JP4231130B2 - 有望顧客抽出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有望顧客抽出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顧客データや売上データなど、企業内のデータベースに貯えられているデータを様々な角度から分析し、企業のマーケティング戦略立案に活かしていくというデータベースマーケティングの考え方を用いて商品の購入見込客を抽出する方法が広く採用されている。
【0003】
データベースマーケティングの応用の一つとして、対象商品に対する購入見込みの高い有望顧客の抽出がある。これは、年齢、年収、性別、職業、家族構成などの各顧客の個人情報や対象商品や他商品を購入しているか否かといった購買情報あるいは銀行における預金残高情報など顧客に関する種々の情報から成る顧客データを基に、「対象商品を、どのような顧客にセールスすれば、購入、あるいは契約してもらえる可能性がより高いか」を分析し、今後の対象商品のセールス方針決定に役立てるものである。ここで、セールスは顧客訪問、電話、ダイレクトメールなど、様々な手段が考えられる。
【0004】
このため、従来においては、有望顧客を抽出するため、先ず、対象商品を購入済の顧客のデータの共通性を調べ、どのような条件を満たす顧客が対象商品を購入済かについての判別規則を生成し、次に、生成した判別規則を現在の顧客に適用して今後購入の可能性が高い顧客をピックアップするという方法が採用されている。
【0005】
すなわち、従来の方法は、次の2つのステップから成っている。
(1)判別規則生成ステップ
現時点又は過去の時点における任意に選ばれたある時点での顧客データを分析する。それにより、顧客データ内の各顧客に対して、対象商品を購入済か未購入かを推定/判別する規則(判別規則)を対象商品購買情報以外の情報を用いて生成する。
(2)有望顧客抽出ステップ
現時点の顧客データを参照し、現時点での対象商品未購入顧客に対し前記判別規則を適用する。その結果、「購入済」と判別された顧客を、今後購入が見込める有望顧客として抽出し、次回のセールス対象とする。
【0006】
ここで、判別規則生成ステップで用いる分析手法には、判別分析、決定木、相関ルール抽出など様々なものが適用可能である。
【0007】
したがって、例えば、ある通販会社が健康食品をセールスする場合、3ヶ月前の顧客データを分析し、ここで、3ヶ月前のデータによれば、35歳以上の男性の顧客の全員が健康食品をすでに購入済であり、また、ダイエット食品を購入済の顧客5人のうち4人がすでに健康食品を購入済であるという分析結果が得られたとすると、この分析結果に基づく判別規則は例えば次のようなものとなる。
判別規則1:IF 35歳以上 かつ 男性 THEN 購入済
判別規則2:IF ダイエット食品購入済 THEN 購入済
【0008】
次に、現時点の顧客データを参照し、現時点での健康食品未購入顧客に対して上記判別規則を適用する。その結果抽出された顧客を有望顧客とみなし、次回のセールス対象とする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
有望顧客抽出は、「年齢、家族数、年収、購入済商品などに関して、過去における多くの対象商品購入済顧客の購入時の状況と似たような状況に置かれている顧客は、今後対象商品を購入する見込みがある」とする仮定に基づいている。したがって、分析に用いる顧客データは、対象商品購入時の顧客の情報が正しく把握できることが重要となる。しかしながら、一般的に、分析に用いられる顧客データは現在あるいは過去のある一時点における状況を記録したものであるため、次のような問題点が生じる。
【0010】
例えば、現時点の顧客データに基づく分析を行った場合、対象商品を購入した時点の顧客の状況を正しく把握できない。これは、現時点よりはるか以前に対象商品を購入したある顧客が、購入時点から現時点までの間に「家族が増えた」「年収が増えた」など個人の状況に大きな変化があった場合でも、現時点での顧客データには対象商品を購入した時点の顧客状況ではなく、変化があった後の顧客状況が記録されているからである。このようなデータを用いて分析を行えば、当然正しい結果が得られないことになる。
【0011】
