JP4231599B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換を利用して画像の撮影を行う際に自動的に露出を調整する撮像装置、例えば自動露出調整機能を備えたデジタルスチルカメラやデジタル動画撮影装置等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今のCCD素子の小型化、高性能化に伴い、CCD素子を搭載した光電変換による撮像装置はますます増加する傾向にある。この種の撮像装置における自動露出調整の方法としては、特公平7−26874号公報に開示されているように、撮像手段としてのCCD素子を露出調整用の測光手段として用いて露出調整を行う方法がある。この方法によれば、撮像する画像自体の情報により測光することができるので、別に測光機構を設けた場合よりも精度良く露出調整を行うことが可能であるという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の自動的に露出調整を行う撮像装置にあっては、常に撮像画面全体の画像情報に基づいて露出調整を行っていたため、例えば撮像画面内に太陽などの光源が含まれている場合等、撮像画面内におけるコントラストが大きい場合には、主たる被写体に対しては必ずしも正確に露出調整が行うことができないという問題が生じていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明によれば、自動的に露出調整を行う撮像装置において、画面内に予め定められたベース領域から輝度値に基づいた所定の条件を満たす領域を除外して残存した残存領域の輝度値に基づいて露出調整を行うため、主被写体以外の画像の輝度値の露出調整に対する影響を低減することが可能となり、主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。
【0005】
また、本発明によれば、自動的に露出調整を行う撮像装置において、画面内の画像の輪郭を検知しこの輪郭の輝度値に基づいて露出調整を行うため、主被写体以外の画像内部の輝度値の露出調整に対する影響を低減することが可能となり、主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる撮像装置をデジタルスチルカメラに適用した第一の実施の形態について説明する。図1により、本実施の形態の概略構成について説明する。
【0007】
デジタルスチルカメラ1には、光電変換により信号として画像をとりこむ撮像部11例えばCCD素子と、この撮像部11からの画像信号をA/D変換するA/D変換部12と、このA/D変換された信号について例えば露出調整工程における演算等の各種演算処理を行う演算部13例えばCPUと、撮像された画像信号および演算処理における各種パラメータを記憶保管する記憶部14と、演算部13に接続されて撮像部11の駆動制御を行う撮像部駆動回路16例えばCCD駆動回路と、を備える。記憶部14に取り込まれた画像信号は、演算部13に接続されてこのデジタルスチルカメラ1に内蔵される表示部15例えば液晶ディスプレイ、あるいは画像信号インタフェイス42を介して接続される図示しない外部表示部例えばCRT等において表示される。
【0008】
さらに、このデジタルスチルカメラ1には、カメラに外部接続または内蔵される発光機構22例えばストロボの駆動を行う発光機構駆動回路21と、絞りを自在に設定する絞り機構24と、絞り機構24を駆動する絞り機構駆動回路23と、自動焦点調節機構(以下AF機構と記す)26と、このAF機構26を駆動するAF機構駆動回路25と、が備えられる。これらの駆動回路はそれぞれ演算部13に接続され、これにより制御される。
【0009】
またさらにこのデジタルスチルカメラ1には、撮影の指示操作入力が行われる撮影指示部31例えばレリーズボタンと、演算部13における演算に関する各種パラメータの設定/変更が行われるパラメータ設定部32と、記憶部14に格納されて撮影状況に応じて設定された演算処理パターンの選択操作が行われる撮影モード設定部33と、演算部の外部制御または外部との各種パラメータ等のやりとりを行うための制御信号インタフェイス41と、が備えられる。
【0010】
次に本実施の形態における画像の撮影手順について図2を参照しながら説明する。まず、撮影モード設定部33において、撮影モードの設定が行われる(撮影モード設定工程S11)。この撮影モードには、例えば、風景写真モード、人物写真モード、夜景モード等があり、これらの各モードに対応して、演算処理に用いられる各種パラメータがそれぞれ記憶部14に記憶されている。この設定により、設定された撮影モードに対応する各種パラメータが演算部13に呼び出される。
