JP4258145B2 - α線ダストモニタ用半導体式放射線検出器 - Google Patents

α線ダストモニタ用半導体式放射線検出器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、環境中に含まれる塵埃から放射されるα線を計測・監視するためのα線ダストモニタに用いられる半導体式放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
α線ダストモニタは、計測対象となる環境の単位体積の空気中から放射されるα線を計測・監視するための放射線計測装置であって、計測環境の空気を濾紙に通して、その空気中に含まれる塵埃(ダスト)を濾紙上に捕集し、その塵埃から放射される個々のα線のエネルギーを放射線検出器によって計測し、所定時間内に所定エネルギー幅内に入る検出数をヒストグラムとしてエネルギースペクトラムを作成し、そのエネルギースペクトラムから、捕集した塵埃中に含まれるα線を放射する塵埃(以下ではα線ダストと言う)の核種及びその濃度を算出する放射線計測装置である。
【0003】
α線ダストモニタに用いられる放射線検出器には、装置を小型軽量にまとめることができ、且つ必要な情報を所望の精度で得ることができる半導体式放射線検出素子を搭載した半導体式放射線検出器が、一般的に使用されている。
図2は、半導体式放射線検出素子(図2では単に放射線検出素子、以下では放射線検出素子と略称する)11を用いた従来技術によるα線ダストモニタ用放射線検出器(図2では単に放射線検出器、以下では放射線検出器と略称する)の一例の構成を示し、(a)は全体構成を示す概念図、(b)は放射線検出素子11の平面図である。
【0004】
放射線検出器は、放射線検出素子11とパルスアンプ12とLED13と光ファイバ14とこれらを収納する筐体15と筐体15のα線入射窓151 を覆うPET膜16とで構成されている。
放射線検出素子11は、高抵抗率の単結晶シリコンウェハの片面にpn接合またはヘテロ接合を形成され、この接合に逆方向バイアスが印加されて、接合の両側に空乏層を形成されたものである。空乏層を形成されている領域が放射線有感領域111 であって、pn接合型の場合には、pn接合を形成されている領域がこの領域となり、非晶質シリコンによるヘテロ接合型の場合には、非晶質シリコン上に形成された電極の領域がほぼこの領域となる。
【0005】
α線が物質中(放射線検出素子11の場合はシリコン中)を移動すると、その物質とα線との相互作用によってその移動経路に高密度の電子−正孔対が生成される。この電子−正孔対の生成領域が空乏層のような高電界領域であると、電子−正孔対はその高電界によって電子と正孔とに分離されて、負電極側に正孔が取り出され、正電極側に電子が取り出される。取り出された正孔または電子は荷電粒子であるから、電極から取り出された電荷量を計測すると取り出された正孔または電子の数が算出でき、これによって物質中で失われたα線のエネルギーが分かる。放射線検出素子11の空乏層の厚さは、計測対象となるα線の飛程よりも厚く設計されているので、電極から取り出される電荷量は空乏層に入射したα線のエネルギーに対応する。
【0006】
放射線検出素子11の電極から取り出された電荷は、パルスアンプ12に入力されて、電荷量に比例した波高値をもつ電圧パルスに変換され、放射線検出器からα線ダストモニタの本体部に出力されて、そのエネルギーが計測され、その計測結果に基づいてエネルギースペクトラムが作成される。そのエネルギースペクトラムからα線ダストに含まれる放射性核種及びその濃度が算出される。
【0007】
LED13及び光ファイバ14は、放射線検出器が正常に動作しているか否かをチェックする部材である。LED13は、外部から入力されるテストパルスによって発光し、この光パルスが、光ファイバ14に導かれて筐体15の先端外周部に設けられた反射面152 に照射されて矢印で示した方向に反射され、放射線検出素子11の放射線有感領域111 へ導かれ、α線が入射した場合と同様に、光パルスの照射部に電子−正孔対を生成し、放射線有感領域111 の空乏層内で生成された電子−正孔対に相当する電荷を出力する。この光パルスの照射によって所定の出力が得られれば、放射線検出器は正常に機能していると判断される。
