JP4242160B2 - ローパスフィルタ回路および高周波通信装置 - Google Patents

ローパスフィルタ回路および高周波通信装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4242160B2
JP4242160B2 JP2003003199A JP2003003199A JP4242160B2 JP 4242160 B2 JP4242160 B2 JP 4242160B2 JP 2003003199 A JP2003003199 A JP 2003003199A JP 2003003199 A JP2003003199 A JP 2003003199A JP 4242160 B2 JP4242160 B2 JP 4242160B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pass filter
filter circuit
low
inductance
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003003199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004221649A (ja
Inventor
義久 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2003003199A priority Critical patent/JP4242160B2/ja
Publication of JP2004221649A publication Critical patent/JP2004221649A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4242160B2 publication Critical patent/JP4242160B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Filters And Equalizers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローパスフィルタ回路および高周波通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の第1ローパスフィルタ回路としては、図11に示す最も基本的な構造のものがある(例えば、非特許文献1参照)。図11において、このローパスフィルタ回路は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に直列に接続された3個のインダクタンス素子L1f,L2f,L3fと、各インダクタンス素子L1f,L2f,L3fの端のノードとグランドとの間に接続された4個のキャパシタンス素子C1f,C2f,C3f,C4fとを備えている。このローパスフィルタ回路は、非特許文献1に開示されている回路においてn=3.5とした場合の回路、いわゆる「3.5段π型」の回路である。ここで、n=3.5としたのは、後に示す本発明の実施形態と回路素子の数を同じにすることで性能の優劣を容易に比較できるようにした配慮であり、本質的な問題ではない。
【0003】
図11に示す従来の第1のローパスフィルタ回路は基本形であるが、前記非特許文献1中でも示されているように、このようなローパスフィルタ回路においては、キャパシタンス素子とインダクタンス素子を交互に追加・削減することによって、段数を自由に増減させられることが知られている。説明を簡略化するため、本明細書中ではインダクタンス素子が4個でキャパシタンス素子が3個である回路についてのみ回路図やシミュレーション結果を示しているが、しかしながら本発明の趣旨は、このような特定の段数の回路に限定されるものではない。
【0004】
図11に示す従来の第1のローパスフィルタ回路は、通過帯域と減衰帯域の境界における急峻度があまり高くないという問題が知られている。この問題に関しては、同一条件下で実際に回路を設計してみなければ分かりにくい問題であるため、本明細書中では後に比較例1として実例を示している。
【0005】
このような問題に対して、通過帯域近傍に減衰極を形成して急峻度を高めるような工夫が試みられてきた。
【0006】
従来の第2のローパスフィルタ回路としては、図13に示すものがある(例えば、特許文献1参照)。この第2のローパスフィルタ回路は、通過帯域近傍に減衰極を形成することによって急峻度が高められている。
【0007】
