JP4230577B2 - 相互送信順序生成方法、送信電力選択方法およびそのコンピュータプログラムならびに無線システムおよび基地局コントローラ - Google Patents

相互送信順序生成方法、送信電力選択方法およびそのコンピュータプログラムならびに無線システムおよび基地局コントローラ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、セルラー無線システムにおける基地局と端末との間の無線インターフェースの実現に関する。本発明は、特に、利用可能なデータ通信容量を最大限に利用できるように、送信されるデータを編成し、送信出力を決定することに関する。データ通信容量は時間および周波数帯域によって形成される。
【0002】
【従来の技術】
セルラーシステムでは、基地局と端末との無線通信メッセージは、スロットと称することのできる小さな部分に分割された周期的に繰り返されるフレームを備えるのが普通である。フレームは、一定の周波数帯域が多元接続方法により接続に使用されるべく分割される一定の期間を表す。普通の多元接続方法はTDMA(時分割多元接続)、CDMA(符号分割多元接続)およびFDMA(周波数分割多元接続)である。TDMAでは、フレーム内のスロットはタイムスロットであって、1つのフレームは例えば8個のスロットを含むことができ、その各々を一定の無線接続に使用されるように割り当てることができる。あるシステムでは、フレーム中のタイムスロットのサイズおよび個数がフレームによって異なることがある。CDMAでは、スロットは、少なくとも1フレーム中に一定の無線接続に割り当てられることのできる、互いに直交するかあるいはほぼ直交する拡散符号を表す。FDMAでは、スロットは、利用されている周波数帯域幅の狭い部分である。FDMA、CDMAおよびTDMAの組み合わせも提案されていて、その場合にはフレームはタイムスロットに分割され、それを時間、周波数または符号に基づいてさらに小さな部分に分割することができる。
【0003】
無線接続にスロットが割り当てられている間、この接続は同じセルまたは隣接するセルの領域内の他の無線接続に起因する干渉(interference) あるいは妨害(disturbance)を被る。妨害の量および質は同時の無線接続の個数と多元接続の方法と再使用係数(reuse factor)とに依存する。この再使用係数は、あるセルと同じ無線周波数あるいは同じ拡散符号を使用する他のセルがそのセルとどのくらいの距離をおいているかを表す。CDMAでは、そのセル自身の干渉が干渉全体の非常に重要な部分をなす可能性があるが、TDMAおよびFDMAでは干渉の大部分は他のセルに由来する。
【0004】
無線接続は、希望通りにデータを送信できるようにするために、一定の正確さを達成しなければならない。充分なC/I比(Carrier to Interference Ratio :搬送波対干渉電力比)でこれを達成することができるが、このC/I比は搬送波電力と、同時に受信された干渉電力との比を表す。従来技術のセルラー無線システムでは、通常、C/I比(またはSIRすなわち信号対干渉電力比−またはS/Nすなわち信号対雑音比−またはS/(I+N)すなわち信号対干渉電力プラス雑音比−またはその他の対応する比)が目標レベルと共に定義され、各無線接続のために、その目標レベルにかろうじて到達できる大きさとなるように送信電力が制御される。不必要に大きな送信電力は送信側装置の電気エネルギーを消費すると共に、他の同時無線接続に干渉を引き起こすので、C/I比の目標レベルを達成するのに必要な大きさより大きな送信電力を使用するのは無意味である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
無線インターフェース利用の最適化に関して従来技術の方法はあまり効率が良くない。TDMAシステムの2つの隣接する基地局がそれらのセル内で同じ周波数を使用するときに、これらの基地局が同時に無線接続を開始すると、それらの接続は競合状態に巻き込まれる可能性がある。すなわち、C/I比を目標レベルに高めるために両方の接続が交互にその送信電力を増加させ、第1のセルにおける1つ1つの電力増加が他方のセルでの干渉を増大させ、その動作が循環する。CDMAシステムの1つの基地局においてあるいは隣接する2つの基地局において、異なる拡散符号を使用する2つの同時無線接続(simultaneous radio connection)間で類似の競合状態が起こることがある。
【0006】
フィンランド特許出願第964308号と、それに対応する米国特許出願第08/802645号とは無線資源を共有する方法を開示しており、その1つの可能性は、隣接する基地局間でスロット予約状態を調整することである。この出願は、スロットが予約されているときに接続が実時間データ通信を必要とするかあるいは非実時間データ通信を必要とするかを検討し、あるいは端末と基地局との間の距離の故にどれくらいの大きさの送信電力を接続が使用しなければならないかを検討すると、一般的用語で述べている。
【0007】
本発明の目的は、セルラー無線システムの無線インターフェースでのデータ送信容量を最大限に利用する方法およびシステムである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、同時無線接続により使用される全てのフレーム構造の組み合わせを考察するとともに、それらの接続に関連するパケットを考察されたフレームのスロットに分割しおよび/または、考察された接続から計算される効用関数(utility function) が最大となるようにパケットの送信電力を選択することによって達成される。
【0009】
本発明の方法は、
各送信側装置によってパケットが同時に送信される時の、計算により得ることのできる、ある送信側装置により送信される搬送波電力およびこれにより生じる他の送信側装置にとっての干渉電力に依存する値を変数として有する第1の効用関数を生成し、
送信すべきパケットの相互送信順序、計算により得られる前述の第1の効用関数の極値に対応して決定することを特徴とする本発明の第1の態様による。
【0010】
本発明の方法は、
同時に送信されるべく構成されたパケットについて計算により得ることのできる搬送波電力および干渉電力に依存する値を変数として有する第2の効用関数を生成し、
送信電力が合計で前述の第2の効用関数の極値に対応することとなるように、送信すべきパケットのための送信電力を選択することを特徴とする本発明の第2の態様による。
【0011】
本発明は無線システムにも関するものであり、その無線システムの第1の態様は、
各送信側装置によってパケットが同時に送信される時の、計算により得ることのできる、ある送信側装置により送信される搬送波電力およびこれにより生じる他の送信側装置にとっての干渉電力に依存する値を変数として有する第1の効用関数を計算するための手段と、
送信すべきパケットの相互送信順序を、計算により得られる前述の第1の効用関数の極値に対応して決定するように送信側装置に指示を与えるための手段と、
この送信側装置が送信すべきパケットの決定された相互送信順序でこのパケットを受信するように受信側装置に指示を与えるための手段とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の無線システムは、
同時に送信されるべく構成されたパケットについて計算により得ることのできる搬送波電力および干渉電力に依存する値を変数として有する第2の効用関数の値を計算するための手段と、
計算により得られる前述の第2の効用関数の極値に対応する送信電力をそのパケットのために選択するように送信装置に指示を与えるための手段とを有することを特徴とする本発明の第2の態様による。
【0013】
スロット割当てと送信電力選択とに起因する種々の接続に対する効果を、エンティティとして取り扱うためには、無線インターフェースの充分に大きな部分を同時に考察する必要がある。本願では、同時に検査されるフレームの集合を無線資源ナップザック(radio resource knapsack)と称する。原則として、本発明は無線資源ナップザックのサイズを限定しないが、本発明を有意義に適用するためには、無線資源ナップザックは、その割当てに基づいて中心的に動作できるように、実質的に同時に送信される、その部分(スロット)を種々の無線接続に割り当てることができるようなフレームまたは対応するユニットを含んでいなければならない。無線資源ナップザックの最大サイズは、フレームに含まれている無線接続が相互干渉を引き起こす可能性のある領域で使用されるような同時に送信されるフレームの個数によると共に、本発明に従って最適化を実行するためにどの程度に有効な計算能力を利用できるかによる。シグナリング要件は無線資源ナップザックのサイズに比例するので、無線資源ナップザックのサイズは基地局ネットワークにおけるシグナリングに関する要件によっても制限される。種々の基地局を介して送信されるフレーム中のスロットの、中央により制御される割当ては、基地局と、中心からスロットの割当てを制御する装置との間でのシグナリングを必要とする。
【0014】
無線資源ナップザックのサイズを固定されたサイズとして決める必要は必ずしもなくて、このサイズは動的に変化しても良い。例えば、システムは、このシステムのどの部分の負荷が最大であるかを監視し、負荷が現在最大となっている領域の基地局のグループを形成することができ、本発明の方法に従ってフレーム割当てを最適化する。そのグループにおいて同時に送信されるフレームは1つの無線資源ナップザックを形成する。負荷またはその他の可変要因に基づく無線資源ナップザックの決定を、無線資源の適応最適化と称することができる。
【0015】
種々の無線システムが回線交換接続を利用するかパケット交換接続を利用するかに関わらず、本発明は種々の無線システムに適用するのに適している。しかし、本発明は、スロットの割当てと、そのスロットに含まれているデータ量のための送信電力の選択とに関するものであるので、これは、接続により送信されるデータを1スロットのサイズを持つ部分に分割できることを必要とする(フレームに含まれるスロットはいろいろなサイズのスロットであって良い)。本願では、1スロットで送信される情報部分を、それが回線交換接続に関連するのか、それともパケット交換接続に関連するのかに関わらず、略してパケットと称する。送信側装置として作用する送信側基地局では、送信されるべき一定個数のパケットが一定の送信バッファに蓄積される。同様に、端末からアップリンク方向に送信すべきパケットは、送信バッファにそれらの送信順序に従って存在するものと見なすことができる。パケットは、各パケットに関連する重要度値(importance value) で表される重要度の順位を持つことができ、パケットはその値が大きいほど重要である。さらに、当該セルラー無線システムはARQ(Automatic Repeat Request:自動再生要求)タイプ再送プロトコルを利用し、それに従って受信側装置は、受け取ったエラーを含んでいるパケットの再送を求めることができるということも仮定する。最新のARQ方法では、通常、受信側装置は、送信されたパケットの内容を復元しようとするときには受信した全ての(エラーを含んで受信したものさえ含む)バージョンを使用し、実際には正しいパケットを1度も受け取らなくても良い。全再送によって、受信側装置がそのパケットの内容を正しく復元できる確率が高くなる。
