JP4256981B2 - Method for producing dihydrojasmonate - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はジヒドロジャスモン酸エステルに関し、さらに詳しくは、不純物の含有量を低減せしめたジヒドロジャスモン酸エステルおよびその改良された製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジヒドロジャスモン酸エステルの植物に対する多様な生理作用が報告されている(ケミカルアブストラクツ誌103巻33499t、107巻91910p)。また最近では、n−プロピルジヒドロジャスモネートの植物生長促進剤としての用途が注目され、その研究開発が進められている(USP5776860、USP5814581)。
【0003】
ところで、近年、殺虫剤や除草剤のような農薬ならびに農薬中の不純物による環境汚染が世界的に問題視されている。それ故、農薬原体を製造する際には、原体化合物の安全性、均一性などの点において、すぐれた品質や純度規格が要求される。また、農薬原体自体の安全性が各種の毒性試験において実証されたとしても、該原体中に一定量以上の不純物が含まれるときは、その不純物についても毒性試験が要求される場合がある。このように農薬原体を工業的に高純度で製造する方法は必要不可欠な状況にある。
【0004】
従来、ジヒドロジャスモン酸エステルは、2−n−ペンチルシクロペンテノンとマロン酸ジメチルとをマイケル付加させた後、脱炭酸させることにより得られるメチルジヒドロジャスモネートを主原料として、対応するアルコールとエステル交換することにより製造されていた。このエステル交換は、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液などの塩基性触媒を用いて、副生するメタノールを系外に抜出しながら、110〜130℃で数時間加熱する反応条件が採用されていた。また反応終了後は、粗生成物中に含まれる塩基性触媒を希塩酸で中和処理し、次いで重曹水による逆中和処理を兼ねた洗浄を行い、そして精留することによりジヒドロジャスモン酸エステルが製造されていた。
【0005】
このような従来の方法をn−プロピルジヒドロジャスモネートの製造に適用して得られる生成物を、ガスクロマトグラフィー(以下、GCという。)で分析すると、主原料であるメチルジヒドロジャスモネート中には検出されず、エステル交換反応、中和洗浄工程または精留の段階で副生すると推定される2種類の不純物A(構造未知)と不純物B(構造未知)が、それぞれ0.3重量%以上、0.4重量%以上かならず含まれていた。
また、GC分析によると不純物Aと不純物Bの保持時間(ピーク位置)は、目的物であるn−プロピルジヒドロジャスモネートのトランス体とシス体の中間の値(中間のピーク位置)であった。さらに、GC−質量分析法による推定分子量は、不純物A、Bともに254であり、n−プロピルジヒドロジャスモネートの分子量254と同一であった。
【0006】
このように従来の製造方法においては、前記不純物Aと不純物Bに代表されるような不純物の副生は不可避であった。また、それらは通常の精製手段で除去できず、高純度なジヒドロジャスモン酸エステルを得るのは極めて困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の上記のような問題点に鑑み、本発明の目的は、不純物の含有量を低減せしめた高純度なジヒドロジャスモン酸エステルとその製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、先に述べた社会的な要請を背景として、従来技術がもつ前記課題を解決すべく鋭意検討を加えたところ、特定なプロセスに基づいてエステル交換反応と後処理および蒸留精製を行なうことによって、極めて高純度なジヒドロジャスモン酸エステルが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
かくして、本発明によれば、純度が99.5重量%以上の下記一般式(1)で表わされるジヒドロジャスモン酸エステルであって、含有される不純物のいずれもが0.1重量%未満であるジヒドロジャスモン酸エステルが提供される。
【0010】
【化2】
(一般式(1)のRは、炭素数2〜5の炭化水素基を示す。)
【0011】
そしてまた、本発明によると、メチルジヒドロジャスモネートと炭素数2〜5のアルコールを塩基性触媒の存在下にエステル交換させてジヒドロジャスモン酸エステルを製造する方法において、エステル交換反応を100℃以下で行い、かつ、得られる粗生成物を中和することなく200℃以下で蒸留することを特徴とする前記ジヒドロジャスモン酸エステルの製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の前記一般式(1)で表わされるジヒドロジャスモン酸エステルのR基は、炭素数2〜5の炭化水素基である。好ましくは炭素数3〜4であり、より好ましくは炭素数3の炭化水素基である。前記炭化水素基は、飽和体でも不飽和体でもよく、鎖状であっても環状であってもよいが、鎖状の飽和体が好ましい。
【0013】
ジヒドロジャスモン酸エステルの具体例としては、エチルジヒドロジャスモネート、n−プロピルジヒドロジャスモネート、イソプロピルジヒドロジャスモネート、アリルジヒドロジャスモネート、プロパギルジヒドロジャスモネート、n−ブチルジヒドロジャスモネート、イソブチルジヒドロジャスモネート、sec−ブチルジヒドロジャスモネート、t−ブチルジヒドロジャスモネート、シス−2−ブテニルジヒドロジャスモネート、トランス−2−ブテニルジヒドロジャスモネート、2−ブチニルジヒドロジャスモネート、n−ペンチルジヒドロジャスモネート、イソペンチルジヒドロジャスモネート、sec−ペンチルジヒドロジャスモネート、t−ペンチルジヒドロジャスモネート、シクロペンチルジヒドロジャスモネート、シス−2−ペンテニルジヒドロジャスモネート、トランス−2−ペンテニルジヒドロジャスモネート、2−ペンチニルジヒドロジャスモネートなどが挙げられる。
【0014】
好ましくは、n−プロピルジヒドロジャスモネート、イソプロピルジヒドロジャスモネート、n−ブチルジヒドロジャスモネート、イソブチルジヒドロジャスモネート、sec−ブチルジヒドロジャスモネート、t−ブチルジヒドロジャスモネートである。より好ましくは、n−プロピルジヒドロジャスモネート、イソプロピルジヒドロジャスモネートであり、n−プロピルジヒドロジャスモネートが最も好ましい。
なお、これらのジヒドロジャスモン酸エステルは、シクロペンタノン環上に2つの置換基があるため幾何異性体(トランス体とシス体(エピ体))が存在する。
【0015】
本発明のジヒドロジャスモン酸エステルの純度は99.5重量%以上であり、好ましくは99.7重量%以上、さらに好ましくは99.8重量%以上である。この重量基準の純度とは、通常のGC分析(内部標準物質法)により求めた前記トランス体とシス体の合計量を指すが、化学的に信頼性があるその他の分析手段で求めた数値であってもよい。GC分析における内部標準物質としては、n−デカン、n−ドデカンなどの炭化水素が推奨される。
