JP4228472B2 - 紙の繊維配向特性を予測する方法および装置 - Google Patents

紙の繊維配向特性を予測する方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、オントップタイプの抄紙機の長網部に適用されるワイヤーの速度と原料の速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数から紙の表裏の繊維配向特性を予測する方法及びこの方法を実施するのに好適な装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙の繊維配向特性は、紙の諸性質を左右する非常に重要な性質である。紙の力学的性質や寸法変化量などの性質が紙の縦と横方向によって異なることが、印刷や加工工程で見当ズレや皺などのトラブルを起こす原因の1つとなっている。さらに、印刷用紙やコピー用紙等は、搬送、定着他の工程において紙の表裏で異なる処理履歴を受けるので、表裏で異なる変形を起こしカールやねじれなどのトラブルが発生する原因となる。従って、このように紙の表裏で異なる処理を受ける紙は、1枚の紙の裏表で別々に繊維配向特性を考慮する必要がある。繊維配向特性は紙を構成するパルプ繊維が、紙の層構造の中でどの方向にどの程度方向性をもって配列しているかを示す指標であり、抄紙機のワイヤーパート上の水分が多く流動性の高い条件において、ワイヤーと原料との間に生じる相対速度差に関係している。
【0003】
紙の表裏の繊維配向特性を測定する方法としては、超音波法、マイクロ波法および実際に繊維の配列方向等を観察する方法などを利用することが可能であるが、どの方法も一旦巻き取りになったものからサンプリングをした後、シートを表裏2層に分割してそれぞれの層を測定するため、目的の繊維配向特性を持った紙を製造するためには操業条件を変更してからその結果が出るまで1時間程度の時間遅れが生じ、迅速な対応が出来ない。
そのため、オンラインで走行する紙の繊維配向特性を測定する方法として、光の反射を利用して紙表面の繊維配向特性を測定するもの(特許2878232号公報)や紙表面の画像から直接繊維の配列状態を測定するもの(特開平5−33285号公報)などが開発されている。しかし、これらの方法では繊維配向特性の測定を迅速に行うことが可能となるが、紙に目的とする繊維配向特性を付与する為には操業条件を様々に変えて最適条件を探らなくてはならない。大型・高速のマシンの場合、これらの測定方法を用いても調整時間が多く必要であり、繊維配向特性を管理しようとすると製品ロスが非常に大きくなり、操業効率が著しく低下するため、早急に新規の予測、管理方法を開発することが求められてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来紙の表裏の繊維配向特性を別々に測定するために非常に手間と時間を有したという欠点を克服し、抄造中の製品の表裏の繊維配向特性を迅速に、また、簡便に予測する方法とそれを実施するための装置を提供することを課題としている。
【0005】
本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、製紙用パルプ原料を主成分とする原料を用いて、オントップタイプの抄紙機で紙を製造する場合において、原料特性や操業条件が同じであれば、製造した紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性は、ヘッドボックスからワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度とボトムワイヤーの速度に左右され、更にトップワイヤー面の繊維配向特性は、トップワイヤーユニットに入るときのワイヤー上パルプ原料の速度とトップワイヤーの速度に左右されることを見出し、これらの速度を変数とする媒介変数と繊維配向特性との関係を予め求めておくことにより、製造する紙の表裏の繊維配向特性を予測することができることを究明し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、製紙用パルプを主成分とするパルプ原料を用いて、ワイヤーパートがオントップフォーマである抄紙機により紙を製造する際に、
ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と、ボトムワイヤーの速度と、トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と、トップワイヤーの速度とを検出するステップと、