【0011】
次に、撮影指示部31において撮影準備指示(例えばレリーズボタンの半押し)が行われると(撮影準備指示工程S12)、AF機構26により焦点調整が行われる(焦点調整工程S13)。次いで、撮影指示部31において撮影指示(例えばレリーズボタンの全押し)が行われると(撮影指示工程S14)、まず予備撮影が行われ、この予備撮影された撮像画面に基づいて露出調整が行われ(露出調整工程S15)、引き続き画像の本撮影が行われる(画像の撮影工程S16)。
【0012】
次に、本実施の形態における露出調整工程S15の手順について図3を参照しながら説明する。なお、本工程の説明における撮像画面とは、予備撮影された撮像画面を示す。
【0013】
まず、撮像画面内に予め定められたベース領域の輝度値(例えば撮像画面全体の平均輝度値)Eを算出する(ベース領域輝度値算出工程S21)。図4にベース領域のブロック分割の一例を示す。この工程では、ベース領域50を複数の領域(例えば横12×縦8(=96)のブロック51)に分割し、このブロック51毎にブロック輝度値例えばブロック内画素の平均輝度値L(i,j)(i=1,2,・・・,12、j=1,2,・・・,8)を算出する(ブロック輝度値の算出工程S22)。そして、ブロック輝度値L(i,j)を正規化および対数化した対数正規化ブロック輝度値L'(i,j)を算出する(ブロック輝度値の正規化および対数化の工程S23)。ここでは、次式に示すように、正規化は、前に算出したベース領域輝度値Eが標準化輝度値(例えば18%反射率輝度値X18)に対応するように行い、対数化は、底を2とするように行う。
L'(i,j)=log2(L(i,j)×X18/E)
このように、ブロック輝度値を正規化または対数化しておくことにより、どのような輝度値分布の撮像画面に対しても統一化された輝度値レベルで処理することが可能となるため、露出調整における処理精度を向上させることができる。
【0014】
次いで、輝度値に基づいて主被写体以外の不要な画像領域を推定してこの領域を除外する(不要領域の除外工程S24)。この工程により、例えば太陽などの光源や黒い服の部分のように局所的に暗い部分などの輝度値の高いまたは輝度値の低い不要な画像領域を推定し、露出調整指標値の計算の元とする修正指標値の計算の対象即ち残存領域から除外する。残存領域の識別は残存領域指標値FLの設定により行う。まず、ベース領域50に対してはFL=1を付与し、除外する領域の識別に際して随時これをFL=0に置き換える。また、不要領域の推定に際しては、この輝度値に対して画面の位置に応じて重み付けを行い、主被写体である可能性が高い画像要素を除外されにくくする。この工程についてより具体的に説明すると、輝度値の高い不要領域の除外は、輝度値に対して画面の中心において低く画面の周縁部側に向けて高くなる位置重み付け係数WPuを掛けた値が所定の敷居値Tu以上であるブロックについて残存領域指標値FLを0とすることにより行う。また一方、輝度値の低い不要領域の除外は、輝度値に対して画面の中心において高く画面の周縁部側に向けて低くなる位置重み付け係数WPdを掛けた値が所定の敷居値Td以下であるブロックについて残存領域指標値FLを0とすることにより行う。即ち、この工程における不要領域の推定は輝度値に基づいた所定の条件を満たす領域の除外により行う。このように、輝度値に応じて主被写体でない画像の領域を推定して露出調整指標値の計算の対象から除外することにより、主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。また、その際位置に応じた重み付けを行うことにより、主被写体以外の画像をより精度良く推定して除外することが可能となる。
【0015】
次いで、残存領域の輝度値に基づく修正指標値を算出する(修正指標値の算出工程S25)。まず、不要領域の除外によりここまでに残存した領域の撮像画面内の所定の領域に対する割合に基づいて、修正指標値の算出手順を判別して工程を分岐する(修正指標値算出手順の判別工程S26)。この割合が大きい場合には、修正指標値として残存領域の輝度値を算出する(残存領域輝度値の算出工程S27)。より具体的には、この時点における残存領域の数(即ち、残存領域指標値が0以外の値であるブロック数)ZBが敷居値Tbより大きい場合には、修正指標値Mを、以下に示す式のように、残存領域の対数正規化輝度値L'に対して画面内における位置による重み付けおよび明るさによる重み付けを行った加重平均値(残存領域輝度値)Maとして算出する。なお、この敷居値Tbは、例えば、ベース領域のブロック数(=96)に対してTb=31に設定される。
