JP4257501B2 - 耐熱性易分散性有機粘土の製造方法 - Google Patents
耐熱性易分散性有機粘土の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、有機粘土を摂氏150℃程度以上の高温で樹脂と混練しても、樹脂が変色せず、しかも、有機系中で有機粘土の層状結晶片同士が簡単に剥離分散することのできる易分散性をも兼ね備えた有機粘土の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機粘土は1950年にHauser氏によって発明された後、Jordan氏によって実用化され、また、特許文献1や特許文献2に示すような新たに特徴のある有機粘土が開発されてきた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭57−111371号
【0004】
【特許文献2】
特開昭50−62182号
【0005】
そして、50年以上経った現在、様々な工業分野、例えば、ペイントにおける顔料の沈降防止剤や垂れ防止剤として、インキにおける増粘剤やミスチング防止剤、腰切剤として、グリースや化粧品、接着剤における増粘剤として、石油ボーリングにおける掘削液の潤滑剤として等、有機流体の流動学的特性を付与したり、また、汚染物質の吸着剤として利用され、最近では樹脂における機能性フィラー剤としても検討されている。通常の有機粘土は、先ず、スメクタイト粘土のようなアルミノシリケートの層状結晶構造を持つ親水性粘土を水中で十分に剥離・分散する工程と、この粘土水分散液に4級アンモニウム塩のような有機カチオンを添加・混合し、結晶表面に有機カチオンを吸着させることにより結晶表面を疎水化させて有機粘土を生成する工程と、有機粘土の残存カチオンや水分を除去するための洗浄・脱水工程と、残存水分を蒸発する乾燥工程及び塊状の有機粘土を粉体状にする粉砕工程を経て製造されている。
【0006】
有機粘土の機能を十分に発揮するためには、その層状構造をいかに有機系中で、ばらばらに、剥離分散させるかが問題となる。
【0007】
有機粘土を有機溶剤中でばらばらに分散させる物理的分散処理方法としては、高い剪断力(攪拌力)による処理と加熱処理がある。
【0008】
有機粘土に高い剪断力を与えることが出来る分散機としては、3本ロール、サンドミル、高圧分散機であるマントン−ゴーリンホモジナイザー等が工業的に使用されている。分散液の温度も有機粘土の分散性に影響し、分散液の温度の上昇とともに粘性も増加する。高い剪断力(攪拌力)や加熱処理は、数千枚の層状構造を有する有機粘土を有機溶剤中で機械的に数百、数十枚程度の小さな層状片にばらばらに分散させることができる。しかし、その小さくなった層状片を完全に一枚一枚、剥離分散させることは困難と考えられている。
【0009】
有機粘土の化学的分散処理方法として、有機粘土の分散剤として作用する極性活性剤を有機溶剤中に添加することである。最も効果のある極性活性剤は、メタノールである。例えば、無極性溶剤であるミネラルスピリットに有機粘土を分散させた中に、メタノール量を添加すると、メタノール持つ水酸基がスメクタイト粘土の結晶であるアルミノシリケートの表面酸素原子と水素結合するため優先的に層間に挿入(インターカレート)し、結晶同士を押し広げる楔のような役割をする。その結果、無極性の溶剤が結晶層間にインターカレートされ膨潤(ゲル化)する。
【0010】
メタノール以外の極性活性剤としては、2,5−ヘキサンジオンやイソプロピルアルコール、アセトン、エチルエーテル、トルエン、キシレンの2種、または、それ以上の混合物、エチルアセトン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、ベンジルクロライド、ブチルステアリン酸、ココナッツオイル、シクロヘキサノン、エチレンジグロライド、エチルエーテル、フルフラール、イソアミルアセテート、メチルエチルケトン、ニトロベンゼン、アセトンと1から3の炭素を有するニトロパラフィン(ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、1−ニトロプロパン)、アセトンとアセトニトリルの混合物、または、アセトンとプロピルニトリルの混合物、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
【0011】
しかし、極性活性剤は、一般に高揮発性、引火性であり、組成物中に添加する場合、必ず分離工程が伴たり、組成物中の他の成分と反応することがあるため、その使用は制限される。
【0012】
このため極性活性剤を必要としない自己武活性の有機粘土が開発されている。
【0013】
例えば、反応生成物としては、粘土とポリアミン及びモノ第4級アンモニウム(2個の長鎖アルキル基を含む)の反応生成物、オルガノクレイとトリ−12−ヒドロキシステアリン酸グリセリン、アミドワックスの化合物、メチルベンジルジアルキルアンモニウム化合物とスメクタイト型粘土の反応生成物、スメクタイト粘土とメチルベンジルジアルキルアンモニウムもしくはジベンジルジアルキル化合物との反応生成物、炭素数8〜22のアルキル基を持つ有機カチオン、有機アニオン、スメクタイトとの反応生成物、第4級アンモニウム化合物とアルコール(室温で固体、ネオペンチルグリコール)により改質されたモンモリロナイトクレー、スメクタイトクレー、第4級アンモニウム、水、炭素数1−5のアルコールの混合物を押し出すことによって生成した親油性クレー、スメクタイト粘土と枝分かれ鎖4級アンモニウムとの反応生成物、等がある。
