JP4225383B2 - 通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、ノード及び通信システム - Google Patents

通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、ノード及び通信システム Download PDF

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本発明は、通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、ノード及び通信システムに関し、例えば、センサネットワークあるいはLAN(Local Area Network)に接続された複数の機器から構成されるシステム等のように、空間に分散配置された多数のノードや移動体に設置されたノードが、相互にデータ通信を行う場合において、電波干渉等による通信データの衝突を回避する方法に適用し得るものである。
空間に分散配置された複数のノードが衝突することなくデータ通信し得るようにするための方式として、TDMA方式、CSMA(CSMA/CAやCSMA/CD)方式などがある(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、TDMA方式の場合、タイムスロットの割り当てを行なう集中管理ノードが故障したときに通信システムがダウンしてしまう等の問題があるために、集中管理サーバを必要とせず、個々のノードが自律分散的にタイムスロットの割り当てを相互調整することによって、通信データの衝突を回避する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記提案されている各ノードが自律分散的にタイムスロットの割り当てを調整する方法は、各ノードが近傍ノードとの間で周期的なインパルス信号の送受信により相互作用することで調整する技術である。
すなわち、非線形振動をモデル化した数式を用いて、他ノードがインパルス信号を発信するタイミングに応じて、自ノードがインパルス信号を発信するタイミングを調整するものである。これにより、各ノードおいて、自ノード及び他ノードのインパルス信号の発信タイミングが極力離れるような調整を相互に行う(適切な位相関係を形成する)ことにより、自律分散的なタイムスロットの獲得を実現することができる。
特開2005−094663号公報 松下温、中川正雄編著、「ワイヤレスLANアーキテクチャ」、共立出版、1996年、p.47、53〜59、69
ところで、特許文献1に示す通信タイミング制御方式に従って通信を行う場合、適切な位相関係の形成後(収束後)は、各ノードの通信タイミングが衝突を起こさずに効率良く通信を行うことが可能である
しかしながら、適切な位相関係の形成過程(収束過程)において、通信を開始した場合には、通信が衝突してスループットの低下を引き起こすと共に、インパルス信号(制御メッセージ)をロスすることによって結果として通信タイミング形成にかかる時間が長くなるといった問題があった。
あるノードの1周期は、図2に示すように、自ノードからのインパルス信号(制御メッセージ)の送信期間とデータ送信期間と、他ノードに解放している期間からなり、自ノードからのインパルス信号及びデータの送信期間は、1周期のうちの所定の位相幅φcに応じた期間となっている。通信タイミングの形成後においては、図3(B)に示すように、各ノードの位相は、2πを等分した位相幅φcの整数倍ずつ異なり、図4に示すように、各ノードのインパルス信号及びデータの送信期間は衝突しない。一方、通信タイミングの形成過程においては、図3(A)に示すように、ノード間の位相差は位相幅φcの整数倍にはなっていないことも多く、各ノードが位相幅φcに応じた期間ずつインパルス信号及びデータを送信すると、図5に示すように、通信に衝突が生じる。そのため、データ通信に失敗したり、インパルス信号の送信に失敗したりする。
そのため、通信タイミングの形成過程(適切な位相関係の形成過程)においても、通信を行うことができる通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、ノード及び通信システムが望まれている。
第1の本発明は、通信システムを構成する複数のノードのそれぞれに搭載されるものであって、自ノード及び他ノードの位相相互作用により、自ノードの位相状態を定めて、自ノードからのデータ送信のタイミングを決定する通信タイミング制御装置において、(1)近傍ノードのデータ発信のタイミングを表す位相を反映させた上記近傍ノードからの位相指示タイミング信号の受信に基づき、当該発信元ノードに対する仮想的な位相状態を算出する仮想ノードモデル計算手段と、(2)少なくとも、自ノードの位相状態と、上記仮想ノードモデル計算手段による近傍ノードの仮想的な位相状態とに基づき、自ノードからの位相指示タイミング信号及びデータの送信が衝突なく実行できる通信可能区間を算出する通信可能区間計算手段とを有し、(3)上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態から定まる自ノードの通信開始可能時点と、上記仮想ノードモデル計算手段による近傍ノードの仮想的な位相状態から定まる、次に通信開始可能時点がくる近傍ノードの通信開始可能時点との差の区間より、マージン区間分だけ短い区間を、通信可能区間とし、(4)上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態の算出時に用いる内部情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更し、(5)自ノードの位相状態を算出する手段は、現在の衝突率を算出する衝突率算出手段が算出した衝突率の情報を利用するものであり、(6)上記通信可能区間計算手段は、上記衝突率算出手段が算出した衝突率の情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更することを特徴とする。