【0016】
本発明のジヒドロジャスモン酸エステルは不純物を含有していてもよいが、含有される不純物のいずれもが0.1重量%未満であることが必須であり、好ましくは0.08重量%未満である。含有される不純物の化学構造は特に限定さず、化学構造が未知のものであってもよい。ジヒドロジャスモン酸エステルがn−プロピルジヒドロジャスモネートである場合の不純物の具体例としては、前記した不純物A、不純物Bのような分子量が同一の異性体と推定される化合物、反応原料であるメチルジヒドロジャスモネート、その原料中に含まれるプロピル−3−ペンチル−4−オキソシクロペンチル−1−アセテート、n−プロピル−3−(2−オキソシクロペンチル)ヘプタノエート、原料または目的物のエステル部が加水分解して副生するジヒドロジャスモネートなどが挙げられる。
【0017】
本発明のジヒドロジャスモン酸エステルの製造方法において用いられる原料のメチルジヒドロジャスモネートは、公知の方法で合成できる。例えば、シクロペンタノンを出発原料として、数工程を経て2位にn−ペンチル基を導入した2−n−ペンチル−2−シクロペンテノンに変換する。次いで、これにマロン酸ジメチルを反応させて得られるマイケル付加体を、水と加熱して脱炭酸することによりメチルジヒドロジャスモネートを得ることができる。
【0018】
原料であるメチルジヒドロジャスモネートの純度は、特に限定されない。しかし、本発明の製造方法を有利に実施するには、メチルジヒドロジャスモネートの純度は、通常99.5重量%以上で含有される不純物のいずれもが0.1重量%未満である。好ましくは99.7重量%以上で含有される不純物のいずれもが0.1重量%未満、より好ましくは99.9重量%以上で、含有される不純物のいずれもが0.05重量%未満である。
【0019】
本発明の製造方法の別の原料である炭素数2〜5のアルコールは、工業的に生産されるものを適宜使用すればよい。アルコールの具体例としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シス−2−ブテノール、トランス−2−ブテノール、2−ブチノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、sec−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、シクロペンタノール、シス−2−ペンテノール、トランス−2−ペンテノール、2−ペンチノールなどが挙げられる。
【0020】
好ましくは、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールである。より好ましくは、n−プロパノール、イソプロパノールであり、n−プロパノールが最も好ましい。
【0021】
メチルジヒドロジャスモネートと前記アルコールとのエステル交換反応においては、メチルジヒドロジャスモネート1モルに対して、アルコールを通常1〜6モル、好ましくは2〜5モル、さらに好ましくは3〜4モル使用する。
【0022】
エステル交換反応の触媒としては、通常エステル交換反応の触媒として使用される塩基性触媒であれば特に制限はないが、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素酸塩;アルカリ金属のアルコラート;塩基性イオン交換樹脂などが使用される。
【0023】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素酸塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウムなどが挙げられる。
【0024】
アルカリ金属のアルコラートの具体例としては、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウム−n−プロポキサイド、ナトリウム−n−イソプロポキサイド、ナトリウム−t−ブトキサイド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキサイド、カリウム−t−ブトキサイドなどが挙げられるが、エステル交換の副生物の生成を防止する観点からは、ナトリウムメトキサイド、ナトリウム−n−プロポキサイド、カリウムメトキサイドが好ましい。最も好ましいのはナトリウムメトキサイドである。アルカリ金属のアルコラートは粉末で用いても、アルコール溶液として使用してもよい。アルコール溶液で用いる具体例としては、ナトリウムメトキサイドのメタノール溶液、ナトリウム−n−プロポキサイドのn−プロパノール溶液などを挙げることができる。
【0025】
塩基性のイオン交換樹脂としては、ダイヤイオンPAシリーズ(三菱化学製)、アンバーライトIRAシリーズ(オルガノ製)、チバレットMPシリーズ(バイエル社製)などが例示される。
【0026】
これらの塩基性触媒は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。触媒の使用量は、メチルジヒドロジャスモネートに対し、通常0.01〜10モル%の割合で使用される。好ましくは0.02〜5モル%であり、より好ましくは0.05〜2モル%である。
【0027】
エステル交換反応においては、特に反応溶媒を使用する必要はない。溶媒を使用する場合には、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、炭化水素系溶媒が好ましい。その具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。また、これらの溶媒の使用量は、メチルジヒドロジャスモネートとn−プロパノールの総重量に対して、通常0〜1000重量%、好ましくは0〜500重量%、さらに好ましくは0〜300重量%である。
【0028】
本発明の製造方法において、エステル交換の反応温度は100℃以下であることが必須である。好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。反応は常圧または減圧下で実施できるが、副生するメタノールを系外に抜出しながら反応させるのがエステル交換の促進に有利であることから、減圧下での反応が推奨される。減圧度は、反応温度を100℃以下に保ち、メタノールを効率よく系外に抜出せる減圧度であれば、特に制限はない。また常圧下で反応を開始して、反応途中で減圧してもよい。反応は不活性雰囲気下で行うのが好ましいが、それに限定されない。
エステル交換反応は、上述のような条件下で、通常、30分〜20時間で終了させることができる。
【0029】
本発明の製造方法では、前記エステル交換で得られる粗生成物を中和処理することなく、そのまま蒸留することが必須である。ここで「中和処理」とは、反応粗生成物中に含まれる塩基性触媒を任意の酸で中和することをいう。従って、例えば、塩基性触媒としてイオン交換樹脂を用いた場合に、そのイオン交換樹脂をろ別等で除去する操作は「中和処理」には含まれない。また、粗生成物を水で洗浄する操作なども「中和処理」には含まれない。