Ma=Σ(Lk'×WPk×WLk)/Σ(WPk×WLk)
ここに、k(=1,2,・・・,ZB)は残存領域指標値FLが0以外であるブロックに割り当てた番号、WPは位置による重み付け係数、WLは明るさによる重み付け係数である。位置による重み付け係数WPは、画面中心を最大値とし、ここから周囲に向けて放射状にその値を小さくするように定めたものである。図5にベース領域50を分割するブロック51毎に定めた位置重み付け係数WPの一例を示す。ブロック51の枠内に示される数値は各ブロック毎の位置重み付け係数WPを示す。主被写体は画面の中心付近にある可能性が高く、このように画面中心部付近に対してより大きく重み付けを行うことにより主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。また図6に、輝度値に応じて定めた明るさによる重み付け係数WLの一例を示す。この例では、輝度値L'が第1の敷居値Tl1より低い領域においてはこの輝度値L'が低くなるほど係数WLが高く、輝度値L'が第2の敷居値Tl2より高い領域においてはこの輝度値L'が高くなるほど係数WLが高く、輝度値L'が第1の敷居値Tl1と第2の敷居値Tl2との間にある際には係数WLが1となるように、かつこれらの範囲内において係数WLが連続となるように定められている。CCD素子等の撮像部11は一般に受光可能な輝度値の範囲が限られており、撮像した画像の輝度値がこの範囲を越える場合には輝度値が飽和し、実際よりも低い輝度値として認識されてしまう。したがってこのように撮像部の受光範囲に応じて敷居値を設定し、輝度値の高い範囲および低い範囲において輝度値を補正することにより、より実際に近い輝度値分布を得ることができるので、より一層主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。
【0016】
一方、撮像画面内の所定の領域に対する残存領域の割合が小さい場合には、修正指標値として、ベース領域の輝度値に基づき残存領域に対して高い重み付けを施した修正ベース領域輝度値を算出する(修正ベース領域輝度値算出工程S28)。より具体的には、修正指標値Mを、以下の式のように、ベース領域内における位置による重み付け、明るさによる重み付け、およびここまでに残存した領域において大きくする重み付けを行った加重平均値(修正ベース領域輝度値Mb)として算出する。
Mb=Σ(L'(i,j)×WP(i,j)×WL(i,j)×WM(i,j))/Σ(WP(i,j)×WL(i,j)×WM(i,j))
ここに、WPは位置による重み付け係数、WLは明るさによる重み付け係数であって、例えば前の工程S27で説明した係数と同様のものが用いられる。また、WMは残存領域指標値FLに基づく重み付け係数である。この残存領域指標値FLに基づく重み付け係数WMは、例えば、残存領域指標値FLが0以外のブロックにおいては2、残存領域指標値FLが0であるブロックにおいては1と定める。ベース領域に対する残存領域の割合が小さい場合には、残存領域以外の部分についても主被写体として撮影されている可能性が高くなる。従って、このような場合には、露出調整の基礎とする修正指標値を、残存領域の輝度値のみから算出するのではなく、残存領域の部分に重み付けを行ってベース領域全体の輝度値に基づいて算出することにより、主被写体に対してより的確な露出調整を行うことができる。
【0017】
次いで、露出調整の基礎とする露出調整指標値を算出する(露出調整指標値の算出工程S29)。露出調整指標値Aは、修正指標値Mの算出の元とした当初の領域のベース領域に対する割合に応じたベース領域輝度値Eと修正指標値Mとに基づいて算出される。より具体的には、例えば、露出調整指標値Aを以下の式により算出する。
A=(1−ω)×E'+ω×M'
E'=log2E
M'=M−log2(X18/E)