【0016】
各無線接続について使用された送信電力を知り、また各無線接続に関連する送信機および受信機の間での信号の減衰が分かると、これが呈示されている各スロット予約モデルまたは無線資源ナップザック詰込み選択肢に関する各無線接続においてどのC/I比を提供するかを計算することが可能となる。一定のスロットで送信される考察対称パケットiについてパケットを表すC/I比の値(C/I)i はTDMAシステムについては下記の式、
【数1】
Figure 0004230577
で得られるが、ここでPi は考察されているi番目のパケットを送信するのに使われる送信電力を表し、Giiはi番目のパケットの送信側装置と目的の受信側装置との間での距離減衰を表し、Pj は同時にj番目のパケットを送信するのに使われる送信電力を表し、Gijはj番目のパケットの送信側装置とi番目のパケットの目的の受信側装置との間での距離減衰を表す。総和を限定している因子No_BSは、考察対称パケットの送信と同時に送信を行う装置の数である。CDMAシステムでは、一定のパケットと同時に同じセルにおいて送信されるパケットと、他のセルで同時に送信されるパケットと、拡散符号の(不完全な)直交性と、送信側装置での処理利得とを考慮することによって、対応する式が得られる。
【0017】
本発明の第1の態様では、無線資源ナップザック全体にわたって計算されるいわゆる効用関数が最大になるように無線資源ナップザックへの詰込みが行われる、すなわち送信すべきパケットがフレームに含まれるスロットの中に置かれるが、この効用関数はC/I比に、あるいは信号と、計算により得ることのできる干渉との比を表す対応する値に依存する。C/I比の他に、パケットに関連する上記の重要度値も考慮することによって、一定のパケットのC/I比の相対的重要度を強調することができる。本発明の他の態様では、同時に送信されるように選択されるパケットには、いわゆる第2の効用関数が最大になるような送信電力が選択され、この第2の効用関数は、その同時パケット全部にわたって計算され、計算によって得られるC/I比に、または信号と干渉との比を表す対応する値に依存する。一定のパケットのC/I比の相対的重要度も、C/I比の他にパケットに関連する上記の重要度値も考慮することによって、強調することができる。従って、無線資源ナップザックの詰込みと送信電力の選択とは多変数最適化問題をもたらし、その変数はフレームのスロット内のパケットの位置と、それらを送信するのに使われる送信電力とである。本発明は、効用関数が、接続のC/I比に、または信号の量および/または質を表す他の量に、かつ雑音または干渉に依存するならば、効用関数の定義に制限を課さない。
【0018】
次に好適な実施例と添付図面とを参照して本発明をより詳しく説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図面において、対応する部分に同じ参照符が用いられている。
【0020】
図1はセルラー無線システムの一部分100を示しており、これは10個の基地局(BS)と、これらと通信する基地局コントローラ(BSC)101とを備える。基地局のセルは円形で図示されていて、それらは部分的に重なり合っている。セルラー無線システムの一部分100では3つの周波数f1,f2およびf3が使用され、再使用係数は3である。各セルにおいてアップリンク・トラフィックおよびダウンリンク・トラフィックの両方がフレームに分割されるが、それは図を明瞭にするためにこの図には示されていない。各フレーム中の1つあるいはそれより多いスロットを一定の無線接続に使用されるように割り当てることができる。さらに、基地局同士は相互に充分に同期して動作することができ新しいフレームは各セルで同時に始まるということを仮定する。同期が失われているとき、受信側装置は同期差がどのくらいの大きさであるかを測定により決定することができる。これらの仮定は、本発明のためには必ずしも必要ではないが、本発明の単純な実施例を理解しやすくする。
【0021】
図1のセルラー無線システムの部分では、無線資源の最適化は、システム全体において通信および無線資源が最善に利用されるように、セルにおける現在の無線接続に関連するパケットをそれぞれのセルで使われる同時フレームのスロットの中に置く方法を意味する。最適化は、さらに、各パケットの送信電力の制御を有する。場合によっては、それは利用可能な基地局が数個ある場合に一定の接続の経路をどの基地局を通るように設定するかを決定することを含むこともある(端末は例えばマクロセルの中に存在すると同時にそのマクロセルの領域内のマイクロセルまたはピコセルの中にも存在する)。開発中のUMTSセルラー無線システム(Universal Mobile Telecommunication System :ユニバーサル移動体通信システム)の階層セル・システム(hierarchical cell system:HCS)では、同じ階層レベルおよび異なる階層レベルの両方で端末が同時に利用できる基地局が数個あるのが一般的である。通信の有用性はいわゆるスループット値で測られるが、それは単位時間あたりに送信され得る情報量を表す値である。さらにそれに別の方法でも例えばパケット重要度値で重みを付けることができる。実際的な実施例では、例えば一定の無線資源ナップザックについてのC/I比の値に依存する一定の関数を極大化することによってスループットの最大値を得ることができる。
【0022】
将来、マイクロセル・ネットワークでは非常に多くの端末(30〜45%)が少なくとも2つの基地局と通信できるようになり、無線資源ナップザックに属するフレームの選択と1つの基地局から別の基地局への呼の切換え(いわゆるハンドオーバ)とは、システムの容量、トラフィック負荷のバランス、セルの動作の安定性、および基地局間で必要なシグナリングに強い影響を及ぼす。ある領域でトラフィック負荷が一時的に上昇すれば、その領域の境界に位置する端末からの呼を、その負荷を担う領域に関係する他の基地局に切り換えるのが得策である。端末は、端末が種々の基地局から受信する信号強度を測定することによって、それらの基地局を識別することができる。各端末について干渉電力の値を測定するときに同じ測定結果を利用することができ、その値は各端末についてのC/I比を計算するのに使われる。端末の位置が基地局までの距離としてだけではなくて座標の形で分かっている場合、基地局はその位置データを使って端末から付近の各基地局までの物理的距離を計算し、端末が各基地局から送信される干渉電力をどのくらいに強く感じるのか評価できる。同じく、端末の位置座標により他の端末との関係での物理的位置を決定することができ、それに基づいて、さらに端末同士が同時に送信をするときに端末同士が互いにどのくらいに大きな干渉電力を引き起こすかを計算することができる。
【0023】
指向性アンテナにより、基地局のセルを、各々が独特の送信フレームを使うことができるセクタに分けることができる。本発明に関しては、セクタの同時フレームを別々のセルの同時フレームと比較することができる。同じセルの全ての異なるフレームが同じ無線資源に属しても良いけれども、それが必ずしも必要というわけではない。セクタに分割することにより、セクタ内の端末の位置をセクタに分けられていないセル内の端末の位置より正確に知ることができる。端末Xへ送信すべきパケットを無線資源ナップザックの中に置くとき、端末XがセルAの、セルAの基地局からセルBに向いていてセルAの反対側のセルCに背く方向を向いているセクタ内にあることが分かるならば、端末Xへ送信すべきパケットを置くときにセルBのフレーム内の同時パケットにより引き起こされる干渉をセルCのフレーム内容より詳しく観察しなければならないことは明らかである。
【0024】
図2は時間方向にスロットに分割されたフレーム200の例を示しており、パケット(例えばパケット204,205,206)がフレームのスロット(例えばスロット202,202および203)の中に置かれている。この図では、1フレームを時間方向に6個のタイムスロットに分割できると仮定されており、それらをさらに3種類の方法でスロットに分割することができ、1タイムスロットが最大サイズのカテゴリの1個のスロット201、中間サイズのカテゴリの2個のスロット202,または最小サイズのカテゴリの4個のスロット203を占めることができる。他の分割も可能である。フレームが例えば8個のタイムスロットを包含し、1タイムスロットが最大サイズのカテゴリの1個のスロット(いわゆる1/8スロット)、中間サイズのカテゴリの4個のスロット(いわゆる1/16)、または最小サイズのカテゴリの8個のスロット(いわゆる1/64スロット)を包含しても良い。時間方向にスロットに分割することに加えて、あるいはその代わりに、フレームを周波数方向にも分割することができ、あるいは拡散コードを分割の基礎として使うことができ、この最後の場合には時間方向および周波数方向にスロット同士が互いに重畳する。
【0025】
図2では、パケット204が最高の重要度値を表し、パケット206が最低の重要度値を表すということも仮定されており、それはこの図では輪郭線の幅により例示されている。スロット207など、スロットのいくつかが空であっても良い。パケットの重要度値を多くの方法で決めることができる。最も単純な場合には全てのパケットが同じ値のパケットであり、その場合には無線資源の最適化は無線インターフェースにおけるスループットの単なる最大化を意味する。パケットの重要度値は、例えば、所要のサービスの品質(quality of service:QoS )、システム・レベルでの接続の優先順位(例えば非常呼)、ベアラーのタイプ、ベアラーのクラス、あるいはそのパケットが属するベアラーでのビットあたりコストのタイプによる値付けなどに左右される。ベアラーという用語は、基地局と端末との間の通信に影響を及ぼすような全ての要素によって形成されるエンティティを意味する。ベアラーという概念は、特にデータ通信速度、遅延、ビット誤り率、およびそれらの最小値および最大値の変動と関連している。ベアラーは、これらの要素の共通効果により作られる通信バスとして理解され、そのバスは基地局と端末とを結合させ、このバスを通してペイロード情報を送信することができる。1つのベアラーは常に1つの端末だけを基地局と結合させる。多機能端末は端末を1つの基地局と接続するベアラーを同時に数個維持することができる。もしシステムがマクロ・ダイバーシティ結合を利用することができるならば、1個または数個のベアラーは同時に2つ以上の基地局を介して端末をネットワークに接続することができる。次に、本発明の適用のためにマクロ・ダイバーシティ結合についていっそう詳しく説明する。
【0026】