【0030】
反応粗生成物の蒸留は、工業的に通常用いられる蒸留装置で実施される。本発明の製造方法では、蒸留中に蒸留釜内の溶液を200℃以下に制御することが必須であり、好ましくは180℃以下である。
この蒸留の温度条件をさらに詳しく述べると、反応粗生成物を単蒸留して過剰量用いたアルコールおよび目的生成物を留出させ、塩基性触媒を蒸留釜内に残す蒸留においては、単蒸留中は蒸留釜内の溶液を必ず200℃以下に制御しなければならない。しかし、こうした単蒸留で得られる塩基性触媒を含まない留出物を再度精留する場合は、必ずしも蒸留釜内の溶液を200℃以下に制御する必要はない。
また、前記のような単蒸留をすることなく、塩基性触媒を含んだ状態で反応粗生成物をそのまま精留する場合は、蒸留釜内の溶液を200℃以下に制御することが必須である。
【0031】
粗生成物を蒸留するときの減圧度は、蒸留釜内の被蒸留物の温度を200℃以下に制御でき、かつ蒸留塔の塔頂から留出物を効率よく抜出せる減圧度であれば特に制限はない。通常、約1.5mmHg以下であり、好ましくは1.0mmHg以下、より好ましくは0.5mmHg以下である。蒸留は窒素ガスなどの不活性雰囲気下で実施することが好ましい。また蒸留釜内の溶液を前記の所定温度に制御し、温度むらを生じさせないために攪拌機を装備した蒸留装置を使用することが推奨される。
【0032】
以上に述べたような製造方法により、純度が99.5重量%以上であり、含有される不純物のいずれもが0.1重量%未満であるジヒドロジャスモン酸エステルが製造される。
【0033】
メチルジヒドロジャスモネートとn−プロパノールとから本発明の方法で製造されるn−プロピルジヒドロジャスモネートは、農作物や種子に処理すると優れた生長促進効果を示すとともに、動物に対しては安全性が高い植物生長促進剤用の原体であり、本発明が特に好ましく適用される。
【0034】
以上説明したこの発明について、以下にその好ましい実施の態様を要約する。
1.ジヒドロジャスモン酸エステルの純度は99.5重量%以上であり、好ましくは99.7%以上、さらに好ましくは99.8重量%以上である。
2.ジヒドロジャスモン酸エステルに含有される不純物のいずれもが、0.1重量%未満であり、好ましくは0.08重量%未満である。
3.エステル部の炭化水素基の炭素数は2〜5であり、好ましくは3〜4である。
4.エステル部の炭化水素基は鎖状の飽和体である。
5.ジヒドロジャスモン酸エステルは、n−プロピルジヒドロジャスモネートである。
【0035】
6.エステル交換反応の原料であるメチルジヒドロジャスモネートの純度は99.5重量%以上であり、好ましくは99.7%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上である。
7.エステル交換反応の原料であるメチルジヒドロジャスモネートに含有される不純物のいずれもが、0.1重量%未満であり、好ましくは0.05重量%未満である。
8.エステル交換反応において原料のモル比は、メチルジヒドロジャスモネート1モルに対して、アルコールが通常1〜6モル、好ましくは2〜5モル、さらに好ましくは3〜4モルである。
【0036】
9.塩基性触媒はアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩である。
10.塩基性触媒はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩である。
11.塩基性触媒はアルカリ金属のアルコラートであり、好ましくはナトリウムメトキサイドである。
12.塩基性触媒はメチルジヒドロジャスモネートに対して、0.01〜10モル%、好ましくは0.02〜5モル%、より好ましくは0.05〜2モル%の範囲で使用する。
【0037】
13.エステル交換反応は無溶媒で行う。
14.エステル交換反応は芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素の存在下で行う。
15.エステル交換の反応温度は必ず100℃以下であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。
16.エステル交換反応終了後、反応粗生成物を中和反応することなく、蒸留釜内の溶液の温度が200℃以下、好ましくは180℃以下で減圧蒸留する。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。
なお、実施例中の%は、特にことわりのない限りGC分析(内部標準法)で求めた重量基準の百分率である。GC分析は、ヒューレットパッカード社製HP6890、カラム:HP−1(メチルシロキサン担持、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)、カラム温度:180℃、インジェクション温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム(流量1ml/分)、検出器:FID、サンプル量:0.1μl、内部標準物質:n−デカンで行った。また、実施例中の℃は、特にことわりのない限り反応液または被蒸留物自体の温度である。
【0039】
実施例1
攪拌機、クライゼン分留管、冷却管、留出留分受器、温度計保護管、減圧ラインを装備した200mlのガラス製の4つ口フラスコに、純度99.7%のメチルジヒドロジャスモネート67.8g(0.3モル)、n−プロパノール72.0g(0.83モル)およびナトリウムメトキサイドの28%メタノール溶液1.1g(メチルジヒドロジャスモネートに対し2モル%)を仕込んだ。反応系内の減圧度を350mmHgに設定して、油浴中で85℃に加熱攪拌した。しばらくすると、反応の進行により副生するメタノールが分留管から徐々に留出した。7時間経過後、サンプリング口から反応液の一部を注射器で分取した。これをGC分析してメチルジヒドロジャスモネートのピークがほぼ完全に消失したのをもって、エステル交換反応が完了したことを確認した。
【0040】
次に過剰量加えたn−プロパノールを減圧度350mmHgから徐々に減圧度を変化させて最終的には25mmHg、蒸留釜内温度95℃で分流管から留出させた。n−プロパノールを回収後、減圧度1mmHg、蒸留釜内温度180℃で目的とするn−プロピルジヒドロジャスモネートの留分を単蒸留で留出させた。この単蒸留で得られた粗生成物を精留装置に仕込み、減圧度1mmHg、蒸留釜内の液温180℃で精留した。沸点136℃/1mmHgの目的とするn−プロピルジヒドロジャスモネートの留分52.3gを得た。
【0041】
この精留留分を前記の条件でGC分析した結果、保持時間約8.05分のトランス−n−プロピルジヒドロジャスモネートが88.03%、保持時間約8.62分のシス−n−プロピルジヒドロジャスモネートが11.85%であり、トランス体とシス体を合計したn−プロピルジヒドロジャスモネートの純度は、99.88%であった。
