蛋白質を8つ拾い出し、これらと共に他の糖ヌクレオチド輸送体を含めた網羅的な系統樹を作成し、加えて、膜との配向性を考慮した疎水性プロット等を参考に行うことができる。
上記hGFT遺伝子及びシロイヌナズナから単離した新規AtGFT1遺伝子の塩基配列及び対応するアミノ酸配列を配列表の配列番号5、6及び7、8にそれぞれ示す。
さらに本発明においてはGDP-フコースを糖供与体として利用すべくフコース転移酵素遺伝子とその受容体発現遺伝子を組み合わせて酵母に導入する。フコース転移酵素は現在、哺乳類においてAsn結合型糖鎖やムチン型糖鎖の合成酵素として8つが知られているが、酵母にはこれらのどの糖転移酵素もその糖受容体となりうる内在性の基質も存在しない。そこで本発明ではまず、酵母にて発現しうるフコース受容体について検討した。このフコース受容体としては、ノッチレセプターやノッチリガンドに含まれるEGF(エピダーマル・グロース・ファクター)ドメイン構造が好ましいと考えられた。EGFドメイン中にO−フコース構造を含む蛋白質としては、ウロカイネース、ヒト凝血ファクター等がある。受容体としてこれらのEGFドメイン、又はこの構造を含む蛋白質そのものを利用することも可能である。また、転移反応を担う酵素は同定されていないものの、トロンボスポンジン中のTSRsモジュール中にもO−フコース構造が存在している。これら、未知の転移酵素・受容体の組み合わせも適宜利用可能である。これらの受容体と糖転移酵素を酵母において共発現させることで、酵母内にフコース転移反応系を新たに構築でき、酵母においてGDP-フコースを基質としてフコース転移反応を行い、O−フコース結合型タンパク質を生産することが可能となる。
EGFドメインへのフコース転移反応を担う酵素をコードする遺伝子としては、Protein-O-Fucosyltransferase-1 (POFUT1) が単離されている。O−結合型フコース構造では、EGFドメイン中の保存配列中に存在する特定のセリン/スレオリンにフコースが結合している。EGFドメイン中には6つのシステインが含まれ、これらが特定の3つのジスルフィド結合を形成している。フコースを転移する酵素として報告された、POFUT1の活性発現にはこの3つのジスルフィド結合が必須であり、保存配列のみからなる合成ペプチドではフコシル化は起こらない。つまり、1)ドメイン全体を必要とする、2)ドメイン中の特定のジスルフィド結合を必要とする、という点において、有機化学的に合成した受容体ではPOFUT1の活性発現に多大な労力を必要とする。本発明ではEGFドメインを酵母細胞内で合成するため、POFUT1と共発現させるだけで、適切な折り畳み構造をしたEGFドメインを容易にフコース受容体とすることが可能となる。POFUT1遺伝子の塩基配列及び対応するアミノ酸配列を配列表の配列番号9、10に示す。
本発明においては、EGFドメインをフコース受容体とする場合、少なくともEGFドメインをコードする塩基配列を含むよう遺伝子設計し、これを酵母に導入する。EGFドメインの塩基配列及び対応するアミノ酸は、配列表の配列番号11、12の配列におけるヒスチジンタグの後に示される。
また、酵母に導入するフコース転移酵素遺伝子とフコース受容体遺伝子の組み合わせは、酵母にて活性発現するものであれば上記のものに限定はされない。
さらに、本発明においてフコース受容体遺伝子には、酵母由来の分泌シグナル配列を付加することが好ましい。これにより、例えば、フコース転移酵素によりゴルジ体内腔において生成したO−フコース結合EGFドメインが、小胞体内腔、ゴルジ体内腔から分泌経路を経て培地中へ運ばれることとなり、結果的にO-フコース結合型タンパク質を高効率で生産可能となる。酵母由来の分泌シグナルとしては、従来公知、周知のものが使用でき、例えば出芽酵母のα−ファクター前駆体等が挙げられる。これにより、酵母α−ファクターのプレプロ配列とO−フコース結合型タンパク質との融合体が発現するが、この融合体におけるプレプロ配列は、酵母外に分泌される際には除去されるため、O−フコース結合型タンパク質が得られる。
α−ファクター及びヒスチジンタグを付加したEGFドメインをコードする遺伝子配列及び対応するアミノ酸配列を配列表の配列番号11、12に示す。
上記のO−フコース結合型タンパク質合成系に関与する各遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、同等の機能を保持する限り、そのアミノ酸配列(配列番号2、4、6、8、10、又は12)において1から数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であってもよい。ここで、「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
また、上記のO−フコース結合型タンパク質合成系に関与する各遺伝子によりコードされるタンパク質には、該タンパク質と機能的に同等であり、かつ該タンパク質のアミノ酸配列と相同性を有するタンパク質も含まれる。相同性を有するタンパク質とは、配列番号2、4、6、8、10、又は12に記載のアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するタンパク質を意味する。タンパク質の相同性を決定するには、文献(Wilbur, W.J. and Lipman, D.J., Proc.Natl.Acad., Sci. USA(1983) 80, 726-730)に記載のアルゴリズムに従えばよい。
上記のO−フコース結合型タンパク質合成系に関与する各遺伝子は、例えば、該遺伝子領域を含むゲノムDNA遺伝子あるいはcDNAライブラリーを鋳型とし、目的とする遺伝子断片となるようにセンス・アンチセンスプライマーを設計し、耐熱性ポリメラーゼを用いてPCR法によって増幅する。これにより、約2-3時間で数十万倍以上に増幅できる。プライマーには25-30merの合成一本鎖DNAを使用する。しかし、このPCR法に限らず合成してもよい。
上記のO−フコース結合型タンパク質合成系に関与する各遺伝子は、酵母形質転換体を作製するための他の材料とを予め組み合わせてキット化することもできる。例えば、キットには、上記遺伝子のほか、該遺伝子の増幅用プライマー、該遺伝子を導入するためのベクター、酵母細胞やその培養のための培地や容器、キットの使用方法を記載した指示書等を含めることもできる。
