[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る高周波フィルタの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る高周波フィルタの回路構成を示す回路図である。図2は、本実施の形態に係る高周波フィルタの外観を示す斜視図である。
図1に示したように、本実施の形態に係る高周波フィルタ1は、不平衡信号の入力または出力が行われる1つの不平衡入出力端子2と、平衡信号の入力または出力が行われる2つの平衡入出力端子3A,3Bと、それぞれTEM線路よりなる共振器11,12,13とを備えている。共振器11,12,13は、回路構成上、不平衡入出力端子2と平衡入出力端子3A,3Bとの間に設けられている。なお、TEM線路とは、電界および磁界が共に電磁波の進行方向に垂直な断面内にのみ存在する電磁波であるTEM波(Transverse Electromagnetic Wave)を伝送する伝送線路である。
共振器11,12,13はいずれも、両端開放の1/2波長共振器である。この共振器11,12,13はいずれも、一方向に長い形状を有している。共振器13は、共振器11と共振器12の間に配置されている。また、共振器11,12,13は互いに平行に配置されている。隣接する共振器11,13は誘導結合し、隣接する共振器12,13も誘導結合している。共振器11,12,13は、それぞれ本発明における第1の共振器、第2の共振器、第3の共振器に対応する。
高周波フィルタ1は、更に、共振器11の一方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ21と、共振器11の他方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ22と、共振器12の一方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ23と、共振器12の他方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ24と、共振器13の一方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ25と、共振器13の他方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ26とを備えている。
高周波フィルタ1は、更に、共振器11の一方の端部と共振器12の一方の端部との間に設けられたキャパシタ27と、共振器11の他方の端部と共振器12の他方の端部との間に設けられたキャパシタ28とを備えている。
高周波フィルタ1は、更に、共振器11の一方の端部と他方の端部との間に設けられたキャパシタ71,72と、共振器12の一方の端部と他方の端部との間に設けられたキャパシタ73,74と、共振器13の一方の端部と他方の端部との間に設けられたキャパシタ75,76とを備えている。キャパシタ71,72は直列に接続され、キャパシタ73,74は直列に接続され、キャパシタ75,76は直列に接続されている。
キャパシタ71とキャパシタ72との間における中間点は、共振器11の共振周波数において、電位的にグランドとみなすことができる。同様に、キャパシタ73とキャパシタ74との間における中間点は、共振器12の共振周波数において、電位的にグランドとみなすことができる。また、キャパシタ75とキャパシタ76との間における中間点は、共振器13の共振周波数において、電位的にグランドとみなすことができる。
キャパシタ21,22,71,72は、共振器11の共振周波数の調整等のために設けられている。同様に、キャパシタ23,24,73,74は、共振器12の共振周波数の調整等のために設けられている。また、キャパシタ25,26,75,76は、共振器13の共振周波数の調整等のために設けられている。
図2に示したように、高周波フィルタ1は、更に、高周波フィルタ1の構成要素を一体化するための積層基板30を備えている。後で詳しく説明するが、積層基板30は、交互に積層された誘電体層と導体層とを含んでいる。共振器11,12,13は、積層基板30内の導体層を用いて構成されている。また、共振器11,12,13は、分布定数線路になっている。キャパシタ21〜28,71〜76は、積層基板30内の導体層と誘電体層を用いて構成されている。
隣接する共振器11,13は誘導結合して、隣接する共振器12,13も誘導結合している。また、共振器11,12は、キャパシタ27,28を介して容量結合している。共振器11,12,13は、所定の周波数帯域内の周波数の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタを構成する。このバンドパスフィルタにおける2つの減衰極の周波数と通過帯域幅は、共振器11,13の誘導結合、共振器12,13の誘導結合および共振器11,12の容量結合の各大きさによって調整することができる。
次に、本実施の形態に係る高周波フィルタ1の作用について説明する。高周波フィルタ1の不平衡入出力端子2に不平衡の信号が入力された場合には、この信号のうち、所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器11,12,13によって構成されるバンドパスフィルタを通過する。共振器11,12,13では、長手方向についての一方の半分の部分と他方の半分の部分とで電界の位相が180°異なる。そのため、平衡入出力端子3A,3Bから出力される各電圧は、位相が互いに180°異なっている。従って、平衡入出力端子3A,3Bからは、平衡信号が出力される。逆に、平衡入出力端子3A,3Bに平衡信号が入力された場合には、この信号のうち、所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器11,12,13によって構成されるバンドパスフィルタを通過し、不平衡入出力端子2から不平衡の信号が出力される。このように、本実施の形態に係る高周波フィルタ1は、バンドパスフィルタの機能とバランの機能とを兼ね備えている。
次に、図2ないし図17を参照して、積層基板30の構成について詳しく説明する。図2に示したように、積層基板30は、上面と底面と4つの側面を有する直方体形状をなしている。積層基板30の上面、側面および底面には、端子2,3A,3Bと、2つのグランド端子31,32と、端子33が配置されている。端子33は、積層基板30の内部の導体層にも外部回路にも接続されない。
図3ないし図14は、それぞれ、上から1層目ないし12層目の誘電体層の上面を示している。図15は、上から13層目ないし17層目の誘電体層の上面を代表して示している。図16は、上から18層目の誘電体層の上面を示している。図17は、上から18層目の誘電体層およびその下の導体層を、上から見た状態で表したものである。図3に示した1層目の誘電体層41の上面には、導体層は形成されていない。
図4に示した2層目の誘電体層42の上面には、グランド用導体層421が形成されている。このグランド用導体層421は、グランド端子31,32に接続されている。
図5に示した3層目の誘電体層43の上面には、電極用導体層431A,431B,432A,432B,433A,433Bと、導体層431Cとが形成されている。導体層431Cの一端部は、導体層431Aに接続されている。
また、誘電体層43には、それぞれ導体層431A,431B,432A,432B,433A,433Bに接続されたスルーホール434A,434B,435A,435B,436A,436Bと、導体層431Cの他端部に接続されたスルーホール437とが形成されている。
導体層431A,431B,432A,432B,433A,433Bは、図4に示した誘電体層42を介して、図4に示したグランド用導体層421に対向している。図1に示したキャパシタ21は、導体層431A,421と誘電体層42とによって構成されている。図1に示したキャパシタ22は、導体層431B,421と誘電体層42とによって構成されている。図1に示したキャパシタ23は、導体層432A,421と誘電体層42とによって構成されている。図1に示したキャパシタ24は、導体層432B,421と誘電体層42とによって構成されている。図1に示したキャパシタ25は、導体層433A,421と誘電体層42とによって構成されている。図1に示したキャパシタ26は、導体層433B,421と誘電体層42とによって構成されている。