【0014】
また、製造方法としては、スメクタイト粘土の水性懸濁液をアルミニウムのような無機塩溶液で処理し、凝集したスメクタイト粘土の懸濁液に第4級アンモニム化合物を混合、脱水する製造方法、スメクタイト粘土の水性懸濁液と第4級アンモニウム化合物を混合し、この混合物を、または、融解第4級アンモニウム化合物と熱水との混合物を混合物中の乾燥固体毎Kg当たり少なくとも100KJのエネルギーで高剪断混合し、オルガノクレー生成物を脱水、乾燥、粉砕する製造方法、粘土スラリーを高速剪断流処理、または、強力な混練処理した後にアンモニウム化合物と反応して得られる高ゲル化性オルガノクレーの製造方法が知られている。また、近年、各種樹脂中で有機粘土の層状結晶構造をナノレベルに一枚一枚、剥離、分散させることにより、樹脂の強度、弾性率、熱変形温度等の機械的特性の向上、難燃性、ガスバリア性の向上を目的とした機能性フィラー剤として注目されている。
【0015】
しかし、この有機粘土を150℃程度以上の加熱溶融した樹脂中で混練すると有機粘土の結晶表面に吸着している有機カチオンである4級アンモニウム塩の長鎖アルキル基が熱分解して変色し、その結果、樹脂が着色したり、樹脂中での有機粘土の分散性が低下するため樹脂の機械的特性等の向上が見られず、このため、有機粘土を含有する樹脂の用途が制限され、また、その有機粘土が使用できる樹脂は、溶融温度が150℃程度以下の樹脂に限定されるという問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、有機粘土の結晶層間距離が十分に広がっている半乾燥状態のときに、酸化防止剤やシラン系化合物を添加、混合そし、乾燥、粉砕することで、150℃以上の高温で樹脂と混練しても変色せず、かつ、易分散性を付与することができる耐熱性有機粘土の製造方法を提供しようとするものである。
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、有機粘土に樹脂添加剤を混練して複合すること、詳しくは有機粘土の結晶層間距離が十分に広がっている半乾燥状態のときに樹脂添加剤を混練して複合することにより、新たな化合物のインターカレートの容易な有機粘土が得られることを見い出した。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、有機粘土に有機溶剤に十分に溶解した酸化防止剤を添加、混合すること、詳しくは有機粘土の結晶層間距離が十分に広がっている半乾燥状態のときに酸化防止剤を添加、混合し、或は、粘土水分散液に有機カチオンと有機溶剤に溶解した酸化防止剤の混合物を添加、混合することにより、耐熱性有機粘土が得られること、及び有機粘土の結晶層間距離が十分に広がっている半乾燥状態の有機粘土にシラン系化合物を直接、または、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコールやアセトンのような有機溶剤に溶解したシラン系化合物を添加、混合し、乾燥、粉砕することにより、易分散性有機粘土が得られることを見いだして本発明を完成した
【0019】
即ち、本発明は、有機粘土の結晶層間距離が90Å以上に広がっている脱水工程の後、つまり乾燥工程の前の半乾燥状態の有機粘土に、予め有機溶剤に溶解した酸化防止剤を添加、混合し、又は、粘土水分散液に有機カチオンと有機溶剤に溶解した酸化防止剤の混合物を添加、混合して酸化防止剤を結晶層間にインターカレートし、乾燥、粉砕することにより、樹脂と摂氏150℃以上の高温で混練しても変色しない耐熱性有機粘土を得ること、及び上記乾燥工程の前の半乾燥状態の有機粘土に、シラン系化合物を直接、または、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコールやアセトンのような有機溶剤に溶解したシラン系化合物を添加、混合し、乾燥、粉砕することにより易分散性有機粘土を得るものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に示す発明の実施の一形態例に基づいてこの発明を詳細に説明する。本発明の実施に当たっては、まず、定法により粘土を水中で十分に剥離、分散させ、その後、水又はアルコールに溶解した有機カチオンを、粘土の陽イオン交換容量に対して0.5〜2.0倍量添加し、粘土の表面に吸着しているナトリウムイオンと有機カチオンイオンをイオン交換することにより、粘土表面に有機カチオンが吸着し、結晶表面が疎水性を示す有機粘土を生成する。
【0021】
次に、この有機粘土を洗浄、脱水し残存カチオンや水分を除去し、得られた半乾燥状態の有機粘土に、エタノール等の有機溶剤に溶解した酸化防止剤を有機粘土の固形分量に対して0.01〜5.0重量%を添加、混合し、乾燥、粉砕して耐熱性有機粘土を得る。
【0022】
また、この発明にあっては、粘土水分散液に、上述した量の有機カチオンと有機溶媒に溶解した酸化防止剤の混合物を添加、混合、乾燥、粉砕しても同様の耐熱性有機粘土を得ることができる。
【0023】
ここで、本発明に使用できる粘土としては、モンモリロナイト、バイデライト、へクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ソーコナイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土のほか、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカなど、天然及び合成粘土及びこれらの混合物があげられる。