第2の本発明は、通信システムを構成する複数のノードのそれぞれが実行するものであって、自ノード及び他ノードの位相相互作用により、自ノードの位相状態を定めて、自ノードからのデータ送信のタイミングを決定する通信タイミング制御方法において、仮想ノードモデル計算手段及び通信可能区間計算手段を備え、(1)近傍ノードのデータ発信のタイミングを表す位相を反映させた上記近傍ノードからの位相指示タイミング信号の受信に基づき、当該発信元ノードに対する仮想的な位相状態を算出する、上記仮想ノードモデル計算手段が実行する仮想ノードモデル計算工程と、(2)少なくとも、自ノードの位相状態と、上記仮想ノードモデル計算工程による近傍ノードの仮想的な位相状態とに基づき、自ノードからの位相指示タイミング信号及びデータの送信が衝突なく実行できる通信可能区間を算出する、上記通信可能区間計算手段が実行する通信可能区間計算工程とを含み、(3)上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態から定まる自ノードの通信開始可能時点と、上記仮想ノードモデル計算手段による近傍ノードの仮想的な位相状態から定まる、次に通信開始可能時点がくる近傍ノードの通信開始可能時点との差の区間より、マージン区間分だけ短い区間を、通信可能区間とし、(4)上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態の算出時に用いる内部情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更し、(5)自ノードの位相状態を算出する手段は、現在の衝突率を算出する衝突率算出手段が算出した衝突率の情報を利用するものであり、(6)上記通信可能区間計算手段は、上記衝突率算出手段が算出した衝突率の情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更することを特徴とする。
第3の本発明のノードは、第1の本発明の通信タイミング制御装置を備えることを特徴とする。
第4の本発明の通信システムは、第3の本発明のノードを複数配置して有することを特徴とする。
本発明によれば、衝突を回避し得る通信可能区間を定めて、自ノードからの位相指示タイミング信号及びデータの送信を実行できるようにしたので、通信タイミングの形成過程(適切な位相関係の形成過程)においても、通信を行うことができ、また、通信タイミングの形成(適切な位相関係の収束)を速めることができる。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、ノード及び通信システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第1の実施形態は、特願2004−344641号明細書及び図面(以下、先願1と呼ぶ)に開示された技術の改良になっている。
(A−1)第1の実施形態のノード
図6は、各ノード10の構成を示す機能ブロック図である。図6において、ノード10は、インパルス信号受信手段11、通信タイミング計算手段12、インパルス信号送信手段13、同調判定手段14、データ通信手段15及びセンサ16を有する。なお、通信タイミング制御装置としては、インパルス信号受信手段11、通信タイミング計算手段12、インパルス信号送信手段13及び同調判定手段14が構成要素となっている。
インパルス信号受信手段11は、近傍ノード(例えば、そのノードの発信電波が届く範囲に存在する他のノード)が発信したインパルス信号Sin11を受信し、受信インパルス信号Spr11を通信タイミング計算手段12に与えるものである。ここで、インパルス信号はタイミング信号として授受されるものであり、例えば、ガウス分布形状等のインパルス形状を有するものである。
通信タイミング計算手段12は、その詳細は後述するが、受信インパルス信号Spr11に基づいて、当該ノード10での通信タイミングを規定する位相信号Spr12を形成して出力するものである。ここで、当該ノードi(10)の位相信号Spr12の時刻tでの位相値をθi(t)とすると、通信タイミング計算手段12は、受信インパルス信号Spr11に基づいて、後述するように、位相信号Spr12(=θi(t))を非線形振動リズムで変化させる。通信タイミング計算手段12は、得られた位相信号Spr12(=θi(t))を、インパルス信号送信手段13、同調判定手段14及びデータ通信手段15に出力する。
この第1の実施形態の場合、通信タイミング計算手段12は、先願1とは異なり、後述する通信可能区間情報Spr16を形成し、データ通信手段15に出力する。
インパルス信号送信手段13は、位相信号Spr12に基づいて、自ノードからのインパルス信号Sout11を送信する。すなわち、位相信号Spr12が所定の位相α(0≦α<2π)になると、インパルス信号Sout11を送信する。ここで、所定の位相αは、予めシステム全体で統一しておくことが好ましい。以下では、α=0にシステム全体で統一されているとして説明する。
同調判定手段14は、自ノードを含めた複数のノード間で行われる出力インパルス信号Sout11の送信タイミングの相互調整が、「過渡状態(位相関係の形成過程;収束過程)」あるいは「定常状態(位相関係の収束後の状態)」のいずれの状態にあるかを判定するものである(特許文献1参照)。同調判定手段14は、受信インパルス信号Spr11(他ノードの出力インパルス信号Sout11に対応する)及び自ノードからの出力インパルス信号Sout11の発生タイミングを観測し、インパルス信号を授受し合う複数のノードの発生タイミング間の時間差が時間的に安定している場合に「定常状態」であると判定する。なお、この実施形態の場合には、同調判定手段14には、自ノードからの出力インパルス信号Sout11の発生タイミングを捉えるための信号として、出力インパルス信号Sout11に代えて、位相信号Spr12が入力されている。
同調判定手段14は、位相信号Spr12の周期毎に、判定結果を示す同調判定信号Spr13と、受信インパルス信号Spr11の発生タイミングにおける位相信号Spr12の最小値β1をスロット信号Spr14としてデータ通信手段15に出力する。位相信号Spr12が0のタイミングを、自ノードからの送信開始時点としたときには、スロット信号Spr14は、自ノードからの送信終了時点を表していると見ることができる。