図6に示した4層目の誘電体層44の上面には、導体層441,442,443が形成されている。導体層441は、図5に示した誘電体層43を介して図5に示した導体層431A,431Bに対向している。導体層442は、図5に示した誘電体層43を介して図5に示した導体層432A,432Bに対向している。導体層443は、図5に示した誘電体層43を介して図5に示した導体層433A,433Bに対向している。
また、誘電体層44には、スルーホール444A,444B,445A,445B,446A,446B,447が形成されている。スルーホール444A,444B,445A,445B,446A,446B,447には、それぞれ、図5に示したスルーホール434A,434B,435A,435B,436A,436B,437が接続されている。
図7に示した5層目の誘電体層45の上面には、電極用導体層451A,451B,452A,452B,453A,453Bが形成されている。導体層451A,451B,452A,452B,453A,453Bは、それぞれ、図5に示した導体層431A,431B,432A,432B,433A,433Bに対向している。
また、誘電体層45には、それぞれ導体層451A,451B,452A,452B,453A,453Bに接続されたスルーホール454A,454B,455A,455B,456A,456Bと、スルーホール457とが形成されている。スルーホール454A,454B,455A,455B,456A,456B,457には、それぞれ、図6に示したスルーホール444A,444B,445A,445B,446A,446B,447が接続されている。
図6に示した導体層441は、図6に示した誘電体層44を介して図7に示した導体層451A,451Bに対向している。図6に示した導体層442は、図6に示した誘電体層44を介して図7に示した導体層452A,452Bに対向している。図6に示した導体層443は、図6に示した誘電体層44を介して図7に示した導体層453A,453Bに対向している。
図1に示したキャパシタ71は、導体層431A,441,451Aと誘電体層43,44とによって構成されている。図1に示したキャパシタ72は、導体層431B,441,451Bと誘電体層43,44とによって構成されている。図1に示したキャパシタ73は、導体層432A,442,452Aと誘電体層43,44とによって構成されている。図1に示したキャパシタ74は、導体層432B,442,452Bと誘電体層43,44とによって構成されている。
図8に示した6層目の誘電体層46の上面には、容量結合用導体層461,462と、導体層463とが形成されている。導体層461は、共振器11との間にキャパシタを形成するための第1の部分461aと、共振器12との間にキャパシタを形成するための第2の部分461bと、長手方向の一方の端部が第1の部分461aに接続され、長手方向の他方の端部が第2の部分461bに接続された第3の部分461cとを有している。導体層462は、共振器11との間にキャパシタを形成するための第1の部分462aと、共振器12との間にキャパシタを形成するための第2の部分462bと、長手方向の一方の端部が第1の部分462aに接続され、長手方向の他方の端部が第2の部分462bに接続された第3の部分462cとを有している。
導体層461の第1の部分461a、第2の部分461b、第3の部分461cは、それぞれ、図7に示した誘電体層45を介して図7に示した導体層451A,452A,453Aに対向している。同様に、導体層462の第1の部分462a、第2の部分462b、第3の部分462cは、それぞれ、図7に示した誘電体層45を介して図7に示した導体層451B,452B,453Bに対向している。導体層463は、図7に示した誘電体層45を介して図7に示した導体層453A,453Bに対向している。
導体層461において、第3の部分461cの幅は、第1の部分461aの幅および第2の部分461bの幅よりも小さい。ここで、第1の部分461a、第2の部分461b、第3の部分461cの各幅とは、それぞれ、導体層461の上面に平行で、且つ第3の部分461cの長手方向に直交する方向についての第1の部分461a、第2の部分461b、第3の部分461cの各長さを言う。
同様に、導体層462において、第3の部分462cの幅は、第1の部分462aの幅および第2の部分462bの幅よりも小さい。ここで、第1の部分462a、第2の部分462b、第3の部分462cの各幅とは、それぞれ、導体層462の上面に平行で、且つ第3の部分462cの長手方向に直交する方向についての第1の部分462a、第2の部分462b、第3の部分462cの各長さを言う。
また、誘電体層46には、スルーホール464A,464B,465A,465B,466A,466B,467が形成されている。スルーホール464A,464B,465A,465B,466A,466B,467には、それぞれ、図7に示したスルーホール454A,454B,455A,455B,456A,456B,457が接続されている。
図9に示した7層目の誘電体層47の上面には、電極用導体層471A,471B,472A,472B,473A,473Bが形成されている。導体層471A,471B,472A,472B,473A,473Bは、それぞれ、図7に示した導体層451A,451B,452A,452B,453A,453Bに対向している。
図8に示した導体層461の第1の部分461a、第2の部分461b、第3の部分461cは、それぞれ、誘電体層46を介して図9に示した導体層471A,472A,473Aに対向している。同様に、図8に示した導体層462の第1の部分462a、第2の部分462b、第3の部分462cは、それぞれ、誘電体層46を介して図9に示した導体層471B,472B,473Bに対向している。図8に示した導体層463は、誘電体層46を介して図9に示した導体層473A,473Bに対向している。
図1に示したキャパシタ75は、導体層433A,443,453A,463,473Aと誘電体層43,44,45,46とによって構成されている。図1に示したキャパシタ76は、導体層433B,443,453B,463,473Bと誘電体層43,44,45,46とによって構成されている。
また、図9に示した誘電体層47には、それぞれ導体層471A,471B,472A,472B,473A,473Bに接続されたスルーホール474A,474B,475A,475B,476A,476Bと、スルーホール477とが形成されている。スルーホール474A,474B,475A,475B,476A,476B,477には、それぞれ、図8に示したスルーホール464A,464B,465A,465B,466A,466B,467が接続されている。
図7ないし図9に示したように、導体層461の第1の部分461aは、誘電体層45を介して導体層451Aに対向していると共に、誘電体層46を介して導体層471Aに対向している。これら第1の部分461a、導体層451A,471A、誘電体層45,46によって、本発明における第1のキャパシタに対応するキャパシタが形成される。また、導体層461の第2の部分461bは、誘電体層45を介して導体層452Aに対向していると共に、誘電体層46を介して導体層472Aに対向している。これら第2の部分461b、導体層452A,472A、誘電体層45,46によって、本発明における第2のキャパシタに対応するキャパシタが形成される。第1の部分461a、導体層451A,471A、誘電体層45,46によって形成されるキャパシタと、第2の部分461b、導体層452A,472A、誘電体層45,46によって形成されるキャパシタは、直列に接続され、この2つのキャパシタによって図1に示したキャパシタ27が構成される。
同様に、導体層462の第1の部分462aは、誘電体層45を介して導体層451Bに対向していると共に、誘電体層46を介して導体層471Bに対向している。これら第1の部分462a、導体層451B,471B、誘電体層45,46によって、本発明における第1のキャパシタに対応するキャパシタが形成される。また、導体層462の第2の部分462bは、誘電体層45を介して導体層452Bに対向していると共に、誘電体層46を介して導体層472Bに対向している。これら第2の部分462b、導体層452B,472B、誘電体層45,46によって、本発明における第2のキャパシタに対応するキャパシタが形成される。第1の部分462a、導体層451B,471B、誘電体層45,46によって形成されるキャパシタと、第2の部分462b、導体層452B,472B、誘電体層45,46によって形成されるキャパシタは、直列に接続され、この2つのキャパシタによって図1に示したキャパシタ28が構成される。
