JP4254526B2 - 液体分配供給装置および液体分配供給装置付きラップ盤 - Google Patents
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Description
図1,図2は公知の2ウエイ方式のラップ盤の例であり、ラップ盤1の上部に漏斗状の液受け部3を有する受皿2が配置されている。液受け部3の底部(最下部)には、図2に示すように、半球凹状の分配部4が設けられ、この分配部4にはラップ液を排出するための複数の排出口5が形成されている。各排出口5はホース6を介してラップ盤1の各研磨部と連結されている。受皿2の上方には、ラップ液供給装置である攪拌タンク7が設けられ、この攪拌タンク7のノズル8から間欠的にラップ液が受皿2の液受け部3上に滴下される。攪拌タンク7は図示しない支柱を中心として回転できるようになっている。攪拌タンク7から受皿2にラップ液を供給すると、各ホース6を介してラップ盤1の各研磨部にラップ液が分配供給される。
この対策として、ノズル8からの滴下位置を微調整することにより、堆積の偏り発生までの時間間隔を延ばす方法もあるが、滴下ノズル8は作業性を考慮して移動式とされているため、最適位置の再現が困難であった。
そのため、一定時間毎に排出口5の周辺に溜まった堆積物Wを取り除く作業が必要となるが、作業者の手間や負担が増大し、コスト上昇を招く結果となっていた。
やがて、球体は浮力により浮き上がり、液体は球体と液受け部との間を通って分配部へと流れこみ、さらに排出口へと排出される。液体が分配部へ流れ込む際、全周からほぼ均等に流れ込むので、堆積物の偏りが防止され、堆積物の発生自体も少なくできる。
このように、液体供給装置のノズルからの液体の滴下位置が変化しても、球体の表面を伝って液受け部に流れ落ちて均一な液膜となり、分配部へと供給されるので、堆積物の偏りを解消できる。また、球体はノズルからの液体滴下の衝撃と水流により微動回転しているため、球体の周面には堆積物が発生しない。同様に、液受け部と球体との接触部に一旦溜まる液体も、球体の回転によって攪拌されるので、接線部には堆積物が溜まらないか、あるいは堆積を著しく少なくできる。したがって、堆積物を取り除くための清掃作業の回数を減らすことができる。
液受け部の内面を平滑面としてもよいが、球体が液受け部に密着すると、その接触部に液体が滞留し、分配部への流れ込みに遅れが生じるとともに、接触部に堆積物が溜まる可能性がある。
請求項2のように、液受け部の内面に複数の溝を設けることで、球体が液受け部に密着していても、溝に最初に液体が流れこみ、それが起点となって球体と液受け部との接触部が開かれ、溜まった液体が一挙に分配部へと流れ込むことができる。溝を設ける位置は、少なくとも球体が接する液受け部の底面であればよく、分配部まで連続している必要はない。
この溝は液体の流れ込みの起点とするためのものであり、その断面積を液体の滴下量を考慮して設定する必要はない。断面積で決まる流量を越える液体が流れてきた場合には、球体が浮き上がることで対応できる。例えば、ラップ液を対象とした場合には、漏斗状液受け部の底面に、幅1mm程度、深さ0.5mm程度の溝を3本以上設ければ、十分な効果が得られる。
液体供給装置が液体を連続的に供給する場合であっても本発明は有効であるが、液体を間欠的に供給する場合には、液体の流量が少なく、堆積物の偏りが発生しやすいので、本発明はさらに有効である。
具体的には、ピンポン球のような樹脂製中空球体を使用するのがよい。球体の比重は液体の比重より小さいことが必要であるが、液体供給装置から滴下された液体により容易に回転し、かつ液体の浮力により容易に浮き上がれるようにするには、液体の比重の1/10以下とするのが望ましい。
半径18.8mmのピンポン球の場合、球体の体積は約27cc、重量は約2.5gであるから、比重は約0.09g/ccである。一方、ラップ液の場合、比重は約1.08g/ccである。ピンポン球の比重はラップ液の比重の0.08倍であり、良好な結果が得られた。
樹脂製中空球体の他、取り扱う液体の比重に応じて、樹脂製の中実球体、発泡樹脂球体、金属中空球体などを用いることもできる。
また、本発明によれば、既存の受皿の液受け部上に軽い球体を載置するだけでよいので、構造が非常に簡単であり、低コストで実現できる。
受皿2は、従来と同様に、漏斗状の液受け部3を有し、液受け部3の底部(最下部)に円筒状の分配部4が設けられている。分配部4の側壁はほぼ垂直であり、半球状の底部にはラップ液を排出するための複数の排出口5が形成されている。液受け部3上には、ラップ液より小さい比重を有し、攪拌タンク7からのラップ液の供給により回転自在な球体10が載置されている。この実施例では、球体10はピンポン球で構成されている。液受け部3の底面(テーパ面)には、底部方向に向かう複数の縦溝11が設けられている。縦溝11は、少なくとも球体10が接する液受け部3の内面に形成されており、ここでは幅1mm、深さ0.5mmの溝を等間隔で3本設けてある。溝は3本以上が望ましい。