また、従来の第3のローパスフィルタ回路としては、図15に示すものがある(例えば、非特許文献1参照)。この第3のローパスフィルタ回路は、図13の第2のローパスフィルタ回路とは異なる原理によって減衰極を形成することによって急峻度が高められている。これら図13と図15の第2,第3のローパスフィルタ回路の特性については、本明細書中では後に比較例2と比較例3として実例を示している。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−237061号公報
【非特許文献1】
小西良弘著、「通信用フィルタ回路の設計とその応用」、第1版、総合電子出版社、1994年2月、p.18
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の第1のローパスフィルタ回路(図11)においては、通過帯域と減衰帯域の境界における急峻度が高くないという問題があった。また、減衰極を付与された従来の第2,第3のローパスフィルタ回路(図13と図15)においても、図11の第1のローパスフィルタ回路と比べて一定の急峻度改善が見られるものの、まだまだ急峻度が十分ではなかった。
【0010】
高周波通信装置においては、フィルタの急峻度が低い場合には、妨害波が除去できずに残留することになり、通信品質の劣化を引き起こす。しかしながら、従来の第1〜第3のローパスフィルタ回路(図11、図13、図15)においては、急峻度を高めるためには回路の規模、即ちキャパシタンス素子やインダクタンス素子の段数を増やす以外に方法がなく、その結果、高周波通信装置全体の大型化・重量化・高コスト化を招く一因となってしまう。
【0011】
本発明のローパスフィルタ回路は、このような従来技術の問題の解決を目的とするものであり、回路を大規模化させることなく、通過帯域と減衰帯域の境界における急峻度を改善することを目的とする。
【0012】
また、本発明の高周波通信装置は、妨害波を効果的に除去して通信品質を高めることができ、超広帯域で小型・軽量の高周波通信装置を実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のローパスフィルタ回路は、入力ポートと出力ポートとの間に直列に接続された3以上のインダクタンス成分と、前記インダクタンス成分の端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス成分とを備え、前記インダクタンス成分のうちの少なくとも1組のインダクタンス成分どうしが相互誘導磁界結合によって結合され、前記相互誘導磁界結合の方向が同じ方向であって、前記インダクタンス成分のうち相互誘導磁界結合される2個のインダクタンス成分が隣り合っていないことにより、通過帯域の近傍に減衰極を発生させることを特徴とする。ここで、インダクタンス成分とは、コイルだけでなくインダクタンスを有する素子であればよく、また、キャパシタンス成分とは、コンデンサだけでなくキャパシタンスを有する素子であればよい。
【0014】
上記構成のローパスフィルタ回路によれば、この相互誘導磁界結合による結合の効果によって、通過帯域の近傍に減衰極が発生し、急峻度が改善することができる。また、最適なフィルタ特性が得られる減衰極を通過帯域の近傍に最適設定することができる。
【0015】
また、一実施形態のローパスフィルタ回路は、前記相互誘導磁界結合が、所定の間隔をあけて略平行に配置された2本の高周波伝送線路の間の電磁界結合であることを特徴とする。
【0016】
上記実施形態のローパスフィルタ回路によれば、10GHz以上のマイクロ波帯に対応できるローパスフィルタ回路を容易に実現することができる。
【0017】
【0018】
【0019】
また、一実施形態のローパスフィルタ回路は、前記入力ポートと前記出力ポートとの間が、キャパシタンス成分によって飛越し結合されていることを特徴とする。
【0020】
上記実施形態のローパスフィルタ回路によれば、このキャパシタンス成分による飛越し結合の効果によって、通過帯域の近傍に第2の減衰極が発生し、急峻度が更に改善する。
【0021】
また、本発明の高周波通信装置は、本発明によるローパスフィルタ回路を、ベースバンドの帯域外ノイズ除去フィルタとして用いたことを特徴とする。
【0022】
上記構成の高周波通信装置によれば、回路の大規模化・大型化・重量化を避けることができ、装置全体の小型化,軽量化だけでなく、通信品質の改善も図ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いてさらに具体的に詳細に説明する。
【0024】
なお、本明細書においては、ディジタル無線通信等の比較的高い周波数帯のシステムを想定しているために、フィルタ回路の特性は50Ω系のSパラメータのグラフで表しており、S11パラメータは反射係数であり、S21パラメータは透過係数である。
【0025】
また、フィルタ特性のグラフは、実測結果のグラフではなく、シミュレーション結果のグラフに統一した。更に、全てのシミュレーション結果は、同一の市販回路シミュレータ(EAGLEWARE社GENESYS7.0)を用いて、同一の最適設計条件(表1)の下で最適設計を行った結果で統一した。