前記ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と前記ボトムワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数A、及び前記トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と前記トップワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数Bを算出するステップと、
所定の原料特性と操業条件毎に、前記媒介変数Aに対応する製造される紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性と、前記媒介変数Bに対応する製造される紙のトップワイヤー面の繊維配向特性を予め特定して、これらの媒介変数と繊維配向特性の関係を予め記録しておくステップと、
前記予め記録された媒介変数と繊維配向特性の関係と、前記速度検出により算出した媒介変数A及び媒介変数Bを用いて、製造した紙の繊維配向特性をトップワイヤー面とボトムワイヤー面に関して別々に予測するステップと、
により紙の表裏の繊維配向特性を予測する方法である。
【0007】
本発明の第2は、前記媒介変数A及び媒介変数Bは、次式によって表されることを特徴とする第1の発明に記載の紙の繊維配向特性を予測する方法である。
媒介変数A = |(Vp1−Vw1)×α/Vw1| …(1)
媒介変数B = |(Vp2−Vw2)×α/Vw2| …(2)
但し、上式中の各記号は下記により定義する。
p1 ;ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度
w1 ;ボトムワイヤーの速度
p2 ;トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度
w2 ;トップワイヤーの速度
α ;定数
【0008】
尚、繊維配向特性を表現する方法(指標)としては色々あるが、本発明において上記の媒介変数A及びBから直接予測するものは、紙の層構造の中で、原料の流れ方向であるマシン方向(縦・MD)とクロスマシン方向(横・CD)にどの程度の比率で繊維が配列しているかを示す指標である繊維配向の縦横比(MD/CD)である。
【0009】
本発明の第3は、前記媒介変数と繊維配向特性の関係を予め特定し記録しておくステップとして、所定の原料特性と操業条件毎に、前記媒介変数Aに対応して、製造した紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性を予め測定し、更に前記媒介変数Bに対応して、製造した紙のトップワイヤー面の繊維配向特性を予め測定することにより、これらの媒介変数と繊維配向特性の関係を予め特定し記録しておく方法を用いることを特徴とする第1の発明または第2の発明のいずれかに記載した紙の繊維配向特性を予測する方法である。
【0010】
本発明の第4は、ワイヤーパートがオントップフォーマである抄紙機において、ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と、ボトムワイヤーの速度と、トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と、トップワイヤーの速度とを検出する速度検出器と、該速度検出器からの速度信号により、前記ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と前記ボトムワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数A、及び前記トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と前記トップワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数Bとを算出する演算手段と、該演算手段による演算結果を出力する出力手段と、所定の原料特性と操業条件毎に、前記媒介変数Aに対応する製造される紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性と、前記媒介変数Bに対応する製造される紙のトップワイヤー面の繊維配向特性を予め特定して、これらの媒介変数と繊維配向特性の関係を予め記憶しておく記憶手段と、
前記演算手段によって演算された媒介変数A及び媒介変数Bに対応して、前記記憶手段から、製造した紙のトップワイヤー面とボトムワイヤー面の繊維配向特性を別々に取り出して予測する予測手段と、
を備えたことを特徴とする紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置である。
【0011】
本発明の第5は、前記パルプ原料の速度とワイヤーの速度を検出する検出手段の内の少なくとも一つとして、ワイヤーまたはパルプ原料上に配置され、速度検出方式として光源にレーザー光を使用する非接触式検出器が用いられていることを特徴とする第4の発明に記載した紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置である。
