JP4208617B2 - 電力量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷電流と負荷電圧とから電力量を計測する電力量計測手段を備えて構成される電力量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の低圧用電力量計は、消費電力量の計測及び表示のみ行っていた。このような電力量計が設置された需要家において過負荷電流が流れたとき、あるいは漏洩電流が発生したときには、電流制限器や漏電ブレーカが作動して電源が断たれることで事故防止が行われていた。
【0003】
また、下記の特許文献1には、電力量計の電源側外部に複合型カレントトランス装置を接続して、これら電力量計と複合型カレントトランス装置とを1つのケース内にパッケージ化した低圧配電線情報測定装置が開示されている。複合型カレントトランス装置は、第1,第2のカレントトランス(CT)及び零相変流器(ZCT)を備えており、第1,第2のCTによって第1,第2の各相を流れる負荷電流を計測し、ZCTによって漏洩電流を計測する。計測した負荷電流や漏洩電流は直流信号に変換して外部へ伝送する。
【0004】
また、下記の特許文献2には、電力量計の電源側の外部にCT及びZCTが配設され、電力量計の監視及び遠隔計測を行う低圧配電設備監視計測システムが開示されている。このシステムでも、CTによって各相の負荷電流が計測され、ZCTによって漏洩電流が計測される。これらの計測データは、伝送用中継装置を介して、営業所に設置されている中央処理装置へ送信される。中央処理装置は、配電設備が単相3線式の場合、一方の線間電圧の計測値が80[V]以下になると欠相状態を検出する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−88890号公報(段落[0028]〜[0036]参照)
【特許文献2】
特開2000−78716号公報(段落[0023]〜[0026]参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の低圧用電力量計は、消費電力量の計測及び表示を行うだけで配電設備の予防保全に関しての機能を持っていない。このため、電流制限器や漏電ブレーカを接続して配電設備の予防保全を従来行っていたが、電流制限器や漏電ブレーカは、一定値以上の過負荷電流や漏洩電流が実際に発生しないと作動しないため、火災や感電といった重大な事故につながる危険性があった。また、漏洩電流の計測は定期的に人手によって行われていたが、各計測時点での漏洩電流の大きさしか見ていないため、このような漏洩電流の計測によって配電設備の絶縁劣化を予防保全することは従来困難であった。
【0007】
また、特許文献1に開示された低圧配電線情報測定装置は、既存の電力量計に複合型カレントトランスを接続することで漏洩電流及び負荷電流を遠隔計測出来るようにするものであるが、これらをケース内にパッケージ化して設置するため大型化し、大きな設置スペースを設けなければならず、設置できなかったり、設置工事に手間を要した。また、電力量計の他に複合型カレントトランスについてのメンテナンスが新たに必要となる。
【0008】
また、特許文献2に開示された低圧配電設備監視計測システムは、電力量計の電源側において電力量計とは別にCTやZCTを接続しなければならず、設置工事に手間を要した。また、これらCTやZCTについてのメンテナンスも必要とされる。また、各相の欠相状態を検出することはできるが、特定の相にかかる負荷が大きくなって特定の相に大きな電流が定常的に流れた場合、負荷配分が偏り、電力供給効率の低下や配電設備の劣化を進める原因になる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、負荷電流を検出する電流検出手段と、負荷電圧を検出する電圧検出手段と、負荷電流と負荷電圧とから電力量を計測する電力量計測手段とを、電源を供給する電源側電線が接続される電源端子および電源側電線からの電源を負荷に供給する負荷側電線が接続される負荷端子が設けられた筐体内部に備えて構成される需要家に設置される電力量計において、
負荷側における漏洩電流を検出する漏洩電流検出手段と、各相毎の個別電力量及び漏洩電流の計測データを外部へ送信する通信手段と、時間を計時する時計回路と、計測データを記憶する記憶手段とを筐体内部に備え、
電流検出手段は各相における負荷電流を個別に検出し、
電圧検出手段は各線間電圧を個別に検出し、
漏洩電流検出手段は、時計回路から時間情報を取得して漏洩電流を所定時間間隔で計測し、この漏洩電流の計測データと計測時刻とを記憶手段に記憶し、
