JP4216950B2 - インターロイキン−18結合蛋白質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は新規なサイトカン結合蛋白質、とりわけ、インターロイキン−18結合蛋白質に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターロイキン−18(以下、「IL−18」と略記する。)は、免疫系における情報伝達物質であるサイトカインの1種である。特開平8−27189号公報、特開平8−193098号公報及びハルキ・オカムラら『ネイチャー』、第378巻、第6,552号、88乃至91頁(1995年)に見られるように、IL−18は、発見当初、「インターフェロン−γ誘導因子(IGIF)」と呼称されていたが、その後、シンペイ・ウシオら『ザ・ジャーナル・オブ・イムノロジー』、第156巻、4,274乃至4,279頁(1996年)における提案にしたがって、「IL−18(インターロイキン−18)」と呼称されるようになった。アンガス・ダブリュ・トムソン編『ザ・サイトカイン・ハンドブック』、第3版、アカデミック・プレス・リミテッド発行、465乃至489頁に記載されているように、成熟型のIL−18は157個のアミノ酸からなり、免疫担当細胞において生理活性物質として有用なインターフェロン−γ(以下、「IFN−γ」と略記する。)の産生を誘導する性質と、キラー細胞の細胞障害性を増強したり、キラー細胞そのものの生成を誘導する性質を兼備している。これらの性質ゆえに、IL−18は抗ウイルス剤、抗菌剤、抗腫瘍剤、抗免疫疾患剤などの医薬品として広範な用途が期待され、現在、その実用化を目指して鋭意研究が進められている。
【0003】
前述のとおり、IL−18にかぎらず、サイトカインは、本来、免疫系における情報伝達を担う物質として産生され、分泌される。したがって、IL−18が哺乳類の体内で過剰に産生されたり、外部から過剰に投与されたりすると、免疫系のバランスに偏りを生じ、生体にとって有害な免疫反応を惹起する可能性がある。例えば、特開平10−96730号公報などにみられるように、最近の知見は、慢性関節リウマチを含む自己免疫疾患の患者が、IL−18の体液レベルにおいて、健常者より有意に高いことを示している。このことは、IL−18がある種の疾患の発症に直接又は間接に関与していることを物語っている。したがって、斯界においては、IL−18そのものの生理作用の解明や実用化に加えて、IL−18の生理作用を抑制する物質が一刻も早く解明され、実用化されることが期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明の第一の課題は、IL−18の生理作用を抑制する性質を有し、医薬品としてヒトを含む哺乳類に適用可能な物質を提供することにある。
【0005】
この発明の第二の課題は、斯かる物質をコードするDNAを提供することにある。
【0006】
この発明の第三の課題は、斯かる物質のIL−18抑制剤としての用途を提供することにある。
【0007】
この発明の第四の課題は、斯かる物質の医薬品としての用途を提供することにある。
【0008】
この発明の第五の課題は、斯かる物質に対する抗体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者がこれらの課題を解決すべく鋭意研究したところ、IL−18に結合することによってその生理作用を抑制する物質が哺乳類の体液中に存在することを突き止めた。本発明者がこの物質を分離し、性質・性状を調べたところ、その本質は蛋白質であり、単離された状態でもIL−18に結合し、その生理作用を顕著に抑制することを見出した。さらに、斯くして存在が確認されたIL−18結合蛋白質は、ヒトを含む哺乳類に投与すると、自己免疫疾患、炎症性疾患及びアレルギー疾患を含む、過剰な免疫反応に起因する諸種の疾患の治療・予防に効果を発揮することも見出した。また、斯かるIL−18結合蛋白質で哺乳動物を免疫感作し、この免疫感作動物を抗体の調製のための慣用の方法で処理したところ、当該IL−18結合蛋白質に対する抗体が得られた。
【0010】
すなわち、この発明は、前記第一の課題を、配列表における配列番号1及び2に示すいずれかのアミノ酸配列の全部又は一部を含有するIL−18結合蛋白質を提供することにより解決するものである。
【0011】
この発明は、前記第二の課題を、斯かるIL−18結合蛋白質をコードするDNAを提供することにより解決するものである。
【0012】
この発明は、前記第三の課題を、有効成分として、斯かるIL−18結合蛋白質を含有するIL−18抑制剤を提供することにより解決するものである。
【0013】
この発明は、前記第四の課題を、有効成分として、斯かるIL−18結合蛋白質を含有する抗感受性疾患剤を提供することにより解決するものである。
【0014】
この発明は、前記第五の課題を、斯かるIL−18結合蛋白質に対する抗体を提供することにより解決するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明すると、この発明の蛋白質は、IL−18に結合することによってその生理作用を抑制する性質と、独特のアミノ酸配列により特徴付けられる。すなわち、この発明のIL−18結合蛋白質は、IL−18に作用させると、IL−18の代表的な生理作用である、免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する作用を抑制する。また、当該IL−18結合蛋白質は、IL−18に結合させると、IL−18の生理作用によるキラー細胞の細胞障害性の増強や、キラー細胞の生成の誘導を抑制する場合がある。この発明のIL−18結合蛋白質は配列表における配列番号1及び2に示すいずれかのアミノ酸配列の全部又は一部を含んでなり、例えば、ヒト由来のIL−18結合蛋白質は、部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号3乃至23に示すアミノ酸配列の全部又は一部を、また、マウス由来のIL−18結合蛋白質は配列表における配列番号24乃至31に示すアミノ酸配列の全部又は一部をそれぞれ含有する。この発明のIL−18結合蛋白質は、尿や血液などの体液においては、通常、可溶性糖蛋白質として存在し、還元剤存在下のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、「SDS−PAGE」と略記する。)を適用すると、分子量約40,000乃至60,000ダルトンにIL−18結合能を伴う蛋白質のバンドを示す。
【0016】
この発明のIL−18結合蛋白質は、斯かる特徴を指標にして、哺乳類の体液や細胞から得ることができる。個々の体液としては、血液、リンパ液、腹腔内液、尿などが挙げられ、また、細胞としては、上皮細胞、内皮細胞、間質細胞、実質細胞、とりわけ、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺、膵臓、胎盤、子宮、肺などの器官の実質細胞、軟骨細胞、骨髄細胞、単球、顆粒球、リンパ球、神経細胞及び、これらを培養株化して樹立される細胞株や、これらが腫瘍化した細胞が挙げられる。細胞株としては、より詳細には、ヒトリンパ芽球様細胞株であるCCRF−CEM細胞(ATCC CCL−119)、ヒト急性骨髄性白血病細胞由来の細胞株であるKG−1細胞(ATCC CCL−246)、ヒト胚性横紋筋肉種由来の細胞株であるRD細胞(ATCC CCL−136)、ヒト子宮内膜腺癌由来の細胞株であるHEC−1−A細胞(ATCC HTB−112)、ヒト膀胱癌由来の細胞株であるHT−1197細胞(ATCC CRL−1473)などが挙げられる。経済性を問題にするのであれば、この発明のIL−18結合蛋白質をコードするDNAに組換えDNA技術を適用するのが有利である。この発明のIL−18結合蛋白質をコードするDNAは、配列番号1乃至31に示すアミノ酸配列に基づき哺乳類の遺伝子を検索することにより得ることができる。例えば、この発明のIL−18結合蛋白質をコードするヒト由来のDNAは、通常、配列表における配列番号32に示す塩基配列の全部又は一部を、また、マウス由来のDNAは、通常、配列表における配列番号33に示す塩基配列の全部又は一部をそれぞれ含有する。斯かるDNAにより形質転換した動物及び微生物由来の宿主は、常法にしたがって培養することにより、この発明のIL−18結合蛋白質を高収量で産生する。動物由来の宿主の具体例としては、例えば、3T3細胞(ATCC CCL−92)、C127I細胞(ATCC CRL−1616)、CHO−K1細胞(ATCC CCL−61)、CV−1細胞(ATCC CCL−70)、COS−1細胞(ATCC CRL−1650)、HeLa細胞(ATCC CCL−2)、MOP−8細胞(ATCC CRL−1709)及びそれらの変異株を始めとする、ヒト、サル、マウス及びハムスター由来の上皮系細胞、間質系細胞及び造血系細胞が挙げられる。微生物由来の宿主の具体例としては、例えば、細菌、真菌及び酵母が挙げられる。これらの宿主のうち、動物由来の宿主や酵母は、糖蛋白質としての形態の当該IL−18結合蛋白質の産生にとりわけ有用である。
【0017】
上記のごとき給源を用いてこの発明のIL−18結合蛋白質を調製するには、体液又は細胞若しくは微生物の培養物を、必要に応じて、超音波などにより破砕した後、生理活性蛋白質を精製するための慣用の方法、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動、等電点電気泳動などを単独又は組合せて適用すればよい。
【0018】
ところで、免疫系は、本来、有害な異物から生体を防御するためのものであるが、ときとして、その働きゆえに、却って、生体に有害な結果をもたらすことがある。哺乳類に、例えば、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、骨髄などの臓器を移植すると、同種異系抗原に対する拒絶反応により、T細胞が活性化され、リンパ球が増殖したり、炎症が生じることがある。症状の程度こそ違え、同様の現象は、例えば、アレルゲンのように、宿主が固有のものと見做さない異種異系抗原が侵入した場合にも観察される。また、自己免疫疾患においては、本来、固有のものと見做されるべき成分がアレルギー反応を惹起する。
【0019】
