JP4220314B2 - 装着型軟x線検出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用者が容易に携行することができる装着型軟X線検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギーが3〜9.5keVで、主波長が2オングストロームの軟X線を用いたイオナイザー等の装置が市販されている。この種の軟X線(3〜9.5keV)は、エネルギーが低いために測定が困難であり、その検出器としては、従来、電離箱式サーベーメータ(例えば、米国ビクトリーン社 450B−SI)が使用されていた。その他の測定器や個人被曝線量測定用具は、約20〜50keV以上の放射線線量の測定に用いられるものであるため、軟X線(3〜9.5keV)のような低エネルギーの放射線線量の測定には不適当であったからである。なお、電離箱式のX線検出器としては、特許文献1に示したような技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−317191号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような電離箱式サーベーメータは、測定に必要な線量を確保するために、サイズを大きくする必要があるため(例えば、米国ビクトリーン社 450B−SIは、約120×120×200mm)、個人被曝線量測定用具として、作業員が胸部等に装着して作業中の被曝量を測定することは困難であった。そのため、現状では、作業者がどの程度被曝したか、あるいは被曝限度を超えているかどうかを知るための手段がなかった。また、電離箱式サーベーメータは高価であるため、それに代わって、安価で簡単に被曝量を測定できる検出器の開発が切望されていた。
【0005】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、作業員等が携行しやすい、小型で安価な装着型軟X線検出器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の装着型軟X線検出器は、樹脂製のチャンバの一側面に形成した開口部に、軟X線透過フィルムが配設され、前記軟X線透過フィルムが配設された面に隣接する一側面に、前記チャンバの内部を外部から目視可能な窓部が形成され、前記チャンバの内部には誘電体部材よりなる誘電体ボールが封入されるとともに、金属製の帯電プレートが、その長手方向を前記誘電体ボールの落下方向と略同一方向にして配設され、本検出器の装着前に、前記帯電プレートを所定の電荷量に帯電することにより、前記誘電体ボールを前記帯電プレートの所定の位置に付着させ、本検出器の装着後に、軟X線の被曝量が予め設定した限度量を超えた場合に、前記誘電体ボールが落下するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
上記のような構成を有する請求項1に記載の発明によれば、被曝した軟X線の電離作用により発生した正負イオンが帯電プレート上の静電荷を中和し、その被曝量に応じて静電荷量が次第に減少していき、軟X線の被曝量がある一定値を超えると誘電体ボールが落下するため、被曝量(積算線量)がある一定値を超えたことを検出器の外部から目視で容易に確認することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の装着型軟X線検出器において、前記帯電プレートを帯電する所定の電荷量が、軟X線の被曝量が予め設定した限度量を超えた場合に前記誘電体ボールが落下するような値に設定されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項2に記載の発明によれば、軟X線の被曝限度量の設定を変更した場合でも、それに応じて、帯電プレートを帯電する電荷量を適宜変更することにより容易に対応することができる。
【0009】
請求項3に記載の装着型軟X線検出器は、樹脂製のチャンバの一側面に形成した開口部に、軟X線透過フィルムが配設され、前記軟X線透過フィルムが配設された面に隣接する一側面に、前記チャンバの内部を外部から目視可能な窓部が形成され、前記チャンバの内部には、中央部が湾曲した金属製の帯電プレートが略水平に配設されると共に、誘電体部材よりなる誘電体ボールが封入され、本検出器の装着前に、前記帯電プレートを所定の電荷量に帯電することにより、前記誘電体ボールを前記帯電プレートの所定の位置に付着させ、本検出器の装着後に、軟X線の被曝量に応じて、前記誘電体ボールが、前記帯電プレートの湾曲部内を移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