GCチャート上には不純物の小さなピークが6個認められたが、そのすべてが0.1%未満であった。これらの不純物の中でもっとも大きなピークである保持時間約8.33分の不純物A(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.07%であった。また、2番目に大きなピークである保持時間約8.12分の不純物B(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.02%であった。
【0042】
実施例2
実施例1に記載した反応装置と単蒸留装置を兼ねた実験装置を、精密蒸留塔を備えた反応装置に変え、エステル交換反応と精留を連続的に実施した以外は、実施例1と同様にn−プロピルジヒドロジャスモネートの合成を行った。
精留して得た目的物のGC分析を実施例1と同様に行った結果、トランス−n−プロピルジヒドロジャスモネートが89.01%、シス−n−プロピルジヒドロジャスモネートが10.81%であり、トランス体とシス体を合計したn−プロピルジヒドロジャスモネートの純度は99.82%であった。GCチャート上には不純物の小さなピークが6個認められたが、そのすべてが0.1%未満であった。これらの不純物の中でもっとも大きなピークである不純物A(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.07%であった。また、2番目に大きなピークである不純物B(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.06%であった。
【0043】
比較例1
実施例1で用いた反応装置と単蒸留装置を兼ねた実験装置を用いた。200ml4つ口フラスコに純度99.7%のメチルジヒドロジャスモネート67.8g、n−プロパノール72.0gおよびナトリウムメトキサイドの28%メタノール溶液1.1g(メチルジヒドロジャスモネートに対し2モル%)を仕込んだ。反応系内の減圧度を常圧に設定して、油浴中で110℃に加熱攪拌した。しばらくすると、反応の進行により副生するメタノールが分留管から徐々に流出した。7時間経過後、サンプリング口から反応液の一部を注射器で分取した。これをGC分析してメチルジヒドロジャスモネートのピークがほぼ完全に消失したのをもって、エステル交換反応が完了したこと確認した。
【0044】
次に過剰量加えたn−プロパノールを常圧下、蒸留釜内温度110℃で分流管から留出させた。n−プロパノールを回収後、反応器中の残液を取り出し、分液ロートを用いて2規定の希塩酸で中和洗浄した。有機相を分取して、8%の重曹水でよく洗浄し、再度有機相を分取した。得られた粗生成物を精密蒸留装置に仕込み、減圧度2mmHg、蒸留釜内の液温220℃で精留した。沸点157℃/2mmHgの目的とするn−プロピルジヒドロジャスモネートの留分50.4gを得た。
【0045】
精留後、目的物のGC分析を実施例1と同様に行った結果、トランス−n−プロピルジヒドロジャスモネートが87.21%、シス−n−プロピルジヒドロジャスモネートが11.22%であり、トランス体とシス体を合計したn−プロピルジヒドロジャスモネートの純度は98.43%であった。GCチャート上には、不純物の小さなピークが12個認められた。これらの不純物の中でもっとも大きなピークである不純物B(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.48%であった。また、2番目に大きなピークである不純物A(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.39%であった。
【0046】
比較例2
比較例1で得た精留後の生成物を、比較例1と同様の精密蒸留装置で減圧度2mmHg、蒸留釜内温度230℃で再度精留した。得られた留分をGC分析した結果、不純物Aの含有量は0.35%、不純物Bの含有量は0.43%であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、不純物の含有量が極めて少ない高純度のジヒドロジャスモン酸エステルが得られ、植物生長促進剤用の原体として使用する際に不純物に起因する毒性を考慮する必要がないという効果を奏する。また、本発明の製造工程においては、廃水が全く発生しないという効果もある。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a dihydrojasmonic acid ester, and more particularly to a dihydrojasmonic acid ester having a reduced impurity content and an improved production method thereof.
[0002]
[Prior art]
Various physiological actions of dihydrojasmonate on plants have been reported (Chemical Abstracts 103: 33499t, 107: 91910p). Recently, the use of n-propyldihydrojasmonate as a plant growth promoter has attracted attention, and its research and development has been promoted (USP5776860, USP5814581).
[0003]
By the way, in recent years, environmental pollution due to pesticides such as insecticides and herbicides and impurities in the pesticides has become a global issue. Therefore, when producing a pesticide raw material, excellent quality and purity standards are required in terms of the safety and uniformity of the raw material compound. In addition, even if the safety of the pesticide active ingredient itself has been demonstrated in various toxicity tests, if the substance contains a certain amount or more of impurities, a toxicity test may also be required for the impurities. . As described above, a method for industrially producing an agrochemical raw material with high purity is indispensable.
