JP4216733B2 - 膜タンパク質−タンパク質相互作用を検出する方法およびキット - Google Patents
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Description
(a) 検出可能な遺伝子が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子が、検出可能な産物、好ましくはタンパク質を発現するように、転写活性化因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞を提供する段階;
(b) ベイトベクターの一部として、宿主細胞内で発現されることができる第一キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第一キメラ遺伝子が、特に第一膜タンパク質またはその一部をコードし、該遺伝子が、特に細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列および転写活性化因子をコードする第一モジュールのDNA配列に連結され、該第一タンパク質またはその一部が、第二タンパク質またはその一部と相互作用することができるか否かを試験する段階;
(c) プレイベクターの一部として、宿主細胞内で発現されることができる第二キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第二キメラ遺伝子が、特に膜結合または可溶性のどちらかである特に第二タンパク質またはその一部をコードし、該遺伝子が、特に細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードする第二モジュールのDNA配列に連結される段階;および
(d) 発現された第一タンパク質と第二タンパク質および/またはそれらの一部との相互作用が起こることができ、相互作用により第一モジュールの第一タンパク質配列と第二モジュールの第二タンパク質配列との相互作用が起こり、その結果、次に細胞内プロテアーゼの活性化および転写活性化因子のタンパク質分解性の分離が生じるように、ベイトベクターおよびプレイベクターの少なくとも一方、好ましくは両方がエピソーマルに維持されるのに適している、ベイトベクターおよびプレイベクターを宿主細胞内に導入する段階。
(a) 検出可能な遺伝子が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子が、検出可能な産物、好ましくはタンパク質を発現するように、転写活性化因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞;
(b) 第一核酸が挿入された場合に、特に細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列をコードし且つ転写活性化因子の核酸をさらに含む第一モジュールのDNA配列に該第一核酸が連結されるように、第一膜タンパク質またはその一部をコードする第一核酸を受け取ることができる第一部位を含む第一ベクター(ベイト);
(c) 第二核酸が挿入された場合に、特に細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードする第二モジュールのDNA配列に該第二核酸が連結されるように、第二膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質またはその一部をコードする第二核酸を受け取ることができる第二部位を含む第二ベクター(プレイ);および任意で
(d) 第二タンパク質またはその一部をコードするプラスミドライブラリー。
ベイトベクターは、好ましくは以下の特徴を含むプラスミド構築物である:
(1) 好ましくはカナマイシン耐性遺伝子をコードする発現カセットであるが、アンピシリン耐性遺伝子またはクロラムフェニコール耐性遺伝子を発現するカセットであってもよい、大腸菌におけるプラスミド増殖用の選択マーカー。実際には、大腸菌において選択可能な任意の他のマーカーをこの目的に使用してよい。
(1) CYC1プロモーターもしくは培地への銅の添加により誘導可能なCUP1プロモーター(Angermayrら、2000, Macreadieら、1989)等の低レベル発現を付与する、または高レベル発現を付与する(例えば、ADH1またはTEF1プロモーター)プロモーター。誘導性プロモーターの使用は以下の利点を有する:a)誘導した場合に、酵母においてベイトポリペプチドの過剰発現が起こる。b)誘導しない場合には、プロモーターは非常に低レベルでしかベイトポリペプチドを産生せず、これにより酵母細胞においてベイトポリペプチドの膜への正しい挿入が確実となり、かつベイトポリペプチドの過剰発現に関連する自己活性化の問題が妨げられる。誘導性プロモーターの使用は、これにより正しい発現および同じベイト構築物を用いて行う次のライブラリースクリーニングの検証が可能となるため、重要な利点を表す。
に脂肪酸修飾を付与するシグナル配列(Angermayrら、2000、Wolvenら、1997)であってよいリーダーをコードする核酸配列。
(1) pCbM-TDAは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xFLAGエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-B42の全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-B42が遊離され得る。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導性発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-B42の全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-B42が遊離され得る。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにCYC1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにCYC1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドの全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドが遊離され得る。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドの全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドが遊離され得る。
NbMライブラリーベクターは、好ましくは以下の特徴を含むプラスミド構築物である:
(1) 好ましくはアンピシリン耐性遺伝子をコードする発現カセットであるが、カナマイシン耐性遺伝子またはクロラムフェニコール耐性遺伝子をコードする発現カセットであってもよい、大腸菌におけるプラスミド増殖用の選択マーカー。実際には、大腸菌において選択可能な任意の他のマーカーをこの目的に使用してよい。
(1) CYC1プロモーター等の低レベル発現を付与する、GAL1もしくはCUP1等の誘導発現を付与する、またはADH1もしくはTEF1もしくはADH1と同様のプロモーター強度を有するプロモーター等の高レベル発現を付与するプロモーター要素。高レベル発現を付与するプロモーターが好ましい。
