JP4214210B2 - 境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測 - Google Patents

境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測 Download PDF

Info

Publication number
JP4214210B2
JP4214210B2 JP2005168054A JP2005168054A JP4214210B2 JP 4214210 B2 JP4214210 B2 JP 4214210B2 JP 2005168054 A JP2005168054 A JP 2005168054A JP 2005168054 A JP2005168054 A JP 2005168054A JP 4214210 B2 JP4214210 B2 JP 4214210B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reynolds number
boundary layer
state
fluid
viscosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005168054A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006343179A (ja
Inventor
良尚 青木
譲 横川
義郎 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Original Assignee
Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Aerospace Exploration Agency JAXA filed Critical Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Priority to JP2005168054A priority Critical patent/JP4214210B2/ja
Publication of JP2006343179A publication Critical patent/JP2006343179A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4214210B2 publication Critical patent/JP4214210B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)

Description

ある物体の周りを流れる流体の境界層乱流遷移現象を利用して、任意の動圧における流体の有効レイノルズ数に代表される流体力学上のパラメータを計測する技術に関する。
航空機の高性能化技術の開発などに用いられる低速風洞試験において、空気力学的解析を行う際にレイノルズ数は重要な物理量となる。このレイノルズ数Rは無次元の値であって、流れの中にある物体の代表的長さをL、速度をU、密度をρ、粘性率をηそして動粘性率をνとしたとき、R=ρLU/η=LU/νで表わされる。すなわち、その物理的意味は慣性の大きさと粘性の大きさの比と考ればよい。
風洞試験における乱流球を使った有効レイノルズ数の計測についてまず説明する。乱流球とは図5上部に示すように球体にその中心点を向いた直管形態の導圧管が連結され、導圧管の軸延長線上の球面に全圧孔が開口され、該全圧孔とは球の反対面となる導圧管の軸と22.5°の角をなす位置に静圧孔が開口し、前記導圧管内には全圧孔と静圧孔を連通した管が配置された構造をしたものである。この乱流球に加わる流体による力を乱流球の最大断面積と動圧の積で無次元化した抗力係数Cdが0.3になる時、又は静圧孔で計測される圧力を全圧孔で計測される圧力で割った値である圧力係数Cpが−1.22になる時のレイノルズ数を臨界レイノルズ数と呼び、この値は球の場合大気中では385000である。この臨界レイノルズ数にはそれ以上では境界層内の流れはもはや層流ではとどまり得ない限界値という物理的意味がある。実験時の臨界レイノルズ数を求めるために、動圧を変化させながら抗力係数又は圧力係数を縦軸、その時のレイノルズ数を横軸にとりグラフを書くと、図5のグラフのようになる。このグラフから実験時の臨界レイノルズ数を推定する。その後、大気中における臨界レイノルズ数を実験時の臨界レイノルズ数で割った値を乱れ定数TFとし、
TF=Rc/Rtc ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (1)
有効レイノルズ数Rは実験レイノルズ数Rtにこの乱れ定数TFを掛けることで風洞試験における有効レイノルズ数を算出するという手法が一般に取られる。(非特許文献1参照)
R=TF・Rt ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (2)
しかし、この有効レイノルズ数計測方法は大気中における臨界レイノルズ数を実験時の臨界レイノルズ数で割った値である乱れ定数TFを用い、有効レイノルズ数を実験レイノルズ数にこの乱れ定数を掛けて求めるもので、有効レイノルズ数は実験レイノルズ数の定数倍であるという仮定を前提にしているため、任意の動圧における正しい有効レイノルズ数を計測することはできない。特に流速変化や、流れの乱れ度が変化する変化送風機の回転数が切り替ったときなどの影響を考慮できないという問題がある。