図10に示した8層目の誘電体層48の上面には、導体層481,482が形成されている。導体層481の一端部は平衡入出力端子3Aに接続され、導体層482の一端部は平衡出力端子3Bに接続されている。また、誘電体層48には、スルーホール484A,484B,485A,485B,486A,486B,487が形成されている。スルーホール485Aは、導体層481の他端部に接続されている。スルーホール485Bは、導体層482の他端部に接続されている。また、スルーホール484A,484B,485A,485B,486A,486B,487には、それぞれ、図9に示したスルーホール474A,474B,475A,475B,476A,476B,477が接続されている。
図11に示した9層目の誘電体層49の上面には、導体層491が形成されている。導体層491の一端部は不平衡入出力端子2に接続されている。また、誘電体層49には、スルーホール494A,494B,495A,495B,496A,496Bが形成されている。スルーホール494A,494B,495A,495B,496A,496Bには、それぞれ、図10に示したスルーホール484A,484B,485A,485B,486A,486Bが接続されている。また、導体層491には、図10に示したスルーホール487が接続されている。
図12に示した10層目の誘電体層50には、スルーホール504A,504B,505A,505B,506A,506Bが形成されている。スルーホール504A,504B,505A,505B,506A,506Bには、それぞれ、図11に示したスルーホール494A,494B,495A,495B,496A,496Bが接続されている。
図13に示した11層目の誘電体層51の上面には、共振器用導体層511,512,513が形成されている。導体層511は、一方向に長い主要部分511mと、主要部分511mの一端部から延びるように形成された腕部511aと、主要部分511mの他端部から延びるように形成された腕部511bとを有している。導体層512は、一方向に長い主要部分512mと、主要部分512mの一端部から延びるように形成された腕部512aと、主要部分512mの他端部から延びるように形成された腕部512bとを有している。導体層513は、一方向に長い形状を有している。導体層511,512,513は、それぞれ共振器11,12,13の一部を構成する。
主要部分511m、導体層513および主要部分512mは、同じ誘電体層51の上において、互いに平行に配置されている。導体層513は、主要部分511m,512mの間に配置されている。そして、導体層511と導体層513は誘導結合し、導体層512と導体層513も誘導結合している。
また、誘電体層51には、スルーホール514A,514B,515A,515B,516A,516Bが形成されている。スルーホール514Aは腕部511aに接続されている。スルーホール514Bは腕部511bに接続されている。スルーホール515Aは腕部512aに接続されている。スルーホール515Bは腕部512bに接続されている。スルーホール516Aは導体層513の一端部に接続されている。スルーホール516Bは導体層513の他端部に接続されている。また、スルーホール514A,514B,515A,515B,516A,516Bには、それぞれ、図12に示したスルーホール504A,504B,505A,505B,506A,506Bが接続されている。
図14に示した12層目の誘電体層52の上面には、共振器用導体層521,522,523が形成されている。導体層521は、一方向に長い主要部分521mと、主要部分521mの一端部から延びるように形成された腕部521aと、主要部分521mの他端部から延びるように形成された腕部521bとを有している。導体層522は、一方向に長い主要部分522mと、主要部分522mの一端部から延びるように形成された腕部522aと、主要部分522mの他端部から延びるように形成された腕部522bとを有している。導体層523は、一方向に長い形状を有している。導体層521,522,523は、それぞれ共振器11,12,13の他の一部を構成する。
主要部分521m、導体層523および主要部分522mは、同じ誘電体層52の上において、互いに平行に配置されている。導体層523は、主要部分521m,522mの間に配置されている。そして、導体層521と導体層523は誘導結合し、導体層522と導体層523も誘導結合している。また、導体層521,522,523は、それぞれ、図13に示した誘電体層51を介して、図13に示した導体層511,512,513に対向している。
腕部521a,521b,522a,522bには、それぞれ、図13に示したスルーホール514A,514B,515A,515Bが接続されている。導体層523の一端部には、図13に示したスルーホール516Aが接続されている。導体層523の他端部には、図13に示したスルーホール516Bが接続されている。
導体層511,521によって構成される共振器11の一方の端部には、導体層431A,451A,471Aが接続されている。このうち、導体層451A,471Aは、誘電体層45,46を介して導体層461の第1の部分461aに対向するため、本発明における第1の電極に対応する。また、共振器11の他方の端部には、導体層431B,451B,471Bが接続されている。このうち、導体層451B,471Bは、誘電体層45,46を介して導体層462の第1の部分462aに対向するため、本発明における第1の電極に対応する。
導体層512,522によって構成される共振器12の一方の端部には、導体層432A,452A,472Aが接続されている。このうち、導体層452A,472Aは、誘電体層45,46を介して導体層461の第2の部分461bに対向するため、本発明における第2の電極に対応する。また、共振器12の他方の端部には、導体層432B,452B,472Bが接続されている。このうち、導体層452B,472Bは、誘電体層45,46を介して導体層462の第2の部分462bに対向するため、本発明における第2の電極に対応する。
導体層513,523によって構成される共振器13の一方の端部には、導体層433A,453A,473Aが接続されている。このうち、導体層453A,473Aは、誘電体層45,46を介して導体層461の第3の部分461cに対向するため、本発明における第3の電極に対応する。また、共振器13の他方の端部には、導体層433B,453B,473Bが接続されている。このうち、導体層453B,473Bは、誘電体層45,46を介して導体層462の第3の部分462cに対向するため、本発明における第3の電極に対応する。
図15に示したように、13層目ないし17層目の誘電体層53〜57の上面には、導体層は形成されていない。
図16に示した18層目の誘電体層58の上面には、グランド用導体層581が形成されている。このグランド用導体層581は、グランド端子31,32に接続されている。
図17に示したように、誘電体層58の下面、すなわち積層基板30の底面には、端子2,3A,3B,31,32,33に接続される導体層602,603A,603B,631,632,633が形成されている。
なお、本実施の形態において、積層基板30としては、誘電体層の材料として樹脂、セラミック、あるいは両者を複合した材料を用いたもの等、種々のものを用いることができる。しかし、積層基板30としては、特に、高周波特性に優れた低温同時焼成セラミック多層基板を用いることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る高周波フィルタ1は、隣接しない共振器11と共振器12とを容量結合するための容量結合用導体層461,462を備えている。導体層461は、共振器11との間にキャパシタを形成するための第1の部分461aと、共振器12との間にキャパシタを形成するための第2の部分461bと、長手方向の一方の端部が第1の部分461aに接続され、長手方向の他方の端部が第2の部分461bに接続された第3の部分461cとを有している。導体層462は、共振器11との間にキャパシタを形成するための第1の部分462aと、共振器12との間にキャパシタを形成するための第2の部分462bと、長手方向の一方の端部が第1の部分462aに接続され、長手方向の他方の端部が第2の部分462bに接続された第3の部分462cとを有している。