[0004]
Conventionally, dihydrojasmonic acid ester is obtained by adding 2-n-pentylcyclopentenone and dimethyl malonate to Michael and then decarboxylating methyl dihydrojasmonate as the main raw material, and corresponding alcohol and ester. It was manufactured by exchanging. In this transesterification, a reaction condition was used in which heating was performed at 110 to 130 ° C. for several hours while extracting by-product methanol out of the system using a basic catalyst such as a methanol solution of sodium methoxide. After completion of the reaction, the basic catalyst contained in the crude product is neutralized with dilute hydrochloric acid, then washed with reverse neutralization with sodium bicarbonate water, and rectified to obtain dihydrojasmonic acid ester. It was manufactured.
[0005]
When a product obtained by applying such a conventional method to the production of n-propyl dihydrojasmonate is analyzed by gas chromatography (hereinafter referred to as GC), it is found in methyl dihydrojasmonate as a main raw material. The two types of impurities A (structure unknown) and impurity B (structure unknown), which are estimated not to be detected in the transesterification reaction, neutralization washing process or rectification stage, are each 0.3% by weight. As mentioned above, it was not less than 0.4% by weight.
Further, according to GC analysis, the retention time (peak position) of impurity A and impurity B was an intermediate value (intermediate peak position) between the trans form and cis form of n-propyldihydrojasmonate, which is the target product. . Further, the estimated molecular weight by GC-mass spectrometry was 254 for both impurities A and B, which was the same as the molecular weight 254 of n-propyl dihydrojasmonate.
[0006]
Thus, in the conventional manufacturing method, the by-product of impurities represented by the impurity A and the impurity B is inevitable. Further, they cannot be removed by ordinary purification means, and it has been extremely difficult to obtain a high-purity dihydrojasmonate.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
In view of the above-described problems of the prior art, an object of the present invention is to provide a high-purity dihydrojasmonic acid ester having a reduced impurity content and a method for producing the same.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventor made extensive studies to solve the above-described problems of the prior art against the background of the above-mentioned social demands. The transesterification reaction, post-treatment and distillation purification were performed based on a specific process. As a result, it was found that an extremely high purity dihydrojasmonate can be obtained, and the present invention has been completed.
[0009]
Thus, according to the present invention, the dihydrojasmonic acid ester represented by the following general formula (1) having a purity of 99.5% by weight or more, and any of the impurities contained is less than 0.1% by weight. Dihydrojasmonate is provided.
[0010]
[Chemical formula 2]
(R in the general formula (1) represents a hydrocarbon group having 2 to 5 carbon atoms.)
[0011]
In addition, according to the present invention, in the method for producing a dihydrojasmonic ester by transesterifying methyl dihydrojasmonate and an alcohol having 2 to 5 carbon atoms in the presence of a basic catalyst, the transesterification reaction is performed at 100 ° C. or less. And distilling at 200 ° C. or less without neutralizing the resulting crude product, the process for producing the dihydrojasmonic acid ester is provided.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The R group of the dihydrojasmonic acid ester represented by the general formula (1) of the present invention is a hydrocarbon group having 2 to 5 carbon atoms. Preferably it is C3-C4, More preferably, it is a C3-C3 hydrocarbon group. The hydrocarbon group may be saturated or unsaturated, and may be chain or cyclic, but is preferably a chain saturated.
[0013]
Specific examples of the dihydrojasmonate include ethyl dihydrojasmonate, n-propyl dihydrojasmonate, isopropyl dihydrojasmonate, allyl dihydrojasmonate, propargyl dihydrojasmonate, n-butyl dihydrojasmonate , Isobutyl dihydrojasmonate, sec-butyl dihydrojasmonate, t-butyl dihydrojasmonate, cis-2-butenyl dihydrojasmonate, trans-2-butenyl dihydrojasmonate, 2-butynyl dihydro Jasmonate, n-pentyl dihydrojasmonate, isopentyl dihydrojasmonate, sec-pentyl dihydrojasmonate, t-pentyl dihydrojasmonate, cyclopentyl dihydrojasmonate, cis 2-pentenyl dihydrojasmonate, trans-2-pentenyl dihydrojasmonate, 2-pentynyl dihydrojasmonate the like.
[0014]
Preferred are n-propyl dihydrojasmonate, isopropyl dihydrojasmonate, n-butyl dihydrojasmonate, isobutyl dihydrojasmonate, sec-butyl dihydrojasmonate, and t-butyl dihydrojasmonate. More preferred are n-propyl dihydrojasmonate and isopropyl dihydrojasmonate, and n-propyl dihydrojasmonate is most preferred.
In addition, since these dihydrojasmonic acid esters have two substituents on the cyclopentanone ring, geometric isomers (trans isomer and cis isomer (epi)) exist.
[0015]
The purity of the dihydrojasmonic acid ester of the present invention is 99.5% by weight or more, preferably 99.7% by weight or more, more preferably 99.8% by weight or more. This weight-based purity refers to the total amount of the trans isomer and cis isomer determined by ordinary GC analysis (internal standard substance method), but is a numerical value obtained by other chemically reliable analytical means. There may be. As an internal standard substance in the GC analysis, hydrocarbons such as n-decane and n-dodecane are recommended.
[0016]
The dihydrojasmonic acid ester of the present invention may contain impurities, but it is essential that any of the impurities contained is less than 0.1% by weight, preferably less than 0.08% by weight. . The chemical structure of the impurities contained is not particularly limited, and the chemical structure may be unknown. Specific examples of impurities when the dihydrojasmonic acid ester is n-propyl dihydrojasmonate include compounds such as the above-described impurities A and B, which are estimated to be isomers having the same molecular weight, and methyl which is a reaction raw material. Dihydrojasmonate, propyl-3-pentyl-4-oxocyclopentyl-1-acetate, n-propyl-3- (2-oxocyclopentyl) heptanoate contained in the raw material, ester part of raw material or target product is hydrolyzed And dihydrojasmonate by-produced.