当該ノード10は、他のノードから受信したデータを中継して送信する機能と、自己を送信元とするデータ送信機能との両方又は一方を有している。センサ16は、自ノードを送信元とする場合の一例として書き出したものであり、ノードがセンサネットワークの要素の場合に対応している。センサ16は、例えば、音や振動の強度、化学物質の濃度、温度など、物理的又は化学的な環境情報Sin13を検知して観測データSpr15をデータ通信手段15に出力するものである。
また、中継の場合には、データ通信手段15に、近傍ノードが送信したデータ信号(出力データ信号Sout12)が入力データ信号Sin12として受信される。
データ通信手段15は、観測データSpr15及び又は入力データ信号Sin12(両方の場合を含む)を出力データ信号Sout12として他ノードに送信するものである。
データ通信手段15は、この送信を、同調判定信号Spr13が「定常状態」を示す場合に、後述するタイムスロット(システムなどが割り当てた固定的な時間区間ではないが、「タイムスロット」という用語を用いる)で行ない、同調判定信号Spr13が「過渡状態」を示す場合には、通信タイミング計算手段12が出力した通信可能区間情報Spr16に従って、送信動作を行う。
タイムスロットは、位相信号Spr12の位相θi(t)がδ1≦θi(t)≦β1−δ2である期間である。タイムスロットの開始点(そのときの位相信号の値をδ1とする)は、出力インパルス信号Sout11の送信が終了したタイミングであり、タイムスロットの終了点(そのときの位相信号の値をβ1−δ2とする)は、位相信号Spr12の周期毎の最初の受信インパルス信号Spr11のタイミングより多少のオフセット分δ2だけ前のタイミングとしている。δ1やδ2は、当該ノード10の近傍の無線空間で、インパルス信号(送信元は自ノードの場合、他ノードの場合の双方を含む)と、データ信号(送信元は自ノードの場合、他ノードの場合の双方を含む)とが同時に存在しないことを補償するためのごく短い時間に対応する位相幅である。δ1及びδ2は、例えば、ノード10の設置状況下で実験的に決定する。
(A−2)通信タイミング計算手段12の詳細
次に、上述した通信タイミング計算手段12の詳細について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態の通信タイミング計算手段12の機能的な詳細構成を示すブロック図である。
図1において、通信タイミング計算手段12は、位相算出手段31、衝突率算出手段32、蓄積ストレス算出手段33、ストレス応答関数値算出手段34、位相応答関数特性決定手段35、仮想ノードモデル計算手段36及び通信可能区間計算手段37を有する。なお、通信タイミング計算手段12は、通信可能区間計算手段37を備える点を除けば、先願1の開示技術のものと同様である。
まず、以下では、仮想ノードモデル計算手段36について図1及び図7を参照して説明する。
仮想ノードモデル計算手段36は、近傍ノード(他ノード)が出力し当該ノードが受信したインパルス信号(Spr11)を受け取り、その受信の際に、近傍ノードに対する仮想的な位相状態を生成するものである。仮想ノードモデル計算手段36は、生成した近傍ノードに対する仮想的な位相状態を、位相算出手段31及び通信可能区間計算手段37に与えるものである。このように、仮想ノードモデル計算手段36が近傍ノードに対する仮想的な位相を生成することにより、当該通信タイミング計算手段12において、近傍ノードに対する位相状態を用いた連続的な相互作用を擬似的に実現する計算をすることができる。
図7は、仮想ノードモデル計算手段36の内部構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、仮想ノードモデル計算手段36は、仮想位相モデル生成手段41及び仮想位相計算手段42を有する。
仮想位相モデル生成手段41は、他ノードjから受信した受信インパルス信号Spr11を受け取り、その受信の際に、その発信元ノードjに対する仮想的な位相状態モデル(位相モデル)を生成するものである。また、仮想位相モデル生成手段41は、生成した他ノードjに対する仮想的な位相モデルを仮想位相計算手段42に与えて追加するものである。なお、仮想位相モデル生成手段41は、受信インパルス信号を受信するたびに、当該発信元ノードjに対する仮想的な位相モデルを生成するものとする。
ここで、仮想的な位相モデルとは、仮想位相モデル生成手段41が他ノードjの位相状態を仮想的に計算する数理モデルを意味する。最も簡単な場合の例は、次のように与えられる。
Figure 0004225383
(1)式において、Θij(以下、「Θ」は仮想を表す)は、自ノードi内部で生成される他ノードjに対する仮想的な位相状態(位相信号)を表す。その取り得る値は、0≦Θij<2πとする。また、Ωij(以下、「Ω」は仮想を表す)は、自ノードiにおける他ノードjに対する仮想的な位相モデルの固有角振動数パラメータ(以後、仮想固有角振動数パラメータと呼ぶ)を表す。仮想固有角振動数パラメータΩijは、最も簡単な場合の例として、後述する自ノードiの固有角振動数パラメータωiと同一の値を設定すればよい。第1の実施形態の場合、予め各ノードの固有角振動数パラメータωiを、システム全体で同一の値にしておくものと仮定する。d/dtは、微分演算を表す記号である。
(1)式は、他ノードjに対する仮想的な位相Θijが、仮想固有角振動数パラメータΩijで与えられる一定のリズムで振動する現象を表す数理モデル(時間発展規則)を用いて算出されることを意味する。
ここで、仮想的な位相Θijを算出する際の初期位相(初期値)は、予め各ノードがインパルス信号を位相Ψ(上記インパルス信号送信手段13の構成で説明したαに相当する)で発信することに統一しておけば、同一の値をΨとして設定すれば良く、以後の説明では、位相Ψ=0で統一されているものと仮定する。このような仮定をしても一般性を失うものではない。
仮想位相計算手段42は、上記のようにして、仮想位相モデル生成手段41が生成した他ノードj(1〜N^)に対する仮想的な位相モデルを、仮想位相モデル生成手段41から受け取り、複数の他ノードjに対する仮想的な位相モデルに基づいて、他ノードjに対する仮想的な位相状態(位相)を算出するものである。また、仮想位相計算手段42は、算出した他ノードjに対する仮想的な位相を位相算出手段31及び通信可能区間計算手段37に与えるものである。