【0008】
必要な光量の光パルスを確実に放射線有感領域111 へ導くためには、放射線有感領域111 に入射する光が放射線検出素子11の表面にある程度傾いて入射することが必要であって(平行に近いと必要な光量の光パルスが放射線有感領域111 に到達しないから)、筐体15の内面と放射線検出素子11の放射線有感領域111 側の表面とを10mm程度離すことが必要である。
【0009】
PET膜16は、筐体15内に収納されている放射線検出素子11等の部材が計測対象の空気に直接に接触してその表面が汚染され、放射線検出器の特性が不安定になることを防止するために、計測対象の空気から筐体15の内部を隔離する目的で、筐体15のα線入射窓151 を覆って取り付けられている。計測対象の空気は、筐体15のα線入射窓151 に対向して配置される不図示の濾紙にα線入射窓151 側から通されるので、所定の空気流量を確保するためには、放射線検出器の前面(図2における筐体15の左側面)と濾紙との間隔を5mm以上にすることが必要である。PET膜16の厚さは数μm である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
α線ダストモニタは、「従来の技術」の項で説明したように、計測対象となる環境中のα線ダストの核種及びその濃度を計測する放射線計測装置であるから、核種を確実に弁別し、且つその濃度を正確に計測することを求められる。
ところが、α線は、物質との相互作用が非常に強い放射線であって、物質中を通過する際に多くのエネルギーを消耗する。例えば、5MeVのα線が標準状態の空気中を通過する場合には、 0.8MeV/cmの割合でエネルギーを消耗する。密度の高い物質中を通過する場合には、ほぼその密度に比例してエネルギーの消耗割合が増大する。したがって、特定の核種から放射された特定エネルギー値をもつα線であっても、放射線検出素子11の放射線有感領域111 に到達するまでに通過する空気層及び他の物質層(例えばPET膜16)の厚さが変われば、放射線有感領域111 に到達した時にもつエネルギー値は異なることになる。
【0011】
濾紙上に捕集された塵埃から放射されるα線が全て放射線検出素子11に垂直に入射するのであれば、放射線検出素子11に入射するα線の通過する空気層等の厚さは一定となるから、特定の核種から放射された特定エネルギー値をもつα線は全て同じエネルギー値で検出される。しかし、放射されるα線の放射方向は全くランダムであるから、放射線検出素子11に入射するα線は、いろいろな傾きをもっており、傾きの角度が大きくなるほど、通過する空気層等の厚さが厚くなり、その間に失うエネルギー値が増大し、放射線検出素子11に入射する際のエネルギー値が小さくなる。このような状況のために、横軸に検出されたα線のエネルギー値をとり、縦軸にエネルギー値の一定幅毎のα線検出頻度をとった、いわゆるエネルギースペクトラムは、核種毎に、垂直入射に相当するエネルギー値で急激に立ち上がってピークをもち、それより低いエネルギー側へ尾を引く状態の、鋸歯状スペクトラムとなる。通過する空気層等の厚さが厚くなるほど、同じ傾角であっても消耗エネルギーが多くなるので、エネルギースペクトラムのピークが低くなって尾が長くなる。
【0012】
いろいろな核種を弁別し、それぞれの濃度をより精度良く算出できるα線ダストモニタを得るためには、個々の核種に対応するそれぞれのエネルギースペクトラムの重なりを少なくすることが必要であり、このためには、得られるエネルギースペクトラムの低エネルギー側に引く尾の部分を少なくすることが必要条件となる。
【0013】