(1) pNbM-HA-X:酵母での高レベル発現のためのADH1プロモーターを有し、その後にNbMをコードする配列、赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、マルチクローニング部位、およびADH1ターミネーターが続く、高コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のための2ミクロン複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。強力なADH1プロモーターと2ミクロン起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが高コピー数となるため、このベクターは酵母におけるNbM融合ポリペプチドの高レベル発現に適している。
ゲノムDNA、ランダムもしくは非ランダムオリゴヌクレオチド、またはcDNA等の核酸からライブラリーを作製することができる。
ベイトとして用いるポリペプチドは、相等しい手順で用いられる低レベル発現を付与するベイトベクターおよび高レベル発現を付与するベイトベクターの両方に挿入してよい。偽陽性を避けるため、CbM-TDAを有するベイトタンパク質に高レベル発現を付与するプロモーターを用いる場合には、別の機構を用いてTDAの核活性を調節してもよい(例えば、変異型LexAのような変異型転写因子の使用)。プレイベクターは、ADH1またはTEF1等の強力なプロモーターを有することが好ましい。
原理上は、小胞体、ゴルジ体の膜、ミトコンドリアの外膜もしくは内膜、または最も好ましくは原形質膜等の酵母細胞内の膜に固定化され得る任意のポリペプチドが、MbY2Hシステムのベイトとして適している。ベイトとして用いるポリペプチドは内在性膜タンパク質であっても、あるいは、その後に膜貫通ドメインが続くシグナル配列、またはミリストイル化、パルミトイル化、もしくはファルネシル化等の任意の脂肪酸修飾のシグナル配列のような膜アンカーをコードするシグナル配列への融合を介して膜に連結される可溶性タンパク質であってもよい。ベイトとして用いられる様々な種類のポリペプチドについては、以下で詳細に記載する。
ベイトとして用いるポリペプチドをコードする核酸配列を、標準的な分子生物学的技法を用いて上記のベイトベクターの1つに挿入することができる。これらの技法は、(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)に詳細に記載されている。しかし、ベイトベクターに核酸配列を挿入する好ましい方法は、酵母でのインビボ組換え法による(Oldenburgら、1997、PradoおよびAguilera、1994)。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法(Mullis, 1990))により、適切な鋳型(ゲノムDNA、cDNA、または好ましくはプラスミドDNA等)から、関心対象のポリペプチドをコードする核酸配列を増幅する。関心対象の核酸配列の5'および3'末端に相補的な配列を含むように、プライマーを設計する。さらに、各プライマーは、上記のベイトベクターの1つに存在する制限エンドヌクレアーゼ認識部位の両側の26ヌクレオチドの配列と同一であるさらなる26ヌクレオチドの配列を5'末端に含む。したがってPCR産物は、ベイトとして用いるポリペプチドをコードする完全な核酸断片、ならびに5'および3'末端に26ヌクレオチドの相補配列(「フラップ(flap)」と称する)を含む。標準的な手順に記載されるように(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)、適切な制限エンドヌクレアーゼとともにインキュベートすることによりベイトベクターを処理する。PCR断片と制限処理したベイトベクターを等モル量で混合し、標準的な酵母形質転換技法により(GietzおよびWoods、2001)適切な酵母レポーター株に形質転換する。内因性の修復機構により(Friedberg, 1991a, Friedberg, 1991b)、PCR断片の両端がベイトベクター中の相補的対応物と再結合し、その結果、PCR産物がベイトベクターの開放した末端に正確に挿入された核酸構築物が生じる(図???)。この過程は酵母に全く特異的であるため、PCR断片は所定の方向に挿入され、かつ末端のヌクレオチドは除去も付加もされない。そのため、この方法によるベイトポリペプチドをコードする核酸配列の挿入は、上記した従来の挿入法よりも容易かつ迅速である。ベイトポリペプチドをコードする核酸の挿入は、ベイトポリペプチドのリーディングフレームがマルチクローニング部位の後に続くレポーターカセットのリーディングフレームと同じになる方法で行わなければならない。このようにして、酵母におけるベイトプラスミドの翻訳により、上記のCbMおよび要素に融合されたベイトポリペプチドからなる連続したポリペプチドが提供される。
スクリーニングを行う前に、酵母においてベイトが正しく発現されるか否かを試験する必要がある。正しい発現とは、ベイトポリペプチドが酵母においてその全長で翻訳されること、顕著なタンパク質分解が起こらないこと、および酵母においてベイトが膜に挿入されることを意味する。まず、任意の酵母株であってよいが、好ましくは上記の株の1つ、最も好ましくは酵母株DSY1またはDSY2の一方である適切な酵母株に、ベイト構築物を形質転換する。適切な選択条件下で酵母形質転換体を培養し、免疫ブロッティング技法によりベイトの発現を検出する。酵母で発現されたポリペプチドの免疫ブロッティング技法による検出は標準的であり、例えば(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)および酵母プロトコールハンドブック(YEAST PROTOCOLS HANDBOOK)(Clontech)に記載されている。オートラジオグラフ上で期待される分子量のシグナルが出現することにより、ベイトポリペプチドが酵母において発現されること、および内因性プロテアーゼによって顕著に分解されないことが示される。
ベイトポリペプチドが任意のプレイポリペプチドの非存在下で発現される場合に、レポーター株に存在するレポーター遺伝子を活性化しないことを確認するため、自己活性化試験を行う。まず、任意の酵母株であってよいが、好ましくは上記の株のいずれか、最も好ましくは酵母株DSY1またはDSY2の一方である適切な酵母株に、ベイト構築物を形質転換する。レポーター株に存在するすべてのレポーター遺伝子の活性化を評価するため、酵母形質転換体を異なる選択培地上にプレーティングする。例えば、レポーター株AH109を用いる場合、ベイト構築物およびTRP1遺伝子を提供する対照構築物を有する酵母形質転換体を、ロイシン(ベイト構築物の存在を選択するため)、トリプトファン(対照構築物の存在を選択するため)、およびアデニン(ADE2の活性を評価するため)を欠く選択プレート上にプレーティングする。選択培地上で酵母形質転換体が増殖することにより、ベイトポリペプチド単独でレポーター遺伝子を活性化し得ることが示される。そのようなベイトはMbY2Hスクリーニングには使用することができない。