[0017]
The raw material methyl dihydrojasmonate used in the method for producing dihydrojasmonic acid ester of the present invention can be synthesized by a known method. For example, using cyclopentanone as a starting material, it is converted into 2-n-pentyl-2-cyclopentenone having an n-pentyl group introduced at the 2-position through several steps. Subsequently, the Michael adduct obtained by reacting this with dimethyl malonate is decarboxylated by heating with water to obtain methyl dihydrojasmonate.
[0018]
The purity of the raw material methyl dihydrojasmonate is not particularly limited. However, in order to advantageously carry out the production method of the present invention, the purity of methyl dihydrojasmonate is usually less than 0.1% by weight for all impurities contained at 99.5% by weight or more. Preferably, any impurity contained at 99.7% by weight or more is less than 0.1% by weight, more preferably 99.9% by weight or more, and any impurity contained is less than 0.05% by weight. is there.
[0019]
What is necessary is just to use what is produced industrially suitably as C2-C5 alcohol which is another raw material of the manufacturing method of this invention. Specific examples of the alcohol include ethanol, n-propanol, isopropanol, allyl alcohol, propargyl alcohol, n-butanol, isobutanol, sec-butyl alcohol, t-butyl alcohol, cis-2-butenol, and trans-2-butenol. 2-butynol, n-pentanol, isopentanol, sec-pentyl alcohol, t-pentyl alcohol, cyclopentanol, cis-2-pentenol, trans-2-pentenol, 2-pentynol and the like.
[0020]
Preferred are n-propanol, isopropanol, n-butanol, isobutanol, sec-butyl alcohol and t-butyl alcohol. More preferred are n-propanol and isopropanol, with n-propanol being most preferred.
[0021]
In the transesterification reaction between methyl dihydrojasmonate and the alcohol, 1 to 6 mol, preferably 2 to 5 mol, more preferably 3 to 4 mol of alcohol is used per 1 mol of methyl dihydrojasmonate. To do.
[0022]
The catalyst for the transesterification reaction is not particularly limited as long as it is a basic catalyst generally used as a catalyst for the transesterification reaction. For example, alkali metal or alkaline earth metal hydroxide, carbonate, bicarbonate acid Salts; alkali metal alcoholates; basic ion exchange resins and the like are used.
[0023]
Examples of the alkali metal or alkaline earth metal hydroxide include lithium hydroxide, sodium hydroxide, potassium hydroxide, magnesium hydroxide, and calcium hydroxide. Examples of the alkali metal or alkaline earth metal carbonate include lithium carbonate, sodium carbonate, potassium carbonate, magnesium carbonate, calcium carbonate, and barium carbonate. Examples of the alkali metal or alkaline earth metal hydrogen carbonate include lithium hydrogen carbonate, sodium hydrogen carbonate, potassium hydrogen carbonate, and calcium hydrogen carbonate.
[0024]
Specific examples of alkali metal alcoholates include sodium methoxide, sodium ethoxide, sodium-n-propoxide, sodium-n-isopropoxide, sodium-t-butoxide, potassium methoxide, potassium ethoxide, potassium-t- Examples thereof include butoxide and the like, and sodium methoxide, sodium-n-propoxide, and potassium methoxide are preferable from the viewpoint of preventing the formation of by-products of transesterification. Most preferred is sodium methoxide. The alkali metal alcoholate may be used as a powder or as an alcohol solution. Specific examples of the alcohol solution include a methanol solution of sodium methoxide and an n-propanol solution of sodium-n-propoxide.
[0025]
Examples of basic ion exchange resins include Diaion PA series (manufactured by Mitsubishi Chemical), Amberlite IRA series (manufactured by Organo), and Cibalet MP series (manufactured by Bayer).
[0026]
These basic catalysts may be used alone or in combination of two or more. The amount of the catalyst used is usually 0.01 to 10 mol% with respect to methyl dihydrojasmonate. Preferably it is 0.02-5 mol%, More preferably, it is 0.05-2 mol%.
[0027]
In the transesterification reaction, it is not particularly necessary to use a reaction solvent. When a solvent is used, there is no particular limitation as long as it does not inhibit the reaction, but a hydrocarbon solvent is preferable. Specific examples thereof include aromatic hydrocarbons such as benzene, toluene and xylene; and aliphatic hydrocarbons such as n-hexane and cyclohexane. These solvents may be used alone or in combination of two or more. Moreover, the usage-amount of these solvents is 0-1000 weight% normally with respect to the total weight of methyl dihydrojasmonate and n-propanol, Preferably it is 0-500 weight%, More preferably, it is 0-300 weight%. is there.
[0028]
In the production method of the present invention, the transesterification reaction temperature must be 100 ° C. or lower. Preferably it is 90 degrees C or less, More preferably, it is 80 degrees C or less. Although the reaction can be carried out under normal pressure or reduced pressure, the reaction under reduced pressure is recommended because it is advantageous to promote transesterification by allowing the by-product methanol to be extracted out of the system. The degree of reduced pressure is not particularly limited as long as the degree of reduced pressure is such that the reaction temperature is kept at 100 ° C. or lower and methanol can be efficiently extracted out of the system. Alternatively, the reaction may be started under normal pressure, and the pressure may be reduced during the reaction. The reaction is preferably performed in an inert atmosphere, but is not limited thereto.
The transesterification reaction can usually be completed in 30 minutes to 20 hours under the conditions as described above.
[0029]
In the production method of the present invention, it is essential that the crude product obtained by the transesterification is distilled as it is without being neutralized. Here, “neutralization treatment” refers to neutralizing the basic catalyst contained in the reaction crude product with an arbitrary acid. Therefore, for example, when an ion exchange resin is used as the basic catalyst, an operation of removing the ion exchange resin by filtration or the like is not included in the “neutralization treatment”. Further, the operation of washing the crude product with water is not included in the “neutralization treatment”.
