JP4257418B2 - 電気機械駆動式人工心臓 - Google Patents

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Description

本発明は、体内に完全に埋め込まれる電気機械駆動式人工心臓に関し、特に、その耐久性を向上させる技術に関する。
体内完全埋め込み型の人工心臓として、ポンプハウジング内に、モータと、モータのローターと一体化されたナットと、ナットに螺合されるとともに回転不能とされたローラねじと、そのローラねじの先端に固定された押圧板と、押圧板によって駆動させられるダイヤフラムとを備え、ポンプハウジングとダイヤフラムとの間に、血液流入口と血液流出口とを備えた可変容積室が形成されている電気機械駆動式人工心臓が知られている。
上記電気機械駆動式人工心臓では、ナットに螺合されたローラねじが回転不能とされていることから、モータが回転させられることによりナットが回転させられると、ローラねじは直線運動し、ローラねじの先端に固定された押圧板がダイヤフラムを押圧するので、可変容積室の容積が小さくなって、可変容積室内の血液が血液流出口から送り出される。そして、モータが逆方向に回転させられると、押圧板がダイヤフラムから離れる方向に移動して、ダイヤフラムは、血液流入口からの血液流入圧およびダイヤフラム自身の弾性復帰力により可変容積室の容積が大きくなる方向に変形するので、血液流入口から可変容積室内へ血液が流入する。なお、この型式の人工心臓には、可変容積室を1つだけ備え、心臓を切除しないで用いる補助人工心臓と、可変容積室を2つ備え、心臓を切除して、2つの可変容積室の交互の拍動により血液循環を維持する全置換型人工心臓とがある。
一度、人工心臓を体内に埋め込んでしまうと、簡単には取り出せないことから、体内埋め込み式の人工心臓には、長期耐久性が要求される。しかし、上記電気機械駆動式の人工心臓は、従来、ローラねじが最もモータ側の位置で一旦停止する際に生じる衝撃が比較的大きく、また、人工心臓は、一日に平均10万回前後(平均心拍数80拍/分)の収縮、拡張が行われるので、衝撃が繰り返されることによるラジアルベアリング等の機械的負荷が大きい。そのため、これまで、上記電気機械駆動式の人工心臓は機械的耐久性に問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、長期耐久性が得られる体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓を提供することにある。
かかる目的を達成する第1発明は、(a)ねじと、そのねじと螺合するナットとを有し、そのナットの回転により、そのナットに対してそのねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、(b)その往復運動装置を駆動させるモータと、(c)そのモータの回転速度を制御する速度制御装置と、(d)血液流入口と血液流出口とを有し、その往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室とを備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、(e)前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期におけるモータの回転速度を、所定の最高速度とした後、速度0まで連続的に減少させ、(f)前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、その可変容積室の容積収縮終了時まで、連続的にまたは段階的に上昇させることを特徴とする。
また、第2発明は、(a)ねじと、そのねじと螺合するナットとを有し、そのナットの回転により、そのナットに対してそのねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、(b)その往復運動装置を駆動させるモータと、(c)そのモータの回転速度を制御する速度制御装置と、(d)血液流入口と血液流出口とを有し、その往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室とを備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、(e)前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期におけるモータの回転速度を、所定の最高速度とした後、速度0まで連続的に減少させ、(f)前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、その可変容積室の容積収縮終了時まで、上昇率が漸次小さくなる指数関数的に上昇させることを特徴とする。
