JP4258291B2 - 大型形状パルプ繊維の評価方法および評価装置 - Google Patents

大型形状パルプ繊維の評価方法および評価装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙用パルプ繊維の形状の評価方法および評価装置に関し、パルプ繊維に含まれる大型形状パルプ繊維の含有率、およびその形状のバラツキを評価する方法および評価する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙産業では、主として木材を原料としてパルプを製造し、この木材パルプを主原料として紙を製造している。この木材パルプのうち、針葉樹パルプでは、針葉樹の構成要素である仮道管、柔組織、放射組織等から構成され、広葉樹パルプでは、広葉樹の構成要素である木繊維、道管、柔組織、放射組織等により構成され、その構成成分の形態および存在割合は、使用樹種およびその配合比率で大きく異なり、製品である紙の品質に多大な影響を及ぼす原因の1つになっている。
【0003】
広葉樹パルプは、針葉樹パルプに比較して、パルプ繊維が細く小さいため、紙の地合と平滑性を向上させるため、多量に使用されている。広葉樹パルプを製紙原料として利用する上での問題点の1つに、広葉樹の構成要素の1である道管要素の形状の大きさがある。広葉樹の道管は、植物体である広葉樹の水分、養分の通り道となっており、このため、この道管要素は、幅が広く、長さが短く、空洞になっているといった特徴がある。
【0004】
近年、製紙原料である木材資源を海外に依存する割合が増加し、海外から多量の木材チップを輸入しており、2001年にはオーストラリア、中国、チリ、南アフリカの4ヶ国より、輸入チップの1/2弱、輸入広葉樹チップの2/3を輸入している。これらの国々からの輸入広葉樹チップは、成長が早く、植林効率が良いユーカリ材が多く、これらのユーカリ材から製造される木材パルプは、大型の道管要素(ベッセル)が多量に含まれているといった特徴がある。
【0005】
このベッセルの含有量は、緒方の報告(非特許文献1参照)によると東豪州産の混合ユーカリ材のBKPで3.2重量%以上と推定しており、向吉らの報告(非特許文献2参照)によると、パプアニューギニア産の南方材、タスマニア産のユーカリ材で93〜122個/mgあると報告している。坪量66g/m2のコピー用紙を100%ユーカリで製造すると仮定すると、A4のコピー紙1枚当たり約47万個のベッセルが存在することになる。
【0006】
この大型の道管要素(ベッセル)は、パルプ繊維との繊維結合能力が低く、この結果、道管要素は、大型で、水素結合性が低いため、紙粉として紙面から剥離しやすい特徴がある。現在の印刷方式の主流であるオフセット印刷のように、高粘度の印刷インキで印刷すると、この道管要素が、紙面より剥離されて、インキ版面に付着し、印刷紙面ではベッセルピックとなり、印刷品質を低下させる要因となっている。また、インキ版面に付着した道管要素は、親水性であるため、湿し水で濡らされるとインクをはじくため、印刷されず、印刷紙面では白抜けとなって印刷されるため、印刷トラブルの原因ともなっている。
【0007】
従って、原料パルプ中に大型ベッセルがどのくらい含まれているか、どのような大きさなのか、分布状態はどうなのかといった情報は、製品の印刷品質を推定する重要な評価項目であるといえる。
【0008】
パルプ繊維の長さを測定する方法は、20年以上前は、顕微鏡写真または繊維投影機で拡大し、長さを実測する方法が採用されていたが、センサーとコンピューターの発達により、パルプ繊維の繊維長分布を簡便に測定できる測定器として開発されている。繊維長分布測定装置の1つに、毛細管を通過する希薄パルプスラリーにレーザー光線を照射し、繊維の長さに相当する電気信号を取り出し、計測するものがあり、Kajaani社から1982年に製品化されたFS-100、およびこの改良型の1987年のFS-200が商品化されており、このオンライン分析機器としてFSAも開発され、パルプの繊維長の測定の時間が短縮、自動化され、現場の操業の指標の1つとして利用されている(非特許文献3参照)。
【0009】
最近では、さらに開発が進み、パルプ繊維の繊維長以外のパルプの形態も同時に測定したいとの要請により、パルプの繊維長とパルプ繊維の湾曲度屈曲度も測定できる自動計測器が、Optest Equipment社、Pulp and Paper Reseach Institute of CanadaとBritish Columbia 大学の共同開発によりFiber Quality Analyzer(FAQ)として製品化されている(非特許文献4参照)。この計測器も、パルプの叩解等のパルプ処理の影響が、繊維長の変化だけではないパルプの形態的影響を評価する方法の1つとして、評価されている。
【0010】