【0024】
また、本発明に使用できる有機カチオンとしては、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる有機カチオンがあげられる。
【0025】
第4級アンモニウム塩としては、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、ベンサルコニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオンやトリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、さらにジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオン、さらにトリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウムなどのトリアルキルメチルアンモニウムイオン、ベンゼン環を2個有するベンゼトニウムイオンがあげられる。
【0026】
また、本発明に使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系及びこれらの混合物があげられる。
【0027】
このフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、2,2−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンがあげられる。
【0028】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ジトリデシルチオジプロピオネートがあげられる。
【0029】
リン系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジ−ホスファイトがあげられる。
【0030】
アミン系酸化防止剤としては、ジフェニールアミン誘導体、2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン、N−イソプロピルN−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチルN−フェニル−p−フェニレンジアミンがあげられる。
【0031】
そして、本発明において、前記酸化防止剤の添加量は、有機粘土に対して0.01〜5.0重量%、好ましくは、0.1〜1.0重量%程度が望ましい。
【0032】
また、この発明にあっては、上記酸化防止剤の添加時に、シラン系化合物を同時に添加し、混合させることで、耐熱性有機粘土に、易分散性能を付与することができる。
【0033】
即ち、上記洗浄、脱水し残存カチオンや水分を除去し、得られた半乾燥状態の有機粘土に、シラン系化合物を直接、または、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコールやアセトンのような有機溶剤に溶解したシラン系化合物を有機粘土の固形分量に対して0.01〜50.0重量%を添加、混合し、乾燥、粉砕してシラン系化合物処理有機粘土を得る。
【0034】
また、本発明に使用できるシラン系化合物としては、一般式
〔YSiX3〕
で表され、Yは炭素数が1から25の炭化水素基である。炭素数1から25の炭化水素基と置喚基を有する場合の有機官能基とは、例えば、ビニル基、クロル基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、エポキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、ネタクリロキシ基、等である。Xは加水分解基又は水酸基であり、例えば、クロル基、アルコキシ基または水酸基である。
【0035】
そして、本発明において、前記シラン系化合物の添加量は、有機粘土に対して0.01〜50.0重量%、好ましくは、0.1〜15.0重量%程度が望ましい。0.01重量%以下では、有機粘土の分散性は変化せず、50.0重量%以上では分散性は逆に低下する。
【0036】
勿論、この発明にあっては、シラン系化合物を単独で、半乾燥状態の有機粘土に添加し、混合した場合には、耐熱性能を得ることはできないが、易分散性能は得ることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る有機粘土は、有機粘土の結晶層間距離が90Å以上に広がっている脱水工程の後、つまり乾燥工程の前の、半乾燥状態の有機粘土に、
(1)予め有機溶剤に溶解した酸化防止剤を添加、混合し、又は、粘土水分散液に有機カチオンと有機溶剤に溶解した酸化防止剤の混合物を添加、混合して、酸化防止剤を結晶層間にインターカレートし、乾燥、粉砕するように構成したので、樹脂と摂氏150℃以上の高温で混練しても変色しない耐熱性有機粘土を得ることができ、有機粘土を含有する樹脂の用途を大幅に拡張することができ、また、従来法で製造した有機粘土の結晶層間に酸化防止剤をインターカレートするためには、ファンデァーワールス引力の増加した状態にある有機粘土の層状結晶構造を有機溶剤中で再び剥離、分散後、酸化防止剤を添加、混合し、更に有機溶剤を乾燥除去し、粉砕を行なわなければならず、そのために大変な労力を費やさなければならないのに対して、本発明の製造方法で結晶層間に酸化防止剤をインターカレートした有機粘土は、コスト的にも有利であり、