また、第3発明は、(a)ねじと、そのねじと螺合するナットとを有し、そのナットの回転により、そのナットに対してそのねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、(b)その往復運動装置を駆動させるモータと、(c)そのモータの回転速度を制御する速度制御装置と、(d)血液流入口と血液流出口とを有し、その往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室とを備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、(e)前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期における前記モータの回転速度を、所定の最高速度とした後、その最高速度と速度0との間の中間速度を経て、速度0とし、(f)前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、その可変容積室の容積収縮終了時まで、連続的にまたは段階的に上昇させることを特徴とする
また、第4発明は、(a)ねじと、そのねじと螺合するナットとを有し、そのナットの回転により、そのナットに対してそのねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、(b)その往復運動装置を駆動させるモータと、(c)そのモータの回転速度を制御する速度制御装置と、(d)血液流入口と血液流出口とを有し、その往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室とを備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、(e)前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期における前記モータの回転速度を、所定の最高速度とした後、その最高速度と速度0との間の中間速度を経て、速度0とし、(f)前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、その可変容積室の容積収縮終了時まで、上昇率が漸次小さくなる指数関数的に上昇させることを特徴とする。
また、第5発明は、第1発明から第4発明のいずれか一つの電気機械駆動式人工心臓において、前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張時には、前記モータを駆動制御する制御電圧を、所定の最高電圧とし、次いで、その最高電圧よりも低い所定の中間電圧にて所定時間保持した後、0とすることを特徴とする。
上記第1発明から第4発明によれば、可変容積室の容積拡張期における往復運動装置の停止が緩やかになるので、その際の衝撃が減少し、耐久性が向上する。また、衝撃として失われるエネルギーが少なくなるので、人工心臓の効率も向上する。また、可変容積室の容積収縮期におけるモータの回転速度が緩やかに最高速度まで上昇することから、その容積収縮開始時のモータ電流にピークがなくなるとともに、収縮期における可変容積室内圧の変化および可変容積室から拍出される血液流量の変化が少なくなるので、人工心臓の効率がさらに向上する。
また、第発明は、モータの回転速度を第1発明から発明のように変化させるための制御電圧の一態様であり、第1発明または第2発明と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明が適用された電気機械駆動式の容積置換型補助人工心臓(以下、単に補助人工心臓という)10の全体構造を示す図である。補助人工心臓10は、腹部や胸腔内に埋め込まれる体内埋め込み部12と、体外から体内埋め込み部12に電力を供給する体外部14とからなる。
体内埋め込み部12は、心臓補助ポンプ20、速度制御装置70、体内バッテリー72、体積補償装置74、および二次コイル76を備え、心臓補助ポンプ20と速度制御装置70、速度制御装置70と体内バッテリー72、体内バッテリー72と二次コイル76が、それぞれ配線78、80、82で接続され、心臓補助ポンプ20と体積補償装置74とが配管84により接続された構造を有している。一方、体外部14は、外部バッテリー90と一次コイル92とを有し、それら外部バッテリー90と一次コイル92とが配線94により接続された構造である。
心臓補助ポンプ20は血液流入口22および血液流出口24を備えており、一方の端が血液流入口22に接続される図示しないチューブの他端が左心室に挿入され、一方の端が血液流出口24に接続される図示しないチューブの他端が上行大動脈や下行大動脈などに接続される。
図2は、心臓補助ポンプ20の分解断面図である。図2に示すように、心臓補助ポンプ20は、ハウジング26と、ダイヤフラム28と、押圧板として機能するプッシャープレート29と、回転−直線運動変換装置30と、ナット31と、モータコイル(ステータ)40と、ロータ44と、バックプレート34とを備えている。