また、FS-200のさらに開発が進んだ機種として、パルプ繊維の長さと幅方向の情報を評価できる自動計測器が、FiberLabなる名称でKajaani社から1997年に製品化されている。しかし、この計測機器は個々のパルプ構成成分の長さと幅を組合せた固有データは計測できず、長さと幅の個別のデータを計測しているため、パルプ構成成分の長さにおける幅の分布を求めることができないのが現状である(非特許文献3参照)。
【0011】
個々のパルプ構成要素に固有の繊維長、繊維幅、繊維壁厚、カールを測定できる繊維長自動計測装置として、FiberLab3としてバージョンアップし、繊維長分布、繊維幅分布、繊維壁分布、カール分布、繊維断面積分布、繊維体積指数分布が測定可能であり、個々の同一固体のパルプ構成要素に固有な個々のデータも出力することが可能となってきている(非特許文献5参照)。しかし、現時点では、ベッセル等の大型形状パルプ繊維を評価する機能は具備されていないのが現状であった。
【0012】
ベッセルは、繊維形状が木繊維と異なっているだけで、ベッセルを木繊維から分離することは極めて困難であり、パルプ中のベッセルの含有率について報告されているデータも少ない(非特許文献1,2参照)。現在、ベッセルを自動計測する方法はなく、TAPPI STANDARD T401に規定されている方法に準じて、パルプを染色し、低坪量で手抄きして、目視観察または顕微鏡観察で、ベッセルを識別計測する方法が採用されている。この方法は単位重量当たりのベッセルの個数が計測されるだけで、ベッセルの形状の詳細も分布の情報も得られないものである。また、測定も肉眼によるため、個人差もあり、簡便でより多くの情報が得られるベッセルの評価法の開発が切望されている。
【0013】
【非特許文献1】
緒方康利:紙パ技協誌,32,(5) 327-334 (1978) の329頁Table2
【非特許文献2】
向吉俊一郎、外2名:紙パ技協誌,40,(11) 1049-1057 (1986)の1053頁Table2
【非特許文献3】
マルコ カウピネン、外1名:紙パ技協誌,52,(9) 1219-1228 (1998)
【非特許文献4】
野村知良:紙パ技協誌,52,(9) 1229-1235 (1998)
【非特許文献5】
metso automatiom FiberLabTMカタログB2301.1EN
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、パルプ繊維の個々の測定データより、ベッセルに代表される大型形状パルプ繊維を簡便に評価する方法を提供するものである。さらに、パルプ繊維の個々のデータより統計的手法により、大型形状パルプ繊維の含有率およびその形状とバラツキを求め、大型形状パルプ繊維を評価することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題は下記構成を包含する発明により解決される。
【0016】
本発明の第1は、単独もしくは複数の木材パルプ繊維の混合物、またはこれらと有機物質およびまたは無機物質の混合物中の大型形状木材パルプ繊維を評価する方法において、
これらの混合物の希薄パルプスラリー中の個々のパルプ構成要素であるパルプ繊維の同一固体における繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維壁厚(T)を、計測手段により計測し、
該計測手段から出力される個々のパルプ繊維の繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維膜厚(T)のデータより、
繊維幅(W)、繊維長と繊維幅の比である繊維軸比(AR)、繊維長と繊維幅の積である繊維投影面積(PA)、および前記繊維幅を外径とし前記繊維壁厚を壁厚とし前記繊維長を高さとする中空円筒を繊維の形状と仮定した繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択して演算し、
選択された数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定することを特徴とする大型形状パルプ繊維の評価方法である。
W ≧ W ……… (1)
AR ≦ A ……… (2)
PA ≧ PA ……… (3)
V ≧ V ……… (4)
但し、W、A、PA、Vは、予め設定した所定値を示す。
尚、本発明においては、(W)、(AR)、(PA)、(V)の四つのうち、大型形状パルプ繊維の条件として選択するいずれか二つ以上の数値のみを演算しても良いし、選択しない数値も含めて四つの数値全てを演算しておいても良いことは言うまでもない。
【0017】
本発明の第2は、前記方法において、繊維軸比(AR)、繊維投影面積(PA)、繊維壁体積(V)は、下記式により演算されることを特徴とする第1の発明に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法である。
AR=L/W
PA=L×W
V=π×{W/4−(W/2−T)}×L
但し、Lはパルプ繊維の繊維長、Wは繊維幅、Tは繊維壁厚を示す。
【0018】