2.組換えベクター
本発明は、上記したO−フコース結合型タンパク質合成系に関与する各遺伝子を組み合わせて酵母に導入し、酵母形質転換体を得、酵母において、O−フコース結合型タンパク質合成系を形成するものである。これらの遺伝子導入においては、例えば、PCR法等により調製した遺伝子ORFを酵母で発現可能なプロモーター(以下、酵母プロモーターという)の下流に接続した遺伝子カセットを作製し、酵母発現用の組換えベクターとする。
本発明の組換えベクターには、例えば、酵母プロモーターの制御下に、GDP−フコース輸送体遺伝子又はフコース受容体タンパク質をコードする遺伝子のいずれかが挿入されている組換えベクター;GDP−フコース合成酵素遺伝子、GDP−フコース輸送体遺伝子及び/又はフコース転移酵素遺伝子が挿入されている組換えベクターが含まれる。
これらの組換えベクターの調製においては、例えば前記PCR法等により調製された遺伝子の両端に適宜制限酵素サイトを付加し、適切な制限酵素とDNAライゲースを用いることによって構築することが可能である。プラスミドに一度導入されたDNAは大腸菌を用いることで容易に増幅、単離、精製が可能である。また、遺伝子のDNA配列の決定等も通常の方法、例えばジデオキシ法等により行うことができる。さらには市販のシークエンスキット等を用いることでも簡便に行うことができる。
酵母プロモーターとしては、酵母での発現に用いられている既存、既知のものであれば全て利用可能であり、例えば、gal1プロモーター、gal10プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等が用いられる。
また、本発明の組換えベクターには上記プロモーターのほか、複製開始点(2μm DNA、ARS1由来のものなど)、選択マーカー(Leu2、Trp1、Ura3など)を含み、必要に応じてエンハンサー、ターミネーター、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル等を含んでいてもよい。
本発明における、組み換えベクターの構造について、図2を用いて以下に具体的に説明する。
各蛋白質はその発現の有無を確認するために、すべて異なるタグを融合した蛋白質として発現するように遺伝子を設計する。タグの種類は特に限定はないが、例えば、VSV-G、FLAG、ヒスチジン(His6)、HA、プロテインC等が挙げられるが、EGFドメインに融合させるタグに関しては蛋白質精製の容易なものを選択することが望ましい。例えば、ヒスチジン(His6)を用いると、それに親和性のある担体(ニッケルをキレートした担体)を用いることにより、アフィニティー精製が可能となる。
この際、選択マーカーについてもそれぞれのベクターですべて異なるマーカーを利用し、各ベクターによる形質転換をすべて確認できるようにプラスミドを構築する。また、これらの外来遺伝子を酵母染色体上に組み込む際には、自立複製点のないベクターを選択し、マーカー遺伝子の内部にある制限酵素サイトにてプラスミドを切断し、線状にした後、酵母細胞内へ導入する。さらに、MUR1とAtFXの図に示すように、プロモーターを含む発現カセットを同一のベクター上に組み込み使用することも可能である。
3.酵母形質転換体の作製
本発明の酵母形質転換体は、上記の組換えベクターを酵母に導入することにより得ることができる。ここで、酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等が挙げられる。
酵母への組換えベクターの導入方法としては、酵母へのDNAに導入に通常用いられる方法であれば特に限定されず、例えば組換えベクターを相同組換えによって酵母宿主に取り込ませる方法、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法等が用いられる。
このような手段により、得られた形質転換体は酵母遺伝学を利用した四分子解析によって掛け合わせ、分離することにより、上記各遺伝子の全部、又は一部が導入された酵母形質転換体を取得できる。
4.O−フコース結合型タンパク質の製造
本発明の目的とするO−フコース結合型タンパク質は、上記遺伝子の全部が導入された酵母形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清のほか、培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
本発明の酵母形質転換体を培地に培養する方法は、酵母の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。例えば、酵母形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、該生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスチープリカー等が用いられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。
培養後、本発明のO−フコース結合型タンパク質が細胞内に生産される場合には、細胞を破砕することにより該タンパク質を抽出する。また、本発明のO−フコース結合型タンパク質が細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。
得られたタンパク質におけるフコースの有無は、フコース認識レクチンを用いたブロット解析を利用するが、本来酵母に存在しない糖単位であるフコースの有無を評価するため、検出するレクチンの種類やその検出法はポジティブな結果であればどんなものでも、特に限定されない。
5.酵母形質転換体の利用
上記のO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子の全部又は一部が導入された酵母形質転換体は、新規なO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子のスクリーニング、ジスルフィド結合の数の測定、インビトロで合成困難な蛋白質基質を糖受容体とする糖転移酵素のスクリーニング、輸送基質の特定が困難な糖ヌクレオチド輸送体の活性確認等に利用できる。
