JP4216733B2 - 膜タンパク質−タンパク質相互作用を検出する方法およびキット - Google Patents

膜タンパク質−タンパク質相互作用を検出する方法およびキット Download PDF

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Description

本発明は、酵母、細菌、または哺乳動物細胞で行うインビボ遺伝子系を用いた膜タンパク質-タンパク質相互作用を検出する方法に関する。さらに本発明は、スプリットユビキチンタンパク質等の細胞内タンパク質分解に関与するタンパク質の再構成を用いて、第一膜タンパク質と第二タンパク質との相互作用を検出するキットを提供する。スプリットユビキチンの再構成には、ハイブリッドタンパク質を発現するキメラ遺伝子を利用する。
生物学における重要な分野は、タンパク質間の相互作用の解析である。タンパク質は、アミノ酸が共有結合した鎖で構成された複雑な巨大分子である。各タンパク質は、主にそのアミノ酸配列によって決まる独特な三次元の形をとる。多くのタンパク質はドメインと呼ばれるより小さな単位からなり、ドメインとはタンパク質の他の部分とは独立的に折りたたみ可能なアミノ酸の連続したひと続きである(例えば、免疫グロブリンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、GTPaseドメイン、SH2およびSH3ドメイン)。
タンパク質間の相互作用が、生細胞内でのほとんどの過程を媒介する。これは、例えば、酵素サブユニットの会合、抗原-抗体反応、リボソーム、フィラメント、およびウイルスの超分子構造の形成に関与する。特殊でかつ特異的な役割は、膜タンパク質に起因し得る。これは、分子の輸送;細胞表面上の受容体と増殖因子およびホルモンとの相互作用に関与する;膜結合発癌遺伝子産物は、細胞の標的タンパク質に対するその酵素活性が癌性状態を招くキナーゼと呼ばれるタンパク質とのタンパク質-タンパク質相互作用を介して悪性形質転換を生じ得る。膜におけるタンパク質-タンパク質相互作用の他の例は、表面上のタンパク質(受容体)を認識することによりウイルスが細胞に感染する際に起こり、この相互作用を用いて抗ウイルス薬が設計された。2種類の膜貫通タンパク質が存在する:I型膜貫通タンパク質は細胞質内にC末端を有するのに対し、II型膜貫通タンパク質は細胞の外側(または、いくつかの他の細胞小器官の内部、例えば小胞体の内腔内)にC末端を有する。
タンパク質-タンパク質相互作用は一般に、架橋結合、共沈殿、およびクロマトグラフィーによる共分画等の生化学的技法を用いて、この10年間研究されてきた。生化学的方法には、相互作用するタンパク質が一般にポリアクリルアミドゲル上で特定の移動度のバンドとして認められるという不都合がある。これらのバンドから進展させて遺伝子をクローニングすることは、非常に退屈な過程である場合が多い。
どのタンパク質が既知タンパク質と相互作用するのかを迅速に検出し、タンパク質のどのドメインが相互作用するのかを迅速に決定し、且つ新たに同定された相互作用するタンパク質の遺伝子を迅速に提供することができる遺伝子系が、Stan FieldsおよびOk-Kyu Songにより1989年に開発された[Fields, S.およびSong, O.-K., Nature 340, 245-248 (1989)]。酵母ツーハイブリッドシステムと呼ばれる彼らのシステムは、転写活性化因子の再構成およびレポーター遺伝子の転写活性化に基づく。酵母ツーハイブリッドシステムはタンパク質-タンパク質相互作用をインビボ解析するための強力な方法であるが、当然ながら可溶性タンパク質または膜タンパク質の可溶性ドメインの解析に限定されている、すなわち、内在性膜タンパク質間の相互作用について研究することはできない。さらに、ハイブリッドタンパク質は相互作用が起こる核を標的にする。したがって、グリコシル化およびジスルフィド結合形成等の小胞体内で行われる翻訳後修飾に依存する相互作用が起こらない可能性がある。
スプリットユビキチンシステムは、タンパク質相互作用をインビボ解析するための別のアッセイ法である。これは、可溶性タンパク質間の相互作用を検出するために、Nils JohnssonおよびAlexander Varshaskyによって1994年に開発された[Johnsson, N.およびVarshasky, A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 10340-10344 (1994)](図1)。ユビキチン(Ub)は、遊離状態でまたは他のタンパク質に共有結合して細胞内に存在する76アミノ酸残基の単一ドメインである。ユビキチンは、主にタンパク質分解を含む経路を介した多くの過程において役割を担う。真核生物において、新たに形成されたUb融合体は、Ub-ポリペプチド接合部においてUbの最終残基の後ろでユビキチン特異的プロテアーゼ(UBP)により速やかに切断される。UBPによるUB融合体の切断には、Ubによる折りたたみ構造が必要とされる。ユビキチンのC末端断片(CbM)をレポータータンパク質への融合体として発現させる場合、同じ細胞内でユビキチンのN末端断片(NbM)もまた発現される場合にのみ融合体が切断される。その断片からの本来のユビキチンの再構成はインビボ切断アッセイにより検出可能であり、この再構成は変異により改変したNbMでは認められない。しかし、CbMおよび改変したNbMがそれぞれインビボで相互作用するポリペプチドに結合している場合には、CbMを含む融合体の切断は回復され、これによりタンパク質-タンパク質相互作用を検出するための一般に適用可能なアッセイ法が得られる(図1)。
次にこの系は改良され、膜タンパク質とも機能することが示された[I. Stagljarら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 5187-5192 (1998)]。モデル系として、小胞体の3つの酵母膜タンパク質が用いられた。Wbp1pおよびOst1pはどちらも、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ膜タンパク質複合体のサブユニットである。Alg5タンパク質も小胞体の膜に局在するが、オリゴサッカリルトランスフェラーゼと相互作用することはない。特異的相互作用はWbp1pとOst1pとの間で検出されたが、Wbp1pとAlg5との間では検出されなかった。したがって、改良したスプリットユビキチンシステムは、膜結合タンパク質が関与する相互作用の検出系として働く。核局在を必要とする従来のツーハイブリッドシステムと対照的に、関心対象のタンパク質の自然環境において相互作用が検出される。この先行技術に従って、スプリットユビキチンシステムを確立するために用いられた構築物が、宿主ゲノムに組み込まれるように設計された。
しかし、上記の先行技術では、アッセイとして転写活性を用いる、インビボ膜タンパク質-サイトゾルタンパク質相互作用の検出および膜タンパク質-膜タンパク質相互作用に役立つ遺伝的方法について全く示唆していない。さらに、上記の先行技術は、宿主ゲノム内への構築物の組込み部位に大きく依存してシグナル強度が得られるため、再現性が低かった。
したがって本発明は、先行技術にあった欠点のない、膜タンパク質と膜タンパク質および膜タンパク質とサイトゾル(可溶性)タンパク質とのインビボタンパク質相互作用を検出する方法を提供することを目的とする。
本発明のさらなる目的は、膜結合タンパク質と相互作用する可能性がある分子を同定するための、ライブラリーをスクリーニングする方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、タンパク質-タンパク質相互作用を干渉することができる化合物を同定するために用いることができ、相互作用の少なくとも1つのタンパク質が膜結合タンパク質である方法を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、タンパク質-タンパク質相互作用を干渉することができるペプチドの同定/設計に用いることができ、相互作用の少なくとも1つのタンパク質が膜結合タンパク質である方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、タンパク質-タンパク質相互作用を干渉することができるscFVまたは抗体の同定/設計に用いることができ、相互作用の少なくとも1つのタンパク質が膜結合タンパク質である方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)に結合し活性化する化合物、または1つのGPCRに選択的に結合し活性化するが同じ細胞内で同時に発現される別のGPCRには結合も活性化もしない化合物を同定するために用いることができる方法を提供することにある。
これらおよび他の目的は、請求項1記載の方法、請求項9記載の2つの膜タンパク質間のまたは膜タンパク質とサイトゾルタンパク質との相互作用を検出するためのキット、ならびに請求項18および32記載のベクターを提供する本発明により達成される。この方法は、ハイブリッドタンパク質を発現するキメラ遺伝子を利用する、細胞内タンパク質分解に関与するユビキチン等のタンパク質の再構成に基づく。2種類のハイブリッドタンパク質を調製する。第一ハイブリッドは、例えばCbM-TDAモジュール(ユビキチンのC末端ドメイン(CbM)を含み、その後に例えば人工的転写活性化因子(例えばLexM-B42)が続く)に融合させた関心対象の膜タンパク質(ベイト)を含む。第二ハイブリッドタンパク質(プレイ)は、例えば、第二試験タンパク質に融合させたユビキチンのN末端ドメイン(NbM)を含む。プレイタンパク質は、膜タンパク質であっても可溶性細胞質タンパク質であってもよい。2つの試験タンパク質が相互作用し得る場合、それらにより2つの別のユビキチンドメインが活性のあるユビキチンに再構成され、転写活性化因子の切断およびレポーター系の活性化が起こる。
この方法の1つの利点は、非常に多数の膜タンパク質を同時に試験し、いずれかが既知タンパク質と相互作用するか否かを決定できる点である。例えば、関心対象の膜タンパク質(ベイト)をコードするDNA断片をCbM-LexM-B42融合体をコードするDNA結合に融合させる。このハイブリッドを、1つまたは複数のマーカー遺伝子を有する宿主細胞(酵母、細菌、または哺乳動物細胞)に導入する。第二パートナー(プレイ)に関しては、例えば、ユビキチンのN末端ドメイン(NbM)をコードするDNA配列に融合させた全ヒト相補DNA(cDNA)を含み得るプラスミドのライブラリーを構築することができる。ベイトタンパク質を有する酵母細胞にこのライブラリーを導入する。ライブラリー由来の個々のいずれかのプラスミドが膜ベイトタンパク質と相互作用し得るタンパク質をコードする場合、陽性シグナルが得られることになる。さらに、タンパク質間の相互作用が起こる場合、新たに同定されるタンパク質の遺伝子が得られる。
この系によりさらに、上記のようなタンパク質/タンパク質相互作用を干渉することができる化合物の同定が可能になる。そのようなアプローチでは、それぞれ化合物および化合物ライブラリーの存在下ならびに非存在下において本発明による方法を行い、そのような化合物の存在により、試験した任意の化合物の非存在下において陽性に測定されるタンパク質/タンパク質相互作用で得られるシグナルが変化し得るか否かを決定する。
この系は、新規遺伝子の同定において価値がある場合がある。例えば、既知膜タンパク質と相互作用する膜結合受容体が同定される可能性がある。癌遺伝子のコードする膜タンパク質と相互作用するタンパク質が発見される可能性があり、これらのタンパク質は治療上価値があるものとなる。
ペプチド/低分子阻害剤の設計において、この系を用いることができる。例えば、膜結合増殖因子受容体と相互作用するペプチド/低分子を同定し、次に他の系でシグナル伝達を阻害するそれらの能力について試験することができる。細菌またはウイルス膜タンパク質に結合するペプチド/低分子を同定し、次に他の系でこれらの細菌またはウイルスを阻害するそれらの能力について試験することができる。
この系を用いて、タンパク質精製するための親和性試薬を試験することができる。関心対象の既知膜タンパク質と相互作用するペプチドまたはタンパク質ドメインを同定することができ、次に既知タンパク質の精製手順においてこれらを使用してよい。
本明細書で用いる「NbM」という用語は、酵母ユビキチンのアミノ酸1〜37を包含する酵母ユビキチンのN末端部分を指す。「NbM」は、野生型ユビキチンのアミノ酸1〜37、または例えば13位のアミノ酸イソロイシンが以下のアミノ酸:ロイシン、バリン、アラニン、もしくはグリシンのいずれかに置換された変異型ユビキチンのアミノ酸1〜37、または3位のアミノ酸イソロイシンが以下のアミノ酸:ロイシン、バリン、アラニン、もしくはグリシンのいずれかに置換されたユビキチンのアミノ酸1〜37を含み、または最も好ましくは3位および13位のアミノ酸イソロイシンが以下のアミノ酸:ロイシン、バリン、アラニン、またはグリシンのいずれかに置換されたユビキチンのアミノ酸1〜37を含む。
本明細書で用いる「CbM」という用語は、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76、または(例えば、STRATAGENE クイックチェンジ変異誘発キット(Quickchange Mutagenesis kit)、Stratagene、米国、カリフォルニア州に記載される使用法に従って)標準的な部位特異的変異誘発技法を用いて例えば48位のアミノ酸リジンがアミノ酸グリシンに置換された変異型ユビキチンのアミノ酸35〜76を包含する酵母ユビキチンのC末端部分を指す。48位におけるリジンの不活性グリシンへの置換により、ユビキチン成分の結合を介したCbMの修飾が妨げられるために、この置換はスプリットユビキチン技法の他の変化(Dunnwaldら、1999、JohnssonおよびVarshavsky、1994、Laserら、2000、Stagljarら、1998、Wittkeら、1999)よりも重要な利点を示す。未改変のCbMのポリユビキチン化はNbMへの結合を妨げる可能性があり、かつユビキチン化経路の酵素によるベイトタンパク質の分解を引き起こす可能性がある(HershkoおよびCiechanover、1992)。
本書類で用いる「ベイト」という用語は、ポリペプチドと、他のポリペプチドの1つがCbM等の細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列である1つまたは複数の他のポリペプチドとの融合体を規定する。膜に基づく酵母ツーハイブリッドシステム(MbY2Hシステム)においてベイトを使用し、そのようなベイトと1つまたは複数のプレイとの相互作用を研究することができる。
本書類で用いる「ベイトベクター」という用語は、「ベイト」をコードする配列ならびにコードされた配列の宿主細胞による転写および翻訳に必要な制御配列、ならびに好ましくは酵母および大腸菌での核酸構築物の増殖に必要な制御配列を含む核酸構築物を指す。「ベイトベクター」は、宿主レポーター遺伝子の活性化因子もコードすることが好ましい。
本書類で用いる「プレイ」という用語は、ポリペプチドと、他のポリペプチドの1つがNbM等の細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列である1つまたは複数の他のポリペプチドとの融合体を規定する。NbMは、野生型NbM(以後NbMと称する)、または先に「NbM」について詳細に記載したようにアミノ酸の1つもしくはいくつかが他のアミノ酸で置換されている変異型NbMのどちらかでよい。
本明細書で用いる「プレイベクター」および「ライブラリーベクター」という用語は、「プレイ」をコードする配列ならびにコードされた配列の宿主細胞による転写および翻訳に必要な制御配列、ならびに好ましくは酵母および大腸菌での核酸構築物の増殖に必要な制御配列を含む核酸構築物を指す。
本明細書で用いる「スプリットユビキチン」という用語は、CbMおよびNbMにそれぞれ融合させた2つの非関連ポリペプチドの相互作用により空間的に近接した、非共有結合したNbMおよびCbMから構成される準天然の酵母ユビキチンを指す。スプリットユビキチンは、CbM内の二重グリシンモチーフのC末端側のポリペプチド鎖を攻撃する、酵母細胞内に存在するユビキチン特異的プロテアーゼにより認識される。タンパク質分解切断により、二重グリシンモチーフの後でポリペプチド鎖が切断される。
本書類で用いる「トランス活性化因子ポリペプチド」または「活性化因子」という用語は、例えば酵母のRNAポリメラーゼII機構を補充および活性化することにより、宿主細胞の「レポーター遺伝子」を活性化する能力を有する任意のポリペプチドを指す。トランス活性化因子ポリペプチドは好ましくは単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質であり、最も好ましくは酸性B42ドメインである。
本書類で用いる「LexM」という用語は細菌リプレッサータンパク質LexAをコードする核酸配列またはその翻訳産物を指し、その配列は野生型LexA配列、または157位のアミノ酸アルギニンがグリシンによって置換されたまたは159位のアミノ酸アルギニンがグルタミン酸もしくはグリシンによって置換された変異型LexA配列、あるいはその2つの変異の任意の組み合わせをコードしてよい。
本書類で用いるGal1-74という用語は、その翻訳産物のアミノ酸1-74に相当する、酵母タンパク質Gal4をコードする核酸配列を指す。
本書類で用いるGal1-93という用語は、その翻訳産物のアミノ酸1-93に相当する、酵母タンパク質Gal4をコードする核酸配列を指す。
本書類で用いる「人工的転写因子」という用語は、(1) 細菌リプレッサータンパク質LexAまたは酵母Gal4タンパク質またはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)タンパク質Ubxおよびabd-A等の、所定の核酸配列に結合する固有の能力を有するポリペプチド、および(2) 先に定義したような任意のトランス活性化因子ポリペプチドからなるハイブリッドタンパク質を指す。
本書類で用いる「TDA」という用語は、以下の要素を含む核酸配列またはその翻訳産物を指す:(1) HAタグ、3xFLAGタグ、3xMycタグ等の、エピトープに対して特異的に作製された抗体を用いてポリペプチドの免疫検出を可能にするエピトープタグ、および(2) 人工的転写因子。
本書類で用いる「レポーター株」という用語は、ゲノムに組み込まれた状態でまたは自己複製要素として核酸構築物を含み、例えば活性化された場合に選択培地上で増殖する能力を付与することにより、または活性化された場合に細胞死もしくは細胞静止をもたらすことにより、またはβ-ガラクトシダーゼ等の酵素の産生をもたらすことにより、活性化因子による活性化に際してシグナルを産生する酵母株等の、少なくとも1つの「レポーター遺伝子」を含む任意の宿主を指す。宿主細胞は1つより多くのレポーター遺伝子を含むことが好ましい。
本書類で用いる「レポーター遺伝子」という用語は、以下の要素を含む核酸配列を指す:(1) 人工的転写因子の結合部位、(2) 酵母プロモーターに由来する任意の配列であってよいが、好ましくはGAL1プロモーター、GAL2プロモーター、CYC1プロモーター、SPO1プロモーター、HIS3プロモーターのいずれかである、最小プロモーター配列、(3) 酵母においてそれに関してまたはそれに対して選択され得るポリペプチド、または適切なアッセイ系を用いて測定され得るHIS3、ADE2、URA3、FAR1、lacZ等の酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、および(4) CYC1またはADH1等の酵母遺伝子由来のターミネーター配列。核酸配列は酵母レポーター株のゲノム内に組み込まれてもよいし、または自己複製するプラスミド上に提供されてもよい。
「FAR1」という用語は、タンパク質を安定化しかつ酵母のプロテアソーム機構による分解を防ぐために、87位のアミノ酸セリンがアミノ酸プロリンに置換された酵母FAR1遺伝子をコードする核酸配列またはその遺伝子産物を指す。
本書類で用いる「5-FOA」という用語は、URA3遺伝子産物の作用により有毒な代謝産物に変換され、細胞死をもたらし得る化合物5-フルオロオロト酸を指す。
本明細書で用いる「第一膜結合タンパク質またはその一部」とは、I型およびII型膜貫通タンパク質等の細胞膜に結合したもしくは細胞膜に組み込まれたタンパク質、または可溶性タンパク質であるが、例えば可溶性「自己活性化因子」を細胞膜に連結するミリスチル化部位の連結により修飾されたいわゆる「自己活性化因子」を指す。本発明との関連においては、膜に連結され得て、かつスプリットユビキチンが形成できるよう十分に強力に第二タンパク質と相互作用し得る限りは、そのようなタンパク質の任意の「部分」も用いることができる。
本明細書で用いる「第二タンパク質またはその一部」とは「第一膜結合タンパク質またはその一部」と相互作用し得るタンパク質を指し、膜結合タンパク質であってもまたは可溶性タンパク質であってもよい。本発明との関連においては、スプリットユビキチンが形成できるよう十分に強力に「第一膜結合タンパク質またはその一部」と相互作用し得る限りは、そのようなタンパク質の一部でも十分である。
「細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列」および「細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列」とは、ともに宿主細胞内に取り込まれた場合に、例えば試験する第一タンパク質と試験する第二タンパク質の相互作用により、ユビキチン依存性プロテアーゼ等の細胞内タンパク質分解機構を活性化し得る構造を再構成するタンパク質の部分を意味する。