本発明の第3は、前記評価方法において、前記繊維幅(W)、前記繊維軸比(AR)、前記繊維投影面積(PA)、前記繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択し、これらの数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定することを特徴とする第1の発明に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法である。
W ≧ m + 2×σ ……… (5)
AR ≦ mAR − 2×σAR ……… (6)
PA ≧ mPA + 2×σPA ……… (7)
V ≧ m + 2×σ ……… (8)
但し、mは全計測パルプ繊維における繊維幅の平均値、σは繊維幅の標準偏差を、
ARは繊維軸比の平均値、σARは繊維軸比の標準偏差を、
PAは繊維投影面積の平均値、σPAは繊維投影面積の標準偏差を、
は繊維壁体積の平均値、σは繊維壁体積の標準偏差を示す。
【0019】
本発明の第4は、前記評価方法において、前記繊維幅(W)、前記繊維軸比(AR)、前記繊維投影面積(PA)、前記繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択し、これらの数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定することを特徴とする第1の発明に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法である。
W ≧ 30μm
AR ≦ 10
PA ≧ 50×10μm
V ≧ 500×10μm
【0020】
本発明の第5は、前記方法により特定された大型形状パルプ繊維を、全計測パルプ繊維の本数に対する大型形状パルプの本数比率(a)、全計測パルプ繊維の投影面積に対する大型形状パルプの投影面積比率(b)、全計測パルプ繊維の壁体積に対する大型形状パルプの繊維壁体積から求められる繊維壁重量比率(c)、全計測パルプ繊維の壁体積から求められる繊維壁重量に対する大型形状パルプの繊維本数比率(d)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の平均値(e)、同繊維軸比の平均値(f)、同繊維投影面積の平均値(g)および同繊維壁体積の平均値(h)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の標準偏差値(i)、同繊維軸比の標準偏差値(j)、同繊維投影面積の標準偏差値(k)および同繊維壁体積の標準偏差値(l)から選ばれた少なくとも一つの数値を演算して評価する、ことを特徴とする第1から第4の発明のいずれか1つに記載した大型形状パルプ繊維の評価方法である。
【0021】
本発明の第6は、単独もしくは複数の木材パルプ繊維の混合物、またはこれらと有機物質およびまたは無機物質の混合物中の大型形状木材パルプ繊維を評価する装置であって、これらの混合物の希薄パルプスラリー中の個々のパルプ構成要素であるパルプ繊維の同一固体における繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維壁厚(T)を、計測する計測手段と、該計測手段から出力される個々のパルプ繊維の繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維膜厚(T)のデータより、繊維長と繊維幅の比である繊維軸比(AR)、繊維長と繊維幅の積である繊維投影面積(PA)、および前記繊維幅を外径とし前記繊維壁厚を壁厚とし前記繊維長を高さとする中空円筒を繊維の形状と仮定した繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を演算する演算手段と、繊維幅(W)、繊維軸比(AR)、繊維投影面積(PA)、繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択し、これらの数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定する判定手段と、判定された大型形状パルプ繊維を所定のパラメータにより評価する評価手段と、該評価結果を出力する出力手段を具備したことを特徴とする大型形状パルプ繊維の評価装置である。
W ≧ W ……… (1)
AR ≦ A ……… (2)
PA ≧ PA ……… (3)
V ≧ V ……… (4)
但し、W、A、PA、Vは、予め設定した所定値を示す。
尚、本発明においては、(W)、(AR)、(PA)、(V)の四つのうち、大型形状パルプ繊維の条件として選択するいずれか二つ以上の数値のみを演算する手段を有していても良いし、選択しない数値も含めて四つの数値全てを演算する手段を有していても良いし、更に付加的な演算手段を有していても良いことは言うまでもない。
【0022】