例えば、上記のO−フコース結合型タンパク質合成系遺伝子の一部が導入された酵母形質転換体は、導入してない遺伝子と同等の機能を有する新たな遺伝子のスクリーニングに用いることができる。本発明において、O−フコース結合型タンパク合成系遺伝子の一部が導入された酵母形質転換体とは、(a) GDP−フコース合成酵素遺伝子及びGDP−フコース輸送体遺伝子を導入した酵母形質転換体、あるいは、(b) GDP−フコース合成酵素遺伝子、フコース転移酵素遺伝子及び/又はフコース受容体遺伝子を導入した酵母形質転換体をいう。例えば、GDP−フコース合成酵素遺伝子とフコース輸送体遺伝子が導入された酵母形質転換体は、新規なフコース転移酵素遺伝子とフコース受容体遺伝子のペアのスクリーニングに用いることでき、GDP−フコース合成酵素遺伝子とフコース転移酵素遺伝子とフコース受容体遺伝子が導入された酵母形質転換体は、新規なGDP−フコース輸送体遺伝子のスクリーニングに用いることできる。
スクリーニングは、上記の酵母形質転換体を培養し、培養物から発現タンパク質を採取精製し、該タンパク質における糖分子の存在を確認することによって、1)転移反応の場であるオルガネラに任意の糖ヌクレオチドが輸送されたかどうか(輸送体の活性)、2)転移反応の場であるオルガネラにおいて任意の糖転移反応が起こったかどうか(糖転移酵素の活性)の評価が可能となる。具体的には、フコースが結合したことで極性に変化が生じることを利用するクロマトグラフィー等による分離法や、フコースが結合したことを利用するレクチンカラム等を利用し、フコースの転移を確認できる。また、精製した受容体蛋白質の分子量をMSにより測定し、フコースが結合したことによる分子量増加を直接測定することによっても確認できる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1) O−フコース結合型タンパク質合成系の各遺伝子導入株の作製
(1) YCH01株の作製
hGFT遺伝子は、ヒト第20番染色体に位置し、hGFT遺伝子のcDNA塩基配列は、データベースにAF326199で登録されている。hGFT遺伝子のcDNA全長をプライマーA(AATGAGCTCATGAATAGGGCCCCTCTGAAG:配列番号13)とプライマーB(ACTCTAGATCATTTACCCAATCTATTCATTTCAATATCAGTGTACACCCCCATGGCGCTCTTC:配列番号14)を用いてPCRで増幅した。鋳型にはヒトbrain由来cDNAライブラリー(クロンテック社)を用いた。プライマーBには発現の確認に用いるVSVG抗原がコードされ、増幅したDNA断片は3’側にタグの融合したタンパク質として発現するように設計されている。このPCR産物をSac I部位とXba I部位にて切断し、すでに報告のあるプラスミドYep352GAPIIのSac I/Xba I部位に組み込み、酵母においてhGFT遺伝子が発現するプラスミドYEp352GAP-hGFT/VSVGを構築した。次にこのプラスミドからBamH Iで酵母GAPDHプロモーター、ターミネーターを含む領域を切り出し、両端の平滑化を行った後インテグレーションベクターであるpRS306のPvu II部位に挿入した。このプラスミドpRS-hGFT/VSVGをEcoR Vにて切断後、S. cerevisiae W303-1A株を形質転換した。形質転換は酢酸リチウム法を用いて行った。形質転換後、SD-Ura(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ウラシルを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて、30℃にて2日間培養し、形質転換体を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、YCH01株とした。
(2) YCH02株の作製
AtGFT1遺伝子は、シロイヌナズナ第5番染色体に位置し、AtGFT1遺伝子のcDNA塩基配列は、データベースにAt5g19980で登録されている。AtGFT1遺伝子のcDNA全長をプライマーC(AGAGCTCATGTCGTCCTCTCGATTCGAT:配列番号15)とプライマーD(CCTCTAGATCATTTACCCAATCTATTCATTTCAATATCAGTGTATACAACAGAAGCTAGTTTC:配列番号16)を用いてPCRで増幅した。鋳型にはシロイヌナズナ由来cDNAライブラリー(クロンテック社)を用いた。プライマーDには発現の確認に用いるためのVSVG抗原がコードされており、増幅したDNA断片の3’側に融合タンパク質として発現するように設計されている。このPCR産物をSac I部位とXba I部位にて切断し、すでに報告のあるプラスミドYep352GAPIIのSac I/Xba I部位に組み込み、酵母においてAtGFT1遺伝子が発現するプラスミドYEp352GAP-AtGFT1/VSVGを構築した。次にこのプラスミドからBamH Iで酵母GAPDHプロモーター、ターミネーターを含む領域を切り出し、両端の平滑化を行った後インテグレーションベクターであるpRS306のPvu II部位に挿入した。このプラスミドpRS- AtGFT1/VSVGをEcoR Vにて切断後、S. cerevisiae W303-1A株を形質転換した。形質転換は酢酸リチウム法を用いて行った。形質転換後、SD-Ura(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ウラシルを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて、30℃にて2日間培養し、形質転換体を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、YCH02株とした。
(3) YCH03株の作製