同様の値を持ったベアラー同士のパケット重要度値をFIFO原理(先入れ先出し)に従って決定することができ、その場合待ち時間が最長のパケットが最高の重要度値を有する。ARQ方法を適用するシステムでは、受信側装置がパケットを正しく受信したことを確認したときに限って(あるいは一定限界時間後に。この場合にはそのパケットは無くなる)そのパケットが送信バッファから除去される。パケットが送信バッファに長くとどまっていてこのパケットの重要度値が大きくなると、無線資源ナップザックの詰込みを行うための最適化アルゴリズムは、バッファにより長くとどまっていて少なくとも1回は送信に失敗したパケットをC/I比に関してより有利なスロットに置く傾向があり、それらが宛先に到達する確率が大きくなる。セルの異なる場所に位置して異なる速度で移動している端末はセルが利用することのできる無線資源に異なる負荷を与えることが知られているので、無線接続の品質または基地局の負荷に基づいてパケット値を決定することもできる。
【0027】
パケットのためのスロットの割当てに関する決定を行って基地局および端末にそれを信号で知らせるメカニズムは、接続がフレーム内に永久的に割り当てられた場所を持つ必要が無くて、接続に属するパケットが、単一フレームの間隔でも、フレームの1スロットから他のスロットへと場所を変えることを可能にする。しかし、場合によっては、フレーム内の一定のスロットを長時間にわたって、あるいは接続全体にわたって、接続に割り当てるのが有利である。例えば、少なくともインターリーブ期間あるいは接続全体にわたって同じスロットが割り当てられているときには、一定速度でデータを連続的に送信する実時間接続における信号伝送負荷が相当減少する。
【0028】
図3は、図1に示されるTDMAセルラー無線システム部分での使用に適する無線資源ナップザック300を示しており、この無線資源ナップザック300は、10個の基地局の各々からの2つの連続するフレームからなる対301〜310を有する。図1に示されている基地局コントローラ101,あるいは資源の利用を最適化するための他の何らかの装置のタスクは、各基地局から送信されるべきパケットを、対応する基地局のフレームのスロットにできるだけ有利に置くことである。図においては、フレームのスロット分割が各セルで同じであると仮定しているが、このことは本発明に関しては必ずしも必要なことではない。図4はCDMAセルラー無線システムでの使用に適する無線資源ナップザック320を示しており、この無線資源ナップザック320は10個の基地局の各々からの1フレーム321〜330を含んでおり、その各フレームはほぼ直交する拡散コードを用いてスロットに分割されており、このスロットは時間方向および周波数方向に他のスロットと重畳されている(図を明瞭にするためにスロットは互いの上に一部分だけ図示されている)。図5は、CDMAシステムでの使用に適する別の無線資源ナップザック340を示しており、これは1つの基地局だけと関係していて、この基地局がパケットを同時に送信できるスロット341〜350を全部含んでいる。スロット341〜350の幅がまちまちであることは、それらに使用される拡散コードの拡散比によって同時CDMAスロットが種々のデータ通信容量を表すことができることを意味する。
【0029】
本発明に従って、フレームのスロットで得ることのできるC/I比に依存する効用関数が形成される。一般に2レベルを用いて効用関数を定義することができる。始めに、k番目の基地局のj番目のフレームのi番目のスロットで得られるC/I比〔C/I〕i,j,k に依存する値を有する関数fを定義する。
【数2】
Figure 0004230577
【0030】
最も簡単な形ではfはその引数に等しく、すなわちf(〔C/I〕i,j,k )=〔C/I〕i,j,k であり、ここでさらにいわゆるトップ・カッター(top cutter) およびボトム・カッター(bottom cutter)を使用することができ、すなわち、一定限度を上回るC/I比の値は上限値と置換され、一定限度より低いC/I比の値は下限値または0と置換される。もっと複雑な形の関数fを経験的に見いだすことができる。実際の効用関数gは、その引数が無線資源ナップザックに属する全てのスロットでの関数fの値となるように決定される。各スロットに置かれるべきパケットの重要度値ai,j,k で関数fの値に重みを付けることができる。1つの有用な効用関数gは関数fの全ての値の総和であり、関数fの各値には対応する重要度値aで重みが付けられている。
【数3】
Figure 0004230577
【0031】
もう1つの有用な効用関数g'は関数fの全ての値の積であり、ここで関数fの各値には対応する重要度値ai,j,k で重みが付けられている。
【数4】
Figure 0004230577
【0032】
式4および5は代表例に過ぎない。他の形式の効用関数g を経験的に見いだすことができる。式3,4および5においてインデックスi はスロットに関連し、インデックスj はフレームに関連し、インデックスk は基地局に関連している。関数g の値を計算するとき、もし例えばあるフレームの中のある制御データ・スロットが常に全く同様に送信され、またそれらの内容の選択がシステムの無線資源により得られる利益に影響を及ぼさないのであれば、全てのフレームの全てのスロットを考慮する必要はない。
【0033】
パケットについて得られる最大限に有利なC/I比が効用関数の最大値にではなくて最小値と一致するように効用関数を定義することももちろん可能である。解説を単純にするために、本願は、パケットについて得られる最大限に有利なC/I比に一致する効用関数極値の探索に関しては最大値と最大化とだけについて論じることにする。
【0034】
本発明はどの様な制限でも効用関数の定義に課すけれども、その目的は効用関数の定義をオペレータ間の競争手段として使えるようにすることである。効用関数の選択により、オペレータは、特に、最適化アルゴリズムがなるべく多数の接続について実質的に同じレベルのC/I比を保証しようとするか、それとも全ての接続について少なくともゼロに等しくはないC/I比(通常は式5のタイプの積の形式の効用関数)を保証しようとするか、それともこのアルゴリズムが最も貴重なパケットのC/I比を最大化しようとするか(通常は式4のタイプの総和の形式の効用関数)に影響を及ぼすことができる。効用関数の定義は、上述のような方法で、無線資源ナップザックが形成されるセルおよびフレームの数に関係して動的に変化してもよい。例えば、トラフィックが渋滞している間は、より軽快なトラフィックのときとは違った形式の効用関数を使う。効用関数は、種々のトラフィックのタイプの比例占有率に応じて、また異なるタイプのトラフィックについて別々に観測された渋滞時間に応じて変化しても良い。効用関数は、無線経路での減衰を表す簡単化されたモデルと、分析的に記述するのが困難あるいは不可能な、最適化に影響を及ぼすような他の要素とを使用することができる。
【0035】
効用関数を計算するとき、種々のベアラーをほぼ同様のやり方で扱うことを目指すようなある条件を考慮することもできる。すなわち、ある場合には、1つあるいはいくつかのベアラーのパケットの重要度値が他のベアラーのパケットと比べて高く、高い重要度値を持ったパケットが送信バッファ内に多くあって、それらがフレームの相当の部分を占めるということがあり得る。その場合、効用関数の最大値は、高い重要度値を持ったパケットだけを無線資源ナップザックに詰め込むことによって得られ、他のベアラーはサービスを全く受けられない。データ通信容量のそのような集中を防止するために、一定のベアラーに関連する、無線資源ナップザックに詰め込むことのできるパケットの最大個数を定義することができる。効用関数を計算するときには、1ベアラーに関して一定最大個数のパケットだけを考慮に入れ、最適化アルゴリズムが1ベアラーに関連するパケットの個数を制限することも可能である。その最大個数に達すると、重要なパケットの付加はもはや効用関数の値を増大させなくて、アルゴリズムは選択すれば効用関数の値をなお増大させるような他のパケットを選択しようとする。効用関数を計算するときの第3の選択肢は、効用関数の値を減少させる、無線資源ナップザックに置く同じベアラーに属するパケットの個数に依存する大きさを有するペナルティー項を考慮に入れることである。同じ無線資源ナップザックに詰め込むことのできる1ベアラーからのパケットの最大個数、あるいは効用関数の値を計算するときになお考慮される1ベアラーからのパケットの最大個数はベアラー毎に定義されてもよく、例えばそれは、送信バッファ内で待機しているベアラーに関連するパケットの個数と、最後のフレームの間に送信に成功したこのベアラーに関連するパケットの個数との比に依存することができる。
【0036】
各パケットを無線資源ナップザックに置く選択肢の数は限られているので、効用関数の最大値を発見する1つの方法は、可能なパケットの置き方を全て試みて、その中から効用関数の最大値を与える選択肢を選ぶことである。しかし、共役傾き法(conjugate gradient method)など、関数を最適化するための、実質的にもっと効果のある方法が知られており、この方法と、さらに発展した動的最適化方法(dynamic opimisation methods)とを、特に最適送信電力を発見することとの関係で、次を参照する。
【0037】
次に、無線資源ナップザックの最適詰込み順序を発見する好適な方法について詳しく説明する。始めに、同時スロットに、すなわち2つの異なるフレーム中の同じスロットに、置かれる2個のパケットにどの規則を当てはめるかを決めなければならない。1つの有利な規則は、同時スロットに考察対象パケットが置かれた後に、その考察対象パケットと、それより前に既に同時スロットに置かれていたパケットと、の両方について計算されたC/I比がオペレータにより選択された一定のしきい値より大きい場合に限って、この考察対象パケットをスロットに置くことにするという規則であり、この場合、そのしきい値は特にパケットの重要度値に依存する種々の値を持つことができる。数個のスロットのあるフレームにパケットを置くことを考察する場合、それは上記の規則を満たしており、そのパケットは、現在満たされているスロット全体にわたって効用関数について計算される値を最も大きく増大させることになるスロットの中に置かれる。この点について、あるスロットの中のあるパケットについて計算されるC/I比の値がある上限より大きい場合、そのパケットを送信するために使われる電力を、そのC/I比の値が上限と一致することとなるように、もっと低いレベルに調整し、あるスロットの中のあるパケットについて計算されるC/I比の値がある下限より小さい場合、パケットがこのスロットでは送信されないこととなるように上限および下限を適用するのが有利である。
【0038】
図6は単純な無線資源ナップザック400を示しており、それは3個のTDMAフレーム401,402および403を含み、その各々が4個のスロットを含む。上の説明から明らかなように、このフレームは図を明瞭にするために垂直に図示されており、図では各フレームの垂直方向の寸法はスロットとしての時間を表し、水平方向の寸法はフレームとしての時間を表す。無線資源ナップザックの最適詰込み順序を発見するために、プロセスはある順序で1フレームから他のフレームへと進む。各基地局(もし端末が送信側装置と見なされるのであれば、その端末)は数個の送信バッファを持っていて、それは、送信すべきパケットと、それらの重要度値に関する情報とを含む。一般に各ベアラーは自分自身の送信バッファを有するが、図を簡明にするために無線資源ナップザックに属する各フレームについてのいわゆる考察対象パケットのバッファ404,405または406だけが図6に示されている。このバッファは各ベアラーの送信バッファからの、次に送信すべきパケットを含む。最もありふれたデータ通信プロトコルは送信機と受信機との間でのパケット同士の相対的順序の変化を許さないので、各ベアラーのために送信バッファを持つことは、一定のベアラーに関連するパケット同士の相対的順序が変化しないことを確実にするための単純な手段である。従って最適化アルゴリズムは、ベアラーに関連する送信バッファから第1パケット、すなわち次に送信すべきパケット、を選択できるに過ぎない。適当なパケットを選択するために、最適化アルゴリズムは送信バッファ内の第1パケット同士を比較する。