導体層461において、第3の部分461cの幅は、第1の部分461aの幅および第2の部分461bの幅よりも小さい。そのため、本実施の形態では、第3の部分461cの幅が第1の部分461aの幅および第2の部分461bの幅と等しいか、第1の部分461aの幅および第2の部分461bの幅よりも大きい場合に比べて、第3の部分461cと共振器13の間に発生する容量を小さくすることができる。なお、図8に示した例では、第3の部分461c全体の幅が第1の部分461aの幅および第2の部分461bの幅よりも小さくなっている。しかし、本実施の形態では、第3の部分461cのうちの少なくとも一部、特に導体層453A,473Aに対向する部分の幅が第1の部分461aの幅および第2の部分461bの幅よりも小さくなっていればよい。これにより、上記の効果が得られる。
同様に、導体層462において、第3の部分462cの幅は、第1の部分462aの幅および第2の部分462bの幅よりも小さい。そのため、本実施の形態では、第3の部分462cの幅が第1の部分462aの幅および第2の部分462bの幅と等しいか、第1の部分462aの幅および第2の部分462bの幅よりも大きい場合に比べて、第3の部分462cと共振器13の間に発生する容量を小さくすることができる。なお、図8に示した例では、第3の部分462c全体の幅が第1の部分462aの幅および第2の部分462bの幅よりも小さくなっている。しかし、本実施の形態では、第3の部分462cのうちの少なくとも一部、特に導体層453B,473Bに対向する部分の幅が第1の部分462aの幅および第2の部分462bの幅よりも小さくなっていればよい。これにより、上記の効果が得られる。
以上のことから、本実施の形態によれば、容量結合用導体層461,462によって発生する共振器11,13間の容量結合の大きさおよび共振器12,13間の容量結合の大きさを小さくしながら、隣接しない共振器11,12間の容量結合の大きさを調整することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、高周波フィルタ1の特性の調整が容易になる。
また、本実施の形態に係る高周波フィルタ1では、隣接する共振器11,13間の結合方法および隣接する共振器12,13間の結合方法は、それぞれ主に誘導結合である。この場合、後で説明するシミュレーョンの結果から分かるように、上述のように隣接する共振器11,13間の容量結合の大きさおよび隣接する共振器12,13間の容量結合の大きさを小さくすることにより、バンドパスフィルタにおける通過帯域幅を大きくすることができると共に、通過帯域外の減衰量を大きくすることができる。
導体層461において、第3の部分461cのうちの少なくとも一部の幅は、第1の部分461aの幅の2分の1以下であり、且つ第2の部分461bの幅の2分の1以下であることが好ましい。同様に、導体層462において、第3の部分462cのうちの少なくとも一部の幅は、第1の部分462aの幅の2分の1以下であり、且つ第2の部分462bの幅の2分の1以下であることが好ましい。その理由については、後でシミュレーョンの結果を参照して説明する。
また、本実施の形態では、共振器11〜13の各端部とグランドとの間にキャパシタ21〜26を設けている。これにより、本実施の形態によれば、共振器11〜13の物理的な長さを、バンドバスフィルタの通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2よりも短くすることができる。その結果、本実施の形態によれば、高周波フィルタ1の小型化が可能になる。
次に、本実施の形態に係る高周波フィルタ1の効果を確認するために行ったシミュレーョンの結果について説明する。このシミュレーョンでは、バンドパスフィルタの通過帯域がおよそ2400〜2500MHzになるように設計された高周波フィルタ1の第1ないし第4のモデルを使用した。2400〜2500MHzという通過帯域は、ブルートゥース規格の通信装置や無線LAN用の通信装置において用いられるバンドパスフィルタの通過帯域に対応する。
第1ないし第4のモデルにおいて、導体層461の第1の部分461a、第2の部分461bおよび導体層462の第1の部分462a、第2の部分462bの各幅は、全て175μmとした。第1のモデルでは、導体層461の第3の部分461cおよび導体層462の第3の部分462cの各幅を、上記第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅と等しくした。第2のモデルでは、第3の部分461c,462cの各幅を、上記第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅の4分の3とした。第3のモデルでは、第3の部分461c,462cの各幅を、上記第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅の2分の1とした。第4のモデルでは、第3の部分461c,462cの各幅を、上記第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅の7分の2である50μmとした。
図18ないし図21は、それぞれ、シミュレーョンによって得られた第1ないし第4のモデルの通過・減衰特性を示す特性図である。図18ないし図21を比較すると分かるように、第3の部分461c,462cの各幅が小さくなるほど、バンドパスフィルタにおける減衰極が急峻になり、通過帯域幅が大きくなり、通過帯域外の減衰量が大きくなる。従って、バンドパスフィルタにおける減衰極を急峻にし、通過帯域幅を大きくし、通過帯域外の減衰量を大きくするためには、第3の部分461c,462cの各幅は小さいほどよい。
また、図18ないし図21を比較すると分かるように、第3の部分461c,462cの各幅が、第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅の2分の1以下になると、上述のように減衰極が急峻になり、通過帯域幅が大きくなり、通過帯域外の減衰量が大きくなるという効果が顕著になる。従って、第3の部分461cのうちの少なくとも一部の幅および第3の部分462cのうちの少なくとも一部の幅は、第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅の2分の1以下であることが好ましい。
また、バンドパスフィルタの通過帯域が広帯域符号分割多重接続(W−CDMA)方式の携帯電話で使用される周波数帯域である1920〜2170MHzになるように高周波フィルタ1を設計する場合において、上記周波数帯域外における減衰量を30dB以上とするには、第3の部分461cのうちの少なくとも一部の幅および第3の部分462cのうちの少なくとも一部の幅を、第1の部分461a,462aおよび第2の部分461b,462bの幅の2分の1以下にしなければならない。
なお、第3の部分461cのうちの少なくとも一部の幅および第3の部分462cのうちの少なくとも一部の幅を小さくすることには、製造技術の面から限界がある。現状の技術から考えると、第3の部分461cのうちの少なくとも一部の幅および第3の部分462cのうちの少なくとも一部の幅は、50μm以上であることが好ましい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る高周波フィルタについて説明する。まず、図22および図23を参照して、本実施の形態に係る高周波フィルタの構成について説明する。図22は、本実施の形態に係る高周波フィルタの回路構成を示す回路図である。図23は、本実施の形態に係る高周波フィルタの外観を示す斜視図である。
図22に示したように、本実施の形態に係る高周波フィルタ101は、信号の入出力が行われる2つの入出力端子102,103と、それぞれTEM線路よりなる共振器111,112,113とを備えている。共振器111,112,113は、回路構成上、入出力端子102,103の間に設けられている。
