JP4255245B2 - 資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法、資源再利用の繊維強化樹脂製品の製造方法および耐熱性摩擦摺動部品の製造方法 - Google Patents
資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法、資源再利用の繊維強化樹脂製品の製造方法および耐熱性摩擦摺動部品の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用が済み廃物となった繊維加工製品を資源として再利用する技術に関し、更に詳しくは、資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法と、該破砕片を用いた資源再利用の、繊維強化樹脂製品の製造方法と耐熱性摩擦摺動部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維加工製品を含む工業製品は、使用後、埋め立て又は焼却によって処分されることが一般的であるが、近年では、環境問題に配慮して、資源の消費を抑制し、環境に対する負荷を軽減するために、その廃物を資源として再利用することが推進されている。
【0003】
一方、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の高機能繊維は、繊維加工製品に使用されるだけでなく、繊維強化樹脂の補強材としても広く使用されている。そして、このような繊維強化樹脂は、航空、宇宙、建築、土木、船舶、自動車、車両、タンク容器、工業資材等の広範な分野にわたって使用され、今後益々その応用分野を拡大しつつあることは良く知られている。
【0004】
そこで、廃物となった繊維加工製品を再生処理することによって、繊維強化樹脂の補強材として再利用することができれば、廃物を廃棄せずに環境に対する負荷を軽減し、循環型社会を形成する上で極めて有意義である。
【0005】
この点に関して、特開平7−132562号公報は、繊維強化プラスチックの廃物から生産されるチップをプラスチック中に添加してなるFRPチップ強化プラスチックを開示している。しかしながら、この技術は、繊維強化プラスチックの廃物を再利用するものであって、樹脂を含まない繊維加工製品を再利用するものではない。
【0006】
通常、繊維加工製品の破砕片は、樹脂加工されておらず繊維同士の収束性が不足しているため、バルキーな綿状物になってしまう。特に、高機能繊維からなる繊維加工製品は、破砕時の抵抗が大きく破砕し難いため、加工機械の出力を大きくする必要があるばかりでなく、破砕片の大きさや繊維長の分布などについて品質のバラツキが大きくなる。そのため、繊維加工製品をそのまま破砕して得た補強材は、マトリックス中で塊状になって均一に混合することが困難になり、繊維強化樹脂の性能を十分に発揮できないという問題がある。また、リサイクル対象となる繊維加工製品は、使用済みで汚れや異物が付着している廃物であって、そのまま破砕すると機械のトラブルの原因になったり、繊維強化樹脂の性能に悪い影響を与えてしまうという不都合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用が済み、廃物となった繊維加工製品を資源として有効に再利用することを可能にする資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法と、該破砕片を用いた資源再利用の、繊維強化樹脂製品の製造方法、耐熱性摩擦摺動部品の製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、リサイクル対象となる繊維加工製品を資源として再利用するために鋭意検討を重ねた結果、繊維加工製品を熱硬化性樹脂が付着した状態で破砕することにより、繊維同士の収束性を高めて、破砕片が綿状物になることを防止しながら効率良く破砕できることやマトリックス中に混ぜ易くなることを見い出し、本発明に至ったのである。
【0009】
すなわち、上記目的を達成する本発明の資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維から選ばれた少なくとも1種である繊維からなる使用済みの繊維加工製品を清浄化処理した後、溶媒中に分散又は溶解させた熱硬化性樹脂を前記繊維加工製品に含浸して乾燥させ、次いで、該繊維加工製品を剪断型破砕装置を用いて多段階の破砕工程を行うことにより、破砕片の長さが該多段階の破砕工程で徐々に小さくなるようにし最終的に長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にすることを特徴とするものである。
【0010】
かかる本発明の方法で製造される資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片は、バルキーな綿状物になり難く、しかも品質のバラツキが小さくなる。そのため、繊維強化樹脂の補強材として好適である。即ち、上記破砕片は熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に均一に分散しやすく、繊維強化樹脂としての性能を高めることができる。
【0012】
