JP4210092B2 - 放射線存在下の金属酸化物イオンの自動還元方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射性医薬品分野における放射性薬剤の製造に際して用いられる金属酸化物イオンの還元反応及び当該還元反応によって得られる還元体の錯体生成反応に関する。詳細には、本発明は、塩化スズ化合物等の無機還元剤、有機還元剤などの還元剤を添加することなく、放射線照射下で生成する還元種によって金属酸化物イオンを自動的に還元する方法に関し、特に、Tc−99m過テクネチウム酸還元体の製造及びTc−99m過テクネチウム酸還元体によるTc−99m錯体の製造に有用である。
【0002】
【従来の技術】
放射性核種で標識された種々の化合物が放射性薬剤として開発され、多くの医療施設で核医学診断に用いられている。これらの薬剤は、診断に適切な半減期、エネルギー特性等をもった放射性核種で標識された化合物を主成分とする。標識に用いる放射性核種のなかでも、放射性遷移金属であるテクネチウム−99m(以下Tc−99m)は、とりわけ代表的な核種といえよう。これは、半減期6.01時間のガンマ線放出核種であり、モリブデン−99−テクネチウム−99mジェネレーター装置から必要に応じ何時でも得ることができる。このTc−99mは、種々の標識放射性薬剤を医療現場において調製できるため簡便性を有しており、また、予め調製されたTc−99m標識放射性薬剤も商業的に供給されており、多くのTc−99mで標識された錯体化合物が放射性薬剤として種々の臓器、疾患の診断目的に開発されてきた。
【0003】
例えば、テクネチウムスズコロイド(Tc−99m)は、Tc−99m過テクネチウム酸ナトリウム(Tc−99m)注射液と塩化第一スズとを混合し、注射剤の製法により調製できる(放射性医薬品基準ハンドブック参照)。
このテクネチウムスズコロイド(Tc−99m)は、粒子径が1μmから5μmのコロイド状化合物である。このコロイド状化合物は、投与後、80〜85%が肝臓及び脾臓に集積する性質をもち、臨床においてコロイド肝シンチグラフィ用薬剤として、主としてKupffer細胞の異物貪食能に基づくイメージング像を得るために用いられている(久田欣一ら、最新臨床核医学、金原出版、1991)。
【0004】
一方、Tc−99m標識放射性薬剤の多くは、Tc−99m錯体自体からなる化合物、或いはTc−99mとの錯体形成部分を有する低分子化合物または高分子化合物である。即ち、Tc−99mは、錯体形成能のある基を有するか当該基で修飾された化合物、すなわち、リガンドと錯体を形成させることにより、Tc−99m標識放射性薬剤として調製される。
一般に、Tc−99m錯体の製造は、ジェネレーターから溶出して得られるTc−99m過テクネチウム酸塩イオン(以下99mTcO4 −)溶液を還元剤の存在下で、リガンドへ添加することにより行われる。
このようにして得られたTc−99m錯体において、Tc−99m自身は種々の価数を有している。即ち、ジェネレーターより溶出された7価である99mTcO4 −は、必要な価数の形に還元され、種々の錯体を形成する。
上記方法の99mTcO4 −の還元によると、錯体はしばしばTc=O部分を含むTc錯体へ導かれ、その場合のテクネチウムは+4または+5の酸化状態にある。このような放射性薬剤錯体の形成は往々にして[Tc(V)OX5]2−または[Tc(IV)X6]2−分子に対する置換反応を経て起こり、それは実用性のある合成経路であると認められた(非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0005】
放射性遷移金属標識を目的として錯体形成反応を行う際、過酸イオンである99mTcO4 −等の化学的還元に使用される還元剤としては、通常は、スズ、亜鉛、鉄などの金属もしくは塩化スズ、フッ化スズ、塩化クロム、酢酸クロム、水素化ホウ素ナトリウムなど、または、これらと有機酸もしくは無機酸との組み合わせが用いられる。
【0006】
現在、Tc−99m標識用の還元剤として多用されているのは、塩化第一スズである。しかし、このような金属性の還元剤の使用については、幾つかの問題点が指摘されている。
【0007】
Tc−99m−ヒドロキシメチレンジホスホン酸(以下Tc−99m−HMDP)やTc−99m−メチレンジホスホン酸(Tc−99m−MDP)などのTc−99m−ジホスホネート製剤は、骨シンチグラフィ用の放射性薬剤として広く用いられている。例えばTc−99m−HMDPは、99mTcO4 −と、塩化第一スズ・ヒドロキシメチレンジホスホン酸とを混合し注射剤の製法により調製される(放射性医薬品基準ハンドブック参照)が、このTc−99m−ジホスホネート製剤等は、その製法の性質上、溶液中に、Tc−99mの錯体とスズの錯体が混在したり、また、多核錯体を形成するおそれがある。
また、Tc−99m−ジホスホネート製剤が、溶液中で単一純粋種でないことを示すという報告がある。この報告は、高速液体クロマトグラフィーによる分析において多くのピークが検出され、各々の同定結果から、この製剤が各成分の錯体混合物から成ることを示している(Pinkerton、Deutschら,Anal.Chem.52,1106−1110(1980))。
【0008】
また、Deutschらは、スズは、Tc−99m過テクネチウム酸の還元だけでなく、Tc−99m錯体の生成に深く関与していることを示した。即ち、ジメチルグリオキシム存在下で、Tc−99m過テクネチウム酸を塩化第一スズで還元し、錯体を生成させたとき、Tc−99m−スズ−ジメチルグリオキシム錯体が生成していること、即ち、スズが錯体形成に関与していることをX線構造解析により示した(Deutschら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,73,12,4287−4289(1976))。
【0009】
Tc−99m標識時に金属還元剤を使用するもう一つの問題として、還元剤添加時の問題がある。
テクネチウム−99m標識は、低分子のTc−99m錯体化合物だけでなく、放射性医薬品として多くの生理活性物質の標識、例えば、タンパク質、ペプチド化合物及び核酸並びにそれらの誘導体の標識に応用されている。
しかしながら、このようなタンパク質などの生理活性物質に塩化第一スズ等の還元剤を添加して行われるTc−99m錯体調製方法は、しばしば過剰の還元剤が用いられるために、還元剤自身の安全性及び還元剤による失活や副生成物の問題を生じることもある。還元剤の安全性は、医薬品としての使用時に問題となり、還元剤による失活や副生成物等の問題は、タンパク質、ペプチド及び核酸のような化合物をTc−99m標識する際に特に問題となり、標識条件を細かく検討する必要がある。
【0010】
Cabralらは、標識の際に用いられる塩化第一スズが誘発するDNAの損傷について検討を行っている(Cabralら,Mutation Res.408,129−135(1998))。
【0011】