本発明の目的は、したがって、従来技術における上述の問題点を解決することができる、有望顧客抽出方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、データベースマーケティングを応用して有望顧客を精度よく抽出するようにしたものであり、蓄積された顧客データ、売上データなどを分析することにより対象商品を今後購入する可能性の高い顧客(有望顧客)を抽出する場合、過去の2時点の顧客データの変化に着目して対象商品を購入した時点の顧客の状況を正確に把握することができる分析対象データを作成し、この分析対象データに基づいてどのような条件を満たす顧客が対象商品を購入済かについての判別規則を生成し、この判別規則を所与の顧客データに適用して有望顧客を精度よく抽出するようにしたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、適当な間隔を持つ異なる2時点の顧客データを用いて分析対象データを作成することにより、2点の間のいずれかの時点で対象商品を購入した顧客の購入時における状況をより正確に把握して分析することを可能としたものである。
【0015】
請求項1の発明によれば、顧客の個人情報や購買情報などの顧客に関する種々の情報から成る顧客データを蓄積する主ファイルを格納しておく記憶手段と、予め定められた第1の時点での対象商品の未購入顧客の顧客データを前記主ファイルから取得し第1データとして記憶しておくための記憶手段と、前記第1の時点より後の第2の時点での第1の記憶手段に存在する顧客についての対象商品の購買データを前記主ファイルから取得し第2データとして記憶しておくための記憶手段と、前記第1及び第2データを照合して分析対象データを作成する分析対象データ作成手段と、前記分析対象データに基づいて前記対象商品に対する有望顧客/非有望顧客を判別するための判別規則を生成する規則生成手段と、前記主ファイル中から所与の時点での前記対象商品の未購入顧客の顧客データを取得して判別対象顧客データを作成する判別対象顧客データ作成手段と、該判別対象顧客データを記憶しておくための記憶手段と、前記判別対象顧客データ内の各顧客の個人情報や購買情報などの顧客に関する種々の情報から前記判別規則に従って有望顧客を抽出する抽出手段と、該抽出手段によって抽出された有望顧客のデータを出力する出力手段とを備えた有望顧客抽出装置が提案される。
【0016】
図1には、本発明の構成を説明するための説明図が示されている。図1で、1はある時点T1における顧客データファイル、2は時点T1より後のある時点T2における顧客データファイルである。
【0017】
先ず、時点T1における顧客データファイル1に格納されている顧客群1Aのうち対象商品が未購入となっている顧客群1Bを抽出する。次に、時点T1における顧客データファイル1に基づく顧客データと時点T2における顧客データファイル2に基づく顧客データとを比較し、顧客群1Bに属する顧客のうち時点T2において対象商品を購入していた顧客群1BXを特定する。
【0018】
このようにして、時点T1において対象商品を未購入であった顧客群1Bに属する人々を、時点T2においては対象商品を購入していた顧客群1BXと、時点T2においても対象商品を未だ購入していない顧客群1BYとに分類する。
【0019】
この分類結果を基に、時点T1で対象商品が未購入の顧客のうち、時点T2までの間に対象商品を購入することになるのはどのような条件を満たす顧客かについて分析する。そして、時点T1の顧客に関する種々の情報を基に、時点T2で購入済となるか未購入のままかについての判別規則を生成する。ここで、顧客が対象商品を購入したのは時点T1から時点T2の間の時点であり、判別規則生成の基にした個人情報、購買情報は時点T1のものである。したがって、時点T1、T2の間隔を適切に設定すれば、時点T1の顧客に関する種々の情報は対象商品を買った時点のものであると近似的にみなせる。それにより従来の問題点を解決できる。
【0020】
その後は、従来と同様に、生成された判別規則を例えば現時点での対象商品未購入顧客に対して適用することにより、今後購入が見込まれる有望顧客を精度よく抽出することができる。
【0021】
すなわち、所与の時点T、例えば現時点、における顧客データファイル3内に格納されている顧客群3Aのうち対象商品未購入の顧客群3Bに属する顧客のそれぞれに対して上記判別規則を適用し、顧客群3Bの中から有望顧客抽出を行い、有望顧客リストを得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0023】
図2は、本発明による有望顧客抽出装置の一実施形態のシステム構成図である。この有望顧客抽出装置1において、2はプログラムされた主制御部(CPU)、3は各種のファイル及びデータを格納しておく記憶装置、4は入出力制御部であり、これらはバスライン5を介して接続されている。入出力制御部4には、キーボードやマウス等のポインティングから成る入力装置6、入力データのモニタに用いる表示装置7、及び各種データ等を出力する出力装置8が接続されている。
【0024】
主制御部(CPU)2は、オペレーティングシステム等の制御プログラム、有望顧客の抽出のための手順を規定したプログラム、及び所要データを格納するための内部メモリを有し、これらプログラム等により、上記分析対象データ作成手段、規則生成手段、判別対象顧客データ作成手段及び抽出手段を実現している。記憶装置3には主ファイル31、第1データ32、第2データ33、判別対象顧客データ34及び分析対象データ35が格納されている。
【0025】
本実施の形態では、顧客データは、各顧客に割り当てられた顧客番号と、各顧客の年齢、性別、職業、家族数、年収から成る個人情報と、健康食品及びダイエット食品がそれぞれ購入済か未購入かの購買情報とを含み、顧客テーブルとして構成されている。
主ファイル31には、様々な時点の顧客データがテーブルの形で格納されている。
【0026】
図3には、この主ファイル31内の顧客データの一例として時点T1における顧客テーブルの内容が示されている。
【0027】
次に、図4を参照して、有望顧客抽出装置1において、主ファイル31に蓄積された顧客データに基づいて健康食品を対象商品とした有望顧客の抽出のための処理制御手順を説明する。
【0028】
先ず、ステップS1で主ファイル31を参照し、適宜に設定された時点T1における、対象商品(健康食品)の未購入の顧客の顧客番号を取り出すと共に、時点T1における対象商品(健康食品)の未購入の顧客の顧客データを第1データ32として蓄積する。
【0029】
図5には、第1データ32の内容である顧客テーブルが示されている。ここでは、既に健康食品を購入している顧客番号01、02の顧客データが除かれているのが判る(図3参照)。
【0030】
ステップS2では、ステップS1で取り出された顧客番号(03〜10)を持つ各顧客の時点T2における対象商品の購入状況を示す顧客データを主ファイル31から取得して第2データ33として蓄積する。時点T2は時点T1よりも遅い適宜に選ばれた時点である。時点T1、T2の間隔は、対象商品の購入状態に変化が生じるような時間差であり、且つ各顧客に関する種々の情報に大きな変化が生じ得ないような値に選ばれる。ここでは、時点T2は時点T1より1年後に選ばれている。図6には、時点T1において対象商品が未購入だった顧客の時点T2における顧客データの内容である顧客テーブルが示されている。
【0031】
次のステップS3では、顧客番号03〜10の各顧客についての対象商品の購入状況データ、すなわち、第2データ33として蓄積された健康食品が購入済か未購入かを示すデータと、第1データ32として蓄積されたデータを顧客番号毎に照合して分析対象データ35を作成する。上述したステップS1からステップS3までの処理が請求項1の分析対象データ作成手段に対応している。
【0032】
図7には、分析対象データを作成するための上述した手順が図解されている。図7について説明すると、
(1)先ず時点T1における顧客データから健康食品を未購入の顧客03〜10の顧客データを取得する。
(2)時点T2における顧客データから、(1)で取り出した顧客の健康食品の購入状況を示すデータを取得する。
(3)(1)で取得した顧客データと(2)で取得した健康食品の購入状況を示すデータを顧客番号毎に照合して分析対象データ35を得る。
【0033】
図8には、上述の如くして得られた分析対象データ35が顧客テーブルの形態にて示されている。このようにして得られた分析対象データ35は主制御部(CPU)2内の図示しないメモリに一旦格納される。
【0034】
図4に戻ると、ステップS4では、分析対象データ35の内容を分析し、時点T1においては健康食品を未購入だった各顧客が時点T2までに健康食品を購入済になるか未購入のままかを推定/判別するための判別規則を、時点T2における各顧客の健康食品購買情報以外の情報を用いて生成する。ステップS4の処理は請求項1の規則生成手段に対応している。
【0035】
この規則の生成は従来の手法を用いることができるので、ここでは判別規則生成の詳細な説明を行うのを省略する。
【0036】
ステップS4で、公知の手法を用いて判別規則として例えば次のようなものが生成されたとする。
判別規則1:IF 自営業 かつ 男性 THEN 購入済
判別規則2:IF ダイエット食品購入済 THEN 購入済
【0037】
このようにして判別規則が生成されたならば、次にステップS5に進み、ここで、主ファイル31から現時点Tにおける全顧客データ(図9)から対象商品未購入の全ての顧客データを取得して判別対象顧客ファイル34に蓄積する。
【0038】
ステップS6では、判別対象顧客ファイル34内から順次1顧客分づつ顧客データを取り出し、ステップS4で生成された判別規則を適用し、有望顧客か否かを判別する。このようにして、判別対象顧客ファイル34にリストアップされた全顧客に対して判別規則を適用し、有望顧客の抽出を行う。ステップS5からステップS6の処理が請求項1の抽出手段に対応している。
【0039】
本実施の形態の場合、顧客番号が03、12の顧客が判別規則1にて、顧客番号08、11の顧客が判別規則2にて該当すると判別され、有望顧客として抽出される。こうして抽出された有望顧客を次回のセールス対象とするため、ステップS7でこれらの抽出された顧客が有望顧客リストとして出力装置8から出力される。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、上述の如く、異なる2時点の顧客データを用い、2時点のうち前の時点で対象商品が未購入であった顧客データと、後の時点での購入状況を顧客毎に照合して分析対象データを作成し、前の時点におけるそれらの顧客の顧客データを基に対象商品に対する有望顧客/非有望顧客を判別する判別規則を生成するので、判別規則の生成の基になる分析対象データは対象商品を購入した時点の顧客の状況を正確に把握することができるものであり、このようにして得られた判別規則を所与の顧客データにあてはめて有望顧客の抽出を行うので、有望顧客を精度よく抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を説明するための説明図。
【図2】本発明による有望顧客抽出装置一実施形態のシステム構成図。
【図3】選択された2つの時点のうちの前の時点における全ての顧客データを示す顧客テーブル。
【図4】主ファイルに蓄積された顧客データに基づいて対象商品の有望顧客の抽出のための処理制御手順を説明するためのフローチャート。
【図5】第1ファイルの顧客データの内容を示す顧客テーブル。
【図6】前の時点における対象商品未購入顧客の顧客データの内容を示す顧客テーブル。
【図7】分析対象データを作成する手順を説明するための図。
【図8】分析対象データの内容を示す顧客テーブル。
【図9】現時点における全顧客の顧客データの内容を示す顧客テーブル。
【符号の説明】
1 有望顧客抽出装置
2 主制御部(CPU)
3 記憶装置
4 入出力制御部
5 バスライン
6 入力装置
7 表示装置
8 出力装置
31 主ファイル
32 第1データ
33 第2データ
34 判別対象顧客データ
35 分析対象データ
Claims (1)
- 顧客の個人情報や購買情報などの顧客に関する種々の情報から成る顧客データを蓄積する主ファイルを格納しておく記憶手段と、
予め定められた第1の時点での対象商品の未購入顧客の顧客データを前記主ファイルから取得して第1データとして記憶しておくための記憶手段と、
前記第1の時点より後の第2の時点での第1の記憶手段に存在する顧客についての対象商品の購買データを前記主ファイルから取得して第2データとして記憶しておくための記憶手段と、
前記第1及び第2データを照合して分析対象データを作成する分析対象データ作成手段と、
前記分析対象データに基づいて前記対象商品に対する有望顧客/非有望顧客を判別するための判別規則を生成する規則生成手段と、
前記主ファイル中から所与の時点での前記対象商品の未購入顧客の顧客データを取得して判別対象顧客データを作成する判別対象顧客データ作成手段と、
該判別対象顧客データを記憶しておくための記憶手段と、
前記判別対象顧客データ内の各顧客の個人情報や購買情報などの顧客に関する種々の情報から前記判別規則に従って有望顧客を抽出する抽出手段と、
該抽出手段によって抽出された有望顧客のデータを出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする有望顧客抽出装置。
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