[0030]
Distillation of the reaction crude product is carried out in a distillation apparatus commonly used in industry. In the production method of the present invention, it is essential to control the solution in the distillation kettle to 200 ° C. or lower during distillation, preferably 180 ° C. or lower.
The distillation temperature conditions will be described in more detail. In the distillation in which the reaction crude product is simply distilled to distill off the excess alcohol and the target product and leave the basic catalyst in the distillation kettle. The solution in the still must be controlled at 200 ° C or lower. However, when the distillate containing no basic catalyst obtained by simple distillation is rectified again, it is not always necessary to control the solution in the distillation kettle to 200 ° C. or lower.
In addition, when the reaction crude product is rectified as it is in a state containing a basic catalyst without performing simple distillation as described above, it is essential to control the solution in the distillation kettle to 200 ° C. or lower. .
[0031]
The degree of vacuum when distilling the crude product is particularly as long as the temperature of the distillate in the distillation kettle can be controlled to 200 ° C. or less and the distillate can be efficiently extracted from the top of the distillation column. There is no limit. Usually, it is about 1.5 mmHg or less, preferably 1.0 mmHg or less, more preferably 0.5 mmHg or less. The distillation is preferably carried out in an inert atmosphere such as nitrogen gas. In addition, it is recommended to use a distillation apparatus equipped with a stirrer in order to control the solution in the distillation kettle to the above-mentioned predetermined temperature and prevent temperature unevenness.
[0032]
By the production method as described above, a dihydrojasmonic acid ester having a purity of 99.5% by weight or more and any impurities contained is less than 0.1% by weight.
[0033]
N-Propyl dihydrojasmonate produced from methyl dihydrojasmonate and n-propanol by the method of the present invention exhibits an excellent growth promoting effect when treated on crops and seeds, and is safe for animals. Is an active ingredient for a plant growth promoter, and the present invention is particularly preferably applied.
[0034]
The preferred embodiments of the present invention described above will be summarized below.
1. The purity of the dihydrojasmonic acid ester is 99.5% by weight or more, preferably 99.7% or more, and more preferably 99.8% by weight or more.
2. Any of the impurities contained in the dihydrojasmonate is less than 0.1% by weight, preferably less than 0.08% by weight.
3. The ester group has a hydrocarbon group having 2 to 5 carbon atoms, preferably 3 to 4 carbon atoms.
4). The hydrocarbon group in the ester part is a chain-like saturated product.
5. Dihydrojasmonate is n-propyl dihydrojasmonate.
[0035]
6). The purity of methyl dihydrojasmonate, which is a raw material for the transesterification reaction, is 99.5% by weight or more, preferably 99.7% or more, and more preferably 99.9% by weight or more.
7). Any of the impurities contained in methyl dihydrojasmonate which is a raw material for the transesterification reaction is less than 0.1% by weight, preferably less than 0.05% by weight.
8). In the transesterification reaction, the molar ratio of the raw materials is usually 1 to 6 moles, preferably 2 to 5 moles, more preferably 3 to 4 moles, with respect to 1 mole of methyl dihydrojasmonate.
[0036]
9. The basic catalyst is an alkali metal hydroxide, carbonate, or bicarbonate.
10. The basic catalyst is an alkaline earth metal hydroxide, carbonate, or bicarbonate.
11. The basic catalyst is an alkali metal alcoholate, preferably sodium methoxide.
12 The basic catalyst is used in an amount of 0.01 to 10 mol%, preferably 0.02 to 5 mol%, more preferably 0.05 to 2 mol%, based on methyl dihydrojasmonate.
[0037]
13. The transesterification reaction is carried out without solvent.
14 The transesterification reaction is carried out in the presence of an aromatic hydrocarbon or an aliphatic hydrocarbon.
15. The reaction temperature for transesterification is necessarily 100 ° C. or lower, preferably 90 ° C. or lower, more preferably 80 ° C. or lower.
16. After completion of the transesterification reaction, the reaction crude product is distilled under reduced pressure at a temperature of 200 ° C. or less, preferably 180 ° C. or less, without neutralizing the reaction crude product.
[0038]
【Example】
EXAMPLES The present invention will be specifically described below with reference to examples, but the scope of the present invention is not limited by these examples.
In addition,% in an Example is the weight basis percentage calculated | required by GC analysis (internal standard method) unless there is particular notice. GC analysis was performed using HP 6890 manufactured by Hewlett-Packard Company, column: HP-1 (supporting methylsiloxane, length 30 m, inner diameter 0.25 mm, film thickness 0.25 μm), column temperature: 180 ° C., injection temperature: 230 ° C., carrier gas. : Helium (flow rate 1 ml / min), detector: FID, sample amount: 0.1 μl, internal standard: n-decane. Further, in the examples, “° C.” is the temperature of the reaction solution or the distillate itself unless otherwise specified.
[0039]
Example 1
A 200 ml glass four-necked flask equipped with a stirrer, a Claisen fractionation tube, a cooling tube, a distillation fraction receiver, a thermometer protection tube, and a vacuum line was added to a methyl dihydrojasmonate 67 having a purity of 99.7%. 0.8 g (0.3 mol), 72.0 g (0.83 mol) of n-propanol and 1.1 g of a 28% methanol solution of sodium methoxide (2 mol% based on methyldihydrojasmonate) were charged. The degree of vacuum in the reaction system was set to 350 mmHg, and the mixture was heated and stirred at 85 ° C. in an oil bath. After a while, methanol produced as a by-product due to the progress of the reaction gradually distilled from the fractionating tube. After 7 hours, a part of the reaction solution was collected from the sampling port with a syringe. This was analyzed by GC, and the methyl dihydrojasmonate peak disappeared almost completely, confirming the completion of the transesterification reaction.