また、筐体15のα線入射窓151 を覆って外部の雰囲気と筐体内部とを隔離する隔離膜としてのPET膜16は、数μm の厚さをもつので、通常の安定な使用状態においては破損することはないが、急激な圧力変化等の外力を受けると破損することもある。PET膜16が破損すると、放射線検出素子11の放射線有感部111 側の面やリード線等が計測対象の空気に直接に曝され、放射線検出器の特性が不安定になったり、場合によっては計測不能になったりする。
【0014】
この発明の課題は、得られる個々の核種のエネルギースペクトラムが低エネルギー側に引く尾の部分をできるかぎり少なくすることができて、α線ダストの核種の弁別及びその濃度の算出の精度に優れたα線ダストモニタを実現でき、且つ安定性に優れた放射線検出器を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するためには、「発明が解決しようとする課題」の項での説明から明らかなように、次の3点が重要なポイントとなる。
(1) 放射線検出器としての機能が安定しており、且つ、放射線検出機能のチェックが確実に実施できること。
【0016】
(2) 塵埃を捕集する濾紙面と放射線検出素子の放射線有感領域との間に存在する空気層を含めた物質層の厚さを小さくして、そこに存在する物質の単位面積当たりの質量を小さくすること。
(3) 傾いて入射する成分を少なくすること。
この内で、(3) の条件を満たすためには、既に、コリメータが採用されており、コリメータの厚さと開口寸法との比率で決まる傾角を越えて入射するα線の成分が除去されている。
【0017】
この発明は、上記(1) 及び(2) の条件を追求した結果として考案されたものであり、その要点は次の3つである。
その1は、半導体式放射線検出素子で最も環境の影響を受け易い放射線有感領域の外周部やリード線、パルスアンプを完全な気密雰囲気内に収納する構造とし、α線入射窓を覆うPET膜の厚さをより薄くする。
【0018】
その2は、空気層の厚さを薄くするために、狭い空間でも確実にチェック用光パルスを放射線有感領域へ導くことができる導光手段を導入する。
その3は、光パルスによる機能チェック部は前記気密雰囲気内に収納する。
個々の発明について説明する。
請求項1の発明は、半導体の片方の面に放射線有感領域を形成された放射線検出素子と、放射線検出素子がα線によって発生した電荷信号を電圧パルス信号に変換して出力するパルスアンプと、α線検出機能をチェックするために放射線有感領域にチェック用光パルスを照射するための発光手段及び導光手段と、これらの部材を収納しα線入射側にα線入射窓を有する筐体と、筐体のα線入射窓を覆って外部の雰囲気と筐体内部とを隔離する隔離膜と、を備えた放射線検出器であって、前記放射線有感領域として放射線入射部と放射線入射部を囲む気密シール部と気密シール部の外側に配置され前記発光手段及び導光手段によって発光・伝搬されてきたチェック用光パルスを受光するチェック部とを有する放射線検出素子と、前記放射線入射部を除いた放射線検出素子の他の部分と前記パルスアンプと前記発光手段及び導光手段とを前記筐体内に気密に収納するシール部材と、このシール部材で気密シールされた空間内にある放射線検出素子のチェック部へ発光手段からのチェック用光パルスを導くための導光手段としての光ファイバ及び2つ以上の反射面を有する光路変更部材と、を備えている。
【0019】
この発明においては、放射線検出素子の放射線有感領域が放射線入射部と気密シール部とチェック部とを有し、シール部材が放射線検出素子の気密シール部と筐体とを確実に気密シールするので、放射線入射部を除いた放射線検出素子の他の部分とパルスアンプと前記発光手段及び導光手段とが計測対象の雰囲気から確実に隔離され、放射線検出素子で最も安定性確保上重要な放射線有感領域の外周部やリードが、湿度を含んだ外気の雰囲気に曝されることがなく、安定な放射線検出特性を得ることができる。また、2つ以上の反射面を有する光路変更部材によれば、放射線検出素子の放射線有感領域ではない面側から導かれるチェック用光パルスを2回あるいはそれ以上反射させることによって、放射線有感領域のチェック部にほぼ垂直に入射させることができるので、光路変更部材の厚さは、光ファイバから導入された光ビーム(例えばφ1mm)をチェック部まで導くのに必要な厚さであればよく、従来技術では10mm程度を必要とした筐体の内面と放射線検出素子の表面との距離を大幅に薄くすることができ、濾紙面と放射線検出素子の放射線有感領域との間に存在する空気層の厚さを大幅に薄くすることができる。