【0026】
【表1】
Figure 0004242160
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のローパスフィルタ回路の回路図であり、通称「3.5段π型」の場合の一例を示したものである。図1において、このローパスフィルタ回路は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に直列に接続されたインダクタンス成分の一例としての3個のインダクタンス素子L1a,L2a,L3aと、各インダクタンス素子L1a,L2a,L3aの端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス成分の一例としての4個のキャパシタンス素子C1a,C2a,C3a,C4aとを備えている。そして、インダクタンス素子L1a,L2a,L3aのうちの2個(L1a,L3a)が、結合係数K13aの相互誘導インダクタンスを形成しており、この点が従来の第1のローパスフィルタ回路(図11)と異なっている。ここで、インダクタンス素子L1aの一端(黒点側)を入力ポートINに接続し、インダクタンス素子L1aの他端をインダクタンス素子L2aの一端に接続する一方、インダクタンス素子L3aの一端(黒点側)をインダクタンス素子L2aの他端接続し、インダクタンス素子L3aの他端を出力ポートOUTに接続している。
【0028】
また、上記第1実施形態のローパスフィルタ回路は、相互誘導インダクタンスを用いた従来の第2のローパスフィルタ回路(図13)と比べると、次の2点で構造が違っている。即ち、第1の違いとして、従来の第2のローパスフィルタ回路図13)では、相互誘導インダクタンスは隣接する2個のインダクタンス素子L1g,L2gによって形成されているのに対して、本発明の第1実施形態(図1)では、相互誘導インダクタンスは隣接しない2個のインダクタンス素子L1a,L3aによって形成されている。また、第2の違いとして、従来の第2のローパスフィルタ回路図(図13)では、結合される2個のインダクタンス素子L1g,L2gは、入力ポートINと出力ポートOUTを結ぶ経路上で互いに逆方向に相互誘導磁界結合されている。それに対して本発明(図1)では、結合される2個のインダクタンス素子L1a,L3aは、入力ポートINと出力ポートOUTを結ぶ経路上で互いに同じ方向で相互誘導磁界結合されている。
【0029】
なお、図1において、2個のインダクタンス素子L1g,L2gは黒点が同じ側にあり、インダクタンス素子L1g,L2gに流れる電流の向きが同じ向きの場合は相互インダクタンスは正となり、結合係数は正である。
【0030】
図2は、図1のローパスフィルタ回路を表1の条件下で最適設計した際のシミュレーション結果である。通過帯域の近傍に減衰極が1個発生し、この効果によって、通過帯域と減衰帯域の境界(図中A)の急峻度が改善している。この結果を得た時の回路定数は、C1a=C3a=3.276pF、C2a=6.654pF、L1a=L3a=11.92nH、L2a=10.154nH、K13a=0.161であった。
【0031】
また、図3は、本発明の図1のローパスフィルタ回路を、一部分布定数回路で置き換えた場合の実現形態の模式図である。図3において、このローパスフィルタ回路は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に、順に直列に接続された高周波伝送線路TL1a,インダクタンス素子L1b,高周波伝送線路TL2aと、入力ポートINとグランドとを接続するキャパシタンス素子C1bと、インダクタンス素子L1bの両端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス素子C2b, キャパシタンス素子C3bと、出力ポートOUTとグランドとの間に接続されたキャパシタンス素子C4bとを備えている。このうち2本の高周波伝送線路TL1a,TL2aの相互誘導磁界結合の方向は、入力ポートINと出力ポートOUTを結ぶ経路上で互いに同じ方向になるようにしている。
【0032】
一般的に単体の高周波伝送線路は、特に特性インピーダンスが高目の線路の場合、インダクタンス素子として特性を近似できることが知られている。そのため、図3の2本の高周波伝送線路TL1a,TL2aは、図1の2個のインダクタンス素子L1a,L3aを置き換える働きをしている。
【0033】
