JP4210548B2 - アルカリプロテアーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄剤配合酵素として有用なアルカリプロテアーゼに関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
産業分野で最も生産量の多いアルカリプロテアーゼは衣料用洗剤等の洗浄剤に配合される洗剤用プロテアーゼであり、例えば、アルカラーゼ(登録商標;ノボザイムズ社)、サビナーゼ(登録商標;ノボザイムズ社)、マクサカル(登録商標;ジェネンコア社)、ブラップ(登録商標;ヘンケル社)、及びKAP(花王)等が知られている。
【0003】
衣料用洗剤にプロテアーゼを配合する目的は、衣料に付着したタンパク質汚れを分解することであるが、実際の汚れはタンパク質だけでなく皮脂由来の脂質や泥、埃汚れ等、有機物と無機物が入り混じった複数の成分からなる複合汚れであり、このような複合汚れに対する洗浄性の高い洗浄剤が望まれていた。
【0004】
かかる観点から本発明者らは、高濃度の脂肪酸存在下でも充分なカゼイン分解活性を保持し、タンパク質だけでなく皮脂等の混在する複合汚れに対しても優れた洗浄性を有する分子量約43,000のアルカリプロテアーゼを数種見出し、先に特許出願した(例えば、特許文献1参照)。そして、これらのアルカリプロテアーゼ群は、その分子量、一次構造、酵素学的性質、特に非常に強い酸化剤耐性を有する点で、従来から知られているバチルス属細菌由来のセリンプロテアーゼであるズブチリシンとは異なり、新しいズブチリシンサブファミリーに分類することが提唱されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このようなプロテアーゼであっても、工業的レベルでの生産を考えた場合、その生産量は充分な量とは言えず、培地中に効率良く分泌されるアルカリプロテアーゼが求められていた。
【0006】
一方、目的のタンパク質(酵素)を多量に分泌させる試みとしては、宿主菌(生産菌)の変異育種による改良、酵素をコードする遺伝子あるいはその制御を行う遺伝子を改変して分泌量を高める方法が知られているが、ズブチリシンについては分泌とフォールディングに重要な働きを担うプレプロ配列を改変し酵素の分泌量を高めるという試みは為されていない。
【0007】
本発明は特定のアルカリプロテアーゼについて、その分泌能を高める技術を提供することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】
国際公開第99/18218号パンフレット
【非特許文献1】
Saekiら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,279,(2000),313-319
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記アルカリプロテアーゼの特性を保持しつつ、効率良く培地中に分泌できる新たな酵素の探索を行ったところ、当該アルカリプロテアーゼのプレプロ配列中の特定位置のアミノ酸残基を特定のアミノ酸残基に変異させた場合に、当該アルカリプロテアーゼの生産性を向上できることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、プレプロ配列を有するアルカリプロテアーゼであって、当該プレプロ配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列又はこれと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列において、当該配列番号1の(a)52位、(b)75位、(c)142位又はこれらに相当する位置のアミノ酸残基が、下記アミノ酸残基;
(a)位置:アスパラギン酸、アルギニン
(b)位置:アラニン、アルギニン
(c)位置:リジン
に置換された変異プレプロ配列であり、成熟酵素として配列番号2に示すアミノ酸配列又はこれと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼ、当該アルカリプロテアーゼをコードする構造遺伝子、該構造遺伝子を含有するベクター、該ベクターを含有する形質転換体を提供するものである。
【0011】
また本発明は、上記変異プレプロ配列をコードする遺伝子を提供するものである。
【0012】
更に本発明は、上記形質転換体を用いることを特徴とする配列番号2に示すアミノ酸配列又はこれと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼの製造法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリプロテアーゼにおけるプレプロ配列(「変異プレプロ配列」ともいう)は、配列番号1に示すアミノ酸配列又はこれと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列の(a)52位、(b)75位、(c)142位又はこれらに相当する位置のアミノ酸残基を(a)位置:アスパラギン酸、アルギニン、(b)位置:アラニン、アルギニン、(c)位置:リジン、に置換してなるものである。本発明のプレプロ配列は、野生型の変異体或いは人為的に変異を施した変異体であってもよい。
【0014】
ここでプレプロ配列とは、アルカリプロテアーゼの分泌、フォールディングに関与する重要な領域であり、プレ配列はシグナル配列であり、アルカリプロテアーゼ前駆体が細胞膜を通過する際にシグナルペプチダーゼにより切断される。また、プロ配列は、分子内シャペロニンとして作用することが知られており、細胞膜の通過前後においてアルカリプロテアーゼが正確な立体構造をとるために必須の領域である。プロ配列は最終的に成熟型のアルカリプロテアーゼにより切断されさらに小さなペプチドへと分解される。即ち、アルカリプロテアーゼをコードする構造遺伝子から転写、翻訳される産物はプレプロ配列を有するアルカリプロテアーゼ前駆体として細胞内に存在する。従って、本発明のプレプロ配列を有するアルカリプロテアーゼとはアルカリプロテアーゼ前駆体を示すものである。
【0015】
ここで、変異前のプレプロ配列である配列番号1に示すアミノ酸配列としては、例えばKP43〔バチルス エスピーKSM−KP43(FERM BP−6532)由来、国際公開第99/18218号パンフレット〕のプレプロ配列が挙げられる。
また、配列番号1に示すアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列としては、好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上、95%以上、更に98%以上の同一性を有するものが好ましく、更に後記段落〔0020〕で示す性質を有するプロテアーゼのプレプロ配列であることが好ましい。具体的には、例えばプロテアーゼKP9860(GenBank AccessionNo.AB046403)[バチルス エスピーKSM−9860(FERMBP−6534)由来、国際公開第99/18218号パンフレット]、プロテアーゼKP9865(GenBank Accession No.AB084155)[バチルス エスピーKSM−9865(FERM P−18566)由来、特願2002−2653号]のプレプロ配列が挙げられ、その同一性はそれぞれ86.8%、97.6%である(図1)。
【0016】
なお、アミノ酸配列の同一性は、GENETYX WINのマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラム(ソフトウェア開発)により計算される。
【0017】
また、「相当する位置のアミノ酸残基」を特定する方法としては、例えばリップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、各アルカリプロテアーゼのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の同一性を与えることにより行うことができる。プレプロ配列のアミノ酸配列をこのような方法で整列させることにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、相同アミノ酸残基の各プレプロ配列における配列中の位置を決めることが可能である。相同位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象のプロテアーゼの特異的機能に関して類似した効果を有することが推定できる。
【0018】
すなわち、上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より、配列番号1の(a)52位、(b)75位、(c)142位のアミノ酸残基は、それぞれリジン、グルタミン及びグルタミン酸である。その位置に相当する位置のアミノ酸残基は、上記の方法を用いることにより特定することができる。例えば、プロテアーゼKP9860、プロテアーゼKP9865のプレプロ配列においても(a)52位、(b)75位、(c)142位のアミノ酸残基は、それぞれリジン、グルタミン及びグルタミン酸である。
【0019】
そして、本発明の変異プレプロ配列においては、配列番号1の(a)52位又はその位置に相当する位置のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、アルギニンに置換されるのが好ましく、アルギニンであるのが特に好ましい。(b)75位又はその位置に相当する位置のアミノ酸残基は、アラニン、アルギニンに置換されるのが好ましく、アルギニンであるのが特に好ましい。(c)142位又はその位置に相当する位置のアミノ酸残基は、リジンに置換されるのが特に好ましい。
【0020】
また、本発明の変異プレプロ配列におけるアミノ酸残基の(a)〜(c)の選択は、酵素の特性が変化しない限り2個所以上が同時になされていていもよい。2箇所以上が同時になされた場合の具体例としてはLys52(Asp/Arg)+Gln75(Ala/Arg)、Lys52(Asp/Arg)+Glu142Lys、Lys52(Asp/Arg)+Glu142Lys、Gln75(Ala/Arg)+Lys52(Asp/Arg)+Glu142Lysが挙げられる。好ましい組合せとしては、Lys52Arg+Gln75Arg、Lys52Asp+Gln75Ala、Lys52Asp+Glu142Lysであり、特に好ましくは、Lys52Arg+Glu142Lysである。尚、アミノ酸は3文字表記とし、「+」は1箇所の置換に対し付加された置換を表し、「/」については表記したいずれのアミノ酸を使用しても良いことを示している。
【0021】
本発明のアルカリプロテアーゼは、プレプロ配列として上記の変異プレプロ配列を有し、成熟酵素として配列番号2に示すアミノ酸配列又はこれと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるものである。
ここで、配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列としては、好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上、更に95%以上の同一性を有するものが好ましく、野生型又は野生型の変異体であってもよい。また、その性質として酸化剤耐性を有し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)により認められる分子量が43,000±2,000であるものが好ましく、特にpH8以上のアルカリ性領域で作用する、酸化剤耐性を有する、高濃度の脂肪酸存在下において酵素活性が阻害されない、ゼラチンに対する分解活性が強い、50℃、pH10で10分間処理したとき80%以上の残存活性を示す、ジイソプロピルフルオルリン酸(DFP)及びフェニルメタンスルホニルフルオライド(PMSF)で阻害され、SDS−PAGEによる分子量が43,000±2,000であるものが好ましい。
【0022】
ここで、酸化剤耐性を有するとは、当該アルカリプロテアーゼを50mM過酸化水素、5mM塩化カルシウムを含む20mMブリットンロビンソン緩衝液(pH10)中で、30℃、20分間の放置後の残存活性が少なくとも50%以上を保持していることをいう。以上の性質を保持していれば野生型、野生型の変異体或いは人為的に変異を施したアルカリプロテアーゼであってもよい。
【0023】
配列番号2で示すアミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼ(成熟型アルカリプロテアーゼ)としては、例えば、KP43〔バチルス エスピーKSM−KP43(FERM BP−6532)由来、国際公開第99/18218号パンフレット〕が挙げられ、配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上の同一性をもつアミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼとしては、例えばプロテアーゼKP9860(GenBank Accession No.AB046403)[バチルス エスピーKSM−9860(FERM BP−6534)由来、国際公開99/18218号パンフレット]、プロテアーゼ9865(GenBank Accession No.AB084155)[バチルス エスピー KSM−9865(FERM P−1592)由来、特願2002−002653]、プロテアーゼE−1(GenBank Accession No.AB046402)[バチルス No.D−6(FERM P−1592)由来、特開昭49−71191]、プロテアーゼYa(GenBank Accession No.AB046404)[バチルス エスピーY(FERM BP−1029)由来、特開昭61−280268]、プロテアーゼSD521(GenBank Accession No.AB046405)[バチルス SD521(FERM P−11162)由来、特開平3−191781]、プロテアーゼA−1(GenBank Accession No.AB046406)[NCIB12289由来、国際公開第88/01293号パンフレット01293]、プロテアーゼA−2[NCIB12513由来、国際公開第98/56927号パンフレット]や、配列番号2のアミノ酸配列の46位をロイシンに置換した変異体、57位をアラニンに置換した変異体、103位をアルギニンに置換した変異体、107位をリジンに置換した変異体、124位をそれぞれリジン及びアラニンに置換した変異体、136位をアラニンに置換した変異体、193位をアラニンに置換した変異体、195位をそれぞれアスパラギン、グルタミン酸、アルギニン、プロリン、スレオニン、バリン、ヒスチジン、セリン、リジン、グルタミン、メチオニン、システイン、アラニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グリシン及びフェニルアラニンに置換した変異体、247位をそれぞれスレオニン及びアルギニンに置換した変異体、257位をバリンに置換した変異体、342位をアラニンに置換した変異体、66位をアスパラギン酸に置換し且つ264位をセリンに置換した二重変異体(特願2000−355166号)、配列番号2のアミノ酸配列の84位をアルギニンに置換した変異体、104位をプロリンに置換した変異体、256位をそれぞれアラニン及びセリンに置換した変異体、369位をアスパラギンに置換した変異体(特開2002−306176号公報)、配列番号2のアミノ酸配列の251位をそれぞれアスパラギン、スレオニン、イソロイシン、バリン、ロイシン及びグルタミンに置換した変異体、256位をそれぞれセリン、グルタミン、アスパラギン、バリン及びアラニンに置換した変異体(特願平2001−329472号)又はこれらとアミノ酸配列において80%以上、好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の同一性を有するアルカリプロテアーゼが挙げられる。上記アルカリプロテアーゼの一部についてそのアミノ酸配列を整列させた図を示す(図2a及び図2b)。
【0024】
本発明に用いるアルカリプロテアーゼをコードする遺伝子のクローニングはショットガンクローニング法やPCR法等を用いればよい。また、クローニングされた遺伝子に対して変異を施してもよい。このようにして取得された遺伝子の塩基配列の一例を配列番号3に示した。また、配列番号1に示すプレプロ配列又はこれと80%以上の同一性を有するプレプロ配列の領域をコードする遺伝子もPCR法等を用いることでクローニングすることができる。
【0025】
プレプロ配列をコードする遺伝子の変異手段としては、一般的に行われているランダム変異や部異特異的変異の方法がいずれも採用できる。より具体的には、例えばSite-Directed Mutagenesis System Mutan-Super Express Kmキット(Takara)等を用いて行うことができる。
【0026】
得られた変異プレプロ遺伝子を用いた本発明プロテアーゼの生産方法としては、配列番号3で示されるアリカリプロテアーゼのプレプロ配列をコードする遺伝子に変異を施した場合にはそのまま、変異プレプロ遺伝子の下流に配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上の同一性を有する成熟酵素をコードする遺伝子を連結する場合には、適当な制限酵素切断部位を部位特異的変異法により付与するか又はリコンビナントPCR法等を用いることにより構造遺伝子を作製すればよい。さらに当該変異遺伝子をベクターに導入し、当該プラスミドベクターが安定に増幅、保持できる宿主菌を形質転換する、或いは当該変異遺伝子を安定に維持できる宿主菌の染色体DNA上に導入させる、等の方法が採用できる。この条件を満たす宿主としては例えばバチルス属細菌、大腸菌、カビ、酵母、放線菌等が挙げられ、これらの菌株を用い、資化性の炭素源、窒素源その他必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従い培養すればよい。
【0027】
斯くして、菌体内において発現される本発明のプレプロ配列を有するアルカリプロテアーゼは、形質転換体からの分泌能が高い。
【0028】
ここで、「分泌能が高い」とは、例えば変異させる前のアルカリプロテアーゼと同一の条件下において(例えばポリペプトンS8%(w/v)、酵母エキス0.3%、マルトース10%、硫酸マグネシウム7水和物0.04%、リン酸2水素カリウム0.2%、無水炭酸ナトリウム1.5%、テトラサイクリン30ppmから成る培地に植菌し、30℃、3日間振盪培養する)、生産したアルカリプロテアーゼ変異体について培養上清中のプロテアーゼ活性量、タンパク質量を測定した場合、一定量以上の活性量又はタンパク質量を示すことをいい、例えば親アルカリプロテアーゼの5%以上、望ましくは10%以上、さらに望ましくは15%以上の活性量又はタンパク質量の増大が認められることを意味する。特に、比活性等の変化が認められなければ、活性量又はタンパク質量のどちらか一方を測定しても構わない。
【0029】
成熟酵素は、当該アルカリプロテアーゼからプレプロ配列が切断されて菌体外に分泌生産されるが、斯かる酵素の採取及び精製は、一般の酵素の採取及び精製方法準じて行えばよい。例えば、培養液を遠心分離、又は濾過することで菌体を除き、培養上清液から常法の精製手段により目的酵素を得ることができる。このようにして得られる酵素液は、そのまま用いることもできるが、更に公知の方法により精製、結晶化、粉末化、又は顆粒化することもできる。
【0030】
斯くして得られたアルカリプロテアーゼは、酸化剤耐性を有し、高濃度の脂肪酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けず、ゼラチン分解力が高い。SDS−PAGEにより認められる分子量が43,000±2,000であり、アルカリ性域で活性を有するという優れた性質を有し、衣料洗浄剤、漂白剤、硬質表面洗浄用洗浄剤、排水管洗浄剤、義歯洗浄剤、医療器具用の殺菌洗浄剤等として使用することができる。
【0031】
【実施例】
実施例1
バチルス エスピーKSM−KP43株由来のアルカリプロテアーゼ構造遺伝子(配列番号3)の終始コドンまでを含む約2.0kbの範囲に対しランダム変異を与えた。まず、pKF18K(Takara)のマルチクローニングサイトに導入した上記約2.0kbのDNAを増幅できるBcaBEST Sequencing Primer RV−M(Takara)及びBcaBEST Sequencing Primer M13−47(Takara)を用いPCRを行った。反応系は、鋳型DNA30ng、各プライマーを20pmol、各dNTPを20nmol、適当量の硫酸マンガンとジメチルスルフォキシド、Takara Taq添付反応バッファー10μL、及びTaqポリメラーゼ2.5Uとした(全量100μL)。PCR条件は94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間を1サイクルとし、これを30サイクル行い、最後は72℃で10分間恒温した。PCR産物をHigh Pure PCR ProductPurification キット(ロッシュ)にて精製し、100μLの滅菌水で溶出した。得られた約2.0kbのDNA断片を、BamHI、XbaI(ロッシュ)により切断した後、同酵素にて処理しておいたpKF18kを混合し、DNA Ligation キット ver.2(Takara)により結合反応を行った。反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換し、カナマイシン(100μg/mL)を含むLB寒天培地上にて生育させた。得られた形質転換株をカナマイシン(100μg/mL)含有LB培地に植菌し、30℃で振盪培養した。培養上清について合成基質(Glt−Ala−Ala−Pro−Leu−pNA、ペプチド研究所)を用いた活性測定を行い、親アルカリプロテアーゼの活性に比べ活性値の高い培養液を選抜し、少量の菌体並びにBcaBESTSequencing Primer RV−M及びBcaBEST Sequencing Primer M13−47を用い、上記同条件でPCRを行ない変異遺伝子を増幅した。増幅断片を精製し、適当なプライマーとBig Dye DNA Sequencing キット(アプライドバイオシステム)を用いて、DNA Sequencer 377型(アプライドバイオシステム)にて塩基配列を決定した。
【0032】
その結果、プロテアーゼ活性が向上した変異体は配列番号1の52位のリジンがアルギニンに、75位のグルタミンがアルギニンに、142位のグルタミン酸がリジンにそれぞれ置き換わった各変異遺伝子であることが判明し、これにより2〜10%のプロテアーゼ活性の向上が認められた。次にそれぞれの変異点に関し、他のアミノ酸への置換による効果を調べる目的で変異を行った。変異の手段としては、Site−Directed Mutagenesis System Mutan−Super Express Km キット(Takara)を用い、52位、75位、142位のアミノ酸を任意のアミノ酸に置換した。鋳型プラスミド(pKF18kのBamHI、XbaIサイトにプロテアーゼ構造遺伝子を導入したプラスミド)30ng、キット添付セレクションプライマー、プライマー3〜5(配列番号4〜6)を各々20pmol及びTakara LA Taqを用いPCRを行った。反応条件は94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間を1サイクルとし、これを30サイクル行った。得られたPCR断片を精製してこれをプライマーとし、鋳型プラスミド30ngとLA Taqを用いて再度PCRを行った。反応条件は94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で4分間を1サイクルとし、これを30サイクル行った。得られたPCR産物を精製し、ライゲーション反応を行った後、大腸菌MV1184株を形質転換した。形質転換株からプラスミドDNAを抽出し、大腸菌HB101株を形質転換した。この形質転換株をカナマイシン(100μg/mL)含有LB培地に植菌し、30℃で振盪培養した。培養上清について合成基質を用いた活性測定を行い、親アルカリプロテアーゼの活性に比べ活性値の高い培養液を選抜した。菌体を鋳型としてPCRを行うことで変異遺伝子を増幅し、精製後、塩基配列を決定した。その結果、52位のリジンがアスパラギン酸に置換した変異体、75位のグルタミンがアラニンに置換した変異体が親アルカリプロテアーゼよりも5%、10%それぞれ活性値の増加を示すものとして取得された。142位についてはリジン以外のアミノ酸には効果が認められなかった。
【0033】
更に、上記変異部位を組み合わせることにより、プロテアーゼ活性の向上を検討した。52位の変異部位を含むBamHI−XhoI断片、142位の変異部位を含むXhoI−AatII断片、成熟酵素をコードする遺伝子を含むAatII−XbaI断片を調製し、BamHI、XbaI処理しておいたpKF18kを混合し、ライゲーション反応を行った。得られたプラスミドDNAを用いて大腸菌HB101株を形質転換し、Lys52Argの変異点にさらにGlu142Lysの変異が加わった2重変異体を取得した。培養の結果、Lys52Arg+Glu142Lys変異体はLys52Arg変異体に比べ10%の活性増加が認められた。
【0034】
実施例2
以上のように取得された各変異プレプロ配列は、KP43プロテアーゼを親アルカリプロテアーゼとした場合は、上記の様に活性増加に効果のあることが明らかになった。そこで既に分泌能力や比活性の向上している変異アルカリプロテアーゼ(配列番号2においてPhe46Leu/Thr65Pro/Tyr195Gly/Val273Ile/Thr359Ser/Asp369Asn/Ser387Alaに置換されたアルカリプロテアーゼKP43H)に対し、本発明のプレプロ配列が効果を示すか否かの検討を加えた。
【0035】
各変異プレプロ配列をコードする遺伝子断片をpKF18kよりBamHIとAatIIにて切りだし、同様にAatIIとXbaIにより切り出されたKP43Hをコードする遺伝子をリガーゼにより結合させた(AatIIサイトはコードされるアミノ酸を変化させることなく部位特異的に塩基を置換して新たに作製した)。取得したプラスミドを用いて大腸菌HB101株を形質転換した。各プラスミドを抽出した後、BamHIとXbaIにより切断した。得られた断片を予め同酵素にて処理しておいたpHA64に導入し、SSH−10(島津製作所)及びジーンパルサーキュベット(バイオラッド)を用いたエレクトロポレーション法によりバチルス エスピー KSM−KP43株を形質転換した。スキムミルク含有アルカリ寒天培地[スキムミルク(ディフコ)1%(w/v)、バクトトリプトン(ディフコ)1%、酵母エキス(ディフコ)0.5%、塩化ナトリウム0.5%、寒天1.5%、無水炭酸ナトリウム0.05%、テトラサイクリン15ppm]上に生育してきた形質転換株のスキムミルク溶解斑の形成状況により、プロテアーゼ遺伝子導入の有無を判定した。プロテアーゼ遺伝子がpHA64に挿入されたプラスミドを保持している形質転換株を選抜し、以後の培養に供した。
【0036】
各形質転換株について単集落分離、ハロー形成の確認を行い、試験管中の5mL種母培地[ポリペプトンS(日本製薬)6.0%(w/v)、酵母エキス0.1%、マルトース1.0%、硫酸マグネシウム7水和物0.02%、リン酸2水素カリウム0.1%、無水炭酸ナトリウム0.3%、テトラサイクリン30ppm]に植菌し、30℃、320rpmで一晩前培養した。この種母培養液を500mL容坂口フラスコ中の20mL主培地[ポリペプトンS8%(w/v)、酵母エキス0.3%、マルトース10%、硫酸マグネシウム7水和物0.04%、リン酸2水素カリウム0.2%、無水炭酸ナトリウム1.5%、テトラサイクリン30ppm]に1%植菌(v/v)し、30℃、121rpmで3日間培養した。得られた培養液を遠心分離し、培養上清中のプロテアーゼ活性を測定した。プロテアーゼ活性はカゼイン法により、タンパク質量はプロテインアッセイキット(和光純薬)を用いて測定した。その結果、変異プレプロ配列を有するアルカリプロテアーゼKP43Hの培養活性はコントロール(アルカリプロテアーゼKP43H遺伝子を有する形質転換株を同条件で培養したもの)のそれに比べ5〜25%向上した(表1)。また、選抜された形質転換株からプラスミドを回収し、塩基配列を決定し、目的の変異体であることを確認した。
【0037】
上記変異部位により得られるアルカリプロテアーゼは、形質転換株での酵素の分泌を向上させる以外は親アルカリプロテアーゼの特性、すなわち、酸化剤耐性を有し、ゼラチンに対し高い分解活性を示し、高濃度の脂肪酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けず、SDS−PAGEにより認められる分子量が43,000±2,000であり、アルカリ性域で活性を有する性質を保持していることを確認した。
【0038】
[プロテアーゼ活性測定法−合成基質法]
合成基質(Glt−Ala−Ala−Pro−Leu−pNA:AAPL)を用いた酵素活性は、96穴アッセイプレート(イワキ)内に100mM ホウ酸緩衝液(pH10.5)48.5μL、100mM AAPL 1.5μLからなる反応液に適当に希釈した酵素液又は培養液を50μL加え、iEMSリーダーMS(LABSYSTEMS)を使用し30℃で15分間反応を行った。遊離されるパラニトロアニリンを414nmの吸光度を測定した。酵素1unitは、上記反応条件下において1分間に0.001の吸光度を上昇させる量とした。
【0039】
[プロテアーゼ活性測定法−カゼイン法]
カゼイン1%(w/v)を含む50mMホウ酸緩衝液(pH10.5)1.0mLを30℃で5分間保温した後、0.1mLの酵素溶液を加え、15分間反応を行う。反応停止液(0.11Mトリクロロ酢酸−0.22M酢酸ナトリウム−0.33M酢酸)を2.0mL加え、室温で30分間放置した後、濾過を行い、濾液中の酸可溶性タンパク質をLowryらの方法の変法により定量した。すなわち、0.5mLの濾液にアルカリ性銅溶液(1%酒石酸ナトリウム・カリウム:1%硫酸銅・5水和物:2%炭酸ナトリウム・0.1N水酸化ナトリウム=1:1:100)を2.5mL加え、室温で10分間放置後、フェノール溶液[フェノール試薬(関東化学)を蒸留水にて2倍希釈したもの]を0.25mL添加し、30℃で30分間保温した。その後、660nmにおける吸光度を測定した。プロテアーゼ1単位(1PU)は、上記反応条件で1分間に1mmolのチロシンに相当する酸可溶性タンパク質分解物を遊離させるのに必要な酵素量とした。
【0040】
【表1】
Figure 0004210548
【0041】
実施例2
(1)洗剤の調製
撹拌翼を有した1m3の混合槽に水465kgを加え、水温が55℃に達した後に40%(w/v)ポリアクリル酸ナトリウム水溶液135kgを添加した。15分間撹拌した後に、炭酸ナトリウム120kg、硫酸ナトリウム60kg、亜硫酸ナトリウム9kg、蛍光染料3kgを添加した。更に15分間撹拌した後に、ゼオライト300kgを添加し、30分間撹拌して均質なスラリーを得た(スラリー中の水分は50質量%)。このスラリーを噴霧乾燥塔の塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧することでベース顆粒を得た(噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が225℃で供給し、塔頂より105℃で排出)。
【0042】
次にレディゲミキサー(松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付)に上記ベース顆粒100質量部を投入し、主軸(150rpm)の攪拌下、非イオン性界面活性剤20質量部、直鎖アルキル(炭素数10〜13)ベンゼンスルホン酸ナトリウム22質量部、脂肪酸(炭素数14〜18)ナトリウム4質量部、ポリエチレングリコール2質量部、水4質量部の混合液を3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更にこのミキサーに結晶性ケイ酸ナトリウム20質量部とゼオライト10質量部を投入し、表面被覆を行い洗剤ベースを得た。
洗剤ベース99質量%に本発明プロテアーゼ粒子0.5質量%、及び香料0.5質量%を混合して最終粒状洗剤Aを得た。
【0043】
(2)使用した原料
非イオン性界面活性剤:エチレンオキサイド平均付加モル数が8.5のエマルゲン108KM(花王(株)製)
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液:平均分子量10000(特公平2−24283号公報の実施例に記載の方法に従って製造した)
炭酸ナトリウム:デンス灰(セントラル硝子(株)製)
ゼオライト:平均粒径が3.5μmのゼオライト4A型(東ソー(株)製)
ポリエチレングリコール:K−PEG6000(平均分子量8500,花王(株)製)
結晶性ケイ酸ナトリウム:粉末SKS−6(ヘキストトクヤマ(株)製)
本発明プロテアーゼ粒子:表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品から特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき調製した造粒物(6PU/g)
蛍光染料:チノパールCBS−X(チバガイギー社製)
【0044】
実施例3
(1)洗剤の調製
まず固形分50質量%のスラリーを熱風温度250℃で噴霧乾燥し、ポリアクリル酸ナトリウム(質量平均分子量10000)7質量%、炭酸ナトリウム26質量%、硫酸ナトリウム20質量%、塩化ナトリウム6質量%、蛍光染料0.5質量%、ゼオライト40質量%、水0.5質量%のベース顆粒を得た。
次にレディゲミキサー(松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付)に上記ベース顆粒100質量部を投入し、主軸(150rpm)の攪拌下、非イオン性界面活性剤20質量部、直鎖アルキル(炭素数10〜13)ベンゼンスルホン酸ナトリウム22質量部、脂肪酸(炭素数14〜18)ナトリウム4質量部、ポリエチレングリコール2質量部、水4質量部の混合液を3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更にこのミキサーに結晶性ケイ酸ナトリウム20質量部とゼオライト10質量部を投入し、表面被覆を行い洗剤ベースを得た。
洗剤ベース95質量%に漂白剤粒子2.8質量%、漂白活性剤粒子1.2質量%、本発明プロテアーゼ粒子0.5質量%、及び香料0.5質量%を混合して最終粒状洗剤Bを得た。
【0045】
(2)使用した原料
非イオン性界面活性剤:エチレンオキサイド平均付加モル数が8.5のエマルゲン108KM(花王(株)製)
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液:平均分子量10000(特公平2−24283号公報の実施例に記載の方法に従って製造した)
炭酸ナトリウム:デンス灰(セントラル硝子(株)製)
ゼオライト:平均粒径が3.5μmのゼオライト4A型(東ソー(株)製)
ポリエチレングリコール:K−PEG6000(平均分子量8500,花王(株)製)
結晶性ケイ酸ナトリウム:SKS−6(ヘキストトクヤマ(株)製)
本発明プロテアーゼ粒子:表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品から特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき調製した造粒物(6PU/g)
蛍光染料:チノパールCBS−X(チバガイギー社製)
漂白剤粒子:炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物(特開2000-256699号公報の段落〔0019〕記載の漂白剤粒子と同様にして得た)
漂白活性剤粒子:ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの造粒物(特開2000−256699号公報の段落〔0018〕記載の漂白活性剤粒子と同様にして得た)
【0046】
実施例4
表2に示す液体洗浄剤組成物(洗剤C、及び洗剤D)を調製した。
【0047】
【表2】
Figure 0004210548
【0048】
1)炭素数12〜14の2級アルコール由来のアルキル基を有するポリオキシエチレン(平均7モル付加)アルキルエーテル(ソフタノール70、日本触媒化学工業製)
2)炭素数12〜14の2級アルコール由来のアルキル基を有するポリオキシエチレン(平均12モル付加)アルキルエーテル(ソフタノール120、日本触媒化学工業製)
3)炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにEOを平均5モル、POを平均2モル、EOを平均3モルの順にブロック付加させたもの
4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル、EOを平均8モル付加させたもの
5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル、EOを平均11.5モル付加させたもの
6)ナローレンジポリオキシエチレンアルキル(sec−C12/C13)エーテル
7)炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
8)アミド/エーテル変性シリコーンポリマー(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、BY16−906)
9)特開平10−60476号公報の11頁6行〜13行記載の方法で合成したフェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸、マレイン酸共重合体(質量平均分子量10000、固形分51.2%)
10)ペンテン/マレイン酸(50/50モル比)コポリマーのナトリウム塩(質量平均分子量7000)
11)表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品(15PU/g)
【0049】
実施例5
下記の表3に示す組成のうち、過炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウム(デンス灰)を攪拌混合しながら、ポリアクリル酸ナトリウム40%水溶液、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又は非イオン性界面活性剤、又はラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加した。次いで特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき調製した本発明プロテアーゼ粒子を添加し、全体的に均一になる程度攪拌することにより、漂白剤を調製した。
【0050】
【表3】
Figure 0004210548
【0051】
1)粒経500〜700μm
2)炭素数12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12〜14、EO平均付加モル数12)
4)平均分子量8,000