この発明のIL−18結合蛋白質は、免疫系を活性化するIL−18に結合することによってその生理作用を抑制するIL−18抑制剤として機能するので、ヒトを含む哺乳類に投与すると、上記のごとき免疫反応を抑制することが期待される。したがって、この発明でいう感受性疾患とは、拒絶反応及びアレルギー反応を含む免疫反応一般の亢進に起因する免疫疾患を含み、この発明のIL−18結合蛋白質が直接又は間接に作用して治療及び/又は予防し得るすべての疾患ということになる。個々の感受性疾患としては、例えば、上記のごとき臓器移植に伴う拒絶反応に加えて、活動性慢性肝炎、萎縮性胃炎、自己免疫性溶血性貧血、バセドウ病、ベーチェット症候群、CRST症候群、寒冷凝集素性溶血性貧血、潰瘍性大腸炎、グッドパスチャー症候群、甲状腺機能亢進症、慢性甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、若年性糖尿病、白血球減少症、多発性硬化症、重症筋無力症、発作性寒冷血色素尿症、悪性貧血、多発性結節性動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、リウマチ熱、慢性関節リウマチ、橋本病、シェーグレン症候群、クローン病、交換性眼炎、進行性全身性硬化症、ウェジナー肉芽腫症、HIV感染症、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症及びハチ毒アレルギーを含む自己免疫疾患、炎症性疾患及びアレルギー性疾患一般が挙げられる。なお、この発明のIL−18結合蛋白質は、IFN−γの過剰産生や過剰投与などに起因する敗血症ショックの治療・予防にも有効である。また、生体内において、IL−18がFasリガンドの産生を増強したり、逆に、FasリガンドがIL−18の細胞からの分泌を誘導する場合があるので、この発明のIL−18結合蛋白質は、Fas及びFasリガンドが関与する免疫疾患一般の治療・予防にも有効である。さらに、この発明のIL−18結合蛋白質は、例えば、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、中毒性肝炎、劇症肝炎、ウイルス性肝硬変、アルコール性肝硬変、中毒性肝硬変、胆汁性肝硬変、脂肪肝、肝臓腫瘍及び肝血管障害などの肝疾患、胆管炎、胆嚢炎、原発性硬化性胆管炎、胆嚢腫瘍及び胆管腫瘍などの胆嚢・胆道疾患、急性膵炎、慢性膵炎、膵機能不全、膵臓腫瘍及び膵嚢胞などの膵疾患の治療・予防、さらには、それらの疾患に伴う、例えば、食欲不振、倦怠感、疲労感、腹痛、背痛、黄疸、発熱、肝性脳症、腹水、出血傾向などの肝機能障害及び肝機能不全を緩和又は解消する効果もある。その際、例えば、プロトポルフィリン、チオプリン、マロチラート、肝臓加水分解物、グリチルリチン、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド、グルタチオン、タウリン、シアニダノール、インターフェロン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、チオクト酸、小紫胡湯、大紫胡湯、紫胡桂枝湯、アスパラギン酸、甘草、メチオニン、チオプリン、グリチルリチンなどの肝細胞の機能を促進する薬剤を併用してもよい。加えて、この発明のIL−18結合蛋白質は、虚血、虚血性心筋症、脳虚血、脳底動脈片頭痛、脳底部異常血管網症、脳卒中、脳底部動脈瘤、動脈硬、血管内皮障害、糖尿病、腸管膜血管閉塞症及び上腸管膜動脈症候群を含む循環器系疾患、パーキンソン病、脊髄筋肉萎縮症、筋萎縮性側策硬化症、アルツハイマー病、痴呆症、脳血管性痴呆症、エイズ痴呆症及び脳脊髄炎を含む神経系疾患の症状を緩和したり、予防する効果もある。斯くして、有効成分としてIL−18結合蛋白質を含有するこの発明の抗感受性疾患剤は、ヒトをはじめとする哺乳動物における上記のごとき感受性疾患を治療・予防するための抗自己免疫疾患剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤、増血剤、白血球増多剤、血小板増多剤、鎮痛剤、解熱剤、肝機能改善剤などとして多種多様な用途を有することとなる。剤型並びに感受性疾患の種類及び症状にもよるが、この発明の感受性疾患剤は、通常、液状、懸濁状、ペースト状又は固状に調製され、この発明のIL−18結合蛋白質を0.00001乃至100%(w/w)、望ましくは、0.0001乃至20%(w/w)含んでなる。
【0020】
この発明の抗感受性疾患剤は、IL−18結合蛋白質単独の形態はもとより、IL−18結合蛋白質とそれ以外の生理的に許容される、例えば、補助剤、増量剤、希釈剤、賦形剤、安定剤、防腐剤、免疫助成剤、着色剤、着香剤、さらには、必要に応じて、他の生理活性物質の1又は複数との組成物としての形態をも包含する。安定剤としては、例えば、血清アルブミンやゼラチンなどの蛋白質、グルコース、シュクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトールなどの糖質及びクエン酸塩、燐酸塩若しくは炭酸塩を主体とする緩衝剤が、また、併用し得る他の生理活性物質としては、例えば、アスピリン、フルフェナム酸、メフェナム酸、ジクロフェナック、インドメタシン、トルメチン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、消炎酵素剤、金製剤、クロロキン製剤などの抗炎症剤、FK506、シクロフォスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、サイクロスポリンA、副腎皮質ホルモンなどの免疫抑制剤、さらには、IL−18及びIL−18以外のサイトカインの受容体アンタゴニスト、例えば、インターロイキン−1受容体蛋白質、インターロイキン−2受容体蛋白質、インターロイキン−5受容体蛋白質、インターロイキン−6受容体蛋白質、インターロイキン−8受容体蛋白質、インターロイキン−12受容体蛋白質及びIL−18受容体蛋白質に対する、ヒト化抗体を含むそれぞれの抗体や、TNF−α受容体、TNF−β受容体、インターロイキン−1受容体、インターロイキン−5受容体、インターロイキン−8受容体及びIL−18受容体に対するそれぞれのアンタゴニスト、さらには、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−5、インターロイキン−8、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−12及びインターロイキン−18に対する、ヒト化抗体を含むそれぞれの抗体が挙げられる。
【0021】
さらに、この発明の抗感受性疾患剤は、投薬単位形態の薬剤をも包含し、その投薬単位形態の薬剤とは、IL−18結合蛋白質を、例えば、1回当りの用量又はその整数倍(4倍まで)若しくはその約数(1/40まで)に相当する量を含んでなり、投薬に適する物理的に一体の剤型にある薬剤を意味する。このような投薬単位形態の薬剤としては、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、眼軟膏剤、懸濁剤、乳剤、硬膏剤、坐剤、散剤、酒精剤、錠剤、シロップ剤、浸剤、煎剤、注射剤、補輸液、チンキ剤、点眼剤、トローチ剤、軟膏剤、パップ剤、芳香水剤、リニメント剤、リモナーデ剤、流エキス剤及びローション剤が挙げられ、必要に応じて、点鼻剤、鼻噴霧剤、下気道吸入剤、眼科用除法剤、口腔粘膜貼付剤及び浣腸剤としてもよい。この発明の抗感受性疾患剤は経口的に投与しても非経口的に投与してもよく、いずれの場合にも、感受性疾患の治療・予防に効果を発揮する。感受性疾患の種類や症状にもよるが、具体的には、患者の症状や投与後の経過を観察しながら、成人当り約1μg/回乃至1g/回、通常、約10μg/回乃至100mg/回のIL−18結合蛋白質を1乃至4回/日又は1乃至5回/週の用量で1日乃至半年に亙って経口投与するか、あるいは、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内に非経口投与すればよい。
【0022】
ところで、この発明のIL−18結合蛋白質をコードするDNAは、いわゆる、「遺伝子療法」にも有用である。すなわち、通常の遺伝子療法においては、この発明のDNAを、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスなどのウイルス由来のベクターに挿入するか、カチオニックポリマーや膜融合型リポソームなどのリポソームに包埋し、この状態でIL−18結合蛋白質に感受性を有する疾患に罹患した患者に直接注入するか、あるいは、患者からリンパ球を採取し、生体外で導入した後、患者に自家移植するのである。斯くして、この発明のDNAは、例えば、自己免疫疾患やアレルギー性疾患などの免疫疾患や、肝機能障害及び神経系疾患を含む各種疾患の遺伝子療法、さらには、臓器移植に伴う拒絶反応や過剰な免疫反応の抑制に著効を発揮することとなる。なお、これらの遺伝子療法を実施するための一般的手順は、例えば、島田隆、斉藤泉、小澤敏也編集、『実験医学別冊バイオマニュアルUPシリーズ 遺伝子治療の基礎技術』、1996年、羊土社発行にも詳述されている。
【0023】
この発明はIL−18結合蛋白質に対する抗体を提供するものでもある。この発明の抗体は、当該IL−18結合蛋白質と免疫反応するイムノグロブリン全般を包含し、その調製方法・起源・クラスや、抗原の起源・形態は問わない。この発明の抗体の具体的形態としては、ポリクローナル抗体や、キメラ抗体及びヒト化抗体を含むモノクローナル抗体などが挙げられ、斯かる抗体は、IL−18結合蛋白質又はその抗原性フラグメントを抗原として用いて、慣用の方法を適用することにより得ることができる。抗原としてのIL−18結合蛋白質は、通常、完全精製又は部分精製した状態で用いられ、これらは、例えば、前述したIL−18結合蛋白質の調製方法により得ることができる。抗原性フラグメントを得るには、これらの完全精製品又は部分精製品を化学的又は酵素的に分解するか、ペプチド合成すればよい。
【0024】
この発明の抗体を調製するには、先ず、上記のような抗原で哺乳動物を免疫感作する。免疫感作は慣用の方法によればよく、例えば、抗原を単独又は適宜アジュバントとともに哺乳動物の静脈、皮内、皮下又は腹腔内に注射接種し、一定期間飼育する。哺乳動物に特に限定はなく、所期の抗体を産生し得るかぎり、種類、大きさ、雌雄は問わない。通常はマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモットなどの齧歯類が用いられ、用いる抗原の起源や調製する抗体の形態・用途などを勘案して最適のものが選択される。用いる哺乳動物の種類や大きさにもよるが、抗原の接種量は、通常、総接種量を約5乃至500μg/匹とし、これを約1乃至2週間の間隔を置いて2乃至20回に分けて接種する。そして、通常、免疫感作の期間中及び/又は終了後に、免疫感作に用いたのと同じ抗原を使用して蛍光抗体法など慣用の方法により感作動物の抗体価の上昇を確認する。
【0025】
この発明によるポリクローナル抗体を得るには、上記のような免疫感作の終了後、通常、1乃至4週間程度経過した該動物から、その動物の種に応じて選択される適宜の部位より血清(抗血清)を採取すればよい。斯くして得られる抗血清を、さらに必要に応じて、IgG、IgA、IgMなど所望のクラスのイムノグロブリンの精製のための慣用の方法に供すれば、精製されたポリクローナル抗体を得ることもできる。
【0026】