また、かかる問題点を解決するために、塩化スズを結合させた樹脂もTc−99m標識放射性薬剤の調製に用いられている。Nakayamaらは、タンパク質や抗体等の標識における塩化第一スズを用いることの短所を改善するために、アミノホスホン酸を有する樹脂とスズ(II)との錯体を作成し、99mTcO4 −を還元し、標識に用いた。このように、スズ(II)イオンが結合した樹脂を用いることにより、Tc−99m標識化合物の溶液中にスズの混入を最小とすることができることを説明している(非特許文献2参照)。
【0012】
Lathamらは、TcO4 −を塩酸と反応させTcCl6 2−を形成し、該TcCl6 2−をヒドロキシルアミン誘導体と反応させ[Tc(NO)Cl4]−を形成させ、リガンドとの反応に供する方法を開示している(特許文献1参照)。
【0013】
この他にも、塩化第一スズを用いない99mTcO4 −の還元方法に関する先行技術として、放射性診断薬剤の製造分野ではないが以下の報告がある。
特開平6−27294号公報では、放射能汚染金属からのテクネチウム放射能汚染物の抽出方法において、テクネチウムで汚染された金属を電解質中で溶解し、テクネチウムを電気精錬回路で直接除去する方法を開示している。この方法は、陽極液中のテクネチウム原子価をTc(VII)7価からTc(IV)4価へ減少させてTcO2を沈殿させることを特徴としている。このような還元反応を効率的に行うには、塩酸のような還元酸が用いられる。また、さらに還元を促進するには、塩化第一スズ、塩化鉄、塩化銅等の金属塩化物或いはCO、H2S等の化学還元剤も使用される。
しかしながら、上記の方法で特定の放射性核種で標識された化合物を含有する放射性薬剤の中に、高濃度の塩酸、その他の化合物を添加することは、その応用に限界があるのは明白である。
【0014】
過酸イオンの化学的還元に使用される還元剤は、金属化合物に限らず、非金属還元剤を用いることもできる。ジフェニルホスフィノベンゼン−3−スルホン酸ナトリウム、ホルムアミジンスルホン酸或いはグルコヘプタン酸等の非金属還元剤をTc−99m標識に用いる方法は、我々の研究の一つにおいて既に述べた(特許文献3参照)。これは、専ら、錯体形成能のある基により、金属性の還元剤由来の金属がキレートされないことを目的としている。
【0015】
ところで、放射線が物質に及ぼす影響については古くから種々の検討が行われている。放射線分解による種々の化合物の生成はよく知られている。一般に、放射線が物質内を通過する際、放射線は物質内の原子や分子との相互作用により、そのエネルギーを失う。このとき、放射線の化学作用には、放射線の吸収と、これに続いて起こるイオン化の過程がある。この反応には、中性活性分子種の他にイオン及び電子が関与する。
この過程で、放射線により水が分解されて生じる還元種は、H・、H2、e(溶媒和電子)等があり、また、酸化種はOH・、H2O2、O2等がある。
【0016】
放射線分解の例を幾つか挙げる。原子炉一次冷却系では、炉水が、炉心近傍で中性子やガンマ線等の強い放射線照射場に曝される結果、水の放射線分解が起こり、水中に侵食性の酸素、過酸化水素をはじめとして種々のラジカルやイオンが形成される(特許文献4参照)。
【0017】
一方、原子炉で扱われる放射能量ほどではないが、商業的に供給される放射性医薬品を製造する現場、即ち、研究レベル以上の放射能量が取り扱われる場合でも放射線分解が起こる。
放射線医学総合研究所では大型サイクロトロンによる核種の製造と高比放射能を有する陽電子放出核種画像診断装置(PET)による核医学的診断用放射性薬剤の開発研究を行っている。現在、PET用放射性薬剤である炭素−11標識PET薬剤は比放射能として数キュリー/マイクロモルで得られているが、これまでの平均的比放射能をはるかに上回る50キュリー/マイクロモルの超高比放射能を有する炭素−11標識PET薬剤を得ることが可能となった。しかしながら、このような超高比放射能体では放射線による自己分解が問題となることを見出し、その機構として水和電子の関与が示され、NaNO3の添加により放射性分解を抑制することができることを示した(非特許文献3参照)。
【0018】
このように、炭素−11標識PET薬剤の超高比放射能の溶液中で、化合物の放射線による自己分解が酸化剤である硝酸ナトリウムを添加することにより抑制できた事は、放射線によって還元種が生成したことを示している。
【0019】
以上のように、高比放射能の溶液中では、酸化種、還元種等が生成すること、及び放射線分解が起こりうる状況が存在することを鑑みると、放射性医薬品の製造現場の条件によっては、放射能の溶液に含まれる少量のイオン特に過酸イオン、特に、99mTcO4 −の取り扱いの際には、放射線分解で生じた酸化種、還元種によるその化学形の変化を考慮しなければならない状況にあるといえる。
【0020】
放射線分解産物の捕捉剤として、一般的に、プロトン捕捉剤(NH3、アミン類、アルコール類)、電子捕捉剤(SF6,N2O,ハロゲン化物)、ラジカル捕捉剤(オレフィン、NO,I2、O2)等がある。
しかしながら、前述の還元反応を行う際と同様に、放射性医薬品の分野では、放射線分解を防止するためとはいえ、特定の放射性核種で標識された化合物を含有する放射性薬剤の中に、これらの化合物を添加することには慎重でなければならない。
【0021】
【特許文献1】
特公平5−76953号公報
【特許文献2】
特開平6−27294号公報
【特許文献3】
特開2001−114792号公報
【特許文献4】
特開平5−100087号公報
【非特許文献1】
Deutschら,「テクネチウム化学及びテクネチウム放射性薬剤」、Prog.Inorg.Chem.,1982年,第30巻,175ページ
【非特許文献2】
Nakayama,M.ら,“Characterization of Insoluble Macromolecular Sn(II) Complex and its Application to the 99mTc Labeling of Human Serum Albumin-bearing Mercapto Groups”,Appl.Radiat.Isot.1994年,第45巻,第1号,41−47ページ
【非特許文献3】
間賀田泰寛ら,「がん内用放射線治療薬剤の開発研究の現状」,Isotope News,2002年,4月,12−15ページ
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べた状況を鑑みると、塩化スズのような化合物をTc−99m放射性薬剤の標識に用いたとき、還元剤由来のスズ等の金属による錯体の形成、被標識体であるタンパク質等の変性や失活などの問題点を踏まえて、これらの影響のない放射性標識条件の検討が必要である。また、Tc−99m放射性薬剤の標識の際、高放射能の存在下では放射線によって生成する種々の還元種、酸化種等の物質が及ぼす影響に対して反応条件のコントロールを必要とする場合がある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、99mTcO4 −を還元しTc−99m錯体を製造する条件を鋭意検討した結果、従来、塩化スズ等の還元剤が必要であった遷移金属の酸化物イオンの還元方法について、特に99mTcO4 −の還元において、還元剤を用いずに還元する方法を見出した。即ち、高放射能濃度の99mTcO4 −溶液中で水の放射線による酸化、還元反応で生成した酸化種及び還元種のうち、酸化種を除去して還元種のみを優勢に存在させる条件を作り出すことによって、99mTcO4 −を還元する方法を見出した。また、更には、本発明の還元方法によって生成したTc−99m過テクネチウム酸還元体を種々のリガンド化合物が捕捉し、錯体を形成することが認められた結果から、従来技術のような還元剤を用いない、Tc−99m標識錯体の自動的な製造方法を見出した。