ハウジング26には、前記血液流入口22および血液流出口24(血液流出口24は図2には図示せず)が形成されており、血液流入口22には、血液流入口22からハウジング26内に血液が流入する際には開くが、血液流出口24から血液が流出する際には閉じる逆止弁36が設けられている。また、図示しないが、血液流出口24には、血液流出口24から血液が流出する際には開くが、血液流入口22からハウジング26内に血液が流入する際には閉じる逆止弁が設けられている。
モータコイル40およびロータ44を備えているモータ32は、本実施例では3相のブラシレスDCモータである。モータハウジング38は、リング状であり、エンドベル48およびモータホルダー50は、それぞれ大径側がモータハウジング38に当接させられている。これらモータハウジング38、エンドベル48、およびモータホルダー50により形成される空間内に、モータコイル40、ベアリング42、ロータ44、およびナット31などが収容されており、モータコイル40は、モータハウジング38に固定されている。また、ロータ44とナット31とは一体化させられており、それらロータ44およびナット31は、一対のベアリング42を介してモータコイル40に回転可能に支持されている。
回転−直線運動変換装置30は、外周面にナット31と螺合するねじ山が形成されたローラねじ52を有している。ローラねじ52は円盤状部材54の中心に、その円盤状部材54に対して垂直に固定されている。円盤状部材54には、ローラねじ52と平行となるようにモータ32方向に突き出す鉤部54aが一対形成されており、その一対の鉤部54aに、ローラねじ52と平行となるようにスライドシャフト56が固定されている。このスライドシャフト56は、エンドベル48に形成され軸方向に貫通する案内穴58およびモータハウジング38に形成された案内穴59に挿し通されるので、回転−直線運動変換装置30はモータ32に対して相対回転不能となっている。このように構成された回転−直線運動変換装置30とナット31とにより往復運動装置が構成され、ロータ44の回転によりナット31が回転させられると、モータ32に対して相対回転不能とされたローラねじ52が軸方向に移動させられるとともに、スライドシャフト56が案内穴58、59によりその軸方向に案内されるので、回転−直線運動変換装置30は軸方向に運動する。
上記ローラねじ52には軸方向に貫通する貫通穴60が形成されている。その貫通穴60には、円盤状部材54aを介して、プッシャープレート29に固定されたピン62が挿入されている。
ダイヤフラム28は、伸縮性のある柔らかい膜であり、その大半がプッシャープレート29により支持されているとともに、その外周縁がハウジング26とモータハウジング38とにより挟持されている。このダイヤフラム28とハウジング26との間に、可変容積室64が形成される。
図3は、このように構成された心臓補助ポンプ20の駆動状態を示す図である。モータ32によりナット31が回転させられると、回転−直線運動変換装置30およびその回転−直線運動変換装置30に一体化されたプッシャープレート29がモータ32の軸心方向に移動させられ、モータ32によるナット31の回転により、プッシャープレート29がダイヤフラム28を押圧する方向に移動させられると、図3(a)に示すように、可変容積室64の容積は減少し、血液流出口24(図3には図示せず)から血液が駆出される。一方、モータ32がそれとは逆方向に回転させられると、図3(b)に示すように、回転−直線運動変換装置30がダイヤフラム28およびプッシャープレート29から離れる方向に移動させられ、ダイヤフラム28の弾性復帰力および血液の流入圧により、可変容積室64の容積は増加し、血液流入口22から血液が可変容積室64内に流入する。なお、以下、可変容積室64の容積減少期間を収縮期といい、容積増加期間を拡張期という。
図1に戻って、速度制御装置70は、心臓補助ポンプ20のモータ32におけるナット31の回転速度を予め設定された速度制御パターンで制御するとともに、モータ32におけるナット31の回転方向を制御する。体内バッテリー72は、体外からの電力供給が一時的に途絶えたりした時、一時的に速度制御装置70および心臓補助ポンプ20に電力を供給するものであり、40分〜1時間、それら速度制御装置70および心臓補助ポンプ20を駆動できる。体積補償装置74は、配管84により心臓補助ポンプ20内の可変容積室64以外の空間と連通させられており、体内に埋め込まれた時、可変容積室64の容積増加/減少に対応して、その容積が減少/増加させられ、心臓補助ポンプ20内の可変容積室64以外の空間に陽圧や陰圧が発生しないようにするものである。
生体内に埋め込まれる二次コイル76および体外部14の一次コイル92は、ともに、電力伝送コイルを内部に有しており、それら二次コイル76と一次コイル92とにより、経皮伝送装置96が構成される。一次コイル92を二次コイル76に近づけた状態で、外部バッテリー90からの電力により一次コイル92に電流が流されると、一次コイル92に磁束が発生し、その磁束により、二次コイル76に誘導起電力が発生させられ、さらに、整流器を通して交流(AC)から直流(DC)に変換されて、体内バッテリー72が充電される。