ここに、ωは、修正指標値Mの算出の元とした当初の領域のベース領域に対する割合に応じた重み付け係数であって、例えば図7に示すように、不要領域除外工程S24における残存領域ブロックZB数が0の際には係数ωは0、敷居値Tz以上の際には係数ωは1、0と敷居値Tzとの間においてはωは0と1との間を直線的に変化するように、またこれらの範囲において係数ωは連続となるように定められる。なお、ここで敷居値Tzは、例えば、ベース領域ブロック数(=96)に対してTz=75に設定されている。またここでは、露出調整指標値Aを加重平均として算出するために、ベース領域輝度値Eを対数化した値E'と、修正指標値Mは前述の正規化を解除した値M'とを用いる。この式からわかるように、残存領域ブロック数ZBが大きいほど露出調整指標値Aにおける修正指標値(M')の割合が大きくなり、この残存領域ブロック数ZBが敷居値Tz以上の値である際には、この修正指標値(M')自体が露出調整指標値Aとなる。修正指標値の算出の元とした当初の領域のベース領域に対する割合が小さい場合には、修正指標値の算出の元とした当初の領域以外の部分についても主被写体として撮影している可能性が高くなる。従ってこのように、修正指標値Mの算出の元とした当初の領域のベース領域に対する割合が高いほど、露出調整指標値Aにおける修正指標値Mの重みが増大するように即ち露出調整における修正指標値Mの寄与度が高くなるように設定することにより、主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。
【0018】
次いで、この露出調整指標値Aの値に基づいて、露出制御を行う(露出制御工程S30)。この工程における露出制御は、絞り機構駆動回路23、撮像部駆動回路16、あるいは発光機構駆動回路21等に対して行われる。より具体的には、露出調整指標値Aが低い値であった際、即ち露出不足であった際には、露出調整指標値Aに応じて、絞り開度を高く、撮像部駆動回路において撮像期間即ち受光期間を長く、あるいは発光機構を発光させるように制御する。逆に露出調整指標値Aが高い値であった際には、この逆の制御が行われる。また撮影モードまたは他の各種パラメータの設定等に応じて、これらを選択的に制御することも可能である。
【0019】
次に、本発明をデジタルスチルカメラに適用した第二の実施の形態について説明する。本実施の形態は、露出調整工程の手順において、第一の実施の形態における不要領域の除外工程の後に第二の不要領域の除外工程を備えるものである。また、この実施の形態における装置の概略構成および露出調整工程以外の処理手順については前述の第一の実施の形態と同じである。以下露出調整工程S15についてのみ説明する。図8に本実施の形態における露出調整工程S15のフローチャートを示す。
【0020】
第二の不要領域の除外工程S42の前に、予め、撮像画面の輝度値分布に基づいて、画面の上下方向を検知する工程S41が実施される。この工程では、撮像画面内に予め定められた領域を複数の領域に分割し、輝度値の大きい領域の配置に基づいて、画面の方向を決定する。図9を用いてこの一例について説明する。図9は画面の方向検知の基礎とする方向検知マップの一例である。撮像画面内に予め定められたベース領域を縦2×横3の大ブロックに分割し、輝度値の最も大きい大ブロックと二番目に大きい大ブロックとの配置を認識し、記憶部14から呼び出された方向検知マップ60におけるこれら二つの大ブロック(61,62)の配置を比較し、これにより画面の方向を決定する。ここでは、撮像画面における大ブロックの配置が図9(a)に該当する際には矢印A方向を、図9(b)に該当する際には矢印B方向を、また図9(c)に該当する際には矢印C方向を、それぞれ画面の上方向として決定する。
【0021】
そして、この工程S41において方向検知が可能であった際には輝度値および撮像画面の方向に基づいてさらに主被写体ではない領域の推定を行って残存領域から除外する第二の不要領域除外工程S42へ、検知が不可能であった際には修正指標値の算出工程S25へと、工程の分岐を行う。
【0022】
第二の除外工程S42では、例えば空または影を残存領域から除外することができる。即ち、撮像画面の上方にある輝度値の高い領域は空と検知し、一方撮像画面の下方にある輝度値の低い領域は影と検知してこれらを除外する。より具体的には、例えば輝度値に対して撮像画面における下方向から上方向に向けて高くなる重み付け係数WPlを掛け合わせた値が敷居値Tskより高いブロックを空のブロックと認定し、また一方、この値が敷居値Tsdより低いブロックを影のブロックと認定する。このようにして、検知した画面の方向と輝度値とに基づいて空または影を除外することができるので、主被写体に対する露出調整を精度良く行うことができる。なお、この工程S42は、例えば前記敷居値Tsk,Tsdの設定により、明るい領域の除外に際しては、さきの除外工程S24よりも輝度値の低い領域までを除外対象とするように、また暗い領域の除外に際しては、さきの除外工程S24よりも輝度値の高い領域までを除外対象とするように設定される。この工程S42では、撮像画面の上下方向を加味して不要領域を除外するため、このような設定により、輝度値のレベルが主被写体の輝度値に対してさらに近い領域まで精度良く除外することができ、露出調整の精度を向上させることができる。