この発明によるモノクローナル抗体の一形態としては、例えば、クローン化されたハイブリドーマから得られる抗体が挙げられる。斯かる形態のこの発明によるモノクローナル抗体を得るには、先ず、上記のような免疫感作の終了後、通常、3乃至5日程度経過後、該動物から脾臓を摘出し、分散して、抗体産生細胞としての脾細胞を得る。脾細胞は、必要に応じて生体外でさらに免疫感作することもできる。斯くして得られる脾細胞を次に哺乳類由来の無限増殖可能な細胞と融合させる。無限増殖可能な細胞としては、例えば、SP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL−1581)、Y3−Ag1.2.3細胞(ATCC CRL−1631)、P3/NSI/1−Ag4−1細胞(ATCC TIB−18)及びP3X63Ag8細胞(ATCC TIB−9)などのマウス又はラット骨髄腫由来の細胞株ないしはその変異株が挙げられ、上記脾細胞との適合性などを勘案して選択される。細胞の融合には、例えば、ポリエチレングリコールやセンダイウイルスを始めとする融合促進剤や電気パルスによる慣用の方法が適宜採用される。次に、細胞融合産物を、常法にしたがってHAT培地などの選択用培地中で培養し、融合した細胞すなわちハイブリドーマを選択的に増殖させる。増殖したハイブリドーマを、慣用の方法にしたがって、その培養上清につき、当該IL−18結合蛋白質との反応性に基づいて検索すれば、この発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが選択される。選択されたハイブリドーマに限界希釈法など慣用の方法を適用すれば、目的とするハイブリドーマのクローンが得られる。斯くしてクローンとして得られるハイブリドーマを、慣用の方法で生体内外で培養し、必要に応じて、培養物に抗体を採取・精製するための慣用の方法を適用すればこの発明によるモノクローナル抗体が得られる。
【0027】
この発明によるモノクローナル抗体の別の形態としては、組換えDNA技術により調製される、いわゆる、「キメラ抗体」及び「ヒト化抗体」が挙げられる。斯かる形態のこの発明によるモノクローナル抗体を得るには通常、先ず、上記のいずれかの形態のこの発明の抗体における可変領域をコードするDNAをクローン化する。斯かるDNAは、例えば、上記の免疫感作動物の脾細胞ないしはリンパ球や、上記のハイブリドーマなどから得られるRNAを鋳型として調製されるcDNAを検索することによりクローン化することができる。検索には、例えば、抗体における可変領域のアミノ酸配列に対応する塩基配列とのアニーリングに基づくPCR法や、cDNAの発現産物の当該IL−18結合蛋白質との反応性に基づく発現クローニング法などが挙げられる。前者の方法は、エス・タラン・ジョーンズら『バイオテクノロジー』、第9巻、88乃至89頁(1991年)などに、後者の方法は、エス・ポール監修、『メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー』、ヒューマナ・プレス発行、第51巻、355乃至394頁(1995年)などに詳述されている。斯くしてクローン化されるDNAで、公知のヒト起源の抗体をコードするDNAから適宜選択されるDNAにおける対応部分を、慣用の組換えDNA技術により置換すれば、この発明によるキメラ抗体をコードするDNAが得られる。また、常法にしたがって、該可変領域における相補性決定領域(CDR)に対応する塩基配列をヒト起源の抗体をコードするDNAの対応部分に移植すれば、この発明によるヒト化抗体をコードするDNAが得られる。斯くして得られるDNAを、通常、哺乳動物の細胞で発現させ、発現産物に抗体を精製するための慣用の方法を適用すれば、この発明によるキメラ抗体及びヒト化抗体が得られる。なお、キメラ抗体及びヒト化抗体作製の基本的手法は、エル・ライチマンら、『ネイチャー』、第332巻、323乃至327頁(1988年)などに詳述されている。
【0028】
以上のようなこの発明による抗体は、当該IL−18結合蛋白質と免疫反応する。免疫反応は比較的選択性の高い結合反応であるので、当該IL−18結合蛋白質の精製のためのアフィニティークロマトグラフィーや、当該IL−18結合蛋白質を検出するためのアッセイ(イムノアッセイ)に有用である。これら方法は、この発明の抗体に、アフィニティークロマトグラフィーやイムノアッセイにおける慣用の方法を適用して実施することができる。これら方法によるときには、当該IL−18結合蛋白質を効果的に精製、検出することができる。また、この発明の抗体は、上記で説明したような当該IL−18結合蛋白質の性質を中和する場合がある。斯かる中和能を有するこの発明の抗体は、生体内外における当該IL−18結合蛋白質に対する中和剤の有効成分として有用である。生体内においては、過剰なIL−18結合蛋白質により生体機能の異常や障害がもたらされ、諸種の疾患を発症する場合がある。したがって、斯かる中和剤は、生体内での過剰なIL−18結合蛋白質が関連する諸疾患の治療・予防に奏効し得る。また、IL−18の投与により治癒が期待される悪性腫瘍などのIL−18感受性疾患の患者において、その生体内に過剰なIL−18結合蛋白質が存在すると、IL−18による治療効果が十分に発揮されない可能性がある。したがって、斯かる中和剤を、IL−18を投与するのと同時か又はその前後のいずれかの時期、望ましくは投与前に、生体内のIL−18及びIL−18結合蛋白質の存在量を勘案して選ばれる適量を投与すれば、IL−18による治療効果の改善・亢進に奏効し得る。とりわけ、キメラ抗体やヒト化抗体の形態にある、斯かる中和能を有する抗体は、ヒトに対して抗原性を示し難いので、ヒトへの投与を前提とする斯かる中和剤の医薬用途に有用である。
【0029】
以下、実施例に沿ってこの発明の実施の形態を説明するが、斯界の技術水準においては、斯かる実施例は多種多様に改変可能である。斯かる技術水準に鑑み、この発明がこれらの実施例のみに限定されないことは言うまでもない。なお、この発明による蛋白質のIL−18結合能は、後記実施例においては、次の結合アッセイにより決定される阻害率を指標にして判定した。
【0030】
すなわち、IL−18受容体をコードするDNAをチャイニーズハムスター卵巣由来のCHO−K1細胞(ATCC CRL−9618)に導入することによって、IL−18受容体が細胞表面に過剰に発現した効果細胞を調製する。別途、0.1%(w/v)アジ化ナトリウム、0.1%(v/v)ウシ血清アルブミン及び100mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N´−2−エタンスルホン酸をそれぞれ含むRPMI−1640培地(pH7.2)を調製し、これをアッセイ用培地とする。次いで、試験区として、アッセイ用培地により適宜希釈した被検試料を50μlとり、これにアッセイ用培地により適宜希釈した125I標識IL−18を50μl加え、4℃で1時間振盪した後、アッセイ用培地に細胞密度1×107個/mlになるように浮遊させた効果細胞を50μl加え、4℃でさらに1時間振盪する。その後、1.5ml容遠心管にジブチルフタレート/ジオクチルフタレート混液(容積比1:1)を200μlとり、その上部に効果細胞の浮遊液を重層し、4℃で5分間遠心分離し、吸引により上清を除去した後、細胞残渣を遠心管ごと切り取り、ガンマカウンター(商品名『ARC−300型』、アロカ株式会社製造)により放射能強度を測定する。併行して、125I標識IL−18とともに未標識IL−18を5μg加える系(非特異的結合区)と、被験試料のみ省略する系(総結合区)をそれぞれ設け、これらを試験区と同様に処置する。そして、試験区、総結合区及び非特異的吸着区において得られた放射能強度を数1に示す式にそれぞれ代入して阻害率(%)を計算した。
【0031】
【数1】
Figure 0004216950
【0032】
【実施例1】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質〉
【0033】
【実施例1−1】
〈IL−18結合蛋白質の調製〉
人尿3lを膜濃縮した後、20mM燐酸緩衝液(pH7.0)に対して4℃で20時間透析した。透析内液を採取し、これをあらかじめ20mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化しておいたアフィニティークロマトグラフィー用ゲル(商品名『ウイート・ジャーム・レクチン・セファロース6MB』、アマシャム・ファルマシア・バイオテク株式会社販売)230mlのカラムに負荷してIL−18結合蛋白質を吸着せしめ、カラムを20mM燐酸緩衝液(pH7.0)により洗浄した後、0.5M N−アセチル−D−グルコサミンを含有する20mM燐酸緩衝液(pH7.0)を通液しつつ、カラムからの溶出液を一定量ずつ採取した。
【0034】
各溶出画分のIL−18結合能を前記結合アッセイにより調べた後、IL−18結合能が認められた画分を合一し、20mM燐酸緩衝液(pH7.0)に対して4℃で16時間透析した。透析内液を採取し、適宜濃縮した後、あらかじめ20mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化しておいたイオン交換クロマトグラフィー用ゲル(商品名『TSK−gel DEAE−5PW』、東ソー株式会社製造)54mlのカラムに負荷し、塩化ナトリウムの濃度が100分間で0Mから0.5Mまで直線的に上昇する塩化ナトリウムの濃度勾配下にて20mM燐酸緩衝液(pH7.0)を2ml/分の流速で通液し、塩化ナトリウム濃度が0.2M付近で溶出した画分を採取した。
【0035】
この画分を膜濃縮した後、あらかじめ20mM燐酸−食塩緩衝液(以下、「PBS」という。)により平衡化しておいたゲル濾過クロマトグラフィー用ゲル(商品名『HiLoad Superdex 200』、アマシャム・ファルマシア・バイオテク株式会社販売)120mlのカラムに負荷し、カラムにPBSを通液しつつ、ゲル濾過クロマトグラフィーにおける分子量が70,000ダルトン付近の画分を採取した。この新たに得られた画分をあらかじめ0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液により平衡化しておいた逆相クロマトグラフィー用ゲル(商品名『Vydac 214TP54』、サイプレス・インターナショナル株式会社販売)4mlに負荷し、アセトニトリル濃度が0%(v/v)から90%(v/v)まで直線的に上昇するアセトニトリルの濃度勾配下にてカラムに0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液を通液しつつ、カラムからの溶出液を一定量ずつ分画した。各溶出画分のIL−18結合能を前記結合アッセイにより調べた後、IL−18結合能が確認された、アセトニトリル濃度が70%(v/v)付近で溶出した画分を採取し、濃縮したところ、ヒト由来の精製IL−18結合蛋白質が約3μg得られた。
【0036】
その後、この精製IL−18結合蛋白質につき、ジチオトレイトール存在下のSDS−PAGEにより分子量を測定したところ、約40,000乃至60,000ダルトンにIL−18結合能を伴う蛋白質の単一バンドが観察された。また、大麦胚芽レクチンをリガンドとする『ウィート・ジャーム・レクチン・セファロース6MB』に吸着することは、本例のIL−18結合蛋白質が糖蛋白質であることを示している。
【0037】
【実施例1−2】
〈N末端アミノ酸配列〉
実施例1−1の方法により得た精製IL−18結合蛋白質を遠心濃縮機により乾固した後、8M尿素及び10mM EDTAをそれぞれ含有する0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.1)に溶解し、窒素気流下、50℃で30分間処理した。次いで、ジチオトレイトールを適量加え、窒素気流下、50℃で2時間還元した後、反応物にモノヨード酢酸を適量加え、室温下、暗所にて30分間反応させてIL−18結合蛋白質をアルキル化した。