(2)さらに、酸化防止剤と一緒にシラン系化合物を直接、または、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコールやアセトンのような有機溶剤に溶解したシラン系化合物を添加、混合し、乾燥、粉砕することによって、有機系中でシラン系化合物処理有機粘土の粒子径が減少した易分散性有機粘土を得ることができ、有機溶剤レオロジーコントロール剤、樹脂の機能性フィラー剤等の用途を大幅に拡張することができる等、幾多の非常に優れた効果が得られる。
【0038】
【実施例1】
モンモリロナイト((株)ホージュン製、ベンゲルA)2.0重量%濃度水分散液にモンモリロナイトの陽イオン交換容量(94meq/100g)の1.0倍量のジメチルジオクタデシルアンモニウム(固形分濃度76.3重量%)を添加、混合し、洗浄、脱水後の半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は91.3重量%であった。この有機粘土の結晶の層間距離は、X線回折(XRD分析)の001面の回折ピーク位置から、90Å以上を示した。この有機粘土にエタノールにて十分に溶解させたアミン系酸化防止剤(川口化学工業(株)製、アンテージDDA)を有機粘土の固形分量に対して、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕してアミン系酸化防止剤複合有機粘土を作製した。
【0039】
【実施例2】
実施例1と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は91.3重量%であった。この有機粘土にエタノールにて十分に溶解させたフェノール系酸化防止剤(吉富ファインケミカル(株)製、トミノックス917)を有機粘土の固形分量に対して、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕してフェノール系酸化防止剤複合有機粘土を作製した。
【0040】
【実施例3】
実施例1と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は91.3重量%であった。この有機粘土にエタノールにて十分に溶解させたフェノール系酸化防止剤(吉富ファインケミカル(株)製、ヨシノックスBB)を有機粘土の固形分量に対して、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕してフェノール系酸化防止剤複合有機粘土を作製した。
【0041】
【実施例4】
実施例1と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は91.3重量%であった。この有機粘土にエタノールにて十分に溶解させた硫黄系酸化防止剤(吉富ファインケミカル(株)製、トミホス202)を有機粘土の固形分量に対して、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕して硫黄系酸化防止剤複合有機粘土を作製した。
【0042】
【比較例1】
モンモリロナイト((株)ホージュン製、ベンゲルA)2.0重量%濃度水分散液にモンモリロナイトの陽イオン交換容量(94meq/100g)の1.0倍量のジメチルジオクタデシルアンモニウム(固形分濃度76.3重量%)を添加、混合し、洗浄、脱水後、乾燥、粉砕して有機粘土を作製した。
【0043】
【比較例2】
実施例1と同じ4級アンモニウム塩であるジメチルジオクタデシルアンモニウムを用いた市販有機粘土として、クロサイト6A、クロイサイト15A、クレイトンHY(ともにSouthern Clay Products,Inc.社製)、ベントン34(RHEOX社製)、チキソゲルVP(Sud Chemie社製)、ニューDオルベン(白石工業(株)社製)を用いた。
【0044】
【評価方法】
実施例1乃至4で作製した酸化防止剤を複合した有機粘土、比較例1の酸化防止剤無しの有機粘土、および比較例2の市販有機粘土を用いて、大気雰囲気中の電気炉中で250℃、5分間加熱後、1分間冷却し、再び250℃にて5分間加熱を繰り返し、合計で60分間加熱処理した前後の有機粘土のハンター白色度およびその低下率を次式に基づき求めた。その結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
【表1】
【0047】
表1からも明らかなように、酸化防止剤複合有機粘土は、比較例1の酸化防止剤無しの有機粘土と比較して加熱処理後のハンター白色度が高い値を示し、熱による変色の影響を抑えることが出来た。また、酸化防止剤複合有機粘土は、比較例2の市販有機粘土と比較しても、ハンター白色度が高い値を示し、加熱処理前後のハンター白色度の低下率は低い値となった。
【0048】
【実施例5】
モンモリロナイト((株)ホージュン製、ベンゲルA)2.0重量%濃度水分散液にモンモリロナイトの陽イオン交換容量(94meq/100g)の1.4倍量のジメチルジオクタデシルアンモニウム(固形分濃度76.3重量%)を添加、混合し、洗浄、脱水後の半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は59.2重量%であった。この有機粘土にヘキシルトリメトキシシラン(HTS-M)(チッソ(株)製)を有機粘土の固形分量に対して、0.5重量%、1.0重量%、3.0重量%、5.0重量%、8.0重量%を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕してヘキシルトリメトキシシラン処理有機粘土を作製した。