従来のスクリーニング技法では、まず上記のようにベイトプラスミドで酵母レポーター株を形質転換する(複数コピーのベイトプラスミドを有する酵母株が生じる、「ベイト保有株」と称する)。酵母株は自己複製プラスミドとしてまたはゲノムに組み込まれた核酸断片として適切なレポーター構築物を有する任意のS. セレビシエ株であってよいが、好ましくは酵母株L40[Vojtek, 1993 #398]もしくは酵母株AH109(Clontech)もしくは酵母株PJ69-4A(Jamesら、1996)であり、または最も好ましくは酵母株DSY1もしくはDSY2である。次いでベイト保有株を、ゲノム断片、ランダムもしくは非ランダムオリゴヌクレオチド、または好ましくはcDNA断片であってよいNbM融合核酸のライブラリーで形質転換する。そのようなライブラリーは、本明細書に記載する方法のいずれかを用いて、上記のNbMライブラリーベクターのいずれかで作製することができる。
接合手順を用いる場合、上記の方法のいずれかにより、所定の接合型(aまたはα)の酵母レポーター株にベイトプラスミドを導入する。次に、上記の任意のライブラリーであってよいライブラリーを、上記の方法のいずれかにより逆の接合型(α型またはa型)の株に導入する。続いて、標準的な方法に従い(図2;(SoellickおよびUhrig、2001)、マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアル、Clontech)、ベイト保有株およびライブラリー保有株を接合させる。ベイトの形質転換に使用する酵母株は、L40、AH109、PJ69-4A、または好ましくはDSY1もしくはDSY2である。ライブラリーの形質転換に使用する酵母株は、L40α、Y187、PJ69-4α、または好ましくはDSYMである。
形質転換または接合後に、酵母形質転換体を固形選択培地上にプレーティングする。この選択培地は、(1) ベイトプラスミド、(2) ライブラリープラスミド、および(3) ベイトとプレイポリペプチドとの間に起こり得る相互作用の存在を選択するような方法で構成される。
(1) それぞれベイトおよびライブラリープラスミドにコードされるベイトおよびプレイポリペプチドが、酵母において相互作用しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成が起こらず、スプリットユビキチンが形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは酵母細胞の核に到達することができない。結果として、酵母形質転換体のレポーター遺伝子は活性化されず、どのレポータータンパク質も産生されない(図6A)。したがって、各酵母形質転換体は選択培地上で増殖することができない。
項7に記載の選択手順で生き残った酵母形質転換体は、酵母レポーター株においてベイトポリペプチドと相互作用し得るポリペプチドをコードするライブラリー構築物を有する可能性が最も高い。しかし、いかなるインビボ系と同様に、項7に記載の選択手順で生き残る能力を酵母形質転換体に付与するものの、ベイトポリペプチドと相互作用しない特定のプレイポリペプチドをコードするライブラリー構築物であるいわゆる「偽陽性」が単離される万が一の可能性が存在する。スクリーニングからこれらの偽陽性を単離するために、いわゆるベイト依存性試験を行う。
(1) プレイポリペプチドは、本来のベイトポリペプチドおよび対照ポリペプチドと相互作用する。この場合、ベイト構築物およびプレイ構築物の同時形質転換体ならびに対照ベイト構築物およびプレイ構築物の同時形質転換体は、lacZレポーターを活性化する。そのようなプレイ構築物は、同じ酵母細胞で発現される任意のベイトポリペプチドと非特異的に相互作用する偽陽性をおそらくコードするため、これらは除外する。
ベイト依存的である、すなわち本来のベイトポリペプチドとは相互作用するが対照ポリペプチドとは相互作用しないいずれのライブラリー構築物も、酵母においてベイトポリペプチドと相互作用するポリペプチドをコードする可能性が高い。ポリペプチドを同定するため、標準的なDNA配列決定法を用いて、プレイポリペプチドをコードするライブラリー構築物中の核酸配列を決定する。次に決定した核酸配列を用いてそれがコードする対応するポリペプチドを予測し、核酸配列または導き出したアミノ酸配列を用いて、核酸またはアミノ酸配列を比較する任意のアルゴリズムにより(BLAST等、(Altschulら、1997))、GenBankまたはEMBLデータベース等の配列情報を保持する任意の公的データベースを検索することができる。
酵母細胞において特定のベイトポリペプチドおよび特定のプレイポリペプチドを同時発現することで、それぞれベイトおよびプレイに融合させたCbMおよびNbMからスプリットユビキチンが再構成されてレポーター遺伝子が特異的に活性化されることにより、選択で生き残る形質転換体が得られる。選択は選択培地上で行い、比色アッセイにより確認する(上記の項7)。スプリットユビキチンを再構成する能力はベイトおよびプレイポリペプチドの空間的近接を意味し、したがって(スクリーニングに用いたストリンジェンシーに依存して)ベイトおよびプレイとして用いた2つのポリペプチドが酵母において相互作用すると考えられる。2つのポリペプチドが酵母において相互作用する場合、哺乳動物細胞等の別の設定においてもインビボで相互作用することが強く示唆される。よって、MbY2Hシステムにより、所定のタンパク質(ベイト)および他のタンパク質(プレイ)の大きな収集物(ライブラリー)を用いて相互作用するタンパク質の対を同定することができる。MbY2Hシステムにより、ベイトと相互作用するタンパク質を選択的に同定する手段が提供される。
1. L40
酵母レポーター株L40は以下の遺伝子型を有する:
L40の作製については、(Vojtekら、1993)に詳細に記載されている。L40を用いて、項5に記載するようにMbY2Hシステムにより、相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを選択することができる。相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3レポーター遺伝子およびlacZレポーター遺伝子を用いる。
酵母レポーター株AH109は以下の遺伝子型を有する:
AH109の作製については、マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアル(Clontech)に詳細に記載されている。AH109を用いて、項5に記載するようにMbY2Hシステムにより、相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを選択することができる。相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3マーカー、ADE2マーカー、MEL1メーカー、およびlacZレポーターマーカーを用いる。L40と比較してAH109の利点は、選択培地に以下の修飾を用いることによりスクリーニングのストリンジェンシーを変更する選択の自由にある:(1) 低ストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
酵母レポーター株PJ69-4Aは以下の遺伝子型を有する:
PJ69-4Aの作製については、(Jamesら、1996)に詳細に記載されている。PJ69-4Aを用いて、上記のようにMbY2Hシステムにより、相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを選択することができる。相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3マーカー、ADE2マーカー、およびlacZレポーターマーカーを用いる。L40と比較してPJ69-4Aの利点は、選択培地に以下の修飾を用いることによりスクリーニングのストリンジェンシーを変更する選択の自由にある:(1) 低ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