上記のような構成を有する請求項3に記載の発明によれば、帯電プレートの設置方向が水平に近いため、誘電体ボールの自重による移動力が小さいため、軟X線の電離作用により発生した正負イオンによる帯電プレート上の静電荷量の変化に追随しやすい。その結果、誘電体ボールの移動距離と移動にかかった時間から線量率を測定することができる。また、移動した距離から積算線量をも測定することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の装着型軟X線検出器において、前記帯電プレートを帯電する所定の電荷量が、軟X線の被曝量に応じて、前記誘電体ボールが前記帯電プレートの湾曲部内を移動するような値に設定されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項4に記載の発明によれば、軟X線の被曝限度量の設定を変更した場合でも、それに応じて、帯電プレートを帯電する電荷量を適宜変更することにより容易に対応することができる。
【0012】
請求項5に記載の装着型軟X線検出器は、樹脂製のチャンバの一側面に形成した開口部に、軟X線透過フィルムが配設され、前記軟X線透過フィルムが配設された面に隣接する一側面に、前記チャンバの内部を外部から目視可能な窓部が形成され、前記チャンバの内部には誘電体部材からなるボールの表面を導電化してなる導電性ボールが封入されるとともに、断面形状がL字形の金属製の帯電プレートが、その長手方向を前記導電性ボールの落下方向と略同一方向となるようにして配設され、本検出器の装着前に、前記帯電プレートと導電性ボールとを同極に帯電することにより、前記導電性ボールを浮上させ、本検出器の装着後に、軟X線の被曝量に応じて、前記導電性ボールが下方に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
上記のような構成を有する請求項5に記載の発明によれば、静電気的な斥力によって導電性ボールを浮上させるように構成されているため、摩擦力等の不安定要因が少なく、軟X線の電離作用により発生した正負イオンによる帯電プレート上の静電荷量の変化に追随しやすい。その結果、導電性ボールの移動距離と移動にかかった時間から線量率を測定することができる。また、移動した距離から積算線量をも測定することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至請求項5のいずれか一に記載の装着型軟X線検出器において、前記ボールの移動量を測定するための目盛りが形成されていることを特徴とするものである。
上記のような構成を有する請求項6に記載の発明によれば、チャンバに形成された窓部から内部を目視する際に、ールの移動量を容易に測定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態(以下、実施形態という)を図面を参照して説明する。
【0016】
(1)第1実施形態(積算線量型)
(1−1)構成
本実施形態の装着型軟X線検出器は、図1に示すように構成されている。すなわち、図1(A)に示したように、樹脂製のチャンバ1の長手方向の一側面(正面)に、軟X線を透過するポリイミド樹脂(カプトン(登録商標))等からなるフィルム2を貼った窓(請求項の開口部に対応)3が形成され、また、図1(B)に示したように、前記窓3が形成された面に隣接する一側面には、透明の樹脂をはめ込んだ透明樹脂窓(請求項の窓部に対応)4が形成され、チャンバ1の内部を外部から容易に目視できるように構成されている。
【0017】
また、図1(C)に示したように、チャンバ1の内部には、金属製の帯電プレート5が配設され、その上端部はチャンバ1の上面から外部に引き出され、帯電プレート帯電用電極(以下、帯電用電極という)6が形成されている。一方、帯電プレート5の下端部は、チャンバ1の底部に設置されたテフロン等からなる絶縁体7に埋め込まれ、電気的に絶縁されている。
【0018】
また、チャンバ1の内部には、発泡ポリスチレン等からなる誘電体ボール8が封入され、チャンバ1の上面の内側に形成された誘電体ボール用ストッパー(以下、ストッパーという)9と接離可能に構成されている。さらに、チャンバ1の上面には、外部に露出している帯電用電極6を保護するための保護キャップ10が着脱可能に設けられている。
【0019】
なお、本実施形態の装着型軟X線検出器は、主として作業者の胸部にピン等で留めて使用するため、誘電体ボール8は、できるだけ軽い(密度の小さい)発泡ポリスチレン等を使用して、作業者の動作による慣性力をできるだけ受けないように構成されている。
【0020】
(1−2)作用
上記のような構成を有する本実施形態の装着型軟X線検出器は、以下のようにして、軟X線の被曝量を検出することができる。