上述したように、仮想位相モデル生成手段41は、他ノードjからインパルス信号を受信するたびに、その発信元ノードjに対する仮想的な位相モデルを生成するものである。この動作だけでは、時間を追う毎に他ノードjに仮想的な位相モデルが次々と重複して生成されることになる。そこで、この第1の実施形態の仮想位相計算手段42は、仮想位相モデル生成手段41から受け取った仮想的な位相モデルを1周期で消滅させるものとする。
すなわち、仮想的な位相Θijの時間発展は、初期位相0で動作を開始し、位相2πに至ると動作を終了する。1周期の動作終了後は、他ノードjに対する仮想的な位相Θijは消滅する。他ノードjは周期的にインパルス信号を発信しているので、他ノードjに対する仮想的な位相モデルは1周期で消滅しても、次に、他ノードjからインパルス信号を受信したタイミングで、仮想的な位相モデルは再生成される。これは、他ノードjの実際の位相と、自ノード内部における他ノードjに対する仮想的な位相Θijとの差を1周期単位にリセットして、その差が拡大するのを抑制する効果を持つ。
このように、他ノードjに対する仮想的な位相モデルの動作(位相状態の時間発展)を1周期単位に更新(消滅と生成)することにより、自ノード内部に他ノードjに対する位相状態を擬似的に生成することができる。
図1に戻り、通信タイミング計算手段12の他の内部機能について説明する。通信タイミング計算手段12は、発信タイミングを決定するための計算を、例えば、(2)、(3)式のような非線形振動をモデル化した数式を用いて行なう。
Figure 0004225383
(2)、(3)式は、受信インパルス信号Spr11(相互作用範囲に存在する他ノードが発信した出力インパルス信号を受信することによって得られる信号)の入力に応じて、自ノード(ノードi)の非線形振動のリズムを時間的に変化させる規則(時間発展規則)を表す式である。
以下、(2)、(3)式の各部分について説明する。(2)、(3)式において、変数tは時刻を表し、関数θi(t)は、時刻tにおける自ノードiの非線形振動に対する位相を表す。関数θi(t)は、mod2π(2πで割った余り)の演算を施すことにより、常に、区間0≦θi(t)<2πの値を取る。
また、ΔΘij(t)は、(3)式に示すように、自ノードiにおける他ノードjの仮想的な位相Θij(t)から自ノードiの位相θi(t)を引くことにより得られる位相差である。但し、位相差ΔΘij(t)は、2πを加算した値にmod2π(2πで割った余り)の演算を施すことにより、便宜的に区間0≦ΔΘij<2πの値をとる。
ωiは、固有角振動数パラメータであり、各ノードが備える基本的リズムを表す。例えば、上述したように、ωiの値を予めシステム全体で同一の値に統一しておく。
関数R(ΔΘij(t))は、位相差ΔΘij(t)に応じて自ノードiの振動リズムを変化させる応答特性を表現する位相応答関数である。位相応答関数R(ΔΘij(t))は、他ノードjの仮想的な位相Θij(t)に対して、自ノードの位相θi(t)を反発する方向に変化(斥力が働く方向に変化)させる非線形特性を有する。位相応答関数R(ΔΘij(t))を含む項のN^iは時刻tにおける仮想的な位相モデルの総数を示し、Kは結合定数パラメータを表す。ここで、結合定数パラメータKとは、位相の時間発展に対する関数R(ΔΘij(t))を含む項の寄与度を決定するパラメータであり、例えば、その値を実験的に決定する。
関数ξ(Si(t))は、自ノードiと他ノードjとの相対位相差Eが小さい場合にストレスを蓄積し、蓄積されたストレス値Si(t)に応じてランダムな大きさで位相シフト(位相状態変化)を実行する働きをする項である。ここで、相対位相差Eは、(4)式及び(5)式で定義される量である。
Figure 0004225383
すなわち、関数ξ(Si(t))は、蓄積されたストレス値Si(t)に対する応答特性を表現する関数である。以下では、この関数ξ(Si(t))をストレス応答関数と呼ぶ。
第1の実施形態は、集中管理ノードが存在しなくても、各ノードが近傍ノードと相互作用し、非線形振動を表現するモデルに従っている位相信号を変化させることによって、自律分散的にタイムスロットの割り当てを決定でき、また、自ノードと近傍ノードとの相対位相差が非常に小さい状態であっても定常状態として安定化してしまうノードが発生するような自体を避けるべく、非線形振動を表現するモデルにストレス応答関数ξ(Si(t))を導入している。
次に、位相応答関数R(ΔΘij(t))とストレス応答関数ξ(Si(t))の具体例を説明するが、その前にこれら関数に関連する用語、(ア)「データ発信の衝突」、(イ)「衝突率(衝突時間を基準とする場合)」、(ウ)「衝突率(衝突回数を基準とする場合)」について説明する。
(ア)「データ発信の衝突」
(ア−1) 各ノードがデータの発信を行なうために最低限必要なタイムスロットの大きさWminに対応する位相幅をφcとする。位相幅φcは、Wminと固有振動数パラメータωiの積(φc=Wmin・ωi)として算出することができる。また、Wminは、用途等に応じて決まる定数パラメータである。
(アー2) 各ノードにおいて、インパルス信号を受信可能な空間的距離範囲に存在する近傍ノードとの相対位相差が、上記位相幅φcよりも小さい場合は「データ発信の衝突が生起している」ものとする。複数の受信インパルス信号Spr11に対して、1つでも相対位相差が位相幅φcよりも小さいものが存在する場合は衝突が生起しているものとする。
(イ)「衝突率(衝突時間を基準とする場合)」の算出方法の一例
自ノード(ノードi)において、時刻tにデータ発信の衝突が生起しているか否かを表す関数として、関数xi(t)を(6)式に示すように定義する。
Figure 0004225383
関数xi(t)は、時刻tに衝突が生起しているとき(collision)に「1」、そうでないとき(else)に「0」の値を取る関数である。すると、n周期間における累積衝突時間yi(t)は、(7)式に示すように、関数xi(t)の値をn周期に渡って累積(時間積分)することによって得られる。(7)式において、Tiはノードiの周期を表す。累積衝突時間yi(t)は、n周期間において関数xi(t)が1の値を取る時間の総和を表し、関数xi(t)の値を観測することによって算出することができる。