5)表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品から特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき調製した造粒物(6PU/g)
【0052】
実施例6
下記の表4に示す全自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(洗剤G、及びH)を調製した。
【0053】
【表4】
Figure 0004210548
【0054】
1)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(平均分子量2,000)
2)炭素数12〜14のsec−アルコールのエチレンオキサイド7モル、及びプロピレンオキサイド8.5モル付加物
3)JIS 2号珪酸ナトリウム
4)アクリル酸−マレイン酸共重合体
5)デュラミル60T(TM)(ノボザイムズ社製)
6)表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品から特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき調製した造粒物(6PU/g)
【0055】
実施例7
下記の表5に示す各成分を用い、硬質表面用洗浄剤組成物(洗剤J)を得た。
【0056】
【表5】
Figure 0004210548
【0057】
1)ポリオキシエチレン(EOP=4)アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム
2)ポリオキシエチレン(EOP=8)アルキル(C12)エーテル
3)アルキル(C12)ポリグルコシド(縮合度1.3)
4)モノ長鎖第3級アルキル(C12)ジメチルアミンオキシド
5)アルキル(C12)ヒドロキシジメチルスルホベタイン
6)分子量10000
7)表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品(15PU/mL)
【0058】
実施例8
前記洗剤A(実施例2参照)を用いて下記表6記載の粒状洗剤を得た。
【0059】
【表6】
Figure 0004210548
【0060】
1)表1記載の本発明アルカリプロテアーゼの各精製標品から特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき調製した造粒物(6PU/g)
2)特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼK−16を特開昭62−257990号公報の実施例1に記載の方法に基づき、5PU/gとしたもの
3)KAC−500(花王(株)製)
4)リポラーゼ100T(TM)(ノボザイムズ社製)
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、分泌能が向上したアルカリプロテアーゼを得ることができ、特に高濃度の脂肪酸存在下でも活性を有し、蛋白質の他に皮脂等が混在する複合汚れに対しても優れた洗浄性を有するアルカリプロテアーゼを効率良く生産できる。
【0062】
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548
Figure 0004210548

【図面の簡単な説明】
【図1】配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるプレプロ配列と80%以上の同一性をもつアミノ酸配列からなるプレプロ配列を整列させた図である。
【図2a】図2aは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性をもつアミノ酸配列を有するプロテアーゼを整列させた図である。
【図2b】図2bは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性をもつアミノ酸配列を有するプロテアーゼを整列させた図であり、図2aに続く図である。

Claims (8)

  1. プレプロ配列を含むアルカリプロテアーゼであって、当該プレプロ配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列又はこれと86.8%以上の同一性を有するアミノ酸配列において、当該配列番号1の(a)52位、(b)75位、(c)142位又はこれらに相当する位置のアミノ酸残基が、下記アミノ酸残基;
    (a)位置:アスパラギン酸、アルギニン
    (b)位置:アラニン、アルギニン
    (c)位置:リジン
    に置換された変異プレプロ配列であり、成熟酵素として配列番号2に示すアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼ。
  2. 前記配列番号1に示すアミノ酸配列と同一性を有するアミノ酸配列において、同一性が90%以上である、請求項1記載のアルカリプロテアーゼ。
  3. 請求項1又は2記載のアルカリプロテアーゼをコードする遺伝子。
  4. 請求項記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  5. 請求項記載のベクターを含有する形質転換体。
  6. 宿主が微生物である請求項記載の形質転換体。
  7. 請求項1又は2記載の変異プレプロ配列をコードする遺伝子。
  8. 請求項記載の形質転換体を用いることを特徴とする配列番号2に示すアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼの製造法。
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