一方、風洞実験において粘性流体は、流体の流れとその流体が接触する物体との間に流速を低減させるせん断力が作用する境界層と呼ばれる領域を持つ。この境界層には、層流境界層と乱流境界層が存在し、物体表面を流れるに従って前者から後者に変化する。この変化する位置を境界層遷移点と呼び、この位置は物体の表面状態や流体のレイノルズ数、流体の体の乱れ度、熱伝達性といった流体力学的なパラメータによって変化することが知られている。
ちなみに、非特許文献1には航空機,船舶,高速鉄道車両,自動車,流体機械,配管系の内部流路などにおいて、流れのレイノルズ数が大きく物体表面の境界層が乱流に遷移している状態では、流体の摩擦抵抗は無視できないエネルギーの損失を与えている。境界層の遷移を遅らせ、流れをできるだけ長い距離層流に保つことができれば、摩擦抵抗を大幅に減らすことができること、また、乱流への遷移や流れの剥離の前兆があると判断された場合には、流れに遷移や剥離を打ち消す向きの変動を人工的に導入する技術が開示されている。具体的には物体表面部材に多数の小さな流体通路を並べて設け、その背後の物体内部には空洞を設ける。空洞は空気駆動源へ接続されており、空気駆動源を外部の圧力に対して動的に正圧または負圧にすることにより、空気駆動源によって駆動される吹き出しまたは吸い込みの流れが生じ、物体表面では流体通路からの吹き出しまたは吸い込みの流れが生じる。これによって物体表面の境界層には壁面と垂直方向の速度変動が励起され、遷移や剥離を効果的に打ち消す向きの変動が成長し、遷移や剥離は抑制されるというものである。
本発明者らも非特許文献2で、風洞実験に設置した模型と境界層遷移点の計測について発表している。境界層遷移の位置や特性がレイノルズ数およびその他のパラメータにより変化することに起因していることから、境界層遷移特性を把握することが、現象解明さらに風洞試験結果からの信頼性のある実機特性予測につながるものとの考えにたって、プレストン管、ホットフィルム、赤外線カメラおよび感温液晶フィルムを用いた境界層遷移位置測定法を比較提示している。
特開平10−28115号公報 「流体制御方法」 平成10年10月20日公開 進藤 章二朗 著「低速風洞実験法」 1992年8月20日 コロナ社発行 p.36〜40 横川譲、青木良尚、森田義郎他、「6.5m×5.5m低速風洞における全機模型遷移計測の試み」 "境界層遷移の解明と制御"研究会講演論文集(第33回・第34回)宇宙航空研究開発機構特別資料JAXA-SP-04-002 2005年1月28日発行
本発明の課題は、前述した乱流球を使った有効レイノルズ数計測法における問題点を解決した計測方法、すなわち、送風機の回転数変化などの影響を受けることなく、任意の動圧における流体の有効レイノルズ数をはじめとする、流体力学上のパラメータを風洞実験から容易に求めることができる新規な計測方法を提示することにある。
本発明は他のパラメータを変化させない環境の下でこの境界層の乱流遷移の位置が変わる現象を計測することによって、レイノルズ数等特定パラメータの値を求める方法を提示するものである。境界層遷移にもっとも大きな影響を及ぼすパラメータは物体の表面状態とレイノルズ数であるところから、物体の表面状態が等しい場合、その位置はほぼレイノルズ数によって決まるので、例えば、ある風洞設備において気流状態を設定した状態でレイノルズ数と境界層遷移点の位置を対応させ、この位置を計測し、その結果を用いて、境界層遷移点の位置を対応させた時の気流状態を基準とした単位長さ当たりのレイノルズ数を計測する。
本発明のレイノルズ数を求める方法は、ある表面状態の物体を風洞内に設置し、密度、粘性率そして動粘性率といった物性が一定である空気等の流体を用い、流体の乱れ度と熱伝達が安定である状態の下でその流体速度を変化させ、それぞれの気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における境界層乱流遷移位置との関係を予めテーブル情報として蓄積しておき、実験においてある気流状態で計測した境界層乱流遷移位置データから、前記テーブル情報に基づき当該風洞における流体の単位長さあたりのレイノルズ数を求める。
上記のテーブル情報としては、1)ある気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における境界層乱流遷移位置を計測したデータから予め作成したテーブル、2)計測に使う物体と同一の表面状態や形状と、気流のレイノルズ数や状態を条件として、流体力学の理論から予測される境界層乱流遷移位置から作成したテーブル、3)計測に使う物体と同一の表面状態や形状と、気流のレイノルズ数や状態を条件として、コンピュータシミュレーションから予測される境界層乱流遷移位置から作成したテーブル、若しくは4)実験と理論、又は実験とコンピュータシミュレーションなど前記の3つの方法を組み合わせることによって、ある気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における予測された境界層乱流遷移位置から作成したテーブルを採用する。