本発明に従い、以下の段階を含む第一膜タンパク質と第二(膜または可溶性)タンパク質との相互作用を検出する方法を提供する:
(a) 検出可能な遺伝子が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子が、検出可能な産物、好ましくはタンパク質を発現するように、転写活性化因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞を提供する段階;
(b) ベイトベクターの一部として、宿主細胞内で発現されることができる第一キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第一キメラ遺伝子が、特に第一膜タンパク質またはその一部をコードし、該遺伝子が、特に細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列および転写活性化因子をコードする第一モジュールのDNA配列に連結され、該第一タンパク質またはその一部が、第二タンパク質またはその一部と相互作用することができるか否かを試験する段階;
(c) プレイベクターの一部として、宿主細胞内で発現されることができる第二キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第二キメラ遺伝子が、特に膜結合または可溶性のどちらかである特に第二タンパク質またはその一部をコードし、該遺伝子が、特に細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードする第二モジュールのDNA配列に連結される段階;および
(d) 発現された第一タンパク質と第二タンパク質および/またはそれらの一部との相互作用が起こることができ、相互作用により第一モジュールの第一タンパク質配列と第二モジュールの第二タンパク質配列との相互作用が起こり、その結果、次に細胞内プロテアーゼの活性化および転写活性化因子のタンパク質分解性の分離が生じるように、ベイトベクターおよびプレイベクターの少なくとも一方、好ましくは両方がエピソーマルに維持されるのに適している、ベイトベクターおよびプレイベクターを宿主細胞内に導入する段階。
酵母、好ましくはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、より好ましくは出芽酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)においてこの方法を確立するが、大腸菌等の細菌および哺乳動物細胞系においても同様に確立することができる。宿主細胞は、検出可能な遺伝子が転写的に活性化された場合に検出可能なタンパク質を発現するように、転写活性化因子、好ましくはTDAの結合部位を有する検出可能な遺伝子を含む。
宿主細胞内で発現され得る第一キメラ遺伝子を提供する。第一キメラ遺伝子は、TDAに融合させた第一膜タンパク質をコードするDNA、およびCbM等の細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列を含む。次にこの第一タンパク質を、第二タンパク質またはタンパク質断片との相互作用について試験する。
宿主細胞内で発現され得る第二キメラ遺伝子を提供する。第二キメラ遺伝子は、第二ハイブリッドタンパク質をコードするDNA配列を含む。第二ハイブリッドタンパク質は、例えばユビキチンのN末端ドメイン(NbM)を含む。第二ハイブリッドタンパク質はまた、第一タンパク質またはタンパク質断片との相互作用について試験する第二タンパク質またはタンパク質断片を含む。第二ハイブリッドタンパク質は、ユビキチンのN末端ドメイン(NbM)をコードするDNA配列に融合させたゲノム、cDNA、または合成的に作製したDNA配列を含むプラスミドのライブラリーによってコードされてもよい。したがって、宿主細胞内での第一膜タンパク質と第二タンパク質との相互作用により、レポーター遺伝子の転写を活性化する転写活性化因子の切断が起こる。この方法は、第一キメラ遺伝子および第二キメラ遺伝子を酵母レポーター株内に導入することにより実施することができる。宿主細胞を、レポーター遺伝子が活性化されるのに十分な量で第一膜タンパク質および第二タンパク質が発現される条件に供す。次に、第一タンパク質と第二タンパク質との相互作用がない場合よりも高度に活性化されるレポーター遺伝子の発現について、細胞を試験する。
このような方法で、第一膜タンパク質とタンパク質のライブラリーとの相互作用を試験することができる。例えば、第一膜タンパク質は、細菌膜タンパク質、ウイルス膜タンパク質、癌遺伝子にコードされる膜タンパク質、増殖因子受容体、または任意の真核生物膜タンパク質由来であってよい。第二タンパク質は、上記のようにプラスミドのライブラリー由来であってよい。
以下の要素を含む第一膜タンパク質と第二タンパク質との相互作用を検出するキットを用いて、本発明の方法を実施することができる:
(a) 検出可能な遺伝子が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子が、検出可能な産物、好ましくはタンパク質を発現するように、転写活性化因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞;
(b) 第一核酸が挿入された場合に、特に細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列をコードし且つ転写活性化因子の核酸をさらに含む第一モジュールのDNA配列に該第一核酸が連結されるように、第一膜タンパク質またはその一部をコードする第一核酸を受け取ることができる第一部位を含む第一ベクター(ベイト);
(c) 第二核酸が挿入された場合に、特に細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードする第二モジュールのDNA配列に該第二核酸が連結されるように、第二膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質またはその一部をコードする第二核酸を受け取ることができる第二部位を含む第二ベクター(プレイ);および任意で
(d) 第二タンパク質またはその一部をコードするプラスミドライブラリー。
キットは、容器、べクター、および宿主細胞を含んでもよい。膜に基づく検出系用のベクターには、ベイトベクターおよびプレイベクターおよび任意でプラスミドライブラリーが含まれ、例えば、ADHプロモーター、CYC1プロモーター、およびTEFプロモーターからなる群より選択される酵母プロモーターを含み、その後に第一タンパク質がCbM-LexM-B42部分への融合体として発現されるような様式で膜タンパク質をコードするDNA配列を挿入するためのユニークな制限酵素部位が続く、任意のI型膜貫通タンパク質(Y)のアッセイを可能にするベクター(p-Y-CbM-TDA)等のベクターを図2に示す。第一ベクターはまた、所与の膜タンパク質の転写を終結するのに必要なターミネーター配列を含む。1つの態様における第一ベクターは酵母での複製を可能にする配列を含まないが、好ましくは別の態様においてベクターのエピソーマル複製を可能にするような配列を含む。このベクターは、酵母ゲノム内に安定的に組み込まれることになる組込みベクターであってもよい。同様に第一ベクターに含まれるのは第一マーカー遺伝子(例えばLEU2)であり、宿主細胞内でのその発現により、第一マーカー遺伝子を含まない細胞からの第一マーカー遺伝子を含む細胞の選択が可能になる。
任意のII型膜貫通タンパク質(Y)のアッセイを可能にする第二ベクター(例えばpTDA-CbM-Y)は、ADHプロモーター、CYC1プロモーター、およびTEFプロモーターからなる群より選択される酵母プロモーターを含み、その後に第一タンパク質がLexM-B42-CbM部分への融合体として発現されるような様式で膜タンパク質をコードするDNA配列を挿入するためのユニークな制限酵素部位が続く(図2)。転写因子が逆向きでTDA部分に融合されることに留意されたい。第二ベクターはまた、所与の試験膜タンパク質の転写を終結するのに必要なターミネーター配列を含む可能性がある。第一態様における第二ベクターは、酵母での複製を可能にする配列を含まない。しかし第二態様では、ベクターのエピソーマル複製を可能にする配列を含む。第一ベクターのように、このベクターも酵母ゲノム内に安定的に組み込まれることになる組込みベクターであってもよい。同様に第二ベクターに含まれるのはマーカー遺伝子(LEU2)であり、宿主細胞内でのその発現により、第一マーカー遺伝子を含まない細胞からの第一マーカー遺伝子を含む細胞の選択が可能になる。
プレイタンパク質(X)のクローニングを可能にする第三ベクター(例えばpX-HA-NbM)は、膜貫通タンパク質であっても可溶性(細胞質)タンパク質であってもよい(図2)。試験タンパク質は、NbMドメインに融合させたゲノム、cDNA、または合成的に作製したDNA配列を含むプラスミドのライブラリーによってコードされ得る。第三ベクターはまた、好ましくはADHプロモーター、CYC1プロモーター、およびTEFプロモーターからなる群より選択されるプロモーターを含み、かつ転写を導くための転写終結シグナルを含む。第三ベクターはまた、ユビキチンのN末端ドメイン(NbM)をコードするDNA配列、および第二タンパク質またはタンパク質断片をコードするDNA配列をベクター内に挿入するためのユニークな制限酵素部位を含む。したがって第三ベクターにより、NbMドメインへのN末端融合体としてのタンパク質のクローニングが可能になる。第三ベクターはさらに、宿主細胞内、すなわち酵母または細菌内で自身を複製する手段を含むことが好ましい。第三ベクターまた(TRP1)等の第二マーカー遺伝子を含み、宿主細胞内でのその発現により、第二マーカー遺伝子を含まない細胞からの第二マーカー遺伝子を含む細胞の選択が可能になる。
第四ベクター(pNbM-HA-X)により、NbMドメインへのC末端融合体として、プレイタンパク質(X)、膜貫通タンパク質または可溶性(細胞質)タンパク質のクローニングが可能になる(図2)。第四ベクターはまた、好ましくはADHプロモーター、CYC1プロモーター、およびTEFプロモーターからなる群より選択されるプロモーター、および転写を導くための転写終結シグナルを含む。第四ベクターはまた、ユビキチンのN末端ドメイン(NbM)をコードするDNA配列、および第二タンパク質またはタンパク質断片をコードするDNA配列をベクター内に挿入するためのユニークな制限酵素部位を含む。第四ベクターはさらに、宿主細胞および細菌内で自身を複製する手段を含むことが好ましい。第四ベクターまた(TRP1等の)第二マーカー遺伝子を含み、宿主細胞内でのその発現により、第二マーカー遺伝子を含まない細胞からの第二マーカー遺伝子を含む細胞の選択が可能になる。
Stagljarら[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 5187-5192 (1998)]により公表されたベクターが酵母Wbp1P、Ost1P、およびAlg5pのみの発現を可能にしたのに対して、新たに設計したベクターは、例えばpCbM-TDAおよびpTDA-CbMへの任意の所望の膜「ベイト」タンパク質のクローニング、ならびに例えばpNbM-HA-XおよびpX-HA-NbMベクターへの任意の所望の「プレイ」タンパク質またはゲノム/cDNAライブラリーのクローニングを可能にする。容易に免疫検出するため、pNbM-HA-XおよびpX-HA-NbMに赤血球凝集素(HA)エピトープをタグ化する。ベクターはすべて、DNA配列決定により確認した。
キットは、宿主細胞、好ましくはPLV等の人工的転写因子の結合部位を有する検出可能な遺伝子を含む酵母または細菌株を含む。この系において2つのタンパク質(第一タンパク質および第二タンパク質)が適切に相互作用した場合にレポーター遺伝子からレポータータンパク質が発現されるように、結合部位を位置づける。宿主細胞は単独で、第一マーカー遺伝子(LEU2)、第二マーカー遺伝子(TRP1)、CbM-TDA部分、またはNbMドメインの機能を有するタンパク質を発現することはできない。
この系は、本発明の方法を適切に行うための多くの条件に依存する。第一相互作用(「ベイト」)タンパク質は内在性膜タンパク質、膜結合タンパク質でなくてはならず、または例えば脂肪酸修飾を用いて膜に人工的に連結させてもよい。偽陽性を避けるため、CbM-TDAを有するベイトタンパク質は低レベル発現を付与するプロモーターで制御してもよいし、または高レベル発現を付与するプロモーターを用いる場合にはTDAの核活性を別の機構を用いて調節してもよい(例えば、変異型LexAのような変異型転写因子の使用)。本発明者らは、可溶性CbM-TDAではNbMの必要なしに遺伝子が活性化されることを見出した。したがって、ベイト融合タンパク質は、相互作用を試験するために脂質二重層に固定されなければならない。関心対象の可溶性タンパク質は、それらを膜タンパク質アンカーに融合させることにより試験し得ると考えられる。さらに、CbM-TDAドメインおよびNbMドメインは細胞内に位置しなければならず、そうでなければ、UBPは酵母細胞の細胞質にのみ位置するためPLV部分の切断は起こり得ない。
ベイトベクター
ベイトベクターは、好ましくは以下の特徴を含むプラスミド構築物である:
(1) 好ましくはカナマイシン耐性遺伝子をコードする発現カセットであるが、アンピシリン耐性遺伝子またはクロラムフェニコール耐性遺伝子を発現するカセットであってもよい、大腸菌におけるプラスミド増殖用の選択マーカー。実際には、大腸菌において選択可能な任意の他のマーカーをこの目的に使用してよい。
(2) pUC由来またはpBR322複製起点等の大腸菌においてプラスミドの増殖を可能にする複製起点、しかし好ましくはプラスミドが大腸菌において高コピー数で増幅するのを可能にする複製起点。
(3) 好ましくはLEU2遺伝子をコードする発現カセットであるが、S. セレビシエにおいて選択可能な任意の他のマーカーであってもよい、S. セレビシエにおけるプラスミド増殖用の選択マーカー。
(4) S. セレビシエにおいて低コピー数で(通常は細胞当たり1〜2コピー)プラスミドの増殖を可能にするCEN/ARS複製起点。MbY2HシステムでのCEN/ARS複製起点の使用は、ベイトポリペプチドを非常に低レベルで発現させることを確実にするための1つの選択肢である。酵母でのベイトポリペプチドの高レベル発現により、レポーター遺伝子の活性化(いわゆる自己活性化、例えば酵母ツーハイブリッドシステムでの自己活性化と比較されたい((FieldおよびSong、1989、Golemisら、1999)、(SerebriiskiiおよびGolemis、2001)、Clontechマッチメーカー(MATCHMAKER)システム3ユーザーマニュアル)が生じる可能性がある。
(5) 好ましくは以下の要素を含む発現カセット:
(1) CYC1プロモーターもしくは培地への銅の添加により誘導可能なCUP1プロモーター(Angermayrら、2000, Macreadieら、1989)等の低レベル発現を付与する、または高レベル発現を付与する(例えば、ADH1またはTEF1プロモーター)プロモーター。誘導性プロモーターの使用は以下の利点を有する:a)誘導した場合に、酵母においてベイトポリペプチドの過剰発現が起こる。b)誘導しない場合には、プロモーターは非常に低レベルでしかベイトポリペプチドを産生せず、これにより酵母細胞においてベイトポリペプチドの膜への正しい挿入が確実となり、かつベイトポリペプチドの過剰発現に関連する自己活性化の問題が妨げられる。誘導性プロモーターの使用は、これにより正しい発現および同じベイト構築物を用いて行う次のライブラリースクリーニングの検証が可能となるため、重要な利点を表す。
(2) STE2(OvertonおよびBlumer、2000)等の酵母内在性膜タンパク質由来のシグナル配列、またはシグナル配列のリーディングフレームと同じリーディングフレーム内にある以下のポリペプチド
Figure 0004216733
に脂肪酸修飾を付与するシグナル配列(Angermayrら、2000、Wolvenら、1997)であってよいリーダーをコードする核酸配列。
(3) タンパク質またはタンパク質断片またはポリペプチドをコードする核酸の挿入を可能にする1つまたは複数の制限酵素認識部位含むマルチクローニング部位、および上記のような確立したインビボ組換え法によりタンパク質またはタンパク質断片またはポリペプチドをコードする核酸配列を挿入するために用いられる、制限エンドヌクレアーゼ、好ましくは制限エンドヌクレアーゼStu IまたはEco47 IIIの所定の認識部位に隣接する配列。
(4) アミノ酸35〜76(ユビキチンのアミノ酸番号付けおよびユビキチン断片の正確な説明に関しては、(JohnssonおよびVarshavsky、1994)を参照されたい)を包含する、酵母ユビキチンのC末端オープンリーディングフレーム(CbM)をコードする核酸配列。
(5) 次に、例えばGal4、LexM、B42、もしくはVP16成分(以下を参照のこと)に対して、好ましくはベイト融合体中に存在する3xFLAG、3xMYC、もしくはHAエピトープに対して作製された特異的抗体を用いた免疫ブロット法による検出のような標準的な手順を用いて、ベイトポリペプチドの発現を容易に確認することができる。ベクターは、3xFLAGエピトープ(ChubetおよびBrizzard、1996、Hermanら、2000)、3xMYCエピトープ(Evanら、1985)であってよいエピトープタグをコードする核酸配列、または免疫ブロッティング法等の任意の手段によって検出され得るポリペプチドをコードする任意の他の配列を含む。赤血球凝集素エピトープタグ(Wilsonら、1984)等の別のエピトープタグをコードする核酸配列が存在してもよい。
(6) 所定の核酸配列に特異的に結合する能力を有するポリペプチドをコードする核酸配列であり、これは、細菌LexMタンパク質(Foghら、1994)をコードする配列、または好ましくは酵母Gal4タンパク質(Gardnerら、1991、PanおよびColeman、1989)をコードする配列、好ましくは酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、または最も好ましくは酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列であってよい。
(7) 単純ヘルペスウイルスタンパク質VP16(Shenら、1996、Wuら、1994)、より好ましくは酸性ドメインB42(Hughesら、1996)等の転写活性化因子ドメインをコードする核酸配列。
(8) CYC1またはADH1ターミネーター配列。
好ましいベイトベクターの説明:
(1) pCbM-TDAは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xFLAGエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(2) pCbM-TDAは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(3) pMP-CbM-TDAは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(4) pCUP-CbM-TDAは、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xFLAGエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
(5) pMP-CbM-TDAは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(6) pCUP1-MP-CbM-TDAは、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
(7) pCUP1-CbM-TDAは、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に3xFLAGエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて単純ヘルペスウイルスVP16タンパク質をコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
(8) pGA93B42は、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(9) pGA74B42は、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-B42の全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-B42が遊離され得る。
(10) pCGA93B42は、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
(11) pCGA74B42は、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導性発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-B42の全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-B42が遊離され得る。