図1における相互誘導インダクタンス(2個のインダクタンス素子L1a,L3aから成る。)もやはり、図3においては2本の高周波伝送線路TL1a,TL2aの対(図中1)によって実現されている。図4は、このような高周波伝送線路対の間の結合を表す模式図である。図4において、11はガラスエポキシやセラミック等の誘電体基板、12は誘電体基板11の裏面に形成されたグランドパターンである。13と14は、誘電体基板11の表面に形成された金属配線パターンであり、マイクロストリップ線路と呼ばれる種類の高周波伝送線路を形成している。2本の高周波伝送線路を、図中の15に示す電磁結合部分のように、所定の間隔をあけて略平行に配置した場合、その個所では磁界結合を主体とする電磁界結合が起こることが知られている。その理由は、この部分の構造を見れば明らかな通り、極めて寸法が短いながらも、コイル対から成るトランス回路と同じ構造をしているためである。
【0034】
以上のように、本発明の第1実現形態のローパスフィルタ回路は、図1のような集中定数回路形式に限定されるものではない。図3および図4を用いて説明したように、分布定数回路を取り込んで実現することも可能である。
【0035】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態のローパスフィルタ回路の回路図であり、通称「4.5段π型」の場合の一例を示したものである。図5において、このローパスフィルタ回路は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に直列に接続されたインダクタンス成分の一例としての4個のインダクタンス素子L1c,L2c,L3c,L4cと、各インダクタンス素子L1c,L2c,L3c,L4cの端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス成分の一例としての5個のキャパシタンス素子C1c,C2c,C3c,C4c,C5cとを備えている。そして、4個のインダクタンス素子L1c,L2c,L3c,L4cのうち、互いに隣接しないインダクタンス素子L1c,L3cが結合係数K13cの相互誘導インダクタンスを形成すると共に、互いに隣接しないインダクタンス素子L2c,L4cが結合係数K24cの相互誘導インダクタンスを形成している。前記インダクタンス素子L1c,L3cの相互誘導磁界結合の方向および前記インダクタンス素子L2c,L4cの相互誘導磁界結合の方向は、入力ポートINと出力ポートOUTを結ぶ経路上で互いに同じ方向になるようにしている。
【0036】
図6は、図5の回路を表1の条件下で最適設計した際のシミュレーション結果である。前述の相互誘導磁界結合に起因する減衰極によって、通過帯域の近傍(図中C1)において高い急峻度が実現されている。また、図1と比べて回路の段数が増えた効果であるが、帯域外の減衰量(特に図中C2付近)が高められている。この結果を得た時の回路定数は、C1c=C5c=3.343pF、C2c=C4c=6.561pF、C3c=7.022pF、L1c=L4c=11.967nH、L2c=L3c=11.811nH、K13c=K24c=0.082であった。
【0037】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態のローパスフィルタ回路の回路図であり、通称「5.5段π型」の場合の一例を示したものである。図7において、このローパスフィルタ回路は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に直列に接続されたインダクタンス成分の一例としての5個のインダクタンス素子素子L1d,L2d,L3d,L4d,L5dと、各インダクタンス素子L1d,L2d,L3d,L4d,L5dの端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス成分の一例としての6個のキャパシタンス素子C1d,C2d,C3d,C4d,C5d,C6dとを備えている。そして、5個のインダクタンス素子L1d,L2d,L3d,L4d,L5dのうち、互いに隣接しないインダクタンス素子L1d,L5dが結合係数K15dの相互誘導インダクタンスを形成すると共に、互いに隣接しないインダクタンス素子L2d,L4dが結合係数K24dの相互誘導インダクタンスを形成している。前記インダクタンス素子L1d,L5dの相互誘導磁界結合の方向および前記インダクタンス素子L2d,L4dの相互誘導磁界結合の方向は、入力ポートINと出力ポートOUTを結ぶ経路上で互いに同じ方向になるようにしている。
【0038】
図8は、図7の回路を表1の条件下で最適設計した際のシミュレーション結果である。前述の相互誘導磁界結合に起因する減衰極によって、通過帯域の近傍(図中D)において高い急峻度が実現されている。この結果を得た時の回路定数は、C1d=C6d=2.755pF、C2d=C5d=6.169pF、C3d=C4d=6.778pF、L1d=L5d=11.229nH、L2d=L4d=13.383nH、L3d=10.067nH、K15d=0.021、K24d=0.15であった。