【0020】
さらに、請求項1の発明においては、前記光路変更部材が、その一端をチェック部と筐体との間に底辺をチェック部側にして挟み込まれ、その底辺側の他端に光ファイバの先端が配置され、両側の斜辺が底辺に対して45度の傾きをもつ台形状の透明なプラスチックからなる光路変更部材である。
【0021】
底辺の一端がチェック部と筐体との間に挟み込まれる台形状の透明なプラスチックからなる光路変更部材は、底辺に垂直に入射したチェック用光パルスを45度の斜辺で2回反射することによってチェック部に垂直に入射させる。また、筐体のα線入射窓を覆う隔離膜は、シール部材によって気密状態を確保されている部分、すなわち放射線入射部を除いた放射線検出素子の部分とパルスアンプと発光手段及び導光手段、を計測対象の雰囲気から隔離する必要はなく、放射線入射部だけを隔離すればよいので、常に確実な隔離状態が確保されなくてもよく、破損したときに交換し、放射線入射部の表面に付着した塵埃を除去すれば済む。そのため、隔離膜としては、従来技術に比べてはるかに薄い膜を使用することが可能となり、0.4 μm 〜1μm のPET膜が採用できる(請求項2の発明)。なお、材質がPETである理由は、PETが薄くて機械的に強い膜を得やすい実用的な材料であるからである。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明によるα線ダストモニタ用半導体式放射線検出器(以下では放射線検出器と略称する)の実施の形態について実施例を用いて説明する。
なお、従来技術と同じ機能をもつ部分には同じ符号を用いる。
図1は、この発明による放射線検出器の実施例1aの構成を示し、(a)は全体構成を示す概念図、(b)はこの実施例に用いられている半導体式放射線検出素子(図1では単に放射線検出素子、以下では放射線検出素子と略称する)11a の平面図、(c)はチェック用光パルスの光路を示す部分拡大図である。
【0023】
放射線検出器1aは、放射線検出素子11a と、パルスアンプ12と、発光手段であるLED13と、導光手段である光ファイバ14及び光路変更部材18と、これらを収納する筐体15a と、筐体15a のα線入射窓151 を覆うPET膜16a と、放射線検出素子11a の放射線有感領域111 の一部と筐体15a の内面との間で筐体内部を気密にシールするOリング17と、で構成されている。
【0024】
放射線検出素子11a は、従来技術の放射線検出素子と同様の構成であって、高抵抗率の単結晶シリコンウェハの片面にpn接合またはヘテロ接合を形成され、この接合に逆方向バイアスが印加されて接合の両側に空乏層を形成されたものである。空乏層を形成されている領域が放射線有感領域111aであって、pn接合型の場合には、pn接合を形成されている領域が放射線有感領域111aとなり、非晶質シリコンによるヘテロ接合型の場合には、非晶質シリコン上に形成された電極の領域が放射線有感領域111aとなる。この放射線有感領域111aは、図1(b)に示すように、筐体15a のα線入射窓151 から入射するα線を検出するために中央部にある放射線入射部1111と、Oリング17によって気密にシールされるために放射線入射部1111の外周部にある気密シール部1112と、LED13から光ファイバ14及び光路変更部材18を経由して導かれた機能チェック用光パルスを受けて機能チェック用信号を発するためのチェック部1113と、からなっている。チェック部1113は放射線有感領域111aの最外部に配置され、その形状は例えば半円形や反楕円形である。
【0025】
放射線検出素子11a によるα線の検出原理の説明は、「従来の技術」の項と全く同じであるので省略する。