本発明の第7は、前記の判定された大型形状パルプ繊維を評価する所定のパラメータは、全計測パルプ繊維本数に対する本数比率(a)、全計測パルプ繊維投影面積に対する投影面積比率(b)、全計測パルプ繊維壁体積に対する繊維壁体積から求められる繊維壁重量比率(c)、全計測パルプ繊維壁体積から求められる繊維壁重量に対する繊維本数比率 (d)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の平均値(e)、同繊維軸比の平均値(f)、同繊維投影面積の平均値(g)、および同繊維壁体積の平均値(h)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の標準偏差値(i)、同繊維軸比の標準偏差値(j)、同繊維投影面積の標準偏差値(k)、および同繊維壁体積の標準偏差値(l)から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする第6の発明に記載した大型形状パルプ繊維の評価装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、ベッセル(大型の道管要素)に代表される大型形状パルプ繊維を評価する方法において、希薄パルプスラリーの個々のパルプ構成要素(以下、パルプ繊維と称する。)の繊維長、繊維幅、繊維壁厚を同時に計測できる計測装置から出力される個々のパルプ繊維の繊維長、繊維幅、繊維膜厚のデータを、統計的に処理して、特定の数値以上もしくは以下のパルプ繊維を分類し、その分類されたパルプ繊維を大型形状パルプ繊維として、繊維本数、繊維長、繊維幅、繊維軸比、繊維投影面積、繊維壁体積などで表示される繊維サイズおよびそれらのバラツキを統計的に求め、大型形状パルプ繊維を評価するものである。
【0024】
本発明者は、ベッセルの特性に関して研究した結果、ベッセルは特定の物性において、特定の性質を有していることが解った。具体的には、ベッセルに代表される大型形状パルプ繊維は、次の4つの分類項目のうちから選ばれた2つ以上の分類項目で特定されることが解り、このようにして特定されるパルプ繊維を大型形状パルプ繊維と定義した。即ち、
1、計測された全パルプ繊維のうち、繊維幅が特定値以上のパルプ繊維、
2、繊維長と繊維幅の比である繊維軸比とした場合の繊維軸比が特定値以下のパルプ繊維、
3、繊維長と繊維幅の積を繊維投影面積とした場合の繊維投影面積が特定値以上のパルプ繊維、
4、繊維長を高さとし、繊維幅を外直径とし、繊維壁厚の繊維壁を均一に有する中空円筒を、パルプ繊維の形状と仮定して、繊維壁体積を求めた場合の、特定の繊維壁体積以上のパルプ繊維、
の分類を実施し、この四つの分類項目のうち、いずれか二つ以上の分類項目で特定されるパルプ繊維を、大型形状パルプ繊維とするものである。
ここで、大型形状パルプ繊維を特定するためにどの条件を選択するのかについては、特に限定しないが、評価するパルプ繊維を構成する樹木の種類などを考慮して経験的に決めることができる。
【0025】
さらに具体的方法について以下に述べる。まず、計測した個々のパルプ繊維の同一固体の繊維長、繊維幅、繊維壁厚を同時に計測できる計測装置から出力される個々のパルプ繊維の繊維長、繊維幅、繊維壁厚のデータより、それぞれの平均値、標準偏差を下記の1〜4のように定義する。
1、繊維幅W(μm)の平均値をm(μm)、標準偏差をσ(μm)とする。
2、繊維軸比ARは、繊維長L(μm)と繊維幅W(μm)の比とすると、
AR=L/W
で表示され、軸比の平均値をmAR、標準偏差をσARとする。
3、光学的測定により求められる繊維長と繊維幅は、実際には投影繊維長と投影繊維幅であるから、この積で求められる面積は投影繊維面積であり、この繊維投影面積PA(μm)は、
PA=L×W
で表示され、繊維投影面積の平均値をmPA(μm)、標準偏差をσPA(μm)とする。
4、繊維壁厚をT(μm)、繊維壁体積V(μm)とすると
V=π×{W/4−(W/2−T)}×L
で表示され、繊維壁体積の平均値をm(μm)、標準偏差をσとする。
【0026】
以上の定義より、本発明における大型形状パルプ繊維は、その形状が、繊維幅W(μm)、繊維軸比AR、繊維投影面積PA(μm)、繊維壁体積V(μm)のうち、いずれか二つ以上が、
W ≧ m + 2×σ ……… (5)
AR ≦ mAR − 2×σAR ……… (6)
PA ≧ mPA + 2×σPA ……… (7)
V ≧ m + 2×σ ……… (8)
の条件を満たす形状であるときに、大型形状パルプ繊維であると特定することが出来る。
【0027】
さらに具体的に所定の数値で特定することも出来、経験的に好ましい方法としては、パルプ繊維構成成分の繊維幅が30μm以上、繊維軸比が10以下、繊維投影面積が50×10μm以上、繊維壁体積が500×10μm以上、の四つの条件から選択して、大型形状パルプ繊維を特定することも出来る。
【0028】
次に、上記の方法により特定された(分類された)大型形状パルプ繊維の評価を下記方法により行う。すなわち、全測定パルプ繊維に対する大型形状パルプ繊維の評価(主に比率を求めること)を実施し、表示する。