POFUT1遺伝子は、ヒト第20番染色体に位置し、POFUT1遺伝子のcDNA塩基配列は、データベースにAF375884で登録されている。POFUT1遺伝子のcDNA全長をプライマーE(AGAATTCATGGGCGCCGCCG:配列番号17)とプライマーF(GCTCCGGCTCGAGTCAGAACTCGTCCCGCA:配列番号18)を用いてPCRで増幅した。鋳型にはヒトbrain由来cDNAライブラリー(クロンテック社)を用いた。このPCR産物をEcoR I部位とXho I部位にて切断し、酵母の発現プラスミドYep352GAPのEcoR I/Xho I部位に組み込み、プラスミドYEp352GAP-POFUT1を構築した。次にPOFUT1の5'領域をプライマーEとプライマーG(AGCCCGCGGGCATTGAGATCTGTACTAGTCCCGGGAGCGGCAGAAGCAGC:配列番号19)により増幅し、このDNA断片をEcoR I部位とSac II部位にて切断した後、YEp352GAP-POFUT1の同部位と入れ替えた。さらにこの行程により新たに付加されたSpe I部位とBgl II部位に、ベクターpESC-trpからSpe I/Bgl II部位にて切り出したFLAG抗原発現のためのDNA塩基配列を挿入し、YEp352GAP-FLAG/POFUT1プラスミドを構築した。このプラスミドからBamH Iで酵母GAPDHプロモーター、ターミネーターを含む領域を切り出し、両端の平滑化を行った後インテグレーションベクターであるpRS305のPvu II部位に挿入した。このプラスミドpRS-FLAG/POFUT1をEcoR Vにて切断後、S. cerevisiae W303-1B株を形質転換した。形質転換は酢酸リチウム法を用いて行った。形質転換後、SD-Leu(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ロイシンを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて、30℃にて2日間培養し、形質転換体を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、YCH03株とした。
(4) YCH04株の作製
F7遺伝子は、ヒト第13番染色体に位置し、F7遺伝子のcDNA塩基配列は、データベースにNM000131で登録されている。F7遺伝子の発現産物はヒトの凝結因子human Factor VIIであり、このタンパク質中に内在するEGF ドメイン(f7egf-1〜4、f7egf-a〜f)を酵母において発現・分泌させるため、このアミノ酸をコードするDNA塩基配列を図3に示す通りに合成した(f7egf-1:配列番号25、f7egf-a:配列番号26、f7egf-2:配列番号27、f7egf-b:配列番号28、f7egf-3:配列番号29、f7egf-c:配列番号30、f7egf-4:配列番号31、f7egf-d:配列番号32)。またこれらの配列は精製用に5’側にHis6タグが融合するように設計した。全ての一本鎖DNAの5’側をリン酸化した後、アニール反応により4組の二本鎖DNAとし、これをそれぞれ結合して、5’側にApa I部位、3’側にKpn I部位を有するDNA断片とした。pCR2.1プラスミドのApa I/Kpn I部位に挿入し塩基配列の確認を行った後、Nae I部位とKpn I部位にて切断し、すでに報告のあるプラスミドpAFF2のNae I/Kpn I部位に組み込み、酵母分泌プラスミドYEp352GAP-alpha/HisEGFを構築した。このプラスミドからBamH Iで酵母GAPDHプロモーター、ターミネーターを含む領域を切り出し、インテグレーションベクターであるpJJ246のBamH I部位に挿入した。このプラスミドpJJ-alpha/HisEGFをEcoR Vにて切断後、S. cerevisiae W303-1B株を形質転換した。形質転換は酢酸リチウム法を用いて行った。形質転換後、SD-Trp(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、トリプトファンを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて、30℃にて2日間培養し、形質転換体を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、YCH04株とした。
(5) YCH05株の作製
MUR1遺伝子はシロイヌナズナ第3番染色体上に位置し、MUR1遺伝子のcDNA塩基配列はAY084574でデータベースに登録されている。この遺伝子の酵母における発現プラスミドとしてすでに報告のあるYEp352GAPII-MUR1-HAをPvu I部位にて切断し、MUR1のcDNAを含む領域をPvu I部位にて切断したpRS303の選択マーカーを含む領域とつなぎインテグレーション用のプラスミドpRS303-MUR1/HAを構築した。
AtFX遺伝子はシロイヌナズナ第1番染色体上に位置し、AtFX遺伝子のcDNA塩基配列はAB034806でデータベースに登録されている。この遺伝子の酵母における発現プラスミドとしてすでに報告のあるYEp352GAPII-AtFX-mycからBamH I部位で酵母GAPDHプロモーター、ターミネーターを含む領域を切り出し、平滑化を行った後にNae I部位にて切断したpRS303-MUR1/HAに挿入しインテグレーション用プラスミドpRS303-MUR1/HA-AtFX/mycを構築した。このプラスミドをNhe I部位にて切断後、S. cerevisiae W303-1A株を形質転換した。形質転換は酢酸リチウム法を用いて行った。形質転換後、SD-His(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ヒスチジンを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて、30℃にて2日間培養し、形質転換体を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、YCH05株とした。
上記(1)〜(5)で得られた形質転換体の染色体上での組み換えを確認するために行ったPCRの際に、S. cerevisiae YCH01株とYCH02株ではプライマーH(TTCCAAACTGGAACACT:配列番号20)とプライマーI(GCTACAGCAATTAATACTTGA:配列番号21)、 S. cerevisiae YCH03株ではプライマーHとプライマーJ(GCATTAGCCCATTCTTCCATCAG:配列番号22)、 S. cerevisiae YCH04株ではプライマーK(GTAAAACGACGGCCAG:配列番号23)とプライマーF(GCTCCGGCTCGAGTCAGAACTCGTCCCGCA:配列番号18)、S. cerevisiae YCH05株ではプライマーHとプライマーL(GGCAATTTCTACTCGGGTTCAGC:配列番号24)をそれぞれ用いた。その結果、親株であるW303-1A、W303-1B株では何も増幅されないのに対し、形質転換体では導入したプラスミドDNA塩基配列由来のバンドが増幅された。