共振器111,112,113はいずれも、一方の端部が開放され、他方の端部が短絡された1/4波長共振器である。この共振器111,112,113はいずれも、一方向に長い形状を有している。共振器113は、共振器111と共振器112の間に配置されている。また、共振器111,112,113は互いに平行に配置されている。隣接する共振器111,113は誘導結合し、隣接する共振器112,113も誘導結合している。共振器111,112,113は、それぞれ本発明における第1の共振器、第2の共振器、第3の共振器に対応する。
高周波フィルタ101は、更に、共振器111の一方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ121と、共振器112の一方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ122と、共振器113の一方の端部とグランドとの間に設けられたキャパシタ123とを備えている。入出力端子102は、共振器111の一方の端部に接続されている。入出力端子103は、共振器112の一方の端部に接続されている。共振器111,112,113の各他方の端部はグランドに接続されている。
高周波フィルタ101は、更に、共振器111の一方の端部と共振器113の一方の端部との間に設けられたキャパシタ124と、共振器112の一方の端部と共振器113の一方の端部との間に設けられたキャパシタ125と、共振器111の一方の端部と共振器112の一方の端部との間に設けられたキャパシタ126とを備えている。
図23に示したように、高周波フィルタ101は、更に、高周波フィルタ101の構成要素を一体化するための積層基板130を備えている。後で詳しく説明するが、積層基板130は、交互に積層された誘電体層と導体層とを含んでいる。共振器111,112,113は、積層基板130内の導体層を用いて構成されている。また、共振器111,112,113は、分布定数線路になっている。キャパシタ121〜126は、積層基板130内の導体層と誘電体層を用いて構成されている。
隣接する共振器111,113は誘導結合し、隣接する共振器112,113も誘導結合している。また、共振器111,113はキャパシタ124を介して容量結合し、共振器112,113はキャパシタ125を介して容量結合し、共振器111,112はキャパシタ126を介して容量結合している。共振器111,112,113は、所定の周波数帯域内の周波数の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタを構成する。このバンドパスフィルタにおける2つの減衰極の周波数と通過帯域幅は、共振器111,113の誘導結合、共振器112,113の誘導結合、共振器111,113の容量結合、共振器112,113の容量結合および共振器111,112の容量結合の各大きさによって調整することができる。
次に、本実施の形態に係る高周波フィルタ101の作用について説明する。高周波フィルタ101の入出力端子102に信号が入力された場合には、この信号のうち、所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器111,112,113によって構成されるバンドパスフィルタを通過し、入出力端子103から出力される。逆に、入出力端子103に信号が入力された場合には、この信号のうち、所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器111,112,113によって構成されるバンドパスフィルタを通過し、入出力端子102から出力される。
次に、図23ないし図38を参照して、積層基板130の構成について詳しく説明する。図23に示したように、積層基板130は、上面と底面と4つの側面を有する直方体形状をなしている。積層基板130の上面、側面および底面には、端子102,103と、2つのグランド端子131,132が配置されている。
図24ないし図35は、それぞれ、上から1層目ないし12層目の誘電体層の上面を示している。図36は、上から13層目ないし15層目の誘電体層の上面を代表して示している。図37は、上から16層目の誘電体層の上面を示している。図38は、上から16層目の誘電体層およびその下の導体層を、上から見た状態で表したものである。図24に示した1層目の誘電体層141の上面には、導体層は形成されていない。
図25に示した2層目の誘電体層142の上面には、グランド用導体層721が形成されている。このグランド用導体層721は、グランド端子131,132に接続されている。
図26に示した3層目の誘電体層143の上面には、電極用導体層731,732,733が形成されている。導体層731,732,733は、図25に示した誘電体層142を介して、図25に示したグランド用導体層721に対向している。また、誘電体層143には、それぞれ導体層731,732,733に接続されたスルーホール734,735,736が形成されている。
図27に示した4層目の誘電体層144の上面には、グランド用導体層741が形成されている。このグランド用導体層741は、グランド端子132に接続されている。また、グランド用導体層741は、図26に示した誘電体層143を介して、図26に示した導体層731,732,733に対向している。また、誘電体層144には、スルーホール744,745,746が形成されている。スルーホール744,745,746には、それぞれ、図26に示したスルーホール734,735,736が接続されている。
図28に示した5層目の誘電体層145の上面には、電極用導体層751,752,753が形成されている。導体層751,752,753は、図27に示した誘電体層144を介して、図27に示したグランド用導体層741に対向している。また、誘電体層145には、それぞれ導体層751,752,753に接続されたスルーホール754,755,756が形成されている。スルーホール754,755,756には、それぞれ、図27に示したスルーホール744,745,746が接続されている。
図22に示したキャパシタ121は、導体層721,731,741,751と誘電体層142,143,144とによって構成されている。図22に示したキャパシタ122は、導体層721,732,741,752と誘電体層142,143,144とによって構成されている。図22に示したキャパシタ123は、導体層721,733,741,753と誘電体層142,143,144とによって構成されている。
図29に示した6層目の誘電体層146の上面には、容量結合用導体層761,762が形成されている。導体層761は、図28に示した誘電体層145を介して、図28に示した導体層751,752,753に対向している。また、誘電体層146には、スルーホール764,765,766が形成されている。スルーホール766は導体層761に接続されている。また、スルーホール764,765,766には、それぞれ、図28に示したスルーホール754,755,756が接続されている。
導体層762は、共振器111との間にキャパシタを形成するための第1の部分762aと、共振器112との間にキャパシタを形成するための第2の部分762bと、長手方向の一方の端部が第1の部分762aに接続され、長手方向の他方の端部が第2の部分762bに接続された第3の部分762cとを有している。第1の部分762a、第2の部分762b、第3の部分762cは、それぞれ、図28に示した誘電体層145を介して図28に示した導体層751,752,753に対向している。
導体層762において、第3の部分762cの幅は、第1の部分762aの幅および第2の部分762bの幅よりも小さい。ここで、第1の部分762a、第2の部分762b、第3の部分762cの各幅とは、それぞれ、導体層762の上面に平行で、且つ第3の部分762cの長手方向に直交する方向についての第1の部分762a、第2の部分762b、第3の部分762cの各長さを言う。