(12) pMGA93B42は、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(13) pMGA74B42は、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-B42の全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-B42が遊離され得る。
(14) pCMGA93B42は、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導性発現に適している。
(15) pCMGA74B42は、酵母での誘導性発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位が続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。マルチクローニング部位の後には、酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列が続き、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて酸性ドメインB42コードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-B42の全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-B42が遊離され得る。
(16) pMP-CbM-ML-MCSは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにCYC1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(17) pCUP1-MP-CbM-ML-MCSは、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に3xMYCエピトープをコードする配列、次に細菌LexMタンパク質をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにCYC1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
(18) pMGA93-MCSは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(19) pMGA74-MCSは、酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。弱いCYC1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドの全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドが遊離され得る。
(20) pCMGA93-MCSは、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜93をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。
(21) pCMGA74-MCSは、酵母での誘導発現のためのCUP1プロモーターを有し、その後に脂肪酸修飾のための
Figure 0004216733
シグナル配列をコードする核酸配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸配列、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74をコードする配列、続いて関心対象のポリペプチドをコードする核酸を挿入するために用いることができるいくつかの制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードするマルチクローニング部位、さらにADH1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。誘導性CUP1プロモーターとCEN/ARS複製起点との組み合わせにより酵母において構築物が低コピー数となるため(通常は細胞当たり1〜2コピー)、このベクターは酵母におけるCbM融合ポリペプチドの誘導発現に適している。大幅に切断されたGal4タンパク質のおかげで、このベクターにより高いストリンジェンシーのスクリーニングが可能となる。Gal4アミノ酸1〜74はGALプロモーターへの認識および結合に必要な最小要素を保持するが、Gal4タンパク質の二量体化に必要な要素を欠いている。したがって、GAL1プロモーターへのGal4アミノ酸1〜74の結合はもはや協同的でない。非協同的様式の結合により、GAL1プロモーターに対するGal4アミノ酸1〜74の親和性がGal4アミノ酸1〜93と比較して著しく減少する。その結果、レポーター遺伝子の転写を活性化するために、核内ではより高レベルのGal4アミノ酸1〜74が必要となる。この高レベルは、遊離Gal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドの全体的な高レベルによってのみ達せられ得る。ベイトタンパク質とプレイタンパク質との非常に強力な相互作用によってのみ、レポーター遺伝子の転写の活性化に必要な量のGal4(アミノ酸1〜74)-ベイトポリペプチドが遊離され得る。
(22) pDSdual-1は、2つの発現カセットを有する低コピー酵母/大腸菌シャトルベクターである。
カセット1は酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを含み、その後に複数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むマルチクローニング部位および項5.2に記載したインビボクローニングのための配列が続き、次に酵母ユビキチンのアミノ酸35〜76(CbM)をコードする核酸、次に酵母Gal4タンパク質のアミノ酸1〜74または1〜93をコードする配列、さらにADH1ターミネーターが続く。
カセット2は酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを含み、その後に複数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むマルチクローニング部位および項5.2に記載したインビボクローニングのための配列が続き、次にNbMをコードする核酸、さらにCYC1ターミネーターが続く。
または、ベイトの誘導発現を可能にするため、カセット1はCYC1プロモーターの代わりにCUP1プロモーターを含んでもよい。
または、カセット2は酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを含み、その後にNbMをコードする配列が続き、次に複数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むマルチクローニング部位および項5.2に記載したインビボクローニングのための配列、さらにCYC1ターミネーターが続いてもよい。
構築物の骨格は、酵母での選択のためのLEU2遺伝子、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。
このベクターは、NbMのC末端またはN末端に融合させたプレイペプチドの低レベル発現とともに用いる、CbM融合ポリペプチドの低レベルまたは誘導発現に適している。
NbMライブラリーベクター(プレイベクター)
NbMライブラリーベクターは、好ましくは以下の特徴を含むプラスミド構築物である:
(1) 好ましくはアンピシリン耐性遺伝子をコードする発現カセットであるが、カナマイシン耐性遺伝子またはクロラムフェニコール耐性遺伝子をコードする発現カセットであってもよい、大腸菌におけるプラスミド増殖用の選択マーカー。実際には、大腸菌において選択可能な任意の他のマーカーをこの目的に使用してよい。
(2) pUC由来またはpBR322複製起点等の大腸菌においてプラスミドの増殖を可能にする複製起点、しかし好ましくはプラスミドが大腸菌において高コピー数で増幅するのを可能にする複製起点。
(3) 好ましくはTRP1遺伝子をコードする発現カセットであるが、S. セレビシエにおいて選択可能な任意の他のマーカーであってもよい、S. セレビシエにおけるプラスミド増殖用の選択マーカー。
(4) 2ミクロン由来またはCEN/ARS由来複製起点等のS. セレビシエにおいてプラスミドの増殖を可能にする複製起点であるが、好ましくは2ミクロン複製起点等の、プラスミドがS. セレビシエにおいて高コピー数で増幅するのを可能にする複製起点。
(5) 好ましくは以下の特徴を含む発現カセット:
(1) CYC1プロモーター等の低レベル発現を付与する、GAL1もしくはCUP1等の誘導発現を付与する、またはADH1もしくはTEF1もしくはADH1と同様のプロモーター強度を有するプロモーター等の高レベル発現を付与するプロモーター要素。高レベル発現を付与するプロモーターが好ましい。
(2) アミノ酸1〜37(ユビキチンのアミノ酸番号付けおよびユビキチン断片の正確な説明に関しては、JohnssonおよびVarshavsky、1994を参照されたい)(NbM)を包含する、酵母ユビキチンのN末端部分をコードするオープンリーディングフレームで、野生型、あるいは公表された酵母ユビキチン配列の3位もしくは13位またはその両方においてアミノ酸置換を有し、元のアミノ酸の置換に用いられるアミノ酸が、Leu、Val、Ala、またはGlyであるもの。好ましくは、置換はアミノ酸グリシンで13位が置換され、アミノ酸グリシンで3位および13位が置換される。NbMは、以下に記載するインビボ選択手順を用いて、かつCbMに対するNbMの親和性を低減または消滅させる目的で同定される他の変異を含んでもよい。
(3) 次に、ベイト構築物中に存在する3xFLAG、3xMYC、またはHAエピトープに対して作製された特異的抗体を用いた免疫ブロット法による検出のような標準的な手順を用いて、ベイトポリペプチドの発現を容易に確認することができる。ベクターは、3xFLAGエピトープ(ChubetおよびBrizzard、1996、Hermanら、2000)、3xMYCエピトープ(Evanら、1985)であってよいエピトープタグをコードする核酸配列、または免疫ブロッティング法等の任意の手段によって検出され得るポリペプチドをコードする任意の他の配列を含む。赤血球凝集素エピトープタグ(Wilsonら、1984)等の別のエピトープタグをコードする核酸配列を用いてもよい。
(4) タンパク質またはタンパク質断片またはポリペプチドをコードする核酸の挿入を可能にする1つまたは複数の制限酵素認識部位を含むマルチクローニング部位、および下記のインビボ組換え法によりタンパク質またはタンパク質断片またはポリペプチドをコードする核酸配列を挿入するために用いられる、制限エンドヌクレアーゼ、好ましくは制限エンドヌクレアーゼSma Iの所定の認識部位に隣接する配列。
(5) S.セレビシエにおいて転写を終結する、酵母ADH1またはCYC1遺伝子由来のターミネーター配列。
好ましいライブラリーベクターの説明
(1) pNbM-HA-X:酵母での高レベル発現のためのADH1プロモーターを有し、その後にNbMをコードする配列、赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、マルチクローニング部位、およびADH1ターミネーターが続く、高コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のための2ミクロン複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。強力なADH1プロモーターと2ミクロン起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが高コピー数となるため、このベクターは酵母におけるNbM融合ポリペプチドの高レベル発現に適している。
(2) pX-HA-NbM:酵母での高レベル発現のためのADH1プロモーターを有し、その後にマルチクローニング部位、2つの連続した赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、NbMをコードする配列、およびADH1ターミネーターが続く、高コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のための2ミクロン複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。強力なADH1プロモーターと2ミクロン起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが高コピー数となるため、このベクターは酵母におけるNbM融合ポリペプチドの高レベル発現に適している。
(3) p424NbM-X:酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後にNbMをコードする配列、赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、マルチクローニング部位、およびCYC1ターミネーターが続く、高コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のための2ミクロン複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。非常に弱いCYC1プロモーターと2ミクロン起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが高コピー数となるため、このベクターは酵母におけるNbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(4) p424X-NbM:酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを有し、その後にマルチクローニング部位、赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、NbMをコードする配列、およびCYC1ターミネーターが続く、高コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のための2ミクロン複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。非常に弱いCYC1プロモーターと2ミクロン起点との組み合わせにより酵母においてプラスミドが高コピー数となるため、このベクターは酵母におけるNbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(5) p414NbM-X:酵母での高レベル発現のためのADH1プロモーターを有し、その後にNbMをコードする配列、赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、マルチクローニング部位、およびCYC1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。強力なADH1プロモーターとCEN/ARS起点との組み合わせにより酵母におけるプラスミドのコピー数が非常に低くなるため(通常細胞当たり1〜2コピー)、このベクターも酵母におけるNbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
(6) p414X-NbM:酵母での高レベル発現のためのADH1プロモーターを有し、その後にマルチクローニング部位、2つの連続した赤血球凝集素エピトープタグをコードする配列、NbMをコードする配列、およびCYC1ターミネーターが続く、低コピー酵母/大腸菌シャトルベクター。プラスミド骨格は、酵母での選択のためのTRP1遺伝子、大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性カセット、酵母での増殖のためのCEN/ARS複製起点、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。強力なADH1プロモーターとCEN/ARS起点との組み合わせにより酵母におけるプラスミドのコピー数が非常に低くなるため(通常細胞当たり1〜2コピー)、このベクターも酵母におけるNbM融合ポリペプチドの低レベル発現に適している。
ライブラリーの作製
ゲノムDNA、ランダムもしくは非ランダムオリゴヌクレオチド、またはcDNA等の核酸からライブラリーを作製することができる。
(1) ゲノムライブラリー。ゲノムDNAのランダム断片の作製は標準的な手順であり、例えば(Jamesら、1996)に記載されている。簡潔に説明すると、関心対象の生物からゲノムDNAを単離し、超音波処理によるか、または適切な制限酵素による切断もしくはシリンジを通した押し出しによる剪断等の他の方法により、ランダムな大きさの断片に剪断する。適切な大きさに剪断された断片を選択し、クレノー(Klenow)/T4 DNAポリメラーゼ反応またはマングビーン(Mung Bean)エンドヌクレアーゼ反応等の標準的手段により末端を修復する。その後、(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)に記載されるような標準的手順により、修復した断片をNbMに基づくライブラリーベクターにクローニングする。
(2) cDNAライブラリーは(Guber, 1988)に記載されるような標準的な手順を用いて作製するか、またはClontech、Invitrogen、もしくはPromegaによって市販されるキット等の様々な市販のキットを用いて作製することができる。好ましい適用においては、キットを使用して得られた二本鎖cDNA断片を、(Fuscoら、1999、PradoおよびAguilera、1994)に記載されるように酵母でのインビボ組換え法を用いて適切なNbMライブラリーベクターに直接挿入する。マッチメーカーシステム3ライブラリー作製キット(Clontech、米国、カリフォルニア州、パロアルト)ユーザーマニュアル)のユーザーマニュアルに記載されるように、NbMベクターの発現カセット内の配列に相補的な核酸配列をcDNA断片の各末端に添加する。例えば(GietzおよびWoods、2001)に記載されるような標準的な形質転換手順を用いて適切な量でcDNA断片およびNbMライブラリーベクターを同時に導入することにより、cDNA断片の末端において同じ配列間で相同的組換えが起こり、それぞれが特定のcDNA挿入物を含むNbMライブラリーベクターが作製される。マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアルまたはマッチメーカーシステム3ライブラリー作製キット(Clontech)に記載されるような標準的手順を用いて、この手順により得られた酵母形質転換体を回収し、後に接合によりスクリーニングするために-80℃で保存することができる。別の手順では、形質転換していない酵母株ではなく、ライブラリースクリーニングに用いるベイトをコードするプラスミドで既に形質転換した酵母株に、cDNA断片およびNbMライブラリーベクターを同時形質転換する。先に記載したのと同質の形質転換手順の後に、酵母形質転換体を選択培地上に直接プレーティングし、以下に詳細に記載するようにスクリーニングを行う。
(3) ランダムまたは非ランダムオリゴヌクレオチドライブラリー。標準的な手順に従い、ランダムまたは非ランダムオリゴヌクレオチドを合成する。1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼを用いて、または上記のインビボクローニング法により、それらをNbMライブラリーに挿入することができる。
ライブラリーのスクリーニング手順
ベイトとして用いるポリペプチドは、相等しい手順で用いられる低レベル発現を付与するベイトベクターおよび高レベル発現を付与するベイトベクターの両方に挿入してよい。偽陽性を避けるため、CbM-TDAを有するベイトタンパク質に高レベル発現を付与するプロモーターを用いる場合には、別の機構を用いてTDAの核活性を調節してもよい(例えば、変異型LexAのような変異型転写因子の使用)。プレイベクターは、ADH1またはTEF1等の強力なプロモーターを有することが好ましい。
1. 適切なベイトの定義
原理上は、小胞体、ゴルジ体の膜、ミトコンドリアの外膜もしくは内膜、または最も好ましくは原形質膜等の酵母細胞内の膜に固定化され得る任意のポリペプチドが、MbY2Hシステムのベイトとして適している。ベイトとして用いるポリペプチドは内在性膜タンパク質であっても、あるいは、その後に膜貫通ドメインが続くシグナル配列、またはミリストイル化、パルミトイル化、もしくはファルネシル化等の任意の脂肪酸修飾のシグナル配列のような膜アンカーをコードするシグナル配列への融合を介して膜に連結される可溶性タンパク質であってもよい。ベイトとして用いられる様々な種類のポリペプチドについては、以下で詳細に記載する。
2. ベイトの作製