【0024】
かくして、本発明の一局面によれば、溶液中の金属酸化物イオンを還元する方法であって、還元剤を添加することなく放射線存在下にて前記溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元する方法が提供される。
【0025】
また、本発明の別の局面によれば、還元剤を添加することなく放射線存在下にて、錯体形成のためのリガンドおよび金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともにリガンドと錯体を形成させる方法が提供される。
【0026】
また、本発明の更に別の局面によれば、還元剤を添加することなく放射線存在下にて、金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともに、該溶液に錯体形成のためのリガンドを含む溶液を添加することにより錯体を形成させる方法が提供される。
【0027】
本発明は、金属酸化物イオンを含む溶液を放射線存在下に置くことを特徴とする。本明細書において、「放射線存在下」なる用語は、溶液に含まれる金属酸化物イオンが放射性金属酸化物イオンそれ自体である場合、溶液に含まれる金属酸化物イオンが放射性金属酸化物イオンを含む場合、金属酸化物イオンを含む溶液が放射性同位元素を含む溶液である場合、及び、金属酸化物イオンを含む溶液に放射線を外部から照射または曝露させる場合のいずれの場合も包含する意味で用いられる。本発明において、「放射線存在下」なる状態を作り出すに必要な具体的な放射能量および放射能濃度は、製造条件によって異なるが、水の放射線による酸化・還元反応で還元種が生起するのに十分な量であればよく、Tc−99mなどの場合、通常、自動還元開始時に放射能濃度が10GBq/mL以上、好ましくは25GBq/mL以上または放射能総量が80GBq以上であればよい。なお、本発明の方法は継続して数時間にわたり行われることもあるので、放射性金属酸化物イオンはその核種固有の物理学的半減期に従い、経時的に減衰してゆく。たとえば、Tc−99mの物理学的半減期は6.01時間であり、本発明の自動還元開始から6時間を経過するとTc−99mの放射能量および放射能濃度は開始時の0.5倍となっている。したがって、自動還元開始以後は上記数値以下の放射能量、放射能濃度の状態となることもあるが、その状態でも自動還元が行われていると考えられる。例えば、実験開始時に10.5GBq/mL〜13.2GBq/mLの濃度の99mTcO4 −溶液10mLを用いた場合、あるいは実験開始時に26.5GBq/mLの濃度の99mTcO4 −溶液3mLを用いた場合でも、本発明の金属酸化物イオンの自動還元が認められた。
【0028】
本発明は、金属酸化物イオンとして、特に放射性金属の酸化物イオンを用いる場合に有効であり、好適な放射性金属酸化物イオンとしては、例えば、テクネチウム−99m、テクネチウム−99、レニウム−186、レニウム−188などの核種の酸化物イオンが挙げられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について説明する。
【0030】
本発明の還元は、例えば、金属酸化物イオンを含む溶液を密閉または少なくとも気密である容器に充填し、次いで、放射線存在下、金属酸化物イオンを含む溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送るなどの手段で溶液から酸化種を除去することにより行える。この溶液自体の放射能濃度が高いとき、或いは溶液自体に放射能を有しなくても放射線を照射するか曝露させるとき、放射線による水の分解が生じる。放射線による分解の結果、溶液中に酸化種と還元種が生成する。この酸化種を除去することにより、溶液中を還元種が優勢の状態にし、金属酸化物イオンの酸化還元の可逆的反応を還元側に移行させることができる。その結果、溶液中の金属酸化物イオンを還元することができ、即ち、金属酸化物イオンの還元体を製造することができる。
【0031】
酸化種を除去するために、溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送る手段としては、容器内の溶液中にガスを一定期間バブリングし、さらに続けて容器内の気相をガスフローさせるか、或いは、単に気相をガスフローさせる方法などが採用できる。
【0032】
本発明により金属酸化物イオンを還元することにより生成する酸化物は4価であると推定される。例えば、7価の99mTcO4 −を還元して得られる還元体TcO2は4価である。
【0033】
以下に具体的操作手技を述べる。
放射線分解により生じた酸化種を除去するためには、先ず酸素をバイアル或いはボトル等の容器内から除去し、ついで放射線により生じる酸化種も除去する必要がある。この状態を達成するために、具体的には、これらの容器内の溶液中にアルゴン、窒素等のガスを吹き込む(バブリングするともいう)か、または、容器内の気相をこれらのガスでガスフローするのがよい。
バブリングとは、ガスを液相に送り込むための管を液相中に設け、一方、ガスを容器外に送り出すためのもう一つの管を液相に触れないように気相部分に設け、一定の流速でガスを送り込み、溶液をあわ立てることにより容器内を還元種優位にする方法である。
ガスフローとは、ガスを気相に送り込むための管を液相に触れないように設け、一方、ガスを容器外に送り出すためのもう一つの管を液相に触れないように気相部分に設け、一定の流速でガスを送り込み、容器内のガスを置換する方法である。
ガスで還元種を優位にする方法は、バブリングとガスフローの操作を組み合わせると有効である。また、バブリングとガスフローの順序は、一定時間ガスをバブリングさせた後、ガスフローを一定時間行うのがさらに好ましい。また、ガスフローのみやバブリングのみでも本発明の方法は達成可能である。
本発明の具体的な実施例において、10分間バブリングし、次いで2時間ガスフローする条件を最もTc−99m過テクネチウム酸還元体の生成しやすい条件の例として示したが、当然ながら、その他にも種々の条件が可能であり、実施例中に示した条件に限定されるものではない。
ガスフローに用いるガスは特に限定されないが、アルゴン等の不活性ガス、窒素ガス等が用いられる。なお、不活性ガスや窒素ガスを流す操作により、ボトル内の水は若干蒸発し、液量の減少が認められる。
処理しようとする溶液の量や放射能量により、上記の流速、処理時間等の条件が異なることは当業者にとって明らかであるが、本発明の実施例においては、放射性医薬品の製造のスケールとして実施可能な標準的なものを例示した。しかしながら、本発明の方法は、実施例の条件だけに限られるものではない。