本発明の方法においては、清浄化処理を施した繊維加工製品に熱硬化性樹脂を含浸して乾燥させ、その繊維加工製品を剪断型破砕装置を用いて破砕することにより、マトリックスに熱硬化性樹脂を含む繊維強化樹脂の補強材として好適な破砕片を効率良く製造することができる。特に、使用済みの繊維加工製品は、汚れや異物が付着しており、その状態のまま破砕すると機械故障の原因になったり、繊維強化樹脂の性能に悪い影響を与えるが、繊維加工製品を清浄化処理することで、これら不都合を回避することができる。
【0013】
本発明の方法においては、剪断型破砕装置による破砕処理において、破砕片の長さを多段階の工程で徐々に小さくし、最終的に長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にすることが好ましく、肝要なことである。例えば、剪断型破砕装置による破砕処理は、長さ5〜20mmの破砕片を全破砕片の50重量%以上にする粗砕工程と、長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にする粉砕工程との少なくとも2段階で実施することが好ましい。
【0014】
上述のようにリサイクル対象となる繊維加工製品を再生処理し、その破砕片を補強材として再利用したリサイクル繊維強化樹脂は、輸送機械部品や産業機械部品や電気機械部品等を代表とする工業用材料として活用することができる。特に、耐熱性や摩擦摺動性が要求される自動車や機械装置における軸受、ブッシュ、ブレーキ材、クラッチ材等の摩擦摺動部品に適用することができる。
【0015】
本発明によれば、上述のようにして得られた破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させてなる繊維強化樹脂製品が提供される。より好ましくは、上述のようにして得られた破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させてなる耐熱性摩擦摺動部品が提供される。
【0016】
また、上述のようにして得られた破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させた後、これら破砕片とマトリックスとの複合材料から成形品を得る繊維強化樹脂製品の製造方法が提供される。より好ましくは、上述のようにして得られた全芳香族ポリアミド繊維を含んだ破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させた後、これら破砕片とマトリックスとの複合材料から耐熱摩擦摺動部品を成形する耐熱性摩擦摺動部品の製造方法が提供される。例えば、本発明により得られた全芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維から選ばれた少なくとも1種である繊維を含んだ破砕片をマトリックスに混合した後、その複合材料を金型内に配してプレス成形し、加圧加熱処理することで所望の成形品を得ることができ、中でも、全芳香族ポリアミド繊維を含んだ破砕片を用いて耐熱性摩擦摺動部品を成形できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明における繊維加工製品とは、合糸、撚糸、編物、織物等の1次加工製品のみならず、それらを用いて作られた作業用手袋、防護衣、工業資材等の2次加工製品を包含するものである。リサイクル対象となる繊維加工製品は、一般に使用済みの繊維加工製品であるが、これら繊維加工製品を製造する際に発生する不良品、不用品、屑等も包含するものである。
【0019】
リサイクル対象とすべき繊維としては、全芳香族ポリアミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維(PBO)、芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維等を挙げることができる。全芳香族ポリアミド繊維としては、好ましくはポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)等のパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。
【0020】
使用済みの繊維加工製品については、予め清浄化処理を施すことが望まれる。この清浄化処理によって、繊維加工製品に付着した汚れのほか、プラスチックや金属粉等の挟雑物や油分などが除去され、破砕時にトラブルを生じることなく効率的な破砕を行うことができる。この清浄化処理は破砕片及び該破砕片を用いた繊維強化樹脂製品の品質を向上する上でも重要である。
【0021】
繊維加工製品に付着させる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂等を使用することが好ましい。これら熱硬化性樹脂は、水に分散させた状態、或いは、有機溶剤に溶解させた状態で繊維加工製品に含浸して乾燥させれば良い。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、酢酸エステル類等を挙げることができる。
【0022】
乾燥状態の繊維加工製品において、樹脂の付着量は総重量に対して5〜20重量%であることが好ましい。樹脂の付着量が5重量%未満であると、破砕時における繊維同士の収束性が不足し、破砕片がバルキーな綿状物になるため、その破砕片をマトリックス中に均一に分散させることが困難になる。一方、樹脂の付着量が20重量%を超えると、繊維同士が強固に一体化してしまうので、この場合も、収束された繊維からなる破砕片のマトリックスへの分散性が悪くなる。