酵母レポーター株DSY1は、ゲノム内に組み込まれた以下のカセットを含む:GAL1プロモーターに続くHIS3遺伝子、 GAL2プロモーターに続くADE2遺伝子、GAL1プロモーターに続くlacZ遺伝子。DSY1は以下のように作製する:DSY1の作製に用いる酵母株は、高い形質転換効率を有するDGY63である。標準的な方法により、GAL1-HIS3、 GAL2-ADE2、およびGAL1-lacZをコードするレポーター構築物を組込みプラスミドpFA6a(URA3)(GierzおよびSugino、1988)にサブクローニングし、(Jamesら、1996)に記載されるように、URA3選択および5-FOAを介する切除を複数ラウンド行うことによりDGY63ゲノムに組み込む。4つのLexAオペレーター部位およびCYC1上流活性化配列からなるハイブリッドプロモーターを含み、その後にURA3遺伝子およびCYC1ターミネーターが続く負のレポーター構築物。最小CYC1プロモーターを含み、その後にLexM-B42-CYC1ターミネーターに融合させた対照ベイトポリペプチドをコードする核酸配列が続く発現カセットを、標準的な酵母法により(Burkeら、2000)組込みプラスミドpFA6a(kanMX)にサブクローニングし、(Burkeら、2000)に記載されるようにG418を介する選択によりゲノムに組み込む。または、上記のように負のレポーターをAH109またはPJ69-4Aのゲノムに組み込むことにより、DSY1の変異株を作製することも可能である。
DSY2は、組み込むカセットが組込みプラスミドpFA6a(kanMX)上で、4xLexAオペレーター部位-CYC1-UAS-FAR1-CYC1ターミネーターおよびCYC1プロモーター-対照ベイトポリペプチドをコードする核酸配列-LexM-B42-CYC1ターミネーターを含む以外は、DSY1と同様の様式で作製する。
L40αは、標準的な手順により(Burkeら、2000)逆の接合型に(aからαへ)転換したL40の派生物である。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてL40とともに用いる。
酵母レポーター株Y187は以下の遺伝子型を有する:
その作製については、(Harperら、1993)に詳細に記載されている。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてAH109とともに用いる。
PJ69-4αは、標準的な手順により(Burkeら、2000)逆の接合型に(aからαへ)転換したPJ69-4Aの派生物である。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてPJ69-4Aとともに用いる。
DSYMは、標準的な手順により(Burkeら、2000)逆の接合型に(aからαへ)転換したDGY63の派生物である。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてDSY1またはDSY2とともに用いる。
標準的な方法を用いて(Burkeら、2000)、酵母PDR1〜3遺伝子(酵母においてErg輸送体の発現を制御する転写因子をコードする)をノックアウトすることによりDGY63から作製される。標準的な方法により(Burkeら、2000)、GAL1-URA3およびGAL1-lacZを含むレポーターカセットがURA3座位に組み込まれている。
標準的な方法を用いて(Burkeら、2000)、酵母PDR1〜3遺伝子(酵母においてErg輸送体の発現を制御する転写因子をコードする)をノックアウトすることによりDGY63から作製される。標準的な方法により(Burkeら、2000)、GAL1-FAR1およびGAL1-lacZを含むレポーターカセットがURA3座位に組み込まれている。
1. ホタルルシフェラーゼ-CbM-GFP(FCG)融合体からなるレポーターを用いて、リアルタイムでタンパク質-タンパク質相互作用を検出することができる。ルシフェラーゼの活性化により、CbMを越えてGFPに蛍光エネルギー転移(FRET)が起こり、GFPが活性化されて緑色光を放射する。FCGに融合させたベイトタンパク質およびNbMに融合させたプレイタンパク質を酵母内で同時発現させる場合、2つのタンパク質の相互作用によりスプリットユビキチンが再構成され、CbM-GFP境界での切断が起こる。GFPが遊離され、ルシフェラーゼ-CbM融合体から拡散する。その結果、ルシフェラーゼとGFPとの間にはFRETが起こらない。ベイトとプレイタンパク質との相互作用を遮断する化合物を導入した場合、もはやGFPは切断されず、ルシフェラーゼとGFPとの間のFRETにより緑色光が放射される。したがって、GFP蛍光の強度により、2つのタンパク質間の相互作用の遮断における化合物の有効性を直接測定することができる。
DSYDS3は、標準的な方法により(Burkeら、2000)CYC1-シフェラーゼ-CbM-GFPを含むレポーターカセットをLYS2座位に組み込むことにより、株DSYDS2から導かれる。
所定のタンパク質-タンパク質相互作用を破壊する小化合物のスクリーニング
小化合物スクリーニングの目的は、ベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとのタンパク質-タンパク質相互作用を遮断し得る小化合物を同定することである。「小化合物」という用語は、化学的に合成され得る、天然物から抽出もしくは濃縮され得る、または多糖化合物であってよい、最大で5 kDaの分子量を有する任意の低分子を表すことを意図する。
(1) 添加した化合物がベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、転写活性化因子ポリペプチドが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3レポーターが活性化され、URA3遺伝子産物が産生される。URA3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こす。特定の酵母形質転換体を含むウェル内で増殖が起こらず、吸光度の減少が測定される。
(1) 添加した化合物がベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のFAR1レポーターが活性化され、FAR1遺伝子産物が産生される。FAR1遺伝子産物が酵母の細胞周期に関与するタンパク質を妨げ、細胞周期の抑止が起こる。特定の酵母形質転換体を含むウェル内で増殖が起こらず、吸光度の無変化が測定される。
ペプチドアプタマーは、ある種のタンパク質に結合しその酵素活性を修飾し得る、コンビナトリアルライブラリーから選択される小タンパク質であり、したがってインビボでタンパク質機能を操作するのに有用な方法を表す(FiledおよびSternglanz、1994、Yangら、1995)。そのようなコンビナトリアルライブラリーはこれまで、繊維状ファージの表面上に作製されるか、または化学的に合成され樹脂ビーズ等の担体基質に結合された。
(1) ペプチドが、ベイトポリペプチドのプレイポリペプチドへの結合を破壊しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化され、Ura3またはFar1遺伝子産物が産生される。Ura3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こし、一方、Far1遺伝子産物は細胞周期を妨げ酵母形質転換体を抑止する。したがって、形質転換体は選択プレート上で増殖しない。