図30に示した7層目の誘電体層147の上面には、電極用導体層771,772,773が形成されている。導体層771,772,773は、それぞれ、図29に示した誘電体層146を介して、図27に示した導体層761に対向している。また、導体層771,772,773は、それぞれ、図29に示した誘電体層146を介して、図27に示した導体層762の第1の部分762a、第2の部分762b、第3の部分762cに対向している。また、誘電体層147には、それぞれ導体層771,772,773に接続されたスルーホール774,775,776が形成されている。スルーホール774,775,776には、それぞれ、図29に示したスルーホール764,765,766が接続されている。
図22に示したキャパシタ124は、導体層751,753,761,771,773と誘電体層145,146とによって構成されている。また、図22に示したキャパシタ125は、導体層752,753,761,772,773と誘電体層145,146とによって構成されている。
図28ないし図30に示したように、導体層762の第1の部分762aは、誘電体層145を介して導体層751に対向していると共に、誘電体層146を介して導体層771に対向している。これら第1の部分762a、導体層751,771、誘電体層145,146によって、本発明における第1のキャパシタに対応するキャパシタが形成される。また、導体層762の第2の部分762bは、誘電体層145を介して導体層752に対向していると共に、誘電体層146を介して導体層772に対向している。これら第2の部分762b、導体層752,772、誘電体層145,146によって、本発明における第2のキャパシタに対応するキャパシタが形成される。第1の部分762a、導体層751,771、誘電体層145,146によって形成されるキャパシタと、第2の部分762b、導体層752,772、誘電体層145,146によって形成されるキャパシタは、直列に接続され、この2つのキャパシタによって図22に示したキャパシタ126が構成される。
図31に示した8層目の誘電体層148には、スルーホール784,785,786が形成されている。スルーホール784,785,786には、それぞれ、図30に示したスルーホール774,775,776が接続されている。
図32に示した9層目の誘電体層149には、スルーホール794,795,796が形成されている。スルーホール794,795,796には、それぞれ、図31に示したスルーホール784,785,786が接続されている。
図33に示した10層目の誘電体層150の上面には、導体層801,802が形成されている。導体層801の一端部は入出力端子2に接続され、導体層802の一端部は入出力端子3に接続されている。また、誘電体層150には、スルーホール804,805,806が形成されている。スルーホール804は、導体層801の他端部に接続されている。スルーホール805は、導体層802の他端部に接続されている。また、スルーホール804,805,806には、それぞれ、図32に示したスルーホール794,795,796が接続されている。
図34に示した11層目の誘電体層151には、スルーホール814,815,816が形成されている。スルーホール814,815,816には、それぞれ、図33に示したスルーホール804,805,806が接続されている。
図35に示した12層目の誘電体層152の上面には、共振器用導体層821,822,823が形成されている。導体層821は、一方向に長い主要部分821mと、主要部分821mの一端部から延びるように形成された腕部821aとを有している。導体層822は、一方向に長い主要部分822mと、主要部分822mの一端部から延びるように形成された腕部822aとを有している。導体層823は、一方向に長い形状を有している。導体層821,822,823は、それぞれ共振器111,112,113を構成する。
また、誘電体層152には、スルーホール824,825,826が形成されている。スルーホール824は腕部821aに接続されている。スルーホール825は腕部822aに接続されている。スルーホール826は導体層823の一端部に接続されている。また、スルーホール824,825,826には、それぞれ、図34に示したスルーホール814,815,816が接続されている。また、主要部分821m,822m、導体層823の各他端部はグランド端子132に接続されている。
主要部分821m、導体層823および主要部分822mは、同じ誘電体層152の上において、互いに平行に配置されている。導体層823は、主要部分821m,822mの間に配置されている。そして、導体層821と導体層823は誘導結合し、導体層822と導体層823も誘導結合している。
導体層821によって構成される共振器111の一方の端部には、導体層731,751,771,801が接続されている。このうち、導体層751,771は、誘電体層145,146を介して導体層762の第1の部分762aに対向するため、本発明における第1の電極に対応する。
導体層822によって構成される共振器112の一方の端部には、導体層732,752,772,802が接続されている。このうち、導体層752,772は、誘電体層145,146を介して導体層762の第2の部分762bに対向するため、本発明における第2の電極に対応する。
導体層823によって構成される共振器113の一方の端部には、導体層733,753,773が接続されている。このうち、導体層753,773は、誘電体層145,146を介して導体層762の第3の部分762cに対向するため、本発明における第3の電極に対応する。
図36に示したように、13層目ないし15層目の誘電体層153〜155の上面には、導体層は形成されていない。
図37に示した16層目の誘電体層156の上面には、グランド用導体層861が形成されている。このグランド用導体層861は、グランド端子131,132に接続されている。
図38に示したように、誘電体層156の下面、すなわち積層基板130の底面には、端子102,103,131,132に接続される導体層902,903,931,932が形成されている。
なお、本実施の形態において、積層基板130としては、誘電体層の材料として樹脂、セラミック、あるいは両者を複合した材料を用いたもの等、種々のものを用いることができる。しかし、積層基板130としては、特に、高周波特性に優れた低温同時焼成セラミック多層基板を用いることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る高周波フィルタ101は、隣接しない共振器111と共振器112とを容量結合するための容量結合用導体層762を備えている。導体層762は、共振器111との間にキャパシタを形成するための第1の部分762aと、共振器112との間にキャパシタを形成するための第2の部分762bと、長手方向の一方の端部が第1の部分762aに接続され、長手方向の他方の端部が第2の部分762bに接続された第3の部分762cとを有している。
導体層762において、第3の部分762cの幅は、第1の部分762aの幅および第2の部分762bの幅よりも小さい。そのため、本実施の形態では、第3の部分762cの幅が第1の部分762aの幅および第2の部分762bの幅と等しいか、第1の部分762aの幅および第2の部分762bの幅よりも大きい場合に比べて、第3の部分762cと共振器113の間に発生する容量を小さくすることができる。なお、図29に示した例では、第3の部分762c全体の幅が第1の部分762aの幅および第2の部分762bの幅よりも小さくなっている。しかし、本実施の形態では、第3の部分762cのうちの少なくとも一部、特に導体層753,773に対向する部分の幅が第1の部分762aの幅および第2の部分762bの幅よりも小さくなっていればよい。これにより、上記の効果が得られる。
以上のことから、本実施の形態によれば、容量結合用導体層762によって発生する共振器111,113間の容量結合の大きさおよび共振器112,113間の容量結合の大きさを小さくしながら、隣接しない共振器111,112間の容量結合の大きさを調整することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、高周波フィルタ101の特性の調整が容易になる。
第1の実施の形態と同様に、導体層762において、第3の部分762cのうちの少なくとも一部の幅は、第1の部分762aの幅の2分の1以下であり、且つ第2の部分762bの幅の2分の1以下であることが好ましい。