【0038】
得られたアルキル化物にジチオトレイトール存在下のSDS−PAGEを適用することによって分子量約40,000乃至60,000ダルトンに相当する蛋白質を分離し、以後、常法にしたがって、分離したIL−18結合蛋白質のバンドをPVDF膜へ転写後、その膜をプロテインシーケンサー(商品名『473A型』、アプライド・バイオシステムズ社製造)を用いるアミノ酸分析に供してN末端アミノ酸配列を決定した。その結果、実施例1−1の方法により得たこの発明のIL−18結合蛋白質は、N末端アミノ酸配列として、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列を含有していることが判明した(なお、「Xaa」は未同定のアミノ酸であることを意味している)。
【0039】
【実施例1−3】
〈ペプチドマッピング〉
ウルフ・ヘルマンら『アナリティカル・バイオケミストリー』、第224巻、451乃至455頁(1995年)に記載された『イン・ゲル・ダイジェスション法』により、実施例1−2の方法により還元アルキル化したIL−18結合蛋白質のトリプシン消化後及びトリプシン/ペプシン消化後のペプチドマップをそれぞれ作成するとともに、トリプシン消化により得られたペプチド断片1乃至8及びトリプシン/ペプシン消化により得られたペプチド断片9乃至20のアミノ酸配列をそれぞれ決定した。その結果、ペプチド断片1乃至20は、それぞれ、配列表における配列番号4乃至23に示すアミノ酸配列を有していることが判明した(なお、「Xaa」は未同定のアミノ酸であることを意味している)。このとき得られたペプチドマップを図1に示す。
【0040】
【実施例1−4】
〈IL−18抑制作用〉
免疫担当細胞及びIL−18として、それぞれ、健常者のリンパ球及び組換え型ヒトIL−18を、また、IFN−γの標準品として米国国立衛生研究所から入手した標準ヒトIFN−γ(Gg02−901−530)をそれぞれ用いた以外は、後記実施例3−3におけると同様に試験した。
【0041】
その結果、本例のIL−18結合蛋白質が共存すると、ヒトIL−18によるIFN−γ産生の誘導が有意に抑制された。このことは、本例のIL−18結合蛋白質がIL−18の生理作用を抑制することを示している。
【0042】
【実施例2】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNA〉
【0043】
【実施例2−1】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNA〉
【0044】
【実施例2−1(a)】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
ポリ(A)付加ヒト肝臓RNA(クローンテック製)10ngに10×PCR緩衝液2μl、25mM塩化マグネシウム2μl、0.1Mジチオトレイトール2μl、25mM dNTPミックス1μl、200単位/μl逆転写酵素(商品名『スーパースクリプトII』、ライフテック・オリエンタル株式会社製造)1μl及び2.5μMランダムヘキサマー1μlをそれぞれ加え、滅菌蒸留水で全量を20μlとした。この混合物を0.5ml容反応管にとり、42℃で50分間、70℃で15分間、この順序で、それぞれインキュベートすることによって逆転写酵素反応させ、第一ストランドcDNAを含む反応物を得た。
【0045】
この反応物に体積比で2.5倍量のエタノールと3M酢酸ナトリウム2μlをそれぞれ加え、−20℃で2時間静置してcDNAを沈澱させた。沈澱を採取し、75%(v/v)水性エタノールにより洗浄した後、滅菌蒸留水に溶解し、2.5単位/μl DNAポリメラーゼ(商品名『クローンドPfuポリメラーゼ』、ストラタジーン製造)0.5μl、専用緩衝液10μl及び25mM dNTPミックス1μlをそれぞれ加え、さらに、センスプライマーとして、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列に基づき化学合成した5´−ACNCCNGTNWSNCA−3´で表わされる塩基配列のオリゴヌクレオチドと、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号8に示すアミノ酸配列に基づき化学合成した5´−TGNGCNARNACNACRTG−3´で表わされる塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ10μM加え、滅菌蒸留水で全量を100μlとした。この混合物を94℃、40℃及び72℃で、この順序で、それぞれ1分間インキュベートするサイクルを40回繰返してPCR反応させた。
【0046】
次いで、PCR産物の一部をとり、常法にしたがって、1%(w/v)アガロースゲル上で電気泳動することによってDNA断片を分画し、ナイロン膜に転写し、0.4N水酸化ナトリウムにより固定し、2×SSCにより洗浄し、風乾した後、6×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNAをそれぞれ含有するプレハイブリダイゼーション液に浸漬し、65℃で3時間インキュベートした。別途、常法にしたがって、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列に基づき5´−GGRCANGGRTCYTT−3´で表わされる塩基配列のオリゴヌクレオチドを化学合成し、これを[γ−32P]ATP及びT4ポリヌクレオチドキナーゼにより同位体標識することによってプローブを調製した。前記ナイロン膜を浸漬したプレハイブリダイゼーション液にこのプローブを1pmol加え、ナイロン膜を40℃でさらに20時間インキュベートしてハイブリダイズさせた。その後、6×SSCによりナイロン膜を洗浄し、常法にしたがってオートラジオグラフィーした。その結果、プローブの特異的なハイブリダイゼーションを示すシグナルが認められ、上記PCR産物が目的とするDNA断片を含むことが確認された。
【0047】
その後、残りのPCR産物にプラスミドベクター(商品名『pCR−Script Cam SK(+)』、ストラタジーン社製造)を1ng加え、DNAライゲーション・キット(商品名『DNAライゲーション・キット/バージョン2』、宝酒造株式会社製造)を用いてプラスミドベクター内にPCR産物であるDNA断片を挿入した。反応物の一部をとり、大腸菌株(商品名『XL1−Blue MRF´Kan』、ストラタジーン社製造)を形質転換した後、形質転換体をクロラムフェニコール30μg/mlを含むLB培地(pH7.5)に接種し、37℃で18時間培養し、培養物から菌体を採取し、これを常法にしたがって処理してプラスミドDNAを採取した。ジデオキシ法により調べたところ、このプラスミドDNAは、PCR産物のDNA断片の塩基配列として、配列表における配列番号34に示す塩基配列を含んでいた。その塩基配列がコードする、配列表における配列番号34に併記したアミノ酸配列と、配列表における配列番号3乃至23に示す、実施例1−2乃至1−3で決定した部分アミノ酸配列とを照合したところ、これらの部分アミノ酸配列は、いずれもその全部又は一部が配列番号34に併記したアミノ酸配列に含まれていた。このことは、配列表における配列番号34に示す塩基配列が、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質の少なくとも一部分をコードするものであることを示唆している。
【0048】
【実施例2−1(b)】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
ポリ(A)付加ヒト肝臓RNA(クローンテック製)10ngを、市販の5´RACEキット(商品名『5´RACEシステム、バージョン2.0』、ギブコ・ビー・アール・エル製)を用いて、PCRの一変法である5´RACEに供した。すなわち、先ず、上記RNAを、配列表における配列番号34に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GGTCACTTCCAATGCTGGACA−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる逆転写酵素反応に供し、引き続いてターミナル・デオキシヌクレオチジル・トランスフェラーゼを作用させて、生成した第一ストランドcDNAの5´末端にCテイルを付加した。この第一ストランドcDNAを、次に、センスプライマーとして、上記キットに添付の5´−GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGIIGGGIIGGGIIG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドと、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号34に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GTCCTTTGTGCTTCTAACTGA−3´とを用いてPCR反応させた。以上の5´RACEで得られた反応産物を一部とり、常法にしたがい1%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供したところ、特定のDNA断片の増幅が確認された。実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べたところ、このDNA断片は、配列表における配列番号35に示す塩基配列を含有していた。この塩基配列における第160乃至216番目の塩基からなる配列は、実施例2−1(a)で決定した、配列表の配列番号34に示す塩基配列における第1乃至57番目の塩基からなる配列と完全に一致した。このことは、配列表における配列番号35に示す塩基配列が、配列番号34に示す、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質の少なくとも一部をコードする塩基配列とオーバーラップし、かつ、その5´末端側上流域に相当する塩基配列を含んでいることを示唆している。
【0049】
【実施例2−1(c)】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
ポリ(A)付加ヒト肝臓RNA(クローンテック製)10ngを、斎藤隆監訳、『PCR実験マニュアル』、HBJ出版発行(1991年)、25乃至33に記載の方法にしたがって、PCRの一変法である3´RACEに供した。すなわち、先ず、上記RNAを、5´−GACTCGAGTCGACATCGA(T)17−3´で表される塩基配列のヌクレオチドをプライマーとして用いる逆転写酵素反応に供し、得られた第一ストランドcDNAを、実施例2−1(a)で決定した、配列表における配列番号34に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−TTCTCCTGTGTGCTCGTGGA−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをセンスプライマーとして、5´−GACTCGAGTCGACATCG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをアンチセンスプライマーとして用いてPCR反応させた。以上の3´RACEで得られた反応産物を一部とり、常法にしたがい1%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供したところ、特定のDNA断片の増幅が確認された。実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べたところ、このDNA断片は、配列表における配列番号36に示す塩基配列を含有していた。この塩基配列における第1乃至60番目の塩基からなる配列は、実施例2−1(a)で決定した、配列表の配列番号34に示す塩基配列における第352乃至411番目の塩基からなる配列と完全に一致した。このことは、配列表における配列番号36に示す塩基配列が、配列番号34に示す、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質の少なくとも一部をコードする塩基配列とオーバーラップし、かつ、その3´末端側下流域に相当する塩基配列を含んでいることを示唆している。
【0050】
以上に示したように、実施例2−1(a)乃至2−1(c)で、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質をコードする、互いにオーバーラップする塩基配列として、配列表における配列番号34乃至36に示す塩基配列を決定した。互いにオーバーラップする部分の塩基配列を勘案すると、これらの塩基配列は、配列表における配列番号37に示す一連の塩基配列に由来する部分配列と考えられた。
【0051】
【実施例2−1(d)】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
実施例2−1(a)の方法にしたがって、ポリ(A)付加ヒト肝臓RNAを逆転写酵素反応させた後、センスプライマーとして、配列表における配列番号37に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−TGTGTGACTGGAGAAGAGGAC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドを、また、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号37に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−TACAGGCAGTCAGGGACTGTTCACTCCAG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いたこと以外は、実施例2−1(b)におけると同様にしてPCR反応させた。このPCR産物の一部をとり、常法にしたがい1%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供したところ、特定のDNA断片の増幅が確認された。引き続き、実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べたところ、このDNA断片は、配列表における配列番号37に示す塩基配列を有していた。これにより、実施例2−1(a)乃至2−1(c)で決定した、配列表における配列番号34乃至36に示す塩基配列が、配列番号37に示す一連の塩基配列の、それぞれ部分配列であることが裏付けられた。
【0052】
一方、配列表における配列番号37に示す塩基配列によりコードされる、そこに併記したアミノ酸配列と、配列表における配列番号4乃至23に示す、実施例1−3で決定した部分アミノ酸配列とを照合したところ、これらの部分アミノ酸配列は、すべて配列番号37に併記したアミノ酸配列における第1乃至164番目のアミノ酸からなる部分に含まれていた。また、配列表における配列番号3に示す、実施例1−2で決定したN末端アミノ酸配列は、配列表における配列番号37に併記したアミノ酸配列における第1乃至22番目のアミノ酸からなる配列とよく一致した。したがって、以上のことは、配列表の配列番号37に示す塩基配列における第160乃至651番目の塩基からなる配列がヒト由来の当該IL−18結合蛋白質をコードし得るものであり、そして、当該IL−18結合蛋白質が、全体としては、斯かる塩基配列に併記した第1乃至164番目のアミノ酸からなる配列を有する場合があることを示唆している。なお、以上のごとく示唆された、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質のアミノ酸配列とそれをコードする塩基配列は、配列表における配列番号1及び32にそれぞれ別記している。
【0053】
【実施例2−2】
〈形質転換体によるヒト由来のIL−18結合蛋白質の産生〉
【0054】
【実施例2−2(a)】
〈組換えDNAの調製〉
0.5ml反応管に、実施例2−1(d)の方法で得た、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質をコードし得るDNAを1ngとり、これに、10μlの10×PCR緩衝液、1μlの25mM dNTPミックス及び2.5単位/μl DNAポリメラーゼ(商品名『クローンドPfuポリメラーゼ』、ストラタジーン製造)を加え、センスプライマーとして、配列表における配列番号32に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−CTCGAGGCCACCATGACCATGAGACACAAC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドを、また、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号32に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GCGGCCGCTCATTAGTGATGGTGATGGTGATGACCCTGCTGCTGTGGACT−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ適量加えて、滅菌蒸留水で全量を100μlとした。この混合物を、94℃で1分間、42℃で2分間及び72℃で3分間インキュベートするサイクルを3回繰返した後、さらに94℃で1分間、60℃で2分間及び72℃で3分間インキュベートするサイクルを35回繰り返してPCR反応させた。実施例2−1(a)におけると同様にしてPCR産物中に目的とするDNA断片が存在することを確認する一方、実施例2−1(a)におけると同様にして当該DNA断片を挿入してなるプラスミドベクターを採取した。引き続き実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べ、このプラスミドDNAが、配列表における配列番号32に示す塩基配列を含むことを確認した。
【0055】
常法にしたがって、上記で得たプラスミドDNAに制限酵素XhoI及びNotIを作用させて得たDNA断片100ngに、エス・ミズシマら、『ニュークレイック・アシッド・リサーチ』、第17号、第18巻、5,332頁(1990年)に記載された方法に準じて調製し、予め制限酵素XhoI及びNotIで切断しておいたプラスミドベクター『pEF−BOS』を10ng加え、DNAライゲーション・キット(商品名『DNAライゲーション・キット/バージョン2』、宝酒造株式会社製造)を用いてプラスミドベクター内にDNA断片を挿入した。実施例2−1(a)におけると同様にして、ライゲーション反応産物で大腸菌株を形質転換し、得られた形質転換体から組換えDNAを採取し、この組換えDNAを『pEFH18BPH6』と命名した。常法にしたがって分析したところ、図3に示すように、組換えDNA『pEFH18BPH6』においては、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質をコードし得る、配列表における配列番号32に示す塩基配列を含有するcDNA『EFH18BPH6 cDNA』が、延長因子1プロモーター『EF1αP』の下流に連結されていた。
【0056】
【実施例2−2(b)】
〈形質転換体によるヒト由来のIL−18結合蛋白質の産生〉
実施例2−2(a)で得た、組換えDNA『pEFH18BPH6』を含む形質転換大腸菌株を、100μg/ml アンピシリンを含むLB培地(pH7.2)に接種し、37℃で18時間通気撹拌培養した後、培養物から常法にしたがいプラスミドDNAを採取して、組換えDNA『pEFH18BPH6』を得た。この組換えDNAを20μgとり、予め常法にしたがい増殖させておいた、1×107個のアフリカミドリザルの腎臓由来の繊維芽細胞株COS−1細胞(ATCC CRL−1650)に、エレクトロポレーション法により導入して、この発明のDNAが導入された形質転換体を得た。
【0057】
平底培養瓶に培地(商品名『ASF104』、味の素製)をとり、これに、上記で得た形質転換体を1×105個/mlの割合で接種し、5%CO2インキュベーター中、37℃で3日間培養した。培養物から培養上清を採取し、アフィニティークロマトグラフィー用ゲル(商品名『Ni−NTA』、キアジェン製)のカラムに負荷した。このカラムに、20mMイミダゾールを含むPBSを通液して非吸着画分を除去した後、250mMイミダゾールを含むPBSを通液し、カラムからの溶出液を一定量ずつ分画採取した。それぞれの画分におけるIL−18結合蛋白質の有無を前記結合アッセイにより調べ、当該蛋白質の存在の確認された画分を採取し、合一して、1×107個の当該形質転換体より、約2mlの精製IL−18結合蛋白質の水溶液を得た。この水溶液の蛋白質含量は約10μg/mlであった。この水溶液を、実施例1−2の方法にしたがって処理し、N末端アミノ酸配列を分析したところ、配列表における配列番号3と同一のアミノ酸配列が得られた。なお、対照として、組換えDNA『pEFH18BPH6』に代えてプラスミドベクター『pEF−BOS』を用いて、本実施例と同様に処置したところ、IL−18結合蛋白質の存在は確認されなかった。以上の結果は、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質が配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列を有する場合があり、そして、当該蛋白質が、配列番号32に示す塩基配列によりコードされ得ることを裏付けている。
【0058】
【実施例3】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質〉
【0059】
【実施例3−1】
〈IL−18結合蛋白質の調製〉
コリネバクテリウム・パルバム(ATCC11827)を60℃で1時間加熱して得た死菌体を8週齢の雌CD−1マウス600匹の腹腔内に1mg/匹の割合で注射投与し、通常の方法で7日間飼育した後、静脈内に大腸菌由来の精製リポ多糖を1μg/匹の割合で注射投与した。2時間後、マウスの心臓から血液を採取し、これを常法にしたがって処理して血清200mlを得た。その後、この血清を実施例1−1の方法により精製したところ、マウス由来の精製IL−18結合蛋白質が約3μg得られた。
【0060】
その後、この精製IL−18結合蛋白質につき、ジチオトレイトール存在下のSDS−PAGEにより分子量を測定したところ、約40,000乃至60,000ダルトンにIL−18結合能を伴う蛋白質の単一バンドが観察された。なお、大麦胚芽レクチンをリガンドとする『ウィート・ジャーム・レクチン・セファロース6MB』に吸着することは、本例のIL−18結合蛋白質が糖蛋白質であることを示している。
【0061】
【実施例3−2】
〈ペプチドマッピング〉
実施例3−1の方法により得た精製IL−18結合蛋白質につき、実施例1−3におけると同様にしてペプチドマップを作成するとともに、トリプシン消化により得られたペプチド断片1乃至5及びトリプシン/ペプシン消化により得られたペプチド断片6乃至8のアミノ酸配列を調べたところ、ペプチド断片1乃至8は、それぞれ、配列表における配列番号24乃至31に示すアミノ酸配列を有していた(なお、「Xaa」は未同定のアミノ酸であることを意味している)。このとき得られたペプチドマップを図2に示す。
【0062】
【実施例3−3】
〈IL−18抑制作用〉
14週齢の雌C3H/HeJマウスから脾臓を摘出し、分散し、付着細胞を除去した後、脾細胞を10%(v/v)ウシ胎児血清を補足したRPMI−1640培地(pH7.4)に細胞密度1×107個/mlになるように浮遊させ、免疫担当細胞とした。次いで、脾細胞及び2.5μg/mlコンカナバリンAをマイクロプレートにそれぞれ0.15ml/ウェル及び0.05mlずつ分注し、組換え型マウスIL−18を25ng/mlと、IL−18に対して過剰量の、実施例3−1の方法により得た精製IL−18結合蛋白質とを含む新鮮な同一培地を0.05ml/ウェル加えた後、5%CO2インキュベーター中、37℃で24時間培養した。培養後、各ウェルから培養上清を0.1mlずつ採取し、産生したIFN−γを通常の酵素免疫法により測定した。併行して、IL−18結合蛋白質及びマウスIL−18のいずれかを省略した系をそれぞれ設け、これを上記と同様に処置して対照とした。なお、IFN−γの標準品には、米国国立衛生研究所から入手した標準マウスIFN−γ(Gg02−901−533)を用い、国際単位(IU)に換算して表示した。
【0063】
その結果、IL−18結合蛋白質を省略した対照におけるIFN−γの産生量が約600IU/mlであり、また、マウスIL−18を省略した対照におけるIFN−γの産生量が0IU/mlであったのに対して、IL−18結合蛋白質を加えた系においては、僅かに60IU/ml前後であった。このことは、本例のIL−18結合蛋白質がIL−18の生理作用を抑制することを示している。
【0064】
【実施例4】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNA〉
【0065】
【実施例4−1】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNA〉
【0066】
【実施例4−1(a)】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
コリネバクテリウム・パルバム(ATCC11827)を60℃で1時間加熱し、得られた死菌体を8週齢の雌CD−1マウスの腹腔内に1mg/匹の割合で注射投与した。7日間飼育した後、静脈内に大腸菌由来の精製リポ多糖を1μg/匹の割合で注射投与し、2時間後、頚椎を脱臼させて屠殺し、肝臓を摘出した。摘出した肝臓を湿重で3gとり、これを6Mグアニジンイソチオシアナート、10mMクエン酸ナトリウム及び0.5%(w/v)SDSからなる混液(pH7.0)20mlに浸漬し、ホモゲナイザーにより破砕した。次いで、35ml容遠心管に5.7M塩化セシウムを含有する0.1M EDTA(pH7.5)を25mlずつ注入し、その上部に細胞破砕物を10mlずつ重層し、この状態で20℃、25,000rpmで20時間超遠心分離した。その後、RNA画分を採取し、これを15ml容遠心管にとり、等量のクロロホルム/イソブタノール混液(体積比4:1)を加え、5分間振盪し、4℃、10,000rpmでさらに10分間遠心分離した後、水層部を採取した。採取した水層に2.5倍容のエタノールを加え、−20℃で2時間静置することによって全RNAを沈澱させた後、沈澱を採取し、75%(v/v)水性エタノールで洗浄し、滅菌蒸留水0.5mlに溶解した。
【0067】
以後、この全RNAを実施例2−1(a)におけると同様にして逆転写酵素反応させ、得られた第一ストランドcDNAを含む反応物を、センスプライマーとして、配列表における配列番号27に示すアミノ酸配列に基づき化学合成した5´−GCNGTNCCNACNAA−3´で表わされる塩基配列のオリゴヌクレオチドを、また、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号30に示すアミノ酸配列に基づき化学合成した5´−GTYTTNARNCCRTC−3´で表わされる塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた以外は実施例2−1(a)におけると同様にしてPCR反応させた。その後、プローブの調製に、配列表における配列番号24に示すアミノ酸配列に基づき化学合成した5´−SWNGTRTGNCCYTCYTT−3´で表わされる塩基配列のオリゴヌクレオチドを用いた以外は、実施例2におけると同様にしてPCR産物中に目的とするDNA断片が存在することを確認する一方、実施例2−1(a)におけると同様にして当該DNA断片の塩基配列を調べたところ、当該DNA断片は配列表における配列番号38に示す塩基配列を有していた。配列表における配列番号38に併記したアミノ酸配列と、配列表における配列番号24乃至31に示す、実施例3−2で決定した部分アミノ酸配列とを照合したところ、これらの部分アミノ酸配列は、いずれもその全部又は一部が配列番号38に併記したアミノ酸配列に含まれていた。このことは、配列表における配列番号38に示す塩基配列が、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質の少なくとも一部分をコードするものであることを示唆している。
【0068】
【実施例4−1(b)】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
実施例4−1(a)の方法にしたがって、コリネバクテリウム・パルバムの死菌体とリポ多糖で処理した雌性CD−1マウスより採取した全RNA1μgを、市販の5´RACEキット(商品名『5´RACEシステム、バージョン2.0』、ギブコ・ビー・アール・エル製)を用いて、PCRの一変法である5´RACEに供した。すなわち、先ず、上記全RNAを、配列表における配列番号38に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−TGCAGGCAGTACAGGACAAGG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる逆転写酵素反応に供し、引き続いてターミナル・デオキシヌクレオチジル・トランスフェラーゼを作用させて、生成した第一ストランドcDNAの5´末端にCテイルを付加した。この第一ストランドcDNAを、次に、センスプライマーとして、上記キットに添付の5´−GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGIIGGGIIGGGIIG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドと、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号38に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GTGCTGGGTACTGCTTAGTTG−3´とを用いてPCR反応させた。以上の5´RACEで得られた反応産物を一部とり、常法にしたがい1%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供したところ、特定のDNA断片の増幅が確認された。実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べたところ、このDNA断片は、配列表における配列番号39に示す塩基配列を含有していた。この塩基配列における第307乃至336番目の塩基からなる配列は、実施例4−1(a)で決定した、配列表の配列番号38に示す塩基配列における第1乃至30番目の塩基からなる配列と完全に一致した。このことは、配列表における配列番号39に示す塩基配列が、配列番号38に示す、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質の少なくとも一部をコードする塩基配列とオーバーラップし、かつ、その5´末端側上流域に相当する塩基配列を含んでいることを示唆している。
【0069】
【実施例4−1(c)】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
実施例4−1(a)の方法にしたがって、コリネバクテリウム・パルバムの死菌体とリポ多糖で処理した雌性CD−1マウスより採取した全RNA1μgを、斎藤隆監訳、『PCR実験マニュアル』、HBJ出版発行(1991年)、25乃至33に記載の方法にしたがって、PCRの一変法である3´RACEに供した。すなわち、先ず、上記RNAを、5´−GACTCGAGTCGACATCGA(T)17−3´で表される塩基配列のヌクレオチドをプライマーとして用いる逆転写酵素反応に供し、得られた第一ストランドcDNAを、実施例4−1(a)で決定した、配列表における配列番号38に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GATCCTGGACAAGTGGCC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをセンスプライマーとして、5´−GACTCGAGTCGACATCG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをアンチセンスプライマーとして用いてPCR反応させた。以上の3´RACEで得られた反応産物を一部とり、常法にしたがい1%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供したところ、特異的なDNA断片の増幅が確認された。実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べたところ、このDNA断片は、配列表における配列番号40に示す塩基配列を含有していた。この塩基配列における第1乃至63番目の塩基からなる配列は、実施例4−1(a)で決定した、配列表の配列番号38に示す塩基配列における第289乃至351番目の塩基からなる配列と完全に一致した。このことは、配列表における配列番号40に示す塩基配列が、配列番号38に示す、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質の少なくとも一部をコードする塩基配列とオーバーラップし、かつ、その3´末端側下流域に相当する塩基配列を含んでいることを示唆している。