1、大型形状パルプ繊維本数の全計測パルプ繊維本数に対する本数比率、
2、大型形状パルプ繊維の投影面積の合計の、全計測パルプ繊維の投影面積の合計に対する投影面積比率、
3、大型形状パルプ繊維の繊維壁体積の合計の全計測パルプ繊維の繊維壁体積の合計に対する繊維壁体積比から求められる繊維壁重量比率(単に重量比率とも称する)、
4、大型形状パルプ繊維本数の全計測パルプ繊維の繊維壁体積と繊維壁密度の積より求めた全計測パルプ重量に対する繊維本数比率、この比率を本数繊維壁重量比率とも表現する。
5、大型形状パルプ繊維の繊維幅、繊維軸比、繊維投影面積および繊維壁体積の平均値およびこれらの標準偏差値、(平均値、標準偏差、各4項目)
本発明においては、上記複数項目のうちから選ばれた少なくとも1項目の数値で評価することを特徴としている。
【0029】
また、上記評価において、繊維重量M(μg)を求める必要が生じるが、これは繊維壁体積V(μm)と繊維壁の見掛けの密度d(g/cm)より求めることができる。繊維壁の見掛けの密度d(g/cm)は、繊維粗度C(mg/m)および繊維壁面積FWA(μm)、繊維幅W(μm)、繊維壁厚をT(μm)とすると、
FWA=π×{W/4−(W/2−T)
d=1000×C/FWA
M=V×d×10−6
となる。
【0030】
また、上式における繊維壁の見掛けの密度については、木材パルプの主たる構成成分はセルロースであり、セルロースの結晶構造から、セルロースIは1.592g/cm 、セルロースIIは1.583g/cmと計算されている(非特許文献6参照)。しかし、木材パルプの繊維壁の見掛けの密度は、完全結晶体ではないため、これらの値より低くなっているはずで、正確な繊維壁の見掛けの密度は、実測により求める必要がある。しかし、報告されたデータより、見掛けの繊維壁密度の概略値を得ることが可能であり、概略値として利用することも可能である。
【0031】
広葉樹パルプに関するデータは少ないが、Duffyらの文献(非特許文献7参照)より、繊維幅、繊維厚、および繊維壁厚から、繊維断面を中空長方形と仮定して、繊維壁断面積を求め、繊維粗度と繊維壁断面積から求めると、混合ユーカリ材のクラフトパルプの繊維壁の見掛け密度については、1.102g/cmの値を求めることができる。また、針葉樹パルプについては、Yiannosの文献(非特許文献6参照)では、スプルース材のクラフトパルプで0.88g/cm(非特許文献6参照)と報告されているし、Duffyらの文献(非特許文献7参照)より、スプルース材のクラフトパルプの繊維壁見掛け密度は、1.335g/cmと計算される。ラジアータパイン材のクラフトパルプについては、Duffyらの文献(非特許文献7参照)より、0.928〜1.037g/cmと計算される。
【0032】
【非特許文献6】
P.N.Yiannos,Tappi J. 47 (8) 468-471 (1964)の470ページのTable ii
【非特許文献7】
G.G.Duffy他2名,Das Papier 2002-T112−T119 (2002)のT133のTable 1
【0033】
次に、本発明における大型形状パルプ繊維の評価装置について説明する。本発明の評価装置は、上述したメッツォオートメーション社製FiberLab3などの装置を改良して用いることができる。
すなわち、本発明の評価装置における計測部(計測手段)は、パルプスラリーを導入し、ここでパルプスラリーに光を照射し、撮影手段で撮影して、個々のパルプ構成成分の画像データを画像解析手段に取り込み、個々のパルプ繊維の固有の長さと幅そして繊維膜厚さのデータを、組み合わせデータとしてコンピューターに出力するものである。即ち、光照射手段、撮影手段、画像解析手段を備えた画像解析システムにより、個々のパルプ繊維の移動方向の長さと移動方向に垂直な方向の長さを、電気的に計測し処理する機構を有している。
更に、計測手段において計測された前記パルプ繊維の固有の長さと幅そして繊維膜厚さのデータは、コンピュータに送られ、コンピュータには、演算手段、判定手段、評価手段などが格納され、ここで演算、判定、評価された結果は、出力手段により出力され表示される。
【0034】
上記演算手段においては、全計測パルプ繊維の個々の同一固体の繊維長、繊維幅、繊維壁厚を同時に計測できる計測手段から出力された個々のパルプ繊維の繊維長、繊維幅、繊維膜厚のデータより、全計測繊維本数の取得、計測データ値ゼロの削除、データ相互間の四則演算、平均値、標準偏差値の演算、特定数値以上または以下の繊維本数の取得、および特定数値以上または以下の平均値、標準偏差値の演算が行われる。具体的には、複数限定条件下での演算可能な機能を有する演算ソフトを使用したり、または演算プログラムを組み込むことにより、演算手段が構成される。
【0035】
この演算プログラムは、現在使用されている繊維長自動計測装置で、全計測パルプ繊維の個々の同一固体の繊維長、繊維幅、繊維壁厚を同時に計測出力可能な繊維長自動計測装置に組み込み、評価数値を記録表示可能にすることにより、大型形状パルプ繊維の評価装置とすることが可能である。また、現在使用されている繊維長自動計測装置で、全計測パルプ繊維の個々の同一固体の繊維長、繊維幅、繊維壁厚を同時に計測出力可能な繊維長自動計測装置から、これらの出力データを別の計算機に取り込み、前記演算可能な演算ソフトで演算させ、評価数値を入手することも可能である。
【0036】
次に、図面を参照して本発明の評価装置の構成について説明する。
図1、3に本発明のハードウェアの構成図を示し、図2に比較のため、従来の大型形状パルプ繊維の評価機能のない繊維長自動計測装置のハードウェアの構成図を示す。図1に示す本発明の評価装置は、全計測パルプ繊維の個々の同一固体の繊維長、繊維幅、繊維壁厚を同時に計測出力可能である繊維長自動計測装置に、大型形状パルプ繊維を評価する機能を組み込んだ大型形状パルプ繊維評価装置である。すなわち、本発明の評価装置は、図2に示した従来の繊維長自動計測装置に、大型形状パルプ繊維を評価するための演算ソフトおよび計算プログラムを増設した形になっており、従来の繊維長自動計測装置が、すでに内蔵している演算ソフトに、全計測繊維本数の取得、計測データ値ゼロの削除、データ相互間の四則演算、平均値、標準偏差値の演算、特定数値以上または以下の繊維本数の取得、および特定数値以上または以下の平均値、標準偏差値の演算機能等を増設することで達成される。
【0037】
本発明の評価装置の別の形態を図3に示す。図3のハードウエアーの構成は、従来の繊維長自動計測装置で得られたデータを、データ記録装置によってデータ書込みディスクに書込み、このデータ書込みディスクより、大型形状パルプ繊維を評価するための演算ソフトと、その演算ソフトを動かすための計算プログラムを内蔵したコンピータのデータ読込装置で、データを読み込み、大型形状パルプ繊維を評価させる構成図である。この形態においては、繊維長自動計測装置と、演算ソフト等を内蔵したコンピュータとにより本発明の評価装置が構成されている。
【0038】
図4は、大型形状パルプ繊維を評価する計算のフロー図である。繊維長自動計測装置の計測手段によって計測した「繊維長」「繊維幅」「繊維壁厚」の基本データから出発して、本発明の第3(請求項3の発明)に示した方法により大型形状パルプ繊維を特定し、次に、特定された大型形状パルプ繊維を本発明の第5(請求項5の発明)に示した方法により評価する一例について記載したものである。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例によりさらに詳しく説明する。
<実施例1> オーストラリア産ユーカリ材のクラフト蒸解したカッパー価15の未漂白パルプのスラリーを、メッツォオートメーション社製FiberLab3で測定した。得られた4,455本の個々のパルプ繊維の繊維長、繊維幅、繊維壁厚のデータから、統計的計算による基本的パルプ繊維形状計測結果を、表1に示す。次に、これらの基本的パルプ繊維形状計測結果を、本発明の演算ソフトを格納したコンピュータに入力して、「平均値±2×標準偏差、以上もしくは以下」の条件を満たすパルプ繊維の数を求め、さらに、本発明の第3(請求項3の発明)の方法により大型形状パルプ繊維を特定した。すなわち、「平均値±2×標準偏差、以上もしくは以下」の条件を2つ以上組み合わせた条件を満たすパルプ繊維を大型形状パルプ繊維と特定し、その大型形状パルプ繊維数(評価結果)を、表2に示した。
【0040】
<実施例2> 次に、実施例1で計測したパルプ繊維について、別の演算ソフトを用いて、(1) 繊維幅30μm以上、(2) 繊維軸比10以下、(3) 繊維投影面積50×10μm以上、および(4) 繊維壁体積500×10μm以上、のそれぞれ単独の条件を満たすパルプ繊維数を求め、さらに、上記条件のうち少なくとも二つの条件を満たすパルプ繊維を大型形状パルプ繊維と特定した場合の大型形状パルプ繊維の繊維本数を算出して、表3に示した。
<実施例3> 実施例2の設定条件のうち、(1) 、(2) および(3) の3条件を選択し、これらの3条件を満たすパルプ繊維を大型形状パルプ繊維と特定し、該大型形状パルプ繊維の形状等に関する評価結果例を表4に示した。
【0041】
【表1】
Figure 0004258291
【0042】
【表2】
Figure 0004258291
【0043】
【表3】
Figure 0004258291
【0044】
【表4】
Figure 0004258291
【0045】
<比較例1> 実施例1で測定に供したオーストラリア産ユーカリ材のクラフト蒸解したカッパー価15の未漂白パルプのスラリーを、メッツォオートメーション社製FiberLab3で測定した結果、得られた4,455本の個々のパルプ繊維の、FiberLab3で計測された繊維長、繊維幅、繊維壁厚のデータを表5に示す。
【0046】