次に、本発明と従来例との比較を説明する。図4は、モータ32を駆動制御するための速度制御装置70の制御電圧CV(上段)、その制御電圧CVに基づいて回転させられるモータ32におけるナット31の回転速度(下段)、モータ32の回転運動により直線運動させられるローラねじ52の位置(中段)を示す図であり、(a)が従来の場合、(b)が本発明の場合を示している。なお、ローラねじ52の位置は、最もモータ32側の位置を0としている。
図4に示すように、従来は、制御電圧CVを矩形的に変化させていた。すなわち、収縮期になると制御電圧CVを瞬時に所定の収縮期目標電圧値(図4では約5V)とし、その収縮期目標電圧値を収縮期の終了まで維持し、一旦、瞬時に0Vとした後、拡張期には、再び、瞬時に所定の拡張期目標電圧値(図4では4V弱)とし、その拡張期目標電圧値を所定の時間維持した後に、瞬時に0Vとしていた。このように制御電圧CVを変化させているので、収縮期間中のモータ32の回転速度、および拡張期間中のモータ32の回転速度は、それぞれほぼ一定であり、ローラねじ52の位置は、直線的に変化していた。
一方、本発明の場合、制御電圧CVを以下のように変化させる。すなわち、まず、瞬時に、モータ32を回転開始可能な所定の第1電圧値CV1(図4では約2V)とした後、収縮期の終わりまで、上昇率が漸次小さくなる指数関数(たとえば、式1に示す指数関数)に従って連続的に増加させ、収縮期の終わりに所定の第2電圧値CV2(図4では約4V)とし、一旦、瞬時に0Vとする。
(式1) CV=a(1−e−bt
tは時間、a、bは正の定数である。
そして、拡張期には、まず、サージ電流を防止することができる程度の比較的短い時間だけ0Vを維持した後、瞬時に上記第1電圧値CV1とし、次いで、収縮期に制御電圧CVが第1電圧値CV1から第2電圧値CV2まで増加させられる期間よりも短い期間で前記第2電圧値CV2と同程度の所定の第3電圧値(最高電圧)CV3となるように、且つ、変化率が次第に小さくなるように、連続的に増加させる。次いで、瞬時に、前記第1電圧値CV1と同程度であり、第3電圧値CV3より低く0Vより高い中間電圧として予め設定された第4電圧値CV4まで低下させ、その第4電圧値CV4を、モータ32の回転速度が0となるのに要する時間として設定された所定時間だけ維持した後、瞬時に0Vとする。
このように制御電圧CVを変化させると、モータ32の回転速度は、収縮期の開始時から連続的に増加していき、収縮期の終了時には、次第に減速する。そして、拡張期には、収縮期とは逆方向に連続的に増加していき、最高速度がしばらく維持された後、速度0まで連続的に減少する。また、ローラねじ52の位置は、再始動開始時の変化および停止時の変化が緩やかになる。
図5は、モータ32の制御電圧CV(上段)、衝撃力の変化(中段)、モータ電流の変化(下段)を示す図であり、(a)が従来の場合、(b)が本発明の場合を示している。なお、衝撃力は、心臓補助ポンプ20のバックプレート34にリングタイプのロードセルを当接させて測定した。
図5に示すように、従来のように制御電圧CVを制御すると、拡張期において制御電圧CVが瞬時に0Vとされた後、すなわち、回転−直線運動変換装置30が停止させられた後に、衝撃が発生していることが分かる。一方、本発明のように制御電圧CVを制御すると、収縮期および拡張期を通じて、衝撃はほとんど生じていないことが分かる。また、従来のように制御電圧CVを制御すると、収縮期の開始時に、モータ電流に大きなピークが見られるが、本発明の場合には、そのようなピークは見られず、また、本発明の場合には、拡張期において制御電圧CVが第3電圧値CV3から第4電圧値CV4へ低下させられると、モータ電流がほぼ0となっている。
図6は、後負荷に対するポンプ効率の変化を、従来の制御と本発明の制御とで比較した結果を示す図であり、実線が本発明の場合、破線が従来の場合を示す。なお、ポンプ効率は、補助人工心臓10の外的仕事量を入力電力で割った値に所定の係数を掛けた値であり、外的仕事量は、後負荷に対する拍出量(すなわち収縮期の血液流出量)を意味し、後負荷とは、血液流出口24に接続されているチューブの内圧を意味している。図6に示すように、本発明の場合の方が、平均して、2〜3%効率が向上していることが分かる。
図7は、モータ32の制御電圧CV(上段)、心臓補助ポンプ20における可変容積室64の内圧の変化(中段)、心臓補助ポンプ20の血液拍出流量の変化(下段)を示す図であり、(a)が従来の場合、(b)が本発明の場合を示している。図7に示されるように、本発明の場合には、従来の場合に比較して、ポンプ内圧波形およびポンプ流量波形の収縮期における変化が滑らかになっていることが分かる。
図8は、模擬回路により生体内環境に近い環境とした状態にて駆動させた補助人工心臓10の耐久試験結果を示す図である。なお、この耐久試験は、後負荷を100mmHgとし、毎分平均流量を4.5mL/minとして行った。本発明の補助人工心臓10は約3カ月の連続運転が可能であり、また、入力電力は約4ワットを維持し、ポンプ効率は20%前後であった。
上述の実施例によれば、可変容積室64の容積拡張期において、回転−直線運動変換装置30の停止が緩やかになるので、その際の衝撃が減少し、耐久性が向上する。また、衝撃が減少するので、騒音などによる患者の負担も減少する。また、衝撃として失われるエネルギーが少なくなるので、熱損失による温度上昇が抑えられ補助人工心臓10の効率も向上する。
また、本実施例によれば、可変容積室64の容積収縮期におけるモータ32の回転速度が緩やかに最高速度まで上昇することから、可変容積室64の容積収縮開始時のモータ電流にピークがなくなるとともに、収縮期における可変容積室64の内圧の変化および可変容積室64から拍出される血液流量の変化が少なくなるので、補助人工心臓10の効率がさらに向上する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例では、拡張期において、モータ32の回転速度が最高速度となった後、速度0まで連続的に減少するように、制御電圧CVを変化させていたが、段階的に(階段状に)モータ32の回転速度が減少するように制御電圧CVを変化させてもよい。
また、前述の実施例では、ナット31がモータ32のロータ44と一体化させられるとともに、回転−直線運動変換装置30がモータ32に対して相対回転不能とされることにより、回転−直線運動変換装置30が直線運動するようになっていたが、ねじがモータのロータと一体化させられ、ナットがモータに対して相対回転不能とされることにより、ナットが直線運動するようになっていてもよい。
また、前述の実施例は、本発明を補助人工心臓に適用した例であったが、本発明は、全置換型の電気機械式人工心臓にも適用できる。図9は、全置換型の電気機械式人工心臓に備えられるポンプ100の分解断面図であり、図10は、そのポンプ100の駆動状態を示す図である。なお、図9、10において、前述の実施例と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付してある。
ポンプ100は、可変容積室64を2つ有する点において前述の実施例の心臓補助ポンプ20と異なるが、その2つの可変容積室64の拡張・収縮は、前述の実施例の心臓補助ポンプ20と同様に、1つのナット31およびローラねじ52により行われる。すなわち、ナット31を有する回転部102の両方向の回転により、ローラねじ52がその軸方向の両側に移動するようになっており、そのローラねじ52の移動により、左右いずれか一方のダイヤフラム29が押され、他方のダイヤフラム29の押圧が弱められるようになっている。図10(a)に示すように、ローラねじ52がナット31から左側に突き出す方向に移動させられると、左側の可変容積室64が収縮させられるとともに、右側の可変容積室64が拡張させられるので、矢印で示すように、左側の可変容積室64から血液が拍出され、右側の可変容積室64へ血液が流入する。一方、図10(b)に示すように、ローラねじ52がそれとは反対方向に移動させられると、左側の可変容積室64が収縮させられるとともに、右側の可変容積室64が拡張させられるので、矢印で示すように、左側の可変容積室64に血液が流入するとともに、右側の可変容積室64から血液が拍出される。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された補助人工心臓の全体構造を示す図である。 図1の心臓補助ポンプの分解断面図である。 心臓補助ポンプ20の駆動状態を示す図であって、(a)は収縮末期の状態を示し、(b)は拡張末期の状態を示す。 モータの制御電圧CV(上段)、ローラねじの位置(中段)、モータの回転速度(下段)を示す図であり、(a)が従来の場合、(b)が本発明の場合を示している。 モータの制御電圧CV(上段)、衝撃力の変化(中段)、モータ電流の変化(下段)を示す図であり、(a)が従来の場合、(b)が本発明の場合を示している。 後負荷に対するポンプ効率の変化を、従来の制御と本発明の制御とで比較した結果を示す図である。 モータの制御電圧CV(上段)、心臓補助ポンプの内圧の変化(中段)、心臓補助ポンプの血液拍出流量の変化(下段)を示す図であり、(a)が従来の場合、(b)が本発明の場合を示している。 模擬回路により生体内環境に近い環境とした状態での、図1の補助人工心臓の耐久試験結果を示す図であり、入力電力の変化(上段)、効率の変化(下段)を示している。 全置換型の電気機械式人工心臓に備えられるポンプの分解断面図である。 図9のポンプの駆動状態を示す図であって、(a)は左側の可変容積室が収縮期末期の状態を示し、(b)は右側の可変容積室が収縮期末期の状態を示す。
符号の説明
10:補助人工心臓、20:心臓補助ポンプ、22:血液流入口、24:血液流出口、30:回転−直線運動変換装置、31:ナット、32:モータ、64:可変容積室、70:速度制御装置

Claims (5)