【0070】
以上に示したように、実施例4−1(a)乃至4−1(c)で、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質をコードする、互いにオーバーラップする塩基配列として、配列表における配列番号38乃至40に示す塩基配列を決定した。互いにオーバーラップする部分の塩基配列を勘案すると、これらの塩基配列は、配列表における配列番号41に示す一連の塩基配列に由来する部分配列と考えられた。
【0071】
【実施例4−1(d)】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードするDNAの塩基配列〉
実施例4−1(a)の方法にしたがって、コリネバクテリウム・パルバムの死菌体とリポ多糖で処理した雌性CD−1マウスより採取した全RNAを逆転写酵素反応させた後、センスプライマーとして、配列表における配列番号41に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−CTGAGCCTTAGAGCTCCAAG−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドを、また、アンチセンスプライマーとして、配列表における配列番号41に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GTGAAGCTTGAGTTTGAGGTTC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いたこと以外は、実施例4−1(c)におけると同様にしてPCR反応させた。このPCR産物の一部をとり、常法にしたがい1%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供したところ、特異的なDNA断片の増幅が確認された。引き続き、実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べたところ、このDNA断片は、配列表における配列番号41に示す塩基配列を有していた。これにより、実施例4−1(a)乃至4−1(c)で決定した、配列表における配列番号38乃至40に示す塩基配列が、配列番号41に示す一連の塩基配列の、それぞれ部分配列であることが裏付けられた。
【0072】
一方、配列表における配列番号41に示す塩基配列によりコードされる、そこに併記したアミノ酸配列と、配列表における配列番号24乃至31に示す、実施例3−2で決定した部分アミノ酸配列とを照合したところ、これらの部分アミノ酸配列は、すべて配列番号41に併記したアミノ酸配列における第1乃至165番目のアミノ酸からなる部分に含まれていた。また、配列表における配列番号1に示す、ヒト由来の当該IL−18結合蛋白質のアミノ酸配列と、配列表における配列番号41に併記したアミノ酸配列における第1乃至165番目のアミノ酸からなる配列とを、慣用のコンピュータ・プログラムを用いて両者間で一致するアミノ酸の数が最大となるように並べたときの一致したアミノ酸の数に基づいて両者間の相同性を求めた。その結果、両者の間には約61%の相同性が認められた。したがって、以上のことは、配列表の配列番号41に示す塩基配列における第235乃至729番目の塩基からなる配列がマウス由来の当該IL−18結合蛋白質をコードし得るものであり、そして、当該IL−18結合蛋白質が、全体としては、斯かる塩基配列に併記した第1乃至165番目のアミノ酸からなる配列を有する場合があることを示唆している。以上のごとく示唆された、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質のアミノ酸配列とそれをコードする塩基配列は、配列表における配列番号2及び33にそれぞれ別記している。
【0073】
【実施例4−2】
〈形質転換体によるマウス由来のIL−18結合蛋白質の産生〉
【0074】
【実施例4−2(a)】
〈組換えDNAの調製〉
0.5ml反応管に、実施例4−1(d)の方法で得た、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質をコードし得るDNAを1ngとり、これを、配列表における配列番号33に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−CTCGACGCCACCATGACCATGAGACACTGC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをセンスプライマーとして、また、配列表における配列番号33に示す塩基配列に基づき化学合成した5´−GCGGCCGCTCATTAGTGATGGTGATGGTGATGTGCAACCCCTGGGCCTGC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをアンチセンスプライマーとして用いたこと以外は実施例2−2(a)におけると同様に処置してPCR反応させた。実施例4−1(a)におけると同様にしてPCR産物中に目的とするDNA断片が存在することを確認する一方、当該DNA断片を挿入してなるプラスミドベクターを採取した。引き続き実施例2−1(a)におけると同様にして塩基配列を調べ、このプラスミドDNAが、配列表における配列番号33に示す塩基配列を含むことを確認した。
【0075】
上記で得たプラスミドDNAを、実施例2−2(a)におけると同様にしてプラスミドベクター『pEF−BOS』に挿入して組換えDNAとし、得られた組換えDNAを『pEFM18BPH−MK2』と命名した。常法にしたがって分析したところ、図4に示すように、組換えDNA『pEFM18BPH−MK2』においては、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質をコードし得る、配列表における配列番号33に示す塩基配列を含有するcDNA『EFM18BPH−MK2 cDNA』が、延長因子1プロモーター『EF1αP』の下流に連結されていた。
【0076】
【実施例4−2(b)】
〈形質転換体によるマウス由来のIL−18結合蛋白質の産生〉
実施例4−2(a)で得た組換えDNA『pEFM18BPH−MK2』を含む形質転換大腸菌株の培養物より、常法にしたがいプラスミドDNAを採取して、組換えDNA『pEFM18BPH−MK2』を得た。この組換えDNAを20μgとり、実施例2−2(b)におけると同様にしてCOS−1細胞(ATCC CRL−1650)に導入して、この発明のDNAが導入された形質転換体を得た。
【0077】
引き続き実施例2−2(b)におけると同様にして、上記で得た形質転換体を培養し、培養物から培養上清を採取し、アフィニティークロマトグラフィー用ゲル(商品名『Ni−NTA』、キアジェン製)のカラムを用いてこの培養上清を分画し、IL−18結合蛋白質の存在が確認された画分を採取・合一し、1×107個の上記形質転換体より約2mlの、精製IL−18結合蛋白質を含む水溶液を得た。この水溶液の蛋白質含量は約1μg/mlであった。この水溶液を、実施例1−2の方法にしたがって処理し、N末端アミノ酸配列を分析したところ、配列表における配列番号2におけるN末端部分のものと同一のアミノ酸配列が得られた。なお、対照として、組換えDNA『pEFH18BPH6』に代えてプラスミドベクター『pEF−BOS』を用いて、本実施例と同様に処置したところ、IL−18結合蛋白質の存在は確認されなかった。以上の結果は、マウス由来の当該IL−18結合蛋白質が配列表における配列番号2に示すアミノ酸配列を有する場合があり、そして、当該蛋白質が、配列番号33に示す塩基配列によりコードされ得ることを裏付けている。
【0078】
以下、この発明のIL−18結合蛋白質を有効成分として含有する感受性疾患剤の実施例を具体的に説明する。
【0079】
【実施例5】
〈液剤〉
安定剤としてパイロジェン除去した結晶性トレハロース粉末(商品名『トレハオース』、株式会社林原商事販売)を1%(w/v)含む生理食塩水に実施例1−1又は実施例2−2の方法により得た精製IL−18結合蛋白質を1mg/mlになるように溶解した後、常法にしたがって除菌して、2種類の液剤を得た。
【0080】
安定性に優れた本品は、いずれも、自己免疫疾患、炎症性疾患及びアレルギー性疾患を含む感受性疾患を治療・予防するための注射剤、点眼剤、点鼻剤などとして有用である。
【0081】
【実施例6】
〈乾燥注射剤〉
安定剤としてパイロジェン除去したシュクロースを1%(w/v)含む生理食塩水100mlに実施例1−1又は実施例2−2の方法により得た精製IL−18結合蛋白質を100mg溶解し、それぞれ、常法にしたがって除菌した後、バイアル瓶に1mlずつ分注し、凍結乾燥し、密栓した。
【0082】
安定性に優れた本品は、いずれも、自己免疫疾患、炎症性疾患及びアレルギー性疾患を含む感受性疾患を治療・予防するための乾燥注射剤として有用である。
【0083】
【実施例7】
〈軟膏剤〉
滅菌蒸留水にカルボキシビニルポリマー(商品名『ハイビスワコー』、和光純薬工業株式会社製造)及びパイロジェンを除去した結晶性トレハロース粉末(商品名『トレハオース』、株式会社林原商事販売)をそれぞれ濃度1.4%(w/w)及び2.0%(w/w)になるように溶解し、実施例1−1又は実施例2−2の方法により得た精製IL−18結合蛋白質を均一に混合した後、pH7.2に調整して、1g当りIL−18結合蛋白質を約1mg含む2種類のペースト状物を得た。
【0084】
延展性と安定性に優れた本品は、いずれも、自己免疫疾患、炎症性疾患及びアレルギー性疾患を含む感受性疾患を治療・予防するための軟膏剤として有用である。
【0085】
【実施例8】
〈錠剤〉
パイロジェンを除去した無水結晶α−マルトース粉末(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売)に実施例1−1又は実施例2−2の方法により得た精製IL−18結合蛋白質及び細胞賦活剤としてのルミンを均一に混合し、得られた混合物を常法にしたがって打錠して、製品1錠(約200mg)当りIL−18結合蛋白質及びルミン(日本感光色素株式会社製)をそれぞれ約1mg含む2種類の錠剤を得た。
【0086】
摂取性、安定性に優れ、細胞賦活作用も兼備する本品は、いずれも、自己免疫疾患、炎症性疾患及びアレルギー性疾患を含む感受性疾患を治療・予防するための錠剤として有用である。
【0087】
【実験】
〈急性毒性試験〉