ベイトとして用いるポリペプチドをコードする核酸配列を、標準的な分子生物学的技法を用いて上記のベイトベクターの1つに挿入することができる。これらの技法は、(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)に詳細に記載されている。しかし、ベイトベクターに核酸配列を挿入する好ましい方法は、酵母でのインビボ組換え法による(Oldenburgら、1997、PradoおよびAguilera、1994)。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法(Mullis, 1990))により、適切な鋳型(ゲノムDNA、cDNA、または好ましくはプラスミドDNA等)から、関心対象のポリペプチドをコードする核酸配列を増幅する。関心対象の核酸配列の5'および3'末端に相補的な配列を含むように、プライマーを設計する。さらに、各プライマーは、上記のベイトベクターの1つに存在する制限エンドヌクレアーゼ認識部位の両側の26ヌクレオチドの配列と同一であるさらなる26ヌクレオチドの配列を5'末端に含む。したがってPCR産物は、ベイトとして用いるポリペプチドをコードする完全な核酸断片、ならびに5'および3'末端に26ヌクレオチドの相補配列(「フラップ(flap)」と称する)を含む。標準的な手順に記載されるように(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)、適切な制限エンドヌクレアーゼとともにインキュベートすることによりベイトベクターを処理する。PCR断片と制限処理したベイトベクターを等モル量で混合し、標準的な酵母形質転換技法により(GietzおよびWoods、2001)適切な酵母レポーター株に形質転換する。内因性の修復機構により(Friedberg, 1991a, Friedberg, 1991b)、PCR断片の両端がベイトベクター中の相補的対応物と再結合し、その結果、PCR産物がベイトベクターの開放した末端に正確に挿入された核酸構築物が生じる(図???)。この過程は酵母に全く特異的であるため、PCR断片は所定の方向に挿入され、かつ末端のヌクレオチドは除去も付加もされない。そのため、この方法によるベイトポリペプチドをコードする核酸配列の挿入は、上記した従来の挿入法よりも容易かつ迅速である。ベイトポリペプチドをコードする核酸の挿入は、ベイトポリペプチドのリーディングフレームがマルチクローニング部位の後に続くレポーターカセットのリーディングフレームと同じになる方法で行わなければならない。このようにして、酵母におけるベイトプラスミドの翻訳により、上記のCbMおよび要素に融合されたベイトポリペプチドからなる連続したポリペプチドが提供される。
3. ベイトの検証
スクリーニングを行う前に、酵母においてベイトが正しく発現されるか否かを試験する必要がある。正しい発現とは、ベイトポリペプチドが酵母においてその全長で翻訳されること、顕著なタンパク質分解が起こらないこと、および酵母においてベイトが膜に挿入されることを意味する。まず、任意の酵母株であってよいが、好ましくは上記の株の1つ、最も好ましくは酵母株DSY1またはDSY2の一方である適切な酵母株に、ベイト構築物を形質転換する。適切な選択条件下で酵母形質転換体を培養し、免疫ブロッティング技法によりベイトの発現を検出する。酵母で発現されたポリペプチドの免疫ブロッティング技法による検出は標準的であり、例えば(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001)および酵母プロトコールハンドブック(YEAST PROTOCOLS HANDBOOK)(Clontech)に記載されている。オートラジオグラフ上で期待される分子量のシグナルが出現することにより、ベイトポリペプチドが酵母において発現されること、および内因性プロテアーゼによって顕著に分解されないことが示される。
ベイトポリペプチドが酵母において膜に挿入されるか否かの試験は、それによってベイトが膜に固定化され核内に拡散し得ないことが保証されるため、重要な段階である。膜におけるベイトの固定化は、MbY2hスクリーニングの絶対的な必要条件である。まず、任意の酵母株であってよいが、好ましくは上記の株の1つ、最も好ましくは酵母株DSY1またはDSY2のどちらか一方である適切な酵母株に、ベイト構築物を形質転換する。適切な選択条件下で酵母形質転換体を培養し、例えば(Fuentesら、2000)に記載されるように、酵母形質転換体を溶解して抽出物を可溶性画分と粒子画分に分離した後に、粒子画分中のベイトの存在を検出することにより膜へのその挿入を検証する。オートラジオグラフ上で粒子画分中に期待される分子量のシグナルが出現し可溶性画分には出現しないことにより、ベイトポリペプチドが酵母において発現され膜に挿入されることが示される。
ベイトポリペプチドの酵母の膜への挿入を検証するための第二の方法は、酵母形質転換体で免疫蛍光法を行うことである。まず、任意の酵母株であってよいが、好ましくは上記の株の1つ、最も好ましくは酵母株DSY1またはDSY2のどちらか一方である適切な酵母株に、ベイト構築物を形質転換する。適切な選択条件下で酵母形質転換体を培養し、例えば(Burkeら、2000)に記載されるような利用可能な標準的方法のいずれかを用いて免疫蛍光用に処理する。免疫蛍光染色した後、細胞を蛍光顕微鏡下で観察する。酵母の膜に蛍光シグナルが存在することにより、ベイトポリペプチドが酵母において発現され膜に挿入されることが示される。
4. 自己活性化試験
ベイトポリペプチドが任意のプレイポリペプチドの非存在下で発現される場合に、レポーター株に存在するレポーター遺伝子を活性化しないことを確認するため、自己活性化試験を行う。まず、任意の酵母株であってよいが、好ましくは上記の株のいずれか、最も好ましくは酵母株DSY1またはDSY2の一方である適切な酵母株に、ベイト構築物を形質転換する。レポーター株に存在するすべてのレポーター遺伝子の活性化を評価するため、酵母形質転換体を異なる選択培地上にプレーティングする。例えば、レポーター株AH109を用いる場合、ベイト構築物およびTRP1遺伝子を提供する対照構築物を有する酵母形質転換体を、ロイシン(ベイト構築物の存在を選択するため)、トリプトファン(対照構築物の存在を選択するため)、およびアデニン(ADE2の活性を評価するため)を欠く選択プレート上にプレーティングする。選択培地上で酵母形質転換体が増殖することにより、ベイトポリペプチド単独でレポーター遺伝子を活性化し得ることが示される。そのようなベイトはMbY2Hスクリーニングには使用することができない。
5. 従来のライブラリー形質転換法
従来のスクリーニング技法では、まず上記のようにベイトプラスミドで酵母レポーター株を形質転換する(複数コピーのベイトプラスミドを有する酵母株が生じる、「ベイト保有株」と称する)。酵母株は自己複製プラスミドとしてまたはゲノムに組み込まれた核酸断片として適切なレポーター構築物を有する任意のS. セレビシエ株であってよいが、好ましくは酵母株L40[Vojtek, 1993 #398]もしくは酵母株AH109(Clontech)もしくは酵母株PJ69-4A(Jamesら、1996)であり、または最も好ましくは酵母株DSY1もしくはDSY2である。次いでベイト保有株を、ゲノム断片、ランダムもしくは非ランダムオリゴヌクレオチド、または好ましくはcDNA断片であってよいNbM融合核酸のライブラリーで形質転換する。そのようなライブラリーは、本明細書に記載する方法のいずれかを用いて、上記のNbMライブラリーベクターのいずれかで作製することができる。
6. 接合手順によるライブラリー形質転換
接合手順を用いる場合、上記の方法のいずれかにより、所定の接合型(aまたはα)の酵母レポーター株にベイトプラスミドを導入する。次に、上記の任意のライブラリーであってよいライブラリーを、上記の方法のいずれかにより逆の接合型(α型またはa型)の株に導入する。続いて、標準的な方法に従い(図2;(SoellickおよびUhrig、2001)、マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアル、Clontech)、ベイト保有株およびライブラリー保有株を接合させる。ベイトの形質転換に使用する酵母株は、L40、AH109、PJ69-4A、または好ましくはDSY1もしくはDSY2である。ライブラリーの形質転換に使用する酵母株は、L40α、Y187、PJ69-4α、または好ましくはDSYMである。
7. スクリーニング手順
形質転換または接合後に、酵母形質転換体を固形選択培地上にプレーティングする。この選択培地は、(1) ベイトプラスミド、(2) ライブラリープラスミド、および(3) ベイトとプレイポリペプチドとの間に起こり得る相互作用の存在を選択するような方法で構成される。
用いる選択培地の種類および調合は、用いるレポーター株に依存する。
L40(以下を参照のこと)を用いる場合、(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイプラスミドの存在を選択するため)、およびヒスチジン(タンパク質-タンパク質相互作用の発生を選択するため)を欠く選択培地を使用する。
AH109(以下を参照のこと)を用いる場合、アミノ酸ロイシン(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイプラスミドの存在を選択するため)、ならびにヒスチジンおよびアデニン(タンパク質-タンパク質相互作用の発生を選択するため)を欠く選択培地を使用する。本明細書に記載するように、選択培地に以下の修飾を用いることにより、スクリーニングのストリンジェンシーを調節することが可能である:(1) 低ストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
PJ69-4A(以下を参照のこと)を用いる場合、ロイシン(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイプラスミドの存在を選択するため)、ならびにヒスチジンおよびアデニン(タンパク質-タンパク質相互作用の発生を選択するため)を欠く選択培地を使用する。本明細書に記載するように、選択培地に以下の修飾を用いることにより、スクリーニングのストリンジェンシーを調節することが可能である:(1) 低ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
DSY1(以下を参照のこと)を用いる場合、ロイシン(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイプラスミドの存在を選択するため)、ヒスチジンおよびアデニン(タンパク質-タンパク質相互作用の発生を選択するため)を欠き、化合物5'-フルオロオロト酸(5-FOA、非特異的タンパク質-タンパク質相互作用に関して対抗選択するため)を含む選択培地を使用する。本明細書に記載するように、選択培地に以下の修飾を用いることにより、スクリーニングのストリンジェンシーを調節することが可能である:(1) 低ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠き、5-FOAを含む選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:トリプトファンおよびアデニンを欠き、5-FOAを含む選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠き、5-FOAを含む選択培地。
DSY2(以下を参照のこと)を用いる場合、ロイシン(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイプラスミドの存在を選択するため)、ならびにヒスチジンおよびアデニン(タンパク質-タンパク質相互作用の発生を選択するため)を欠く選択培地を使用する。本明細書に記載するように、選択培地に以下の修飾を用いることにより、スクリーニングのストリンジェンシーを調節することが可能である:(1) 低ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:トリプトファンおよびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
上記の株のいずれかを用いて、lacZレポーターの活性をアッセイすることにより、特定の酵母形質転換体で起こるタンパク質-タンパク質相互作用に関して独立した試験を行うことができる。上記の株はそれぞれ、ゲノム内に組み込まれたlacZレポーター遺伝子の1つまたは複数のコピーを有する。lacZレポーターは他のレポーターと同じ様式で活性化され、活性化された場合に大腸菌由来β-ガラクトシダーゼの転写および翻訳が起こる。β-ガラクトシダーゼの存在は、様々な基質を着色化合物に変換するその能力によって確認することができる。β-ガラクトシダーゼを検出するために用いられるアッセイ法は、何度も記載されている((Golemisら、1999)、マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアル、Clontech)。β-ガラクトシダーゼを検出するいずれの方法も、MbY2Hシステムで用いるのに適している。
選択培地上に最初にプレーティングした各酵母形質転換体について、2つの異なる結果が起こり得る:
(1) それぞれベイトおよびライブラリープラスミドにコードされるベイトおよびプレイポリペプチドが、酵母において相互作用しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成が起こらず、スプリットユビキチンが形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは酵母細胞の核に到達することができない。結果として、酵母形質転換体のレポーター遺伝子は活性化されず、どのレポータータンパク質も産生されない(図6A)。したがって、各酵母形質転換体は選択培地上で増殖することができない。
(2) それぞれベイトおよびライブラリープラスミドにコードされるベイトおよびプレイポリペプチドが、酵母において相互作用する。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドが空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体の1つまたは複数のレポーター遺伝子が活性化され、1つまたは複数のレポータータンパク質が産生される(図6B)。したがって、各酵母形質転換体は選択培地上で増殖することができ、30℃で3〜5日間インキュベートした後に単離された酵母コロニーとして現れる。
株DSY1またはDSY2のどちらかを用いる場合には、3つめの結果も起こり得る:それぞれベイトおよびライブラリープラスミドにコードされるベイトおよびプレイポリペプチドが酵母において相互作用するが、プレイポリペプチドは酵母レポーター株のゲノムに組み込まれた核酸配列からCbM-LexM-B42融合体として転写される対照ベイトポリペプチドとも相互作用する。この場合、対照ベイトおよびプレイポリペプチドが空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼによりLexM-B42ポリペプチドが切断され、酵母細胞の核に拡散する。その結果、酵母形質転換体のURA3またはFAR1レポーター遺伝子が活性化され、それぞれUra3またはFar1タンパク質が産生される。Ura3タンパク質は化合物5-FOAを酵母細胞にとって有毒である代謝産物に変換し、Far1タンパク質は細胞周期機構を直接妨げ酵母形質転換体を抑止する。どちらの場合も、酵母形質転換体は選択培地上で増殖することができない。
8. ベイト依存性試験
項7に記載の選択手順で生き残った酵母形質転換体は、酵母レポーター株においてベイトポリペプチドと相互作用し得るポリペプチドをコードするライブラリー構築物を有する可能性が最も高い。しかし、いかなるインビボ系と同様に、項7に記載の選択手順で生き残る能力を酵母形質転換体に付与するものの、ベイトポリペプチドと相互作用しない特定のプレイポリペプチドをコードするライブラリー構築物であるいわゆる「偽陽性」が単離される万が一の可能性が存在する。スクリーニングからこれらの偽陽性を単離するために、いわゆるベイト依存性試験を行う。
まず、利用可能な標準的方法のいずれかを用いて(例えば、マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアル、Clontechを参照のこと)、酵母形質転換体から核酸を単離する。核酸混合物は、(1) ベイト構築物、(2) プレイ構築物、および(3) 酵母レポーター株由来のゲノムDNAを含む。プレイ構築物を選択的に単離するため、クローニング目的に適した任意の大腸菌株であってよいが、好ましくは株DH5α、DH10B、JM109、TOP10、XL10 GOLD、SUREのいずれかであり、および最も好ましくは株XL1-BLUEである適切な大腸菌株に核酸混合物を形質転換する。プレイ構築物上にコードされる耐性遺伝子に対応する抗生物質を添加した標準的な細菌培養プレートに、形質転換体をプレーティングする。これは任意の抗生物質であってよいが、好ましくは抗生物質アンピシリンである。ベイト構築物または酵母ゲノムDNAの断片で形質転換された大腸菌は抗生物質アンピシリンを添加した選択プレート上で増殖できないため、それらのプレート上に現れたコロニーはすべてプレイ構築物を有する形質転換体である。次に、大腸菌からプラスミドを単離する標準的技法のいずれかを用いて(BedbrookおよびAusbel、1976、SambrookおよびRussell、2001;プラスミド単離キット、Macherey Nagel AG、ドイツ、デューレン、プラスミド単離キット、Quiagen Inc.、米国、ウィスコンシン州、マディソン)、大量のプレイ構築物を単離する。
単離したライブラリー構築物を、(1) ベイト構築物および(2) 任意のポリペプチドであってよいが、好ましくはOst1、Wbp1、Alg5、ErbB3のいずれかであり、最も好ましくはAlg5である非関連ベイトポリペプチドをコードする対照ベイト構築物とともに、AH109、Y190、L40、PJ69-4A、DSY1、またはDSY2であってよいが、好ましくはY187もしくはL40のいずれかである適切な酵母レポーター株に同時形質転換する。項7に記載するように酵母形質転換体を適切な選択プレート上にプレーティングし、選択で生き残ったコロニーをLacZレポーターの活性についてアッセイする。
以下の結果が起こり得る:
(1) プレイポリペプチドは、本来のベイトポリペプチドおよび対照ポリペプチドと相互作用する。この場合、ベイト構築物およびプレイ構築物の同時形質転換体ならびに対照ベイト構築物およびプレイ構築物の同時形質転換体は、lacZレポーターを活性化する。そのようなプレイ構築物は、同じ酵母細胞で発現される任意のベイトポリペプチドと非特異的に相互作用する偽陽性をおそらくコードするため、これらは除外する。
(2) プレイポリペプチドは本来のベイトポリペプチドと相互作用するが、対照ポリペプチドとは相互作用しない。この場合、ベイト構築物およびプレイ構築物の同時形質転換体はlacZレポーターを活性化するが、対照ベイト構築物およびプレイ構築物の同時形質転換体は活性化しない。そのようなプレイ構築物は、ベイトポリペプチドとのみ相互作用する真の陽性をコードする。
9. ライブラリー挿入物の配列決定
ベイト依存的である、すなわち本来のベイトポリペプチドとは相互作用するが対照ポリペプチドとは相互作用しないいずれのライブラリー構築物も、酵母においてベイトポリペプチドと相互作用するポリペプチドをコードする可能性が高い。ポリペプチドを同定するため、標準的なDNA配列決定法を用いて、プレイポリペプチドをコードするライブラリー構築物中の核酸配列を決定する。次に決定した核酸配列を用いてそれがコードする対応するポリペプチドを予測し、核酸配列または導き出したアミノ酸配列を用いて、核酸またはアミノ酸配列を比較する任意のアルゴリズムにより(BLAST等、(Altschulら、1997))、GenBankまたはEMBLデータベース等の配列情報を保持する任意の公的データベースを検索することができる。
この方法で同定されたポリペプチドの配列は、ベイトと相互作用することが既に知られているタンパク質をコードする可能性もあるし、または新規相互作用物をコードする可能性もある。膜結合タンパク質を含むタンパク質-タンパク質相互作用を検出する他の方法と比較したMbY2Hシステムの最も重要な利点は、相互作用するタンパク質の同一性ばかりでなく、それをコードする核酸配列のすべてまたは一部が得られる点である。MbY2Hスクリーニングで見出されたタンパク質間の相互作用を検証しかつ特徴づけるために、研究者は多くの方法で核酸配列を用いてさらに実験を行うことができる。
スクリーニングの重要な結果
酵母細胞において特定のベイトポリペプチドおよび特定のプレイポリペプチドを同時発現することで、それぞれベイトおよびプレイに融合させたCbMおよびNbMからスプリットユビキチンが再構成されてレポーター遺伝子が特異的に活性化されることにより、選択で生き残る形質転換体が得られる。選択は選択培地上で行い、比色アッセイにより確認する(上記の項7)。スプリットユビキチンを再構成する能力はベイトおよびプレイポリペプチドの空間的近接を意味し、したがって(スクリーニングに用いたストリンジェンシーに依存して)ベイトおよびプレイとして用いた2つのポリペプチドが酵母において相互作用すると考えられる。2つのポリペプチドが酵母において相互作用する場合、哺乳動物細胞等の別の設定においてもインビボで相互作用することが強く示唆される。よって、MbY2Hシステムにより、所定のタンパク質(ベイト)および他のタンパク質(プレイ)の大きな収集物(ライブラリー)を用いて相互作用するタンパク質の対を同定することができる。MbY2Hシステムにより、ベイトと相互作用するタンパク質を選択的に同定する手段が提供される。
このシステムの別の適用では、ストリンジェンシーの閾値を低く設定することにより、同じ機構によって非常に弱くかつ特に一次的な相互作用が検出される。これにより、ベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの一次的な空間的近接が示唆される。そのような低ストリンジェンシースクリーニングにより、MbY2Hシステムは、ベイトポリペプチドとある時点で空間的に非常に近接するすべてのタンパク質を決定する方法としての機能を果たし得る。
