JP4225178B2 - コンロッドの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コンロッドの製造方法及び製造装置に関するものである。
従来、自動車用ガソリンエンジンなどのレシプロエンジンにおいて、ピストンとクランクシャフトとの間を連結するコネクティングロッド(以下、コンロッドとする)は、その使用環境から座屈強度及び疲労強度に優れたものが必要であった。従って、コンロッドを製造する際には、焼入及び焼戻しや浸炭焼入により製品全体の硬化処理が行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−196044号公報
ところが、特許文献1に記載のコンロッドの製造方法においては、コンロッド全体が硬化処理を受けるため、硬化処理後は切削加工を行うことが困難になり、該コンロッドをピストン或いはクランクシャフトに確実に連結するために必要な切削加工が円滑に行われないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は所定の位置のみ硬化処理がなされたコンロッドの製造方法及び製造装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部と前記小端部と前記大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造する工程と、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程とを備えたコンロッドの製造方法において、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程に先立ち、前記コラム部を露出させた状態で小端治具及び大端治具により前記小端部及び大端部をそれらの厚さ方向両側からそれぞれ挟着保持するようにしてそれぞれ被覆する工程を備えることを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、小端部及び大端部には冷却水が吹き付けられないため、小端部及び大端部に焼入が行われることがない。従って、小端部及び大端部に比べて高いビッカース硬度を持つコラム部を備えたコンロッドが得られる。すなわち、コラム部のビッカース硬度が高く、且つ小端部及び大端部の被削性がよいコンロッドが得られる。
また、同発明によれば、小端部及び大端部の変形が抑制されるためコイニング工程を省略することができ、製造工程が短縮される
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる工程を備えたことを要旨としている。
請求項3に記載の発明は、ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部と前記小端部と前記大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造する工程と、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程とを備えたコンロッドの製造方法において、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程に先立ち、前記コラム部を露出させた状態で小端治具及び大端治具により前記小端部及び大端部をそれぞれ被覆する工程と、前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる工程とを備えたことをその要旨としている。
請求項2及び3に記載の発明によれば、小端部或いは大端部の近傍に冷却水が浸入しても、小端治具或いは大端治具の熱にて該冷却水を蒸発させることができる。従って、小端部或いは大端部に焼入が行われることが防止される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、前記小端部及び大端部を前記小端治具及び大端治具にて被覆することにより、該小端部及び大端部は互いに相対移動不能とされていることをその要旨としている。
請求項4に記載の発明によれば、コラム部の焼入の際に該コラム部の変態に伴う膨張が発生するが、小端部及び大端部が相対移動不能とされているため、該変態膨張の力が残留応力に変換され、コラム部が高強度化される。
請求項に記載の発明は、請求項の何れか一項に記載の発明において、前記コラム部に冷却水を吹き付ける際、前記小端部及び前記大端部から前記コラム部に向かって空気を送出する工程を備えたことを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、小端部或いは大端部の近傍に冷却水が浸しても、小端部或いは大端部に向かって送出される空気にて冷却水の浸水が抑制される。
請求項に記載の発明は、ピストンに連結される小端部と、クランクシャフトに連結される大端部と、前記小端部と大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造し、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行うコンロッドの製造装置において、前記小端部を被覆する小端治具と、前記大端部を被覆する大端治具とを備え、前記小端治具及び前記大端治具は、コラム部を露出させた状態で前記小端部及び前記大端部をそれらの厚さ方向両側からそれぞれ挟着保持することを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、小端部を小端治具にて被覆し、大端部を大端治具にて被覆してコラム部の焼入を行うことで、コラム部にのみ焼入が行われる。従って、小端部及び大端部の被削性を損なわずにコラム部のビッカース硬度が向上される。
また、同発明によれば、小端部及び大端部の変形が抑制されるためコイニング工程を省略することができ、製造工程が短縮される
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる加熱手段を備えていることを要旨としている。
請求項8に記載の発明は、ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部と前記小端部と前記大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造し、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行うコンロッドの製造装置において、前記小端部を被覆する小端治具と、前記大端部を被覆する大端治具と、前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる加熱手段とを備えていることをその要旨としている。
請求項7及び8に記載の発明によれば、小端部或いは大端部に向かって冷却水が浸水しても、小端治具或いは大端治具の熱にて該冷却水を蒸発させることができる。従って、小端部或いは大端部に焼入が行われることが防止される。
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8の何れか一項に記載の発明において、前記小端治具及び前記大端治具により前記小端部及び前記大端部を被覆することによりそれら小端部及び前記大端部は互いに相対移動不能とされることをその要旨としている。
請求項9に記載の発明によれば、コラム部の焼入の際に該コラム部の変態に伴う膨張が発生するが、小端部及び大端部が相対移動不能とされているため、該変態膨張の力が残留応力に変換され、コラム部が高強度化される。
請求項10に記載の発明は、請求項の何れか一項に記載の発明において、
前記小端治具は、該小端治具と前記小端部との間隙からコラム部に向かって空気を送出する第一の空気送出手段を備え、前記大端治具は、該大端治具と前記大端部との間隙からコラム部に向かって空気を送出する第二の空気送出手段を備えていることを要旨としている。
請求項10に記載の発明によれば、小端部或いは大端部の近傍に冷却水が浸しても、小端部或いは大端部に向かって送出される空気にて冷却水の浸水が抑制される。
本発明の一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
レシプロエンジンなどにおいて、ピストンとクランクシャフトとの間を連結するコネクティングロッド1(以下、コンロッド1とする)は、図1に示すように、平面視略Y字状に形成されており、コラム部2、小端部3及び大端部4を備えている。コンロッド1は炭素鋼、合金鋼などの機械構造用鋼にて構成されている。
コラム部2は、高い座屈強度と軽量化を果たすため断面I字状に形成されており、直線X1及び直線X2に挟まれた所定範囲Xに亘って焼入による硬化処理が行われている。コラム部2の組織は焼入によりマルテンサイト形態をなしており、そのビッカース硬度は約350HVに設定されている。
小端部3はコラム部2よりやや幅広に形成されており、その中心部には該小端部3をピストンに連結するための第一連結孔3aが形成されている。第一連結孔3aの内周面は、ピストンの往復運動を確実にコンロッド1に伝達するために滑らかに連続しており、その半径はr1に設定されている。小端部3は冷間鍛造(コイニング)により形成されており、そのビッカース硬度はコラム部2のビッカース硬度未満、即ち350HV未満に設定されている。
大端部4はコラム部2から二股に分かれて延設される第一大端部4a及び第二大端部4bにて構成されている。第一大端部4aと第二大端部4bの間には半円形状に連続する端面が形成されており、該半円の半径はr1より大きいr2に設定されている。大端部4はコイニングにより形成されており、そのビッカース硬度はコラム部2のビッカース硬度未満、即ち350HV未満に設定されている。
このように形成された大端部4には仮想線で示す対向部材5がボルト6にて一体に取着されることで、クランクシャフトに連結するための第二連結孔7が形成される。第二連結孔7の内周面は、コンロッド1の運動を確実にクランクシャフトに伝達するために滑らかに連続している。
ここで、コンロッド1に焼入を行う範囲Xについて説明する。直線X1及び直線X2は、第一連結孔3a及び第二連結孔7の内周面の被削性を確保でき、且つコラム部2に高い座屈強度を付与できる範囲で設定されている。具体的には、直線X1は第一連結孔3aの中心から距離L1だけ離間した位置に設定されており、該距離L1は第一連結孔3aの半径r1以上且つ第一連結孔3aの直径(即ち半径r1×2)未満に設定されている。また、直線X2は第二連結孔7の中心から距離L2だけ離間した位置に設定されており、該距離L2は第二連結孔7の半径r2以上且つ第二連結孔7の直径(即ち半径r2×2)未満に設定されている。
尚、上記コラム部2、小端部3及び大端部4のビッカース硬度の条件、或いは距離L1及び距離L2の大きさの条件は、図4に示す実験値により算出されている。具体的には、第一連結孔3aの半径r1が10mmに設定され、第二連結孔7の半径r2が30mmに設定されているコンロッド1が用いられており、該コンロッドにて各種評価が行われている。
即ち、第一連結孔3aの中心から直線X1までの距離L1、第二連結孔7の中心から直線X2までの距離L2、コラム部2のビッカース硬度H1、小端部3及び大端部4のビッカース硬度H2を種々に変化させた時のコンロッド1の強度及び小端部3及び大端部4の被削性について、その適正が判断されている。
次に、上述したコンロッド1の製造方法について説明する。
コンロッド製造装置は、先ず、機械構造用鋼を鍛造することでコンロッド1の外形を成形する。コンロッド1の外形を成形すると、コンロッド製造装置は、コンロッド1を約750℃以上の温度まで熱し、図2(a)及び図2(b)に示すように、範囲Xを除く箇所、即ち小端部3近傍及び大端部4近傍をそれぞれ小端部被覆手段としての小端治具8及び大端部被覆手段としての大端治具9にて厚さ方向に挟着保持する。
ここで、小端部3近傍を挟持する小端治具8及び大端部4近傍を挟持する大端治具9について説明する。小端治具8はコンロッド1の厚さ方向(図2(b)において上下方向)に分割可能な第一小端治具8a及び第二小端治具8bを備えており、大端治具9はコンロッド1の厚さ方向(図2(b)において上下方向)に分割可能な第一大端治具9a及び第二大端治具9bを備えている。第一小端治具8aには第一挟持凹部10が、第二小端治具8bには第二挟持凹部11がそれぞれ形成されており、第一小端治具8a及び第二小端治具8bは両挟持凹部10,11にて小端部3をその厚さ方向両側から被覆可能に形成されている。第一挟持凹部10及び第二挟持凹部11は、小端部3を挟持する際、該小端部3をその厚さ方向に挟着保持可能な深さに設定されている。
第一小端治具8a及び第二小端治具8bには互いの当接面上の対応する位置にそれぞれ半円状の凹溝12が形成されている。従って、第一小端治具8aと第二小端治具8bとを当接させると両小端治具に形成された凹溝によって断面円形状の第一の空気送出手段としての第一送風管13が形成される。図2(a)に示すように、第一送風管13は小端治具8の一端(図2(a)において左端)に形成された送風口13aから第一挟持凹部10及び第二挟持凹部11に向かって延設された後、該小端治具8の略中央位置でコンロッド1の幅方向両側に分岐され、第一挟持凹部10及び第二挟持凹部11の側壁まで連通されている。このように形成された小端治具8は、送風口13aから第一送風管13内に空気を供給することで第一挟持凹部10及び第二挟持凹部11とコンロッド1との間に形成された間隙より空気を吹き出すことができる。
第一小端治具8a及び第二小端治具8bにはそれぞれ厚さ方向略中央位置に加熱手段としてのニクロム線ヒータ14が挿入されている。ニクロム線ヒータ14は第一小端治具8a或いは第二小端治具8bをそれぞれ加熱可能に配設されており、第一小端治具8a及び第二小端治具8bは小端部3を挟持する際に約500〜700℃程度に加熱される。
第一大端治具9aには第三挟持凹部15が、第二大端治具9bには第四挟持凹部16がそれぞれ形成されており、第一大端治具9a及び第二大端治具9bは両挟持凹部15,16にて大端部4をその厚さ方向両側から被覆可能に形成されている。第三挟持凹部15及び第四挟持凹部16は、大端部4を挟持する際、該大端部4をその厚さ方向に挟着保持可能な深さに設定されている。
第一大端治具9a及び第二大端治具9bには互いの当接面上の対応する位置にそれぞれ半円状の凹溝17が形成されている。従って、第一大端治具9aと第二大端治具9bとを当接させると両大端治具9に形成された凹溝17によって断面円形状の第二の空気送出手段としての第二送風管18が形成される。図2(a)に示すように、第二送風管18は大端治具9の一端(図2(a)において右端)に形成された送風口18aからコンロッド1の幅方向両側に分岐され、第三挟持凹部15及び第四挟持凹部16の側壁まで連通されている。このように形成された大端治具9は、送風口18aから第二送風管18内に空気を供給することで第三挟持凹部15及び第四挟持凹部16とコンロッド1との間に形成された間隙より空気を吹き出すことができる。
第一大端治具9a及び第二大端治具9bにはそれぞれ厚さ方向略中央位置に加熱手段としてのニクロム線ヒータ19が挿入されている。ニクロム線は第一大端治具9a或いは第二大端治具9bをそれぞれ加熱可能に配設されており、第一大端治具9a及び第二大端治具9bは大端部4を挟持する際に約500〜700℃程度に加熱される。
コンロッド製造装置は、このように形成された小端治具8及び大端治具9にてコンロッド1の小端部3及び大端部4をそれぞれ厚さ方向に挟着保持するとともに、コンロッド1の長手方向両端部に小端治具8及び大端治具9を当接させることで、小端部3及び大端部4がコンロッド1の長手方向に相対移動しないようにしている。
小端治具8及び大端治具9にてコンロッド1を挟持すると、コンロッド製造装置は、第一送風管13及び第二送風管18に空気を供給するとともに、コラム部2の範囲Xにシャワーにて冷却水を散布し、該範囲Xがマルテンサイト形態へと変化するように焼入を行う。