【0023】
次に、本発明をデジタルスチルカメラに適用した第三の実施の形態について説明する。本実施の形態では、撮像画面の画像の輪郭を検出し、この検出された輪郭の輝度値に基づいて露出調整を行う。またこの実施の形態における装置の概略構成および露出調整工程以外の工程は、前述の第一の実施の形態と同じである。以下露出調整工程についてのみ説明する。図10に本実施の形態における露出調整工程S15のフローチャートを示す。
【0024】
露出調整工程S15においては、第一の実施の形態と同様のベース領域輝度値算出工程S21、ブロック輝度値の算出工程S22、およびブロック輝度値の正規化および対数化の工程S23の後に、撮像画面の画像の輪郭を検出する工程S43を備える。この工程では、輝度値に基づいて輪郭の領域例えば輪郭ブロックを認定する。より具体的には、次式のように、当該ブロックにおける輝度値の変化率(例えば当該ブロックと当該ブロックに隣接するブロックとの輝度値の差)の絶対値が輪郭敷居値Th1より大きい値となるブロックを輪郭ブロックと認定する。
DB(i,j)>Th1 または DS(i,j)>Th1
ここに、DB(i,j),DS(i,j)(i=1,2,・・・,12,j=1,2,・・・,8)は、それぞれ当該ブロックiにおける輝度値増大率の最大値、および輝度値減少率の最大値であって、これらは、それぞれ、
DB(i,j)=|maxAL−L'(i,j)|
DS(i,j)=|minAL−L'(i,j)|
maxAL=max(L'(i+1,j+1),L'(i+1,j),L'(i+1,j−1),L'(i,j+1),L'(i,j−1),L'(i−1,j+1),L'(i−1,j),L'(i−1,j−1))
minAL=min(L'(i+1,j+1),L'(i+1,j),L'(i+1,j−1),L'(i,j+1),L'(i,j−1),L'(i−1,j+1),L'(i−1,j),L'(i−1,j−1))
である。そしてこのDBおよびDSの値に応じて、残存領域指標値FLを定める。残存領域指標値FLは各ブロック毎に定め、DB>DSとなる輪郭ブロックについてはFL=1、DB<DSとなる輪郭ブロックについてはFL=2、それ以外のブロックについてはFL=0と設定する。即ち、ここでは、ベース領域から不要な画像を推定して除外した残存領域は残存領域指標値FLが0以外の値をとる領域として識別可能に設定されると共に、輝度値の高い明るい画像領域と輝度値の低い暗い画像領域との境界に現れる輪郭において、明るい領域側の輪郭(残存領域指標値FL=2)と暗い領域側の輪郭(残存領域指標値FL=1)とが、この残存領域指標値により識別可能となるように設定される。図11は、この輪郭の検出の一例について模式的に示したものである。図11(a)に示される撮像画面のベース領域70には、主被写体画像領域と想定されるブロック71と空と想定されるブロック72とが存在している。この撮像画面に対して輪郭の検出を行ったものが図11(b)である。図11(b)のブロックの枠内の数字は残存領域指標値FLである。但し残存領域指標値FLが0のブロックは空白で示している。
【0025】
この工程では、残存領域として、画像の輪郭の領域を用いている。これにより、主被写体以外の不要な領域を輪郭のみに限定して、不要な領域内における主被写体とは関係のない輝度値分布の露出調整に対する影響を低減することができるので、主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。また、これにより露出調整指標値の計算の対象となる領域を低減することができるため、露出調整を迅速に行うことができる。
【0026】
次に、輝度値に基づいて主被写体以外の画像領域を推定して残存領域から除外し(不要領域の除外工程S24)、次いで、撮像画面の輝度値分布に基づいて画面の上下方向を検知し、画面の方向検知結果に基づいて工程の分岐を行う(画面の上下方向の検知工程S41)。これらの工程は、残存領域を輪郭の領域としている点以外は、前記第一または第二の実施の形態と同様のものであり、同様の作用および効果を奏する。
【0027】