また、本発明の流体力学上のパラメータ算出方法は、請求項1に記載の方法によって得られたレイノルズ数Rから、物体の代表的長さをL、速度をU、密度をρ、粘性率をηそして動粘性率をνとしたとき、R=ρLU/η=LU/νで表せる関係に基づき、流体の密度ρ、粘性率η若しくは動粘性率νのうちのいずれか1つの未知数を算出する。
さらに、本発明に係る他の流体力学上のパラメータ算出方法は、ある表面状態の物体を風洞内に設置し、密度、粘性率そして動粘性率といった物性が一定である空気等の流体を用い、特定形状の物体の表面状態と、流体の乱れ度と、熱伝達のパラメータのうち2つを安定とした状態で所定気流を流した状態における他の1つのパラメータを変化させたときの境界層遷移点を計測したデータを予めテーブル情報として蓄積しておき、実験において前記所定気流状態で計測した前記特定形状の境界層乱流遷移位置データから、未知の1つのパラメータを評価する。
本発明のレイノルズ数を求める方法は、ある表面状態の物体を風洞内に設置し、密度、粘性率そして動粘性率といった物性が一定である空気等の流体を用い、流体の乱れ度と熱伝達が安定である状態の下でその流体速度を変化させ、それぞれの気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における境界層乱流遷移位置を計測したデータとの関係を予めテーブル情報として蓄積しておき、実験においてある気流状態で計測した境界層乱流遷移位置データから、前記テーブル情報に基づき当該風洞における流体の単位長さあたりのレイノルズ数を求めるものであるから、風洞によって異なる気流状態の有効レイノルズ数や、乱流格子などによって意図的に有効レイノルズ数をあげる場合に、ある気流状態を基準とする単位長さ当たりの有効レイノルズ数として容易に測定することが出来る。
境界層遷移現象を計測することによって、流体の密度・粘度・流速を計測しなくてもある流れの状態を基準とした有効レイノルズ数を容易に計測することが出来る。
また、このようにして得られたレイノルズ数Rから、物体の代表的長さをL、速度をU、密度をρ、粘性率をηそして動粘性率をνとしたとき、R=ρLU/η=LU/νで表せる関係に基づいて容易に、流体の密度ρ、粘性率η若しくは動粘性率νのうちのいずれか1つの未知数を算出することができる。
また、本発明に係る境界層乱流遷移現象に影響を与える外部要因評価方法は、ある表面状態の物体を風洞内に設置し、密度、粘性率そして動粘性率といった物性が一定である空気等の流体を用い、特定形状の物体の表面状態と、流体の乱れ度と、熱伝達のパラメータのうち2つを安定とした状態で所定気流を流した状態における他の1つのパラメータを変化させたときの境界層遷移点を計測したデータを予めテーブル情報として蓄積しておくことによって、実験において前記所定気流状態で計測した前記特定形状の境界層乱流遷移位置データから容易に未知の1つのパラメータを評価することができる。
粘性流体の流れとその流体が接触する物体との間には境界層と呼ばれる領域が形成される。この境界層には、層流境界層と乱流境界層が存在し、物体表面を流れるに従って前者から後者に変化する。この変化する位置を境界層遷移点と呼び、この位置は物体の表面状態や流体のレイノルズ数、流体の乱れ度、熱伝達のような様々な要因によって変化することが解明されてきた。本発明の境界層乱流遷移現象を利用した計測は、この遷移点の位置を計測することによってレイノルズ数に代表される流体力学上の有用なパラメータを検知しようとするものである。
境界層遷移点の計測手法については特に特定する必要はないが、ここでは1つの形態として円筒部材を風洞内の流れの場に置きその外表面において層流境界層から乱流境界層へ遷移する位置を熱伝達率の変化から検出するもので説明する。すなわち、図1に示すように中空円筒状部材1にはその外表面を均一に加熱するヒーター2と流れ方向にアレー状に配置された温度センサ3が設置されている。物体表面の近傍に形成された境界層の流れの状態が均一であるならば、円筒状部材1の外表面の放熱も均一であるはずであるが、実際はその境界層では層流境界層から乱流境界層へ遷移するという現象が起こるため、その位置によって放熱状態が変化する。この変化は表面温度の変化として現れ流れ方向にアレー状に配置された温度センサ3によって検出することができ、その変化点として境界層遷移点を検知することができる。ちなみに本発明者が用いた中空円筒体形状は外径寸法50mm、内径寸法49mm、長さ100mmで素材は金属で表面は滑らかなものを用い、円筒内部に流体を通過させて測定した。
まず、有効レイノルズ数の計測についてであるが、境界層遷移点に影響を与えるレイノルズ数以外の要因であるパラメータを変化させない環境の下で流速のみを変化させ、この境界層の乱流遷移の位置が変わる現象を計測し、そのデータを蓄積する。すなわち、ある風洞設備において、上記の中空円筒体1を風洞内に設置し、流体速度を変化させて境界層遷移点を計測する。この場合、滑らかな金属表面は安定しており物体の表面状態は安定とみなされ、ヒーター2による加熱も均一安定状態とするので熱伝達も安定とみなすことができる。また、流体は大気であるからその密度と粘度も安定とみなすことができる。このような条件下で流速を変化させながら、温度センサ3によって境界層遷移点の計測を実施し、その条件下における流速と境界層遷移点データの対応をテーブル情報として蓄積する。ここで得られた境界層遷移点データはこの場合レイノルズ数以外の要因による変化分は重畳されていないと解されるので、レイノルズ数に対応したものとみなすことができる。レイノルズ数の定義式R=ρLU/η=LU/νに基づき、それぞれの流速に対応したレイノルズ数を算出すればレイノルズ数に対応した境界層遷移点の対応表が得られる。なお、汎用性を得るため、レイノルズ数は単位長さあたりのレイノルズ数としてデータを蓄積することが望ましい。このデータは、当該風洞において実施される物体表面が等しい模型の実験におけるレイノルズ数計測に利用することができる。すなわち、境界層遷移現象を計測することによって、流体の密度・粘度・流速を計測しなくてもある流れの状態を基準とした有効レイノルズ数を容易に計測することが出来る。