細胞により合成され特定の細胞区画を標的にする一本鎖抗体(scFv)を用いて、非常に特異的な様式で細胞増殖および代謝を妨げることができる。ペプチドと同様に、一本鎖抗体は分泌させても細胞内に存在させてもよい(いわゆる細胞内発現抗体(intrabody))(RichardsonおよびMarasco、1995)。
このアプローチは、ベイトタンパク質とプレイタンパク質との相互作用を遮断し得るベイトまたはプレイタンパク質の最小相互作用ドメイン(MID)の同定を含む。まず、ベイトタンパク質をCbMへの融合体として発現させ、プレイタンパク質をNbMへの融合体として発現させる。次に、ベイトおよびプレイタンパク質をコードするcDNAを様々な大きさの断片に断片化し、それらの断片をライブラリーベクターにサブクローニングすることにより、ベイトおよびプレイタンパク質のMIDライブラリーを作製する。ライブラリーベクターはMIDが細胞の細胞質内に発現されるように選択してもよいし、ライブラリーベクターにMIDの搬出を細胞膜周辺腔に方向づけるために用いられる分泌シグナルを含めてもよい。次に、ペプチドライブラリーに関して記載したスクリーニングアプローチにより、ベイトタンパク質とプレイタンパク質との相互作用を遮断するMIDを同定することができる。その後、対応するcDNAを単離してさらに解析する。
scFVを用いて、所与のタンパク質に結合する新規抗体を同定することも可能である。この場合、scFvを10〜20アミノ酸の可動性ポリペプチドリンカーに融合し、その後に膜貫通ドメイン、次にNbMを続けたscFvライブラリーを作製する。scFvライブラリーの実際の作製は、標準的な方法に従う。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、今日、治療標的の唯一の最重要クラスを表す。完全なヒトゲノム配列から、数百の異なるGタンパク質共役受容体がヒト組織において発現されることが推定されるが、その大部分は今日まで特徴づけられていない。いわゆるオーファン受容体とは、内因性リガンドが未だ同定されていないGPCRのことである。オーファン受容体は新規治療標的を表す可能性を秘めているため、この受容体には非常に大きな薬学的関心がある(WilsonおよびBergsma、2000)。
「ライブラリースクリーニング」 の項に記載した標準的方法のいずれかを用いて、調査中のGPCRをコードする核酸配列を、記載したベイト構築物のいずれかに挿入する。好ましくは、ベイト受容体をコードする核酸配列をpCMGA74B42に挿入する。受容体の膜への正しい挿入を方向づけるシグナル配列は、受容体の本来のシグナル配列であってよいが、酵母GPCR Ste2pまたは酵母インベルターゼ(SUC2)等の酵母ポリペプチド由来シグナル配列により受容体の本来のシグナル配列を置換することが好ましい。
「レポーター株」の項に記載した任意のレポーター株であってよいが、好ましくはDSY1またはDSY2、最も好ましくはDSYDS1またはDSYDS2である適切なレポーター株に形質転換した後、CbMおよび、「ベイトベクター」 の項に記載したレポーター成分のいずれかであってよいが、好ましくはGal1-93-B42、最も好ましくはGal1-74-B42であるレポーター成分への融合体として受容体を発現させる。受容体が正しく発現されかつ膜に組み込まれていることの検証は、「ライブラリースクリーニング」の項に記載した方法のいずれかにより行うことができる。
オーファン受容体リガンドをスクリーニングする目的で、プレイを、リガンドの結合に際して相互作用が失われる様式で研究中の受容体と相互作用する任意のタンパク質と定義する。プレイはヘテロ三量体Gタンパク質複合体の任意のGαサブユニットまたは任意のGβサブユニットであることが好ましく、ヒトGα16またはマウスGα13等のプロミスカスなGαサブユニットであることが最も好ましい。Gタンパク質をコードする核酸配列は、「プレイおよびライブラリーベクター」の項に記載したライブラリーまたはプレイ構築物のいずれかに挿入してよいが、p424CUP1-NbM-xまたはp424CUP1-x-NbMに挿入することが好ましい。構築物p424CUP1-NbM-xまたはp424CUP1-x-NbMは、CYC1プロモーターがをCUP1プロモーターに置換した以外は、それぞれp424NbM-xおよびp424x-NbMと同じである。Gタンパク質は、NbMのN末端またはC末端に融合してよい。プレイの正しい発現は、「ライブラリースクリーニング」の項に記載した標準的な方法のいずれかにより検証することができる。
記載したレポーター株のいずれかにベイトおよびプレイ構築物を同時形質転換することにより、スクリーニングを開始する。形質転換した後、アミノ酸ロイシン(ベイト構築物の存在を選択するため)およびトリプトファン(プレイ構築物の存在を選択するため)を欠く選択培地中で、酵母形質転換体を拡大する。拡大した後、液体酵母培養物を96ウェルまたは384ウェルプレートに等分に分割する。培地に銅を添加することによりベイトおよびプレイポリペプチドの発現を誘導し、その直後、化合物ライブラリーに由来する特定の化合物を各ウェルに添加する。DSYDS1を用いる場合には、銅とともに化合物5-FOAを培地に添加する。化合物ライブラリーは上記の化合物ライブラリーのいずれかであってもよいし、特にオーファン受容体リガンドスクリーニングを目的として作製された任意の化合物ライブラリーであってもよい。酵母株の分割、銅の添加、および化合物の添加は、標準的なハイスループットスクリーニング方法を用いて自動化様式で行う。
(1) 添加した化合物は受容体に結合しない。この場合、受容体の構造変化は起こらず、ほとんどすべてのヘテロ三量体Gタンパク質は受容体に結合したままになる。GαおよびGPCRの空間的近接により、NbMおよびCbMの再構成ならびにスプリットユビキチンの形成が起こる。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化され、Ura3またはFar1遺伝子産物が産生される。Ura3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こし、一方、Far1遺伝子産物は細胞周期を妨げ酵母形質転換体を抑止する。したがって、形質転換体は選択培地中で増殖しない。
上記の手順の改良法においては、受容体を任意の適切な酵母発現ベクターから(p424GAL1またはp424CYC1等、Mumbergら、1995)非融合ペプチドとして発現させることができ、ベイトおよびプレイポリペプチドはpDSdual-2から発現させる。構築物pDSdual-2は、CYC1プロモーターをCUP1プロモーターに置換した以外は、「ベイトベクター」の項に記載したpDSdual-1と同じである。この改良法では、ベイトは任意のGαサブユニットであるが好ましくはヒトGα16等のプロミスカスなαサブユニットであり、プレイは任意のGβサブユニットである。
上記手順の別の改良法においては、受容体を任意の適切な酵母発現ベクターから(p424GAL1またはp424CYC1等、Mumbergら、1995)非融合ペプチドとして発現させ、ベイトおよびプレイポリペプチドをpDSdual-2から発現させる。ベイトはアデニル酸シクラーゼであり、プレイは任意のGαサブユニットであるが好ましくはヒトGα16等のプロミスカスなαサブユニットである。スクリーニングには任意の適切な酵母レポーター株を用いることができるが、好ましくはL40、AH109、またはPJ69-4Aを用い、最も好ましくはDSY1またはDSY2を用いる。