そして、第二の除外工程S42では、第二の実施の形態と同じく、例えば空または影を残存領域から除外することができる。まず前の工程で検知された方向に基づく最上端のブロックの輝度値が敷居値Tskより高いブロックを空のブロックと認定する。さらに、このブロックと同じ縦列にあって残存領域指標値が1である最も上側のブロックよりさらに上方向にあって残存領域指標値が2(即ち明るい側の輪郭)であるブロック全てを空のブロックと認定し、これらのブロックの残存領域指標値を全て0に置換する。また、前記縦列に残存領域指標値FLが1であるブロックが存在しない場合についても、残存領域指標値FLが2であるブロックを空のブロックと認定し、これらのブロックの残存領域指標値FLを全て0に置換する。例えば、輪郭が検出された前出の図11(b)の例においてこの工程を実施すると、図11(c)のようになる(矢印A方向:画面の上方向)。図11(c)における数値および空白は図11(b)と同様に残存領域指標値FLを示す。一方、前の工程で検知された方向に基づく最下端のブロックの輝度値が敷居値Tsdより低いブロックを影のブロックと認定する。一方、このブロックと同じ縦列にあって残存領域指標値FLが2である最も下側のブロックよりさらに下方向にあって残存領域指標値FLが1(即ち暗い側の輪郭)であるブロック全てを影のブロックと認定し、これらのブロックの残存領域指標値FLを全て0に置換する。また、前記縦列に残存領域指標値FLが2であるブロックが存在しない場合についても、残存領域指標値FLが1であるブロックを空のブロックと認定し、これらのブロックの残存領域指標値FLを全て0に置換する。このように輪郭の領域を明るい側と暗い側とで分離して識別しておくことにより、空または影を容易にかつ精度良く除外することができるため、主被写体に対して露出調整の精度を向上させることができる。なお、例えば太陽等の光源が残存している状態においてこの第二の除外工程S42を実施すると、光源の輪郭の領域を空の輪郭の領域と誤認する場合も考えられ、本実施の形態のように、本工程の前に画面の上下方向によらない不要領域の除外工程S24を実施して予め光源や暗い領域等を除外しておくことにより、この工程S42における除外領域の誤認が防止され、より精度の高い露出調整が実現される。
【0028】
第二の不要領域の除外工程S42以降の工程(S25,S26,S27,S28,S29,S30)は、前述の第一または第二の実施の形態と同様のものであり、これらの工程の作用および効果は第一または第二の実施の形態と同様である。
【0029】
なお、本実施の形態においては、露出調整指標値の算出工程S29において、重み付け係数ωを、輪郭の検出工程S43において認定された輪郭の領域のベース領域に対する割合(例えば輪郭検出工程において検出された輪郭ブロック数のベース領域ブロック数に対する割合)に応じて定めるようにしてもよい。この場合、図7において、横軸を残存領域ブロック数ZBから輪郭ブロック数ZEに変更し、敷居値Tzを、例えば、ベース領域ブロック数(=96)に対してTz=21と設定する。
【0030】
なお、本発明は動画撮影装置に対しても適用可能である。この場合には本発明にかかる露出調整が動画撮影中に随時実施される。また各工程の実施順序は適宜入れ替え可能である。例えば、撮像画面の方向検知の工程の後に第一および第二の除外工程を行っても良い。また、露出調整に際しての各種演算はベース領域を分割したブロックを対象にして行ったが、これは画素に対して行うものであってもよい。また、各敷居値は各撮影モード毎に設定してもよい。このようにすれば様々な撮影状況に対して露出調整を最適化することができる。また、撮像装置の鉛直方向に対する相対的な姿勢を検知する姿勢検知器43(図1)を備え、これにより画面の上下方向を検知するようにしてもよい。
【0031】
また、露出調整工程の前に、撮像部11により予備撮影された画像の輝度値に基づいて、公知の方法によりホワイトバランスゲイン調整を行っても良い。このホワイトバランスゲイン調整は、例えば撮影モードに応じて3原色の輝度値の各ゲインを調整するものであり、このため実際の画像の輝度値分布により近い形態の輝度値分布を再現することが可能となり、露出調整の精度をさらに向上させることができる。
【0032】
なお、前記姿勢検知器による姿勢検知結果あるいは撮像画面の輝度値分布に基づいて撮像画面の上下方向が検知されている際には、各工程における位置による重み付け係数WPを、中心部やや下方に極大値または極小値を持つように設定してもよい。図12にこのような位置重み付け係数WPの一例を示す(矢印A方向:画面の上方向)。ブロック51の各枠内にこの位置における重み付け係数WPの値を示す。主被写体は一般的に画面の中心よりやや下方に存在する場合が多く、これによりさらに主被写体に対する露出調整の精度を向上させることができる。