【0034】
液量の変化に伴うTc−99m過テクネチウム酸還元体生成の割合については、水が少ないほうが放射線分解物の生成量が少なくなり、Tc−99m過テクネチウム酸還元体の生成も少ないといえる。しかし、Tc−99m過テクネチウム酸還元体の生成は、その他にも放射能量、液量等が相互に関係する。
【0035】
本発明の方法は、バブリングやガスフロー操作を行うのに支障がない大きさであれば、容器の大きさには直接依存しないものと考えられるが、代表的なスケールである250mlボトルを用いる場合、アルゴンガスのバブリングを10分間行うことによってボトル内の空気を十分にアルゴンガスや窒素ガスに置き換え、さらにガスフローを2時間程度行うことが有効である。
【0036】
本発明の方法により生成したTc−99m過テクネチウム酸還元体は、溶液を孔径0.1μmのフィルターでろ過することにより除去されたことから、0.1μm以上の粒子径を有するコロイド状化合物である。また、このTc−99m過テクネチウム酸還元体の成分はほとんどが肝臓に集積する成分であることも示された。TcO2の約90%が肝臓及び脾臓に集積する性質はすでに報告されていること(最新臨床核医学−基礎編、朝倉書店参照)から、この実験により得られたTc−99m過テクネチウム酸還元体はTcO2であると推定される。
【0037】
本発明の方法で製造されたTc−99m過テクネチウム酸還元体は、十分な時間ガスフローを行うことにより高率に得られるが、酸素により可逆的に酸化され、再び99mTcO4 −を生じる。従って、生成したTc−99m過テクネチウム酸還元体溶液の保存は密封された容器で行われることが好ましいが、錯体を生成させる等の使用時までアルゴン、窒素等のガスフローを行うことがさらに好ましい。
【0038】
本発明の方法による金属酸化物イオンの還元は可逆的な反応であることが確認されているので、酸化反応をより阻害することにより、より多くの還元体を生成させる状態にすることがより効果的である。この一つの方法として、本発明の方法では、酸化種を除去して還元を促進させるために少量の添加剤を加えてもよい。例えばエタノールなどのアルコール類、アスコルビン酸等のような水酸基を有する化合物が、酸化反応の阻害に効果を示す。
例えば、エタノールを含有している溶液は、Tc−99m過テクネチウム酸還元体をより多く生成させることが確認されている。このように、エタノールは水の放射線分解物の酸化種を除去し、可逆的に行われる99mTcO4 −の酸化反応を阻害する作用を有する。
アスコルビン酸は、還元作用を有するとされ、医薬品では抗酸化剤として用いられている。Tc−99m標識放射性薬剤の分野では、99mTcO4 −の錯体形成反応にアスコルビン酸が還元剤としてではなく、専ら添加剤として使用される。本発明の方法の条件下、アスコルビン酸は、還元を促進するための剤として添加することが有効である。
還元を促進させるためのこれらの添加剤は、いずれも薬剤として添加するのに容認される範囲で使用される。
【0039】
還元を促進させるためには、還元体をDTPA等のリガンドで捕捉することも有効な方法の一つである。
本発明の方法により得られたTc−99m過テクネチウム酸還元体は、用途に応じて保存され、または、次いで行われる錯体形成のためのリガンドとの錯体形成反応に供される。また、本発明の方法により得られたTc−99m過テクネチウム酸還元体は、錯体を形成することにより、可逆的な酸化と還元の平衡反応が還元側に移動することにより、更なる錯体形成反応に寄与すると考えられる。錯体を形成するためのリガンドは特に限定されない。かかるリガンドとしては、ジエチレントリアミン五酢酸(以下DTPA)、ヘキサメチレンプロピレンアミンオキシム(以下HMPAO)、ヒドロキシメチレンジホスホン酸二ナトリウム(以下HMDP)などが挙げられる。
【0040】
ジエチレントリアミン五酢酸(以下DTPA)を加えた99mTcO4 −溶液にアルゴンガスバブリングを10分間行い、次いでアルゴンガスフローを2時間行った直後に分析すると75%のTc−99m−DTPAが生成していた。コントロール実験として同様の操作を、DTPAを添加せずに行うと、99mTcO4 −の還元体は1.02%検出されたに過ぎなかった。
また、Tc−99m−DTPA錯体の調製1日後においては、その放射化学的純度は88%であった。テクネチウムは水の放射線分解物により酸化還元を常時行っているが、還元されたTc−99mがDTPAとキレートを作ると、Tc−99m−DTPA中のTc−99mは酸化還元電位が変化して、容易に酸化されることなくTc−99m−DTPAが蓄積されたものと考えられる。
【0041】
本発明の方法により99mTcO4 −を還元し、ヘキサメチレンプロピレンアミンオキシム(以下HMPAO)リガンドを加えることによっても、Tc−99m還元体がリガンドに捕捉された錯体を形成できる。
【0042】
従来のTc−99m−HMDP錯体の調製方法は、99mTcO4 −溶液、リガンドであるHMDP及び還元剤である塩化第一スズ等の試薬を添加することにより錯体を生成させものであった。これに対し、本発明の方法によると、HMDPを予め、99mTcO4 −溶液に混合しておき、この溶液の入ったバイアルへ、アルゴンガスをバブリングさせ次いでガスフローを行う一段階の反応だけで、Tc−99m−HMDPを調製できる。
【0043】
以上のように、還元された金属イオンは、リガンドによって速やかに捕捉されるので、その結果、種々の金属錯体の生成が可能である。本発明では、リガンド添加の順の検討についても行った。Tc−99m過テクネチウム酸還元体が生成したのちにリガンドを添加するよりも、Tc−99m過テクネチウム酸還元体を生成させるためのガスバブリングと次いで行われるガスフロー操作の前に、予めリガンドを添加したほうが、生成した金属イオンの還元体を直ちにキレートさせることができ効率的である。尤も、試薬の添加順は、生成した錯体の収率、簡便性の他にもリガンドの性質を勘案し適宜決定されるべきである。
【0044】
以上説明した如く、本発明によれば、溶液中の金属酸化物イオンを、還元剤を用いずに還元することが可能である。この還元方法によって得られた金属酸化物イオンの還元体を、速やかにリガンド化合物と反応させて錯体を形成することができる。あるいは、予め、リガンド化合物と金属酸化物イオンとを含む溶液を調製するだけで、還元剤を用いずに直接金属錯体を形成させることができる。このような還元方法によって得られた金属錯体は、金属性還元剤を用いた方法と異なり、還元剤由来の金属による錯体を含まない。また、還元剤が化合物に与える種々の影響、たとえば、化合物の変性、失活のみならず、医薬品分野においては毒性を考慮する必要がない。金属酸化物イオンを含む医薬品、または、金属酸化物イオンを還元して得られる金属錯体を含む医薬品においては、従来、製造過程で添加しなければならなかった還元剤を含まない新しい溶液である医薬品を提供することができ、産業上利用性大なる発明である。
【0045】