(1) 添加した化合物が受容体に結合しない。この場合、受容体の構造変化は起こらず、ほとんどすべてのヘテロ三量体Gタンパク質は受容体に結合したままになる。Gαが受容体に結合したままである場合、Gαはアデニル酸シクラーゼに到達することができず、したがってNbMおよびCbMは空間的に近接せず、スプリットユビキチンは形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは酵母細胞の核に到達することができない。結果として、酵母形質転換体のレポーター遺伝子が活性化されず、どのレポータータンパク質も産生されない。したがって、それぞれの酵母形質転換体は選択培地中で増殖することができない。
1つのGPCRに結合するが関連GPCRには結合しない化合物を特異的に選択するために、この改良法を用いる。例えば、GPCR 1(ベイト)はβ2アドレナリン受容体であってよく、GPCR 2(対照)はβ1アドレナリン受容体であってよい。スクリーニングにおいて改良法3を用いることにより、β2アドレナリン受容体を特異的に活性するがβ1アドレナリン受容体は活性化しない化合物が単離されることになる。同じサブクラスのGPCR間の非特異的クロストークまたはさらに非関連GPCR間の非特異的クロストーク示さない新規化合物を同定することは、製薬産業にとって非常に重要である。
(1) 添加した化合物がGPCR 1に結合しない。この場合、受容体の構造変化は起こらず、ほとんどすべてのヘテロ三量体Gタンパク質は受容体に結合したままになる。GαおよびGPCRの空間的近接により、NbMおよびCbMの再構成ならびにスプリットユビキチンの形成が起こる。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼによりLexA-B42が切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化され、Ura3またはFar1遺伝子産物が産生される。Ura3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こし、一方、Far1遺伝子産物は細胞周期を妨げ酵母形質転換体を抑止する。したがって、形質転換体は選択培地中で増殖しない。
実施例1
ベイトとしてβ2アドレナリン受容体を用いたMbY2Hスクリーニング
ベイトのクローニング
「ベイトベクター」の項に記載したベイトベクターpCbM-TDAを、酵母STE2遺伝子由来のリーダー配列をXba IおよびPst I部位に挿入することにより改変した。リーダーの配列は、まさに(Kingら、1990)によって記載されている通りである。ヒトゲノムDNA(Promega Corporation、米国、ウィスコンシン州、マディソン)からヒトβ2アドレナリン受容体のコード配列を増幅し、ベクターpSte-CbM-FLVにクローニングした。
VP16ドメインに対して作製された抗体(Clontech)を用いてウェスタンブロッティングすることにより、受容体の正しい発現を検証した。構築物pBAR-CbM-TDAを発現する酵母株L40において、75 kDaおよび100 kDaの2本のバンドが認められた(図9A)。LEU2耐性マーカーを提供するベクターで形質転換したL40の対照抽出物では、バンドは認められなかった。L40の膜における受容体の存在は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載した標準的な膜分画法により検証した。図9Bに示すように、受容体は膜画分にのみ認められ、可溶性画分には認められなかった。
受容体-LexA-VP16融合体の自己活性化を、アミノ酸ヒスチジン、ロイシン、およびトリプトファンを欠き15 mM 3-ATを含む選択培地上で形質転換体の増殖を試験することにより、および標準的なフィルター試験を用いてβ-ガラクトシダーゼ活性をアッセイすることにより評価した。受容体を発現する形質転換体は、β-ガラクトシダーゼアッセイにおいて活性を示さなかった。
Life Technologies(米国、カリフォルニア州、カールズバッド)により作製されたヒト脳NbM-xライブラリーを用いて、スクリーニングを行った。同時形質転換および選択プレート上での増殖は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したように行った。選択により約300個のコロニーが得られた。一次選択プレートでのβ-ガラクトシダーゼフィルターアッセイの後に、β-ガラクトシダーゼの強力な誘導を示した96個のコロニーを拾い、選択培地上に再度画線した。二次β-ガラクトシダーゼフィルターアッセイを行った後、59個の陽性クローンを、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したようにウェスタンブロッティングおよびプラスミド単離のために処理した。ライブラリープラスミドをpBAR-CbM-TDA、またはCbM-LexM-VP16に融合させたヒトErbB3受容体をコードする対照構築物pErbB3-TDAのいずれかとともにL40に再度導入し、選択培地上での増殖およびβ-ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。59個のクローンのうち19個がベイト依存性である、すなわちβ2アドレナリン受容体と相互作用するがErbB3受容体とは相互作用しないとスコアした。ベイト依存性クローンのプラスミドを配列決定した。
β-ガラクトシダーゼ活性を検出するフィルターアッセイ法
1. ロイシンおよびトリプトファンを欠くドロップアウトアガープレート上の無菌のワットマン(Whatman)フィルター上で、Y-CbM-TDAを発現する酵母をNbM融合タンパク質とともに30℃で2日間培養する。細胞が標準的な最小培地では十分に増殖しない傾向があるため、ドロップアウト培地を用いる。
β-ガラクトシダーゼ活性の定量化
1. ウラシル、ロイシン、およびトリプトファンを欠く液体ドロップアウト培地3 ml中に、Y-CbM-TDAを発現する酵母形質転換体をNbM融合タンパク質とともに播種する。
β-ガラクトシダーゼ単位 = 1000 x OD420/( OD546 x 分)
NbM融合体とともにY-CbM-TDAを発現する細胞のウェスタンブロット解析
1. NbM融合タンパク質とともにY-CbM-TDAを発現する酵母細胞を、ロイシンおよびトリプトファンを欠くドロップアウト液体培地中でOD546が0.3〜1.2になるまで30℃で培養する。
MbY2Hシステムを用いて、酵母における異種性タンパク質間の相互作用を検出することができる
酵母での膜に位置する2つの異種性タンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用の検出におけるMbY2Hシステムの有用性を実証するため、2つの確定したタンパク質対を選択した。第一例では、プレセニリン-1 N末端断片のホモ二量体化を実証するが、これは2つの内在性膜タンパク質間の相互作用の実例となる。第二例では、受容体チロシンキナーゼErb3とそのアダプタータンパク質Nrdp1との相互作用を選択し、内在性膜タンパク質と可溶性(サイトゾル)タンパク質との相互作用を実証した。
1. pCMBV1. ベクターpCMBV1は、3xFLAGエピトープをコードする配列を除去した以外は、21ページに記載したベクターpCbM-TDAと一致する(図13A)。