常法にしたがって、5週齢のddyマウス(体重20乃至25g)に実施例1−1、2−2、3−1及び4−2の方法により得た精製IL−18結合蛋白質を経口投与するか、腹腔内又は静脈内に注射投与した。その結果、これらの精製IL−18結合蛋白質のLD50は、いずれの投与経路によっても、約1mg/マウス1匹体重以上であった。ことことは、この発明のIL−18結合蛋白質がヒトを含む哺乳類に投与する医薬品に配合して安全であることを物語っている。
【0088】
【実施例9】
〈ヒト由来のIL−18結合蛋白質に対する抗体〉
【0089】
【実施例9−1】
〈ハイブリドーマの調製〉
実施例2−2の方法により得たヒト由来の精製IL−18結合蛋白質を抗原として用いて、9週齢の雌性BALB/cマウスを以下のスケジュールで免疫感作した。初回免疫として、常法により完全フロイントアジュバントとともに抗原を100μg/匹の用量で腹腔内に注射投与した。その後2週間おきに、追加免疫として、この手順に準じて計2回の注射投与を行い、さらに2週間後に最終免疫として、アジュバントを用いないこと以外は初回免疫に準じて注射投与を行った。以上の免疫感作の終了後3日めに該マウスより脾臓を摘出し、分散して脾細胞を得た。
【0090】
この脾細胞の約3×107個とマウス骨髄腫由来のSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)の約1×108個を、37℃に予温しておいた血清無含有のRPMI1640培地(pH7.2)(以下、単に「無血清培地」という。)の適量に浮遊させ、両細胞を十分に混和した。この細胞浮遊液を遠心分離し、上澄液を十分に除去した。沈澱部の細胞に、平均分子量1,500ダルトンの50%(w/v)ポリエチレングリコールを含む無血清培地1mlを1分間かけて滴々加え、その後37℃で1分間インキュベートして細胞融合に供した。これに、無血清培地を全量が50mlになるまで滴々加え、細胞融合の反応を停止した。この細胞融合産物を遠心分離して上澄液を十分に除去した後、沈澱部にHAT培地を加え、細胞密度約2×105個/mlの細胞浮遊液とした。この細胞浮遊液を96ウェルプレートに150μl/ウェルずつ分注し、5%CO2インキュベーター中で37℃で約10日間インキュベートしてハイブリドーマを選択的に増殖させた。
【0091】
各ウェルの上澄液を、ヒト由来のIL−18結合蛋白質との免疫反応の有無について、実施例2−2の方法で得た精製IL−18結合蛋白質を用いて通常のエンザイムイムノアッセイにより試験して、所期のハイブリドーマを含むウェルを選択した。選択されたウェルより細胞を採取し、それぞれを常法にしたがって限界希釈法に供したところ、6種類のハイブリドーマのクローンが得られた。
【0092】
【実施例9−2】
〈モノクローナル抗体の調製〉
実施例9−1で得た6種類のハイブリドーマを、それぞれ別々に以下のとおり操作してモノクローナル抗体を調製した。先ず、常法にしたがい、ハイブリドーマを細胞密度約1×105個/mlになるように5%(v/v)ウシ胎児血清を補足したRPMI1640培地(pH7.2)に浮遊させ、5%CO2インキュベータ中、37℃で所期の細胞密度に達するまで培養した。11週齢のBALB/cマウスの腹腔内にプリスタンを0.5ml/匹の用量で腹腔内に接種した。上記培養物よりハイブリドーマを採取し、プリスタン処理したマウスの腹腔内に約1×107個/匹の用量で接種した。その後マウスを通常の方法で1週間飼育した。
【0093】
プロテインA固定化ゲル『プロテインA−セファロース CL−4B』(ファルマシア社製)をPBSに膨潤させた後、カラムに充填した。このカラムに、3M 塩化ナトリウムを含む1.5M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.9)(以下、「平衡化緩衝液」という。)を通液して平衡化した。上記の飼育後のマウスから腹水を採取し、平衡化緩衝液で2倍希釈した後、平衡化したカラムに負荷した。引き続きこのカラムに十分量の平衡化緩衝液を通液して洗浄した後、適量の0.1M グリシン−塩酸緩衝液(pH2.8)を通液し、カラムに吸着した抗体を溶出させた。溶出液を採取し、PBSに対して4℃で一晩透析した後、透析内液を採取した。斯くして6種類のハイブリドーマに由来する6種類のモノクローナル抗体を、PBSを含む水溶液として得た。
【0094】
上記で得た6種類のモノクローナル抗体を、実施例9−1と同様に、ヒト由来のIL−18結合蛋白質との免疫反応の有無についてエンザイムイムノアッセイにより試験した。その結果、いずれも当該IL−18結合蛋白質と免疫反応した。斯くして、ヒト由来のIL−18結合蛋白質に対する6種類のこの発明のモノクローナル抗体を、いずれも、マウス1匹当たり約4mgの収量で得た。
【0095】
上記の6種類のモノクローナル抗体を、常法にしたがって、属するクラス、ヒト由来のIL−18結合蛋白質を検出するウェスタンブロッテイングへの利用性、ヒト由来のIL−18結合蛋白質の精製に有用な該蛋白質との免疫沈降への利用性について試験した。また、前記結合アッセイに準じて、ヒト由来IL−18結合蛋白質に対する中和能の有無を調べた。その結果、本実施例で得たモノクローナル抗体は、IgG1又はIgG2aのいずれかのクラスに属し、ヒト由来のIL−18結合蛋白質の検出、精製及び/又は中和に有用であることが確認された。
【0096】
【実施例10】
〈マウス由来のIL−18結合蛋白質に対する抗体〉
【0097】
【実施例10−1】
〈ハイブリドーマの調製〉
実施例4−2の方法により得たマウス由来の精製IL−18結合蛋白質を抗原として用いて、14週齢の雌性BNラットを以下のスケジュールで免疫感作した。初回免疫として、常法により完全フロイントアジュバントとともに抗原を20μg/匹の用量で腹腔内に注射投与した。その後2週間おきに、追加免疫として、この手順に準じて計2回の注射投与を行い、さらに2週間後に最終免疫として、初回免疫と同量の抗原を、常法によりアジュバントを用いず静脈内に注射投与した。以上の免疫感作の終了後3日めに該ラットより脾臓を摘出し、分散して脾細胞を得た。
【0098】
この脾細胞とマウス骨髄腫由来のSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)又はラット骨髄腫由来のY3−Ag1.2.3細胞(ATCC CRL−1631)との組合わせで、実施例9−1の方法に準じて細胞融合を実施した後、ハイブリドーマを選択的に増殖させた。
【0099】
ハイブリドーマが増殖した後の各ウェルの上澄液を、マウス由来のIL−18結合蛋白質との免疫反応の有無について、実施例4−2の方法で得た精製IL−18結合蛋白質を用いて通常のエンザイムイムノアッセイにより試験して、所期のハイブリドーマを含むウェルを選択した。選択されたウェルより細胞を採取し、それぞれを常法にしたがって限界希釈法に供したところ、SP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)と融合したハイブリドーマ2種類と、Y3−Ag1.2.3細胞(ATCC CRL−1631)と融合したハイブリドーマ1種類のクローンが得られた。
【0100】
【実施例10−2】
〈モノクローナル抗体の調製〉
実施例10−2で得た3種類のハイブリドーマを、それぞれ常法にしたがって、5%(v/v)ウシ胎児血清を補足したRPMI1640培地(pH7.2)を用いて、5%CO2インキュベータ中、37℃で、所期の細胞密度に達するまで培養した。それぞれの培養物の上澄液を採取し、上記エンザイムイムノアッセイにより試験したところ、いずれもマウス由来のIL−18結合蛋白質と免疫反応する抗体を含んでいることが確認された。また、常法にしたがい分析したところ、これら抗体は、IgG又はIgMのクラスに属することが確認された。斯くして、マウス由来のIL−18結合蛋白質に対する3種類のこの発明のモノクローナル抗体を、ハイブリドーマの培養上澄液として得た。なお、いずれの培養上澄液も、当該抗体を約10μg/ml含有していた。
【0101】
本実施例によるモノクローナル抗体は、マウス由来のIL−18結合蛋白質の精製、検出及び/又は中和に用いることができる。また、実施例10−1で得たハイブリドーマを上記に準じて生体外で培養するか又は常法にしたがい生体内で培養し、培養物に抗体の精製のための慣用の方法を適用すれば、精製されたこの発明のモノクローナルが得られる。精製された斯かるモノクローナル抗体は、上記用途にとりわけ有利に用いることができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明はIL−18に結合する新規な蛋白質の発見に基づくものである。この発明の蛋白質は、ヒトを含む哺乳類において、免疫系を活性化するIL−18の生理作用を抑制する性質を有するので、臓器移植に伴う拒絶反応の緩和や、過剰な免疫反応に起因する種々の疾患の治療・予防に著効を発揮する。
【0103】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト由来のIL−18結合蛋白質のペプチドマップである。
【図2】マウス由来のIL−18結合蛋白質のペプチドマップである。
【図3】ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードする塩基配列を含む組換えDNAの構造を示す制限酵素地図である。
【図4】マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードする塩基配列を含む組換えDNAの構造を示す制限酵素地図である。
【符号の説明】
EFH18BPH6 cDNA ヒト由来のIL−18結合蛋白質をコードする塩基配列を含むcDNA
EFM18BPH−MK2 cDNA マウス由来のIL−18結合蛋白質をコードする塩基配列を含むcDNA
EF1αP 延長因子1プロモーター
Amp アンピシリン耐性遺伝子
ori 複製起点

Claims (8)

  1. 配列表における配列番号2に示すアミノ酸配列を含有するインターロイキン−18結合蛋白質。
  2. SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定すると、40,000乃至60,000ダルトンの分子量を示す請求項1に記載のインターロイキン−18結合蛋白質。
  3. 哺乳類の体液から得ることのできる請求項1又は2に記載のインターロイキン−18結合蛋白質。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のインターロイキン−18結合蛋白質をコードするDNA。
  5. 配列表における配列番号33に示す塩基配列又はその塩基配列に相補的な塩基配列を含有する請求項4に記載のDNA。
  6. 有効成分として、請求項1乃至3のいずれかに記載のインターロイキン−18結合蛋白質を含有するインターロイキン−18抑制剤。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載のインターロイキン−18結合蛋白質に対する抗体。
  8. ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体としての請求項7に記載の抗体。
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