(6) SDP01株の作製
上記(2)で構築したプラスミドpRS-AtGFT1/VSVGを鋳型に、プライマーM (ACCTTCGAAACGATGTCGTCCTCTCGATTC:配列番号33) とプライマーN (ACCTCTAGATCATTTACCCAATCTATTC:配列番号34)を用いてPCRでVSVG部分を含むAtGFT1遺伝子を増幅した。このPCR産物をNsp V 部位とXba I部位にて切断し、 プラスミドpPICZ( A のNsp V /Xba I部位に挿入し、プラスミドpPICZ-AtGFT1/VSVGを構築した。プラスミドYEp352GAPII-MUR1-HAを鋳型に、プライマーO(TATGGTACCATGGCGTCAGAGAACAAC:配列番号35) とプライマーP (CTTGGGCCCTTAAGCCTTGGCAACGTG:配列番号36)を用いてPCRでHA部分を含むMUR1遺伝子を増幅した。このPCR産物をKpn I 部位とApa I部位にて切断し、 プラスミドpGAPZαA のKpn I /Apa I部位に挿入し、プラスミドpGAPZ-MUR1/HAを構築した。pGAPZ-MUR1/HAからBgl II/Bam HI部位でGAPプロモーター、MUR1/HA及びターミネーター領域を含むDNA断片を切り出し、プラスミドpPICZ-AtGFT1/VSVGのBam HI部位に挿入し、インテグレーション用プラスミドpPICZ-AtAtGFT1/VSVG-MUR1/HAを構築した。このプラスミドをAvr II部位にて切り開いた後、P. pastoris SM 1168株に形質転換した。形質転換体をZeocin (100 (g/ml)を含むYPADのプレートに播き、30(Cにて5日培養し、形質転換体のZeocin耐性株を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、SDP01株とした。
(7) SDP02株の作製
上記(3)で構築したプラスミドYep352GAP-FLAG/POFUT1を鋳型に、プライマーQ (TAAGAATTCATGGGCGCCGCCG:配列番号37) とプライマーR (TAAGAATTCTCAGAACTCGTCCCGCA:配列番号38)を用いてPCRでFLAG部分を含むPOFUT1を増幅した。このPCR産物をEco RIにて切断し、 プラスミドpAO815 のEco RI部位に挿入し、プラスミドpAO815-FLAG/POFUT1を構築した。プラスミドYEp352GAPII-AtFX-mycを鋳型に、プライマーS (CAACTCGAGATGTCTGACAAATCTGCC:配列番号39) とプライマーT (CTTGGGCCCTTAAGCCTTGGCAACGTG:配列番号40)を用いてPCRでmyc部分を含むAtFX遺伝子を増幅した。このPCR産物をXho I /Apa I部位にて切断し、 プラスミドpGAPZαのXhoI /Apa I部位に挿入し、プラスミドpGAPZ-AtFX/mycを構築した。このプラスミドからBgl II/Bam HI部位でGAPプロモーター、AtFX/mycとターミネーター領域を含むDNA断片を切り出し、プラスミドPAO815-FLAG/POFUT1のBam HI部位に挿入し、インテグレーション用プラスミドPAO815-FLAG/POFUT1-AtFX/mycを構築した。このプラスミドをStu I部位にて切断した後、P. pastoris SM 1168株に形質転換した。形質転換体をヒスチジン欠損培地のプレートに播き、30(Cにて2日培養し、形質転換体のヒスチジン非要求性株を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、SDP02株とした。
(8) SDP03株の作製
上記(4)で構築したプラスミドYEp352GAP-alpha His/EGFを鋳型に、プライマーU (TAATACGTACATCACCATCACCATCAC:配列番号41) とプライマーV (TAAGAATTCTTAGTCATCCTTATGAGTTTC:配列番号42)を用いてPCRでHis-tag部分を含むF7遺伝子を増幅した。このPCR産物をSna BI/Eco RIにて切断し、 プラスミドpPIC9k のSna BI/Eco RI部位に挿入し、プラスミドpPIC9k-alpha His/EGFを構築した。このプラスミドをStu I部位にて切断した後、P. pastoris SM 1168株に形質転換した。形質転換体をヒスチジン欠損培地のプレートに播き、30(Cにて2日培養し、形質転換体のヒスチジン非要求性株を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、SDP03株とした。
(実施例2) O−フコース結合型タンパク質合成系の全遺伝子導入株の作製
(1) S. cerevisiae YCH09株, YCH10株の作製
形質転換株であるS. cerevisiae YCH01株とYCH03株、またS. cerevisiae YCH02株とYCH03株をYPAD培地のプレート上にて掛け合わせた後、それぞれSD-Ura, Leu(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ウラシルとロイシンを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて30℃にて2日間培養し、二倍体の選択を行った。得られた二倍体を四分子解析にて分離し、SD-Ura, Leu培地のプレートにレプリカすることで目的の形質転換体S. cerevisiae YCH06株とS. cerevisiae YCH07株を得た。
形質転換株であるS. cerevisiae YCH04株とYCH05株をYPAD培地のプレート上にて掛け合わせた後、SD-Trp, His(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、トリプトファンとヒスチジンを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて30℃にて2日間培養し、二倍体の選択を行った。得られた二倍体を四分子解析にて分離し、SD-Trp, His培地のプレートにレプリカすることで目的の形質転換体S. cerevisiae YCH08株を得た。