2. pAMBV1. ベクターpAMBV1は、弱いCYC1プロモーターを強力なADHプロモーターに置換した以外は、pCbMBV1と同一である(図13B)。
3. pDSL-Nx. ベクターpDSL-Nxは、37ページに記載したベクターp424NbM-Xと一致する(図14A)。
4. pADSL-Nx. ベクターpADSL-Nxは、36ページに記載したベクターpNbM-HA-Xと一致する(図14B)。
5. pDSL-xN. ベクターpDSL-xNは、37ページに記載したベクターp424X-NbMと一致する(図14C)。
6. pADSL-xN. ベクターpADSL-xNは、36ページに記載したベクターpX-HA-NbMと一致する(図14D)。
プレセニリン-1は、8回膜貫通ドメインを有するポリトピック型膜タンパク質である。その成熟型においては、このタンパク質は、膜貫通ドメイン6と7との間に位置するサイトゾルループでのエンド形プロテアーゼによる切断によって元のプレセニリン-1から作製されるN末端断片(NTF)とC末端断片(CTF)との二量体である。2つの断片は1:1の化学量比で会合したままであり、非常に安定な複合体を形成する。現在のところ、プレセニリン-1の正確な機能はなお論争中であるが、このタンパク質がγセクレターゼと称する多タンパク質複合体の重要な部分であることが何度も示されている。γセクレターゼ複合体は、多くの膜貫通タンパク質、中でもAPP(アミロイド前駆タンパク質)およびノッチ(Notch)ファミリー(EslerおよびWolfe、2001)のメンバーのタンパク質分解プロセシングに関与する。
受容体チロシンキナーゼErbB3はErb受容体ファミリーのメンバーであり、このファミリーにはErbB1(別名EGFR、上皮増殖因子受容体)、ErbB2、およびErbB4も含まれる。これらは、分化、増殖、および生存等の必須の細胞反応を支配する多様なシグナルを媒介する(Olayioye、2000)。Nrdp1は、酵母ツーハイブリッドアッセイにおいてそのC末端ドメインがErbB3のサイトゾル尾部と相互作用することが見出されたタンパク質を含むリングフィンガーである(QiuおよびGoldberg、2002)。
野生型および変異型LexA配列を有する構築物の自己活性化レベル
ベイト-LexA-Cub-プロテインA-VP16融合タンパク質の固有の自己活性化が原因で、Stagljarら(1998)の記載するベクターを用いてタンパク質-タンパク質相互作用をスクリーニングすることが不可能であることを実証するため、非同族(相互作用しない)プレイと同時形質転換した場合の、野生型および変異型LexA配列を有する構築物の自己活性化レベルを比較した。ベクターpCAS(野生型LexA配列を有する)中のβ2アドレナリン受容体ベイトを、NubGに融合させた酵母タンパク質Ost1をコードする相互作用しない対照プレイまたは膜アンカーをともなうNubGのみをコードする対照プレイと同時形質転換すると、選択培地上で増殖し、強いβ-ガラクトシダーゼ活性を示した(表1、1および2列目)。一方、ベクターpCbM-TDA(核局在化シグナルの強度を低減させるためのR157G変異を含むLexM配列を有する)から発現されるβ2アドレナリン受容体は、2つの対照プレイのどちらかと同時発現させた場合、選択培地上で増殖せず、β-ガラクトシダーゼを全く示さなかった(表1、3および4列目)。このように、Stagljarら(1998)の記載する元のベイトベクターではその高いバックグラウンドによりMbY2Hスクリーニングにおいて許容できない偽陽性の高いバックグラウンドが生じるのに対して、本明細書に記載する新規ベクターはこのバックグラウンドを有意に低減し、これによりcDNAまたはゲノムライブラリーに対する内在性膜タンパク質ベイトのスクリーニングが可能になる。
β2アドレナリン受容体(β2-AR)の全オープンリーディングフレームをいくつかのベイトベクターにクローニングし、以下の構築物を得た:(1) pCAS-bAR:野生型LexAを有するベクターpCASにβ2-ARを挿入した。(2) pBAR-LM1: LexAにおいて核局在化シグナルの強度を低減させるためのR157G変異を含むpCbM-TDAに、β2-ARを挿入した。以下のプレイ構築物を用いた:(1) pOst1-NubG:酵母タンパク質Ost1の全オープンリーディングフレームをpX-HA-NbMに挿入した。(2) pMP-NubG:脂肪酸修飾を付与するシグナルをpX-HA-NbMに挿入した。様々な組み合わせのベイトおよびプレイ構築物を酵母株L40に同時形質転換し、アミノ酸トリプトファン、ロイシン、およびヒスチジンを欠く最小培地上で増殖についてアッセイした。野生型LexAを含むベイト構築物は、有効なタンパク質-タンパク質相互作用の非存在下でも両方のレポーター遺伝子を活性化し、その結果SD-HTL上で増殖し強いβ-ガラクトシダーゼ活性を示した。これとは対照的に、変異型LexA配列を有する同一の構築物は、タンパク質-タンパク質相互作用の非存在下においてレポーター遺伝子の活性化を全く示さなかった。
ベイトとして改変したベイトベクターおよびβ2アドレナリン受容体を用いたMbY2Hスクリーニング
ヒト脳NubG-x cDNAライブラリーを用いてスクリーニングを行った。LexM配列(核局在化シグナルの強度を低減させるためのR157G変異を有するLexA)を有するベイトベクターpCbM-TDAに、β2アドレナリン受容体を挿入した。ライブラリー規模の形質転換および選択培地上での培養は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したように行った。ヒスチジン原栄養性およびβ-ガラクトシダーゼ活性についての選択により、122個のコロニーが得られた。これらを選択培地に再度画線したところ、122個のコロニーのうち103個がヒスチジン原栄養性およびβ-ガラクトシダーゼ活性について再現性を示した。103個の陽性コロニーをウェスタンブロッティングおよびプラスミド単離により処理し、5'末端を配列決定することにより挿入物を解析した。
Claims (25)
- (a)検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、検出可能な産物を発現するように、転写活性因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞を提供する段階;
(b)第一ベイトベクターの一部として、プロモーターの制御下にある第一キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第一キメラ遺伝子が、宿主細胞内で発現されることができ、且つ第一膜タンパク質またはその一部をコードすることができ、該第一キメラ遺伝子が、細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列および転写活性化因子をコードする第一モジュールのDNA配列に連結され、該第一膜タンパク質またはその一部が、第二タンパク質またはその一部と相互作用することができるか否かを試験される段階;
(c)プレイベクターの一部として、宿主細胞内で発現されることができるプロモーターの制御下にある第二キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第二キメラ遺伝子が、第二タンパク質またはその一部をコードし、膜結合または可溶性のどちらかであり、且つ該第二キメラ遺伝子が、細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードする第二モジュールのDNA配列に連結された段階;