√2r≧A≧r
B≧0
上式において、√2r≧Aとした理由は、球体10が分配部4の開口部より上部、つまり液受け部3の底面上で接触するように寸法設定するためである。球体10が分配部4の開口部に接触すると、エッジ当たりとなるので、球体10と液受け部3との間を通るラップ液の流れを阻害する可能性があるからである。また、A≧rとした理由は、球体10が液受け部3の底面上であって、できるだけ分配部4の開口部の近くで接するようにする(Bをできるだけ小さくする)ためである。Bを小さくすることで、球体10を通過した後のラップ液が液受け部3の底面を通過する時間を短縮し、ラップ液を速やかに分配部4に導き、液受け部3の底面上に溜まる堆積物を減らすことができる。
攪拌タンク7からラップ液Lを滴下する前の段階では、図5の(a)に示すように、球体10と液受け部3とは円環状の接触部Cで接触している。
攪拌タンク7のノズル8からラップ液Lを間欠的に滴下すると、ラップ液Lは液受け部3上に載置された球体10上に落下する。球体10の表面は球面であるから、ラップ液Lはその周面を流れて液受け部3との接触部Cに溜まる。そのため、図5の(b)および図6の(a)に示すように、瞬間的にはラップ液Lの偏りが発生するが、球体10に滴下されたラップ液Lの衝撃と水流とにより、球体10は微動回転するので、図5の(c)および図6の(b)に示すように、ラップ液Lは球体10と液受け部3との接触部の全周へ速やかに回りこむ。
やがて、球体10は浮力により浮き上がり、図6の(c)のようにラップ液Lは球体10と液受け部3との間を通って分配部4へと流れこみ、さらに排出口5へと排出される。特に、球体10と接する液受け部3の底面には縦溝11が設けられているため、球体10が液受け部3に密着していても、縦溝11をラップ液Lが流れることで、それが起点となって球体10が浮き上がり、溜まったラップ液Lが一挙に分配部4へと流れ込むことができる。ラップ液Lが分配部4へ流れ込む際、分配部4の全周からほぼ均等に流れ込むので、堆積物の偏りが防止され、堆積物の発生自体も少ない。
図6の(d)はノズル8からの滴下の繰り返しによりある程度の時間が経過した後の状態を示す。図示するように、砥粒Wは分配部4の内面に多少堆積するが、従来に比べて堆積量が少なく、かつ堆積量の偏りが殆どない。そのため、時間の経過と共に分配ばらつきが大きくなるという問題が殆どなく、ラップ研磨精度に悪影響を及ぼさない。
また、球体10はノズル8からのラップ液L滴下の衝撃と水流により微動回転しているため、球体10の周面には堆積物が発生しない。同様に、液受け部3と球体10との接触部に一旦溜まるラップ液Lも、球体の回転によって攪拌されるので、接線部には堆積物が溜まらないか、あるいは堆積を著しく少なくできる。したがって、堆積物を取り除くための清掃作業の回数を減らすことができる。
上記実施例では、液受け部上に球体が密着するのを防止するため、液受け部の球体との接触部である底面に縦溝を設けたが、縦溝に代えて縦リブを設けてもよいし、多数の微小な突起を形成してもよい。
2 受皿
3 液受け部
4 分配部
5 排出口
6 ホース
7 攪拌タンク(ラップ液供給装置)
8 ノズル
10 球体
11 縦溝
Claims (5)
- スラリー状の液体を受ける漏斗状の液受け部と、この液受け部の底部に設けられ、上記液体を排出するための複数の排出口を有する分配部とを備えた受皿手段と、
上記受皿手段の上方より上記液受け部に上記液体を供給する液体供給手段とを備え、
上記液受け部上に、上記液体より小さい比重を有し、上記液体供給手段からの上記液体の供給により回転自在な球体が載置されていることを特徴とする液体分配供給装置。 - 上記球体が接する上記液受け部の底面には、底部へ向かう複数の溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体分配供給装置。
- 上記液体供給装置は、上記液受け部に対して上記液体を間欠的に供給することを特徴とする請求項1または2に記載の液体分配供給装置。
- 上記球体は、中空球体であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体分配供給装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の液体分配供給装置を備え、
上記液体は砥粒を水に混合したラップ液であり、
上記液体分配供給装置の複数の排出口からそれぞれ配管を介してラップ液が複数の研磨部に供給されることを特徴とする液体分配供給装置付きラップ盤。
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