【0039】
(第4実施形態)
以上説明してきた本発明のローパスフィルタ特性(図2、図6、図8)には、減衰極を1個のみ有するフィルタ特性であった。ところで、システムによっては、通過帯域のごく近傍において、特に大きな減衰量を要求される場合が珍しくない。表2は、そのようなシステムを想定して仮定した目標設計仕様であり、1.1〜1.3GHzという狭い周波数帯だけ−40dBもの高い減衰量が要求されていると仮定した。このような仕様を満たすためには一般的に、減衰極が1個のフィルタ回路よりは、減衰極が2個あるフィルタ回路の方が有利である。
【0040】
【表2】
Figure 0004242160
【0041】
本発明の第4実施形態のローパスフィルタ回路は、このような場合に対応するために考案したものであり、最小限の回路素子の追加だけで減衰極の個数を増やすことを目的としている。
【0042】
図9は、本発明の第4実施形態ローパスフィルタ回路の回路図である。この第4実施形態では、図5のローパスフィルタ回路を基に、減衰極を増やす方法を説明している。図9において、点線で囲まれた部分(図中2)は図5と同じ回路構造であり、即ち、このローパスフィルタ回路は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に直列に接続されたインダクタンス成分の一例としての4個のインダクタンス素子L1e,L2e,L3e,L4eと、各インダクタンス素子L1e,L2e,L3e,L4eの端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス成分の一例としての5個のキャパシタンス素子C1e,C2e,C3e,C4e,C5eとを備えている。そして、4個のインダクタンス素子L1e,L2e,L3e,L4eのうち、互いに隣接しないインダクタンス素子L1e,L3eが結合係数K13eの相互誘導インダクタンスを形成すると共に、互いに隣接しないインダクタンス素子L2e,L4eが結合係数K24eの相互誘導インダクタンスを形成している。前記インダクタンス素子L1e,L3eの相互誘導磁界結合の方向および前記インダクタンス素子L2e,L4eの相互誘導磁界結合の方向は、入力ポートINと出力ポートOUTを結ぶ経路上で互いに同じ方向になるようにしている。また、入力ポートINと出力ポートOUTとの間が、キャパシタンス素子C15eによって飛越し結合されている。
【0043】
図9の第4実施形態のローパスフィルタ回路の基になった図5のローパスフィルタ回路に対する特徴は、入力ポートINと出力ポートOUTとの間に、キャパシタンス素子C15eが付加されている点のみである。このように、本発明のローパスフィルタ回路では、僅か1個のキャパシタンス素子の追加のみで、減衰極の数を2個に増やすことができる。
【0044】
図10は、図9のローパスフィルタ回路を表2の条件下で最適設計した際のシミュレーション結果である。通過帯域の近傍に2個の減衰極が同時に発生し、この帯域(1.1〜1.3GHz)における減衰量が大幅に改善している。この結果を得た時の回路定数は、C1e=C5e=2.474pF、C2e=C4e=6.238pF、C3e=6.9pF、C6e=0.082pF、L1e=L4e=11.085nH、L2e=L3e=11.085nH、K13e=K24e=0.121であった。
【0045】
(第5実施形態)
ヘテロダイン方式の無線通信機においては、信号の周波数変換を頻繁に行うために、フィルタ回路が多数必要になる。非常に厳しいフィルタ特性が要求されるシステムでは、フィルタ回路が大型化・重量化し、無線通信機全体を大きく重くしてしまう場合がある。例えば、現状のミリ波無線通信機の多くでは、装置全体の体積と重量について導波管型フィルタが無視できないほどの割合を占めている場合が珍しくない。従って、本発明のように、小規模な回路ながら効率良く減衰極を形成して性能改善できるローパスフィルタ回路は、装置全体の小型化・軽量化の観点からも必要とされているものである。
【0046】
図17は本発明の第5実施形態の高周波通信装置のヘテロダイン方式の送信回路のブロック図であり、図18は上記高周波通信装置の信号の周波数配置の模式図である。図17,図18に示すように、変調器21で発生した信号31は、ベースバンドフィルタ22(ベースバンドフィルタ特性は模式的に33で表す)を通り、ローカル発振器23が生成する高周波のローカル信号34とミキサ24において混合され、RF信号35に周波数変換される。この後、RFフィルタ25(RFフィルタ特性は模式的に38で表す)とアンプ26を経由し、アンテナ27から送信される。変調波信号31は直流成分を含む場合が多く、このような場合、ベースバンドフィルタ22としてはローパスフィルタ回路が必要になる。
【0047】