具体的には、対象物の移動方向の直線上に位置する2点にレーザー光を照射し、対象物の同一箇所の通過時間遅れを測定することにより速度を算出する方式の非接触式検出器を用いると精度が良くて好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
先ず本発明に係る抄紙機上で紙の表裏の繊維配向特性を予測する方法について詳細に説明する。代表的なオントップタイプ抄紙機のワイヤーパートの構成模式図を図3に示す。図面中、1はヘッドボックス、2はボトムワイヤー、3はトップワイヤーである。このようなオントップタイプの抄紙機のワイヤーパートにおいて、紙の表裏の繊維配向特性は形成される。ワイヤーパートにおける原料速度とトップおよびボトムワイヤー速度との差をワイヤー速度で除した値と、製造された紙の表裏の繊維配向特性との関係について調べると、両者が良く相関することがわかる。
【0014】
図4は原料が一定の条件で、速度に関係する運転条件以外の運転条件が一定条件のとき、ヘッドボックスから吐出した直後の原料速度とボトムワイヤーの速度から求めたこれらの速度差に係わる媒介変数A(下記(3)式より算出)と、このとき抄造された種々の印刷用紙を厚さ方向に2層に分割し、ボトムワイヤー側の層について分子配向計(MOA−2001A、王子計測株式会社製)で測定した繊維配向特性を示したものである。
尚、この繊維配向特性はマイクロ波を用いて測定したもので、マイクロ波透過強度のクロスマシン方向(横・CD)とマシン方向(縦・MD)の比、即ちCD/MDを表示したものである。つまり、上記の分子配向計による測定では、マイクロ波を紙に照射して透過強度の分布を算出するため、繊維の配向方向 (分子の配向方向)において透過強度が弱くなり小さい数値となるので、紙の繊維配向の縦横比(MD/CD)として、透過強度の縦横比の逆数(CD/MD)を用いている。
この図4から理解出来るように、原料がワイヤー上に着地するときの原料速度とワイヤー速度から算出した媒介変数Aと、製造された紙の繊維配向の縦横比とは極めて良く相関している。
【0015】
媒介変数A = │(Vp1−Vw1)×100/Vw1│ …(3)
但し、上式中の各記号は下記により定義する。
p1 ;ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度
w1 ;ボトムワイヤーの速度
【0016】
また、図5も図4と同様の条件のとき、ボトムワイヤー上で脱水されながら搬送されてきた原料がトップワイヤーに挟まれる直前の速度とトップワイヤーの速度との差に係わる媒介変数B(下記(4)式より算出)と、このとき抄造された種々の印刷用紙を厚さ方向に2層に分割し、トップワイヤー側の層について分子配向計(MOA−2001A、王子計測(株)製)で測定した繊維配向特性(繊維配向の縦横比)を示したものである。この図より理解出来るように、原料がトップワイヤーに接したときの原料速度とトップワイヤー速度から算出した媒介変数Bと、製造された紙の繊維配向の縦横比とは極めて良く相関している。
【0017】
媒介変数B = │(Vp2−Vw2)×100/Vw2│ …(4)
但し、上式中の各記号は下記により定義する。
p2 ;トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度。
w2 ;トップワイヤーの速度。
【0018】
このように、原料が一定条件で速度に関係する運転条件以外の運転条件が一定条件のときは、原料がワイヤーに接したときの速度差に係わる媒介変数A及びBと、紙の繊維配向特性を表す縦横比とは極めて良く相関している。そこで本発明における繊維配向特性の予測方法は、上記のように、所定の原料特性と操業条件毎に、上記の式で示した媒介変数A及び媒介変数Bに対応する紙の裏側(ボトムワイヤー側)と表側(トップワイヤー側)の繊維配向特性を予め測定して記録しておき、実操業において、速度の実測から媒介変数A及び媒介変数Bを算出して、これらの媒介変数に対応する繊維配向特性を予測するものである。しかし、原料特性と操業条件が異なると上記媒介変数A及び媒介変数Bと繊維配向特性は異なる相関関係を示すので、同一の原料特性と操業条件における繊維配向特性のデータを用いて予測する必要がある。
【0019】
すなわち、抄紙機や使用原料が異なる場合はそれぞれに異なる相関関係を示す。そのため、1つの関係式から全ての紙の繊維配向特性を予測することはできないので、それぞれの条件において予め繊維配向特性を測定して相関関係を記録しておき、対応する原料特性と操業条件における相関関係を用いて予測することが必要である。
【0020】