LED13、光ファイバ14及び光路変更部材18は、放射線検出器1aが正常に動作しているか否かをチェックする部材であり、従来技術と異なる点は、従来技術における筐体の反射面152 が光路変更部材18に置き換えられていることである。光路変更部材18は、アクリル樹脂等の透明なプラスチックで作製され、両斜辺が底辺に対して45度傾いた台形状の部材である。LED13は外部から入力されるテストパルスによって発光する。その光パルスが、光ファイバ14に導かれて光路変更部材18の底辺の一端に入射されて、底辺に45度の傾きをもつ反射面181 で直角に上方に曲げられ、更に底辺に45度の傾きをもつ反射面182 で直角に右方に曲げられて、光路変更部材18の底辺の上部から放射線検出素子11a の放射線有感領域111aのチェック部1113へ導かれ、α線が入射した場合と同様に、チェック部1113に電子−正孔対を生成する。図1(c)の矢印は光路変更部材18内での光パルスの経路を示している。この光パルスによって、所定の出力が得られれば、放射線検出器1aは正常に機能していると判断される。
【0026】
この実施例のように、光パルスの経路を光路変更部材18で曲げる場合には、「従来の技術」の項で説明したように光パルスを放射線有感領域に斜めに入射させるのとは異なり、光ファイバ14に導かれて底辺下部に入射された光パルスのビームが、反射面181 で直角に上方に曲げられて底辺に平行な光ビームとなり、反射面182 で直角に右方に曲げられてチェック部1113へ垂直に入射する。したがって、光路変更部材18の厚さは、光ビームを底辺に平行に伝搬できる厚さであればよく、2〜3mmの厚さがあれば必要な機能を十分に果たすことができる。その結果、筐体15a のα線入射窓側の外面と放射線検出素子11a の放射線有感領域111aの表面との距離を従来技術に比べて大幅に短くすることが可能となる。光路変更部材18は、筐体15a に彫られた凹部154 に嵌め込まれ、放射線検出素子11a の気密シール部1112と筐体15a とがOリング17で気密にシールされるときに放射線検出素子11a と筐体15a との間に挟み込まれて固定される。
【0027】
光路変更部材18は、チェック用光パルスを透過させる透明な材料で作製されればよく、この実施例では、加工性し易く安価なアクリル樹脂で作製されている。寸法の一例を示すと、長さに相当する底辺が14mm、上辺が10mm、台形の高さに相当する厚さが2mm、幅が12mmである。長さや幅は、放射線検出素子11a の大きさや放射線検出素子11a 上でのチェック部1113の位置、光ファイバの太さ、加工精度や位置決め精度等に合わせて決めればよい。
【0028】
なお、この実施例では、斜辺が底辺に対して45度傾いている光路変更部材18を示したが、斜辺の傾きを45度より大きくして、両斜辺に加えて上辺でも反射させる方式の光路変更部材もある。いずれの光路変更部材の場合でも、チェック用光パルスをチェック部1113に垂直に入射させることが最も望ましい。
Oリング17は、1mmφ程度の太さであって、筐体15a のα線入射窓151 の外周部に彫られたリング溝153 に嵌め込まれて位置決めされ、筐体15a と放射線検出素子11a の気密シール部1112とを気密にシールし、放射線入射部1111を除いた放射線検出素子11a の他の部分とパルスアンプ12とLED13と光ファイバ14と光路変更手段18とを計測対象の雰囲気から完全に隔離する。したがって、放射線検出素子11a で最も安定性確保上重要な放射線有感領域111aの外周部や不図示のリード等が、湿度や塵埃を含んだ計測対象の雰囲気に曝されることがなく、安定な放射線検出特性を得ることができる。更に、LED13等の機能チェック用部材の表面汚染も避けられ、確実な機能チェックが実施できる。Oリング17の大きさは、α線入射窓151 が通常φ50mmに形成されるので、φ55mm程度である。
【0029】
筐体15a は、真鍮またはアルミで作製され、放射線検出素子11a やパルスアンプ12等の収納容器であると同時に、外部からのノイズの侵入を防止するシールドボックスを兼ねる。