  1. ねじと、該ねじと螺合するナットとを有し、該ナットの回転により、該ナットに対して該ねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、
    該往復運動装置を駆動させるモータと、
    該モータの回転速度を制御する速度制御装置と、
    血液流入口と血液流出口とを有し、該往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室と
    を備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、
    前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期におけるモータの回転速度を、所定の最高速度とした後、速度0まで連続的に減少させ
    さらに、前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、該可変容積室の容積収縮終了時まで、連続的にまたは段階的に上昇させることを特徴とする電気機械駆動式人工心臓。
  2. ねじと、該ねじと螺合するナットとを有し、該ナットの回転により、該ナットに対して該ねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、
    該往復運動装置を駆動させるモータと、
    該モータの回転速度を制御する速度制御装置と、
    血液流入口と血液流出口とを有し、該往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室と
    を備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、
    前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期におけるモータの回転速度を、所定の最高速度とした後、速度0まで連続的に減少させ
    さらに、前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、該可変容積室の容積収縮終了時まで、上昇率が漸次小さくなる指数関数的に上昇させることを特徴とする電気機械駆動式人工心臓。
  3. ねじと、該ねじと螺合するナットとを有し、該ナットの回転により、該ナットに対して該ねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、
    該往復運動装置を駆動させるモータと、
    該モータの回転速度を制御する速度制御装置と、
    血液流入口と血液流出口とを有し、該往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室と
    を備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、
    前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期における前記モータの回転速度を、所定の最高速度とした後、該最高速度と速度0との間の中間速度を経て、速度0とし、
    さらに、前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、該可変容積室の容積収縮終了時まで、連続的にまたは段階的に上昇させることを特徴とする電気機械駆動式人工心臓。
  4. ねじと、該ねじと螺合するナットとを有し、該ナットの回転により、該ナットに対して該ねじが軸方向両側へ相対移動する往復運動装置と、
    該往復運動装置を駆動させるモータと、
    該モータの回転速度を制御する速度制御装置と、
    血液流入口と血液流出口とを有し、該往復運動装置の往復運動に基づいて収縮、拡張が繰り返される可変容積室と
    を備えた体内完全埋め込み型の電気機械駆動式人工心臓であって、
    前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張期における前記モータの回転速度を、所定の最高速度とした後、該最高速度と速度0との間の中間速度を経て、速度0とし、
    さらに、前記速度制御装置は、前記モータを駆動制御する制御電圧を、前記可変容積室の容積収縮開始時に、前記モータを始動可能な所定の第1電圧値とし、その後は、該可変容積室の容積収縮終了時まで、上昇率が漸次小さくなる指数関数的に上昇させることを特徴とする電気機械駆動式人工心臓。
  5. 前記速度制御装置は、前記可変容積室の容積拡張時には、前記モータを駆動制御する制御電圧を、所定の最高電圧とし、次いで、該最高電圧よりも低い所定の中間電圧にて所定時間保持した後、0とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気機械駆動式人工心臓。
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