ところで、変調器21においては、現実には純粋な変調波信号31のみを作るのは難しく、半導体回路の僅かな非線形性等が原因で、不要なスプリアス成分32が高域に重畳してしまっている場合が多い。このスプリアス成分32が除去されずにそのまま周波数変換されると、図18中の雑音成分36(下側波帯成分)と雑音成分37(上側波帯成分)のように、隣接チャネルへの妨害波の一因となることが知られている。一般的に、RFフィルタ特性38は、1チャンネル分の信号であるRF信号35の帯域幅に対してはかなり広く設計されるのが普通であり、そのため、RFフィルタ25によってこれら雑音成分36と37を除去するのは困難である。そのため、予めベースバンドフィルタ22によってスプリアス成分32除去しておく必要がある。
【0048】
以上述べたような理由から、通信品質に対する要求が厳しいシステムにおいては、ローパスフィルタ回路から成るベースバンドフィルタ22に対しても、非常に厳しい設計仕様が課せられる場合が珍しくない。一般的に、フィルタ回路の設計仕様の中で、特に重要な指標の一つが急峻度である。一般的にフィルタの急峻度は回路の段数を増やせば高まるのだが、このような方法では、回路の大規模化・大型化・重量化が避けられない。特にベースバンドのような低周波帯では、L素子やC素子の部品サイズ・重量が大きい傾向があるため、むやみに部品数を増やすことができない。
【0049】
そこで、この第5実施形態の高周波通信装置では、ベースバンドフィルタ22に、本発明の急峻なフィルタ特性のローパスフィルタ回路を用いている。これによって、回路の大規模化・大型化・重量化を避けることができる。そのため、無線通信装置全体の小型化・軽量化だけでなく、通信品質の改善までも図ることができる。
【0050】
(比較例1)
本発明の焦点であるローパスフィルタ回路の急峻度は、同程度の規模の回路を同一条件下で実際に設計して比較しなければ、正確に優劣を判断することが極めて難しい。またその際には、人為的なミス(半田付け不良コネクタ締め忘れ等)を排除するためには実験結果よりもシミュレーション結果の方が望ましく、更には、恣意的な誘導を排除するためにはコンピュータによる自動最適設計が望ましい。
【0051】
このような事情から、従来の第1のローパスフィルタ回路(図11)を、本発明と同じ表1の条件下で最適設計させたシミュレーション結果を示しておく。図12がその結果であるが、通過帯域と減衰帯域の境界における急峻度(図12中F)が、本発明の場合(図2中A)と比べて、明らかに低いという結果になった。即ち、本発明のローパスフィルタ回路の急峻性がすぐれているのを確認できた。
【0052】
この結果を得た時の回路定数は、C1f=C3f=3.232pF、C2f=C4f=6.195pF、L1f=L3f=11.454nH、L2f=12.914nHであった。
【0053】
(比較例2)
同様に、従来の第2のローパスフィルタ回路(図13)を、本発明と同じ表1の条件下で最適設計させたシミュレーション結果を示しておく。図14がその結果であるが、通過帯域と減衰帯域の境界における急峻度(図14中G)が、本発明の場合(図2中A)と比べて、明らかに低いという結果になった。即ち、本発明のローパスフィルタ回路の急峻性がすぐれているのを確認できた。
【0054】
この結果を得た時の回路定数は、C1g=C3g=3.265pF、C2g=2.594pF、L1g=L2g=14.229nH、K12g=0.444であった。
【0055】
(比較例3)
同様に、従来の第3のローパスフィルタ回路(図15)を、本発明と同じ表1の条件下で最適設計させたシミュレーション結果を示しておく。図16がその結果であるが、通過帯域と減衰帯域の境界における急峻度(図16中H)が、本発明の場合(図2中A)と比べて、明らかに低いという結果になった。即ち、本発明のローパスフィルタ回路の急峻性がすぐれているのを確認できた。
【0056】
この結果を得た時の回路定数は、C1h=C5h=1.445pF、C2h=C4h=2.891pF、C3h=3.681pF、L1h=L2h=5.329nHであった。
【0057】
上記第5実施形態では、ヘテロダイン方式の無線通信機について説明したが、この発明の無線通信装置は、通信機能を有する携帯機器などに適用してもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明のローパスフィルタ回路によれば、極めて単純な回路構成だけで、通過帯域の近傍に1以上の減衰極を有するローパスフィルタ回路が実現でき、この減衰極によって、通過帯域のごく近傍における減衰量が大幅に改善される。
【0059】
このような、通過帯域近傍の減衰量が改善された小型のローパスフィルタ回路は、例えば、高周波通信装置のベースバンド部のスプリアス信号除去フィルタとして用いることにより、装置全体の通信品質改善と小型・軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の第1実施形態のローパスフィルタ回路の回路図である。