電力量計測手段は、検出された負荷電流及び線間電圧から各相毎の個別電力量を計測すると共に、時計回路から時間情報を取得して個別電力量を所定時間間隔で計測し、この個別電力量の計測データと計測時刻とを記憶手段に記憶し、
通信手段は、外部機器から送信要求信号を受信すると、記憶手段に記憶された計測データ及び計測時刻を外部へ送信することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、電力量計内の漏洩電流検出手段によって負荷側における漏洩電流が検出され、電力量計内の電力量計測手段によって各相毎の個別電力量が計測される。
【0012】
また、電力量計は、電力量計内部で計測された個別電力量及び漏洩電流の計測データを外部へ送信することができる。
【0014】
また、所定時間間隔で計測された個別電力量及び漏洩電流の計測データが計測時刻と共に記憶手段に記憶され、この記憶手段に記憶された計測データが外部へ送信される。
【0016】
また、外部からの送信要求に応じて計測データが外部機器へ送信される。
【0017】
また、本発明は、電力量計の取り外しを検出する交換用信号検出手段または電力量計の設置を検出する設置信号検出手段を備え、通信手段が、交換用信号検出手段によって検出された交換用信号または設置信号検出手段によって検出された設置信号を外部へ通知することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、電力量計が取り外されるとき、交換用信号検出手段によって交換用信号が検出され、この交換用信号が外部へ通知される。また、電力量計が設置されるとき、設置信号検出手段によって設置信号が検出され、この設置信号が外部へ通知される。
【0019】
また、本発明は、漏洩電流に基づいて判明される異常状態を検出する異常検出手段を備え、通信手段が、異常検出手段によって検出された異常信号を外部へ通知することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、漏洩電流に基づいて判明される異常状態が発生すると、異常検出手段によって異常信号が検出され、この異常信号が通信手段によって外部へ通知される。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による電力量計の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による単相3線式の電力量計1が設置された需要家における分電盤の構成を示す概略図である。電力量計1の負荷側には電流制限器2及び漏電ブレーカ3が直列に配設されており、漏電ブレーカ3の負荷側には安全ブレーカ4a,4b,4cを介して負荷5a,5b,5cがそれぞれ接続されている。同図に示す配電設備において、負荷電流または漏洩電流の値が一定値以上になると、電流制限器2または漏電ブレーカ3が作動して、電源が断たれる。図2は、電力量計1の構成を示す概略図である。電力量計1は、その取り外し時以外は外部から触れられない端子カバー内部に、取り外し作業時に取り外す旨を電力量計1本体に伝える後述する信号線27を備えている。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態による電力量計1の内部構成を示すブロック図である。電力量計1の電源側の電源端子10,11,12にはそれぞれ1側電線L1,中性線N,3側電線L3が接続されている。また、負荷側の負荷端子13,14,15には、同図で図示を省略した上記の電流制限器2及び漏電ブレーカ3を介してそれぞれ負荷5a,5b,5cが接続されている。負荷5aは1側電線L1及び中性線N間に接続されており、負荷5bは3側電線L3及び中性線N間、負荷5cは1側電線L1及び3側電線L3間に接続されている。
【0023】
電力量計1内部の1側電線L1及び3側電線L3には、負荷電流を検出する電流検出手段としてカレントトランス(CT)16a,16bがそれぞれ設けられており、これらのCT16a,16bによって各相における負荷電流が個別に検出される。また、1側電線L1と中性線Nとの間及び3側電線L3と中性線Nとの間には、負荷電圧である線間電圧を検出する電圧検出手段として電圧トランス(PT)17a,17bが設けられており、これらのPT17a,17bによって1側電線L1・中性線N間及び3側電線L3・中性線N間の各線間電圧が個別に検出される。
【0024】
CT16aで検出される負荷電流とPT17aで検出される線間電圧とは、1側電力量計測回路18aにおいて乗算されて1側の相についての瞬時電力が計算される。同様に、CT16bで検出される負荷電流とPT17bで検出される線間電圧とは、3側電力量計測回路18bにおいて乗算されて3側の相についての瞬時電力が計算される。各電力量計測回路18a,18bによって計測された各相についての瞬時電力は、電力量計制御回路19に送出されて所定の時間間隔(例えば30分)で時間積分され、各相についての個別電力が計算される。この各電力量計測回路18a,18b及び電力量計制御回路19は、負荷電流と負荷電圧とから電力量を計測する電力量計測手段を構成している。
【0025】
また、1側電線L1、中性線N及び3側電線L3は、負荷側における漏洩電流を検出する零相変流器(ZCT)20を貫通しており、このZCT20によって負荷側における漏洩電流が検出される。ZCT20によって検出された漏洩電流は、漏洩電流計測回路21において計測され、電力量計制御回路19に送出される。このZCT20及び漏洩電流計測回路21は、負荷側における漏洩電流を検出する漏洩電流検出手段を構成している。
【0026】
電力量計制御回路19には通信処理回路24が接続されており、この通信処理回路24は、漏洩電流計測回路21によって計測される漏洩電流及び各電力量計測回路18a,18bによって計測される各相毎の個別電力量などの計測データを、外部接続端子22に接続された外部通信機器23へ送信する。なお、この外部接続端子22と外部通信機器23とは、本実施形態においては有線による電力線搬送方式によって接続されている。しかし、需要家の条件が整備されれば、802.3あるいはIEEE1394等の通信規格の有線方式や、802.11bあるいは802.11g等の通信規格の無線方式や他の接続形態であっても構わないが、最も投資効率のよい通信路を選択するのが望ましい。この外部接続端子22及び通信処理回路24は、上記の各計測データを外部へ送信する通信手段を構成している。
【0027】
また、電力量計制御回路19には、時間を計時する時計回路25、及び上記の各計測データを記憶する記憶装置26が接続されている。この記憶装置26は記憶手段を構成しており、停電時の計測データの喪失を防ぐため、電力量計1の電断時においても記憶内容を保持するフラッシュメモリあるいはEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリから構成されている。なお、揮発性メモリであってもバッテリー等の補助電源でバックアップするようにしてもよい。
【0028】
また、電力量計制御回路19及び信号線27は、電力量計1の取外しを検出する交換用信号検出手段を構成しており、交換用信号を検出すると、電力量計1が取り外されたことを外部通信機器23に送信する。この交換用信号は、電力量計制御回路19に接続された信号線27を切断することによって生成される。また、電力量計制御回路19は、電力量計1の設置を検出する設置信号検出手段をも構成しており、設置信号を検出すると、電力量計1が設置されたことを外部通信機器23に送信する。
【0029】
また、電力量計制御回路19は、漏洩電流計測回路21において計測される漏洩電流に基づいて判明される異常状態を検出する異常検出手段をも構成している。電力量計制御回路19によって異常状態が検出されると、異常状態を通知する異常信号が外部接続端子22を介して外部通信機器23へ送信される。
【0030】
漏洩電流計測回路21及び電力量計制御回路19は、時計回路25から時間情報を取得して漏洩電流を所定時間間隔で計測し、この漏洩電流の計測データと計測時刻とを記憶装置26に記憶する。また、電力量計制御回路19は、時計回路25から時間情報を取得して各相毎の個別電力量を所定時間間隔で計測し、この個別電力量の計測データと計測時刻とを記憶装置26に記憶する。記憶装置26に記憶された漏洩電流及び個別電力量の計測データは、電力量計制御回路19の制御によって通信処理回路24から外部通信機器23へ送信される。
【0031】
上記の構成において、各相の線電流がCT16a,16bによって検出され、各線間電圧がPT17a,17bによって検出される。検出された各線電流及び各線間電圧は1側電力量計測回路18a,3側電力量計測回路18bに入力され、各相についての個別瞬時電力が計算される。これらの個別瞬時電力は電力量計制御回路19に与えられ、電力量計制御回路19は時計回路25からの時間情報に基づいて所定時間(例えば、30分間)毎に各相の個別瞬時電力を積算して所定時間毎の個別電力量を各相について計算する。この個別電力量の計測データ及びその計測時刻は電力量計制御回路19によって記憶装置26に記憶される。また、負荷5a,5b,5cに発生する漏洩電流はZCT20で検出され、検出された漏洩電流は漏洩電流計測回路21に入力されて計測される。電力量計制御回路19は計測された漏洩電流を入力し、時計回路25から時間情報を取得して、漏洩電流及びそれが検出された時刻を把握する。この漏洩電流の計測データ及びその計測時刻は上記の個別電力量のデータに付加され、電力量計制御回路19によって記憶装置26に記憶される。
【0032】
電力量計制御回路19は、通信処理回路24を介して外部通信機器23から所定の時間間隔(例えば1ヶ月に1度)で計測データの送信要求信号を受信すると、記憶装置26に記憶されている上記の個別電力量及び漏洩電流についての計測データ及び計測時刻を読み出し、この読み出した計測データ及び計測時刻を通信処理回路24を介して外部通信機器23へ送信する。外部通信機器23は受信した各計測データ及び計測時刻に基づいて負荷5a,5b,5cの監視をする。
【0033】
また、配電設備の絶縁劣化などによって一定レベル以上の漏洩電流が発生し、これが電力量計制御回路19によって異常状態として検出されると、電力量計制御回路19は外部通信機器23に異常信号を送信する。異常信号を受信した外部通信機器23は、例えば、電力量計1への電力供給を停止するなどの処置を行う。
【0034】
図4は、電力量計1の定期的な交換作業時における、電力量計1と外部通信機器23との間の通信処理動作を示す概略図であり、(a)は電力量計1の取り外し時、(b)は電力量計1の設置時を示す。電力量計は定期的に交換を行う必要があり、一定期間を経過した電力量計は取り外されて新たな電力量計が設置される。
【0035】
電力量計1を取り外す際、同図(a)に示すように、最初に端子カバー内部の信号線27を切断する。取り外された電力量計1は修理あるいは試験を受ける必要があるため、信号線27が切れていることで再使用の防止が可能となる。信号線27は図3に示すように電力量計制御回路19に接続されており、信号線27が切断されると電力量計制御回路19に検出されて電力量計制御回路19によって交換用信号30aが生成される。この交換用信号30aは通信処理回路24を介して外部通信機器23へ送信され、交換用信号30aを受信した外部通信機器23は、電力量計1が取り外されることを知る。続いて、電力量計制御回路19により、電力量計1の記憶装置26に記憶されている蓄積されたデータ30bが外部通信機器23へ送信され、外部通信機器23は受信したデータ30bをバックアップする。その後、電源端子10,11,12及び負荷端子13,14,15に接続されている各電線を取り外して、電力量計1を取り外す。
【0036】
電力量計1を取り外した後に、新たに点検を受けた電力量計1を設置する場合、または新規に電力量計1を設置する場合、まず最初に、電力量計1の電源端子10,11,12及び負荷端子13,14,15に電線を接続する。この接続によって電力量計1に電源が投入されると、この電源投入が電力量計制御回路19に検出され、電力量計制御回路19により、同図(b)に示すように、設置信号30cが通信処理回路24を介して外部通信機器23へ送信される。設置信号30cを受信した外部通信機器23は、電力量計1が設置されたことを知り、続いて、電力量計1へ、計測データの積算間隔,現在時刻情報などの初期設定情報30dを送信する。電力量計1は、受信した初期設定情報30dを記憶装置26に記憶し、電力量計制御回路19は、この初期設定情報30dに基づいて電力量計1の初期設定を行う。設置された電力量計1は、自らが設置された旨を記憶装置26内に保持し、停電後の復電時と設置された時とを判別する。
【0037】
このような本発明の第1の実施形態による電力量計1によれば、上述したように、電力量計1内のZCT20及び漏洩電流計測回路21によって負荷側における漏洩電流が検出され、電力量計1内の電力量計測回路18a,18b及び電力量計制御回路19によって各相毎の個別電力量が計測される。このため、電力量計1単体で漏洩電流及び各相毎の個別電力量の計測を行うことが出来、電力量計1単体で負荷5a,5b,5c側の絶縁劣化状況及び各相についての負荷配分の偏りを診断出来るようになる。また、従来のように、電力量計1の他に複合型カレントトランス装置といった新たな機器を設置する必要がないので、設置にかかる手間がなくなって工事費用は少なくて済むとともに、メンテナンスも電力量計1だけについて行えばよいのでその手間もかからなくなる。
【0038】
また、本実施形態では、各相毎の個別電力量及び漏洩電流の計測データを外部へ送信する外部接続端子22及び通信処理回路24を備えているため、電力量計1は、電力量計1内部で計測された個別電力量及び漏洩電流の計測データを外部へ送信することができる。このため、外部に接続された外部通信機器23において個別電力量及び漏洩電流を遠隔監視することが出来る。従って、外部通信機器23において個別電力量や漏洩電流の推移を監視することにより、配電設備の絶縁劣化が進行する前に事前に対策を講じたり、負荷配分の偏りが定常的に生じて特定の相、例えばL1側の相についての配電設備に負荷が定常的にかかって劣化するのを事前に防止したりすることを容易に行うことが出来る。この結果、電力量計1の負荷側の配電設備の予防保全を行うことが可能となり、従って、例えば、劣化部の影響により、電子機器やシステムが突然停止して損害が生じるのを事前に防止したりすることができる。さらに、負荷配分の偏りから、負荷設備の適正配置を行うことにより、電力供給効率の改善を図ることが出来る。
【0039】
また、従来は、電力量計の表示器に表示されている計測データを人手により取得しているが、本実施形態によれば、通信処理回路24によって外部に計測データを取得することが出来るため、強いて表示器は必要とされない。
【0040】
また、本実施形態では、30分間隔で計測された漏洩電流及び個別電力量の計測データが計測時刻と共に記憶装置26に記憶され、この記憶装置26に記憶された計測データ及び計測時刻が外部通信機器23へ送信される。このため、外部通信機器23において各時間帯における計測データの推移を知ることができる。従って、各時間帯毎の負荷配分の偏りや、各時間帯毎の漏洩電流の大きさを知ることが出来、負荷配分の偏りや漏洩電流発生の原因を分析する資料とすることが出来る。
【0041】
また、本実施形態では、外部通信機器23からの送信要求に応じて計測データ及び計測時刻が外部通信機器23へ送信される。このため、外部通信機器23において、需要家の使用電力量を自動検針することが出来るとともに、併せて、需要家における個別電力量及び漏洩電流を監視することができる。
【0042】
また、本実施形態では、電力量計1が取り外されるとき、電力量計制御回路19及び信号線27によって交換用信号30aが生成され、この交換用信号30aが外部通信機器23へ通知される。このため、外部通信機器23は電力量計1が取り外されることを知ることが出来る。従って、外部通信機器23は、交換用信号30aを受信した際に電力量計1の記憶装置26に記憶されている蓄積された計測データなどを受信することで、これをバックアップしておくことができる。また、電力量計1が設置されるとき、電力量計制御回路19によって設置信号30cが生成され、この設置信号30cが外部通信機器23へ通知される。このため、外部通信機器23は、設置信号30cを受信した際に初期設定情報等を電力量計1に送信することで、電力量計1を速やかに運用できる状態にすることが出来る。
【0043】
また、本実施形態では、漏洩電流に基づいて判明される異常状態が電力量計制御回路19によって検出され、異常信号が外部通信機器23へ通知される。このため、漏洩電流に基づいて判明される異常状態が、外部通信機器23において速やかに確認される。
【0044】
次に、本発明による電力量計を用いた第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態による電力量計40は、図5に示され、漏洩電流を計測する回路構成が上述した第1の実施形態による電力量計1と異なっているだけで、それ以外は同一の構成をしている。従って、この第2の実施形態による電力量計40の以下の説明においては、第1の実施形態による電力量計1の各構成要素と同一または相当する構成要素には同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0045】
つまり、上記の第1の実施形態においては、漏洩電流はZCT20及び漏洩電流計測回路21によって計測されていたが、本実施形態においては、CT16a,16b,16c及び漏洩電流計測回路21によって漏洩電流が計測される。すなわち、本実施形態においては、1側電線L1及び3側電線L3だけでなく、中性線NにもCT16cが設けられており、各CT16a,16b,16cはそれぞれ漏洩電流計測回路21に接続されている。
【0046】
上記の回路構成において、各CT16a,16b,16cによって個別に検出される各相の負荷電流は、漏洩電流計測回路21に送出され、この漏洩電流計測回路21において各負荷電流の総和から漏洩電流が計測される。なお、この第2の実施形態では、漏洩電流計測回路21において、漏洩電流が生じていないときに各負荷電流の総和が零になるように、ゼロ調整、あるいはオフセットの補正などの作業が必要になる。
【0047】
このような本発明の第2の実施形態による電力量計40においても、上述した第1の実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0048】
なお、上述した第1、第2の各実施形態においては、単相3線式の電力量計を用いた場合について説明しているが、3相3線式などの多線式電力量計を用いても、上記の各実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0049】
また、上記の各実施形態においては、外部通信機器23を自動検針システムのホストコンピュータとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、外部通信機器23はパーソナルコンピュータ(パソコン)としたり、専用端末や他の通信機器でもよい。
【0050】
また、上記の各実施形態においては、CTを用いて各相における負荷電流の検出を行っているが、他の方法、例えば、ホール素子を用いて負荷電流の検出を行ってもよい。また、上記の各実施形態においては、停電時に失われた年月日及び時刻情報などは、復電時に外部通信機器23から送信されることで再設定が行われるが、他の方法として、バッテリーなどの補助電源によって時計回路25を動作させる方法、電源周波数をカウントして時刻情報を更新する方法、または電気二重層コンデンサを使用して時計回路25を動作させる方法などを用いてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による電力量計によれば、電力量計内の漏洩電流検出手段によって負荷側における漏洩電流が検出され、電力量計内の電力量計測手段によって各相毎の個別電力量が計測される。このため、電力量計単体で漏洩電流及び各相毎の個別電力量の計測を行うことが出来、電力量計単体で負荷側の絶縁劣化状況及び各相についての負荷配分の偏りを診断出来るようになる。また、電力量計の他に新たに機器を設置する必要がないので、設置にかかる手間がなくなって工事費用は少なくて済むとともに、メンテナンスも電力量計だけについて行えばよいのでその手間もかからなくなる。
【0052】
また、各相毎の個別電力量及び漏洩電流の計測データを外部へ送信する通信手段を備えているため、電力量計は、電力量計内部で計測された個別電力量及び漏洩電流の計測データを外部へ送信することができる。このため、外部に接続された装置において個別電力量及び漏洩電流を遠隔監視することが出来る。従って、外部装置において個別電力量や漏洩電流の推移を監視することにより、配電設備の絶縁劣化が進行する前に事前に対策を講じたり、負荷配分の偏りが定常的に生じて特定の相についての配電設備に負荷が定常的にかかって劣化するのを事前に防止したりすることを容易に行うことが出来る。この結果、配電設備の予防保全を行うことが可能となり、従って、例えば、劣化部の影響により、電子機器やシステムが突然停止して損害が生じるのを事前に防止したりすることができる。
【0053】
また、時間を計時する時計回路と、計測データを記憶する記憶手段とを備えているため、所定時間間隔で計測された漏洩電流及び個別電力量の計測データが計測時刻と共に記憶手段に記憶され、この記憶手段に記憶された計測データが外部へ送信される。このため、外部に接続された装置において各時間帯における計測データの推移を知ることができる。従って、各時間帯毎の負荷配分の偏りや、各時間帯毎の漏洩電流の大きさを知ることが出来、負荷配分の偏りや漏洩電流発生の原因を分析する資料とすることが出来る。
【0054】
また、通信手段が、外部機器から送信要求信号を受信すると、計測データを外部機器へ送信するため、外部からの送信要求に応じて計測データが外部機器へ送信される。このため、外部機器において、需要家の使用電力量を自動検針することが出来るとともに、併せて、需要家における個別電力量及び漏洩電流を監視することができる。
【0055】
また、電力量計の取り外しを検出する交換用信号検出手段または電力量計の設置を検出する設置信号検出手段を備え、通信手段が、交換用信号検出手段によって検出された交換用信号または設置信号検出手段によって検出された設置信号を外部へ通知する構成の場合、電力量計が取り外されるとき、交換用信号検出手段によって交換用信号が検出され、この交換用信号が外部へ通知される。また、電力量計が設置されるとき、設置信号検出手段によって設置信号が検出され、この設置信号が外部へ通知される。このため、電力量計を取り外す際、交換用信号が外部に接続された装置へ送信されることで、外部装置は電力量計が取り外されることを知ることが出来る。従って、外部装置は、電力量計の記憶手段に記憶されている蓄積された計測データなどを受信することで、これをバックアップしておくことができる。また、電力量計を設置する際、設置信号が外部に接続された装置へ送信されることで、外部装置は電力量計が設置されたことを知ることができる。従って、外部装置は、初期設定情報を電力量計に送信することで、電力量計を速やかに運用できる状態にすることが出来る。
【0056】
また、漏洩電流に基づいて判明される異常状態を検出する異常検出手段を備え、通信手段が、異常検出手段によって検出された異常信号を外部へ通知する構成の場合、漏洩電流に基づいて判明される異常状態が発生すると、異常検出手段によって異常信号が検出され、この異常信号が通信手段によって外部へ通知される。このため、漏洩電流に基づいて判明される異常状態が、外部に接続された装置において速やかに確認される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態による電力量計が設置された需要家の分電盤の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1及び第2の実施形態による電力量計の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による電力量計の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1及び第2の実施形態による電力量計と外部通信機器との間の通信処理動作を示しており、(a)は電力量計の取り外し時、(b)は電力量計の設置時を示している。
【図5】本発明の第2の実施形態による電力量計の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,40…電力量計
5a,5b,5c…負荷
10,11,12…電源端子
13,14,15…負荷端子
16a,16b…CT
17a,17b…PT
18a,18b…電力量計測回路
19…電力量計制御回路
20…ZCT
21…漏洩電流計測回路
22…外部接続端子
23…外部通信機器
24…通信処理回路
25…時計回路
26…記憶装置
27…信号線
L1…1側電線
L3…3側電線
N…中性線
Claims (3)
- 負荷電流を検出する電流検出手段と、負荷電圧を検出する電圧検出手段と、前記負荷電流と前記負荷電圧とから電力量を計測する電力量計測手段とを、電源を供給する電源側電線が接続される電源端子および前記電源側電線からの電源を負荷に供給する負荷側電線が接続される負荷端子が設けられた筐体内部に備えて構成される需要家に設置される電力量計において、
負荷側における漏洩電流を検出する漏洩電流検出手段と、前記各相毎の個別電力量及び前記漏洩電流の計測データを外部へ送信する通信手段と、時間を計時する時計回路と、前記計測データを記憶する記憶手段とを前記筐体内部に備え、
前記電流検出手段は各相における負荷電流を個別に検出し、
前記電圧検出手段は各線間電圧を個別に検出し、
前記漏洩電流検出手段は、前記時計回路から時間情報を取得して前記漏洩電流を所定時間間隔で計測し、この漏洩電流の計測データと計測時刻とを前記記憶手段に記憶し、
前記電力量計測手段は、検出された前記負荷電流及び線間電圧から各相毎の個別電力量を計測すると共に、前記時計回路から時間情報を取得して前記個別電力量を所定時間間隔で計測し、この個別電力量の計測データと計測時刻とを前記記憶手段に記憶し、
前記通信手段は、外部機器から送信要求信号を受信すると、前記記憶手段に記憶された前記計測データ及び計測時刻を外部へ送信することを特徴とする電力量計。 - 電力量計の取り外しを検出する交換用信号検出手段または電力量計の設置を検出する設置信号検出手段を備え、前記通信手段は、前記交換用信号検出手段によって検出された交換用信号または前記設置信号検出手段によって検出された設置信号を外部へ通知することを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
- 前記漏洩電流に基づいて判明される異常状態を検出する異常検出手段を備え、前記通信手段は、前記異常検出手段によって検出された異常信号を外部へ通知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力量計。
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