このような累積衝突時間yi(t)を最大累積衝突時間で規格化した値ci(t)は、n周期間に生起した衝突の時間的な割合を表し、これを衝突率と定義する。ここで、最大累積衝突時間は、累積衝突時間yi(t)の最大値である。各ノードが、大きさWmin(=φc/ωi)のタイムスロットを用いて発信を行なうと仮定すると、n周期間における累積衝突時間の最大値は、n・Wmin(=n・φc/ωi)となる。従って、衝突率ci(t)は、(8)式を用いて算出することができる。
但し、各ノードの位相θが(2)式に従って変化するため、周期Tiは、毎周期ごとに異なる値を取り得る。このため、累積衝突時間yi(t)が、最大累積衝突時間n・Wminを超える場合、すなわち、衝突率ci(t)が1を超える場合が発生し得る。ここでは、衝突率ci(t)が1を超える場合は、1として扱うものとする。
上記の衝突率の定義では、一例として、同時に複数の衝突が生起しているか否かを考慮しない形態を示した。しかし、衝突率の定義方法は、上記の方法に限定されないものである。例えば、同時に複数の衝突が生起している場合を考慮する方法を用いることも可能である。また、上記の衝突率の定義では、衝突時間を基準に衝突率を算出したが、衝突回数を基準に衝突率を算出することも可能である。
(ウ)「衝突率(衝突回数を基準とする場合)」の算出方法の一例
(S1)1周期単位に衝突が生起したか否かを観測する。但し、1周期内に衝突が複数回生起した場合においても、衝突の有無だけを問題にするものとし、カウントを1とする。
(S2)n周期間に生起した衝突回数、すなわち、累積衝突数γをカウントする。
(S3)そして、累積衝突数γを最大累積衝突数(n周期間に生起し得る最大衝突回数n)で規格化した値を衝突率と定義する。すなわち、衝突率ci(t)を、次の(9)式によって定義し、(9)式を用いて、衝突率を算出する。
ci(t)=γ/n …(9)
(9)式の定義式を用いて衝突率を算出する場合においても、(8)式の場合と同様に、衝突率が1を超える場合が発生し得る。衝突率が1を超える場合は、1として扱うものとする。また、上記の衝突率の定義では、一例として、1周期内における複数回の衝突を考慮しない形態(衝突の有無だけを問題にする形態)を示したが、これを考慮する形態を用いることも可能である。
上述の(イ)及び(ウ)の項で説明した衝突率の定義(衝突時間を基準とする場合、及び、衝突回数を基準とする場合)は、衝突時間や衝突回数を一般化して衝突量と呼ぶことにすると、次のように表現することができる。
n周期間における累積衝突量を観測し、それを最大累積衝突量(n周期間に生起し得る最大衝突量)で規格化した値を衝突率と定義する。
図1における衝突率算出手段32は、(8)式又は(9)式で定義された衝突率ci(t)を算出するものである。
次に、位相算出手段31が内部で算出処理している位相応答関数R(ΔΘij(t))の具体例とその機能を説明する。
(2)式は、上述したように、受信インパルス信号Spr11の入力に応じて、自ノードiの非線形振動のリズムを時間的に変化させる規則(時間発展規則)を表す式である。ここで、受信インパルス信号Spr11は、近傍ノードjが発信した出力インパルス信号Sout11に対応する。各ノードが(2)式に基づいて動作することにより、近傍ノード間において相互に安定な位相差を形成しようとする。その際、第1の実施形態では、位相応答関数R(ΔΘij(t))の特性を、衝突率ci(t)の変化に応じて変化させる。図1における位相応答関数特性決定手段35は、衝突率ci(t)に応じて位相応答関数R(ΔΘij(t))の特性を変化させる動作を実行する(すなわち、後述する(11)式の動作を実行する)。
第1の実施形態の位相応答関数R(ΔΘij(t))の具体例は、(10−1)式〜(10−4)式及び(11)式で与えられる。
Figure 0004225383
(10−1)式〜(10−4)式及び(11)式は、近傍ノード間において均等な位相差が形成されるようにした位相応答関数R(ΔΘij(t))である。上式において、pは均等な位相差を決定する定数パラメータである。均等な位相差が、1周期をp分割した時間に対応する位相幅2π/pになるように定められている。pの最適な値は、ノードの配置状態等により変化するため、例えば、実験的に決定する。位相幅2π/pは、データ発信に最低限必要な位相幅φc以上の値を取る(2π/p≧φc)。また、α及びbは定数パラメータであり、その値は例えばpと同様に実験的に決定する。
但し、位相応答関数R(ΔΘij(t))の関数形は上記のものに限定されないことは勿論である。自ノードと近傍ノードとの相対位相差を、衝突率ci(t)の値に応じて変化させる関数は、種々の形態(関数形)を用いて実現可能である。
次に、蓄積ストレス算出手段33及びストレス応答関数値算出手段34の順次の算出処理によって求められるストレス応答関数ξ(Si(t))の具体例とその機能とを説明する。
ストレス応答関数ξ(Si(t))は、例えば、以下の(12−1)式、(12−2)式、(13−1)式、(13−2)式及び(14)式によって規定されるものである。
Figure 0004225383
(14)式における関数s(ci(t))は、時刻tにおける衝突率ci(t)に対するストレス値を表す関数である。例えば、衝突率ci(t)が高いほど、大きなストレス値を示すような特性を備える関数として実現する。一例としては、シグモイド関数などの非線形関数を用いて、衝突率ci(t)の増大とともに、急激に大きなストレス値を示すような特性を備える関数が挙げられる。
(14)式で定義される関数Si(t)は、時刻tにおけるストレス値s(ci(t))を蓄積(時間積分)した値を示す関数である。蓄積する時間区間は、前回、蓄積されたストレス値Si(t)に応じてランダムな位相シフトを実行した時刻tsから現在の時刻tまでである。つまり、関数Si(t)は、ランダムな位相シフトを実行すると、一旦、値がリセットされ、その時刻からストレス値s(ci(t))を再度蓄積していく動作を繰り返す。関数Si(t)における積分演算は、時間tが離散化して与えられる場合、各時刻におけるストレス値s(ci(t))の総和として計算することができる。蓄積ストレス算出手段33が、蓄積ストレスSi(t)を算出する。