レポーター株
1. L40
酵母レポーター株L40は以下の遺伝子型を有する:
Figure 0004216733
L40の作製については、(Vojtekら、1993)に詳細に記載されている。L40を用いて、項5に記載するようにMbY2Hシステムにより、相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを選択することができる。相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3レポーター遺伝子およびlacZレポーター遺伝子を用いる。
2. AH109
酵母レポーター株AH109は以下の遺伝子型を有する:
Figure 0004216733
AH109の作製については、マッチメーカーシステム3ユーザーマニュアル(Clontech)に詳細に記載されている。AH109を用いて、項5に記載するようにMbY2Hシステムにより、相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを選択することができる。相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3マーカー、ADE2マーカー、MEL1メーカー、およびlacZレポーターマーカーを用いる。L40と比較してAH109の利点は、選択培地に以下の修飾を用いることによりスクリーニングのストリンジェンシーを変更する選択の自由にある:(1) 低ストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
3. PJ69-4A
酵母レポーター株PJ69-4Aは以下の遺伝子型を有する:
Figure 0004216733
PJ69-4Aの作製については、(Jamesら、1996)に詳細に記載されている。PJ69-4Aを用いて、上記のようにMbY2Hシステムにより、相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを選択することができる。相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3マーカー、ADE2マーカー、およびlacZレポーターマーカーを用いる。L40と比較してPJ69-4Aの利点は、選択培地に以下の修飾を用いることによりスクリーニングのストリンジェンシーを変更する選択の自由にある:(1) 低ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く選択培地。
4. DSY1
酵母レポーター株DSY1は、ゲノム内に組み込まれた以下のカセットを含む:GAL1プロモーターに続くHIS3遺伝子、 GAL2プロモーターに続くADE2遺伝子、GAL1プロモーターに続くlacZ遺伝子。DSY1は以下のように作製する:DSY1の作製に用いる酵母株は、高い形質転換効率を有するDGY63である。標準的な方法により、GAL1-HIS3、 GAL2-ADE2、およびGAL1-lacZをコードするレポーター構築物を組込みプラスミドpFA6a(URA3)(GierzおよびSugino、1988)にサブクローニングし、(Jamesら、1996)に記載されるように、URA3選択および5-FOAを介する切除を複数ラウンド行うことによりDGY63ゲノムに組み込む。4つのLexAオペレーター部位およびCYC1上流活性化配列からなるハイブリッドプロモーターを含み、その後にURA3遺伝子およびCYC1ターミネーターが続く負のレポーター構築物。最小CYC1プロモーターを含み、その後にLexM-B42-CYC1ターミネーターに融合させた対照ベイトポリペプチドをコードする核酸配列が続く発現カセットを、標準的な酵母法により(Burkeら、2000)組込みプラスミドpFA6a(kanMX)にサブクローニングし、(Burkeら、2000)に記載されるようにG418を介する選択によりゲノムに組み込む。または、上記のように負のレポーターをAH109またはPJ69-4Aのゲノムに組み込むことにより、DSY1の変異株を作製することも可能である。
相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3マーカー、ADE2マーカー、およびlacZマーカーを用いる。L40と比較してDSY1の利点は、選択培地に以下の修飾を用いることによりスクリーニングのストリンジェンシーを変更する選択の自由にある:(1) 低ストリンジェンシー:ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠き、化合物5-FOAを含む選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:トリプトファンおよびアデニンを欠き、化合物5-FOAを含む選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠き、化合物5-FOAを含む選択培地。
AH109およびPJ69-4Aと比較してDSY1の利点は、上記のようにスクリーニング手順の間に同時にベイト依存性試験を行う選択の自由にある。
5. DSY2
DSY2は、組み込むカセットが組込みプラスミドpFA6a(kanMX)上で、4xLexAオペレーター部位-CYC1-UAS-FAR1-CYC1ターミネーターおよびCYC1プロモーター-対照ベイトポリペプチドをコードする核酸配列-LexM-B42-CYC1ターミネーターを含む以外は、DSY1と同様の様式で作製する。
相互作用するベイトおよびプレイポリペプチドを発現する酵母形質転換体を選択するためには、HIS3マーカー、ADE2マーカー、およびlacZマーカーを用いる。L40と比較してDSY2の利点は、選択培地に以下の修飾を用いることによりスクリーニングのストリンジェンシーを変更する選択の自由にある:(1) 低ストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠く選択培地。(2) 中程度のストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、およびアデニンを欠く選択培地。(3) 高ストリンジェンシー:アミノ酸ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびアデニンを欠く培地。
AH109およびPJ69-4Aと比較してDSY2の利点は、上記のようにスクリーニング手順の間に同時にベイト依存性試験を行う選択の自由にある。
DSY1と比較してDSY2の利点は、選択培地に化合物5-FOAを添加する必要がないという事実にある。
6. L40α
L40αは、標準的な手順により(Burkeら、2000)逆の接合型に(aからαへ)転換したL40の派生物である。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてL40とともに用いる。
7. Y187
酵母レポーター株Y187は以下の遺伝子型を有する:
Figure 0004216733
その作製については、(Harperら、1993)に詳細に記載されている。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてAH109とともに用いる。
8. PJ69-4α
PJ69-4αは、標準的な手順により(Burkeら、2000)逆の接合型に(aからαへ)転換したPJ69-4Aの派生物である。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてPJ69-4Aとともに用いる。
9. DSYM
DSYMは、標準的な手順により(Burkeら、2000)逆の接合型に(aからαへ)転換したDGY63の派生物である。これは、上記のスクリーニング手順の接合変形法においてDSY1またはDSY2とともに用いる。
10. DSYDS1
標準的な方法を用いて(Burkeら、2000)、酵母PDR1〜3遺伝子(酵母においてErg輸送体の発現を制御する転写因子をコードする)をノックアウトすることによりDGY63から作製される。標準的な方法により(Burkeら、2000)、GAL1-URA3およびGAL1-lacZを含むレポーターカセットがURA3座位に組み込まれている。
11. DSYDS2
標準的な方法を用いて(Burkeら、2000)、酵母PDR1〜3遺伝子(酵母においてErg輸送体の発現を制御する転写因子をコードする)をノックアウトすることによりDGY63から作製される。標準的な方法により(Burkeら、2000)、GAL1-FAR1およびGAL1-lacZを含むレポーターカセットがURA3座位に組み込まれている。
スプリットユビキチンを形成するNbM-CbM会合を検出するためのリアルタイムレポーター要素
1. ホタルルシフェラーゼ-CbM-GFP(FCG)融合体からなるレポーターを用いて、リアルタイムでタンパク質-タンパク質相互作用を検出することができる。ルシフェラーゼの活性化により、CbMを越えてGFPに蛍光エネルギー転移(FRET)が起こり、GFPが活性化されて緑色光を放射する。FCGに融合させたベイトタンパク質およびNbMに融合させたプレイタンパク質を酵母内で同時発現させる場合、2つのタンパク質の相互作用によりスプリットユビキチンが再構成され、CbM-GFP境界での切断が起こる。GFPが遊離され、ルシフェラーゼ-CbM融合体から拡散する。その結果、ルシフェラーゼとGFPとの間にはFRETが起こらない。ベイトとプレイタンパク質との相互作用を遮断する化合物を導入した場合、もはやGFPは切断されず、ルシフェラーゼとGFPとの間のFRETにより緑色光が放射される。したがって、GFP蛍光の強度により、2つのタンパク質間の相互作用の遮断における化合物の有効性を直接測定することができる。
2. レポーター株DSYDS3
DSYDS3は、標準的な方法により(Burkeら、2000)CYC1-シフェラーゼ-CbM-GFPを含むレポーターカセットをLYS2座位に組み込むことにより、株DSYDS2から導かれる。
MbY2Hシステムの応用
所定のタンパク質-タンパク質相互作用を破壊する小化合物のスクリーニング
小化合物スクリーニングの目的は、ベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとのタンパク質-タンパク質相互作用を遮断し得る小化合物を同定することである。「小化合物」という用語は、化学的に合成され得る、天然物から抽出もしくは濃縮され得る、または多糖化合物であってよい、最大で5 kDaの分子量を有する任意の低分子を表すことを意図する。
小化合物ライブラリーとは上記の小化合物の任意の収集物であり、コンビナトリアルライブラリー、明確な化学合成した化合物のライブラリー、ランダムな化合物のライブラリー、天然化合物のライブラリー、天然抽出物のライブラリーであってよい。このライブラリー中の化合物数は、100化合物未満、100〜1000化合物、1000〜10000化合物、10000を上回る化合物であってよい。
通常、そのようなライブラリーは例えばマルチウェルマイクロタイタープレート中に配列した型式で提供されるが、化合物のプールまたは化合物混合物として提供される場合もある。各ウェル内の各化合物の同一性は、既知である場合も既知でない場合もある。各ウェル内に、1つまたは複数の化合物が存在する場合もある。
スクリーニング手順は以下のように行う:上記の標準的な手順のいずれかにより、任意の適切な酵母株であってよいが好ましくは「レポーター株」の項に記載した株の1つであるレポーター株に、ベイト構築物およびプレイ構築物を形質転換する。ベイト構築物は、「ベイトベクター」の項に記載したベイトベクターのいずれかに挿入された、ベイトポリペプチドをコードする核酸配列を含む。プレイ構築物は、「プレイおよびライブラリーベクター」の項に記載したプレイベクターのいずれかに挿入された、プレイポリペプチドをコードする核酸配列を含む。スクリーニングの必要条件は、CbMおよびNbMのスプリットユビキチンへの再会合が起こり、その結果上記のように1つまたは複数のレポーター遺伝子が活性化される方法で、レポーター株内でベイトポリペプチドとプレイポリペプチドが相互作用することである。ベイトおよびプレイポリペプチドを発現する形質転換体を、選択培地の入った96ウェルまたは384ウェルマイクロタイタープレートに配置する。
レポーター株DSYDS1を用いる場合、選択培地はロイシン(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイ構築物の存在を選択するため)を欠く任意の最小培地である。形質転換体を、選択培地中で1〜5回細胞分裂する間培養する。上記の化合物ライブラリーのいずれかに由来する化合物を、適当量の5-FOAとともに(タンパク質-タンパク質相互作用に対して選択するため)ウェルに添加する。酵母形質転換体を培養し、標準的な手順を用いて(Burkeら、2000)ウェルの吸光度を測定することにより、生存酵母形質転換体を含むウェルを同定する。
2つの結果が起こり得る:
(1) 添加した化合物がベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、転写活性化因子ポリペプチドが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3レポーターが活性化され、URA3遺伝子産物が産生される。URA3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こす。特定の酵母形質転換体を含むウェル内で増殖が起こらず、吸光度の減少が測定される。
(2) 添加した化合物がベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害する。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成が起こらず、スプリットユビキチンが形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは膜においてベイトポリペプチドに連結されたままになる。結果として、酵母形質転換体のURA3レポーターが活性化されず、URA3遺伝子産物の産生が起こらない。5-FOAが有毒な代謝産物に変換されないため、かつ5-FOAはそれ自体酵母細胞に対して負の効果をもたないため、酵母形質転換体は選択培地中で増殖し続ける。特定の酵母形質転換体の増殖は、ウェル内の吸光度の増加として測定される。
レポーター株DSYDS2を用いる場合、選択培地はロイシン(ベイトプラスミドの存在を選択するため)、トリプトファン(プレイ構築物の存在を選択するため)を欠く任意の最小培地である。形質転換体を、選択培地中で1〜5回細胞分裂する間培養する。上記の化合物ライブラリーのいずれかに由来する化合物をウェルに添加する。酵母形質転換体を培養し、標準的な手順を用いて(Burkeら、2000)ウェルの吸光度を測定することにより、生存酵母形質転換体を含むウェルを同定する。
2つの結果が起こり得る:
(1) 添加した化合物がベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のFAR1レポーターが活性化され、FAR1遺伝子産物が産生される。FAR1遺伝子産物が酵母の細胞周期に関与するタンパク質を妨げ、細胞周期の抑止が起こる。特定の酵母形質転換体を含むウェル内で増殖が起こらず、吸光度の無変化が測定される。
(2) 添加した化合物がベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害する。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成が起こらず、スプリットユビキチンが形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは膜においてベイトポリペプチドに連結されたままになる。結果として、酵母形質転換体のFAR1レポーターが活性化されず、FAR1遺伝子産物の産生が起こらない。したがって、酵母形質転換体は増殖し続ける。特定の酵母形質転換体の増殖は、ウェル内の吸光度の増加として測定される。
所定のタンパク質-タンパク質相互作用を破壊するペプチドのスクリーニング
ペプチドアプタマーは、ある種のタンパク質に結合しその酵素活性を修飾し得る、コンビナトリアルライブラリーから選択される小タンパク質であり、したがってインビボでタンパク質機能を操作するのに有用な方法を表す(FiledおよびSternglanz、1994、Yangら、1995)。そのようなコンビナトリアルライブラリーはこれまで、繊維状ファージの表面上に作製されるか、または化学的に合成され樹脂ビーズ等の担体基質に結合された。
発現ライブラリーからペプチドアプタマーを産生させる。標準的な手順を用いて(Sambrook およびRussell、2001)、可変長の(4〜16アミノ酸のペプチド断片、または16アミノ酸よりも長いペプチド断片であってよい)確定したまたはランダムなペプチドをコードする核酸断片をp426GAL(Mumbergら、1995)等の適切な発現ベクターに挿入することにより、ペプチドアプタマーライブラリーを作製する。
ペプチドアプタマーは酵母細胞から分泌させても、酵母細胞の細胞質内に残存させてもよい。ペプチドの局在性を細胞質内にすべき場合には、修飾は必要ない。ペプチドを分泌させるべき場合には、酵母インベルターゼ(SUC2)ポリペプチドのリーダー配列等のN末端分泌シグナルを含むように操作する。
標準的な手順により(Sambrook およびRussell、2001)または上記のインビボクローニング手順により、ベイトポリペプチドをコードする核酸配列およびプレイトポリペプチドをコードする核酸配列を、「ベイトベクター」の項に記載したスクリーニングベクターpDSdual-1に挿入する。
酵母において相互作用するそれぞれCbMおよびNbMに融合させたベイトおよびプレイポリペプチドを発現する構築物pDSdual-1であるベイト/プレイ構築物ならびにペプチドアプタマーライブラリーを、上記の方法のいずれかにより酵母レポーター株に同時形質転換する。上記の接合法により、酵母レポーター株においてベイト/プレイ構築物およびペプチドアプタマーライブラリーを混合することが好ましい。酵母レポーター株は任意の適切な酵母株であってよいが、好ましくは株DSYDS1または酵母株DSYDS2である。
DSYDS1を用いる場合、形質転換体はロイシン(pDSdual-1を選択するため)およびトリプトファン(ペプチドをコードするライブラリー構築物を選択するため)を欠き化合物5-FOAを含む選択培地上にプレーティングする。
DSYDS2を用いる場合、形質転換体はロイシン(pDSdual-1を選択するため)およびトリプトファン(ペプチドをコードするライブラリー構築物を選択するため)を欠く選択培地上にプレーティングする。
スクリーニングの結果:
(1) ペプチドが、ベイトポリペプチドのプレイポリペプチドへの結合を破壊しない。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接し、NbMおよびCbMの再構成が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化され、Ura3またはFar1遺伝子産物が産生される。Ura3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こし、一方、Far1遺伝子産物は細胞周期を妨げ酵母形質転換体を抑止する。したがって、形質転換体は選択プレート上で増殖しない。
(2) ペプチドがベイトポリペプチドとプレイポリペプチドとの相互作用を阻害する。この場合、ベイトおよびプレイポリペプチドは空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成が起こらず、スプリットユビキチンが形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは膜においてベイトポリペプチドに連結されたままになる。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化されず、Ura3またはFar1遺伝子産物の産生が起こらない。したがって、酵母形質転換体は増殖し続ける。特定の形質転換体の増殖により、選択プレート上で酵母コロニーが見えるようになる。
所定のタンパク質-タンパク質相互作用を破壊するScFvのスクリーニング
細胞により合成され特定の細胞区画を標的にする一本鎖抗体(scFv)を用いて、非常に特異的な様式で細胞増殖および代謝を妨げることができる。ペプチドと同様に、一本鎖抗体は分泌させても細胞内に存在させてもよい(いわゆる細胞内発現抗体(intrabody))(RichardsonおよびMarasco、1995)。
発現ライブラリーからscFvを産生させる。標準的な手順により(SambrookおよびRussell、2001)、所定のscFvフレームワークおよび超可変領域をコードする核酸断片をp426GAL(Mumbergら、1995)等の適切な発現ベクターに挿入することにより、scFvライブラリーを作製する。scFvライブラリーの作製および使用に関しては、例えばファージディスプレイでの使用に関連して何度も記載されている(Auf der Maurら、2001、BoderおよびWittrup、1997、Gramら、1998)。
scFvのスクリーニング手順は、ペプチドに関して記載した手順と同じである。
最小相互作用ドメインのマッピング