以上のデータのほか、繊維長の0〜7.6mm間を0.05mm間隔で152クラスに分類した頻度分布を求めた表とグラフ、繊維幅の0〜200μm間を1μm間隔で200クラスに分類した頻度分布を求めた表とグラフ、及び繊維壁厚の0〜105μm間を1μm間隔で100クラスに分類した頻度分布を求めた表とグラフが求められ、また、これらから計算されたパルプ繊維のカール分布、パルプ繊維断面積、パルプ繊維体積指数の頻度分布図が表示される。
【0047】
比較例では、測定したパルプ繊維全体の繊維長分布等が表示されるが、大型形状パルプ繊維については、全体に対する数が少なく、明確なデータを抽出する手段が無かった。すなわち、従来法では、どのくらいの幅のパルプが、どのぐらいの長さでどのぐらいの数量存在するかの情報について具体的な数値を演算する手段がなく、ベッセルを特定する手段が存在しなかった。本発明においては、実施例に示すとおり、新しい評価法により、繊維幅が広く、繊維長が比較的短いパルプ繊維、すなわちベッセルの分布状態を知ることが可能となった。
【0048】
【表5】
Figure 0004258291
【0049】
【本発明の効果】
本発明は、パルプ繊維の中に含まれる大型形状パルプ繊維の形状を評価する方法および装置を提供するものである。本発明により、パルプ繊維中の大型形状パルプ繊維を、統計的、定量的に評価することが可能になり、これらのパルプから製造される紙製品の印刷品質を低下させるパルプ繊維中のベッセルのような大型形状パルプ繊維の含有量を正確に簡便に評価できるようになった。
【0050】
また、本発明を使用することにより、大型形状パルプ繊維が通過しにくい特定のスリットの形状を備えたスクリーン、または大型形状パルプ繊維のみを優先的に通過させる特定のスリットの形状を備えたスクリーン等の、パルプ繊維中の大型形状パルプ繊維を分別できる装置の性能を、的確に評価することが可能となり、大型形状パルプ繊維を減少させる装置の性能を向上させることが可能となる。ひいてはこれらの装置で処理したパルプを、紙の製造に使用することにより、紙製品の品質の向上、特に印刷品質の向上に役立てることがことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の評価装置のハードウエアー構成図を示す。
【図2】従来の繊維長自動計測装置のハードウエアー構成図を示す。
【図3】本発明の評価装置の図1とは異なるハードウエアー構成図を示す。
【図4】本発明における大型形状パルプ繊維を評価する計算のフロー図を示す。

Claims (7)

  1. 単独もしくは複数の木材パルプ繊維の混合物、またはこれらと有機物質およびまたは無機物質の混合物中の大型形状木材パルプ繊維を評価する方法において、
    これらの混合物の希薄パルプスラリー中の個々のパルプ構成要素であるパルプ繊維の同一固体における繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維壁厚(T)を、計測手段により計測し、
    該計測手段から出力される個々のパルプ繊維の繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維膜厚(T)のデータより、
    繊維幅(W)、繊維長と繊維幅の比である繊維軸比(AR)、繊維長と繊維幅の積である繊維投影面積(PA)、および前記繊維幅を外径とし前記繊維壁厚を壁厚とし前記繊維長を高さとする中空円筒を繊維の形状と仮定した繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択して演算し、
    選択された数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定することを特徴とする大型形状パルプ繊維の評価方法。
    W ≧ W ……… (1)
    AR ≦ A ……… (2)
    PA ≧ PA ……… (3)
    V ≧ V ……… (4)
    但し、W、A、PA、Vは、予め設定した所定値を示す。
  2. 前記方法において、繊維軸比(AR)、繊維投影面積(PA)、繊維壁体積(V)は、下記式により演算されることを特徴とする請求項1に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法。
    AR=L/W
    PA=L×W
    V=π×{W/4−(W/2−T)}×L
    但し、Lはパルプ繊維の繊維長、Wは繊維幅、Tは繊維壁厚を示す。
  3. 前記評価方法において、前記繊維幅(W)、前記繊維軸比(AR)、前記繊維投影面積(PA)、前記繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択し、これらの数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定することを特徴とする請求項1に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法。
    W ≧ m + 2×σ ……… (5)