【0033】
また、輝度値に基づく不要領域の除外の工程S24も前述の手順に限られるものではない。例えば、輝度値が予め設定した敷居値Tskより高く明るい側の輪郭に属する領域が、その周囲を暗い側の輪郭の領域に囲まれている場合、これらの輪郭の領域を光源と認定して除外することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、撮像画面内の主被写体以外の画像を推定して除外することにより残存した領域の輝度値に基づいて露出調整を行うことにより、主被写体に対する露出調整の精度の向上、ならびに露出調整に要する時間の短縮等、優れた効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラによる撮影の手順を示すフローチャートである。
【図3】 本発明の第一の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラによる露出調整工程を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラによる撮像画面に設定されたベース領域におけるブロック分割の一例を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラにおいて設定された撮像画面の位置による重み付け係数の一例を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラにおいて設定された撮像画面の輝度値による重み付け係数の一例を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラにおいて設定された露出調整指標値の算出にかかる重み付け係数の一例を示す図である。
【図8】 本発明の第二の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラによる露出調整工程を示すフローチャートである。
【図9】 本発明の第二の実施形態にかかるデジタルカメラにおいて設定された方向検知マップの一例を示す図である。
【図10】 本発明の第三の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラによる露出調整工程を示すフローチャートである。
【図11】 本発明の第三の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラによる輪郭検出工程と輝度値および撮像画面の上下方向に基づいた不要領域の除外工程とを説明する模式図である。
【図12】 本発明の第二または第三の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラにおいて設定された撮像画面の位置による重み付け係数の一例を示す図である。
【符号の説明】
50,70 ベース領域、 51 ブロック、 WL 輝度値による重み付け係数、 ω 露出指標値算出にかかる重み付け係数、 60 方向検知マップ。
Claims (4)
- 光電変換による撮像画面の輝度値に基づいて露出調整を行う撮像装置において、
画面内に予め定められたベース領域から輝度値に基づいた所定の条件を満たす領域を除外して残存した残存領域の輝度値に基づいて露出調整を行い、前記露出調整は、前記残存領域の輝度値と前記ベース領域の輝度値とに基づいて行われることを特徴とする撮像装置。 - 前記撮像装置はさらに撮像画面の上下方向を検知し、
前記残存領域は、輝度値と前記方向検知手段により決定された方向とに基づいた所定の条件を満たす領域を前記ベース領域から除外して残存した領域であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。 - 光電変換による撮像画面の輝度値に基づいて露出調整を行う撮像装置において、
輝度値に基づいて画面内の画像の輪郭を検知し、前記輪郭検知手段により検知された輪郭領域の輝度値に基づいて露出調整を行う撮像装置。 - 前記露出調整は、画面内に予め定められたベース領域の輝度値と、前記輪郭の輝度値とに基づいて行われることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
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