尚、相関関係を変えてしまう原料特性の変化としては、脱水性が最も大きく影響し、例えばDIPの配合量やフリーネス等を変化させることにより、ワイヤー上での原料の流動性が変化し、速度差に係わる媒介変数と繊維配向特性の相関関係が崩れる。また、操業条件としては、特に原料濃度を変えることによりワイヤー上での流動性が変化し、原料速度の変化率が変わり相関関係が崩れる。ただし、一般的には原料特性や操業条件は抄物(品種)によりほぼ固定されているから、品種毎に相関関係を求めておくことにより本発明を実施することが出来る。
【0021】
【実施例】
以下、本発明に係わる抄紙機上で紙の表裏の配向特性を予測する装置について、一実施例を示して説明する。
図2は本発明に係る抄紙機上で紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置の配置を示す斜視図である。図面において、ヘッドボックス1からボトムワイヤー2上に吐出されるパルプ原料の上方で原料速度を測定出来る位置に、速度測定装置4が配置され、トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の上方で原料速度を測定出来る位置に速度測定装置5が配置されている。更に、これらの速度測定装置4及び5は、抄紙機幅方向に任意移動可能なトラバース装置6および7にそれぞれ取り付けられており、所定の速度で幅方向へ走査し、指定位置での連続測定が可能である。尚、このトラバース装置は設置しないで省略してもよく、その場合は速度測定装置4及び5は、設置された位置のみの速度を測定することになる。
【0022】
本実施例においては、速度測定装置5及び6は、それぞれの位置のパルプ原料速度を測定し、ボトムワイヤーとトップワイヤーの速度は、直接速度測定装置5及び6により測定しないで、抄紙機の速度制御装置に入力されている速度情報を取り込んで用いるようにしているが、前記トラバース装置がワイヤー上のパルプ原料の載っていない端部領域に移動したときに、速度測定装置4及び5によりワイヤーの速度を測定するようにしてもよい。また、別途ワイヤー駆動部の回転数等を測定してワイヤー速度を算出する方法を用いることも出来る。ボトムワイヤーとトップワイヤーの速度検出手段は、特にその機構を限定されるものではない。
また、本実施例においては、原料の速度として抄紙機幅方向に走査して得た値の全幅の平均値を使用する。
【0023】
パルプ原料の速度測定装置4及び5には様々なタイプが使用可能であるが、測定精度を考慮するとレーザー光を使用し、非接触タイプの物が望ましい。例えば、DANTEC社製、SensorLine7520型等が使用可能である。
図7に、レーザー光を使用し非接触タイプであるレーザー表面速度計の作動原理を示す。ワイヤー上のパルプ原料から上方に非接触状態で配置されたレーザー表面速度計から、ワイヤー原料上の微小間隔(ΔL)離れた2点にレーザー光を照射し、その反射光をレンズを通して2つの受光部で受光して反射光のスペクトルをそれぞれ得る。更に、2つの受光部が同一スペクトルを検出したそれぞれの時刻からその時間遅れ(Δt)を得て、次式により原料速度(V)を算出する。
V=ΔL/Δt
【0024】
図1は、図2に示した実施例における紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置の機器構成図である。図1に示すように、ヘッドボックスからワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度を測定する速度測定装置4からの信号が、測定装置の制御装置10へ入力され、入力された信号に対応する速度情報が制御装置10から表示装置11へ入力されて速度が表示される。同様に速度測定装置5からの信号は、測定装置の制御装置12を経て、表示装置13により速度表示され、各測定点での測定値は表示装置11および13でモニターできる。更に、制御装置10及び制御装置12からそれぞれの原料速度情報を媒介変数演算装置14へ入力して、上記の(3)、(4)式に示す媒介変数A及び媒介変数Bを演算する。この演算に使用するトップワイヤーとボトムワイヤーの速度は、抄紙機の各部の速度が設定されている速度制御装置(図示せず)から該ワイヤー速度を入力して使用する。このとき図2に示すような制御可能な抄紙機幅方向のトラバース装置を具備しているときには、トラバース装置に取付けた速度測定装置によりワイヤーの速度を直接測定して媒介変数演算装置14へ入力して演算することも可能である。
【0025】
また本実施例においては、予測装置で算出して出力するのは、原料速度とワイヤー速度から算出される媒介変数A、及び媒介変数Bまでであり、媒介変数A及び媒介変数Bに対応する紙の裏表それぞれの繊維配向特性は、予め測定して作成しておいた媒介変数と繊維配向特性の関係を表示したグラフ等を用いて求める。
【0026】
また、予め測定しておいた関係式から繊維配向特性を予測する部分については、コンピュータと連動させて処理しても構わない。