さらに形質転換株であるS. cerevisiae YCH06株とYCH08株又はS. cerevisiae YCH07とYCH08株をYPAD培地のプレート上にて掛け合わせた後、それぞれをSD-Ura, Leu, Trp, His(2%グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids(Difco社製)、ウラシル、ロイシン、トリプトファンとヒスチジンを除く核酸塩基及びアミノ酸混合物(20-400 mg/L))培地のプレートにまいて30℃にて2日間培養し、二倍体の選択を行った。得られた二倍体を四分子解析にて分離し、SD-Ura, Leu, Trp, His培地のプレートにレプリカすることで目的の形質転換体S. cerevisiae YCH09株とS. cerevisiae YCH10株を得た。
S. cerevisiae YCH09株とS. cerevisiae YCH10株は、2005年3月24日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)(茨城県つくば市東1丁目1番3号 中央第6)に、それぞれ受託番号FERM BP-10303、FERM BP-10304として寄託されている。
(2) P. pastoris SDP05株の作製
形質転換株であるSDP01株に、Stu I部位にて切り開いたプラスミドPAO815-FLAG/POFUT1-AtFX/mycを形質転換した。形質転換体をヒスチジン欠損培地のプレートに播き、30(Cにて2日培養し、形質転換体のヒスチジン非要求性株を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、SDP04株とした。更に、SDP04株にStu I部位にて切断したプラスミドpPIC9k-alpha His/EGFを形質転換した。形質転換体をGeneticin (200μg/ml)を含むYPDAのプレートに播き、30(Cにて5日培養し、形質転換体のカナマイシン耐性株を得た。形質転換体をプレートから掻き取りPCR反応液に懸濁する簡易法PCRにて染色体上への組み込みを確認し、SDP05株とした。
(実施例3) 遺伝子発現の確認
(1) S. cerevisiae YCH09株, YCH10株における遺伝子発現の確認
実施例2にて作製したS. cerevisiae YCH09株とS. cerevisiae YCH10株を3 mlのYPAD培地(2%ポリペプトン、1%酵母抽出液、2%グルコース、アデニン(40 mg/L))にて30℃で12時間培養後、遠心分離により菌体を回収した。この菌体をグラスビーズにて破砕し、破砕液に界面活性剤を加え不溶性タンパク質を可溶化した後、遠心分離によって上清を得た。得られた上清を粗酵素液としSDSサンプルバッファーにて変性後、常法にてウェスタンブロット解析を行った。ウェスタンブロット解析は一次抗体にヤギ抗VSVG抗体、マウス抗HA抗体、マウス抗myc抗体、マウス抗FLAG抗体を用い、一次抗体としてヤギ抗VSVG抗体を使用した際には二次抗体には抗ヤギIg抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を、一次抗体にマウス抗HA抗体、マウス抗myc抗体、マウス抗FLAG抗体を使用した場合には、それぞれに対し二次抗体として抗マウスIg抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を用い、検出はECL plusシステム(アマシャム社)を用いて、化学発光検出器(富士フイルム社)にて行った。結果を、図4に示す。
図4によれば、野生株(コントロール株)であるW303-1A株ではシグナルが全く見られないのに対し、形質転換株(YCH09株とYCH10株)では抗VSVG抗体によりhGFT遺伝子産物、AtGFT1遺伝子産物、抗HA抗体によりMUR1遺伝子産物、抗myc抗体によりAtFX遺伝子産物、抗FLAG抗体によりPOFUT1遺伝子産物に相当する分子量の位置にそれぞれシグナルが確認された。
(2) P. pastoris SDP05株における遺伝子発現確認
同様に、実施例2にて作製したP. pastoris SDP05株を50mlのBMMY(2%ポリペプトン、1%酵母抽出液、1.34%酵母ナイトロゲンベース、0.3M塩化カリウム、0.1Mリン酸緩衝液pH6.0)にて30℃で24時間培養後、1%のメタノールを24時間ごと添加して蛋白の発現誘導を行なった。72時間後に培養をやめ遠心分離により菌体を回収した。集めた菌体をワイパー酵母蛋白質抽出試薬(ピアス社)で蛋白を抽出し、サンプルをSDSサンプルバッファーにて変性後、常法にてウェスタンブロット解析を行った。ウェスタンブロット解析は一次抗体にヤギ抗VSVG抗体、マウス抗HA抗体、マウス抗myc抗体とマウス抗FLAG抗体を用い、一次抗体としてヤギ抗VSVG抗体を使用した際には二次抗体には抗ヤギIg抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を、一次抗体にマウス抗HA抗体、マウス抗myc抗体、マウス抗FLAG抗体を使用した場合には、それぞれに対し二次抗体として抗マウスIg抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を用い、検出はECL plusシステム(アマシャム社)を用いて、化学発光検出器(富士フイルム社)にて行った。結果を、図5に示す。
図5によれば、野生株(コントロール株)であるP. pastoris SM 1168株ではシグナルが全く見られないのに対し、形質転換株(SDP 05株)では抗VSVG抗体によりAtGFT1遺伝子産物、抗HA抗体によりMUR1遺伝子産物、抗myc抗体によりAtFX遺伝子産物、及び抗FLAG抗体によりPOFUT1遺伝子産物に相当する分子量の位置にそれぞれシグナルが確認された。
(実施例4)EGFドメインの精製と解析
(1) S. cerevisiae YCH09株, YCH10株の培養物由来のEGFドメイン
S. cerevisiae YCH09株とS. cerevisiae YCH10株を30 mlのYPAD培地(2%ポリペプトン、1%酵母抽出液、2%グルコース、アデニン(40 mg/L))にて30℃で60時間培養後、遠心分離により培養上清を得た。コントロール株としてS. cerevisiae YCH04株を同様に培養し、培養上清を得た。培養上清のpHを8.0に調整した後、Ni-NTA Agarose(キアゲン社)を添加し、0.3 M NaClと20 mMのイミダゾールを含むリン酸緩衝液(pH 8.0)にて洗浄した後、溶出は0.3 M NaClと250 mMのイミダゾールを含むリン酸緩衝液(pH 8.0)にて行った。得られた溶出液を精製EGFドメイン標品とした。
精製EGFドメインの存在はトリス−トリシン緩衝液系を用いたSDS-PAGEの後、CBB染色により確認した。図6(A)に示すとおり、酵母細胞内でKex2プロテアーゼによるα−ファクター(α-factor)のプレプロ配列の切断を受け、培地中に分泌したEGFドメインの大きさに相当する約5.7 kDaの位置にバンドが検出された。また、野生株(コントロール株)であるW303-1A株の培養上清由来の標品からはシグナルが全く見られなかった。
さらに常法によるウェスタンブロット解析を行った。一次抗体に抗His5抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を用い、検出はECL plusシステム(アマシャム社)を用いて、化学発光検出器(富士フイルム社)にて行った。結果を図6(B)に示す。CBB染色にてバンドが検出された標品については、EGFドメインのみを発現させたコントロール株(YCH04株)由来の標品を含め、全ての標品においてCBB染色でバンドの見られた位置にシグナルが確認された。
精製したEGFドメインのN末端アミノ酸配列解析を行ったところ、得られたドメインはα-factorのプレプロ配列が切断された設計通りの配列を有していた。
得られた精製EGFドメイン標品を常法によりSDS-PAGE後、PVDF膜上でレクチンブロットを行った。レクチンにはフコース認識レクチンであるヒイロチャワンタケ由来のビオチン標識レクチン(ホーネン社)を用い、続いてアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を用いた。検出はECL plusシステム(アマシャム社)を用いて、化学発光検出器(富士フイルム社)にて行った。結果を図7(A)に示す。
EGFドメインのみを発現させたコントロール株(YCH04株)の培養上清由来の標品からはシグナルが全く見られないのに対し、全遺伝子を発現させた形質転換株(YCH09株、YCH10株)由来の標品ではCBB染色でバンドのみられた位置にレクチンによるシグナルが確認された。特にGDP-フコース輸送体としては新規のAtGFT1を導入した株由来(YCH10株)の標品からより強いシグナルを検出した。
得られたEGFドメイン標品についてフコースの結合量を定量するため逆相カラムを用いたHPLC解析による純度検定を行った。カラムはコスモシルC4ブチルカラム(4.6 x 150 mm)を使用し、溶媒は0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒I)と0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル(溶媒II)を用いた。予め溶媒Iを流速1.0 ml/minで流すことでカラムを平衡化し、試料注入直後から溶媒IIの割合を50分かけて70%まで直線的に増加させ、EGFドメインを溶出した。検出はUV検出器(検出波長215 nm)にて行った。その結果を図7(B)に示す。まずEGFドメインのみを発現しているコントロール株(YCH04株)由来の標品は26分付近にシングルのピークP1として溶出された。これに対し、レクチンブロットにてシグナルが検出された標品では、コントロールピークの直前に新たなピークP2がピークP1と共に溶出した。面積比はおよそP1: P2=4:6であり、これがO−フコースの構造を有するEGFドメインかを検証するためにそれぞれのピークを分取した。
HPLCから分取したEGFドメイン標品をそれぞれ凍結乾燥品とした後、MALDI-TOF-MSによる分子量測定を行った。その結果を図7(C)に示す。HPLCにおけるピークP1由来の標品は約5704、ピークP2由来の標品は約5850の位置にそれぞれ分子量を示すピークが検出された。これらの分子量は設計したEGFドメインの理論値と一致する。フコースは他のヘキソースと異なり6位の酸素が脱酸素化されているため、一般的なヘキソースよりもその分子量増加分が少なく146であることが知られている。また、ピークP1の分子量はEGFドメイン中にジスルフィド結合が3カ所存在していることも示している。以上から、適切な折り畳み構造を形成したEGFドメイン中にフコース分子が一つ結合していることが明らかとなった。
(2) P. pastoris SDP05株の培養物由来のEGFドメイン
P. pastoris SDP05株を100mlのBMGY(2%ポリペプトン、1%酵母抽出液、1.34%酵母ナイトロゲンベース、1%グリセロール、0.3M塩化カリウム、0.1Mリン酸緩衝液pH6.0)にて30℃で24時間培養後、1%のメタノールを24時間ごと添加して蛋白の発現誘導を行なった。72時間後に培養をやめ遠心分離により培養上清を得た。また、コントロール株としてP. pastoris SM 1168株を同様に培養し、培養上清を得た。集めた培養上清をHis Trap Chelating カラム(ファルマシア)にかけ、0.3 M NaClと20 mMのイミダゾールを含むリン酸緩衝液(pH 7.0)にて洗浄した後、溶出は0.3 M NaClと300 mMのイミダゾールを含むリン酸緩衝液(pH 7.0)にて行った。溶出された蛋白ピークを回収し精製EGFドメイン標品とした。なお、精製はファルマシア社製のAKTA 100-Sにて行なった。
精製EGFドメインの存在はトリス−トリシン緩衝液系を用いたSDS-PAGEの後、CBB染色により確認した。図8(A)に示すとおり、酵母細胞内でKex2プロテアーゼによるα-factorプレプロ配列の切断を受け、培地中に分泌されたEGFドメインの大きさに相当する約5.7 kDaの位置にバンドが検出された。また、野生株(コントロール株)であるSM 1168株の培養上清由来の標品からはシグナルが全く見られなかった。
さらに常法によるウェスタンブロット解析を行った。一次抗体に抗His5抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を用い、検出はECL plusシステム(アマシャム社)を用いて、化学発光検出器(富士フイルム社)にて行った。結果は図8(B)に示した。
P. pastorisから得られたEGFドメイン標品についてフコースの結合量を定量するため逆相カラムを用いたHPLC解析による純度検定を行った。カラムはコスモシルC4ブチルカラム(4.6 x 150 mm)を使用し、溶媒は0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒I)と0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル(溶媒II)を用いた。予め溶媒Iを流速1.0 ml/minで流すことでカラムを平衡化し、試料注入直後から溶媒IIの割合を50分かけて70%まで直線的に増加させ、EGFドメインを溶出した。検出はUV検出器(検出波長215 nm)にて行った。その結果を図9に示した。まずEGFのみを発現させたコントロール株(SDP03株)から得られたEGFドメイン標品は23分付近にシングルのピークP3として溶出された。これはS. cerevisiae 株にEGFドメインのみを発現しているコントロール株(YCH04)由来の標準品と一致であった。また、SDP05株から得られたEGFドメイン標品は23分ピークの直前に新たなピークP4がピークP3と共に溶出した。面積比はおよそP3: P4=2:1であり、O−フコースの構造を有するEGFドメインと考えられる。
酵母におけるO−フコース結合型タンパク質合成過程を示す模式図である。 O−フコース結合型タンパク質合成系の各遺伝子発現用の組換えベクターの構造を示す模式図である。 EGFドメイン構築のために用いた合成DNAの塩基配列を示す。 O−フコース結合型タンパク質合成系の各遺伝子の酵母(S.cerevisiae)における発現を、ウェスタンブロッティングにより確認した写真である[M:分子量マーカー、レーン1:野生株(W303-1A)、レーン2:形質転換株(YCH10)、レーン3:形質転換株(YCH09)]。 O−フコース結合型タンパク質合成系の各遺伝子の酵母(P. pastoris)における発現を、ウェスタンブロッティングにより確認した写真である[野生株(SM1168)、形質転換株(SDP05)]。 S. cerevisiae酵母形質転換株の培養物精製標品におけるEGFドメインの存在を、SDS-PAGEの後、CBB染色(A)により、及び抗His抗体を使用したウェスタンブロッティング(B)により確認した写真である[レーン1:コントロール株(YCH04)、レーン2:形質転換株(YCH10)、レーン3:形質転換株(YCH09)]。 S. cerevisiae酵母形質転換株培養物からのEGFドメイン精製標品にフコースが結合していることを、フコース認識レクチンを用いたレクチンブロッティングにより確認した写真である(A)[レーン1:コントロール株(YCH04)、レーン2:形質転換株(YCH10)、レーン3:形質転換株(YCH09)]。コントロール株(YCH04)、及び形質転換株(YCH10)培養物からのEGFドメイン精製標品のHPLCのチャート図である(B)。HPLCの各ピーク(P1、P2)から分取したEGFドメイン標品のMALDI-TOF-MSによる分子量解析結果を示した図である(C)。 P. pastoris酵母形質転換株の培養物精製標品におけるEGFドメインの存在を、SDS-PAGEの後、CBB染色(A)により、及び抗His抗体を使用したウェスタンブロッティング(B)により確認した写真である[形質転換株(SDP05)、野生株(SM1168)]。 P. pastoris酵母形質転換株培養物からのEGFドメイン精製標品のHPLCのチャート図である(コントロール株(SDP03)の培養物精製標品(A)、全遺伝子を発現させた形質転換体(SDP05)の培養物精製標品(B)。

Claims (9)

  1. GDP−フコース合成酵素遺伝子、O−フコース転移酵素遺伝子、及びフコース受容体遺伝子が導入された酵母形質転換体。
  2. 前記フコース受容体遺伝子が、分泌シグナル配列を付加したものであることを特徴とする、請求項1に記載の酵母形質転換体。
  3. 前記フコース受容体遺伝子が、少なくともEGFドメインをコードする塩基配列を含むDNAであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の酵母形質転換体。
  4. さらに、GDP−フコース輸送体遺伝子が導入された、請求項1〜3のいずれかに記載の酵母形質転換体。
  5. 前記GDP−フコース輸送体遺伝子が、配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列の1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつGDP−フコース輸送体活性を有するタンパク質をコードするDNAである、請求項4に記載の酵母形質転換体。
  6. 請求項4又は5に記載の酵母形質転換体を培養し、培養物からO−フコース結合型タンパク質を採取することを特徴とする、O−フコース結合型タンパク質の製造方法。
  7. それぞれが酵母用プロモーターの制御下にある組換えベクター内に挿入されている遺伝子キットであり、GDP−フコース合成酵素遺伝子、O−フコース転移酵素遺伝子、及びフコース受容体遺伝子を含む酵母形質転換体作製用遺伝子キット。
  8. さらに、GDP−フコース輸送体遺伝子を含むことを特徴とする、請求項7に記載の遺伝子キット。
  9. 配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列の1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつGDP−フコース輸送体活性を有するタンパク質を有効成分とする、GDP−フコース輸送体酵素試薬。
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