【0049】
【比較例3】
実施例5と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は59.2重量%であった。この有機粘土を混合し、その後、乾燥、粉砕して有機粘土を作製した。
【0050】
【比較例4】
実施例5と同じ4級アンモニウム塩であるジメチルジオクタデシルアンモニウムを用いた市販有機粘土として、クロイサイト6A、クロイサイト15A、クレイトンHY(ともにSouthern Clay Products,Inc.社製)、チキソゲルVP(Sud Chemie社製)、ニューDオルベン(白石工業(株)社製)を用いた。
【0051】
【評価方法】
実施例5で作製したヘキシルトリメトキシシラン処理有機粘土、比較例3のヘキシルトリメトキシシラン無しの有機粘土、および比較例4の市販有機粘土をトルエン溶剤100ml中に2.0重量%添加して、ホモミキサーにて10000rpm、10分間混合し、粒度分布の測定を行った。
【0052】
【表2】
【0053】
表2からも明らかなようにヘキシルトリメトキシシラン処理有機粘土は、ヘキシルトリメトキシシラン処理量の増加とともに粒子径が減少し、市販有機粘土よりも分散性が向上したのを確認することができた。
【0054】
【実施例6】
実施例5と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は59.2重量%であった。この有機粘土にメタノールにて十分に溶解させたプロピルトリメトキシシラン(PTS-M)を有機粘土の固形分量に対して、5.0重量%、ヘキシルトリメトキシシラン(HTS-M)を3.0重量%、、5.0重量%、8.0重量%、、オクチルトリエトキシシラン(OCTS-E)を5.0重量%、ドデシルトリエトキシシラン(DTS-E)を5.0重量%、オクタデシルトリエトキシシラン(ODTS-E)(ともにチッソ(株)製)を5.0重量%それぞれ添加、混合し、その後、乾燥、粉砕して各種シラン系化合物処理有機粘土を作製した。
【0055】
【比較例5】
実施例5と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は59.2重量%であった。この有機粘土にメタノールを適量添加、混合し、その後、乾燥、粉砕して有機粘土を作製した。
【0056】
【実施例7】
実施例5と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は59.2重量%であった。この有機粘土にメタノールにて十分に溶解させた実施例6と同量の各種シラン系化合物と有機粘土の固形分量に対して、1.0重量%のアミン系酸化防止剤(アンテージDDA)を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕して各種シラン系化合物処理アミン系酸化防止剤複合有機粘土を作製した。
【0057】
【比較例6】
実施例5と同様な方法にて、半乾燥状態の有機粘土を作製した。その水分は59.2重量%であった。この有機粘土にメタノールにて十分に溶解させたアミン系酸化防止剤(アンテージDDA)を有機粘土の固形分量に対して、1.0重量%を添加、混合し、その後、乾燥、粉砕してアミン系酸化防止剤複合有機粘土を作製した。
【0058】
【評価方法】
実施例6で作製した各種シラン系化合物処理有機粘土、実施例7で作製したシラン系化合物処理アミン系酸化防止剤複合有機粘土、比較例5で作製したシラン系化合物無しの有機粘土、比較例6で作製したアミン系酸化防止剤複合有機粘土をトルエン溶剤100ml中に2.0重量%添加して、ホモミキサーにて10000rpm、10分間混合し、粒度分布の測定、及び大気雰囲気中の電気炉中で250℃、30分間加熱後の有機粘土のハンター白色度を測定した。その結果を表3と表4に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
表3及び表4からも明らかなようにプロピルトリメトキシシラン(PTS-M )処理有機粘土以外は、シラン系化合物処理によって粒子径が減少し、分散性が向上したのを確認することができた。また、シラン系化合物処理アミン系酸化防止剤複合有機粘土もまた、 PTS-M処理以外は粒子径が減少し、分散性が向上するとともに、加熱処理後の白色度が高い値となり、変色しない耐熱性有機粘土を得ることができた。
Claims (2)
- 半乾燥状態の有機粘土に予め有機溶剤に溶解した酸化防止剤を添加して混合し、乾燥した後、その乾燥物を粉砕することを特徴とする耐熱性有機粘土の製造方法。
- 請求項1に記載する耐熱性有機粘土の製造の過程において、半乾燥状態の有機粘土に予め有機溶剤に溶解した酸化防止剤を添加するのと同時に、半乾燥状態の有機粘土にシラン系化合物を直接、または、予めメタノール、アセトンのような有機溶剤に溶解したシラン系化合物を添加して混合し、乾燥した後、その乾燥物を粉砕することを特徴とする、易分散性をも兼ね備えた耐熱性有機粘土の製造方法。
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