このようにコンピュータによって予測する場合には、上記実施例に示す装置の他に、予め測定して作成しておいた媒介変数と繊維配向特性の関係を記憶しておく記憶手段と、記憶手段の中から演算した媒介変数に対応する繊維配向特性の値を予測する予測手段(予測プログラム)を更に具備するようにすればよい。
【0027】
また、原料の速度を測定する速度測定装置を、抄紙機幅方向に任意移動可能な架台(トラバース装置)に取り付けた場合には、幅方向に走査することにより繊維配向特性の幅方向プロファイルを予測および管理することも可能となる。更に、2台の速度測定装置を使用し、抄紙機の運転速度を考慮して幅方向への走査を制御することにより、原料がワイヤー上に着地する時とトップワイヤーに接するときのそれぞれの速度を、原料の同一部分において測定することが可能となり、抄紙機全幅での繊維配向特性の予測および管理にも利用が可能となる。
【0028】
図6は、一般的な印刷用紙を製造する抄紙機において、前記(3)式に示す媒介変数Aに対して予め求めておいた紙の裏側(ボトムワイヤー側)の繊維配向特性の関係式を表すグラフ(上方の直線)と、前記(4)式に示す媒介変数Bに対して予め求めておいた紙の表側(トップワイヤー側)の繊維配向特性の関係を示すグラフ(下方の曲線)から、別途実操業において速度を実測して算出した媒介変数A及びBの値に対する繊維配向特性の値を求める方法を示した図である。横軸上の媒介変数A(数値a)及び媒介変数B(数値b)を通る垂線と交わるそれぞれのグラフ上の点(四角形の記号で記載)に対応する縦軸の値を読めば、対応する繊維配向特性(分子配向計で測定した繊維配向の縦横比)を求めることが出来る。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、製紙用パルプを主成分とする紙料を用いて、オントップタイプの抄紙機で紙を製造する場合において、ヘッドボックスからワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度とボトムワイヤーの速度の差をボトムワイヤーの速度で除した値(媒介変数A)と、トップワイヤーユニットに入るときのワイヤー上パルプ原料の速度とトップワイヤーの速度の差をトップワイヤーの速度で除した値(媒介変数B)を算出し、原料特性と操業条件を考慮して予め測定しておいたこれらの媒介変数と繊維配向特性との関係より、製造する紙の表裏の繊維配向特性を別々に予測することが可能となった。
【0030】
したがって、このような測定を実施するに際して、従来のように一旦巻き上げたリール上からサンプリングを行い大変な労力と時間を消費して測定しなくてもよくなった。更に、簡便で迅速に紙の表裏の繊維配向特性を抄紙機上で予測できるため、紙の繊維配向特性に関する品質対応を迅速に行なうことができ、品質向上に効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる抄紙機上で紙の表裏の配向特性を予測する装置の構成図。
【図2】 本発明に係る紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置の速度測定装置部分の配置例を示す斜視説明図。
【図3】 代表的なオントップタイプの抄紙機のワイヤーパートの構成模式図。
【図4】 媒介変数Aと、このとき抄造された種々の印刷用紙を厚さ方向に2層に分割したボトムワイヤー側の紙層について分子配向計で測定した繊維配向の縦横比との関係を示すグラフ。
【図5】 媒介変数Bと、このとき抄造された種々の印刷用紙を厚さ方向に2層に分割したトップワイヤー側の紙層について分子配向計で測定した繊維配向の縦横比との関係を示すグラフ。
【図6】 媒介変数A及び媒介変数Bに対応して、抄造された紙の繊維配向の縦横比を求めるためのグラフ。
【図7】 レーザー表面速度計の作動原理図。
【符号の説明】
1. ヘッドボックス
2. ボトムワイヤー
3. トップワイヤー
4. 速度測定装置(速度検出手段)
5. 速度測定装置(速度検出手段)
6. 抄紙機幅方向トラバース装置
7. 抄紙機幅方向トラバース装置
8. ボトムワイヤーユニット
9. トップワイヤーユニット
10.速度測定装置の制御装置
11.速度測定装置の表示装置
12.速度測定装置の制御装置
13.速度測定装置の表示装置
14.演算装置(演算手段)
15.表示装置(出力手段)
16.印刷装置(出力手段)
17.レーザー表面速度計
18.レーザー光発生装置
19.レーザー光
20.レンズ
21.受光部

Claims (5)

  1. 製紙用パルプを主成分とするパルプ原料を用いて、ワイヤーパートがオントップフォーマである抄紙機により紙を製造する際に、
    ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と、ボトムワイヤーの速度と、トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と、トップワイヤーの速度とを検出するステップと、