レイノルズ数に対応した境界層遷移点の対応表は、上記した、
1)ある気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における境界層乱流遷移位置を計測したデータから予め作成したテーブル、
に限らず、
2)計測に使う物体と同一の表面状態や形状と、気流のレイノルズ数や状態を条件として、流体力学の理論から予測される境界層乱流遷移位置から作成したテーブル、
3)計測に使う物体と同一の表面状態や形状と、気流のレイノルズ数や状態を条件として、コンピュータシミュレーションから予測される境界層乱流遷移位置から作成したテーブル、
4)実験と理論、又は実験とコンピュータシミュレーションなど前記の3つの方法を組み合わせることによって、ある気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における予測された境界層乱流遷移位置から作成したテーブル、
を用いることができる。
また、本発明に係る流体力学上のパラメータ算出方法は、この方法によって得られたレイノルズ数Rから、物体の代表的長さをL、速度をU、密度をρ、粘性率をηそして動粘性率をνとしたとき、R=ρLU/η=LU/νで表せる関係に基づき、流体の密度ρ、粘性率η若しくは動粘性率νのうちのいずれか1つの未知数を算出することが可能となる。
次に、本発明者らが独立行政法人宇宙航空研究開発機構の研究本部に設置している小型低乱風洞で本発明が提示するレイノルズ数と境界層遷移点との関係すなわち、レイノルズ数が変わればそれに対応して境界層遷移点が変わり、この境界層遷移点を測定すればレイノルズ数が計測できることを実証した実験結果を示す。供試体はNACA0015で、素材はカーボンFRP、風洞幅方向寸法Bが1.0m,前後方向寸法Cが0.4mの二次元翼形状のもので、迎角は0℃の姿勢で風洞内に設置した。この二次元翼形状とは実際の航空機の翼と異なり、断面形状は図2に示すようなものでB方向すべての位置について同じものである。境界層遷移点位置センサには図3に示すような先端開口部の内径が0.3mm,外径が0.5mmのプレストン管を用い、この翼面流れ方向にプレストン管を配置して検出された圧力変化から境界層遷移点位置を検知するようにした。主流流速(センサ設置位置の流速に相当する。)を20m/s,30m/s,40m/s,50m/s,58m/sと設定切り替えし、それぞれの流速状態におけるピトー管総圧と壁面静圧をプレストン管配置位置(X/C)20,30,40,45,50,55,60,65,70,75,80の11ケ所で測定した。ここでCは先の二次元翼形状の前後方向寸法であって、この場合0.4mで、X/Cの値は翼の前端位置が0、後端位置が100ということで示してある。測定結果は表1に示すとおりであり、プレストン管によって計測された総圧を主流動圧で割って無次元化した値である圧力係数Cpを縦軸にとり、計測位置X/Cを横軸にしてそれをグラフにしたものが図4に示すグラフである。このグラフで急激に立ち上がっている変曲点が境界層遷移点に対応するので、その計測位置X/Cをそれぞれの流速における境界層遷移点として取り込む。具体的には「立ち上がり前」「立ち上がり中」「立ち上がり後」の曲線部分に折線を引きその交点を遷移のOnset点、End点としその中間点を遷移点として推定する。
Figure 0004214210
ここで、圧力データはすべて主流静圧との差で示してある。また、空気の粘度は25℃の、密度は30℃の乾燥空気を仮定してその値を用いた。
それぞれの流速に対応した単位長さ(1m)当たりのレイノルズ数を算出すればレイノルズ数は、レイノルズ数の定義式R=ρLU/η=LU/νに基づき、算出すると
主流流速 単位長さ当たりのレイノルズ数
20m/s 1301×10/m
30m/s 1752×10/m
40m/s 2602×10/m
50m/s 3253×10/m
58m/s 3773×10/m
となる。図4のグラフは境界層遷移点位置を示す立ち上がり位置が、上記のようなレイノルズ数値とみなされる主流流速に対応して大きく異なることを示しており、この境界層遷移点位置が感度のよいレイノルズ数検知パラメータであることを実証している。なお、ここで得られた境界層遷移点データはこの場合レイノルズ数以外の要因による変化分は重畳されていないと解されるので、レイノルズ数に対応したものとみなすことができる。
境界層遷移点の計測手法の1例である中空円筒体を示す図である。 本発明の実験に用いた供試体の二次元翼断面を示す図である。 本発明の実験に用いたプレストン管を示す図である。 本発明のレイノルズ数と境界層遷移の位置との対応性を実証する実験結果をグラフ表示したものである。 乱流球を用いた従来のレイノルズ数計測手法を説明する図である。
符号の説明
1 中空円筒体
2 ヒーター
3 センサ