このアプローチは、ベイトタンパク質とプレイタンパク質との相互作用を遮断し得るベイトまたはプレイタンパク質の最小相互作用ドメイン(MID)の同定を含む。まず、ベイトタンパク質をCbMへの融合体として発現させ、プレイタンパク質をNbMへの融合体として発現させる。次に、ベイトおよびプレイタンパク質をコードするcDNAを様々な大きさの断片に断片化し、それらの断片をライブラリーベクターにサブクローニングすることにより、ベイトおよびプレイタンパク質のMIDライブラリーを作製する。ライブラリーベクターはMIDが細胞の細胞質内に発現されるように選択してもよいし、ライブラリーベクターにMIDの搬出を細胞膜周辺腔に方向づけるために用いられる分泌シグナルを含めてもよい。次に、ペプチドライブラリーに関して記載したスクリーニングアプローチにより、ベイトタンパク質とプレイタンパク質との相互作用を遮断するMIDを同定することができる。その後、対応するcDNAを単離してさらに解析する。
(1) ベイトポリペプチド(配列は、ベイトポリペプチドをコードする任意の核酸構築物から増幅したPCR産物として、または核酸構築物自体として提供され得る)および(2) プレイポリペプチド(配列は、ベイトポリペプチドをコードする任意の核酸構築物から増幅したPCR産物として、または核酸構築物自体として提供され得る)をコードする核酸を断片化することにより、MIDライブラリーを作製する。ベイトおよびプレイポリペプチドそれぞれについて、別のMIDライブラリーを作製する。または、ライブラリー同士を混合してもよいし、ベイトおよびプレイ断片からなる混合ライブラリーを作製してもよい。ライブラリー中の核酸断片の平均的大きさは、実験の目的に合うように選択してよい。断片は50ヌクレオチドから最大で5000ヌクレオチドの範囲であってよいが、好ましくは100〜500ヌクレオチドまたは500〜1000ヌクレオチドの大きさの範囲にある。断片は任意の適切な方法により作製してよいが、好ましくは超音波処理によってランダムに剪断することにより作製する。超音波処理後、標準的な手順により(SambrookおよびRussel、2001)断片を修復し、p426GAL(Mumbergら、1995)等の適切な発現ベクターに挿入する。
分泌されるMIDを含むようにMIDライブラリーを作製してもよいし、MIDライブラリーによりMIDを細胞質内に発現させてもよい。MIDを分泌させるべき場合には、酵母インベルターゼ(SUC2)ポリペプチドのリーダー配列等のN末端分泌シグナルを含むように操作する。
記載した方法のいずれかを用いて、ベイトおよびプレイポリペプチドをコードする核酸配列を構築物pDSdual-1にクローニングする。
MIDのスクリーニング手順は、ペプチドに関して記載した手順と同じである。
所定の抗原に対する抗体エピトープのスクリーニング
scFVを用いて、所与のタンパク質に結合する新規抗体を同定することも可能である。この場合、scFvを10〜20アミノ酸の可動性ポリペプチドリンカーに融合し、その後に膜貫通ドメイン、次にNbMを続けたscFvライブラリーを作製する。scFvライブラリーの実際の作製は、標準的な方法に従う。
scFv融合体をコードするライブラリープラスミドの導入により、scFv部分が膜の内腔側に位置しNbMが細胞質側に位置する内在性膜タンパク質が発現される。
標準的な方法により(SambrookおよびRussell、2001)、抗原として用いるポリペプチド(例えば、それに対して最終的な抗体を作製するポリペプチド)をコードする核酸断片をベイト構築物のいずれかに挿入することにより、ベイト構築物を作製する。
「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載した方法のいずれかにより、ベイト構築物およびライブラリーを適切なレポーター株に同時形質転換する。好ましくは、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載した接合手順により、ベイトおよびライブラリーを同時発現させる。任意の適切なレポーター株を用いることができるが、DSY1またはDSY2を用いることが好ましい。
スクリーニング手順は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に概説した従来のMbY2Hスクリーニング法に関して記載した手順に従う。
オーファンGタンパク質共役受容体のスクリーニング
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、今日、治療標的の唯一の最重要クラスを表す。完全なヒトゲノム配列から、数百の異なるGタンパク質共役受容体がヒト組織において発現されることが推定されるが、その大部分は今日まで特徴づけられていない。いわゆるオーファン受容体とは、内因性リガンドが未だ同定されていないGPCRのことである。オーファン受容体は新規治療標的を表す可能性を秘めているため、この受容体には非常に大きな薬学的関心がある(WilsonおよびBergsma、2000)。
非活性化受容体(例えば、アゴニストまたはリガンドに結合していない受容体)は、受容体の細胞質ドメインに結合するヘテロ三量体Gタンパク質と複合化している。アゴニスト化合物のGPCRへの結合によって受容体の構造変化が起こり、これにより受容体ならびにGβおよびGγサブユニットからGαサブユニットが解離する。次にGαおよびGβの両方が、下流のシグナル伝達を媒介するいくつかのシグナル伝達成分を活性化し得る(Gudermannら、1997)。
オーファン受容体に結合するリガンドのスクリーニングは、薬学研究の重要な分野である。今日、ほとんどのオーファン受容体スクリーニングは、研究中の受容体を含む部分精製した膜画分を用いてインビトロで、または問題となっているGPCRを過剰発現する哺乳動物細胞株を用いてインビボで行われている。どちらのアプローチにも欠点がある:インビトロスクリーニングはインビボの状況を十分に表しておらず、大量の部分精製受容体を調製する必要があり面倒でありかつ費用がかかる。一方、インビボスクリーニングでは受容体を天然環境に置いているが、同じまたは類似した特異性を有する他の内因性受容体の存在により、受容体間のクロストークおよびそれらのシグナル伝達が原因でスクリーニング結果が影響を受ける可能性がある。酵母は、上記のアプローチに代わる興味深い方法を示す。細胞環境でスクリーニングを行うためほとんどの生理的パラメータが保たれるが、哺乳動物細胞では何百もの異なるGPCRおよび数十のGタンパク質が発現されるに対して、酵母では2つのGPCRのみおよび3つのGタンパク質のみを発現するため、受容体間のクロストークが取り除かれる。
酵母でのGPCRの発現は成功しており、ほとんどの場合、本来の受容体の薬理学的フィンガープリントは保存されている(Pausch、1997、ReilanderおよびWeiss、1998)。酵母でのグリコシル化パターンは哺乳動物細胞のものと同じではないが、グリコシル化はGPCRによるリガンドの特異的結合には必要ではない場合が多いことが示されている(Kingら、1990)。
MbY2Hシステムをオーファン受容体のリガンドの同定に適応させるには、以下の段階が必要である。
ベイトの作製
「ライブラリースクリーニング」 の項に記載した標準的方法のいずれかを用いて、調査中のGPCRをコードする核酸配列を、記載したベイト構築物のいずれかに挿入する。好ましくは、ベイト受容体をコードする核酸配列をpCMGA74B42に挿入する。受容体の膜への正しい挿入を方向づけるシグナル配列は、受容体の本来のシグナル配列であってよいが、酵母GPCR Ste2pまたは酵母インベルターゼ(SUC2)等の酵母ポリペプチド由来シグナル配列により受容体の本来のシグナル配列を置換することが好ましい。
正しい発現の検証
「レポーター株」の項に記載した任意のレポーター株であってよいが、好ましくはDSY1またはDSY2、最も好ましくはDSYDS1またはDSYDS2である適切なレポーター株に形質転換した後、CbMおよび、「ベイトベクター」 の項に記載したレポーター成分のいずれかであってよいが、好ましくはGal1-93-B42、最も好ましくはGal1-74-B42であるレポーター成分への融合体として受容体を発現させる。受容体が正しく発現されかつ膜に組み込まれていることの検証は、「ライブラリースクリーニング」の項に記載した方法のいずれかにより行うことができる。
プレイの作製
オーファン受容体リガンドをスクリーニングする目的で、プレイを、リガンドの結合に際して相互作用が失われる様式で研究中の受容体と相互作用する任意のタンパク質と定義する。プレイはヘテロ三量体Gタンパク質複合体の任意のGαサブユニットまたは任意のGβサブユニットであることが好ましく、ヒトGα16またはマウスGα13等のプロミスカスなGαサブユニットであることが最も好ましい。Gタンパク質をコードする核酸配列は、「プレイおよびライブラリーベクター」の項に記載したライブラリーまたはプレイ構築物のいずれかに挿入してよいが、p424CUP1-NbM-xまたはp424CUP1-x-NbMに挿入することが好ましい。構築物p424CUP1-NbM-xまたはp424CUP1-x-NbMは、CYC1プロモーターがをCUP1プロモーターに置換した以外は、それぞれp424NbM-xおよびp424x-NbMと同じである。Gタンパク質は、NbMのN末端またはC末端に融合してよい。プレイの正しい発現は、「ライブラリースクリーニング」の項に記載した標準的な方法のいずれかにより検証することができる。
スクリーニング
記載したレポーター株のいずれかにベイトおよびプレイ構築物を同時形質転換することにより、スクリーニングを開始する。形質転換した後、アミノ酸ロイシン(ベイト構築物の存在を選択するため)およびトリプトファン(プレイ構築物の存在を選択するため)を欠く選択培地中で、酵母形質転換体を拡大する。拡大した後、液体酵母培養物を96ウェルまたは384ウェルプレートに等分に分割する。培地に銅を添加することによりベイトおよびプレイポリペプチドの発現を誘導し、その直後、化合物ライブラリーに由来する特定の化合物を各ウェルに添加する。DSYDS1を用いる場合には、銅とともに化合物5-FOAを培地に添加する。化合物ライブラリーは上記の化合物ライブラリーのいずれかであってもよいし、特にオーファン受容体リガンドスクリーニングを目的として作製された任意の化合物ライブラリーであってもよい。酵母株の分割、銅の添加、および化合物の添加は、標準的なハイスループットスクリーニング方法を用いて自動化様式で行う。
以下の結果が起こり得る:
(1) 添加した化合物は受容体に結合しない。この場合、受容体の構造変化は起こらず、ほとんどすべてのヘテロ三量体Gタンパク質は受容体に結合したままになる。GαおよびGPCRの空間的近接により、NbMおよびCbMの再構成ならびにスプリットユビキチンの形成が起こる。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化され、Ura3またはFar1遺伝子産物が産生される。Ura3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こし、一方、Far1遺伝子産物は細胞周期を妨げ酵母形質転換体を抑止する。したがって、形質転換体は選択培地中で増殖しない。
(2) 添加した化合物が受容体に結合し、これを活性化する。受容体の活性化に続く構造変化により、Gタンパク質が受容体から解離する。この場合、ベイト(受容体)およびプレイ(GαまたはGβ)ポリペプチドは空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成は起こらず、スプリットユビキチンは形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは膜においてベイトポリペプチドに連結されたままになる。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターは活性化されず、Ura3またはFar1遺伝子産物の産生が起こらない。したがって、酵母形質転換体は増殖し続ける。次に、酵母培養物の吸光度を測定することにより、選択培地中での特定の形質転換体の増殖を測定する。
改良法1
上記の手順の改良法においては、受容体を任意の適切な酵母発現ベクターから(p424GAL1またはp424CYC1等、Mumbergら、1995)非融合ペプチドとして発現させることができ、ベイトおよびプレイポリペプチドはpDSdual-2から発現させる。構築物pDSdual-2は、CYC1プロモーターをCUP1プロモーターに置換した以外は、「ベイトベクター」の項に記載したpDSdual-1と同じである。この改良法では、ベイトは任意のGαサブユニットであるが好ましくはヒトGα16等のプロミスカスなαサブユニットであり、プレイは任意のGβサブユニットである。
発現、発現の検証、およびスクリーニングは、まさに上記の通りに行う。この場合、受容体へのリガンドの結合によりGタンパク質複合体の解離が誘発され、その結果GαおよびGβの空間的分離が起こる。GαおよびGβの空間的分離により、NbMおよびCbMによるスプリットユビキチンの形成が妨げられ、URA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)の発現が妨げられ、結果として選択培地中で形質転換体が増殖することになる。
改良法2
上記手順の別の改良法においては、受容体を任意の適切な酵母発現ベクターから(p424GAL1またはp424CYC1等、Mumbergら、1995)非融合ペプチドとして発現させ、ベイトおよびプレイポリペプチドをpDSdual-2から発現させる。ベイトはアデニル酸シクラーゼであり、プレイは任意のGαサブユニットであるが好ましくはヒトGα16等のプロミスカスなαサブユニットである。スクリーニングには任意の適切な酵母レポーター株を用いることができるが、好ましくはL40、AH109、またはPJ69-4Aを用い、最も好ましくはDSY1またはDSY2を用いる。
発現、発現の検証、およびスクリーニングは、選択培地がロイシン(pDSdual-2を選択するため)、トリプトファン(受容体をコードする発現構築物を選択するため)、ならびにアデニンおよびヒスチジンを欠くこと以外は、まさに上記の通りに行う。「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したように、アデニンまたはヒスチジンを添加することにより、スクリーニングのストリンジェンシーを変更してもよい。
以下の結果が起こり得る:
(1) 添加した化合物が受容体に結合しない。この場合、受容体の構造変化は起こらず、ほとんどすべてのヘテロ三量体Gタンパク質は受容体に結合したままになる。Gαが受容体に結合したままである場合、Gαはアデニル酸シクラーゼに到達することができず、したがってNbMおよびCbMは空間的に近接せず、スプリットユビキチンは形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは酵母細胞の核に到達することができない。結果として、酵母形質転換体のレポーター遺伝子が活性化されず、どのレポータータンパク質も産生されない。したがって、それぞれの酵母形質転換体は選択培地中で増殖することができない。
(2) 添加した化合物が受容体に結合し、これを活性化する。受容体の活性化に続く構造変化により、GβおよびGγからのGαの解離が誘発され、続いてGαがアデニル酸シクラーゼに結合する。Gαおよびアデニル酸シクラーゼの空間的近接によりNbMおよびCbMが近接し、スプリットユビキチンの再構成が起こる。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のレポーター遺伝子が活性化され、レポータータンパク質が産生される。したがって、それぞれの酵母形質転換体は選択培地中で増殖し得る。次に、酵母培養物の吸光度を測定することにより、選択培地中での特定の形質転換体の増殖を測定する。
改良法3
1つのGPCRに結合するが関連GPCRには結合しない化合物を特異的に選択するために、この改良法を用いる。例えば、GPCR 1(ベイト)はβ2アドレナリン受容体であってよく、GPCR 2(対照)はβ1アドレナリン受容体であってよい。スクリーニングにおいて改良法3を用いることにより、β2アドレナリン受容体を特異的に活性するがβ1アドレナリン受容体は活性化しない化合物が単離されることになる。同じサブクラスのGPCR間の非特異的クロストークまたはさらに非関連GPCR間の非特異的クロストーク示さない新規化合物を同定することは、製薬産業にとって非常に重要である。
改良法3では、任意のGαサブユニットであってよいが好ましくはヒトGα16であるGαサブユニットをコードする核酸配列を、Gα16およびNbMの融合体が生じるように構築物pDS-INbMに挿入する。
pDS-INbMは、以下の発現カセットを有する組込みベクターである:カセットは酵母での低レベル発現のためのCYC1プロモーターを含み、その後に複数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むマルチクローニング部位および「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したインビボクローニングのための配列が続き、次にNbMをコードする配列、さらにCYC1ターミネーターが続く。
または、融合ポリペプチドのの誘導発現を可能にするため、カセットはCYC1プロモーターの代わりにCUP1プロモーターを含んでもよい。
構築物の骨格は、kanMXカセットおよび適切な相同性領域等の、構築物が酵母ゲノムに組み込まれるために必要な要素を含む。さらにベクターは、大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性カセット、および大腸菌での増殖のためのpUC複製起点を含む。
このベクターは、NbM融合ポリペプチドの低レベル発現または誘導発現に適している。
標準的な方法により(Burkeら、2000)、pDS-Idual-1内にアデニル酸シクラーゼおよびGαサブユニットをコードする構築物を、任意のレポーター株であってよいが好ましくはDSYDS1であり最も好ましくはDSYDS2である適切なレポーター株のゲノムに組み込む。
そのリガンドを見出すべきGPCR(GPCR 1と称する)をコードする核酸配列を、項2に記載したベイトベクターのいずれか、しかし好ましくは、pCUP1-CbM-TDAと同じであるが、VP16をコードする核酸配列をB42をコードする核酸配列に置換し、かつLEU2マーカーをTRP1マーカーに置換したpCUP1-CbM-DB42に挿入する。酵母に形質転換した場合、この構築物はGPCR 1とLexM-B42との融合ポリペプチドを発現する。
GPCR 1に結合するリガンドに結合してはならないGPCR(GPCR 2と称する)をコードする核酸配列を、項2に記載したベイトベクターのいずれか、しかし好ましくはpCGA74B42またはpCGA93B42に挿入する。酵母に形質転換した場合、この構築物はGPCR 2とGal4アミノ酸1〜74-B42との融合ポリペプチドを発現する。
組み込まれた構築物を有する酵母レポーター株を、GPCR GPCR2ベイトをコードする2つの構築物で形質転換し、アミノ酸トリプトファン(GPCR 1をコードする構築物を選択するため)およびロイシン(GPCR 2をコードする構築物を選択するため)を欠く選択培地中で培養する。
酵母形質転換体を96ウェルまたは384ウェルプレートに等分に分割し、アミノ酸ロイシン、トリプトファン、および化合物アデニン(GPCR 2の活性化に対して選択するため)化合物を欠く選択培地を添加する。化合物を添加した後に、GPCRの発現を誘導するために銅を添加し、DSYDS1を用いる場合には5-FOAも添加する。
上記と同様に選択を行う。
以下の結果が起こり得る:
(1) 添加した化合物がGPCR 1に結合しない。この場合、受容体の構造変化は起こらず、ほとんどすべてのヘテロ三量体Gタンパク質は受容体に結合したままになる。GαおよびGPCRの空間的近接により、NbMおよびCbMの再構成ならびにスプリットユビキチンの形成が起こる。スプリットユビキチンが形成されるため、ユビキチン特異的プロテアーゼによりLexA-B42が切断され、これが酵母細胞の核に拡散する。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化され、Ura3またはFar1遺伝子産物が産生される。Ura3遺伝子産物により5-FOAが有毒な代謝産物に変換され、これが酵母細胞に利用されて最終的に細胞死を引き起こし、一方、Far1遺伝子産物は細胞周期を妨げ酵母形質転換体を抑止する。したがって、形質転換体は選択培地中で増殖しない。
(2) 添加した化合物がGPCR 1に結合し、GPCR 2には結合しない。受容体の活性化に続く構造変化により、Gタンパク質がGPCR 1から解離する。この場合、ベイト(受容体)およびプレイ(Gα)ポリペプチドが空間的に近接せず、NbMおよびCbMの再構成は起こらず、スプリットユビキチンは形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼによりLexA-B42が切断されず、LexA-B42は膜においてベイトポリペプチドに連結されたままになる。結果として、酵母形質転換体のURA3(DSYDS1)またはFAR1(DSYDS2)レポーターが活性化されず、Ura3またはFar1遺伝子産物の産生が起こらない。したがって、酵母形質転換体は増殖し続ける。GPCR 2は化合物によって活性化されないため、Gα-NbMはGPCR 2に結合したままになり、CbMおよびNbMの空間的近接によりそれらが会合してスプリットユビキチンが形成され、Gal-B42ポリペプチドが切断されてADE2レポーターを活性化する。その結果、形質転換体はアデニンを欠く選択培地中での選択で生き残る。次に、酵母培養物の吸光度を測定することにより、選択培地中での特定の形質転換体の増殖を測定する。