[0040]
Next, an excessive amount of n-propanol was gradually distilled from the diversion tube at a reduced pressure of 350 mmHg and finally at a reduced pressure of 25 mmHg and a distillation kettle temperature of 95 ° C. After recovering n-propanol, the fraction of the desired n-propyl dihydrojasmonate was distilled by simple distillation at a reduced pressure of 1 mmHg and a distillation kettle temperature of 180 ° C. The crude product obtained by this simple distillation was charged into a rectifier, and rectified at a reduced pressure of 1 mmHg and a liquid temperature in the distillation kettle of 180 ° C. A target fraction of n-propyl dihydrojasmonate having a boiling point of 136 ° C./1 mmHg was obtained in an amount of 52.3 g.
[0041]
As a result of GC analysis of the rectified fraction under the above-mentioned conditions, it was found that trans-n-propyldihydrojasmonate having a retention time of about 8.05 minutes was 8.83% and retention time was about 8.62 minutes. Propyl dihydrojasmonate was 11.85%, and the purity of n-propyl dihydrojasmonate, which was a total of trans and cis isomers, was 99.88%.
Six small peaks of impurities were observed on the GC chart, all of which were less than 0.1%. Impurity A (structure unknown, estimated molecular weight of GC-MS: 254) having a retention time of about 8.33 minutes, which is the largest peak among these impurities, was 0.07%. The second largest peak, impurity B (structure unknown, estimated molecular weight of GC-MS: 254) having a retention time of about 8.12 minutes, was 0.02%.
[0042]
Example 2
Similar to Example 1, except that the experimental apparatus serving both as a reaction apparatus and a single distillation apparatus described in Example 1 was replaced with a reaction apparatus equipped with a precision distillation column, and transesterification and rectification were carried out continuously. N-propyl dihydrojasmonate was synthesized.
GC analysis of the target product obtained by rectification was performed in the same manner as in Example 1. As a result, 89.01% of trans-n-propyl dihydrojasmonate and 10.81 of cis-n-propyl dihydrojasmonate were obtained. The purity of n-propyl dihydrojasmonate, which is the sum of the trans form and the cis form, was 99.82%. Six small peaks of impurities were observed on the GC chart, all of which were less than 0.1%. Impurity A (structure unknown, estimated molecular weight of GC-MS: 254), which is the largest peak among these impurities, was 0.07%. In addition, impurity B (structure unknown, estimated molecular weight of GC-MS: 254) which is the second largest peak was 0.06%.
[0043]
Comparative Example 1
An experimental apparatus that doubles as the reactor used in Example 1 and a simple distillation apparatus was used. In a 200 ml four-necked flask, 67.8 g of 99.7% pure methyl dihydrojasmonate, 72.0 g of n-propanol and 1.1 g of 28% methanol solution of sodium methoxide (2 mol% based on methyl dihydrojasmonate) Was charged. The pressure reduction degree in a reaction system was set to normal pressure, and it heated and stirred at 110 degreeC in the oil bath. After a while, methanol produced as a by-product due to the progress of the reaction gradually flowed out of the fractionating tube. After 7 hours, a part of the reaction solution was collected from the sampling port with a syringe. This was analyzed by GC, and the methyl dihydrojasmonate peak almost completely disappeared, confirming the completion of the transesterification reaction.
[0044]
Next, an excess amount of n-propanol was distilled from the diverter tube at a normal temperature of 110 ° C. under a normal pressure. After recovering n-propanol, the remaining liquid in the reactor was taken out and neutralized and washed with 2N dilute hydrochloric acid using a separatory funnel. The organic phase was separated and washed thoroughly with 8% aqueous sodium bicarbonate, and the organic phase was separated again. The obtained crude product was charged into a precision distillation apparatus and rectified at a reduced pressure of 2 mmHg and a liquid temperature in the distillation kettle of 220 ° C. A target fraction of n-propyl dihydrojasmonate having a boiling point of 157 ° C./2 mmHg was obtained in an amount of 50.4 g.
[0045]
After rectification, the target product was subjected to GC analysis in the same manner as in Example 1. As a result, it was found that trans-n-propyl dihydrojasmonate was 87.21% and cis-n-propyl dihydrojasmonate was 11.22%. In addition, the purity of n-propyl dihydrojasmonate obtained by adding the trans form and the cis form was 98.43%. On the GC chart, 12 small peaks of impurities were observed. Impurity B (structure unknown, estimated molecular weight of GC-MS: 254), which is the largest peak among these impurities, was 0.48%. The impurity A (structure unknown, estimated molecular weight of GC-MS: 254), which is the second largest peak, was 0.39%.
[0046]
Comparative Example 2
The product after rectification obtained in Comparative Example 1 was rectified again in the same precision distillation apparatus as in Comparative Example 1 at a reduced pressure of 2 mmHg and a distillation kettle temperature of 230 ° C. As a result of GC analysis of the obtained fraction, the content of impurity A was 0.35%, and the content of impurity B was 0.43%.
[0047]
【The invention's effect】
According to the present invention, a high-purity dihydrojasmonate having a very low content of impurities can be obtained, and there is no need to consider toxicity caused by impurities when used as a raw material for a plant growth promoter. Play. Moreover, in the production process of the present invention, there is also an effect that no waste water is generated.
Claims (3)
で表されるジヒドロジャスモン酸エステルを製造する方法であって、炭素数2〜5のアルコール及び塩基性触媒の存在下に、メチルジヒドロジャスモネートのエステル交換反応を100℃以下で行い、かつ、得られる粗生成物を中和することなく200℃以下で蒸留することを特徴とするジヒドロジャスモン酸エステルの製造方法。A transesterification reaction of methyl dihydrojasmonate at 100 ° C. or lower in the presence of an alcohol having 2 to 5 carbon atoms and a basic catalyst, and A method for producing a dihydrojasmonic acid ester, wherein the resulting crude product is distilled at 200 ° C. or less without neutralization.
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