【図2】 図2は図1のローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図3】 図3は図1のローパスフィルタ回路の別の実現形態の一例である
【図4】 図4は高周波伝送線路対の模式図である。
【図5】 図5は本発明の第2実施形態のローパスフィルタ回路の回路図である。
【図6】 図6は図5のローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図7】 図7は本発明の第3実施形態のローパスフィルタ回路の回路図である。
【図8】 図8は図7のローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図9】 図9は本発明の第4実施形態のローパスフィルタ回路の回路図である。
【図10】 図10は上記ローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図11】 図11は従来の第1のローパスフィルタ回路の一例である。
【図12】 図12は図11のローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図13】 図13は従来の第2のローパスフィルタ回路の一例である。
【図14】 図14は図13のローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図15】 図15は従来の第3のローパスフィルタ回路の一例である。
【図16】 図16は図15のローパスフィルタ回路のシミュレーション結果の一例である。
【図17】 図17は本発明の第5実施形態の高周波通信装置の送信部のブロック図である。
【図18】 図18は上記高周波通信装置における信号の周波数配置の模式図である。
【符号の説明】
11…誘電体基板
12…グランドパターン
13,14…高周波伝送線路
15…電磁界結合部分
21…変調器
22…ベースバンドフィルタ
23…ローカル発振器
24…ミキサ
25…RFフィルタ
26…アンプ
27…アンテナ
31…ベースバンド信号
32…スプリアス成分
33…ベースバンドフィルタ特性
34…ローカル信号
35…RF信号
36,37…雑音成分
38…RFフィルタ特性
C1a,C2a,C3a,C4a,C1b,C2b,C3b,C4b,C1c,C2c,C3c,C4c,C5c,C1d,C2d,C3d,C4d,C5d,C6d,C1e,C2e,C3e,C4e,C5e, C6e,C15e,C1f,C2f,C3f,C4f,C1g,C2g,C3g,C1h,C2h,C3h,C4h,C5h…キャパシタンス素子
L1a,L2a,L3a,L1b,L1c,L2c,L3c,L4c,L1d,L2d,L3d,L4d,L5d,L1e,L2e,L3e,L4e,L1f,L2f,L3f,L1g,L2g,L1h,L2h…インダクタンス素子
K13a,K13c,K24c,K15d,K24d,K13e,K24e,K12g…結合係数
TL1a,TL2a…高周波伝送線路

Claims (4)

  1. 入力ポートと出力ポートとの間に直列に接続された3以上のインダクタンス成分と、
    前記インダクタンス成分の端のノードとグランドとの間に接続されたキャパシタンス成分とを備え、
    前記インダクタンス成分のうちの少なくとも1組のインダクタンス成分どうしが相互誘導磁界結合によって結合され、前記相互誘導磁界結合の方向が同じ方向であって、前記インダクタンス成分のうち相互誘導磁界結合される2個のインダクタンス成分が隣り合っていないことにより、通過帯域の近傍に減衰極を発生させることを特徴とするローパスフィルタ回路。
  2. 請求項1に記載のローパスフィルタ回路において、
    前記相互誘導磁界結合は、所定の間隔をあけて略平行に配置された2本の高周波伝送線路の間の電磁界結合であることを特徴とするローパスフィルタ回路。
  3. 請求項1または2に記載のローパスフィルタ回路において、
    前記入力ポートと前記出力ポートとの間が、キャパシタンス成分によって飛越し結合されていることを特徴とするローパスフィルタ回路。
  4. 請求項1乃至のいずれか1つに記載のローパスフィルタ回路を、ベースバンドの帯域外ノイズ除去フィルタとして用いたことを特徴とする高周波通信装置。