本発明によれば、以上の方法により製造された放射性薬剤であって、ゆえに還元剤及びその分解産物を実質的に含まない新規な放射性薬剤が提供される。なお、本発明において、「還元剤及びその分解産物を実質的に含まない」とは、スズ等の還元剤を全く含まないか、または、還元剤としての有効量よりも少ない量しか含まないことを意味する。
【0046】
かくして、本発明の他の局面によれば、還元剤を添加することなく放射線存在下にて、金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元することによって得られた、還元剤及びその分解産物を実質的に含まない放射性薬剤が提供される。
【0047】
また、本発明の更に他の局面によれば、還元剤を添加することなく放射線存在下にて、錯体形成のためのリガンドおよび金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともにリガンドと錯体を形成させることによって得られた、還元剤及びその分解産物を実質的に含まない放射性薬剤が提供される。
【0048】
さらにまた、本発明の更に他の局面によれば、還元剤を添加することなく放射線存在下にて、金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともに、該溶液に錯体形成のためのリガンドを含む溶液を添加することにより錯体を形成させることによって得られた、還元剤及びその分解産物を実質的に含まない放射性薬剤が提供される。
【0049】
また、以上述べた薬剤には、還元剤以外の成分、例えば、安定剤、溶解剤、pH調製剤、防腐剤、賦形剤、乳化剤等の薬学的に許容できる調剤用薬または添加物を適宜含んでいてもよい。
また、本発明の薬剤は、例えば、注射剤等の剤形で提供することができる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0051】
生成物の試験に用いた薄層クロマトグラフィー(以下TLC)分析は、当業者周知の方法を使用して行った。即ち、ろ紙または薄層板に適量のサンプル液を塗布し、展開溶媒で展開したのち、放射能の分布をラジオクロマトスキャナで走査し検出された各放射能成分の割合から各々の成分の比率を求めた。
【0052】
実施例中で用いた化合物の略号は、以下のとおりである。
Tc−99m過テクネチウム酸塩イオン溶液(99mTcO4 −溶液)
ヒドロキシメチレンジホスホン酸二ナトリウム(HMDP)
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)
ヘキサメチレンプロピレンアミンオキシム(HMPAO)
【0053】
実施例1(Tc−99m過テクネチウム酸還元体を生成させるための条件)
実施日11時にTc−99m過テクネチウム酸塩イオン(99mTcO4 −)溶液(翌日12時において740MBq/mL:なお、この濃度は、Tc−99mの物理学的半減期が6.01時間であるので、実験開始時において10.5GBq/mL〜13.2GBq/mLの濃度に相当する。以下但し書がない限りこの濃度の溶液を用いる)110mLを1000mLのボトル3本にそれぞれ加えた。以下A、B、C、D及びEの操作をそれぞれ行った。
例(A):99mTcO4 −溶液を2時間静置した(1)。その後、アルゴンガスで10分間のガスフローを行った(2)。
例(B):99mTcO4 −溶液にアルゴンガスで2時間ガスフロー(3)ののち10分間バブリングを行った(4)。
例(C):99mTcO4 −溶液にアルゴンガスで10分バブリング(5)ののち2時間ガスフローを行った(6)。
例(D):99mTcO4 −溶液にアルゴンガスで2時間バブリングを行った(7)。
例(E):実施日11時に上記濃度のTc−99m過テクネチウム酸塩イオン(99mTcO4 −)溶液110mLを250mLのボトルに入れた。99mTcO4 −溶液にアルゴンガスで3時間ガスフローを行った(8)。
アルゴンガスの流速は全ての例において1L/minで行った。
以上の操作を各々行った後の各段階((1)から(8))の溶液中の99mTcO4 −の放射化学的純度をTLC分析により求めた。すなわち、サンプリングした溶液を薄層板G60(Merck製)上に塗布し、メチルエチルケトンを展開溶媒として用い展開し、その放射能分布を当業者の通常用いる検出方法、即ち、ラジオクロマトスキャナで走査し検出することにより、99mTcO4 −の放射化学的純度を求めた。その分析結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
種々のガスを通す方法を比べた表1の結果より、例(A)の(1)、(1)+(2)、及び(B)の(3)、(3)+(4)、(C)の(5)の操作を行っても、99mTcO4 −の純度に変化はなかった。一方、例(C)では、10分間のバブリングの後、2時間のアルゴンガスフローを行うこと((5)+(6))により、99mTcO4 −の純度は80.5%に低下し、Tc−99m過テクネチウム酸還元体19.5%の生成が認められた。また、アルゴンガスフローを3時間行うだけでも7.9%のTc−99m過テクネチウム酸還元体が生成した。アルゴンガスバブリングを2時間行うことによっても、0.1%の若干のTc−99m過テクネチウム酸還元体が認められた。以上の結果より、種々の条件の組み合わせの中でも、先ずバブリングを行い、その後、アルゴンガスフローを行う操作の組み合わせが、最も好ましい条件であることが認められた。
【0056】
実施例2(還元体成分の肝臓集積性)
99mTcO4 −溶液110mLにアルゴンガスを流速lL/minで10分間バブリングし、さらに2時間ガスフローさせ、この溶液の2mLをサンプリングした。この溶液を密封し翌日まで室温で保存し、2mLをサンプリングした。
ガスフロー後及び翌日のそれぞれの時点でサンプリングした試料の放射化学的純度についてTLC分析を行った。TLC系:TLCプレート シリカゲルG60(Merck製)、展開溶媒 メチルエチルケトン。分析結果を表2に示す。
【0057】
また、この試料の適量をラットに投与し、体内分布実験を行った。体内分布実験は、当業者の行う通常の方法で行った。即ち、試料の0.2mLを非絶食下のSDラットにラボナール麻酔下尾静脈に投与し、投与2時間後にラットを腹部大動脈より放血し屠殺し、各臓器を摘出しそれぞれの臓器の放射能カウント及び重量を測定し、体内分布を算出した。各臓器の放射能の割合を、臓器あたりの値である%投与量/臓器(以下%ID/臓器とする。ID:injection Dose)、またはグラムあたりの値である%投与量/g臓器(以下%ID/g臓器)で表した。体内分布の結果を表3に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
表2から、ガスフロー後に26.6%のTc−99m過テクネチウム酸還元体が検出されたが、密封し翌日まで室温で放置すると、ほとんど99mTcO4 −に変化していることから、この還元は可逆的であることが確認された。ガスフロー後と翌日の溶液を試料として、ラットに投与し体内分布の実験を行うと、ガスフロー後のサンプルでは、表3のように25.32%ID/臓器の肝集積が認められた。また、翌日の試料を用いて体内分布実験を行うと、肝臓への集積はみられなかった。その体内分布の様相は、99mTcO4 −溶液を投与したときの体内分布の代表的な様相、即ち、胃への集積性等が認められた。このように、アルゴンガスバブリング及びガスフローの処理を通して還元体を生成させたものを1日放置することで、Tc−99m過テクネチウム酸還元体が減少し、99mTcO4 −に戻っていることが、TLC分析の結果からも、ラット体内分布実験結果からも確認された。また、表3の結果より、Tc−99m過テクネチウム酸還元体は投与後2時間でそのほとんどが肝臓へ集積する化合物であることも確認された。
【0061】
実施例3(還元に用いるガスの種類の検討)
99mTcO4 −溶液約56mLを1000mLボトルに加え、ボトル内を流速1L/minのアルゴンガスで10分間バブリングし、次いで2時間アルゴンガスフローし、終了後2mLをサンプリングし、サンプリング直後とその3時間後にTLC分析を行った。TLC系:TLCプレート シリカゲルG60(Merck製)、展開溶媒 メチルエチルケトン。
また、以上の操作を、アルゴンガスを用いるかわりに窒素ガスを用いて同様に行い、同様にTLC分析を行った。
これらの両操作の結果得られた99mTcO4 −の放射化学的純度を表4に示した。
【0062】
【表4】
【0063】
表4より、アルゴンガスまたは窒素ガスを用いたいずれの方法においても99mTcO4 −の放射化学的純度が低下した。即ち、窒素ガスバブリング10分、次いで窒素ガスフローを2時間行っても、アルゴンガスを用いた場合よりも低いが、Tc−99m過テクネチウム酸還元体が生成した。
【0064】
実施例4(処理時間による変化)
250mLボトルに99mTcO4 −溶液110mLを加えた。このボトルに流速を1L/minに設定したアルゴンガスを10分間バブリングし、次いでアルゴンガスフローを行った。アルゴンガスバブリング開始前、アルゴンガスフロー開始前、アルゴンガスフロー開始後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間及び25.5時間の時点でこの溶液から分析用試料をサンプリングし、各時点での放射化学的純度の変化をTLCで分析した。TLC系:TLCプレート シリカゲルG60(Merck製)、展開溶媒 メチルエチルケトン。
アルゴンガスバブリング、次いで行ったガスフローの各時間点における放射化学的成分の変化を表5に示した。
【0065】
【表5】
【0066】
表5より、アルゴンガスフロー開始後2時間から4時間にかけてTc−99m過テクネチウム酸還元体は急速に増加し、6時間の時点で最も高い割合で存在した。4時間から8時間まではガスフローを続けることによりTc−99m過テクネチウム酸還元体はやや減少した。25.5時間のアルゴンガスフロー工程の後、空気を10分間ほどバブリングさせると約5%のTc−99m過テクネチウム酸還元体が減少し、99mTcO4 −に戻ることが確認された。
【0067】
実施例5(ろ過実験)
250mLボトルに99mTcO4 −溶液110mLを加えた。このボトルに流速を1L/minに設定したアルゴンガスを10分間バブリングし、次いでアルゴンガスフローを行った。アルゴンガスフローは開始6時間以降から0.5L/minにした。アルゴンガスバブリング開始前、アルゴンガスフロー開始前、アルゴンガスフロー開始後1時間、2時間、4時間、6時間、24時間及び72時間の時点でこの溶液から分析用試料をサンプリングし、各時点での放射化学的純度の変化をTLCで分析した。結果を表6に示す。また、72時間後にこの溶液を0.1μmフィルター(ポリカーボネイト製、孔径0.1μm、フィルター径3mm、Whatman製Nucleopore)でろ過し、ろ過前後の放射能濃度及び放射化学的純度をTLCで分析した。結果を表7に示す。TLC系:TLCプレート シリカゲルG60(Merck製)、展開溶媒 メチルエチルケトン。
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
表6より、アルゴンガスフロー後1時間から2時間にかけて、Tc−99m過テクネチウム酸還元体の生成が急速に増加した。アルゴンガスフロー後4時間がTc−99m過テクネチウム酸還元体の生成量が最高値を示した。このように、アルゴンガスフローを継続させることによって、長時間にわたりTc−99m過テクネチウム酸還元体を存在させることができた。
このTc−99m過テクネチウム酸還元体は、0.1μmのフィルターでろ過することにより除去された。したがって、Tc−99m過テクネチウム酸還元体は0.1μm以上の粒子径を有している。また、表7より、ろ過工程により放射能濃度の低下率は50%であり、ろ液の成分は全て99mTcO4 −であるから、ろ過工程により除去されたのはTc−99m過テクネチウム酸還元体であるといえる。また、バブリング72時間点で生成していた62.3%のTc−99m過テクネチウム酸還元体のうち約10%程度が、Tc−99m過テクネチウム酸還元体から逆反応により99mTcO4 −に変化したといえる。
【0071】
実施例6
15mLバイアルに99mTcO4 −溶液(検定日時において1480MBq/mL)3mLを入れ、流速0.5L/minでアルゴンガスを10分間バブリングし、その後アルゴンガスフローを行った。アルゴンガスフロー開始後2時間、4時間及び6時間の時点で溶液をサンプリングし、TLC分析により99mTcO4 −の純度及びTc−99m過テクネチウム酸還元体の割合を求めた。TLC系(99mTcO4 −の分析系):TLCプレート シリカゲルG60(Merck製)、展開溶媒 メチルエチルケトン。その結果を表8に示す(表8*1参照)。
4本の250mLボトルに、99mTcO4 −溶液をそれぞれ10mL、20mL、40mL及び60ml入れた。各々のボトルに流速1L/minでアルゴンガスを10分間バブリングし、アルゴンガスフローを行った。上記と同様にして、TLC分析により99mTcO4 −の純度及びTc−99m過テクネチウム酸還元体の割合を求めた。その結果を表8に示す(表8*2参照)。
3本の1000mLボトルに、99mTcO4 −溶液をそれぞれ110mL、300mL及び450mL入れた。各々のボトルに流速1L/minでアルゴンガスを10分間バブリングし、アルゴンガスフローを行った。上記と同様にして、TLC分析により99mTcO4 −の純度及びTc−99m過テクネチウム酸還元体の割合を求めた。その結果を表8に示す(表8*3参照)。
【0072】
【表8】
【0073】
表8より、各ボトルともアルゴンガスフローの時間経過とともに、Tc−99m過テクネチウム酸還元体が生成してゆく様相が認められた。小分け量450mLのボトルのサンプルではアルゴンガスフロー2時間から4時間にかけて、Tc−99m過テクネチウム酸還元体が急速に増加し、ガスフロー6時間後においてTc−99m過テクネチウム酸還元体の割合が98%を示した。
【0074】
実施例7
250mLのボトルに99mTcO4 −溶液55mLを加え、それぞれ0μL/mL、32.2μL/mL、322μL/mL及び3220μL/mLの濃度でエタノールを含む生理食塩液を1mL添加した。この溶液から1mLをサンプリングし、TLCにより放射化学的純度試験を行った。次に、アルゴンガスを10分間バブリングし、次いで2時間ガスフローを行った。この1mLをサンプリングしTLC分析により放射化学的純度試験を行った。TLC分析系:TLCプレート シリカゲルG60(Merck製)、展開溶媒 メチルエチルケトン。
各時点でのTLC分析結果を表9に示す。
【0075】
【表9】
【0076】
表9の結果より、微量のエタノールの添加によって、アルゴンバブリングとガスフロー処理後の99mTcO4 −還元体生成量は非添加サンプルより増加しており、エタノールも水の放射線分解産物の酸化種を除去する役割を持つといえる。
【0077】
実施例8(DTPAによるTc−99m過テクネチウム酸還元体の捕捉によるTc−99m−DTPA錯体の生成−実験(1))
pH4.5に調整されたDTPA溶液10mL(DTPA250mg含有)を250mLボトルに入れ、その後、99mTcO4 −溶液110mLを加えた。流速1L/minでアルゴンガスバブリング10分間、次いでガスフローを2時間行った。この溶液をTLC分析した結果を表10に示す。表10に示されるとおり、Tc−99m−DTPA生成量は75%であった。
【0078】
実施例9(DTPAによるTc−99m過テクネチウム酸還元体の捕捉によるTc−99m−DTPA錯体の生成−実験(2))
pH4.5に調整されたDTPA溶液4.6mL(DTPA250mg含有)を250mLボトルにいれ、99mTcO4 −溶液110mLを加えた。この99mTcO4 −溶液にアルゴンを流速1L/minで10分間バブリング後、次いでアルゴンを2時間ガスフローし、2mLをサンプリングした。残りの99mTcO4 −溶液を室温放置し、翌日に2mLをサンプリングし、TLC分析を行った。TLC系(Tc−99m−DTPAの分析系):ろ紙51B、展開溶媒 50%アセトン。各時間点での分析結果を表10に示す。表10に示されるとおり、ガスフロー後62.3%のTc−99m−DTPAが生成していることが認められ、翌日まで放置することにより、その割合は88.4%まで増加した。
【0079】
【表10】
【0080】
実施例10(HMPAOによるTc−99m過テクネチウム酸還元体の捕捉)
250mLボトルに55mgのHMPAO粉末を入れ、99mTcO4 −溶液110mLを加えた。この99mTcO4 −溶液に流速1L/minで10分間アルゴンガスをバブリング後、アルゴンを2時間ガスフローし、2mLをサンプリングした。残りの99mTcO4 −溶液を室温放置し、翌日に2mLをサンプリングし、TLC分析を行った。
なお、Tc−99mHMPAOの分析は以下(a)および(b)の2系で行った。
薄層クロマトグラフィー(a):ITLC、展開溶媒 生理食塩液、
ろ紙クロマトグラフィー(b):ろ紙 51B、展開溶媒 50%アセトニトリル。
分析結果を表11に示した。
【0081】
【表11】
【0082】
表11の2系の分析結果からTc−99m−HMPAO等各成分の割合を計算し、表12に示した。HMPAO錯体の割合の求め方は以下のとおりである。
A%:99mTcO4 −;試験系a(溶媒先端付近)
B%:Tc−99m還元水解物;試験系b(TLC原点付近)
C%:Tc−99m−HMPAO錯体;100−(A%+B%)
【0083】
【表12】
【0084】
表12より、Tc−99m−HMPAO錯体の割合は、アルゴンガスフロー直後では、58.3%、翌日は78.0%と計算された。また、アルゴンガスフロー後では99mTcO4 −が15.7%存在したのに対し、翌日には3.1%となり、99mTcO4 −以外の成分としての96.9%は、99mTcO4 −が還元されたもので、錯体あるいは分解物として検出された。
【0085】
実施例11(Tc−99m−HMDP錯体生成)
0.8mgのHMDPの入ったバイアルへ、99mTcO4 −溶液(検定日時において1480MBq/mL)約3mLを加えた。アルゴンガスを流速0.5L/minで10分間バブリングし、TLC分析を行った。分析の後、アルゴンガスフローを流量0.5L/minで行った。ガスフロー開始後3.5時間、5時間、8時間及び24時間後にTLC分析試験を行った。
TLC系(99mTcO4 −の分析系):TLCプレートシリカゲル、展開溶媒 メチルエチルケトン。
TLC系(Tc−99m−HMDPの分析系):薄層板 K2セルロース、展開溶媒 10M尿素:2M塩化アンモニウム:酢酸=49:49:2。
各時間点でのTLC分析結果を表13に示した。
【0086】
【表13】
* 99mTcO4 −と99mTc-HMDPの分離計測不能のため、紙重量で比率を求めた。
**2系からの計算値:HMDP分析系では99mTcO4 −と99mTc-HMDPを分けて計測できないので、HMDP分析系でのピークから99mTcO4 −分析系での99mTcO4 −の値を引いたものを99mTc-HMDPの割合として求めた。
【0087】
表13より、バブリング前の99mTcO4 −の放射化学的純度は100%であった。99mTcO4 −とTc−99m―HMDPの比率から、アルゴンを10分間バブリングさせただけで、Tc−99m過テクネチウム酸還元体とTc−99m−HMDPの生成が認められた。
3.5時間後では93.0%の99mTcO4 −が還元されていたといえる。また、ガスフロー8時間後では99mTcO4 −は4.1%と最も低く、99mTcO4 −はほとんど還元されている状態であった。この還元された99mTcO4 −はHMDPにトラップされ、Tc−99m−HMDPを生成していることが確認された。表13の2系の分析系から計算されたTc−99m−HMDPの生成量はガスフロー3.5時間後から8時間にかけてほぼ一定で71%以上の割合で存在した。
以上のように、ガスフローの処理を行い還元した後は、さらにガスフローを継続することにより、その時間を通してほぼ一定で71%以上の割合でTc−99m−HMDPを生成させることができた。
【0088】
実施例12(2段階HMDP調製法)
99mTcO4 −溶液110mLを250mLボトルに加え、ボトル内を流速1L/minに設定したアルゴンガスで10分間バブリングし、次いで2時間アルゴンガスフローした。その後アルゴンガスフローを予め行ったHMDP溶液(59.84mgを注射用水110mLに溶解した。pHは5.5)を添加し、1分間アルゴンガスをバブリングした。この溶液をサンプリングし分析した後、翌日まで保存し、再度サンプリングして分析を行った。
Tc−99m−HMDP錯体その他の成分の割合を表14に示した。
【0089】
【表14】
【0090】
表14の結果より、アルゴンガス処理でのTc−99m過テクネチウム酸還元体の生成は21.6%であった。次いで行われたHMDPとの錯体生成反応によって生成したTc−99m−HMDPの割合は13.2%であった。99mTcO4 −の割合は27.3%であり、それ以外の成分即ち原点成分はコロイド状化合物と考えられる。