Claims (6)

  1. ある表面状態の物体を風洞内に設置し、密度、粘性率そして動粘性率といった物性が一定である空気等の流体を用い、流体の乱れ度と熱伝達が安定である状態の下でその流体速度を変化させ、それぞれの気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における境界層乱流遷移位置との関係を予めテーブル情報として蓄積しておき、実験においてある気流状態で計測した境界層乱流遷移位置データから、前記テーブル情報に基づき当該風洞における流体の単位長さあたりのレイノルズ数を求める方法。
  2. テーブル情報は、ある気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における境界層乱流遷移位置を計測したデータから予め作成したものである請求項1に記載のレイノルズ数を求める方法。
  3. テーブル情報は、計測に使う物体と同一の表面状態や形状と、気流のレイノルズ数や状態を条件として、流体力学の理論から予測される境界層乱流遷移位置から作成したものである請求項1に記載のレイノルズ数を求める方法。
  4. テーブル情報は、計測に使う物体と同一の表面状態や形状と、気流のレイノルズ数や状態を条件として、コンピュータシミュレーションから予測される境界層乱流遷移位置から作成したものである請求項1に記載のレイノルズ数を求める方法。
  5. テーブル情報は、請求項2乃至4に記載の3つの方法を組み合わせることによって、ある気流状態におけるレイノルズ数とその物体表面における予測された境界層乱流遷移位置から作成したものである当該風洞における流体の単位長さあたりのレイノルズ数を求める方法。
  6. 請求項1乃至5に記載の方法によって得られたレイノルズ数Rから、物体の代表的長さをL、速度をU、密度をρ、粘性率をηそして動粘性率をνとしたとき、R=ρLU/η=LU/νで表せる関係に基づき、流体の密度ρ、粘性率η若しくは動粘性率νのうちのいずれか1つの未知数を算出する方法。
JP2005168054A 2005-06-08 2005-06-08 境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測 Expired - Fee Related JP4214210B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005168054A JP4214210B2 (ja) 2005-06-08 2005-06-08 境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005168054A JP4214210B2 (ja) 2005-06-08 2005-06-08 境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006343179A JP2006343179A (ja) 2006-12-21
JP4214210B2 true JP4214210B2 (ja) 2009-01-28