【0039】
送信バッファ内のパケットと、それらの重要度値とに関する情報は、無線資源ナップザックの詰込みを最適化する装置にも知られなければならない。図6において、重要度値は上述の図2の場合と同様にパケット境界線の幅によって示されている。1つの実施例では、一定の第1フレーム401が、その送信バッファ内の始めのパケットをパケット重要度の順に選択して最も重要なパケットを最初にとることによって、最初に完全に満たされるが、そのことが矢印で示されている。考察対象パケットのために常に最善のスロットを選択することによってフレームが満たされる。第1フレームが満たされると、第1フレームの対応する同時スロット内に既にパケットがあることを考慮に入れて、パケットを第2フレームのスロットの中に置くための条件に関する上記の規則を守りながら次のフレーム402を満たす動作に進む。
【0040】
図6では、対応する考察対象パケットのバッファ405において見いだされる最高の重要度値を持ったパケットが最初に第2フレーム402の中に置かれ、そしてこの様に置いている間に、このパケットとフレーム401の第1スロット内のパケットとを同時に送信すると、それらのパケットのうちの一方について計算されるC/I比が前述のしきい値よりも低くなるということが発見されると仮定されている。最も重要なパケットは、フレームの中の残っているスロットのうちの、該パケットと第1フレーム401内の同時パケットとについて計算されるC/I比がしきい値より大きくなるスロットの中に置かれ、そのようなスロットが数個ある場合には、もしそのパケットを置くならば、それまでに満たされたスロットについて計算される効用関数g の値が最も大幅に増大するという結果をもたらすことになるスロットの中にパケットは置かれる。同じ原理に従ってさらに2個のパケットが第2フレームの中に置かれたならば、バッファ405の中にはもはやパケットは無いということが発見されるので、続けて第3フレームを満たすことができる。無線資源ナップザック400の全てのフレームが満たされるまで、あるいは同時スロットを満たすことに関する規則を破らずに置くことのできる不完全なフレームに対応する送信バッファの中に、その様な第1パケットが全く見つからなくなるまで、同じ原理に従ってフレームの充填が続けて行われる。図6では、バッファ406にパケットが残っていても、それらのいずれもフレーム403の中に置くことはできないということが仮定されている。次の無線資源ナップザックに詰込みが行われるときには、フレームの充填順序を変更すること、すなわち第1フレームとして他のフレームを選択すること、が有利である。
【0041】
図7は、無線資源ナップザック400に属する第3フレーム403の充填が行われている間、バッファ406内に見いだされる、第1(最も重要な)重要度カテゴリの重要度値を有するパケット412が、第1フレームの中にすでに置かれているパケットのいずれとも一緒に送信するのには適していなくて、もしパケット412をそれらと同時に送信すれば、第1フレームの中にすでに詰め込まれているパケットの全てのC/I値がしきい値以下に低下することになる状態を例示している。効用関数の最大化に関して、パケットは第2重要度カテゴリに属するパケット410と一緒に送信されるのが最も適している。後述する系統的推論を適用して、第1フレーム01内にすでに置かれているパケット410を効用関数の値が最大となるように他のパケットと置換できるか否か検討する。最高重要度値を持った前述のパケット412が第3フレームに置かれ、それと同時にパケット411が第1フレーム内に置かれるという配列で効用関数の最大値が得られ、この場合、パケット411の重要度値は第1フレームから除去されたパケット410の重要度値より低い。
【0042】
図8に示されている実施例では、第1フレーム401に対応するバッファ404内の考察対象パケットの中で最高の重要度値を持ったパケットが始めに第1フレームの中に置かれ、次に第2フレーム402に対応するバッファ405内の考察対象パケットの中の最高の重要度値を持ったパケットが第2フレームの中に置かれ、全てのフレーム内に1つのパケットが入るまで、この動作が行われる。その後、第1フレームに対応するバッファ404内の考察対象パケットの中の次に高い重要度値を持ったパケットが第1フレームの中に置かれ、その後に第2フレームに対応するバッファ405内の考察対象パケットの中の次に高い重要度値を持ったパケットが第2フレームの中に置かれ、このようにして、全てのフレームが満たされるまで、あるいは送信バッファに対応するフレームの中に置くことのできるパケットが送信バッファのいずれにも全く無くなるまで、同時スロットの充填に関する規則を守りながらパケットを置いていく動作が行われる。この実施例に従って行われるパケットの配置は、前の実施例と同じ結果をもたらすことができ、また違う結果をもたらすこともできる。この実施例では、目的は無線資源ナップザック内の種々のフレームを平等に充填することである。これら2つの実施例に加えて、例えば、次のフレームに続く前に各フレームに最も重要なパケットを2個ずつ一度に置くなど、それらの中間の形式を呈示することができる。
【0043】
種々の多元接続方法は、無線資源ナップザックの詰込みの最適化に関してそれぞれ特別の要件を課す。TDMAシステムでは動的最適化方法を用いるのが有利であり、その場合には一度に無線資源ナップザックの1つのフレームが考察され、そのフレームに対応する送信バッファから、いまだ置かれていなくて最高の重要度値を有するそれ自身の送信バッファ内の第1パケットが選択され、次の目的はそれに最も適するスロットを発見することである。目的は、無線資源ナップザックの次のフレームの考察を続ける前に考察対象フレームを満たすことであり、考察対象フレームは、同時スロットにパケットを置くことに関する規則を破らずにそのフレームの空いているスロットに置くことのできるフレームに対応する第1パケットが見つからない場合に限って、不完全なままにしておかれる。いまだ置かれていないパケット、または考察対象フレームに対応する送信バッファ内のいわゆる最も重要なパケット、のために適当なスロットを見つけることができないならば下記の動作のうちのいずれか1つが選択される。
【0044】
a)少なくとも1つの他のフレームの同時スロットにすでに置かれているパケットが、不適当なパケットに変わっても、すなわちそれについて計算されるC/I値がしきい値より低くなっても、最も重要なパケットが考察対象フレームのスロットに置かれる。全ての同時パケットがしきい値より上回るC/I比の値を得るように、他のフレームの不適当なパケットに変わったパケットは、それらに対応する送信バッファ内に見つかる重要度値のより低いパケットと置き換えられる。
【0045】
b)少なくとも1つの他のフレームの同時スロットにすでに置かれているパケットが、不適当なパケットに変わるとしても、最も重要なパケットは考察対象フレームのスロットに置かれる。その他のフレームの、不適当なパケットに変わったパケットはそのままにしておかれる。この選択肢は、選択肢a)より大きな効用関数値を与える場合に用いられる。
【0046】
c)最も重要なパケットは考察対象フレームのどのスロットにも置かれなくて、同じ送信バッファから次に高い重要度値を有するパケットを置こうとする試みがなされる。この選択肢は、選択肢a)あるいはb)より高い効用関数値を与える場合に用いられる。
【0047】
あるパケットまたは他のパケットについて計算されるC/I比の値がしきい値より下がる結果になるとしても選択肢a)またはb)に従ってそのパケットをスロットにおく必要がある場合には、しきい値以下にとどまっているパケットのコピーを同じフレームの他のスロットまたは(可能ならば)同じ無線資源ナップザックの他のフレームのスロットに置くことが有利か否か検討することができる。この検討は、次のパケットを考察する前に有利に行われる。同じパケットの2個以上のコピーが到着することが受信側装置に信号されると、受信側装置は、C/I比が低くても全てのコピーを受け取って、このコピーで入手した余分の情報を用いてパケットの内容を復元しようと試みることができる。
【0048】
図9は、図6および7を参照して前述した方法を流れ図の形式で示している。最初の状態650は、新しい無線資源ナップザックの詰込みを始めることを意味する。状態651では、一定のフレームに属する、いまだ置かれていなくて、かつそれを置こうとする試みがいまだなされていない最も重要なパケットが選択される。最も容易な経路は状態652、653、656および655を通る経路であり、この場合、パケットは、このパケットが他の同時パケットのC/I値をしきい値より低下させることのない単一のスロットの中に置かれる。状態653で適当なスロットが数個見つかったならば、それらのスロットについて効用関数の値が状態654で計算され、それらの中から、効用関数の値を最も大幅に増大させるスロットが選択される。しかし、状態652では、適当なスロットが見つからないこともある。次に状態657では、不適当なスロットのうちの、効用関数の値を最も大幅に増大させるスロットが見いだされ、状態658では、すでに置かれている他の同時パケットを置換しようとする試みがなされる(図7を参照)。同時パケットの交換の成功は、状態659を介して状態658から状態655へ移行することを意味するけれども、状態658で適当なパケットが全く見つからなければ、状態662で、考察対象パケットをどのようにかして置いたならば効用関数の値が増大するか否か試すことができる。否定の判定は、状態663で考察対象パケットをフレームに全く置くことができないことを意味し、この場合にはプロセスは新しいパケットを選択するために始めに戻る。肯定の判定は、状態664で、しきい値より低いC/I値を有する同時パケットがどのようにかして何らかの利益を受信側装置に与えることができるということを頼りに、パケットをスロットに置くことを意味する。もしプロセスが状態651に、あるいは状態664から新しいパケットの選択へ戻ったならば(状態655を介し、また場合によっては状態660および661を介して)、最後に置かれたパケットのコピーが選択され、またはそれと同時に送信されるべき、しきい値より低いC/I値を有する他のパケットのコピーが選択される。全てのフレームが処理されると、プロセスはこの無線資源ナップザックに関しては状態665で終了する。
【0049】