Tc−99m−HMDP錯体の生成においては、還元体21.6%がHMDPに捕捉されるものと、次いでコロイド状化合物として生成されるものとがあるといえる。したがって、実施例11と実施例12とを比較すると、一旦、アルゴンガス処理によりTc−99m過テクネチウム酸還元体を生成させてからリガンドを添加する2段階の操作を行うよりも、アルゴンバブリング開始時にリガンドを予め添加しておくほうが、アルゴンガス処理中に生成したTc−99m過テクネチウム酸還元体を速やかに捕捉することができ、錯体の収率も良好である。
【0091】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、溶液中の金属酸化物イオンを、還元剤を用いずに、還元体に変換することが可能である。また、この還元方法によって得られた金属酸化物イオンの還元体を速やかにリガンド化合物と反応させて錯体を形成することができる。あるいは、予め、リガンド化合物と金属酸化物イオンとを含む溶液を調製するだけで、還元剤を用いずに直接金属錯体を形成させることができる。このような還元方法は、還元剤による種々の化学的影響を考慮に入れることなく、目的の金属還元体や金属錯体化合物を得ることができ、特に放射性金属の酸化物イオンから放射性金属錯体を得る放射性医薬品の製造には最適であり、産業上利用性大なる発明である。
Claims (37)
- 溶液中の金属酸化物イオンを還元する方法であって、還元剤を添加することなく放射線存在下にて前記溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元する方法。
- 酸化種は、前記溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送ることにより除去される請求項1に記載の方法。
- 金属酸化物イオンが放射性金属酸化物イオンである請求項1に記載の方法。
- 金属酸化物イオンが、テクネチウム−99m、テクネチウム−99、レニウム−186およびレニウム−188から選ばれた少なくとも1つである請求項3に記載の方法。
- 前記溶液は、金属酸化物イオン及び放射性核種を含む溶液である請求項1に記載の方法。
- 前記溶液に放射線を外部から照射または曝露させる請求項1に記載の方法。
- 不活性ガスがアルゴンである請求項2に記載の方法。
- ガスを溶液中にバブリングさせ、それに次いで気相をガスフローさせることによって酸化種を除去する請求項2に記載の方法。
- 前記溶液は還元を促進させるための薬剤を含有する請求項1に記載の方法。
- 前記還元を促進させるための薬剤がアルコール類である請求項9に記載の方法。
- 還元剤を添加することなく放射線存在下にて、錯体形成のためのリガンドおよび金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともにリガンドと錯体を形成させる方法。
- 酸化種は、前記溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送ることにより除去される請求項11に記載の方法。
- 金属酸化物イオンが放射性金属酸化物イオンである請求項11に記載の方法。
- 金属酸化物イオンが、テクネチウム−99m、テクネチウム−99、レニウム−186およびレニウム−188から選ばれた少なくとも1つである請求項13に記載の方法。
- 前記溶液は、金属酸化物イオン及び放射性核種を含む溶液である請求項11に記載の方法。
- 前記溶液に放射線を外部から照射または曝露させる請求項11に記載の方法。
- 不活性ガスがアルゴンである請求項12に記載の方法。
- ガスを前記溶液中にバブリングさせ、それに次いで気相をガスフローさせることによって酸化種を除去する請求項12に記載の方法。
- 前記溶液は還元を促進させるための薬剤を含有する請求項11に記載の方法。
- 前記還元を促進させるための薬剤がリガンドおよびアスコルビン酸から選ばれた少なくとも1つである請求項19の方法。
- 還元剤を添加することなく放射線存在下にて、金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともに、該溶液に錯体形成のためのリガンドを含む溶液を添加することにより錯体を形成させる方法。
- 酸化種は、前記金属酸化物イオンを含む溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送ることにより除去される請求項21に記載の方法。
- 金属酸化物イオンが放射性金属酸化物イオンである請求項21に記載の方法。
- 金属酸化物イオンが、テクネチウム−99m、テクネチウム−99、レニウム−186およびレニウム−188から選ばれた少なくとも1つである請求項23に記載の方法。
- 前記金属酸化物イオンを含む溶液は、金属酸化物イオン及び放射性核種を含む溶液である請求項21に記載の方法。
- 前記金属酸化物イオンを含む溶液に放射線を外部から照射または曝露させる請求項21に記載の方法。
- 不活性ガスがアルゴンである請求項22に記載の方法。
- ガスを前記金属酸化物イオンを含む溶液中にバブリングさせ、それに次いで気相をガスフローさせることによって酸化種を除去する請求項22に記載の方法。
- 前記金属酸化物イオンを含む溶液は還元を促進させるための薬剤を含有する請求項21に記載の方法。
- 前記還元を促進させるための薬剤がリガンドおよびアスコルビン酸から選ばれた少なくとも1つである請求項29の方法。
- 還元剤を添加することなく放射線存在下にて、金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元することによって得られた、還元剤及びその分解産物を実質的に含まない放射性薬剤。
- 酸化種は、前記溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送ることにより除去された請求項31に記載の薬剤。
- 還元剤を添加することなく放射線存在下にて、錯体形成のためのリガンドおよび金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともにリガンドと錯体を形成させることによって得られた、還元剤及びその分解産物を実質的に含まない放射性薬剤。
- 酸化種は、前記溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送ることにより除去された請求項33に記載の薬剤。
- 還元剤を添加することなく放射線存在下にて、金属酸化物イオンを含む溶液から酸化種を除去することにより、前記金属酸化物イオンを還元するとともに、該溶液に錯体形成のためのリガンドを含む溶液を添加することにより錯体を形成させることによって得られた、還元剤及びその分解産物を実質的に含まない放射性薬剤。
- 酸化種は、前記溶液へ不活性ガスまたは窒素ガスを送ることにより除去された請求項31に記載の薬剤。
- スズを実質的に含まない請求項31乃至36の何れか1項に記載の放射性薬剤。
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