Family

ID=37640252

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005168054A Expired - Fee Related JP4214210B2 (ja) 2005-06-08 2005-06-08 境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4214210B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108304603A (zh) * 2017-08-16 2018-07-20 北京空天技术研究所 一种高速飞行器强制转捩装置验证方法
CN110806300A (zh) * 2019-10-12 2020-02-18 北京临近空间飞行器系统工程研究所 一种适用于高超声速飞行试验转捩研究的测点布置方法

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105716826B (zh) * 2016-02-18 2018-11-27 江西洪都航空工业集团有限责任公司 一种零升阻力系数的雷诺数效应修正方法
CN106979853B (zh) * 2017-04-01 2023-04-07 西安交通大学 一种用于流动显示、测量的实验装置及方法
CN108287054B (zh) * 2017-12-25 2020-04-10 中国航天空气动力技术研究院 一种飞行条件下的转捩雷诺数获取方法
CN112945518B (zh) * 2021-02-04 2023-05-05 武汉大学 明渠恒定流能量损失确定方法
CN113326625B (zh) * 2021-06-07 2023-08-25 北京四良科技有限公司 一种矮化密植苹果园防风格架风洞模型评价方法
CN113947035A (zh) * 2021-08-27 2022-01-18 中国航天空气动力技术研究院 一种高超声速边界层转捩数据天地相关性方法
CN113639955B (zh) * 2021-10-15 2022-01-04 中国空气动力研究与发展中心计算空气动力研究所 一种用于测量凹面板边界层扰动的装置
CN114061896B (zh) * 2021-11-17 2023-04-25 中国空气动力研究与发展中心超高速空气动力研究所 升力体通气模型内阻测量试验数据处理方法
CN113899525B (zh) * 2021-12-06 2022-02-22 中国空气动力研究与发展中心高速空气动力研究所 一种基于复合式纹影技术的可压缩雷诺应力测量系统
CN114707301B (zh) * 2022-03-09 2024-06-18 东华大学 一种基于分形理论的骑行服织物阻力危机预测方法
CN114608784B (zh) * 2022-05-10 2022-07-19 中国空气动力研究与发展中心高速空气动力研究所 一种获取射流风洞超声速射流动态运行压力匹配点的方法
CN114993609B (zh) * 2022-08-08 2022-11-22 中国空气动力研究与发展中心计算空气动力研究所 预测变雷诺数钝锥转捩位置的方法、介质、处理器及设备
CN115979571B (zh) * 2023-03-20 2023-06-02 中国人民解放军国防科技大学 一种飞行器壁面微尺度气膜厚度风洞实验测量方法及装置
CN116337396B (zh) * 2023-05-30 2023-07-21 中国航空工业集团公司哈尔滨空气动力研究所 一种高空大气紊流主动模拟风洞试验方法
CN116399552B (zh) * 2023-06-08 2023-08-18 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 一种低雷诺数风洞试验方法及系统
CN116952525B (zh) * 2023-09-20 2023-12-01 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 一种用于风洞实验的翼型壁面摩阻非接触测量方法及系统