(d)発現された第一タンパク質と第二タンパク質および/またはそれらの一部との相互作用が起こることができ、該相互作用により第一モジュールの第一タンパク質配列と第二モジュールの第二タンパク質配列との相互作用が起こり、その結果、次に細胞内プロテアーゼの活性化および転写活性化因子のタンパク質分解性の分離が生じるように、前記ベイトベクターおよび前記プレイベクターを宿主細胞内に導入する段階であって、該ベイトベクターおよびプレイベクターの両方がエピソームとしてエピソーマルに維持されるのに適している段階;
(e)宿主細胞の検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、転写活性化因子により活性化されたか否かを決定する段階
を含む、第一膜結合タンパク質またはその一部と膜結合または可溶性のどちらかである第二タンパク質またはその一部との相互作用を検出する方法。 - 前記検出可能な産物はタンパク質である、請求項1記載の方法。
- 宿主細胞が、酵母、細菌、または哺乳動物細胞である、請求項1又は2記載の方法。
- 宿主細胞が、サッカロミセス・ポンベ細胞、又は出芽酵母サッカロミセス・セレビシエの細胞である、請求項3記載の方法。
- 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、天然または人工的活性化因子によって活性化される、請求項1〜4いずれか一項記載の方法。
- 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、短いタグ付きモジュールを含む活性化因子によって活性化される、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
- 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、人工的転写活性化因子タンパク質A-LexA-V16(PLV)によって活性化される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
- 第一タンパク質配列がユビキチンのC末端部分(Cub)またはその変異体(CbM)を含み、第二タンパク質配列がユビキチンのN末端部分(Nub)またはその変異体(NbM)を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
- 第一膜タンパク質をコードするDNA配列が、細菌膜タンパク質、ウイルス膜タンパク質、癌遺伝子にコードされる膜タンパク質、増殖因子受容体もしくは真核生物膜タンパク質、またはその一部からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
- 第二膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質またはその一部が、プラスミドのライブラリーによりコードされる、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
- 第一膜タンパク質が、膜に人工的に連結された可溶性タンパク質である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
- (a)検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、検出可能な産物を発現するように、転写活性因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞;
(b)第一核酸が挿入された場合に、細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列をコードし、且つ転写活性化因子およびプロモーターの核酸をさらに含む第一モジュールのDNA配列に該第一核酸が連結されるように、第一膜タンパク質又はその一部をコードする第一核酸を受け取ることができる第一部位を含む、エピソームとしてエピソーマルに維持されるのに適している第一ベクター(ベイト);
(c)第二核酸が挿入された場合に、細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードし、且つプロモーターをさらに含む第二モジュールのDNA配列に該第二核酸が連結されるように、第二膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質またはその一部をコードする第二核酸を受け取ることができる第二部位を含む、エピソームとしてエピソーマルに維持されるのに適している第二ベクター(プレイ);および
(d)第二タンパク質またはその一部をコードするプラスミドライブラリー
を含む、第一膜結合タンパク質またはその一部と膜結合または可溶性のどちらかである第二タンパク質またはその一部との結合を検出するためのキット。 - 前記検出可能な産物は、タンパク質である、請求項12記載のキット。
- 宿主細胞が、酵母、細菌、または哺乳動物細胞である、請求項12または13記載のキット。
- 宿主細胞が酵母細胞である、請求項14記載のキット。
- 宿主細胞は、サッカロミセス・ポンベ、又は出芽酵母サッカロミセス・セレビシエの細胞である、請求項14記載のキット。
- 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、天然または人工的活性化因子によって活性化されることができる、請求項12〜16のいずれか一項記載のキット。
- 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、短いタグ付きモジュールを含む活性化因子によって活性化されることができる、請求項12〜16のいずれか一項記載のキット。
- 前記検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、人工的転写活性化因子タンパク質A-LexA-V16(PLV)によって活性化されることができる、請求項12〜18のいずれか一項記載のキット。
- 第一タンパク質配列がユビキチンのC末端部分(Cub)またはその変異体を含み、第二タンパク質配列がユビキチンのN末端部分(Nub)またはその変異体を含む、請求項12〜19のいずれか一項記載のキット。
- プロモーターが、ADHプロモーター、CYC1プロモーター、またはTEF1プロモーターからなる群より選択される、請求項12〜20のいずれか一項記載のキット。
- 第一膜タンパク質をコードするDNA配列が、細菌膜タンパク質、ウイルス膜タンパク質、癌遺伝子にコードされる膜タンパク質、増殖因子受容体もしくは真核生物膜タンパク質、またはその一部に由来する、請求項12〜21のいずれか一項記載のキット。
- タンパク質をコードするDNA配列が、プラスミドのライブラリーに含まれる、請求項12〜22のいずれか一項記載のキット。
- 薬物を同定するスクリーニング過程における、請求項12〜23のいずれか一項記載のキットの使用。
- 前記宿主細胞は、化合物の存在下および非存在下においてインキュベートし、第一と第二タンパク質および/またはその一部の間の相互作用に前記化合物が干渉すれば、検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)の転写活性化が影響される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
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