PET膜16a は、放射線検出素子11a の放射線入射部1111が計測対象の雰囲気中に含まれる塵埃等で汚染されることを防止するために、筐15a のα線入射窓151 を覆って取り付けられる。この実施例の場合には、Oリング17による気密シールによって、検出特性の安定性に強く影響する放射線有感領域111aの外周部やリード線等を計測対象の雰囲気から完全に隔離しているので、このPET膜16a が筐体15a のα線入射窓151 内を計測対象の雰囲気から確実に隔離することは、必ずしも必要ではない。したがって、PET膜16a の厚さを従来のPET膜に比べてはるかに薄くすることが可能となり、この実施例では0.6 μm のPET膜16a が採用されている。これだけ薄い膜となると、湿度の透過量も多くなるし破損の可能性も高くなるが、通常の使用条件では殆ど破損することがなく、実用上の問題はない。大きな圧力差がかかる等によってPET膜16a が破損した場合には、PET膜16a を交換して放射線検出素子11a の放射線入射部1111に付着した塵埃を除去すればよい。
【0030】
以上の説明から明らかなように、光路変更部材18の厚さが2〜3mmあれば光路変更部材18はその機能を果たすことができるので、この実施例によれば、光路変更部材18を嵌め込まれた部分の筐体の厚さを2mmとしても、筐体15a のα線入射窓側の外面と放射線検出素子11a の放射線有感領域111aの表面との距離を5mm以下とすることができる。一方、塵埃を捕集する濾紙面と筐体1aとの距離は、「従来の技術」の項で説明したように、必要な空気量を濾紙に供給するために、5mmより狭くすることは困難である。したがって、従来技術においては、15mmより狭くすることが困難であった、濾紙面と放射線検出素子の放射線有感領域との距離を、この実施例の場合には、上述の説明から明らかなように、10mm以下にまで短縮することができる。言い換えれば、α線が通過する空気層の厚さが従来技術に比べて2/3以下となる。これに加えて、上述のように、隔離膜としてのPET膜の厚さを従来技術の数分の1以下に薄くすることができるので、この実施例によれば、核種の弁別及びその濃度の算出の精度に優れたα線ダストモニタを実現でき、且つ優れた安定性を有する放射線検出器を提供することができる。
【0031】
なお、α線入射窓151 内にコリメータを装着すれば、コリメータの厚さと開口部の幅で決まる傾角以上の傾きで入射するα線が除去されるので、核種の弁別及びその濃度の算出の精度がより優れたものになる。装着できるコリメータの厚さを、筐体15a のα線入射側の表面から放射線検出素子11a の放射線入射部1111の表面までの距離以下とすれば、空気層の厚さを厚くすることなくコリメータを装着することができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、放射線検出素子の放射線有感領域が放射線入射部と気密シール部とチェック部とを有し、シール部材が放射線検出素子の気密シール部と筐体とを確実に気密シールするので、放射線入射部を除いた放射線検出素子の他の部分とパルスアンプと前記発光手段及び導光手段とが計測対象の雰囲気から確実に隔離され、放射線検出素子で最も安定性確保上重要な放射線有感領域の外周部やリードが、湿度を含んだ外気の雰囲気に曝されることがなく、安定な放射線検出特性を得ることができる。また、2つ以上の反射面を有する光路変更部材によれば、放射線検出素子の放射線有感領域ではない面側から導かれるチェック用光パルスを2回あるいはそれ以上反射させることによって、放射線有感領域のチェック部にほぼ垂直に入射させることができるので、光路変更部材の厚さは、光ファイバから導入された光ビーム(例えばφ1mm)をチェック部まで導くのに必要な厚さであればよく、従来技術では10mm程度を必要とした筐体の内面と放射線検出素子の表面との距離を大幅に薄くすることができ、濾紙面と放射線検出素子の放射線有感領域との間に存在する空気層の厚さを大幅に薄くすることができる。
【0033】