JP2003003199A 2003-01-09 2003-01-09 ローパスフィルタ回路および高周波通信装置 Expired - Fee Related JP4242160B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003003199A JP4242160B2 (ja) 2003-01-09 2003-01-09 ローパスフィルタ回路および高周波通信装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003003199A JP4242160B2 (ja) 2003-01-09 2003-01-09 ローパスフィルタ回路および高周波通信装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004221649A JP2004221649A (ja) 2004-08-05
JP4242160B2 true JP4242160B2 (ja) 2009-03-18

Family

ID=32894535

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003003199A Expired - Fee Related JP4242160B2 (ja) 2003-01-09 2003-01-09 ローパスフィルタ回路および高周波通信装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4242160B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110581334A (zh) * 2019-08-29 2019-12-17 中山大学 一种基于电感和电容的小型化传输线结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004221649A (ja) 2004-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106656069B (zh) 一种应用于gsm射频功率放大器的多频输出匹配网络
US10516379B2 (en) Coupled resonator on-die filters for WiFi applications
US11158924B2 (en) LTCC wide stopband filtering balun based on discriminating coupling
US8866566B2 (en) Common mode filter
KR102038834B1 (ko) Lc 발룬
US9343789B2 (en) Compact microstrip bandpass filter with multipath source-load coupling
US6531943B2 (en) Balun-transformer
CN107634293B (zh) 一种具有两个传输零点的小型化微带低通滤波器
US8836451B2 (en) Wideband high frequency bandpass filter
JP4242160B2 (ja) ローパスフィルタ回路および高周波通信装置
US20080074213A1 (en) Filter
Hsiao et al. Compact open-loop UWB filter with notched band
JP2005295316A (ja) リングフィルタ及びそれを用いた広帯域の帯域通過フィルタ
US10673111B2 (en) Filtering unit and filter
JP4213962B2 (ja) ハイパスフィルタ回路および高周波通信装置
JP4226390B2 (ja) マルチバンドフィルタ回路および高周波通信装置
Chan et al. Miniature common-mode rejection filter in silicon-based integrated passive device technology
CN113708030B (zh) 基于多模缝隙线谐振器的平衡超宽带带通滤波器
CN203826525U (zh) 一种低通滤波器
Othman et al. 5.75 GHz microstrip bandpass filter for ISM band
KR101889091B1 (ko) 위상 경로차 유도용 다중 링 구조의 초광대역 소형 대역 통과 여파기
JP2004343391A (ja) 帯域阻止フィルタ回路および高周波通信装置
JP2005354446A (ja) ローパスフィルタ回路、電力増幅器および高周波通信装置
CN215266609U (zh) 一种十字型多模带通滤波器
JP6135316B2 (ja) 高調波抑圧回路

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080902

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081224

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees