JP4223368B2 - サーモプロテクタ - Google Patents
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弾性歪エネルギー型としては、例えば図8の(イ)に示すように弾性金属環1'を強制的に扁平に曲げ、この曲げ弾性金属環1'を曲げ反力に抗し一対の電極4',4'に所定融点の可溶合金(はんだ)2'で固定して弾性歪エネルギーを蓄積させ、周囲温度が可溶合金2'の融点まで昇温して可溶合金が溶融されると、図8の(ロ)に示すように弾性金属環1'の弾性歪エネルギーを解放し弾性金属環1'と一方の電極4'との接合を脱離して通電を遮断するものが知られている(特許文献1参照)。
また、図9の(イ)に示すように一端にリード端子13'を取付けた金属ケース14'内に一端側から所定融点のペレット2'、座板15'、圧縮スプリング1'、座板16'を順次に収容し、更に外周が金属ケース内面に摺動接触されたコンタクト42'を収容し、リードピン貫通ブッシング17'を金属ケース14'の他端側に固定し、このブッシング17'とコンタクト42'との間に引外しスプリング18'を組み込んでリード端子13'→金属ケース14'→コンタクト42'→リードピン41'を経る導通路を構成し、周囲温度がペレット2'の融点まで昇温されてペレット2'が溶融されると、図9の(ロ)に示すように圧縮スプリング1'の圧縮応力を解放させて引外しスプリング18'の圧縮応力でリードピン41'の先端からコンタクト42'を離隔させて前記導通路を遮断するものも知られており、いわゆる、ペレットタイプ温度ヒューズと称されている(非特許文献1参照)。
前記の熱応力型としては、既述した通りバイメタルスイッチが知られている。
また、図9に示すペレットタイプでは、座板による均圧化のためにペレットを一様に圧縮できても構造が複雑であり、小型化やコスト面での不利を免れ得ない。
更に、バイメタルタイプは復帰型であり、オン・オフの繰返しが進むにつれてヒステリシスにより動作温度が経時的に上昇する危険性がある。
また、サーモプロテクタでの実質的な電流経路が、一方の電極→弾性導電材からなる環状体の導電体→他方の電極であり、可溶材への通電が殆ど生じないから、可溶材の通電発熱が実質的に発生しない。更に、糸引きによる動作不良を防止できる。
従って、安定な動作を保証でき、可溶材の融点若しくは軟化点で正確に動作させることができ、バイメタルタイプでのオン・オフの繰返しが進むにつれてヒステリシスにより動作温度が経時的に上昇する不具合も排除できる。
図1の(イ)は、曲率半径rに曲げ加工した弾性導電材を示し、全長Lが2πr以上であり、両端部の重ね代が(L−2πr)とされている。
図1の(ロ)〜(ハ)はサーモセンサを示し、図1の(ロ)のように両端部の重ね代を周方向拡開力により減じて弾性導電環状体1の半径を前記rよりRに拡径し、この拡径状態のままで図1の(ハ)のように重ね両端部を可溶材2で接合してある。
この場合、拡径に従い周方向圧縮反力が増加していき、半径Rになったときの周方向圧縮反力をTとする。
この曲げ歪エネルギーWは前記周方向拡開力が為す仕事W’に釣り合う。この仕事W’は、周方向拡開に基づく拡開距離が2π(R−r)であるから、ほぼ
〔数1〕
τ=EI(R−r)/(Sr2R) (1)
で与えられる。
導電材には、銅のような高導電率の金属の他、比抵抗値の相当に高い材料も含まれる。
前記可溶材2には、はんだのような低融点可溶合金や熱可塑性樹脂を使用できる。これら可溶材2の融点若しくは軟化点よりも、前記弾性導電材1の金属や合成樹脂の融点若しくは軟化点が低く設定される。
弾性導電材が弾性金属単体の場合、可溶材にははんだ等の低融点合金を用いることができ、この場合の可溶材による接合は、弾性導電材の重ね両端部間にはんだシートを介在させ、はんだシートと弾性金属材との間にフラックスを塗布したうえではんだを加熱溶融させることにより行なうことができる。その加熱には、通電加熱、電磁誘導加熱等を用いることができる。
拡径前の半径rの弾性導電環状体は、半径rの弾性導電筒状体をスパイラル状に切断すると共にスパイラル1ピッチ以上の長さで切断する方法、弾性導電帯条体または線状体を回転マンドレルにスパイラル状に巻き付けて曲げ加工しつつこれをマンドレル先端から送り出すと共にスパイラル1ピッチ以上の長さで切断する方法等による得ることができる。
かかる弾性導電環状体を有するサーモセンサでは、前記した動作後、すなわち可溶材の溶融若しくは軟化により半径Rの弾性導電環状体が縮径された後の半径が前記の半径rよりもやや大きくなるが、この半径が前記半径Rよりも充分に小であれば、前記の残留歪は許容できる。
前記環状体の巻数は、図1に示した単数の他、多重とすることもできる。多重とすれば、式(1)において、接合面積Sを大きくでき、前記剪断反力Tを広い接合界面に分散させ得、接合界面の剪断応力τの低減を促すことができるから、弾性導電材が高弾性でその弾性率Eが高くても、剪断応力τを低く保持してサーモセンサの安定性保持を確保できる。
図2において、3は絶縁体ハウジングであり、一対の電極部材41,42を固着してある。この電極部材は、図4にも示されているように本体部411(421)と扁平リード部412(422)とを備えている。前記絶縁体ハウジング3は、例えば射出成形により製作でき、チャージ樹脂には前記可溶材の融点若しくは軟化点よりも高軟化点の合成樹脂を用いることができる。電極材の固着は、金型に一対の電極材をセットしてハウジングを射出成形すること、またはスリット付きハウジングを成形し、そのスリットに電極材の本体部を差し込み、その本体部をハウジング内面に接着剤またはリベッティング等で固定することにより行なうことができる。
図2において、51はハウジング3の底側に嵌合または接着したベース絶縁体、例えばセラミックス板、ガラス繊維強化ポリエステル樹脂板のようなFRP板、耐熱性プラスチック板等である。
Aは本発明に係るサーモセンサであり、その外径Rを電極41,42の本体部411,421の間隔Gよりも大として電極の本体部411,421間に弾性的に挾持してある。このサーモセンサAの弾性導電環状体1が金属箔と合成樹脂との積層体である場合、環状体の外周面は金属箔面とされる。
52はハウジング3の上面側に嵌合または接着したカバープレートであり、例えばセラミックス板、ガラス繊維強化ポリエステル樹脂板のようなFRP板、耐熱性プラスチック板等を使用できる。
上記サーモプロテクタにおいて、外部温度の上昇によりサーモセンサAの可溶材が溶融若しくは軟化されると、サーモセンサの弾性導電環状体(半径R)に蓄えられた弾性曲げ歪エネルギーが解放され図3に示すように環状体1の半径が元の半径r(R>r)に縮径復元されて電極41,42とサーモセンサとの接触が解除される。
この保護によれば、機器が過電流に基づき異常発熱すると、その発生熱で当該サーモセンサの可溶材が溶融若しくは軟化されて電極とサーモセンサとの接触解除により機器への通電が遮断される。従って、機器の温度がほぼ可溶材の融点若しくは軟化点Tmに達すると、サーモプロテクタの動作により機器への給電が遮断されて機器の上昇温度が前記温度Tmを越えるのを防止でき、機器の耐熱温度に相応して可溶材の融点若しくは軟化点を設定することにより、機器の過電流に基づく異常発熱を抑制し、ひいては機器の火災を未然に防止できる。
図2の(イ)において、サーモセンサと電極との接触圧力pは、可溶材2による接合部に曲げモーメントとして作用するだけであり、この曲げモーメントにより接合部に作用する応力が剪断応力であるから、接触圧力pの作用にもかかわらず、上記安定性保証を確保できる。
前記サーモセンサと電極との接触部に臨んで導電材を付加しても、当該電極とサーモセンサとの間の抵抗を充分に低くして前記した良好な導通性を保証できる。その導電材には、融点若しくは軟化点が前記可溶材の融点若しくは軟化点よりも低い可溶合金、金属粒等の導電粒混合の導電性合成樹脂を使用でき、その付加量は接触部脱離時の導電材の糸引きを回避できる程度に調整してある。
このサーモプロテクタでは可溶材の溶融若しくは軟化以前に導電材が溶融若しくは軟化されるから、このサーモプロテクタにおいても円滑な動作を保証できる。
近来、環境衛生上、PbやCd等の生体系に有害な金属元素を含まない低融点合金を使用することがはんだの分野で要請されており、本発明においては、可溶材に比抵抗値の制約を受けることなく鉛やCd等フリーの低融点合金を使用できる。
前記抵抗材としては、鉄やクローム等の合金材、酸化金属粉等の抵抗粉体を混合した合成樹脂材を使用することもできる。
弾性導電材の導電材にこれらの抵抗材を使用することに代え、図1のサーモプロテクタにおいて、電極とサーモセンサとの接触面に抵抗体チップを介在させることも可能である。
図5は前記した2次電池の過充電保護回路の一例を示し、充電機Eと二次電池Bとの間にツエナダイオードD、トランジスタTr、本発明に係る抵抗型サーモプロテクタC1,C2等を接続してある。
而して、二次電池Bの端子電圧が過充電で急峻に変化されるとツエナダイオードDが導通され、トランジスタTrのベース−エミッタ間の導通によりサーモプロテクタC1,C2に二次電池B、充電機Eを電源として電流が流され、サーモプロテクタC1,C2の抵抗体の発熱で可溶材が溶融若しくは軟化されて二次電池Bが充電機Eから遮断される。
図6の(イ)において、3はハウジングであり、固定接点部4110を有する電極材41と可動接点部4210を有する電極材42とを固設してある。51はハウジング3の底側に嵌合または接着したベースプレートである。Aはサーモセンサであり、曲率半径rの環状弾性材(弾性金属材、FRPのような弾性樹脂材、複合弾性材等)の両端部を重ねた状態で半径R(R>r)の環状体1に拡径成形しその両端部を可溶材2で接合して弾性歪エネルギーを付与し、可溶材2の溶融乃至は軟化による弾性歪エネルギーの解放で前記曲率半径rの環状体に縮径させるようにしてあり、可動接点部4210の背後のハウジング内空間に装着しその弾性反力で可動接点部4210を固定接点部4110に接触させてある。ハウジングの上側に嵌合したカバープレートは図示されていない。
このサーモプロテクタの動作について説明すると、外部温度の上昇により可溶材がその融点若しくは軟化点にまで加熱されると、サーモセンサの弾性材の曲げ歪エネルギーにより図6の(ロ)に示すようにサーモセンサAが半径rに縮径されて可動接点部4210が固定接点部4110から脱離され、非復帰の通電オフが完結される。
図7の(イ)は、r>Rとしたサーモプロテクタの一実施例の動作前の平面図を、図7の(ロ)同じく動作後の平面図を示している。
図7の(イ)において、3はハウジングであり、可動接点部420を有する一対の電極材42,42を固設してある。51はハウジング3の底側に嵌合または接着したベースプレートである。Aはサーモセンサであり、曲率半径Rの環状弾性材(弾性金属材、FRPのような弾性樹脂材、複合弾性材等)の両端部を重ねた状態で半径r(R>r)の環状体1に縮径成形しその両端部を可溶材2で接合して弾性歪エネルギーを付与し、可溶材2の溶融乃至は軟化による弾性歪エネルギーの解放で前記曲率半径Rの環状体に拡径させるようにしてあり、前記両電極材42,42の接点部420,420間に収容してある。ハウジングの上側に嵌合したカバープレートは図示されていない。
このサーモプロテクタの動作について説明すると、外部温度の上昇により可溶材がその融点若しくは軟化点にまで加熱されると、サーモセンサAの環状弾性材1の曲げ歪エネルギーにより図7の(ロ)に示すようにサーモセンサAが半径Rに拡径され、その拡径で両可動接点部420,420が拡開され、非復帰の通電オフが完結される。
2 可溶材
A サーモセンサ
3 ハウジング
41 電極
42 電極
Claims (12)
- 所定曲率半径rの弾性導電材の両端部を重ねた状態で前記所定半径rより大なる半径Rの環状体に拡径成形しその両端部を可溶材で接合して弾性歪エネルギーを付与し、可溶材の溶融乃至は軟化による弾性歪エネルギーの解放で前記所定曲率半径rの環状体に縮径させるように可溶材の融点乃至は軟化点を動作温度とするサーモセンサを一対の電極間に挾持したことを特徴とするサーモプロテクタ。
- 弾性導電材が金属単体、または樹脂と導電性粒子との混合体であることを特徴とする請求項1記載のサーモプロテクタ。
- 弾性導電材が金属箔と樹脂との積層体であり、環状体の外周面が金属箔面であることを特徴とする請求項1記載のサーモプロテクタ。
- 接合される弾性導電材両端部の接合面に、孔、窪みまたは切欠きを設けて可溶材を食い込ませたことを特徴とする請求項1〜3何れか記載のサーモプロテクタ。
- 接合される弾性導電材両端部の接合面を粗面としたことを特徴とする請求項1〜4何れか記載のサーモプロテクタ。
- 可溶材が低融点金属であることを特徴とする請求項1〜5何れか記載のサーモプロテクタ。
- 可溶材が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5何れか記載のサーモプロテクタ。
- 弾性導電材環状体が多重コイル状であることを特徴とする請求項1〜7何れか記載のサーモプロテクタ。
- 電極間の間隔GがR>G>rであることを特徴とする請求項1〜8何れか記載のサーモプロテクタ。
- 電極の弾性応力によりサーモセンサが加圧されていることを特徴とする請求項1〜9何れか記載のサーモプロテクタ。
- 電極とサーモセンサとの接触箇所に、融点若しくは軟化点が可溶材のそれよりも低い可溶導電材が付加されていることを特徴とする請求項1〜10何れか記載のサーモプロテクタ。
- 電極とサーモセンサとの接触箇所に、通電で発熱して可溶材を溶融若しくは軟化させる抵抗体が介在されていることを特徴とする請求項1〜11何れか記載のサーモプロテクタ。
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