    前記ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と前記ボトムワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数A、及び前記トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と前記トップワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数Bを算出するステップと、
    所定の原料特性と操業条件毎に、前記媒介変数Aに対応する製造される紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性と、前記媒介変数Bに対応する製造される紙のトップワイヤー面の繊維配向特性を予め特定して、これらの媒介変数と繊維配向特性の関係を予め記録しておくステップと、
    前記予め記録された媒介変数と繊維配向特性の関係と、前記速度検出により算出した媒介変数A及び媒介変数Bを用いて、製造した紙の繊維配向特性をトップワイヤー面とボトムワイヤー面に関して別々に予測するステップと、
    により紙の表裏の繊維配向特性を予測する方法。
  2. 前記媒介変数A及び媒介変数Bは、次式によって表されることを特徴とする請求項1記載の紙の繊維配向特性を予測する方法。
    媒介変数A = │(Vp1−Vv1)×α/Vv1
    媒介変数B = │(Vp2−Vv2)×α/Vv2
    但し、上式中の各記号は下記により定義する。
    p1 ;ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度
    v1 ;ボトムワイヤーの速度
    p2 ;トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度
    v2 ;トップワイヤーの速度
    α ;定数
  3. 前記媒介変数と繊維配向特性の関係を予め特定し記録しておくステップとして、所定の原料特性と操業条件毎に、前記媒介変数Aに対応して、製造した紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性を予め測定し、更に前記媒介変数Bに対応して、製造した紙のトップワイヤー面の繊維配向特性を予め測定することにより、これらの媒介変数と繊維配向特性の関係を予め特定し記録しておく方法を用いることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載した紙の繊維配向特性を予測する方法。
  4. ワイヤーパートがオントップフォーマである抄紙機において、ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と、ボトムワイヤーの速度と、トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と、トップワイヤーの速度とを検出する速度検出手段と、
    該速度検出手段からの速度信号により、前記ヘッドボックスからボトムワイヤー上に吐出されるパルプ原料の速度と前記ボトムワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数A、及び前記トップワイヤーユニットに入るときのパルプ原料の速度と前記トップワイヤーの速度とを変数とする速度差に係わる媒介変数Bを算出する演算手段と、
    該演算手段による演算結果を出力する出力手段と、
    所定の原料特性と操業条件毎に、前記媒介変数Aに対応する製造される紙のボトムワイヤー面の繊維配向特性と、前記媒介変数Bに対応する製造される紙のトップワイヤー面の繊維配向特性を予め特定して、これらの媒介変数と繊維配向特性の関係を予め記憶しておく記憶手段と、
    前記演算手段によって演算された媒介変数A及び媒介変数Bに対応して、前記記憶手段から、製造した紙のトップワイヤー面とボトムワイヤー面の繊維配向特性を別々に取り出して予測する予測手段と、
    を備えたことを特徴とする紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置。
  5. 前記パルプ原料の速度とワイヤーの速度を検出する検出手段の内の少なくとも一つとして、ワイヤーまたはパルプ原料上に配置され、速度検出方式として光源にレーザー光を使用する非接触式検出器が用いられていることを特徴とする請求項4に記載した紙の表裏の繊維配向特性を予測する装置。
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