    AR ≦ mAR − 2×σAR ……… (6)
    PA ≧ mPA + 2×σPA ……… (7)
    V ≧ m + 2×σ ……… (8)
    但し、mは全計測パルプ繊維における繊維幅の平均値、σは繊維幅の標準偏差を、
    ARは繊維軸比の平均値、σARは繊維軸比の標準偏差を、
    PAは繊維投影面積の平均値、σPAは繊維投影面積の標準偏差を、
    は繊維壁体積の平均値、σは繊維壁体積の標準偏差を示す。
  4. 前記評価方法において、前記繊維幅(W)、前記繊維軸比(AR)、前記繊維投影面積(PA)、前記繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択し、これらの数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定することを特徴とする請求項1に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法。
    W ≧ 30μm
    AR ≦ 10
    PA ≧ 50×10μm
    V ≧ 500×10μm
  5. 前記方法により特定された大型形状パルプ繊維を、全計測パルプ繊維の本数に対する大型形状パルプの本数比率(a)、全計測パルプ繊維の投影面積に対する大型形状パルプの投影面積比率(b)、全計測パルプの繊維壁体積に対する大型形状パルプの繊維壁体積から求められる繊維壁重量比率(c)、全計測パルプの繊維壁体積から求められる繊維壁重量に対する大型形状パルプの繊維本数比率(d)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の平均値(e)、同繊維軸比の平均値(f)、同繊維投影面積の平均値(g)および同繊維壁体積の平均値(h)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の標準偏差値(i)、同繊維軸比の標準偏差値(j)、同繊維投影面積の標準偏差値(k)および同繊維壁体積の標準偏差値(l)から選ばれた少なくとも一つの数値を演算して評価する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載した大型形状パルプ繊維の評価方法。
  6. 単独もしくは複数の木材パルプ繊維の混合物、またはこれらと有機物質およびまたは無機物質の混合物中の大型形状木材パルプ繊維を評価する装置であって、
    これらの混合物の希薄パルプスラリー中の個々のパルプ構成要素であるパルプ繊維の同一固体における繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維壁厚(T)を、計測する計測手段と、
    該計測手段から出力される個々のパルプ繊維の繊維長(L)、繊維幅(W)、繊維膜厚(T)のデータより、繊維長と繊維幅の比である繊維軸比(AR)、繊維長と繊維幅の積である繊維投影面積(PA)、および前記繊維幅を外径とし前記繊維壁厚を壁厚とし前記繊維長を高さとする中空円筒を繊維の形状と仮定した繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を演算する演算手段と、
    繊維幅(W)、繊維軸比(AR)、繊維投影面積(PA)、繊維壁体積(V)のうち、いずれか二つ以上の数値を選択し、これらの数値が下記条件を満たす場合に、そのパルプ繊維を大型形状パルプ繊維であると特定する判定手段と、
    判定された大型形状パルプ繊維を所定のパラメータにより評価する評価手段と、該評価結果を出力する出力手段を
    具備したことを特徴とする大型形状パルプ繊維の評価装置。
    W ≧ W ……… (1)
    AR ≦ A ……… (2)
    PA ≧ PA ……… (3)
    V ≧ V ……… (4)
    但し、W、A、PA、Vは、予め設定した所定値を示す。
  7. 前記の判定された大型形状パルプ繊維を評価する所定のパラメータは、全計測パルプ繊維本数に対する本数比率(a)、全計測パルプ繊維投影面積に対する投影面積比率(b)、全計測パルプ繊維壁体積に対する繊維壁体積から求められる繊維壁重量比率(c)、全計測パルプ繊維壁体積から求められる繊維壁重量に対する繊維本数比率 (d)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の平均値(e)、同繊維軸比の平均値(f)、同繊維投影面積の平均値(g)、および同繊維壁体積の平均値(h)、および大型形状パルプ繊維の繊維幅の標準偏差値(i)、同繊維軸比の標準偏差値(j)、同繊維投影面積の標準偏差値(k)、および同繊維壁体積の標準偏差値(l)から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載した大型形状パルプ繊維の評価装置。
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