(13−1)式又は(13−2)式で定義される関数q(Si(t))は、蓄積されたストレス値Si(t)に応じた確率で乱数値を返す関数である。確率Si(t)で値μを返し、確率1−Si(t)で値0を返す。値μは、区間ε≦μ<δ内の乱数であり、値ε及びδは、例えば、実験的に決定する定数パラメータである。
ストレス応答関数ξ(Si(t))は、蓄積されたストレス値Si(t)をn周期ごとに評価し、それに応じた確率で乱数値(μ又は0)を返す関数である。ストレス応答関数ξ(Si(t))を、ストレス応答関数値算出手段34が算出する。
従って、上述した(2)式に示すように、非線形振動のモデルに対してストレス応答関数ξ(Si(t))を導入することにより、(I)蓄積されたストレス値Si(t)がn周期ごとに評価され、(II)その評価値に基づく確率でランダムな位相シフトが実行される、という動作が実現される。つまり、衝突によるストレス値の蓄積が大きい場合ほど、高い確率でランダムな位相シフトが実行されることになる。n周期の整数倍の時刻以外では、ストレス応答関数ξ(Si(t))の値は0であり、ランダムな位相シフトは実行されない。但し、ストレスの蓄積は、前述したようにn周期間とは限らず、前回、ランダムな位相シフトを実行した時刻tsから現在の時刻tまでであることに注意を要する。これは、例えば、ストレス値s(ci(t))が小さくても、n周期以上の長時間に渡って持続的に蓄積され続けると、やがてストレス値の蓄積Si(t)が大きくなり、ランダムな位相シフトが実行され得ることを意味する。
位相算出手段31は、ストレス応答関数値ξ(Si(t))を適用しながら、(2)式によって定まる位相θi(t)を算出する。
通信可能区間計算手段37は、仮想ノードモデル計算手段36からの近傍ノード(通信可能区間計算手段37の説明では仮想ノードと呼ぶ)の仮想位相と、位相算出手段31が算出した自ノードの位相から、仮想ノードとの位相差を算出し、現時点で、通信可能な区間を計算するものである。
このような通信可能な区間は、図8から理解できるように、仮想ノードとの位相差により計算可能である。
図8は、自ノードiが位相0で通信しようとしているときを示している。図8の例では、次に通信しようとする近傍ノード(仮想ノード)はノードjとなっている。また、そのノードjが、現時点から何秒後に通信を開始しようとするかは位相差Δφijと、上述した固有角振動数パラメータ(角速度)ωiから算出可能である。位相差Δφijに対応する時間は、Δφij/ωiである。つまり、この時間Δφij/ωi内に送信可能なデータ長の通信を行うならば、衝突は生じない。
以上のように、次に通信を開始しようとする仮想ノードとの位相差Δφijに基づいて適切な通信可能区間を決定できる。しかし、仮想ノードの位相(仮想位相)Θijは、受信インパルス信号に基づく予測値であるため、仮想ノードに対応する実際のノードの位相とは誤差がある可能性がある。そこで、通信可能な位相幅をd・Δφijと位相差Δφijより小さく決めることによって、より衝突の可能性を減らす(調整係数dは、0〜1の範囲内の値である)。
調整係数dの値の決定は、例えば、実験的に求めるようにしても良い。また、位相差Δφijの関数d=G(Δφij)として決定するようにしても良い。関数Gは、位相差Δφijの増加に対して単調減少する関数とすると、長い区間通信を行う場合により大きなマージンをとるように動作するようになる。
以上のように、通信可能区間計算手段37は、仮想ノードとの位相差の情報を基に、実際上の他ノードとの通信と干渉しないような通信可能区間を決定する。図9は、通信可能区間制御時の各ノードにおける通信(送信)の様子を示しており、上述した図5に対応する図面である。ノードiは、通信を開始するときに、自分に割り当てられた区間(通信可能区間)を仮想ノードの位相を基に決定する。そのため、ノードiがその区間内で通信を行っても、他ノードjの通信と衝突することは起こらない。
図6に示すように、データ通信手段16には、通信タイミング計算手段12から自ノードiの位相信号Spr12と通信可能区間情報Spr16とが与えられる。データ通信手段16には、位相信号Spr12に基づき、自ノードiからのインパルス信号(制御メッセージ)の送信期間を捉え、その送信期間終了後から、通信可能区間情報Spr16の終期までの期間内を、データ送信に使用できるとしてデータ送信を行う。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、通信タイミング計算手段の内部構成として、通信可能区間計算手段を導入したので、複数ノード間で効率良く衝突回避を行うことができ、通信の衝突によるスループットの低下、インパルス信号(制御メッセージ)のロスによる通信タイミングの形成への悪影響を減らすことができる。また、他ノードの通信と干渉しないように通信可能時間を決定することによって、全てのノードの通信機会の公平性を向上させることができる。さらに、従来であれば、ノード間の位相関係が収束した後に、通信を開始する必要があったものが、第1の実施形態によれば、ノード間の位相関係が収束動作中においても通信を開始することも可能となる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明による通信タイミング制御装置、通信タイミング制御方法、ノード及び通信システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
上述した第1の実施形態においては、通信可能区間計算手段37は、仮想ノードの位相情報及び自ノードの位相のみによって通信可能区間の決定を行っており、最小限の情報の参照により通信可能区間を決定でき、構成又は処理を簡単にすることができる。
第2の実施形態は、さらに、自ノードの内部情報である衝突率をも利用して、通信可能区間の計算を行い、得られる通信可能区間を、より最適なものとするものである。
図10は、第2の実施形態の通信タイミング計算手段の詳細構成を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る上述した図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