コンロッド製造装置は、コラム部2に焼入を行う際に第一送風管13及び第二送風管18に空気を供給しているため、第一挟持凹部10及び第二挟持凹部11とコンロッド1との間に形成された隙間から矢印Aに示す空気を送出することができる。又、第三挟持凹部15及び第四挟持凹部16とコンロッド1との間に形成された間隙からは矢印Bに示す空気を送出することができる。従って、コンロッド製造装置は、矢印A及び矢印Bに示す空気にて冷却水を吹き飛ばし、コラム部2から小端部3或いは大端部4に向かう冷却水の浸水を抑制することができる。
また、小端治具8及び大端治具9は、ニクロム線ヒータ14,19にて共に約500〜700℃程度に加熱されているため、前記冷却水がコラム部2から小端部3或いは大端部4に向かって浸水しようとした場合にも該冷却水が小端部3或いは大端部4に至る前に小端治具8或いは大端治具9の熱にて蒸発させることができる。従って、コンロッド製造装置は小端部3或いは大端部4に焼入が行われることを確実に防ぐことができる。
コラム部2に焼入が行われて、該焼入箇所がマルテンサイト形態へと変化する際には、コラム部2の体積が膨張しようとして、コンロッド1には主に該コラム部2の長手方向へ向かう応力が発生する。しかし、コンロッド製造装置は、小端部3及び大端部4がコンロッド1の長手方向に移動しないように挟持しているため、実際にはコンロッド1は長手方向に膨張せず、コンロッド1を長手方向に膨張させようとする力は圧縮応力としてコラム部2に残留する。
図3はコンロッド表面からの深さと残留応力との関係を示す特性図である。横軸はコンロッド表面からの深さを示し、縦軸は残留応力を示す。実線D1は本実施形態、即ち、小端治具8及び大端治具9にてコンロッド1の長手方向への膨張を抑制した状態でコラム部2に焼入を行った場合のコラム部2表面からの深さとその残留応力との関係を示す特性図である。また、破線D2は従来の方法、即ちコンロッド1の長手方向への膨張を抑制せずにコラム部2に焼入を行った場合のコラム部2表面からの深さとその残留応力との関係を示す特性図である。図に示すように、コンロッド1の長手方向への膨張を抑制した状態でコラム部2に焼入を行うことで、従来に比べてコラム部2に大きな応力が残留し、コンロッド1の強度が向上する。
以上詳述したように、上記実施形態にかかるコンロッドとその製造方法及び製造装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)コンロッド製造装置は小端部3及び大端部4をそれぞれ小端治具8或いは大端治具9にて被覆した状態でコラム部2に冷却水を散布し、該コラム部2の焼入を行う。従って、コラム部2に焼入を行う際に予期せず小端部3及び大端部4に冷却水がかかることが無く、コンロッド製造装置はコラム部2のみに確実に硬化処理を施すことができる。その結果、小端部3及び大端部4に比べて高いビッカース硬度を持つコラム部2を備えたコンロッドを得ることができ、コラム部2の硬度を高く設定しながら、被削性のよい小端部3及び大端部4を持つコンロッドを得ることができる。
(2)コンロッド製造装置はコラム部2に焼入を行う際、小端部3及び大端部4を小端治具或いは大端治具9にて挟着保持する。従って、コンロッド製造装置はコラム部2の焼入に伴う応力にて小端部3及び大端部4が変形することを防ぐことができる。そのため小端部3及び大端部4の変形に伴うコイニング工程を省略することができ、コンロッドの製造工程を短縮することができる。
(3)コンロッド製造装置はコラム部2に焼入を行う際、小端治具8及び大端治具9をコンロッド1の長手方向両端部に当接させ、小端部3及び大端部4がコンロッド1の長手方向に相対移動しないように該コンロッド1を固定している。従って、コラム部2の焼入箇所が膨張しても小端部3と大端部4の相対位置が変化せず、該膨張力は圧縮応力としてコラム部2に残留する。そして、該圧縮応力によりコラム部2の強度を高めることができる。
(4)コンロッド製造装置は小端治具8及び大端治具9を加熱した状態で小端部3及び大端部4を挟持している。そのため、冷却水がコラム部2から小端部3或いは大端部4に向かって浸水してきても、小端治具8及び大端治具9の熱により該冷却水を蒸発させることができる。従って、コラム部2の焼入の際に冷却水が浸水することによる小端部3及び大端部4の焼入の発生を防ぐことができる。
(5)コンロッド製造装置はコラム部2に焼入を行う際、矢印Aに示す空気にて小端部3及び大端部4への冷却水の浸水を抑制することができる。従って、小端部3及び大端部4の焼入の発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態において、コラム部は断面I字状に形成されていたが、断面H字状に形成されたコラム部であってもよい。
・上記実施形態において、コラム部に形成された焼入箇所のビッカース硬度は約350HVに設定されていたが、コンロッドの使用環境において充分な座屈強度を備えていればよくビッカース硬度は適宜変更してもよい。
・上記実施形態において、小端部3及び大端部4のビッカース硬度は約350HV未満に設定されていたが、コンロッドの使用環境において充分な座屈強度を備えるとともに、第一連結孔3a或いは第二連結孔7を形成する際に、その内周面の被削性が良好であればよくビッカース硬度は適宜変更してもよい。
具体的には、図4に示すように、距離L1を10mm、距離L2を60mmとし、コラム部2のビッカース硬度H1を350HV、小端部3及び大端部4のビッカース硬度H2を260HVとしたものでもよい。また、距離L1を14mm、距離L2を40mmとし、コラム部2のビッカース硬度H1を350HV、小端部3及び大端部4のビッカース硬度H2を340HVとしたものでもよい。
コンロッドの説明図。 (a)、(b)はコンロッドの製造工程の説明図。 コラム部に残留する応力を示す特性図。 各種条件に対応するコンロッドの強度及び被削性の評価図。
符号の説明
1…コンロッド、2…コラム部、3…小端部、4…大端部、8…小端部被覆手段としての小端治具、9…大端部被覆手段としての大端治具、14,19…加熱手段としてのニクロム線ヒータ。

Claims (10)

  1. ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部と前記小端部と前記大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造する工程と、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程とを備えたコンロッドの製造方法において、
    前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程に先立ち、前記コラム部を露出させた状態で小端治具及び大端治具により前記小端部及び大端部をそれらの厚さ方向両側からそれぞれ挟着保持するようにしてそれぞれ被覆する工程を備えることを特徴とするコンロッドの製造方法。
  2. 前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンロッドの製造方法
  3. ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部と前記小端部と前記大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造する工程と、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程とを備えたコンロッドの製造方法において、
    前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行う工程に先立ち、前記コラム部を露出させた状態で小端治具及び大端治具により前記小端部及び大端部をそれぞれ被覆する工程と、
    前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる工程とを備えたことを特徴とするコンロッドの製造方法。
  4. 前記小端部及び大端部を前記小端治具及び大端治具にて被覆することにより、該小端部及び大端部は互いに相対移動不能とされていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のコンロッドの製造方法。
  5. 前記コラム部に冷却水を吹き付ける際、前記小端部及び前記大端部から前記コラム部に向かって空気を送出する工程を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のコンロッドの製造方法。
  6. ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部と前記小端部と大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造し、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行うコンロッドの製造装置において、
    前記小端部を被覆する小端治具と、前記大端部を被覆する大端治具とを備え、
    前記小端治具及び前記大端治具は、コラム部を露出させた状態で前記小端部及び前記大端部をそれらの厚さ方向両側からそれぞれ挟着保持することを特徴とするコンロッドの製造装置
  7. 前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる加熱手段を更に備えていることを特徴とする請求項6に記載のコンロッドの製造装置
  8. ピストンに連結される小端部と、クランクシャフトに連結される大端部と、前記小端部と前記大端部との間を連結するコラム部とを一体に鍛造し、前記コラム部に冷却水を吹き付けることで焼入を行うコンロッドの製造装置において、
    前記小端部を被覆する小端治具と、前記大端部を被覆する大端治具と、
    前記小端治具及び前記大端治具を加熱することにより前記小端部及び大端部の近傍に浸入しようとする前記冷却水を蒸発させる加熱手段とを備えていることを特徴とするコンロッドの製造装置。
  9. 前記小端治具及び前記大端治具により前記小端部及び前記大端部を被覆することによりそれら小端部及び前記大端部は互いに相対移動不能とされることを特徴とする請求項6〜の何れか一項に記載のコンロッドの製造装置。
  10. 前記小端治具は、該小端治具と前記小端部との間隙からコラム部に向かって空気を送出する第一の空気送出手段を備え、前記大端治具は、該大端治具と前記大端部との間隙からコラム部に向かって空気を送出する第二の空気送出手段を備えていることを特徴とする請求項6〜の何れか一項に記載のコンロッドの製造装置。
JP2003354048A 2003-10-14 2003-10-14 コンロッドの製造方法及び製造装置 Expired - Fee Related JP4225178B2 (ja)

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