また、本実施の形態では、共振器111〜113のそれぞれの一方の端部とグランドとの間にキャパシタ121〜123を設けている。これにより、本実施の形態によれば、共振器111〜113の物理的な長さを、バンドバスフィルタの通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/4よりも短くすることができる。その結果、本実施の形態によれば、高周波フィルタ101の小型化が可能になる。
[第3の実施の形態]
次に、図39および図40を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る高周波フィルタについて説明する。本実施の形態に係る高周波フィルタ1の回路構成および外観は、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態に係る高周波フィルタ1では、積層基板30における上から5層目の上面に形成された導体層および5層目の誘電体層に形成されたスルーホールの構成と、上から6層目の誘電体層の上面に形成された導体層の構成が、第1の実施の形態と異なっている。図39は、本実施の形態における5層目の誘電体層の上面を示している。図40は、本実施の形態における6層目の誘電体層の上面を示している。
図39に示した5層目の誘電体層45の上面には、第1の実施の形態と同様に、電極用導体層451A,451B,452A,452B,453A,453Bが形成されている。また、誘電体層45には、第1の実施の形態と同様に、それぞれ導体層451A,451B,452A,452B,453A,453Bに接続されたスルーホール454A,454B,455A,455B,456A,456Bと、スルーホール457とが形成されている。本実施の形態では、誘電体層45には、更に、それぞれ導体層451A,451Bに接続されたスルーホール458A,458Bが形成されている。
図40に示した6層目の誘電体層46の上面には、容量結合用導体層468,469と、導体層463とが形成されている。導体層468は、共振器12との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分468aと、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分468aに接続され、長手方向の他方の端部が共振器11に接続された連結部分468bとを有している。導体層469は、共振器12との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分469aと、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分469aに接続され、長手方向の他方の端部が共振器11に接続された連結部分469bとを有している。
キャパシタ形成部分468aは、図39に示した誘電体層45を介して図39に示した導体層452Aに対向している。連結部分468bの他方の端部は、図39に示したスルーホール458Aを介して図39に示した導体層451Aに接続されている。同様に、キャパシタ形成部分469aは、図39に示した誘電体層45を介して図39に示した導体層452Bに対向している。連結部分469bの他方の端部は、図39に示したスルーホール458Bを介して図39に示した導体層451Bに接続されている。導体層463は、図39に示した誘電体層45を介して図39に示した導体層453A,453Bに対向している。
導体層468において、連結部分468bの幅は、キャパシタ形成部分468aの幅よりも小さい。ここで、キャパシタ形成部分468a、連結部分468bの各幅とは、それぞれ、導体層468の上面に平行で、且つ連結部分468bの長手方向に直交する方向についてのキャパシタ形成部分468a、連結部分468bの各長さを言う。
同様に、導体層469において、連結部分469bの幅は、キャパシタ形成部分469aの幅よりも小さい。ここで、キャパシタ形成部分469a、連結部分469bの各幅とは、それぞれ、導体層469の上面に平行で、且つ連結部分469bの長手方向に直交する方向についてのキャパシタ形成部分469a、連結部分469bの各長さを言う。
また、誘電体層46には、第1の実施の形態と同様に、スルーホール464A,464B,465A,465B,466A,466B,467が形成されている。
図40に示した導体層468のキャパシタ形成部分468a、連結部分468bは、それぞれ、誘電体層46を介して図9に示した導体層472A,473Aに対向している。同様に、図40に示した導体層469のキャパシタ形成部分469a、連結部分469bは、それぞれ、誘電体層46を介して図9に示した導体層472B,473Bに対向している。
図39、図40および図9に示したように、導体層468のキャパシタ形成部分468aは、誘電体層45を介して導体層452Aに対向していると共に、誘電体層46を介して導体層472Aに対向している。これらキャパシタ形成部分468a、導体層452A,472A、誘電体層45,46によって、導体層468と共振器12との間にキャパシタが形成される。このキャパシタは、図1に示したキャパシタ27となる。
同様に、導体層469のキャパシタ形成部分469aは、誘電体層45を介して導体層452Bに対向していると共に、誘電体層46を介して導体層472Bに対向している。これらキャパシタ形成部分469a、導体層452B,472B、誘電体層45,46によって、導体層469と共振器12との間にキャパシタが形成される。このキャパシタは、図1に示したキャパシタ28となる。
以上説明したように、本実施の形態に係る高周波フィルタ1は、隣接しない共振器11と共振器12とを容量結合するための容量結合用導体層468,469を備えている。導体層468は、共振器12との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分468aと、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分468aに接続され、長手方向の他方の端部が共振器11に接続された連結部分468bとを有している。導体層469は、共振器12との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分469aと、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分469aに接続され、長手方向の他方の端部が共振器11に接続された連結部分469bとを有している。
導体層468において、連結部分468bの幅は、キャパシタ形成部分468aの幅よりも小さい。そのため、本実施の形態では、連結部分468bの幅がキャパシタ形成部分468aの幅と等しいか、キャパシタ形成部分468aの幅よりも大きい場合に比べて、連結部分468bと共振器13の間に発生する容量を小さくすることができる。なお、図40に示した例では、連結部分468b全体の幅がキャパシタ形成部分468aの幅よりも小さくなっている。しかし、本実施の形態では、連結部分468bのうちの少なくとも一部、特に導体層453A,473Aに対向する部分の幅がキャパシタ形成部分468aの幅よりも小さくなっていればよい。これにより、上記の効果が得られる。
同様に、導体層469において、連結部分469bの幅は、キャパシタ形成部分469aの幅よりも小さい。そのため、本実施の形態では、連結部分469bの幅がキャパシタ形成部分469aの幅と等しいか、キャパシタ形成部分469aの幅よりも大きい場合に比べて、連結部分469bと共振器13の間に発生する容量を小さくすることができる。なお、図40に示した例では、連結部分469b全体の幅がキャパシタ形成部分469aの幅よりも小さくなっている。しかし、本実施の形態では、連結部分469bのうちの少なくとも一部、特に導体層453B,473Bに対向する部分の幅がキャパシタ形成部分469aの幅よりも小さくなっていればよい。これにより、上記の効果が得られる。
以上のことから、本実施の形態によれば、容量結合用導体層468,469によって発生する共振器11,13間の容量結合の大きさおよび共振器12,13間の容量結合の大きさを小さくしながら、隣接しない共振器11,12間の容量結合の大きさを調整することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、高周波フィルタ1の特性の調整が容易になる。