第2の実施形態の通信タイミング計算手段12Aも、第1の実施形態と同様に、位相算出手段31、衝突率算出手段32、蓄積ストレス算出手段33、ストレス応答関数値算出手段34、位相応答関数特性決定手段35、仮想ノードモデル計算手段36及び通信可能区間計算手段37Aを有する。
第2の実施形態の場合、通信可能区間計算手段37Aには衝突率算出手段32が算出した衝突率ci(t)も入力されるようになされており、通信可能区間計算手段37Aは、仮想ノードモデル計算手段36から与えられる仮想ノードの位相情報、位相算出手段31から与えられる自ノードの位相、及び、上述した衝突率ci(t)から、通信可能区間を決定するようになされている。
第2の実施形態においても、現時点で、通信可能な区間を決定する基準は、第1の実施形態と同様に、自ノードiの次に通信開始時点が訪れる仮想ノードとの位相差Δφij(図8参照)であり、この位相差Δφijと固有角振動数パラメータ(角速度)ωiとから、位相差Δφijに対応する時間Δφij/ωiを算出可能である。仮想ノードとの位相差Δφijには誤差がある可能性があるので、通信可能な位相幅を位相差Δφijではなく、d・Δφijに調整する。
この調整の際に、第2の実施形態では、現在の衝突率ciを参照する。例えば、調整係数dの決定をd=G(Δφij,ci)とする。例えば、関数Gは、位相差Δφijの増加と衝突率ciの増加に対して、単調減少する関数とすると、位相差が大きく、衝突率が高い状態においてはマージンを大きくとるという動作をする。
第2の実施形態の通信可能区間決定手段37Aは、仮想ノードモデル計算手段36から与えられる仮想ノードの位相情報と、位相算出手段31から与えられる自ノードの位相とから、自ノードiの次に通信開始時点が訪れる仮想ノードとの位相差Δφijを算出する。次に、通信可能区間決定手段37Aは、算出された仮想ノードとの位相差Δφijと、衝突率算出手段32が算出した衝突率ciとから、調整係数dを決定する。そして、通信可能区間決定手段37Aは、通信可能時間d・Δφij/ωiを算出する。
算出された通信可能時間d・Δφij/ωiは、データ通信手段15に与えられ、第1の実施形態と同様に利用される。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態とほぼ同様な効果を奏することができる。しかも、衝突率を参照して通信可能区間を計算するようにしているので、第1の実施形態より、最適な通信可能区間を決定することが期待できる。
(C)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
仮想ノードとの位相差Δφijに対する調整係数dを、第1の実施形態では、位相差Δφijに応じて定める関数を示し、第2の実施形態では、位相差Δφij及び衝突率ciに応じて定める関数を示したが、他のパラメータ又はパラメータ組によって、調整係数dを定める関数を適用するようにしても良い。例えば、調整係数dを、衝突率ciのみに応じて定める関数を適用しても良い。また例えば、関数に対するパラメータとして、衝突率ciに代えて、蓄積ストレスSiを利用するようにしても良い。
上記各実施形態においては、仮想ノードモデル計算手段36は、基本的には、自ノードの位相を算出する位相算出手段31に他ノードの仮想位相を入力するものであり、その仮想ノードモデル計算手段36の出力を通信可能区間計算手段37、37Aが利用するものを示したが、仮想ノードモデル計算手段36が、通信可能区間計算手段37、37Aが利用するためにだけ設けられたものであっても良い。すなわち、自ノードの位相を算出する位相算出手段31として、仮想ノードモデル計算手段36を利用しないものを適用している場合にも(例えば、特許文献1参照)、本発明の技術思想を適用することができる。
非線形振動をモデル化した数式などの演算手段を、例えば、ルンゲ・クッタ法等の一般的な数値計算法を用いて、ソフトウェアとしてノード上に実装するようにしても良い。なお、ルンゲ・クッタ法は、微分方程式を差分化(連続時間変数tを離散化)して得られる差分方程式(漸化式)を用いて状態変数の変化(時間発展)を計算する手法の一つである。また、ルンゲ・クッタ法よりも簡易な他の差分化法により得られる差分方程式を用いて状態変数の変化を計算することも可能である。さらに、上記演算を実行する電子回路を構成すれば、ハードウェアとしてノード上に実装することも可能である。
ノード間において送受信するインパルス信号の実現形態は、特定のタイミングを伝え合うことが可能であれば、特に制約はない。インパルス信号の最も簡単な実現形態の例として、ガウス分布や矩形等の関数形状を有する単一パルスが挙げられる。しかし、インパルス信号は必ずしも単一パルスである必要はなく、複数のパルスを用いて一つの意味を成すインパルス信号を構成する形態であっても構わない。例えば、特定のビットパターンに対応するパルス列を一つのインパルス信号として扱う形態である。各実施形態で説明したインパルス信号の示す意味は、特定のタイミングを示す信号ということを概念的に表すものであり、その実現形態は種々の形態が存在する。
本発明を実現する非線形振動をモデル化した数式の記述方法は、上記各実施形態や既に言及した変形実施形態に限定されない。例えば、「戸田盛和、渡辺慎介著、「非線形力学」、共立出版発行」に開示されるファン・デル・ポール方程式等の一般的な非線形振動やカオス振動のモデルを用いることも可能である。無論、ノード間における相互作用が、時間に関して離散的(パルス的)な場合、及び連続的な場合、ともに実現することが可能である。ファン・デル・ポール方程式は、電子回路上で発生する非線形振動現象をモデル化した式である。ファン・デル・ポール方程式による動作は、電子回路を用いてハードウェアとしてノード上に実装することが可能である。本発明は、時間や動作状態、あるいは相互作用等に関する離散モデル、及び連続モデル、その他、特定の振動現象を表現するモデルといった、個別的なモデルの記述方法の違いに依拠するものではなく、ある時間発展規則に従って動作状態が遷移する種々のモデルを用いて実現することが可能である。動作状態が周期的、あるいはカオス的に変化するモデルを用いる形態は、本発明の実施形態の例として位置付けられる。