【0023】
繊維加工製品の破砕処理には、剪断型破砕装置を使用することが好ましい。このような剪断型破砕装置としては、一般に使用されているギロチン型、シュレッダー型、回転刃と固定刃を持つロータリー型等を挙げることができ、これらを組み合わせて用いても良い。
【0024】
図1はシュレッダー型の剪断型破砕装置の一例を示すものである。この剪断型破砕装置は、投入口1から挿入される繊維加工製品を破砕部2で破砕して排出口3から排出するようになっている。破砕部2は2本の回転軸4a,4bにそれぞれ複数枚の回転刃5a,5bとスペーサ6a,6bとを交互に取り付け、これら回転刃5a,5bを互いに噛み合わせた構成になっている。回転軸4a,4bは繊維加工製品を巻き込むように互いに反対方向に回転する。また、隣り合う回転刃5b,5b間にはスペーサ6bに接するようにスクレイパー7が配置されている。更に、排出口3の手前には回転刃8と固定刃9からなる粉砕手段が付加されている。
【0025】
上記剪断型破砕装置では、投入口1から投入された繊維加工製品は破砕部2の回転刃5a,5b間の剪断作用によって引き裂かれ、更には回転刃8と固定刃9との間の剪断作用によって粉砕されて破砕片となる。
【0026】
図2はロータリー型の剪断型破砕装置の一例を示すものである。この剪断型破砕装置は、投入口11から挿入される繊維加工製品を破砕部12を通して破砕するようになっている。破砕部12はメッシュ状のスクリーン13で囲まれた円筒状の保持空間14を有し、その保持空間14へ突出する一対の固定刃15を備えると共に、複数枚の回転刃16を放射状に取り付けた回転軸17を保持空間14内に配設した構成になっている。回転軸17が回転すると固定刃15と回転刃16との間で剪断作用を生じる。スクリーン13を通過した破砕片は排出口18から排出されるようになっている。
【0027】
上記剪断型破砕装置では、投入口11から投入された繊維加工製品は、破砕部12の固定刃15と回転刃16との間の剪断作用によって粉砕されて破砕片となる。このとき、破砕片の長さ分布はスクリーン13のメッシュの穴径に基づいて決まる。
【0028】
図3はロータリー型の剪断型破砕装置の他の例を示すものである。この剪断型破砕装置は、投入口21から挿入される繊維加工製品を破砕部22を通して破砕するようになっている。破砕部22はメッシュ状のスクリーン23で囲まれた円筒状の保持空間24を有し、その保持空間24へ突出する一対の固定刃25を備えると共に、複数枚の回転刃26を放射状に取り付けた回転軸27を保持空間24内に配設した構成になっている。回転軸27が回転すると固定刃25と回転刃26との間で剪断作用を生じる。スクリーン23の外側には収容部28が設けられていて、この収容部28にスクリーン23を通過した破砕された破砕片が収容される。収容部28の下端部には排出管29が連結され、この排出管29を介して破砕片が外部に吸引されるようになっている。
【0029】
上記剪断型破砕装置では、投入口21から投入された繊維加工製品は、破砕部22の固定刃25と回転刃26との間の剪断作用によって粉砕されて破砕片となる。このとき、破砕片の長さ分布はスクリーン23のメッシュの穴径に基づいて決まる。
【0030】
本発明において、補強材として採取する破砕片のサイズはマトリックスへの分散性と補強材として要求される繊維長との関係から10mm以下にすることが好ましい。最終的には、前述したように、破砕を多段階の工程で行なって破砕片を徐々に小さくし、長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にすることが肝要である。
このような破砕片を効率良く得るために、剪断型破砕装置による破砕処理を、長さ5〜20mmの破砕片を全破砕片の50重量%以上にする粗砕工程と、長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にする粉砕工程との少なくとも2段階で実施すると良い。
【0031】
これら粗砕工程と粉砕工程とをロータリー型の剪断型破砕装置で実施する場合、破砕片を排出する前に設けられるスクリーンのメッシュ穴径及び回転速度を各工程でコントロールすれば良い。この場合、破砕能力が互いに異なる複数種類のロータリー型の剪断型破砕装置を組み合わせて用いても良く、或いは、同一の剪断型破砕装置を用いて破砕処理を2〜3回繰り返し行うようにしても良い。ここで、粉砕工程での回転刃数は粗砕工程での回転刃数よりも多くすると良い。粉砕工程での回転速度は粗砕工程での回転速度よりも速くすると良い。また、シュレッダー型の剪断型破砕装置で粗砕工程を実施し、ロータリー型の剪断型破砕装置で粉砕工程を実施するようにしても良い。
【0032】
上述のようにして得られた樹脂処理された破砕片は、バルキーな綿状物になり難く、しかも品質のバラツキが小さくなるので、マトリックスに熱硬化性樹脂を含む繊維強化樹脂の補強材として有効に利用される。また、上記破砕片はスクリーン等の通過性も良好である。
【0033】
繊維強化樹脂製品を成形するための熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、スルホンアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂等を挙げることができ、繊維加工製品に付着させた樹脂と同じもの或いは相溶性が良いものを使用することが好ましい。特に、摩擦摺動材としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂が好ましい。