第1の実施の形態と同様に、導体層468において、連結部分468bのうちの少なくとも一部の幅は、キャパシタ形成部分468aの幅の2分の1以下であることが好ましく、導体層469において、連結部分469bのうちの少なくとも一部の幅は、キャパシタ形成部分469aの幅の2分の1以下であることが好ましい。
また、本実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて、キャパシタ27,28を形成するために必要な領域の面積を小さくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、高周波フィルタ1の小型化が可能になる。
なお、本実施の形態において、容量結合用導体層468は、共振器11との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分と、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分に接続され、長手方向の他方の端部が共振器12に接続された連結部分とを有していてもよい。この場合、容量結合用導体層468の形状は、例えば、図40に示した形状に対して左右対称な形状となり、図39に示した誘電体層45において、スルーホール458Aの代わりに、導体層452Aに接続され且つ容量結合用導体層468の連結部分の他方の端部に接続されたスルーホールが設けられる。
同様に、容量結合用導体層469は、共振器11との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分と、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分に接続され、長手方向の他方の端部が共振器12に接続された連結部分とを有していてもよい。この場合、容量結合用導体層469の形状は、例えば、図40に示した形状に対して左右対称な形状となり、図39に示した誘電体層45において、スルーホール458Bの代わりに、導体層452Bに接続され且つ容量結合用導体層469の連結部分の他方の端部に接続されたスルーホールが設けられる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、図41を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る高周波フィルタについて説明する。本実施の形態に係る高周波フィルタ101の回路構成および外観は、第2の実施の形態と同様である。本実施の形態に係る高周波フィルタ101では、積層基板130における上から6層目の上面に形成された導体層および6層目の誘電体層に形成されたスルーホールの構成が、第2の実施の形態と異なっている。図41は、本実施の形態における6層目の誘電体層の上面を示している。
図41に示した6層目の誘電体層146の上面には、容量結合用導体層761,768が形成されている。導体層761の構成は、第2の実施の形態と同様である。また、誘電体層146には、第2の実施の形態と同様のスルーホール764,765,766が形成されている。
導体層768は、共振器112との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分768aと、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分768aに接続され、長手方向の他方の端部が共振器111に接続された連結部分768bとを有している。誘電体層146には、更に、連結部分768bの他方の端部に接続されたスルーホール769が形成されている。
キャパシタ形成部分768aは、図28に示した誘電体層145を介して図28に示した導体層752に対向していると共に、図41に示した誘電体層146を介して図30に示した導体層772に対向している。これらキャパシタ形成部分768a、導体層752,772、誘電体層145,146によって、導体層768と共振器12との間にキャパシタが形成される。このキャパシタは、図22に示したキャパシタ126となる。
連結部分768bは、図28に示した誘電体層145を介して図28に示した導体層753に対向していると共に、図41に示した誘電体層146を介して図30に示した導体層773に対向している。連結部分768bの他方の端部は、図41に示したスルーホール769を介して図30に示した導体層771に接続されている。
導体層768において、連結部分768bの幅は、キャパシタ形成部分768aの幅よりも小さい。ここで、キャパシタ形成部分768a、連結部分768bの各幅とは、それぞれ、導体層768の上面に平行で、且つ連結部分768bの長手方向に直交する方向についてのキャパシタ形成部分768a、連結部分768bの各長さを言う。
以上説明したように、本実施の形態に係る高周波フィルタ101は、隣接しない共振器111と共振器112とを容量結合するための容量結合用導体層768を備えている。導体層768は、共振器112との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分768aと、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分768aに接続され、長手方向の他方の端部が共振器111に接続された連結部分768bとを有している。
導体層768において、連結部分768bの幅は、キャパシタ形成部分768aの幅よりも小さい。そのため、本実施の形態では、連結部分768bの幅がキャパシタ形成部分768aの幅と等しいか、キャパシタ形成部分768aの幅よりも大きい場合に比べて、連結部分768bと共振器113の間に発生する容量を小さくすることができる。なお、図41に示した例では、連結部分768b全体の幅がキャパシタ形成部分768aの幅よりも小さくなっている。しかし、本実施の形態では、連結部分768bのうちの少なくとも一部、特に導体層753,773に対向する部分の幅がキャパシタ形成部分768aの幅よりも小さくなっていればよい。これにより、上記の効果が得られる。
以上のことから、本実施の形態によれば、容量結合用導体層768によって発生する共振器111,113間の容量結合の大きさおよび共振器112,113間の容量結合の大きさを小さくしながら、隣接しない共振器111,112間の容量結合の大きさを調整することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、高周波フィルタ101の特性の調整が容易になる。
第2の実施の形態と同様に、導体層768において、連結部分768bのうちの少なくとも一部の幅は、キャパシタ形成部分768aの幅の2分の1以下であることが好ましい。
また、本実施の形態によれば、第2の実施の形態に比べて、キャパシタ126を形成するために必要な領域の面積を小さくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、高周波フィルタ101の小型化が可能になる。
なお、本実施の形態において、容量結合用導体層768は、共振器111との間にキャパシタを形成するためのキャパシタ形成部分と、長手方向の一方の端部がキャパシタ形成部分に接続され、長手方向の他方の端部が共振器112に接続された連結部分とを有していてもよい。この場合、容量結合用導体層768の形状は、例えば、図41に示した形状に対して左右対称な形状となり、図41に示した誘電体層146において、スルーホール769の代わりに、容量結合用導体層468の連結部分の他方の端部に接続され且つ導体層772に接続されたスルーホールが設けられる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の高周波フィルタは、第1ないし第3の共振器を含む4個以上の共振器を備えていてもよい。
本発明の高周波フィルタは、ブルートゥース規格の通信装置や無線LAN用の通信装置において用いられるフィルタ、特にバンドパスフィルタとして有用である。
1…高周波フィルタ、2…不平衡入出力端子、3A,3B…平衡入出力端子、11〜13…共振器、21〜28…キャパシタ、30…積層基板、461,462…容量結合用導体層、461a,462a…第1の部分、461b,462b…第2の部分、461c,462c…第3の部分。