したがって、この発明によれば、シール部材による完全な気密シール構造によって、α線検出機能の優れた安定性が確保され、且つ空気層の厚さの大幅な低減によって、核種の弁別及びその濃度の算出の精度を高めることができる。
請求項2の発明によれば、底辺の一端がチェック部と筐体との間に挟み込まれる台形状の透明なプラスチックからなる光路変更部材は、底辺に垂直に入射したチェック用光パルスを45度の斜辺で2回反射することによってチェック部に垂直に入射させる。この光路変更部材の斜辺から斜辺までを伝搬する光ビームの中心の方向は底辺に平行となるので、光ビームの大部分を通過させるために必要な厚さを薄くすることができる。更に、この光路変更部材は、樹脂製であり且つ単純な形状であるので、製作が容易であり且つ安価である。このような光路変更部材が使用できることによって、放射線検出器の筐体の放射線入射側の表面と放射線検出素子の放射線有感領域との距離を5mm以下に縮めることが可能となる。
【0034】
また、請求項1の発明による筐体内の気密シール構造によって、隔離膜としては、従来技術に比べてはるかに薄い膜を使用することが可能となり、請求項2の発明のように、0.4 μm 〜1μm のPET膜が採用できるので、隔離膜によるα線エネルギーの消耗が従来技術の数分の1から10分の1以下と大幅に低減される。したがって、この発明によれば、核種の弁別及びその濃度の算出の精度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による放射線検出器の実施例の構成を示し、(a)は全体構成を示す概念図、(b)は放射線検出素子の平面図、(c)はチェック用光パルスの光路を示す部分拡大図
【図2】従来技術による放射線検出器の一例の構成を示し、(a)は全体構成を示す概念図、(b)は放射線検出素子の平面図
【符号の説明】
1,1a 放射線検出器
11, 11a 放射線検出素子
111, 111a 放射線有感領域
1111 放射線入射部 1112 気密シール部
1113 チェック部
12 パルスアンプ
13 LED
14 光ファイバ
15, 15a 筐体
151 α線入射窓 152 反射面
153 リング溝 154 凹部
16, 16a PET膜
17 Oリング
18 光路変更部材
181, 182 反射面

Claims (2)

  1. 半導体の片方の面に放射線有感領域を形成された半導体式放射線検出素子と、半導体式放射線検出素子がα線によって発生した電荷信号を電圧パルス信号に変換して出力するパルスアンプと、α線検出機能をチェックするために放射線有感領域にチェック用光パルスを照射するための発光手段及び導光手段と、これらの部材を収納しα線入射側にα線入射窓を有する筐体と、筐体のα線入射窓を覆って外部の雰囲気と筐体内部とを隔離する隔離膜と、を備えたα線ダストモニタ用半導体式放射線検出器であって、前記放射線有感領域として放射線入射部と放射線入射部を囲む気密シール部と気密シール部の外側に配置され前記発光手段及び導光手段によって発光・伝搬されてきたチェック用光パルスを受光するチェック部とを有する半導体式放射線検出素子と、前記放射線入射部を除いた放射線検出素子の他の部分と前記パルスアンプと前記発光手段及び導光手段とを前記筐体内に気密に収納するシール部材と、このシール部材で気密シールされた空間内にある半導体式放射線検出素子のチェック部へ発光手段からのチェック用光パルスを導くための導光手段としての光ファイバ及び2つ以上の反射面を有する光路変更部材と、を備えるものにおいて、
    前記光路変更部材が、その一端をチェック部と筐体との間に底辺をチェック部側にして挟み込まれ、その底辺側の他端に光ファイバの先端が配置され、両側の斜辺が底辺に対して 45 度の傾きをもつ台形状の透明なプラスチックからなる、ことを特徴とするα線ダストモニタ用半導体式放射線検出器。
  2. 記隔離膜の材質がPETであって、その厚さが0.4 μm 〜1μm である、ことを特徴とする請求項1に記載のα線ダストモニタ用半導体式放射線検出器。
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