【0034】
マトリックスは、熱硬化性樹脂を含有することが必要であるが、その他の成分として、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カシューダスト等の増量剤(充填剤)や黒鉛等の潤滑剤のように繊維強化樹脂製品で一般に使用される各種の添加剤を加えることができる。但し、繊維強化樹脂製品における熱硬化性樹脂の含有量は、5〜70重量%とすることが好ましい。
【0035】
本発明で得られた破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させて繊維強化樹脂製品を製造するに際し、破砕片とマトリックスと混合して成形する方法は特に限定されるものではない。例えば、ミキサーによる混練や攪拌が可能であるが、特に複数枚の攪拌羽を備えた混練機による混練を行えばマトリックスへの分散性を高めることができる。このようにして破砕片とマトリックスを混合した材料は、所定の金型に配してプレス成形し、加圧加熱処理することで成形しても良く、或いは、そのまま押出成形や射出成形により成形しても良い。
【0036】
繊維強化樹脂製品における繊維の含有量は、その製品の用途によって決められるが、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%とする。
【0037】
図4は本発明で得られる繊維強化樹脂製品の一部を拡大して示すものである。図4に示すように、本発明の繊維強化樹脂製品は、熱硬化性樹脂を含むマトリックス31中に破砕片32を分散させたものであり、その破砕片32は繊維加工製品を熱硬化性樹脂を付着させた状態で破砕して得たものである。
【0038】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。
【0039】
なお、実施例における物性の測定方法は以下の通りである。
【0040】
A.機械特性:
モールディング成形によって得られたサンプル成形品から幅15mm、長さ95mm、厚さ2.5mmの試験片を加工し、JIS K 7171に準じて曲げ試験を実施し、曲げ強さ(MPa)と曲げ弾性率(MPa)を求めた。
【0041】
B.摩擦特性:
JIS D 4411を参考にし、JIS K 7218 A法に準拠して摩耗試験を実施し、動摩擦係数と摩耗量(mg)を求めた。但し、相手材には鋳鉄FC25を使用した。また、摩耗条件は、荷重0.98MPa、速度4m/秒とした。
〔実施例1〕
使用済みのアラミド繊維製の作業用手袋を中性洗剤を使用して15分間水洗いした後、遠心脱水し、乾燥させた。この清浄化した手袋を20%濃度の水分散性のレゾール型フェノール樹脂エマルジョン液(大日本インキ化学工業株式会社製、PE−201L)に浸漬し、3分間の遠心脱水により樹脂の付着量を調整し、180℃で20分間乾燥させた。その結果、樹脂付着量が約10重量%の手袋を得た。
【0042】
次に、この手袋を図1に示すシュレッダー型の破砕装置で繰り返し2回の破砕処理を行った。1回目の破砕処理では、糸束の長さが3〜10mm程度の糸束状破砕片と繊維の長さが1〜5mm程度の繊維状破砕片を得た。その中には、糸束が絡まったものも僅かに含まれていた。2回目の破砕処理によって、糸束の長さは短くなり、その割合も半分以下に減少し、繊維状破砕片の割合が増加した。なお、シュレッダー式破砕装置での処理速度は、1回目が約100g/分で、2回目が約200g/分であり、2回目の方が向上していた。これは、破砕片がある程度細かくなると何回もシュレッダーを通らずに粉砕刃による粉砕工程に進むためで、その粉砕刃の吐出能力に依っている。
【0043】
このようにして得た破砕片を粉末状のノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、J−375)に対して20重量%の割合で混合し、混練装置としてユニバーサルミキサーを用いて1分間混練し、樹脂と繊維とのコンパウンド材料を作製した。次いで、増量材としてガラスパウダーを加えて混ぜ合わせ、これを金型に注入し、温度150℃で予備成形し、温度180℃で硬化させることで、破砕片の含有量が6重量%で、樹脂の含有量が24重量%の繊維強化樹脂成形品を得た。この成形品の物性は、表1の通りであった。
〔実施例2〕
使用済みのアラミド繊維製の作業用手袋を中性洗剤を使用して15分間水洗いした後、遠心脱水し、乾燥させた。この清浄化した手袋を20%濃度の水分散性のレゾール型フェノール樹脂エマルジョン液(大日本インキ化学工業株式会社製、PE−201L)に浸漬し、3分間の遠心脱水により樹脂の付着量を調整し、180℃で20分間乾燥させた。その結果、樹脂付着量が約10重量%の手袋を得た。
【0044】
次に、この手袋を図2に示すロータリー型の破砕装置(粗砕機A)と該破砕装置よりも刃数が多く高速回転仕様である図3に示すロータリー型の破砕装置(粉砕機B)で破砕処理を行った。即ち、上記手袋を一定量づつ穴径12mmのスクリーンを取り付けた粗砕機Aに投入し、粗砕し、サイクロンによりスクリーン穴を通して吸引し、排出した。粗砕によって、糸束の長さが10mm程度の糸束状破砕片と繊維の長さが5mm以下の繊維状破砕片を得た。その中には、糸束状破砕片が50重量%以上含まれていた。次に、粗砕された破砕片を穴径2mmのスクリーンを取り付けた粉砕機Bに投入し、2000rpmの高速回転で粉砕し、繊維の長さが1〜3mm程度の短い繊維状破砕片を得た。その中には、糸束状破砕片は殆ど存在していなかった。なお、粗砕機Aでの処理速度は約500g/分であり、粉砕機Bでの処理速度は約300g/分であった。
【0045】
このようにして得た破砕片を粉末状のノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、J−375)に対して20重量%の割合で混合し、混練装置としてユニバーサルミキサーを用いて10秒間混練し、樹脂と繊維とのコンパウンド材料を作製した。次いで、増量材としてガラスパウダーを加えて混ぜ合わせ、これを金型に注入し、温度150℃で予備成形し、温度180℃で硬化させることで、破砕片の含有量が8.5重量%で、樹脂の含有量が21.5重量%の繊維強化樹脂成形品を得た。この成形品の物性は、表1の通りであった。
〔実施例3〕
実施例2と同様の方法により繊維状破砕片を得た後、その破砕片を粉末状のノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、J−375)に対して25重量%の割合で混合し、混練装置としてユニバーサルミキサーを用いて10秒間混練し、樹脂と繊維とのコンパウンド材料を作製した。次いで、増量材としてガラスパウダーを加えて混ぜ合わせ、これを金型に注入し、温度150℃で予備成形し、温度180℃で硬化させることで、破砕片の含有量が10重量%で、樹脂の含有量が20重量%の繊維強化樹脂成形品を得た。この成形品の物性は、表1の通りであった。
【0046】
【表1】
この表1に示すように、実施例1〜3の繊維強化樹脂成形品はいずれも耐熱性摩擦摺動部品として使用可能な物性を呈していた。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、リサイクル対象となる繊維加工製品を清浄化処理した後、その繊維加工製品に熱硬化性樹脂を含浸して乾燥させ、次いで、その繊維加工製品を剪断型破砕装置を用いて破砕するから、マトリックスに熱硬化性樹脂を含む繊維強化樹脂の補強材として好適な破砕片を得ることができ、更には耐熱性摩擦摺動部品として活用できるような繊維強化樹脂製品を得ることができる。その結果、繊維加工製品の廃棄や焼却等による産業廃棄物を大幅に削減し、環境への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するシュレッダー型の剪断型破砕装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明で使用するロータリー型の剪断型破砕装置の一例を示す断面図である。
【図3】本発明で使用するロータリー型の剪断型破砕装置の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明で得られる繊維強化樹脂製品の一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1,11,21 投入口
2,12,22 破砕部
3,18 排出口
4a,4b,17,27 回転軸
5a,5b,8,16,26 回転刃
6a,6b スペーサ
7 スクレイパー
9,15,25 固定刃
13,23 スクリーン
14,24 保持空間
18 排出口
28 収容部
29 排出管
31 マトリックス
32 破砕片
Claims (5)
- 全芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維から選ばれた少なくとも1種である繊維からなる使用済みの繊維加工製品を清浄化処理した後、溶媒中に分散又は溶解させた熱硬化性樹脂を前記繊維加工製品に含浸して乾燥させ、次いで、該繊維加工製品を剪断型破砕装置を用いて多段階の破砕工程を行うことにより、破砕片の長さが該多段階の破砕工程で徐々に小さくなるようにし最終的に長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にすることを特徴とする資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法。
- 前記繊維加工製品に付着させる熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法。
- 前記剪断型破砕装置による多段階の破砕工程を、長さ5〜20mmの破砕片を全破砕片の50重量%以上にする粗砕工程と、長さ5mm以下の破砕片を全破砕片の50重量%以上にする粉砕工程との少なくとも2段階で実施することを特徴とする請求項1または2記載の資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法で得られた破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させた後、該破砕片とマトリックスとの複合材料から成形品を得ることを特徴とする資源再利用の繊維強化樹脂製品の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の資源再利用用の熱硬化性樹脂補強用破砕片の製造方法で得られた全芳香族ポリアミド繊維を含んだ破砕片を、熱硬化性樹脂を含むマトリックス中に分散させた後、該破砕片とマトリックスとの複合材料から耐熱摩擦摺動部品を成形することを特徴とする資源再利用の耐熱性摩擦摺動部品の製造方法。
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