(3) 添加した化合物がGPCR 1に結合するが((2)に記載した結果を伴う)、GPCR 2にも結合する。GPCR 2における構造変化により、GPCR 2からGα-NbMが解離する。ユビキチン特異的プロテアーゼが単独のCbM成分を認識しないため、Gal-B42ポリペプチドは切断されない。その結果、ADE2レポーターは活性化されず、形質転換体は選択培地中で増殖しない。
実施例
実施例1
ベイトとしてβ2アドレナリン受容体を用いたMbY2Hスクリーニング
ベイトのクローニング
「ベイトベクター」の項に記載したベイトベクターpCbM-TDAを、酵母STE2遺伝子由来のリーダー配列をXba IおよびPst I部位に挿入することにより改変した。リーダーの配列は、まさに(Kingら、1990)によって記載されている通りである。ヒトゲノムDNA(Promega Corporation、米国、ウィスコンシン州、マディソン)からヒトβ2アドレナリン受容体のコード配列を増幅し、ベクターpSte-CbM-FLVにクローニングした。
発現の検証
VP16ドメインに対して作製された抗体(Clontech)を用いてウェスタンブロッティングすることにより、受容体の正しい発現を検証した。構築物pBAR-CbM-TDAを発現する酵母株L40において、75 kDaおよび100 kDaの2本のバンドが認められた(図9A)。LEU2耐性マーカーを提供するベクターで形質転換したL40の対照抽出物では、バンドは認められなかった。L40の膜における受容体の存在は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載した標準的な膜分画法により検証した。図9Bに示すように、受容体は膜画分にのみ認められ、可溶性画分には認められなかった。
自己活性化試験
受容体-LexA-VP16融合体の自己活性化を、アミノ酸ヒスチジン、ロイシン、およびトリプトファンを欠き15 mM 3-ATを含む選択培地上で形質転換体の増殖を試験することにより、および標準的なフィルター試験を用いてβ-ガラクトシダーゼ活性をアッセイすることにより評価した。受容体を発現する形質転換体は、β-ガラクトシダーゼアッセイにおいて活性を示さなかった。
NbM-xライブラリーに対するスクリーニング
Life Technologies(米国、カリフォルニア州、カールズバッド)により作製されたヒト脳NbM-xライブラリーを用いて、スクリーニングを行った。同時形質転換および選択プレート上での増殖は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したように行った。選択により約300個のコロニーが得られた。一次選択プレートでのβ-ガラクトシダーゼフィルターアッセイの後に、β-ガラクトシダーゼの強力な誘導を示した96個のコロニーを拾い、選択培地上に再度画線した。二次β-ガラクトシダーゼフィルターアッセイを行った後、59個の陽性クローンを、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したようにウェスタンブロッティングおよびプラスミド単離のために処理した。ライブラリープラスミドをpBAR-CbM-TDA、またはCbM-LexM-VP16に融合させたヒトErbB3受容体をコードする対照構築物pErbB3-TDAのいずれかとともにL40に再度導入し、選択培地上での増殖およびβ-ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。59個のクローンのうち19個がベイト依存性である、すなわちβ2アドレナリン受容体と相互作用するがErbB3受容体とは相互作用しないとスコアした。ベイト依存性クローンのプラスミドを配列決定した。
実施例2
β-ガラクトシダーゼ活性を検出するフィルターアッセイ法
1. ロイシンおよびトリプトファンを欠くドロップアウトアガープレート上の無菌のワットマン(Whatman)フィルター上で、Y-CbM-TDAを発現する酵母をNbM融合タンパク質とともに30℃で2日間培養する。細胞が標準的な最小培地では十分に増殖しない傾向があるため、ドロップアウト培地を用いる。
2. ピンセットを用いてフィルターを移し、液体窒素中に3分間浸してから室温で融解する。
3. 0.4 mg/ml X-galを含む0.1 M NaPO4-緩衝液(pH 7.0)中の1.5%アガロースにフィルターを重層する。
4. フィルターを30℃で0.4〜24時間インキュベートする。
実施例3
β-ガラクトシダーゼ活性の定量化
1. ウラシル、ロイシン、およびトリプトファンを欠く液体ドロップアウト培地3 ml中に、Y-CbM-TDAを発現する酵母形質転換体をNbM融合タンパク質とともに播種する。
2. 培養物が対数増殖期中期(OD546〜1.0)に到達するまで、30℃でインキュベートする。
3. 培養物1 mlから細胞をペレット化し、Z緩衝液で一度洗浄してZ緩衝液300μl中に再懸濁する。
4. 細胞100μlを採取し、凍結/融解を3サイクル行うことにより溶解する。
5. 0.27% (V/V)β-メルカプトエタノールおよび160μl ONPG(Z緩衝液中4 mg/ml)を含むZ緩衝液700μlを添加し、30℃で1〜20時間インキュベートする。
6. 0.1 M NaCO3 400μlを添加して試料を遠心分離し、OD420を測定する。
7. 以下の式を用いてβ-ガラクトシダーゼ活性を算出する:
β-ガラクトシダーゼ単位 = 1000 x OD420/( OD546 x 分)
実施例4
NbM融合体とともにY-CbM-TDAを発現する細胞のウェスタンブロット解析
1. NbM融合タンパク質とともにY-CbM-TDAを発現する酵母細胞を、ロイシンおよびトリプトファンを欠くドロップアウト液体培地中でOD546が0.3〜1.2になるまで30℃で培養する。
2. 細胞をペレット化し、細胞3 OD単位当たり1.85 M NaOH 50μl中に再懸濁し、氷上で10分間インキュベートする。
3. 等量の50%トリクロロ酢酸を添加し、5分間遠心分離することによりタンパク質を沈殿させる。
4. ペレットを、8M尿素を含むSDS試料緩衝液50μl中に再懸濁する。
5. 1M Trisベース20μlを添加し、37℃でタンパク質を溶解する(95℃に加熱することにより膜タンパク質が凝集する場合がある)。
6. 試料を2分間遠心分離し、抽出物10μlをSDS-PAGE/ウェスタンブロッティング解析に用いる。
7. SDSゲルをクマシー染色することにより、泳動したタンパク質の量を確認する。
8. 1:5000希釈したペルオキシダーゼ-IgGで、メンブレンをプロービングする。高感度化学発光法(Pierce of Amersham)により、プロテインA融合タンパク質を検出する。
実施例5
MbY2Hシステムを用いて、酵母における異種性タンパク質間の相互作用を検出することができる
酵母での膜に位置する2つの異種性タンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用の検出におけるMbY2Hシステムの有用性を実証するため、2つの確定したタンパク質対を選択した。第一例では、プレセニリン-1 N末端断片のホモ二量体化を実証するが、これは2つの内在性膜タンパク質間の相互作用の実例となる。第二例では、受容体チロシンキナーゼErb3とそのアダプタータンパク質Nrdp1との相互作用を選択し、内在性膜タンパク質と可溶性(サイトゾル)タンパク質との相互作用を実証した。
ベイトおよびプレイベクターの定義
1. pCMBV1. ベクターpCMBV1は、3xFLAGエピトープをコードする配列を除去した以外は、21ページに記載したベクターpCbM-TDAと一致する(図13A)。
2. pAMBV1. ベクターpAMBV1は、弱いCYC1プロモーターを強力なADHプロモーターに置換した以外は、pCbMBV1と同一である(図13B)。
3. pDSL-Nx. ベクターpDSL-Nxは、37ページに記載したベクターp424NbM-Xと一致する(図14A)。
4. pADSL-Nx. ベクターpADSL-Nxは、36ページに記載したベクターpNbM-HA-Xと一致する(図14B)。
5. pDSL-xN. ベクターpDSL-xNは、37ページに記載したベクターp424X-NbMと一致する(図14C)。
6. pADSL-xN. ベクターpADSL-xNは、36ページに記載したベクターpX-HA-NbMと一致する(図14D)。
プレセニリン-1 N末端断片の二量体化
プレセニリン-1は、8回膜貫通ドメインを有するポリトピック型膜タンパク質である。その成熟型においては、このタンパク質は、膜貫通ドメイン6と7との間に位置するサイトゾルループでのエンド形プロテアーゼによる切断によって元のプレセニリン-1から作製されるN末端断片(NTF)とC末端断片(CTF)との二量体である。2つの断片は1:1の化学量比で会合したままであり、非常に安定な複合体を形成する。現在のところ、プレセニリン-1の正確な機能はなお論争中であるが、このタンパク質がγセクレターゼと称する多タンパク質複合体の重要な部分であることが何度も示されている。γセクレターゼ複合体は、多くの膜貫通タンパク質、中でもAPP(アミロイド前駆タンパク質)およびノッチ(Notch)ファミリー(EslerおよびWolfe、2001)のメンバーのタンパク質分解プロセシングに関与する。
NTFのホモ二量体化は、Stagljarらによって記載されるスプリットユビキチン法を用いて以前に実証されている(Stagljarら、1998;Cervantesら、2001)。したがって、この相互作用を選択し、別のプロモーターおよびLexM成分を含む新規ベクターを用いてこの相互作用がやはり検出され得るかどうかを検討した。図10Aに、MbY2Hシステムにおけるベイトおよびプレイの略図を示す。NTFベイトとNTFプレイとの相互作用によりCubおよびNubGからスプリットユビキチンが再構成され、結果としてCubとLexM-VP16(図10AのRep)との間のペプチド結合が切断されるはずである。次にLexM-VP16の核への輸送およびそのLexAオペレーターへの結合によりレポーター遺伝子が活性化され、選択培地での増殖またはβ-ガラクトシダーゼ活性のアッセイによりその読み取りを測定する。図10Bに実験の結果を示す。異なるベイトおよびプレイで酵母レポーター株L40を同時形質転換し、形質転換細胞を両方のプラスミドの存在について選択する最小培地上にプレーティングした。30℃で3日間培養した後、各形質転換体10コロニーを0.9% NaCl中に再懸濁し、一定分割量をタンパク質-タンパク質相互作用を選択するための最小培地上にスポットした。選択培地上での増殖により、ベイトとプレイが相互作用することが示唆される。弱いCYC1プロモーターからのベイトおよびプレイの低レベル発現(pCMBV1-NTFおよびpDSL-NubG-NTF)では相互作用は検出できないが、ベイトの発現レベルを増加させることにより(pAMBV1-NTFおよびpDSL-NubG-NTF)選択培地上でわずかにのみ増殖するようになる。高レベルでのプレイの発現(pADSL-NubG-NTF)は、ベイトの低レベルおよび高レベル発現との相互作用を検出するのに十分である。どちらのベイトも、高レベルで発現された非同族対照プレイ(pMBV1-Alg5-NubG)とは相互作用しない。
ErbB3のNrdp1のC末端部分との相互作用
受容体チロシンキナーゼErbB3はErb受容体ファミリーのメンバーであり、このファミリーにはErbB1(別名EGFR、上皮増殖因子受容体)、ErbB2、およびErbB4も含まれる。これらは、分化、増殖、および生存等の必須の細胞反応を支配する多様なシグナルを媒介する(Olayioye、2000)。Nrdp1は、酵母ツーハイブリッドアッセイにおいてそのC末端ドメインがErbB3のサイトゾル尾部と相互作用することが見出されたタンパク質を含むリングフィンガーである(QiuおよびGoldberg、2002)。
ErbB3とNrdp1との相互作用をアッセイするため、図11に示すようにベイトおよびプレイ構築物を酵母株L40に形質転換し、選択プレート上にスポットして30℃で3日間培養した。ErbB3およびNrdp1に関しては高レベルで発現させた場合にヒスチジンを欠く選択培地上で強い増殖が見られるが(図11a)、pADSL-Alg5から発現される対照プレイと組み合わせたErbB3も(図11c)、pMBV1-Alg5から発現される対照ベイトと組み合わせたNrdp1も(図11b)、選択培地上での増殖を全く示さない。この場合もやはり、この結果から、MbY2Hシステムでのベイトおよびプレイの高レベル発現により、内在性膜タンパク質とそのサイトゾル結合パートナーとの相互作用が検出できることが実証される。
実施例6
野生型および変異型LexA配列を有する構築物の自己活性化レベル
ベイト-LexA-Cub-プロテインA-VP16融合タンパク質の固有の自己活性化が原因で、Stagljarら(1998)の記載するベクターを用いてタンパク質-タンパク質相互作用をスクリーニングすることが不可能であることを実証するため、非同族(相互作用しない)プレイと同時形質転換した場合の、野生型および変異型LexA配列を有する構築物の自己活性化レベルを比較した。ベクターpCAS(野生型LexA配列を有する)中のβ2アドレナリン受容体ベイトを、NubGに融合させた酵母タンパク質Ost1をコードする相互作用しない対照プレイまたは膜アンカーをともなうNubGのみをコードする対照プレイと同時形質転換すると、選択培地上で増殖し、強いβ-ガラクトシダーゼ活性を示した(表1、1および2列目)。一方、ベクターpCbM-TDA(核局在化シグナルの強度を低減させるためのR157G変異を含むLexM配列を有する)から発現されるβ2アドレナリン受容体は、2つの対照プレイのどちらかと同時発現させた場合、選択培地上で増殖せず、β-ガラクトシダーゼを全く示さなかった(表1、3および4列目)。このように、Stagljarら(1998)の記載する元のベイトベクターではその高いバックグラウンドによりMbY2Hスクリーニングにおいて許容できない偽陽性の高いバックグラウンドが生じるのに対して、本明細書に記載する新規ベクターはこのバックグラウンドを有意に低減し、これによりcDNAまたはゲノムライブラリーに対する内在性膜タンパク質ベイトのスクリーニングが可能になる。
(表1)野生型および変異型LexAベイト構築物の自己活性化レベルの比較
Figure 0004216733
β2アドレナリン受容体(β2-AR)の全オープンリーディングフレームをいくつかのベイトベクターにクローニングし、以下の構築物を得た:(1) pCAS-bAR:野生型LexAを有するベクターpCASにβ2-ARを挿入した。(2) pBAR-LM1: LexAにおいて核局在化シグナルの強度を低減させるためのR157G変異を含むpCbM-TDAに、β2-ARを挿入した。以下のプレイ構築物を用いた:(1) pOst1-NubG:酵母タンパク質Ost1の全オープンリーディングフレームをpX-HA-NbMに挿入した。(2) pMP-NubG:脂肪酸修飾を付与するシグナルをpX-HA-NbMに挿入した。様々な組み合わせのベイトおよびプレイ構築物を酵母株L40に同時形質転換し、アミノ酸トリプトファン、ロイシン、およびヒスチジンを欠く最小培地上で増殖についてアッセイした。野生型LexAを含むベイト構築物は、有効なタンパク質-タンパク質相互作用の非存在下でも両方のレポーター遺伝子を活性化し、その結果SD-HTL上で増殖し強いβ-ガラクトシダーゼ活性を示した。これとは対照的に、変異型LexA配列を有する同一の構築物は、タンパク質-タンパク質相互作用の非存在下においてレポーター遺伝子の活性化を全く示さなかった。
実施例7
ベイトとして改変したベイトベクターおよびβ2アドレナリン受容体を用いたMbY2Hスクリーニング
ヒト脳NubG-x cDNAライブラリーを用いてスクリーニングを行った。LexM配列(核局在化シグナルの強度を低減させるためのR157G変異を有するLexA)を有するベイトベクターpCbM-TDAに、β2アドレナリン受容体を挿入した。ライブラリー規模の形質転換および選択培地上での培養は、「ライブラリースクリーニング手順」の項に記載したように行った。ヒスチジン原栄養性およびβ-ガラクトシダーゼ活性についての選択により、122個のコロニーが得られた。これらを選択培地に再度画線したところ、122個のコロニーのうち103個がヒスチジン原栄養性およびβ-ガラクトシダーゼ活性について再現性を示した。103個の陽性コロニーをウェスタンブロッティングおよびプラスミド単離により処理し、5'末端を配列決定することにより挿入物を解析した。
配列決定したクローンのうち11個はATPアーゼ(4つのプロトン輸送ATPアーゼおよび7つのカルシウム輸送ATPアーゼ)をコードしていた。クローン7個はカリウム電位依存性チャネルをコードし、クローン5個はNADH-デヒドロゲナーゼサブユニットをコードしていた。複数のクローンが類似したクラスのタンパク質をコードすることが見出されたことは、これらのクローンが実際にβ2アドレナリン受容体の推定相互作用物をコードするという証拠であると考えられる。さらに、すべてのクローンが内在性膜タンパク質をコードする。内因性酵母膜タンパク質Alg5およびOst1を対照として使用し、全部で16個のクローンに対してベイト依存性試験を行った。13個のクローンがベイト依存性であることが認められた(図12)。
参照文献
Figure 0004216733
Figure 0004216733
Figure 0004216733
試験方法の基本的な戦略を図1に示す。この方法は、以前に開発されたスプリットユビキチン技法に基づいている。スプリットユビキチン技法は、UbのN末端半分およびC末端半分であるNbMおよびCbMが準天然の酵母ユビキチンを構成する能力に基づく。すべての真核生物に存在するユビキチン特異的プロテアーゼ(UBP)は再構成されたユビキチンを認識するがその半分は認識せず、ユビキチンモチーフから、NbMまたはCbM、好ましくはCbMのC末端に結合されたレポータータンパク質を切断する。ツーハイブリッドシステムと非常に類似して、レポーターの遊離がユビキチンの再構成を示唆する読み取りとして働く。このアッセイ法は、NbMとCbMのそれら自身による効率的な会合を妨げるが、2つのユビキチン半分がインビボで相互作用するタンパク質に別々に結合されている場合にこれを可能にする方法で設計してある。 各種ベクターを示す図である。 2つの試験膜タンパク質YおよびXを模式的に図解するものである。第一キメラタンパク質はCbM-TDA部分に融合したI型膜貫通ベイトタンパク質Yを含み、Y-CbM-TDAタンパク質を生じる。第二キメラタンパク質は、X-NbMと呼ばれる、NbMドメインに融合した第二の相互作用するタンパク質X(ここでは膜タンパク質として表す)を含む。これらのタンパク質、Y-CbM-TDAおよびX-NbMのどちらも、転写を活性化することはできない。 タンパク質YとXとの相互作用によりNbMとCbMの再会合が起こり、スプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンはユビキチン特異的プロテアーゼ(UBP)により認識されて切断され(開いたハサミ)、TDAが遊離する。TDAは拡散により核に入りLexA結合部位に結合することができ、lacZおよびHIS3レポーター遺伝子の転写の活性化が起こる。この結果、X-galの存在下で青い細胞が生じ、ヒスチジンを欠くアガープレート上で細胞が増殖するようになる。 II型膜貫通タンパク質(Y)と細胞質タンパク質(X)との相互作用の模式的図解。第一キメラタンパク質はTDV-CbM部分に融合したベイトタンパク質Yを含み、TDA-CbM-Yタンパク質を生じる。第二キメラタンパク質は、NbM-Xと呼ばれる、NbMドメインに融合した第二の相互作用するタンパク質X(ここでは細胞質タンパク質として表す)を含む。これらのタンパク質、TDA-CbM-YおよびNbM-Xのどちらも、転写を活性化することはできない。図3cに図解するように、タンパク質YとXとの相互作用によりスプリットユビキチンが形成される。スプリットユビキチンはユビキチン特異的プロテアーゼ(UBP)により認識されて切断され(開いたハサミ)、TDV-CbMが遊離する。TDV-CbMは拡散により核に入りLexA結合部位に結合することができ、lacZおよびHIS3レポーター遺伝子の転写の活性化が起こる。この結果、X-galの存在下で青い細胞が生じ、ヒスチジンを欠くアガープレート上で細胞が増殖するようになる。 pX-HA-NbMおよびpNbM-HA-Xベクターでの酵母ゲノムDNAライブラリーの作製。野生型酵母株から酵母ゲノムDNAを単離し、制限エンドヌクレアーゼSau3Aにより切断するか、または超音波処理によりランダムに剪断する。0.5〜3 kbの大きさの範囲のDNA断片(青四角)を選択してアガロースゲルから切り出し、BamHIおよびウシ腸由来アルカリホスファターゼで処理したpX-HA-NbMおよびpNbM-HA-Xに連結する。連結したDNAを大腸菌に形質転換し、プラスミドDNAを単離してともにプールする。次に、この方法で調製した酵母ゲノムDNAライブラリーを、CbM-TDA部分に融合させた関心対象のベイトタンパク質(Y)を発現する酵母レポーター株に形質転換することができる。 pX-HA-NbMおよびpNbM-HA-XベクターでのcDNAライブラリーの作製。ある細胞株、組織、または生物体から全mRNAを単離し、逆転写酵素の作用によりcDNAに変換する。