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108304603A (zh) * 2017-08-16 2018-07-20 北京空天技术研究所 一种高速飞行器强制转捩装置验证方法
CN110806300A (zh) * 2019-10-12 2020-02-18 北京临近空间飞行器系统工程研究所 一种适用于高超声速飞行试验转捩研究的测点布置方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006343179A (ja) 2006-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4214210B2 (ja) 境界層乱流遷移現象を利用したレイノルズ数等の計測
Zhong et al. Towards the design of synthetic-jet actuators for full-scale flight conditions: Part 1: The fluid mechanics of synthetic-jet actuators
Fourrié et al. Bluff-body drag reduction using a deflector
Häggmark et al. Experiments on a two–dimensional laminar separation bubble
Costantini et al. Nonadiabatic surface effects on transition measurements using temperature-sensitive paints
Koca et al. Experimental study of the wind turbine airfoil with the local flexibility at different locations for more energy output
Arbos-Torrent et al. Leading-and trailing-edge effects on the aeromechanics of membrane aerofoils
Koca et al. Experimental flow control investigation over suction surface of turbine blade with local surface passive oscillation
Costantini et al. A robust method for reliable transition detection in temperature-sensitive paint data
Lee et al. PIV measurements of hull wake behind a container ship model with varying loading condition
Feero et al. Influence of geometry on the galloping instability of rectangular cylinders in the Reynolds number range 1,000–10,000
Maciel et al. A study of a turbulent boundary layer in stalled-airfoil-type flow conditions
Yarusevych et al. Airfoil performance at low Reynolds numbers in the presence of periodic disturbances
De Voogt et al. Effects of a trailing-edge flap on stall cell characteristics of a NACA0012 wing
Verhaagen Flow over 50o Delta Wings with Different Leading-Edge Radii
Brzek et al. Characterizing developing adverse pressure gradient flows subject to surface roughness
Ivanov et al. Method of the description of the laminar-turbulent transition position on a swept wing in the flow with an enhanced level of free-stream turbulence
Wu et al. Numerical study of the installed controlled diffusion airfoil at transitional Reynolds number
Mitchell et al. A study of the base pressure distribution of a slender body of square cross-section
Dollinger et al. Thermographic detection of separated flow
Panina et al. Experimental study of the natural disturbance development in a supersonic flat plate boundary layer with a wavy surface
Derksen et al. Characteristics of the Flow over a NACA0012 Airfoil at Low Reynolds Numbers
Costantini et al. A reliable experimental methodology for the study of wind-turbine rotor blade aerodynamics
Bakkhoshnevis et al. Experimental investigation for wake of the circular cylinder by attaching different number of tripping wires
Sumida et al. Wind Tunnel Tests on Aerodynamic Forces of Road Vehicles Under Unsteady Wind Conditions

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080702

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081001

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081008

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141114

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees