JP4210212B2

JP4210212B2 - 水ベース顔料分散物、その製造およびその用途

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Publication number: JP4210212B2
Application number: JP2003512316A
Authority: JP
Inventors: ハルツ，アンドレーアス; ビハン，ロタール; ビンター，マルテイン・アレクサンダー; プフレングレ，アンドレーアス
Original assignee: Clariant Produkte Deutschland GmbH
Current assignee: Clariant Produkte Deutschland GmbH
Priority date: 2001-07-11
Filing date: 2002-06-29
Publication date: 2009-01-14
Anticipated expiration: 2022-06-29
Also published as: DE50204189D1; JP2004521182A; US7135067B2; EP1409593B1; KR20040018449A; KR100860185B1; EP1409593A1; WO2003006556A1; DE10133641A1; US20050075415A1; CN1525998A; ES2248590T3; CN1232588C

Description

本発明は、水ベースの顔料調製品、それらを調製する方法、主として乳化塗料を着色するそれらの用途、および塗料に関する。

多数の顔料分散物が、分散剤としてのアニオン性および／または非イオン性助剤を含んで多くの用途が知られている。一般に、これらの助剤は、アルキルアリール化合物、それらのアルコキシ化製品および／またはそれらのスルホン化製品である。しかし、水性系に固体を分散するのに適したこれらの分散剤は、唯一の液体媒質として水が存在する場合、得られた調製完成品が必要な特性の全てを満足するように顔料を仕上げることは不可能である。例えば、分散作業中およびその後でさえ、凝集現象や沈降が起こり、塗布媒質の粘度変化を招き、色調の変化や色彩強度の減損、遮蔽力、光沢、均質性、輝度、かつ不十分な色調再現性を招き、着色された材料が塗料を含む場合にこの状況が発生する傾向がある。また、部分的および完全な乾燥に対する抵抗性が大きく損なわれる。したがって、従来の顔料調製は、分散剤と共に、濡れ剤、増粘剤、防腐剤、粘度安定剤、および充填剤、保存剤を含み、その目的は製品が使用前に乾燥または部分乾燥しないためである。この目的のために、エチレングリコールまたはプロピレングリコールが一般に使用されてきた。しかし、環境保護の理由から、プロパンジオール、１，２−モノエチレングリコールやジエチレングリコールなどの揮発性グリコールの使用は禁止されている。

エチレングリコールまたはプロピレングリコールの代替として、欧州特許第０，７３５，１０９号はポリエーテルポリオールを使用しており、これは部分的および完全な乾燥に対する抵抗性に関して非常に良好な結果を示すものの、塗布媒質の摩擦抵抗性および磨耗抵抗性に大きな欠点がある。

したがって本発明は、部分的および完全な乾燥に対して良好な抵抗性を示し、環境汚染防止に反せず、塗布媒質の高い摩擦抵抗性と磨耗抵抗性を有する水性顔料の調製を提供することを目的とする。

α−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテル保存剤が、上記で定義した目的を達成することが見出された。

本発明は、本質的に、
ａ）少なくとも１種の有機もしくは無機顔料またはその混合物と、
ｂ）平均分子量２５０〜１０００ｇ／モルのα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルと、
ｃ）水性顔料分散物の調製用の通常の分散剤と、
ｄ）水と、
ｅ）所望すれば、さらに通例の添加剤とからなる顔料分散物を提供する。

好ましい顔料分散物は、本質的に、
ａ）１０〜８０重量％、特に２０〜７０重量％の少なくとも１種の有機もしくは無機顔料と、
ｂ）平均分子量２５０〜１０００ｇ／モル、より好ましくは４００〜６００ｇ／モル、特に４７０〜５３０ｇ／モルのα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルを、１〜５０重量％、より好ましくは２〜３０重量％、非常に好ましくは４〜２０重量％、特に５〜１０重量％と、
ｃ）２〜２５重量％、特に３〜１５重量％の通常の分散剤と、
ｄ）５〜８０重量％、特に１０〜６０重量％の水と、
ｅ）０〜５重量％の通例の添加剤とからなり、
各場合において、重量％は、顔料分散物の総重量を基準とする。

本発明の目的のための有機顔料の例には、モノアゾ顔料、非アゾ（ｄｉｓａｚｏ）顔料、レーキアゾ顔料、トリフェニルメタン顔料、チオインジゴ顔料、チアジンインジゴ顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントアントロン（ａｎｔｈａｎｔｈｒｏｎｅ）顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ナフトール顔料、およびキノフタロン顔料、および、ファーネスブラックもしくはガスブラック群からの酸性〜アルカリ性カーボンブラックである。