各実施形態では、空間に分散配置された多数のノードが、相互に無線でデータをやり取りするシステムを想定してした。しかし、本発明の利用形態は、無線通信を行なうシステムに限定されない。空間に分散配置された多数のノードが、相互に有線でデータをやり取りするシステムに適用することも可能である。例えば、イーサネット(登録商標)などのように有線接続されたLANシステムに適用することも可能である。また、同様に有線接続されたセンサやアクチュエータ、あるいはサーバなど、異なる種類のノードが混在するネットワークに適用することも可能である。無論、有線接続されたノードと、無線接続されたノードが混在するネットワークに適用することも可能である。
本発明は、通信タイミング情報(実施形態での位相情報)の取得制御に特徴を有し、そのタイミング情報を通信にどのような利用するかは問われない。例えば、各ノードからのデータ信号の送信周波数が異なる場合であれば、タイムスロットを設定することなく通信を行なうようにしても良く、この場合であっても、データ通信の始期を通信タイミング情報から定めるようにすれば良い。
第1の実施形態の通信タイミング計算手段の詳細構成を示すブロック図である。 従来の課題の説明図(1)である。 従来の課題の説明図(2)である。 従来の課題の説明図(3)である。 従来の課題の説明図(4)である。 第1の実施形態に係るノードの通信タイミング制御装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の仮想ノードモデル計算手段の内部構成を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態の通信可能区間計算手段の計算方法の説明図である。 第1の実施形態で通信の衝突が起こらない理由の説明図である。 第2の実施形態の通信タイミング計算手段の詳細構成を示すブロック図である。
符号の説明
10…ノード、12、12A…通信タイミング計算手段、31…位相算出手段、32…衝突率算出手段、33…蓄積ストレス算出手段、34…ストレス応答関数値算出手段、35…位相応答関数特性決定手段、36…仮想ノードモデル計算手段、37、37A…通信可能区間計算手段。

Claims (5)

  1. 通信システムを構成する複数のノードのそれぞれに搭載されるものであって、自ノード及び他ノードの位相相互作用により、自ノードの位相状態を定めて、自ノードからのデータ送信のタイミングを決定する通信タイミング制御装置において、
    近傍ノードのデータ発信のタイミングを表す位相を反映させた上記近傍ノードからの位相指示タイミング信号の受信に基づき、当該発信元ノードに対する仮想的な位相状態を算出する仮想ノードモデル計算手段と、
    少なくとも、自ノードの位相状態と、上記仮想ノードモデル計算手段による近傍ノードの仮想的な位相状態とに基づき、自ノードからの位相指示タイミング信号及びデータの送信が衝突なく実行できる通信可能区間を算出する通信可能区間計算手段とを有し、
    上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態から定まる自ノードの通信開始可能時点と、上記仮想ノードモデル計算手段による近傍ノードの仮想的な位相状態から定まる、次に通信開始可能時点がくる近傍ノードの通信開始可能時点との差の区間より、マージン区間分だけ短い区間を、通信可能区間とし、
    上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態の算出時に用いる内部情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更し、
    自ノードの位相状態を算出する手段は、現在の衝突率を算出する衝突率算出手段が算出した衝突率の情報を利用するものであり、
    上記通信可能区間計算手段は、上記衝突率算出手段が算出した衝突率の情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更する
    ことを特徴とする通信タイミング制御装置。
  2. 上記通信可能区間計算手段は、上記差の区間に基づいて、上記マージン区間を動的に変更することを特徴とする請求項1に記載の通信タイミング制御装置。
  3. 通信システムを構成する複数のノードのそれぞれが実行するものであって、自ノード及び他ノードの位相相互作用により、自ノードの位相状態を定めて、自ノードからのデータ送信のタイミングを決定する通信タイミング制御方法において、
    仮想ノードモデル計算手段及び通信可能区間計算手段を備え、
    近傍ノードのデータ発信のタイミングを表す位相を反映させた上記近傍ノードからの位相指示タイミング信号の受信に基づき、当該発信元ノードに対する仮想的な位相状態を算出する、上記仮想ノードモデル計算手段が実行する仮想ノードモデル計算工程と、
    少なくとも、自ノードの位相状態と、上記仮想ノードモデル計算工程による近傍ノードの仮想的な位相状態とに基づき、自ノードからの位相指示タイミング信号及びデータの送信が衝突なく実行できる通信可能区間を算出する、上記通信可能区間計算手段が実行する通信可能区間計算工程とを含み、
    上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態から定まる自ノードの通信開始可能時点と、上記仮想ノードモデル計算手段による近傍ノードの仮想的な位相状態から定まる、次に通信開始可能時点がくる近傍ノードの通信開始可能時点との差の区間より、マージン区間分だけ短い区間を、通信可能区間とし、
    上記通信可能区間計算手段は、自ノードの位相状態の算出時に用いる内部情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更し、
    自ノードの位相状態を算出する手段は、現在の衝突率を算出する衝突率算出手段が算出した衝突率の情報を利用するものであり、
    上記通信可能区間計算手段は、上記衝突率算出手段が算出した衝突率の情報に基づいて、上記マージン区間を動的に変更する
    ことを特徴とする通信タイミング制御方法。
  4. 請求項1又は2に記載の通信タイミング制御装置を有することを特徴とするノード。
  5. 請求項に記載のノードを複数配置して有することを特徴とする通信システム。
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