CDMAシステムの特徴は、同じフレームの全てのパケットが同時であること、あるいはそれらが相互に干渉を引き起こすという事実に起因していて、フレーム同士ではなくてフレーム内での最も本質的な両立性(compatibility)および非両立性(incompatibility)が検討される。特にセル同士の部分的重なり合いが無視できる程度であれば、単一のフレームでも無線資源ナップザックとして用いることができる。そのような場合には、パケットは、重要度値に応じた順序で、最高重要度値のパケットが最初に、フレームに対応する送信バッファからフレームに置かれる。パケットを置くこととの関係で、1パケットを置いた後に常にそれまでのパケットの最適送信電力を決定することにより(この場合にはその決定は後にいっそう詳しく説明する方法で)、あるいはそれ自体としては公知の何らかの方法により、送信電力を直ちに選択することが可能である。無線資源ナップザックの最適詰込み順序を発見する方法は、送信電力を選択する方法に依存しないけれども、何らかの方法で電力が選択されれば、それらの電力を考慮に入れて最適詰め込み順序を発見することは常に可能である。最善の結果は、効用関数の最大化に基づく本発明の方法で、詰め込み順序および送信電力選択の両方を最適化することによって得られる。
【0050】
置かれるべき一定のパケットに対して、その時点までに置かれた全てのパケット(最後のパケットも含む)について計算されるC/I比の値がしきい値を上回る可能性があるような送信電力を見つけることができないことがわかるまで、パケットが置かれ続ける。その時、最後のパケットは不適パケット(unsuitable packet)と呼ばれ、試験は、送信バッファの中のいまだ置かれていないパケットの、C/I比の決定されたしきい値が不適パケットのC/I比のしきい値より低いようなパケットに向けられる。パケットは重要度値により決まる順序で全時間フレームの中に置かれたので、不適パケットをどの1つのパケットと置換することも有益ではない。なぜならば、不適パケットに取って代わるパケットの重要度値は必然的にもっと低いからである。むしろ、重要度値を考慮に入れて、フレーム全体にわたって計算される効用関数の値を、不適パケット1つだけが増大させるよりも高度に増大させるような他の少なくとも2個のパケットを不適パケットの代わりとする方が良い。いまだ置かれていないパケットが送信バッファに残っていなくなるか、あるいは、新しいパケットを置いてもフレーム全体にわたって計算される効用関数の値がそれ以上増大しなくなったときに、フレームの充填は終了する。
【0051】
CDMAシステムでは全てのセルが同じ周波数を有するので、完全にまたは部分的に互いに重なり合うセルでも、また互いに接するセル同士の境界領域でも、より多くの基地局からのフレームが無線資源ナップザックに取り込まれるときに相当の利点が達成される。上記の方法は第1フレームの詰め込みに適用され、その後に、無線資源ナップザックのすでに詰め込まれているフレームへの詰め込みの効果を考慮しながら無線資源ナップザックの次のフレームが同様に詰め込まれる。考察対象フレームの詰め込みの時に一定のパケットを置くと同じフレームまたはすでに完全に詰め込まれているいずれかのフレームでいずれかのC/I比の値がしきい値より低下することになるならば、TDMAの実施例a)、b)およびc)に関して前述した方法が適用される。
【0052】
ここで、あるパケットを同時スロットの中に置くことができるか否かということに関して、C/I比のしきい値は、パケットがその宛先に確かに届くことになると考えられるC/I比の従来技術の目標レベルと同じではないということを観察しなければならない。C/I比のしきい値は従来技術で知られていた目標レベルより低くなる可能性がある。あるパケットが非常に低い重要度値を有するとき、パケットは、最適化アルゴリズムの作用により、得られるC/I比が目標レベルよりあまりに低いためにそのパケットの受信が1回の動作では実際上不可能であるようなスロットに入ることができる。しかし、ARQ方式の故に、受信側装置は受信時にエラーを含んでいたバージョンも蓄積し、受信取ったパケットの全てのバージョンを使ってその内容を復元するが、受信側装置がパケットを数回受信すると、1回の送信毎に計算されるC/I比が各回について目標レベルより相当低かったとしても受信側装置はそれをたまたま正しく復元できるということがあり得る。重要度値が低く定められたパケットは再送に対応する遅延を伴ってその宛先に届くことになる。しかし、同時に、そのような重要な値を与えることによってねらいの目的を満たすように無線資源を使用することができるように、C/I比に関してもっと有利だったスロットで、もっと短い遅延でもっと重要なパケットを送信することができた。
【0053】
ダウンリンク・フレームを備える無線資源ナップザックの最適詰め込み順序を発見する別の方法について次に説明する。この方法では、送信すべき全てのパケットが、それに従って他の基地局からの同時送信が許容されるいわゆる許容カテゴリ(tolerance catesories) に分割され、それについて計算されるC/I比の値は一定しきい値よりは下がらない。この許容カテゴリ試験では基地局は一定の電力で送信すると仮定するが、実際にはそうではない。例えば、許容される最大送信電力を前述の一定電力として選択することができる。例として、無線資源ナップザックが3つの基地局のダウンリンク・フレームを備える場合について考えることができる。第1許容カテゴリは、他のどの基地局からの同時送信も許容しない基地局1からのパケットを備える。第2および第3の許容カテゴリは、これに対応して、他の同時パケットを許容しない第2および第3の基地局からのパケットを備える。第4の許容カテゴリは、基地局1からのパケットのうちの、基地局2からの同時送信だけを許容するパケットと、基地局2からのパケットのうちの、基地局1からの同時送信だけを許容するパケットと、を備える。これに対応して、基地局1および3のパケットと、基地局2および3のパケットとにそれぞれ関連するように第5および第6の許容カテゴリを定義することができる。第7の許容カテゴリは、他の全ての送信を許容する全ての基地局からのパケットを備える。
【0054】
本来は、同じ許容カテゴリに属するパケットだけが無線資源ナップザックの同時スロットに置かれる。あるパケットを置くことのできる数個のスロットが見つかった場合には、もしそこにこのパケットを置けば、それまでに満たされたスロットについて計算される効用関数の値を最も大幅に増大させる結果をもたらすようなスロットが、そのパケットのために選択される。パケットが同時スロットに既に置かれているパケットの許容カテゴリと等しい許容カテゴリを有する時に、あるスロットに置くことのできるパケットが全く見つからなければ、そのあるスロットの中に、同時スロットにすでに置かれているパケットの許容カテゴリとなるべく多く交差するような許容カテゴリを有するパケットを置くことが目的となる。例えば、第4および第7許容カテゴリは、前の段落の例における交差許容クラスである。
【0055】
次に、同時スロットに対する種々のパケットの適当性を定義し、ダウンリンク・フレームを備える無線資源ナップザックの最適詰め込み順序を発見するもう一つの方法を提示する。この方法においても、送信すべき各ダウンリンク・パケットについて、それについて計算されるC/I比の値がしきい値より下がることなくパケットがどの基地局の同時送信を許容することができるかということについての推定がなされる。この方法でも、実際にはそうでなくても基地局が一定電力で送信をするということが仮定される。各パケットについていわゆる許容行列(tolerance matrix) が定義され、これはN×Nのサイズの正方行列であり、Nは無線資源ナップザックに属する同時フレームの個数である。考察対象パケット自身のフレームに対応する水平行に、許容行列は垂直列により表される他のフレームの同時送信とのパケットの両立性を表す値を含む。これに対応して、他のフレームを表す水平行は、他のフレームの同時送信との考察対象パケットおよび前述の他のフレームのパケットの同時送信の両立性を表す値を含む。最も単純な場合には、行列値は1および0であり、1は両立することを表し、0は両立しないことを表すが、0と1との間の浮動小数点数などの、他の値を用いることも可能である。
【0056】
次に実例として6個の基地局により形成されるグループを論じるが、この場合にはグループに関連する無線資源ナップザックは6個の同時フレームを含む。各パケットについて確定されるべき許容行列は6×6のサイズを持った正方行列である。特に第2の基地局のフレームに置かれるパケットを考察するが、それはこの行列において第2水平行で表される。許容行列は下記の通りであると仮定する。
【表1】
Figure 0004230577
考察対象パケットは第2フレームに置かれなければならないので、この許容行列の第2水平行において他のフレームの同時パケットとの予備的両立性(preliminary compatibility)が分かる。第2水平行は第1列、第4列および第6列(第2列は自明である)に1を含んでいるので、考察対象である第2フレームのパケットとの同時スロットの中にフレーム1,4または6からのパケットを最も有利に置くことが可能であることが分かる。第2水平行の値0は必ずしも完全な非両立性を意味するわけではないけれども、ある意味では、第3および第5のフレームのパケットを考察対象パケットと同時に現れるスロットの中に置かない方がよいという推奨を意味する。
【0057】
この場合には考察対象である第2フレームのパケットは第5フレームのパケットとは完全に両立しなくて(基地局が一定電力で送信すると仮定して)、そのことは許容行列の第5水平行が第2列に0を有するという事実から分かる。一方、許容行列において第3水平行の第2列は1を含んでおり、このことは、第2水平行の第3列に0があっても考察対象である第2フレームのパケットを第3フレームのパケットとの同時スロットの中に置くことができることを示す。しかし、第2行第3列の0は、それが考察対象である第2フレームのパケットを第1、第4または第6フレームのパケットとの同時スロットの中に置くほどには推奨できないことを意味する。
【0058】
始めに、第2フレームの考察対象パケットが第6フレームのパケットの同時スロットの中に置かれると仮定する。この時許容行列の第6行は、第2列および第6列の他に第4列にも1を有するので、第2フレームの考察対象パケットと、第6フレームの中の同時に置かれるように選択されたパケットとの他に、第4フレームのパケットもなお同時スロットの中に置かれることができることを示している。その代わりに、第1フレームのパケットと同時に現れるスロットの中に第2フレームの考察対象パケットが置かれると仮定する。この時、第1行は第1,第2,第4および第6列に1を含んでいるので、許容行列の第1水平行は、考察対象である第2フレームのパケットと、同時に置かれるように選択された第1フレームのパケットの他に、第4フレームおよび第6フレームのパケットもなお同時スロットの中に置かれることができることを示している。最後に述べた仮定は、もっと有利な置き方を表しているが、その理由は、その配置後に他のパケットを同時スロットの中に置くためのより多くの可能性が生じるからである。
【0059】