適切な無機顔料の例には、二酸化チタン、硫化硫黄、酸化鉄、酸化クロム、群青、酸化チタンニッケルアンチモンもしくは酸化チタンクロムアンチモン、酸化コバルト、およびバナジウム酸ビスマスがある。また、例えば、微細に粉砕した鉱石、鉱物、溶解性の乏しいもしくは非溶解性の塩、ワックスもしくはポリマーの粒子、穀物保護製品および殺虫剤、光学的光沢剤、および染料などを固体として含む分散物を挙げることができる。

本発明によって使用されるα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルは、好ましくは式（Ｉ）の化合物である。

Ｈ_３Ｃ−Ｏ−［−ＣＨ_２ＣＨ_２−Ｏ−］_ｍ−Ｈ（Ｉ）
式中、ｍ＝９〜３５（平均で）である。

本発明の目的のための好ましいα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルは、メチル化しないポリグリコールエーテルの留分を含む。この種の製品は、市場で入手可能であり、５０〜２００ｍｇ／ｇ、特に１０６〜１１９ｍｇ／ｇのＫＯＨ水酸基数（ＡＳＴＭＤ４２７２−９４ｄ）を有する。

成分ｃ）として適切な化合物は、アニオン性、カチオン性、および非イオン性の界面活性剤化合物を含む。１つ以上の中間鎖もしくは長鎖の炭化水素鎖を有する分散剤は特に確立されている。本発明の化合物の使用可能性をこれらの例に限定するものではないが、この時点では、多数の化合物の中から１つの選択だけを挙げる。例として、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、リン酸アルキル、およびスルホン酸アルキルベンゼン、例えば、硫酸ラウリル、硫酸ステアリル、スルホン酸ドデシル、スルホン酸オクタデシル、スルホン酸ドデシル、脂肪酸とタウリンもしくはスルホン酸ヒドロキシエタンとの縮合製品、アルキルフェノールのアルコキシ化製品、キャスター油ロジンエステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪酸、および脂肪酸アミド、ノニルフェノールと比較的短鎖の置換アルキルフェノールとの反応製品およびそのポリマー誘導体、例えば、ホルムアルデヒド縮合製品、また、例えばポリアクリレートおよびそれらのアルコキシレートなどのポリマー化合物がある。

通例の適切な添加剤には、沈降防止剤、濡れ剤、保存剤、粘度安定剤、および流動性に影響を与える添加剤が含まれる。

また、本発明は、本発明の顔料分散物を製造する方法を提供し、粉状、顆粒状もしくは水性の圧縮ケーキ状の成分（ａ）を、水および成分（ｂ）と（ｃ）の存在下、従来のようにして分散すること、引き続き、適切であれば、水（ｄ）および／または（ｅ）に混合すること、および得られる水性顔料分散物を必要な濃度に水で調節することとを含む。

好ましくは最初に成分（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）、（ｅ）を混合し、成分（ａ）を最初の混合物中に攪拌し、得られる混合物を、使用する顔料の顆粒硬度によって、攪拌機、溶解機、ロータ−ステータ製粉機、ボールミル、サンドミルやビーズミルなどの攪拌機構を備えたボールミル、高速攪拌機、ニーディング装置または高性能ビーズミルで分散する。

このようにして調製した液体ないしペースト状の顔料調製品は、天然および合成材料の両方を着色するのに適している。それらは、高い凝集安定性、および貯蔵安定性、色彩強度、光沢、均質性、輝度、および高い摩擦抵抗性および磨耗抵抗性に優れている。それらは、乳化塗料、分散ワニスを含んで塗料の着色に、織物印刷インク、フレキソ印刷インクもしくはグラビアインクなどの印刷インクに、壁紙インクに、水希釈可能な塗布材料に、木材防腐系に、ビスコース溶液染料に、ワニスに、ソーセージ容器に、種に、ガラス瓶に、屋根ふき材屋根板の全体着色に、しっくいに、木材着色に、紙材に、色鉛筆の芯、フェルトペン、芸術家のインク、ボールペンのペースト、白墨、洗剤および洗浄製品、靴の手入れ製品、ラテックス製品の着色、研磨剤に、およびプラスチックや高分子量の材料の着色に特に有用である。

さらに本発明の顔料分散物は、１成分もしくは２成分トナー粉（また、１成分もしくは２成分現像剤とも呼ばれる）、磁気トナー、液体トナー、重合トナー、およびさらに特別のトナーなどの電子写真トナーおよび現像剤の着色剤としての用途にも適している。

さらに本発明の顔料分散物は、水性および非水性ベースの両方のインクジェットインクの着色剤として、また、ホットメルト法によって動作するインク、またはマイクロエマルジョンをベースにしたインクの着色剤として使用するのに適している。

本発明の顔料分散物はいかなる割合でも水と混和性があり、多くの水性乳化塗料において、顕著な凝集安定性および貯蔵安定性で従来の顔料分散物に優る。疎水性塗料結合剤系に相溶性のある添加剤を使用して顔料分散物を調製する場合、疎水性媒質中でさえ凝集安定性のある分散物を製造することが可能である。特に注目すべきことは、良好な流動特性および異なる塗布媒質への分散が優れていることである。

以下の実施例で、部は重量部を表す。

摩擦抵抗性および磨耗抵抗性は、それぞれＤＩＮ５３７７８およびＤＩＮＥＮ１３３００に従って試験した。

試験中の乳化特許品はレニータシート（Ｌｅｎｅｔａｓｈｅｅｔ）に塗布して乾燥する。乾燥したサンプルコーティングを、特定の条件下で、前後に動く摩擦ブラシを備える特殊な摩擦装置で湿式摩擦にかける。少なくとも１０ｃｍ長さの平行な２つの痕が基板の下まで擦傷を受けた時に試験を終了し、摩擦数（前後ブラシストローク）を記録する。

４８部のＣ．Ｉ．ＰｉｇｍｅｎｔＹｅｌｌｏｗ７４と、８部のポリフェノールアルコキシレートと、７．５部のα−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル（Ｍｖ４７０〜５３０ｇ／モル）と、０．６部の保存剤と、３５．９部の脱塩水とを３０〜４０℃でビーズミル（Ｄｒａｉｓ製）を用いて２８０部の酸化ジルコニウムビーズ（ｄ＝１ｍｍ）で粉砕した。次いで粉砕媒質を分離して取り出し、顔料調製品を単離した。

顔料調製品は非常に透明な色調で高い色彩強度を有し、高い流動性と貯蔵上の安定性があることが見出されている。すなわち、サンプルは５０℃で５週間の高温貯蔵にもかかわらず、高い流動性を保つ。

９００回の前後ブラシストロークの磨耗抵抗性が２８日間の乾燥時間後に得られている。α−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテルの替わりにプロピレングリコールを用いた同じ顔料の調製品は、２８日間の乾燥時間後、８００回の前後ブラシストロークの磨耗抵抗性しか示していない。

４７部のＣ．Ｉ．ＰｉｇｍｅｎｔＲｅｄ１１２と、１０部のスチリルフェニルエトキシレートと、７．５部のα−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル（Ｍｖ４７０〜５３０ｇ／モル）と、０．６部の保存剤と、３４．９部の脱塩水とを３０〜４０℃でビーズミル（Ｄｒａｉｓ製）を用いて２８０部の酸化ジルコニウムビーズ（ｄ＝１ｍｍ）で粉砕した。次いで粉砕媒質を分離して取り出し、顔料調製品を単離した。

５０部のＣ．Ｉ．ＰｉｇｍｅｎｔＹｅｌｌｏｗ１と、８部のスチリルフェニルエトキシレートと、７．５部のα−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル（Ｍｖ４７０〜５３０ｇ／モル）と、０．６部の保存剤と、３３．９部の脱塩水とを３０〜４０℃でビーズミル（Ｄｒａｉｓ製）を用いて２８０部の酸化ジルコニウムビーズ（ｄ＝１ｍｍ）で粉砕した。次いで粉砕媒質を分離して取り出し、顔料調製品を単離した。

４０部のＣ．Ｉ．ＰｉｇｍｅｎｔＢｌａｃｋ７と、８部のスチリルフェニルエトキシレートと、３部のポリフェノールアルコキシレートと、７．５部のα−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル（Ｍｖ４７０〜５３０ｇ／モル）と、０．６部の保存剤と、４０．９部の脱塩水とを３０〜４０℃でビーズミル（Ｄｒａｉｓ製）を用いて２８０部の酸化ジルコニウムビーズ（ｄ＝１ｍｍ）で粉砕した。次いで粉砕媒質を分離して取り出し、顔料調製品を単離した。

４５部のＣ．Ｉ．ＰｉｇｍｅｎｔＢｌｕｅ１５：３と、１３部のアリールポリグリコールエーテルと、７．５部のα−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル（Ｍｖ４７０〜５３０ｇ／モル）と、５部のグリセロールと、０．６部の保存剤と、２８．９部の脱塩水とを３０〜４０℃でビーズミル（Ｄｒａｉｓ製）を用いて２８０部の酸化ジルコニウムビーズ（ｄ＝１ｍｍ）で粉砕した。次いで粉砕媒質を分離して取り出し、顔料調製品を単離した。

４０部のＣ．Ｉ．ＰｉｇｍｅｎｔＹｅｌｌｏｗ１５４と、８部のスチリルフェニルエトキシレートと、３部のポリフェノールアルコキシレートと、７．５部のα−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル（Ｍｖ４７０〜５３０ｇ／モル）と、０．６部の保存剤と、４０．９部の脱塩水とを３０〜４０℃でビーズミル（Ｄｒａｉｓ製）を用いて２８０部の酸化ジルコニウムビーズ（ｄ＝１ｍｍ）で粉砕した。次いで粉砕媒質を分離して取り出し、顔料調製品を単離した。

７６０回の前後ブラシストロークの磨耗抵抗性が２８日間の乾燥時間後に得られている。対照的に、α−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテルの替わりにプロピレングリコールをベースにする調製品は、２８日間の乾燥時間後、７１０回の前後ブラシストロークしか耐えない。

Claims

本質的に、
ａ）少なくとも１種の有機もしくは無機顔料またはその混合物と、
ｂ）平均分子量２５０〜１０００ｇ／モルのα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルと、
ｃ）水性顔料分散物の調製用の通常の分散剤と、
ｄ）水と、
ｅ）所望すれば、さらに通例の添加剤とからなる顔料分散物。
本質的に、
ａ）少なくとも１種の有機もしくは無機顔料１０〜８０重量％と、
ｂ）平均分子量２５０〜１０００ｇ／モルのα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテル１〜５０重量％と、
ｃ）通常の分散剤２〜２５重量％と、
ｄ）水５〜８０重量％と、
ｅ）０〜５重量％の通例の添加剤とからなり、各場合において、重量％は、顔料分散物の総重量基準である請求項１に記載の顔料分散物。
本質的に、
ａ）少なくとも１種の有機もしくは無機顔料２０〜７０重量％と、
ｂ）平均分子量２５０〜１０００ｇ／モルのα−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテル２〜３０重量％と、
ｃ）通常の分散剤３〜１５重量％と、
ｄ）水１０〜６０重量％と、
ｅ）０〜５重量％の通例の添加剤とからなり、各場合において、重量％は、顔料分散物の総重量基準である請求項１または２に記載の顔料分散物。
前記α−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルを４〜２０重量％含む請求項３に記載の顔料分散物。
前記α−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルが、４００〜６００ｇ／モルの平均分子量を有する請求項１乃至４のいずれか一項に記載の顔料分散物。
前記α−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルが、４７０〜５３０ｇ／モルの平均分子量を有する請求項１乃至５のいずれか一項に記載の顔料分散物。
前記有機顔料が、モノアゾ顔料、非アゾ（ｄｉｓａｚｏ）顔料、レーキアゾ顔料、トリフェニルメタン顔料、チオインジゴ顔料、チアジンインジゴ顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントアントロン（ａｎｔｈａｎｔｈｒｏｎｅ）顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ナフトール顔料、キノフタロン顔料、およびファーネスブラックもしくはガスブラック群からの酸性ないしアルカリ性カーボンブラックである請求項１乃至６のいずれか一項に記載の顔料分散物。
粉状、顆粒状もしくは水性の圧縮ケーキ状の成分（ａ）を、水および成分（ｂ）と（ｃ）の存在下で分散すること、引き続き、適切であれば、水（ｄ）および／または（ｅ）に混合すること、および適切であれば、得られる水性顔料分散物を水で希釈することを含む請求項１乃至７のいずれか一項に記載の、顔料分散物を製造する方法。
天然または合成材料を着色する請求項１乃至７のいずれか一項に記載の顔料分散物の使用。
乳化塗料を含む塗料、分散ワニス、印刷インク、壁紙インク、水希釈可能な塗布材料、ソーセージ容器、種、ガラス瓶、しっくい、木材着色、紙材、色鉛筆の芯、フェルトペン、芸術家のインク、ボールペンのペースト、白墨、洗剤および洗浄製品、靴の手入れ製品、ラテックス製品、研磨剤、プラスチック、電子写真のトナーおよび現像剤、粉体塗料材料、インクジェットインクを着色する請求項９に記載の使用。