まず、作業員が本実施形態の装着型軟X線検出器を装着する前の操作について説明する。すなわち、チャンバ1を、帯電用電極6が設けられている面を下にすることにより、誘電体ボール8をストッパー9と接合する位置に移動させる。その状態で、帯電プレート5を外部の帯電用電極6により帯電させ、誘電体ボール8を静電気力で帯電プレート5の所定の位置に付着させる。
【0021】
誘電体ボール8は、導体ボールと異なり、帯電プレート5に付着しても同極性にならず、図2に示したように、帯電プレート5の電界により分極して帯電プレート5に付着する。なお、帯電プレート5の帯電後は、帯電用電極6に触れると電荷がリークするので、帯電用電極6部分を被覆するために保護キャップ10をかけた後、帯電用電極6部分を上にして作業員の胸部等に装着させる。
【0022】
なお、帯電プレート5を帯電させる場合の電荷量は、帯電プレート5の静電容量と印加電圧とにより、軟X線の被曝限度量を超えると誘電体ボール8が落下するような値に設定されている。
【0023】
そして、本実施形態の装着型軟X線検出器を装着した作業員が軟X線に被曝すると、軟X線透過フィルム2を貼った窓3より入射した軟X線は、その電離作用により、入射した軟X線量に応じて帯電した帯電プレート5を中和する。その結果、軟X線の線量に応じて帯電プレート5上の静電荷量が減少し、電界強度が低下して、静電気力Neが低下する。
【0024】
図2に示したように、誘電体ボール8は、静電気力Neによる摩擦力F=μNeが誘電体ボール自体の重量mgより大きい場合には、帯電プレート5に付着しているが、軟X線に被曝したことにより静電気力Neが低下すると、誘電体ボール自体の重量mgが静電気力Neによる摩擦力F=μNeを上回ることになり、誘電体ボール8は落下又は下方に移動する。
【0025】
(1−3)効果
上述したように、本実施形態の装着型軟X線検出器によれば、被曝した軟X線の電離作用により発生した正負イオンが帯電プレート5上の静電荷を中和し、その被曝量に応じて静電荷量が次第に減少していき、軟X線の被曝量がある一定値を超えると誘電体ボール8が落下するため、被曝量(積算線量)がある一定値を超えたことを検出器の外部から目視で容易に確認することができる。
【0026】
また、チャンバ内に垂直あるいはそれに近い傾斜で配設した帯電プレート5を所定の電荷量で帯電させ、この帯電プレート5に誘電体ボール8を付着させておくという簡単な構成であるため、安価な装置を提供することができる。
【0027】
(2)第2実施形態(線量率型・積算線量型兼用タイプ)
(2−1)構成
本実施形態の装着型軟X線検出器は、上記第1実施形態の変形例であって、図3に示したように、帯電プレートを略水平に配設したものである。帯電プレートが水平に近い場合は、誘電体ボールの自重による移動力が小さいため、軟X線の電離作用により発生した正負イオンによる帯電プレート上の静電荷量の変化に追随しやすい。本実施形態は、この点に着目し、誘電体ボールの移動距離と移動にかかった時間から線量率を測定し、また、移動した距離から積算線量をも測定できるようにしたものである。
【0028】
すなわち、本実施形態の装着型軟X線検出器は、図3(A)に示したように、水平に配置された樹脂製のチャンバ11の長手方向の一側面(正面)に、軟X線を透過するポリイミド樹脂(カプトン(登録商標))等からなるフィルム12を貼った窓(請求項の開口部に対応)13が形成され、また、図3(B)に示したように、前記窓13が形成された面に隣接する一側面には、透明の樹脂をはめ込んだ透明樹脂窓(請求項の窓部に対応)14が形成され、チャンバ11の内部を外部から目視できるように構成されている。
【0029】
また、図3(C)に示したように、チャンバ11の内部には、金属製の帯電プレート15が所定の傾斜を有するように配設され、その一端部(図中、左端部)はチャンバ11の側面から外部に引き出され、帯電用電極16が形成されている。一方、帯電プレート15の他端部(図中、右端部)は、チャンバ11の他側面に設置されたテフロン等からなる絶縁体17に埋め込まれ、電気的に絶縁されている。
【0030】
なお、本実施形態で用いられている帯電プレート15は、その中央部が湾曲した湾曲板から構成され、その湾曲部15a内を発泡ポリスチレン等からなる誘電体ボール18が移動するように構成されている。また、前記透明樹脂窓14の内側には、前記誘電体ボール18の移動を上方から規制するための棒状の誘電体ボール用ストッパー19a(第1のストッパー)が配設されている。さらに、帯電用電極16が形成されたチャンバ11の側面には、前記誘電体ボール18の横方向の移動を規制するための誘電体ボール用ストッパー19b(第2のストッパー)が内部に突出するように配設されている。
【0031】
さらに、チャンバ11に形成された透明樹脂窓14の側部には、チャンバ内部に封入された誘電体ボール18の移動距離を測定するための目盛り21が形成されている。また、チャンバ11の側面には、外部に露出している帯電用電極16を保護するための保護キャップ20が着脱可能に設けられている。
【0032】
(2−2)作用
上記のような構成を有する本実施形態の装着型軟X線検出器は、以下のようにして、軟X線の被曝量を検出することができる。
まず、作業員が本実施形態の装着型軟X線検出器を装着する前の操作について説明する。すなわち、チャンバ11を、帯電用電極16が設けられている面を下にすることにより、誘電体ボール18を第2のストッパー19bと接合する位置に移動させる。その状態で、帯電プレート15を外部の帯電用電極16により帯電させて、誘電体ボール18を静電気力で帯電プレート15の所定の位置に付着させる。
【0033】
なお、帯電プレート15の帯電後は、帯電用電極16に触れると電荷がリークするので、帯電用電極16部分を被覆するために保護キャップ20をかけた後、帯電用電極16部分を横にして作業員に装着させる。
【0034】
また、帯電プレート15を帯電させる場合の電荷量は、帯電プレート15の静電容量と印加電圧とにより、軟X線の被曝量に応じて、誘電体ボール18が帯電プレート15の湾曲部15a内を傾斜に沿って下方に移動するような値に設定されている。
【0035】
そして、本実施形態の装着型軟X線検出器を装着した作業員が軟X線に被曝すると、軟X線透過フィルム12を貼った窓13より入射した軟X線は、その電離作用により、入射した軟X線量に応じて帯電した帯電プレート15を中和する。その結果、軟X線の線量に応じて帯電プレート15上の静電荷量が減少し、電界強度が低下して、静電気力Neが低下する。
【0036】
図2に示したように、誘電体ボール18は、静電気力Neによる摩擦力F=μNeが誘電体ボール自体の重量mgより大きい場合には、帯電プレート15に付着しているが、軟X線に被曝したことにより静電気力Neが低下すると、誘電体ボール自体の重量mgが静電気力Neによる摩擦力F=μNeを上回ることになり、誘電体ボール18は所定の傾斜を有する帯電プレート15の湾曲部15a内を図中、右方向へ移動する。この移動量によって、軟X線の被曝量を検出することができる。
【0037】
(2−3)効果
上述したように、本実施形態の装着型軟X線検出器においては、帯電プレート15の設置方向が水平に近いため、誘電体ボール18の自重による移動力が小さいため、軟X線の電離作用により発生した正負イオンによる帯電プレート15上の静電荷量の変化に追随しやすい。その結果、誘電体ボール18の移動距離と移動にかかった時間から線量率を測定することができる。また、移動した距離から積算線量をも測定することができる。
【0038】
(3)第3実施形態(線量率型・積算線量型兼用タイプ)
(3−1)構成
本実施形態の装着型軟X線検出器は、チャンバ内に封入するボールを導電性ボールとし、この導電性ボールと帯電プレートとを外部の帯電用電極によって同極に帯電させ、静電気的な斥力によって導電性ボールを浮上させるように構成したものである。このように、静電気的な斥力によって導電性ボールを浮上させる場合は、摩擦力等の不安定要因が少ないため、軟X線の電離作用により発生した正負イオンによる帯電プレート上の静電荷量の変化に追随しやすい。本実施形態は、この点に着目し、導電性ボールの移動距離と移動にかかった時間から線量率を測定し、また、移動した距離から積算線量をも測定できるようにしたものである。
【0039】
すなわち、本実施形態の装着型軟X線検出器は、図4(A)に示したように、樹脂製のチャンバ31の長手方向の一側面(正面)に、軟X線を透過するポリイミド樹脂(カプトン(登録商標))等からなるフィルム32を貼った窓(請求項の開口部に対応)33が形成され、また、図4(B)に示したように、前記窓33が形成された面に隣接する一側面には、透明の樹脂をはめ込んだ透明樹脂窓(請求項の窓部に対応)34が形成され、チャンバ31の内部を外部から容易に目視できるように構成されている。
【0040】
また、図4(C)に示したように、チャンバ31の内部には、断面形状がL字形の金属製の帯電プレート35が配設され、この帯電プレート35の底面をチャンバ31の底部に設置されたテフロン等からなる絶縁体37と接するように配置することにより、電気的に絶縁されている。また、帯電プレート35の底面には、チャンバ31の外部に引き出された帯電用電極36が接続されている。
【0041】
さらに、チャンバ31の内部には、前記フィルム32と並行に、樹脂からなる棒状の導電性ボール用ストッパー39a、39bが配設され、チャンバ31の内部に封入された導電性ボール38の移動を規制することができるように構成されている。なお、前記導電性ボール38は、発泡ポリスチレン等の表面を導電化した軽量ボールから構成されている。
【0042】
さらに、チャンバ31に形成された透明樹脂窓34の側部には、チャンバ内部に封入された導電性ボール38の移動距離を測定するための目盛り41が形成されている。また、チャンバ31の下面には、外部に露出している帯電用電極36を保護するための保護キャップ40が着脱可能に設けられている。
【0043】
なお、本実施形態において、帯電プレート35を、その断面形状がL字形となるように構成したのは以下の理由による。すなわち、導電性ボール38を浮上させるためだけであれば、帯電プレート35は導電性ボール38の下面のみに配設される板状で良いが、チャンバ31に入射した軟X線の電離作用により発生したイオンによる帯電プレート35の中和を効率良く行うために、チャンバ31の側面に沿った帯電プレート35も必要になるからである。
【0044】
このように、帯電プレート35をその断面形状がL字形となるように構成したことにより、導電性ボール38は、実際には垂直方向ではなく、斜めに浮上するため、その移動を2本のストッパー39a、39bで規制することができるように構成されている。
【0045】
なお、本実施形態の装着型軟X線検出器は、主として作業者の胸部にピン等で留めて使用するため、導電性ボール38は、できるだけ軽い(密度の小さい)発泡ポリスチレン等の表面を導電化したものを使用して、作業者の動作による慣性力をできるだけ受けないように構成されている。
【0046】
(3−2)作用
上記のような構成を有する本実施形態の装着型軟X線検出器は、以下のようにして、軟X線の被曝量を検出することができる。
まず、作業員が本実施形態の装着型軟X線検出器を装着する前の操作について説明する。すなわち、チャンバ31を、帯電用電極36が設けられている面を下にすることにより、導電性ボール38を帯電プレート35の底部の上面に接触させる。そして、帯電プレート35を外部の帯電用電極36により帯電させることにより、導電性ボール38と帯電プレート35とを同極に帯電させる。
【0047】
このように、同極に帯電した導電性ボール38と帯電プレート35には、図5に示すような静電気的な斥力が働くため、導電性ボール38は帯電プレート35から浮上する。なお、帯電プレート35の帯電後は、帯電用電極36に触れると電荷がリークするので、帯電用電極36部分を被覆するために保護キャップ40をかけた後、作業員の胸部等に装着させる。
【0048】
そして、本実施形態の装着型軟X線検出器を装着した作業員が軟X線に被曝すると、軟X線透過フィルム32を貼った窓33より入射した軟X線は、その電離作用により、入射した軟X線量に応じて帯電した帯電プレート35を中和する。その結果、軟X線の線量に応じて帯電プレート35上の静電荷量が減少し、電界強度が低下して、静電気力Neが低下する。
【0049】
図5に示したように、静電気力Neと導電性ボール自体の重量mgがバランスしている場合には、導電性ボール38は当初の浮上位置に静止しているが、軟X線に被曝したことにより静電気力Neが低下すると、導電性ボール自体の重量mgが静電気力Neを上回ることになり、導電性ボール38は下方に移動する。この移動量によって、軟X線の被曝量を検出することができる。
【0050】
(3−3)効果
上述したように、本実施形態の装着型軟X線検出器においては、静電気的な斥力によって導電性ボールを浮上させるように構成されているため、摩擦力等の不安定要因が少なく、軟X線の電離作用により発生した正負イオンによる帯電プレート上の静電荷量の変化に追随しやすい。その結果、導電性ボール38の移動距離と移動にかかった時間から線量率を測定することができる。また、移動した距離から積算線量をも測定することができる。
【0051】
(4)他の実施形態
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、具体的な各部材の形状、あるいは取付位置及び方法は適宜変更可能である。また、帯電プレートの静電容量は既知であるので、帯電プレートの帯電用電極の電位を非接触型の表面電位計で測定することによっても電荷量の変化量を測定することができるので、それにより線量率や積算線量を測定することもできる。
【0052】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、作業員等が携行しやすい、小型で安価な装着型軟X線検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装着型軟X線検出器の第1実施形態の構成を示す図であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)はA−A’断面図である。
【図2】帯電プレートと誘電体ボールの付着状態を示す図である。
【図3】本発明に係る装着型軟X線検出器の第2実施形態の構成を示す図であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)はA−A’断面図である。
【図4】本発明に係る装着型軟X線検出器の第3実施形態の構成を示す図であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)はA−A’断面図である。
【図5】第3実施形態における帯電プレートと導電性ボールの状態を示す図である。
【符号の説明】
1…チャンバ
2…軟X線透過フィルム
3…窓
4…透明樹脂窓
5…帯電プレート
6…帯電用電極
7…絶縁体
8…誘電体ボール
9…ストッパー
10…保護キャップ
11…チャンバ
12…軟X線透過フィルム
13…窓
14…透明樹脂窓
15…帯電プレート
15a…湾曲部
16…帯電用電極
17…絶縁体
18…誘電体ボール
19a…第1のストッパー
19b…第2のストッパー
20…保護キャップ
21…目盛り
31…チャンバ
32…軟X線透過フィルム
33…窓
34…透明樹脂窓
35…帯電プレート
36…帯電用電極
37…絶縁体
38…導電性ボール
39a、39b…ストッパー
40…保護キャップ
41…目盛り

Claims (6)

  1. 樹脂製のチャンバの一側面に形成した開口部に、軟X線透過フィルムが配設され、
    前記軟X線透過フィルムが配設された面に隣接する一側面に、前記チャンバの内部を外部から目視可能な窓部が形成され、
    前記チャンバの内部には誘電体部材よりなる誘電体ボールが封入されるとともに、金属製の帯電プレートが、その長手方向を前記誘電体ボールの落下方向と略同一方向にして配設され
    本検出器の装着前に、前記帯電プレートを所定の電荷量に帯電することにより、前記誘電体ボールを前記帯電プレートの所定の位置に付着させ、
    本検出器の装着後に、軟X線の被曝量が予め設定した限度量を超えた場合に、前記誘電体ボールが落下するように構成されていることを特徴とする装着型軟X線検出器。
  2. 前記帯電プレートを帯電する所定の電荷量が、軟X線の被曝量が予め設定した限度量を超えた場合に前記誘電体ボールが落下するような値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の装着型軟X線検出器。
  3. 樹脂製のチャンバの一側面に形成した開口部に、軟X線透過フィルムが配設され、
    前記軟X線透過フィルムが配設された面に隣接する一側面に、前記チャンバの内部を外部から目視可能な窓部が形成され、
    前記チャンバの内部には、中央部が湾曲した金属製の帯電プレートが略水平に配設されると共に、誘電体部材よりなる誘電体ボールが封入され、
    本検出器の装着前に、前記帯電プレートを所定の電荷量に帯電することにより、前記誘電体ボールを前記帯電プレートの所定の位置に付着させ、
    本検出器の装着後に、軟X線の被曝量に応じて、前記誘電体ボールが、前記帯電プレートの湾曲部内を移動するように構成されていることを特徴とする装着型軟X線検出器。
  4. 前記帯電プレートを帯電する所定の電荷量が、軟X線の被曝量に応じて、前記誘電体ボールが前記帯電プレートの湾曲部内を移動するような値に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の装着型軟X線検出器。
  5. 樹脂製のチャンバの一側面に形成した開口部に、軟X線透過フィルムが配設され、
    前記軟X線透過フィルムが配設された面に隣接する一側面に、前記チャンバの内部を外部から目視可能な窓部が形成され、
    前記チャンバの内部には誘電体部材からなるボールの表面を導電化してなる導電性ボールが封入されるとともに、断面形状がL字形の金属製の帯電プレートが、その長手方向を前記導電性ボールの落下方向と略同一方向となるようにして配設され、
    本検出器の装着前に、前記帯電プレートと導電性ボールとを同極に帯電することにより、前記導電性ボールを浮上させ、
    本検出器の装着後に、軟X線の被曝量に応じて、前記導電性ボールが下方に移動するように構成されていることを特徴とする装着型軟X線検出器。
  6. 前記窓部の近傍に、前記ボールの移動量を測定するための目盛りが形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一に記載の装着型軟X線検出器。
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