適切なリンカーをcDNA分子に連結し、次にこれをpX-HA-NbMおよびpNbM-HA-XプラスミドのMCS内に位置する特定のユニークな制限酵素部位に導入する。 接合手順によるライブラリーの形質転換。このスクリーニングアプローチでは、1つのCbM-TDA融合ベイトXをライブラリー全体に対してスクリーニングし、選択プレート上で増殖する能力に基づいて陽性を選択する。ライブラリースクリーニングの選択で生き残った二倍体を拾い上げ、相互作用するプレイをコードするライブラリープラスミドを単離し、相互作用するタンパク質を同定するために配列を決定する。Xの項で明記したように、ライブラリーは、ランダムゲノムもしくはcDNA断片から作製しても、または別々にクローニングしてからプールした全長ORFから作製してもよい。 MbY2Hスクリーニングで起こり得る結果。A. 酵母内でベイトタンパク質とプレイタンパク質が相互作用しない。この場合、NbMとCbMの再構成が起こらず、スプリットユビキチンは形成されない。スプリットユビキチンが形成されないため、ユビキチン特異的プロテアーゼにより転写活性化因子ポリペプチドが切断されず、転写活性化因子ポリペプチドは酵母細胞の核に到達できない。結果として、酵母形質転換体のレポーター遺伝子は活性化されず、レポータータンパク質は産生されない。したがって、それぞれの酵母形質転換体は選択培地上で増殖できない。B. ベイトとプレイが相互作用する。ベイトタンパク質とプレイタンパク質の相互作用によりユビキチンの再構成が起こり、これによりタンパク質分解および続くレポーター系の活性化を誘発する転写因子の遊離が生じる。結果として、それぞれの酵母形質転換体は選択培地上で増殖でき、30℃で3〜5日間インキュベートした後に単離された酵母コロニーとして出現する。 MbY2H技術を用いた一般的な薬剤スクリーニング。本実験設計では、HIS3レポーターを陽性選択に使用し、URA3を対抗選択に使用する。2つの膜タンパク質XとYの相互作用により準天然のユビキチンが再構成され、その結果ヒスチジンを欠く培地上での増殖をもたらすが、ウラシル経路の有毒な代謝産物である5-FOAを含む培地上では致死性となる。(i) 複合ランダム化学ライブラリー、(ii) プラスミドにコードされるペプチドライブラリー、(iii) 培地中に存在するペプチド、(iv) 酵母においてプラスミドから発現される最小相互作用ドメイン、または(v) NbMに融合させた抗体のプールから選択される一本鎖抗体(i〜vをまとめて薬剤と称する)を用いてスクリーニングした後に、酵母細胞をura3-または5-FOARおよびhis3-にする薬剤を選択する(例えば、これらはウラシルを欠く選択培地上で増殖しない、5_FOAに耐性である、およびヒスチジンを欠く選択培地上で増殖しない)。 MbY2Hシステムにおけるプロモーター/複製起点の選択の重要性の実証。酵母株YG673(内因的に組み込まれた酵母Wbp1-CbM-PLVベイトタンパク質を有する)を、2μプラスミド(高コピー)またはCEN/ARSプラスミド(低コピー)の強力な酵母ADHプロモーターの制御下にあるpAlg-5-NbMGプレイプラスミドで形質転換した。ADHプロモーター/2μoriの組み合わせの場合には、Alg5pの過剰発現によりHIS3およびlacZレポーター遺伝子の高発現が得られた。しかし、Alg5pを低コピー数ベクター(CEN/ARS)のADHプロモーターの制御下で発現させた場合には、レポーター遺伝子の活性化は認められなかった。陽性対照として、相互作用するSwp1pを用いた。 酵母レポーター株L40におけるβ2アドレナリン受容体の発現。(A) 構築物pBAR-CbM-FLVおよびLEU耐性マーカーを含む空ベクターで、L40を形質転換した。形質転換プレートから2つの独立した形質転換体を選択し、OD(600)が1になるまで選択培地中で培養した。標準的な手順に従い抽出物を調製し、12% SDS-PAGEゲルに泳動し、ニトロセルロースに転写し、VP16ドメインに対するポリクローナルウサギ抗体を用いて融合タンパク質を検出した。レーン1および2:構築物pBAR-CbM-TDAで形質転換した2つの独立したクローン由来の抽出物は、β2 AR-CbM-TDA融合ポリペプチドの期待される大きさである100 kDaの顕著なバンド、ならびにおそらく翻訳後修飾またはタンパク質分解産物を表すより小さな75、40、および35 kDaのバンドを示す。レーン2および3:空ベクターで形質転換したL40。VP16抗体によりバンドは検出されない。(2) β2 ARは膜内に局在する。pBAR-CbM-TDAで形質転換したL40細胞を溶解し、抽出物を可溶性画分と粒子画分に分離した。レーン1:全抽出物。VP16抗体により、100 kDaおよび75 kDaの2本のバンドならびに37 kDa前後のより低分子量のバンドが検出される。レーン2:可溶性画分。可溶性画分に受容体は認められない。レーン3:粒子画分(膜)。VP16抗体により、β2アドレナリン受容体を表す100 kDaのバンドが認識される。(C) pBAR-CbM-TDAで形質転換したL40の自己活性化試験。構築物の存在を選択するためにロイシンを欠く選択培地上に酵母形質転換体をプレーティングし、30℃で3日間インキュベーションした後、β-ガラクトシダーゼフィルターアッセイを行った。(1) pBAR-CbM-TDAで形質転換したクローン1、レーン2:pBAR-CbM-TDAで形質転換したクローン2、レーン3:空ベクター、レーン4:陽性対照。pBAR-CbM-TDAで形質転換した2つの独立した酵母コロニーではβ-ガラクトシダーゼ発現は認められず、これによりL40のレポーター遺伝子がβ2 AR-CbM-TDAの発現により活性化されないことが示唆される。 MbY2Hシステムでのタンパク質-タンパク質相互作用の検出には、ベイトおよびプレイの高発現を必要とする。(A) MbY2HシステムにおけるNTF:NTF相互作用の略図。NTFベイトをCubおよびLexA-VP16レポーターカセット(Rep、LexAは核局在化シグナルの強度を低減させるためにR157G変異を含む)のC末端に融合する一方、プレイをNubG (NUB)のN末端に融合する。CEN/ARS複製起点、酵母において選択するためのLEU2遺伝子、およびCYC1プロモーター(低発現レベル、pCMBV1と称する)またはADH1プロモーター(高発現レベル、pAMBV1と称する)のどちらかを含むベクターからベイトを発現させる。2ミクロン複製起点、酵母において選択するためのTRP1遺伝子、およびCYC1プロモーター(pDSLと称する)またはADH1プロモーター(pADSLと称する)のどちらかを含むベクターからプレイを発現させる。(B) MbY2HシステムでアッセイしたNTFのホモ二量体化。示したような発現ベクターで酵母株L40を形質転換し、最小培地上にプレーティングして両プラスミドを含む細胞を選択した。30℃で3日間培養した後、10コロニーを拾って0.9% NaCl中に再懸濁し、一定分割量をトリプトファン、ロイシン、およびヒスチジンを欠く選択プレート上にスポットしてタンパク質-タンパク質相互作用を選択した。弱く発現させたベイト(pCMBV1-NTF)とプレイ(pDSL-NubG-NTF)は増殖しないのに対して、強く発現させたベイト(pAMBV1-NTF)と弱く発現させたプレイ(pDSL-NubG-NTF)の組み合わせでは選択培地上で部分的にのみ増殖する。強く発現させたプレイ(pADSL-NubG-NTF)は、弱くおよび強く発現させたベイトの両方と選択培地上で増殖する。弱く発現させたベイトも強く発現させたベイトも、高レベルで発現させた非同族対照プレイ(pDSL-Alg5-NubG)と相互作用しない。強く発現させたベイトのみが陽性対照(pDSL-Alg5-NubI)と相互作用し得る点に留意されたい。これにより、異種の膜貫通ベイトおよびプレイは、MbY2Hシステムにおいて相互作用を検出するためには高レベルで発現させなければならないことが示唆される。 MbY2Hシステムにおける受容体チロシンキナーゼErbB3とアダプタータンパク質Nrdp1との相互作用。核局在化シグナルの強度を低減させるためにR157G変異を含む(LexMと称する)Cub-LexA-VP16レポーターモジュールにMbY2Hベイトを融合させ、プレイをNubGに融合させた。(a) pAMBV1-Erb3(CEN/ARS複製起点および選択のためのLEU2遺伝子を含むベクターの強力なADH1プロモーターから駆動される、Cub-LexM-VP16に融合させたラットErbB3の全コード配列)およびpADSL-Nrdp1(2ミクロン複製起点および選択のためのTRP1遺伝子を含むベクターの強力なADH1プロモーターから駆動される、NubGのN末端に結合させたヒトNrdp1のアミノ酸135〜317)を同時に発現する酵母をトリプトファンおよびロイシンを欠く選択培地(SD-TL)上にスポットしてベイトおよびプレイベクターの両方を含む細胞を選択し、トリプトファン、ロイシン、およびヒスチジンを欠く選択培地(SD-HTL)上にスポットしてErbB3とNrdp1との相互作用を選択した。ErbB3およびNrdp1を同時に発現する細胞は、SD-HTL上で増殖する。(b) 対照ベイトpMBV1-Alg5(CEN/ARS複製起点および選択のためのLEU2遺伝子を含むベクターのCYC1プロモーターから駆動される、Cub-LexM-VP16に融合させた酵母Alg5の全コード配列)およびpADSL-Nrdp1を同時に発現する酵母を、SD-TLおよびSD-HTL上にスポットした。Alg5およびNrdp1を同時に発現する細胞は、SD-HTL上で増殖しない。CYC1プロモーターから発現される酵母Alg5およびADH1プロモーターから発現されるErbB3の実際のタンパク質レベルは、同程度である。(c) ベイトpAMBV1-Erb3および対照プレイpADSL-Alg5を同時に発現する酵母を、SD-TLおよびSD-HTL上にスポットした。Erb3およびAlg5を同時に発現する細胞は、SD-HTL上で増殖しない。 2つの異なるレベルで発現されるβ2アドレナリン受容体をMbY2Hスクリーニングで同定したプレイと組み合わせて用いたベイト依存性試験。β2アドレナリン受容体ベイトおよび実施例7に記載したMbY2Hスクリーニングで同定したいくつかのプレイクローンを同時形質転換することにより、ベイト依存性試験を行った。ベイトおよびプレイクローンを酵母株に同時形質転換し、8項「ベイト依存性試験」に記載するように処理した。(A) 弱いCYC1プロモーターから発現されるβ2アドレナリン受容体。一部のプレイクローンのみが選択培地上での増殖を示す。(B) 強力なADH1プロモーターから発現されるβ2アドレナリン受容体。すべてのプレイクローンが選択培地上での増殖を示す。高レベルで発現されるAlg5対照ベイトと同時発現させた場合には、どのプレイも増殖を示さなかった。薄緑色の棒:SD-HTL上での増殖。濃緑色の棒:5 mMアミノトリアゾールを添加した選択培地上での増殖。 MbY2Hシステムにおける主なベイトベクター。(A) pCMBV1では、ベイトの発現は弱いCYC1プロモーターにより駆動される。部位XbaIおよびPstIにより、次のCub-LexM-VP16カセットとインフレームでのcDNAのサブクローニングが可能になる。転写は、ADH1ターミネーター(ADHt)により終結する。ベクター骨格は、大腸菌での増殖のためのカナマイシン耐性遺伝子(Kan)、CEN/ARS複製起点(CEN/ARS)、および酵母での増殖のためのLEU2遺伝子(LEU2)を含む。(B) ベクターpAMBV1は、強力なADH1プロモーターがベイトの発現を駆動する以外はpCMBV1と同一である。 MbY2Hシステムにおける主なプレイベクター。(A) pDSL-Nxでは、プレイの発現は弱いCYC1プロモーターにより駆動される。2つのユニークなSfi I部位により、NubGのC末端融合体としてのプレイcDNAの方向性クローニングが可能になる。転写は、CYC1ターミネーター(CYC1t)により終結する。ベクター骨格は、大腸菌での増殖のためのアンピシリン耐性遺伝子(Amp)、2ミクロン起点、および酵母での増殖のためのTRP1遺伝子を含む。(B) pADSL-Nxは、強力なADH1プロモーターがプレイの発現を駆動する以外はpDSL-Nxと同一である。(C) pDSL-xNは、プレイがNubGのN末端に融合される以外はpDSL-Nxと同一である。(D) pADSL-Nxは、強力なADH1プロモーターがプレイの発現を駆動する以外はpDSL-Nxと同一である。

Claims (25)

  1. (a)検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、検出可能な産物を発現するように、転写活性因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞を提供する段階;
    (b)第一ベイトベクターの一部として、プロモーターの制御下にある第一キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第一キメラ遺伝子が、宿主細胞内で発現されることができ、且つ第一膜タンパク質またはその一部をコードすることができ、該第一キメラ遺伝子が、細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列および転写活性化因子をコードする第一モジュールのDNA配列に連結され、該第一膜タンパク質またはその一部が、第二タンパク質またはその一部と相互作用することができるか否かを試験される段階;
    (c)プレイベクターの一部として、宿主細胞内で発現されることができるプロモーターの制御下にある第二キメラ遺伝子を提供する段階であって、該第二キメラ遺伝子が、第二タンパク質またはその一部をコードし、膜結合または可溶性のどちらかであり、且つ該第二キメラ遺伝子が、細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードする第二モジュールのDNA配列に連結された段階;
    (d)発現された第一タンパク質と第二タンパク質および/またはそれらの一部との相互作用が起こることができ、該相互作用により第一モジュールの第一タンパク質配列と第二モジュールの第二タンパク質配列との相互作用が起こり、その結果、次に細胞内プロテアーゼの活性化および転写活性化因子のタンパク質分解性の分離が生じるように、前記ベイトベクターおよび前記プレイベクターを宿主細胞内に導入する段階であって、該ベイトベクターおよびプレイベクターの両方がエピソームとしてエピソーマルに維持されるのに適している段階;
    (e)宿主細胞の検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、転写活性化因子により活性化されたか否かを決定する段階
    を含む、第一膜結合タンパク質またはその一部と膜結合または可溶性のどちらかである第二タンパク質またはその一部との相互作用を検出する方法。
  2. 前記検出可能な産物はタンパク質である、請求項1記載の方法。
  3. 宿主細胞が、酵母、細菌、または哺乳動物細胞である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 宿主細胞が、サッカロミセス・ポンベ細胞、又は出芽酵母サッカロミセス・セレビシエの細胞である、請求項3記載の方法。
  5. 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、天然または人工的活性化因子によって活性化される、請求項1〜4いずれか一項記載の方法。
  6. 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、短いタグ付きモジュールを含む活性化因子によって活性化される、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  7. 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、人工的転写活性化因子タンパク質A-LexA-V16(PLV)によって活性化される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 第一タンパク質配列がユビキチンのC末端部分(Cub)またはその変異体(CbM)を含み、第二タンパク質配列がユビキチンのN末端部分(Nub)またはその変異体(NbM)を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. 第一膜タンパク質をコードするDNA配列が、細菌膜タンパク質、ウイルス膜タンパク質、癌遺伝子にコードされる膜タンパク質、増殖因子受容体もしくは真核生物膜タンパク質、またはその一部からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 第二膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質またはその一部が、プラスミドのライブラリーによりコードされる、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. 第一膜タンパク質が、膜に人工的に連結された可溶性タンパク質である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. (a)検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が転写的に活性化された場合に、検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、検出可能な産物を発現するように、転写活性因子の結合部位を有する少なくとも1つの検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)を含む宿主細胞;
    (b)第一核酸が挿入された場合に、細胞内タンパク質分解に関与する第一タンパク質配列をコードし、且つ転写活性化因子およびプロモーターの核酸をさらに含む第一モジュールのDNA配列に該第一核酸が連結されるように、第一膜タンパク質又はその一部をコードする第一核酸を受け取ることができる第一部位を含む、エピソームとしてエピソーマルに維持されるのに適している第一ベクター(ベイト);
    (c)第二核酸が挿入された場合に、細胞内タンパク質分解に関与する第二タンパク質配列をコードし、且つプロモーターをさらに含む第二モジュールのDNA配列に該第二核酸が連結されるように、第二膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質またはその一部をコードする第二核酸を受け取ることができる第二部位を含む、エピソームとしてエピソーマルに維持されるのに適している第二ベクター(プレイ);および
    (d)第二タンパク質またはその一部をコードするプラスミドライブラリー
    を含む、第一膜結合タンパク質またはその一部と膜結合または可溶性のどちらかである第二タンパク質またはその一部との結合を検出するためのキット。
  13. 前記検出可能な産物は、タンパク質である、請求項12記載のキット。
  14. 宿主細胞が、酵母、細菌、または哺乳動物細胞である、請求項12または13記載のキット。
  15. 宿主細胞が酵母細胞である、請求項14記載のキット。
  16. 宿主細胞は、サッカロミセス・ポンベ、又は出芽酵母サッカロミセス・セレビシエの細胞である、請求項14記載のキット。
  17. 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、天然または人工的活性化因子によって活性化されることができる、請求項12〜16のいずれか一項記載のキット。
  18. 検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、短いタグ付きモジュールを含む活性化因子によって活性化されることができる、請求項12〜16のいずれか一項記載のキット。
  19. 前記検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)が、人工的転写活性化因子タンパク質A-LexA-V16(PLV)によって活性化されることができる、請求項12〜18のいずれか一項記載のキット。
  20. 第一タンパク質配列がユビキチンのC末端部分(Cub)またはその変異体を含み、第二タンパク質配列がユビキチンのN末端部分(Nub)またはその変異体を含む、請求項12〜19のいずれか一項記載のキット。
  21. プロモーターが、ADHプロモーター、CYC1プロモーター、またはTEF1プロモーターからなる群より選択される、請求項12〜20のいずれか一項記載のキット。
  22. 第一膜タンパク質をコードするDNA配列が、細菌膜タンパク質、ウイルス膜タンパク質、癌遺伝子にコードされる膜タンパク質、増殖因子受容体もしくは真核生物膜タンパク質、またはその一部に由来する、請求項12〜21のいずれか一項記載のキット。
  23. タンパク質をコードするDNA配列が、プラスミドのライブラリーに含まれる、請求項12〜22のいずれか一項記載のキット。
  24. 薬物を同定するスクリーニング過程における、請求項12〜23のいずれか一項記載のキットの使用
  25. 前記宿主細胞は、化合物の存在下および非存在下においてインキュベートし、第一と第二タンパク質および/またはその一部の間の相互作用に前記化合物が干渉すれば、検出可能な遺伝子(レポーター遺伝子)の転写活性化が影響される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法
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