上記の理由から考察対象である第2フレームのパケットが第1フレームのパケットと同時となるように置かれることが決定され、かつ第1フレームあるいはそれに対応する送信バッファの中により多くの等しい値のパケットがあるならば、その中の最も有利なものが第2フレームのパケットの対として選択されなければならない。この選択は、第1フレームの考察対象パケットの許容行列を調べ、特にその第2行を第2フレームの考察対象パケットの許容行列の第1行と比べることによって、行われる。もっと一般的には、F番目のフレームの中のパケットとG番目のフレームの数個の利用可能なパケットとの両立性を検討するときには、G番目のフレームのパケットの許容行列のF番目の行をF番目のフレームのパケットの許容行列のG番目の行と比較する。それらの行の1の要素同士の和集合とセクションとを形成して、G番目(ここでは1番目)のフレームから、それについての1の要素の形成された和集合とセクションとの差が最も小さいパケットを選択する。例えば、第1フレームの3つのパケットが呈示され、それらについて、対応する許容行列の第2行は、第1パケットについては[111010]、第2パケットについては[110100]、第3パケットについては[110011]であると仮定することができる。第2フレームの考察対象パケットの許容行列の第1行は[110101]であるので、これらの行での1の要素の和集合およびセクションは下記の通りとなる。
・ 第1フレームの第1パケットに関しては[111111]および[110000]
・ 第1フレームの第2パケットに関しては[110101]および[110100]
・ 第1フレームの第3パケットに関しては[110111]および[110001]
【0060】
和集合ベクトルとセクション・ベクトルとの差を計算すると、次の結果が得られる。
・ 第1フレームの第1パケットに関しては[001111]
・ 第1フレームの第2パケットに関しては[000001]
・ 第1フレームの第3パケットに関しては[000110]
これは、和集合とセクションとの差が第1フレームの第2パケットに関して最小である(差ベクトルに含まれる0でない要素が最も少ない)ことを示しており、このことは、考察対象である第2フレームのパケットを第1フレームの第2パケットと同時に置くのが有利であることを意味する。
【0061】
パケットを無線資源ナップザックのフレーム内のスロットに置くために上記のどの方法を使ったかに関わらず、その配置ステップ後に、全ての配置済みパケットを送信するために使用する送信電力を最適化することができる。次に、本発明を適用するセルラー無線システムにおける無線資源の利用に関して最適に送信電力を制御する方法を説明する。その説明では図10を参照する。
【0062】
パケットをフレームの中に置く上記の方法と同じタイプの効用関数の最大化に基づいて電力制御を行うが、電力制御では同時スロットに置かれたパケットだけについて効用関数を一度に定義するのが良く、それらのパケットは同時に送信されて相互干渉を引き起こす。効用関数は無線資源ナップザックの、同時スロットを含む部分について定義され、その効用関数の値はパケットについて計算されるC/I比の値と、例えばこのパケットの重要度値など、あり得る他の要素とに依存する。この効用関数は、パケットの最適配置順序を発見するのに使われたのと同じであっても良い。この場合にも、最大値ではなくて最小値が発見されるように効用関数を定義することができるが、説明を単純にするために、極値を探すことを単に最大化として説明する。
【0063】
電力制御の第1ステップ601では、それについて計算されたC/I比の値が従来技術で知られている目標レベルより大きい(このことは、そのパケットがその宛先に到達する確率が高いことに対応する)パケットを全部見つけだすのが有利である。ブロック602では、それらのパケットについて計算されるC/I比の値が正確に目標レベルと同じになるように、あるいはそれが僅かだけ目標レベルを上回ることとなるように、それらのパケットを送信するのに使われる電力を減少させる。ブロック601および602による大きすぎる電力のいわゆる切り詰めは本発明では必ずしも必要ではないが、それは電力消費量と不要な干渉とを減少させることができる。
【0064】
次にブロック603で考察対象フレームの全同時スロットについてC/I比の値、またはC/I比に依存する関数fの値、を計算することによって最適化サイクルが開始され、その値にパケットの重要度値で重みが付けられ、次にブロック604で、計算された値が最も小さいパケットが選択される。効用関数の値は、ブロック605において現在の送信電力で計算されると共に、選択されたパケットの送信電力がオペレータによるあるパラメータで増大するようにブロック606でも計算される。ブロック607で、選択されたパケットの電力を増やすと効用関数の値が増大することが認められるならば、ブロック608で、その増大した送信電力が選択されたパケットのための新しい送信電力として設定される。次に、サイクルが始めから出発する、すなわち考察対象である同時スロットの全てのパケットについてC/I比の値が計算され、あるいはC/I比に依存する関数fの値が計算されてそのパケットの重要度値で重み付けされ、そして計算された値が最小であるようなパケットが送信電力を増大させる動作の対象となるように選択され、どのパケットの増大された送信電力も効用関数の値をそれ以上増大させなくなるまでこのサイクルが反復され、これで最適送信電力が見いだされて、それらのパケットについての電力制御が終了する。もしブロック607で、選択されたパケットについての増大された送信電力が効用関数の値を増大させないことが分かったならば、ブロック609および610に従って動作はブロック603で計算された次に小さな値を有するパケットの検討に移行する。
【0065】
図10の最適化は、相互に干渉し合うパケットが置かれている全ての同時スロットに対して無線資源ナップザックにおいて実行される。送信電力を制御するときには、システムの仕様が当然に基地局および端末の両方の送信電力に一定の上限および下限を課すので、もしこの最適化がその範囲外の結果を与えるならば、それは対応する限界値と置換されなければならない。
【0066】
上記の試行方法を用いる代わりに、最適化理論に基づく計算方法によって送信電力の制御を行うことができ、その計算方法では、変数は同時スロットに置かれたパケットの送信電力値であり、最大化されるべき効用関数は、送信電力と距離減衰とに基づいてパケットについて計算されるC/I比に依存する関数である。多変数関数の極値を発見するのに適した方法はいわゆる共役傾き法であるが、この方法は、最適化するべき大きな無線資源ナップザックがある場合には非常に大きな計算能力を必要とする。上記の電力制御方法のもう一つの変形は、決定の根拠として、C/I比の代わりに、例えば、信号対雑音比、推定されたビット誤り率(BER)またはフレーム誤り率(FER)、あるいはその他の無線接続の品質を表す因子を使用する方法である。電力制御に関する計算でも、前述の場合と同様にC/I比(または他の対応する因子)にトップ・カッターおよびボトム・カッターを用いることが可能である。
【0067】
本発明は、無線資源ナップザックにおけるパケットのスロットの中への配置と、送信されるパケットの送信電力制御とが別個のプロセスであることを必要としなくて、それらを同時に実行しても良い。例えば、あるパケットをあるスロットの中に置くと目標レベルより大きなC/I比がそのパケットに与えられることになる場合、このパケットの送信電力を同時に減少させても良い。1つのパケットが置かれる毎に、その後に送信電力を最適化するための全計算サイクルを行っても良いし、またK番目のパケット(このKは1より大きい整数である)が置かれたときに常に全計算サイクルを行っても良いが、送信電力最適化を頻繁に行うほど、より多量の計算を行うことが必要になる。
【0068】
最適化アルゴリズムとパケットの送信におけるトラフィック変動とに起因する遅延が変化して、そのことが実時間サービスを実現する場合には非実時間サービスの場合より大きな問題を引き起こすとしても、本発明は、スロットの中に置かれるパケットが表すサービスが実時間接続を必要とするのか、それとも非実時間接続を必要とするのかということに何らの制約も課さない。次のナップザックの詰め込みに関する情報を端末とネットワークの静止した部分との間で、前のナップザックのパケットの送受信中にシグナリングとして送信できるようにアップリンク・フレームを含む無線資源ナップザックが時間に関して長くなければならないとしても、本発明はアップリンクおよびダウンリンクの両方のフレームを含む無線資源ナップザックの最適化を行うのに適している。
【0069】
本発明の最適化方法は、あるベアラーにとっては、システム全体としての利益に関してこのベアラーに関連するパケットを送信することに何の効用もなくてこのベアラーがドロップ(drop) される、すなわち基地局と端末装置との接続が切断される、という結果をもたらす可能性がある。例えば、ある端末が不利な場所にあり(この端末は大きな干渉を受ける)、そのベアラーに関連するパケットが大きな重要度値を持っていないときに、この様な事態が起こり得る。前述のドロップするということは、システム全体としての利益に関してある新しいベアラーを形成しても無益であるという事態になぞらえることができる。しかし、本発明により、ドロップされることになるベアラーの選択と新しいベアラーの拒絶とは、充分な根拠に基づいて行われるのであって、従来技術システムのように気ままに行われるのではない。例えば、長時間にわたってエラー無しにパケットを送信することのできないベアラーに関連するパケットに以前より大きな重要度値が与えられることとなるように、無意味なドロップを減らすことができ、最適化アルゴリズムはパケットがその宛先にもっと確実に到達することを可能にするスロットにそのパケットを置こうと試みる。
【0070】
次に、端末と基地局との間、並びに基地局と基地局コントローラまたは最適化を実行するその他の装置との間に本発明が必要とするシグナリングについて説明する。端末は、この端末と基地局との間での減衰を記述する測定データと、アップリンク送信バッファ内のパケットに関する情報とを基地局に送らなければならない。端末がダウンリンク・フレームの正しいスロットでダウンリンク通信メッセージを受信すると共にアップリンク・フレームの正しいスロットでアップリンク通信メッセージを送信できるように、基地局はスロットの割当てに関する情報を端末に送信する。基地局は、送信バッファ内のパケットに関する情報と、搬送波電力と干渉電力との測定値および計算値に関するデータとを基地局コントローラに送信する。さらに、基地局は、各端末および基地局に関係する送信電力についての制約に関する情報を基地局コントローラに送信することができる。基地局コントローラは、セル内の瞬時負荷状態を検出することもできる。基地局コントローラまたは最適化を実行する他の装置は、端末と基地局との間の無線接続の相互依存性と、それら同士の干渉を引き起こす関係とのテーブルを維持する、すなわち各接続においてどのように異なる送信電力および減衰要因が現れるか、に関するテーブルを維持する。
【0071】
基地局コントローラが最適化アルゴリズムを実行する責任を負っていると仮定する場合、基地局コントローラは所要の計算能力および記憶容量を持っていなくてはならず、それは、それ自体としては公知のマイクロプロセッサおよび記憶回路および/または大容量記憶装置を備える。基地局と基地局コントローラとの間でシグナリングを実行するための手段はそれ自体としては従来技術のセルラー無線システムで公知であり、本発明はそれらに対する次のような機能の変更を必要とするに過ぎない。すなわち、基地局のシグナリング手段は、送信すべきパケットとそれらの重要度値とに関する情報を基地局コントローラに送信するようにプログラミングされなければならず、基地局コントローラのシグナリング手段は、この情報を、基地局コントローラの、基地局から送られてきた情報を蓄積するための記憶手段と、この情報を処理するための少なくとも1つのマイクロプロセッサと、を含む部分に送るようにプログラミングされなければならない。最適化アルゴリズムは、マイクロプロセッサにより処理されるのに適する命令の形式でプログラム・メモリに蓄積され、最適化を実行するマイクロプロセッサはそのプログラム・メモリを利用することができる。最適化の結果として得られたパケット送信順序は基地局コントローラのメモリに一時的に蓄積され、そこから対応するデータをシグナリング手段により基地局に送信することができる。さらに、基地局と端末との間のそれ自体としては公知のシグナリング手段は、当該端末により受信されるべきダウンリンク・パケットがどのスロットで送られるのか、また当該端末がアップリンク・フレームのどのスロットで送信できるのかに関する情報を各端末に送信する。もし最適化が基地局コントローラ以外の他の装置で実行されるのであれば、基地局コントローラとの関係で述べた手段は当然に前述の他の装置に置かれていなければならない。
【0072】
本発明の修正は、第1の基地局を通してあるいは第2の基地局を通して、あるいはその第1および第2の基地局の両方を通してパケットを送信できる場合のセルラー無線システムにおける送信側基地局の選択である。最後に述べた選択肢すなわちマクロ・ダイバーシティは、主としてCDMAを適用するシステムで問題になるものであり、この場合には端末の受信装置は、同じ信号の多数のマルチパス成分を受信すると共に、元のメッセージを復元するために最大電力を持った少なくとも2つのマルチパス成分を使用するように構成される。選択肢としての両方の基地局(または、選択肢として2つより多い基地局があるならば、その全ての基地局)が無線資源利用に関して同じグループに属するか、あるいは、それらの送信フレームが同じ無線資源ナップザックに属するならば、最適化アルゴリズムは、送信されるパケットが唯一のフレームに置かれるかあるいは同時に少なくとも2つのフレームに置かれる全ての場合を別個に計算して、それらの選択肢の中から効用関数の最大化に関して最も有益な選択肢を1つ選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用することのできるセルラー無線システムの一部分を示す図である。
【図2】無線インターフェースで使用されるフレームを示す図である。
【図3】図1に示されるTDMAセルラー無線システム部分での使用に適する無線資源ナップザックを示す図である。
【図4】CDMAセルラー無線システムでの使用に適する無線資源ナップザックを示す図である。
【図5】CDMAセルラー無線システムでの使用に適する別の無線資源ナップザックを示す図である。
【図6】無線資源ナップザックに詰め込みを行う方法を示す。
【図7】無線資源ナップザックに詰め込みを行う別の方法を示す。
【図8】無線資源ナップザックに詰め込みを行う第3の方法を示す。
【図9】送信電力を選択する方法を示す。
【図10】送信電力を選択する方法を示す図である。
【符号の説明】
100…無線システム
204,205,206…パケット
200,401,402,403…フレーム
300,400…無線資源ナップザック
BS…基地局

Claims (35)

  1. 無線システム(100)で送信すべきパケット(204、205、206)の相互送信順序生成方法であって、送信されるデータは送信のためのパケットとして形成され、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置(BS)が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるような方法において、該方法は、
    各前記送信側装置によって前記パケットが同時に送信される時の、計算により得ることのできる、ある前記送信側装置により送信される搬送波電力およびこれにより生じる他の前記送信側装置にとっての干渉電力に依存する値を変数として有する第1の効用関数を生成し、
    前記送信すべきパケットの相互送信順序、計算により得られる前記第1の効用関数の極値に対応して決定することを特徴とする方法。
  2. 無線システムで送信すべきパケット(204、205、206)の相互送信順序生成方法であって、送信されるデータは送信のためのパケットとして形成され、ある送信側装置が少なくとも2つの受信側装置に実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信を行い、前記送信側装置から前記少なくとも2つの受信側装置のうちの前記第1の受信側装置に送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの受信側装置のうちの第2の受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記送信側装置から前記第2の受信側装置に送信される搬送波電力は、前記第1の受信側装置に対しては干渉電力であるような方法において、該方法は、
    前記送信側装置によって前記パケットがある送信順序で送信される時の、計算により得ることのできる無線接続の品質を表す値に依存する値を変数として有する第1の効用関数を作り、
    前記送信すべきパケットの相互送信順序、計算により得られる前記第1の効用関数の極値に対応して決定することを特徴とする方法。
  3. 前記第1の効用関数を生成するために、
    前記無線接続の品質を表す、計算により得ることのできる値に依存する値を変数として有する第1の関数を生成し、
    前記送信すべきパケットについて計算された前記第1の関数の値に依存する値を変数として有する第2の関数を生成し、前記第2の関数が前記第1の効用関数であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記無線接続の品質を表す前記値は、C/I比、S/N比、S/(I+N)比のうちの1つであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の効用関数は、計算により得ることのできる前記無線接続の品質を表す値の和および計算により得ることのできる前記無線接続の品質を表す値の積のうちの1つであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 前記第1の効用関数の値はさらに前記パケットの重要度値に依存し、前記重要度値は前記パケットの重要度の相互の順序を示すことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  7. パケットの前記重要度値は、前記パケットが関連している無線接続で観測されるサービスの品質、前記パケットが関連している無線接続での値付け、前記パケットを送信するときに生じた遅延のうちの少なくとも1つに基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 計算により得ることのできる前記無線接続の品質を表す前記値に対する前記第1の効用関数の依存性は、一定の最大値より高い前記無線接続の品質を表す値を前記最大値と置換するという制約を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  9. 前記無線接続の品質を表し、計算により得ることのできる値に対する前記第1の効用関数の依存性は、一定の最小値より低い前記無線接続の品質を表す値を前記最小値と置換するという制約を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  10. 前記第1の効用関数は、無線システムの負荷状況に応じて別様に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記パケットの相互の構成は各フレーム(200、401、402、403)について実行され、前記第1の効用関数の値を計算する根拠となる前記パケットを含む無線資源ナップザック(300、400)は、前記第1の送信側装置のための少なくとも1つのフレームと前記第2の送信側装置のための少なくとも1つのフレームとを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記無線資源ナップザック(300、400)に含まれるフレームの個数は、動的に変化することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記パケットを許容カテゴリに分け、
    前記送信すべきパケットを相互の順序に構成し、前記順序では同じ前記許容カテゴリに属する少なくとも2個のパケットが同時に送信されるように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  14. 前記第1の送信側装置により送信されるべき少なくとも1つのパケットについて、他の送信側装置のどの同時送信を前記パケットが許容できるかを記述する許容行列が形成され、
    前記送信すべきパケットは、その同時送信を前記許容行列に従って許容することができるような他の送信側装置により送信される他のパケットと同時に送信されるように送信順序が決められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 無線システム(100)で送信されるべきパケット(204、205、206)の送信のために使われる送信電力選択方法であって、送信されるデータは送信のためのパケットとして形成され、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置(BS)が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるような方法において、該方法は、
    同時に送信されるべく構成された前記パケットについて計算により得ることのできる前記搬送波電力および前記干渉電力に依存する値を変数として有する第2の効用関数を生成し、
    同時に送信すべき前記パケットの送信電力を、計算により得られる前記第2の効用関数の極値に基づいて選択することを特徴とする方法。
  16. 前記第2の効用関数は、同時に送信されるべく構成された前記パケットだけについて計算される、最適な相互送信順序を選択するために使われる第1の効用関数と同じであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記送信すべきパケットが相互送信順序に構成されるとき、前記第2の効用関数の値の計算と、前記第2の効用関数に基づく送信電力の選択とは、常に、無線資源ナップザックに前に置かれた他のパケットと同時に送信されるべくK個の新しいパケットが置かれたときに行われるようになっており、その整数KはK≧1であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  18. 前記送信すべきパケットが相互送信順序に構成されるとき、前記第2の効用関数の値の計算と、この効用関数に基づく送信電力の選択とは、相互に同時に送信されるべきパケットが全て選択されたときに行われることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  19. 基地局(BS)と端末とを備える無線システム(100)であって、前記基地局と前記端末とは、送信されるデータを送信のためのパケット(204、205、206)として形成し、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるような無線システムにおいて、該システムは、
    各前記送信側装置によって前記パケットが同時に送信される時の、計算により得ることのできる、ある前記送信側装置により送信される搬送波電力およびこれにより生じる他の前記送信側装置にとっての干渉電力に依存する値を変数として有する第1の効用関数を計算するための手段と、
    前記送信すべきパケットの相互送信順序、計算により得られる前記第1の効用関数の極値に対応して決定するように前記送信側装置に指示を与えるための手段と、
    前記送信側装置が、前記送信すべきパケットの前記決定された相互送信順序で前記パケットを受信するように前記受信装置に指示を与えるための手段とを有することを特徴とする無線システム。
  20. 基地局(BS)と端末とを備える無線システム(100)であって、前記基地局と前記端末とは、送信されるデータを送信のためのパケット(204、205、206)として形成するとともに、送信すべき各パケットのための送信電力を選択するようになっており、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるような無線システムにおいて、該システムは、
    同時に送信されるべく構成された前記パケットについて計算により得ることのできる前記搬送波電力および前記干渉電力に依存する値を変数として有する第2の効用関数の値を計算するための手段と、
    計算により得られる前記第2の効用関数の極値に対応するような送信電力を、前記パケットのために選択するように前記送信側装置に指示を与えるための手段とを有することを特徴とする無線システム。
  21. 基地局コントローラ(BSC)をさらに有し、前記効用関数の値を計算するための手段と前記送信側装置に指示を与えるための手段とは前記基地局コントローラに置かれていることを特徴とする請求項19または20に記載の無線システム。
  22. 基地局(BS)と端末とを備える無線システム(100)における基地局コントローラであって、前記基地局と前記端末とは、送信されるデータを送信のためのパケット(204、205、206)として形成し、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるような基地局コントローラにおいて、該基地局コントローラは、
    各前記送信側装置によって前記パケットが同時に送信される時の、計算により得ることのできる、ある前記送信側装置により送信される搬送波電力およびこれにより生じる他の前記送信側装置にとっての干渉電力、に依存する値を変数として有する第1の効用関数を計算するための手段と、
    前記送信すべきパケットの相互送信順序を、計算により得られる前記第1の効用関数の極値に対応して決定するように前記送信側装置に指示を与えるための手段と、
    前記送信側装置が、前記送信すべきパケットの前記決定された相互送信順序で前記パケットを受信するように前記受信側装置に指示を与えるための手段と、を有することを特徴 とする基地局コントローラ。
  23. 無線システム(100)で送信すべきパケット(204、205、206)の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、送信されるデータは送信のためのパケットとして形成され、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置(BS)が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるようなコンピュータプログラムにおいて、
    各前記送信側装置によって前記パケットが同時に送信される時の、計算により得ることのできる、ある前記送信側装置により送信される搬送波電力およびこれにより生じる他の前記送信側装置にとっての干渉電力、に依存する値を変数として有する第1の効用関数を生成するステップと、
    前記送信すべきパケットの相互送信順序を、計算により得られる前記第1の効用関数の極値に対応して決定するステップと、
    を備えることを特徴とする相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  24. 前記第1の効用関数を生成するために、
    前記無線接続の品質を表す、計算により得ることのできる値に依存する値を変数として有する第1の関数を生成し、
    前記送信すべきパケットについて計算された前記第1の関数の値に依存する値を変数として有する第2の関数を生成し、前記第2の関数が前記第1の効用関数であることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  25. 前記第1の効用関数の値はさらに前記パケットの重要度値に依存し、前記重要度値は前記パケットの重要度の相互の順序を示すことを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  26. 計算により得ることのできる前記無線接続の品質を表す前記値に対する前記第1の効用関数の依存性は、一定の最大値より高い前記無線接続の品質を表す値を前記最大値と置換するという制約を備えることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  27. 前記無線接続の品質を表し、計算により得ることのできる値に対する前記第1の効用関数の依存性は、一定の最小値より低い前記無線接続の品質を表す値を前記最小値と置換するという制約を備えることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  28. 前記第1の効用関数は、無線システムの負荷状況に応じて別様に形成されることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  29. 前記パケットの相互の構成は各フレーム(200、401、402、403)について実行され、前記第1の効用関数の値を計算する根拠となる前記パケットを含む無線資源ナップザック(300、400)は、前記第1の送信側装置のための少なくとも1つのフレームと前記第2の送信側装置のための少なくとも1つのフレームとを備えることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  30. 前記パケットを許容カテゴリに分け、
    前記送信すべきパケットを相互の順序に構成し、前記順序では同じ前記許容カテゴリに属する少なくとも2個のパケットが同時に送信されるように構成されることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュー タプログラム。
  31. 前記第1の送信側装置により送信されるべき少なくとも1つのパケットについて、他の送信側装置のどの同時送信を前記パケットが許容できるかを記述する許容行列が形成され、
    前記送信すべきパケットは、その同時送信を前記許容行列に従って許容することができるような他の送信側装置により送信される他のパケットと同時に送信されるように送信順序が決められることを特徴とする請求項23に記載の相互送信順序生成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  32. 無線システム(100)で送信されるべきパケット(204、205、206)の送信のために使われる送信電力選択処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、送信されるデータは送信のためのパケットとして形成され、実質的に同じ周波数で実質的に同時に送信する送信側装置(BS)が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第1の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記少なくとも2つの送信側装置のうちの第2の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であり、また逆に前記第2の送信側装置により送信される搬送波電力は、前記第1の送信側装置が搬送波電力を送っている受信側装置に対しては干渉電力であるようなコンピュータプログラムにおいて、
    同時に送信されるべく構成された前記パケットについて計算により得ることのできる前記搬送波電力および前記干渉電力に依存する値を変数として有する第2の効用関数を生成し、
    同時に送信すべき前記パケットの送信電力を、計算により得られる前記第2の効用関数の極値に基づいて選択するステップと、
    を備えることを特徴とする送信電力選択処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  33. 前記第2の効用関数は、同時に送信されるべく構成された前記パケットだけについて計算される、最適な相互送信順序を選択するために使われる第1の効用関数と同じであることを特徴とする請求項32に記載の送信電力選択処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  34. 前記送信すべきパケットが相互送信順序に構成されるとき、前記第2の効用関数の値の計算と、前記第2の効用関数に基づく送信電力の選択とは、常に、無線資源ナップザックに前に置かれた他のパケットと同時に送信されるべくK個の新しいパケットが置かれたときに行われるようになっており、その整数KはK≧1であることを特徴とする請求項32に記載の送信電力選択処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  35. 前記送信すべきパケットが相互送信順序に構成されるとき、前記第2の効用関数の値の計算と、この効用関数に基づく送信電力の選択とは、相互に同時に送信されるべきパケットが全て選択されたときに行われることを特徴とする請求項32に記載の送信電力選択処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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