JP4205520B2 - ハイブリッドロケット - Google Patents

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本発明は、ロケットの推進力として、固体燃料と液体燃料の両方を使用して燃焼を行うハイブリッドロケットの大出力化に適用し得るものである。固体燃料および液体燃料はともに、それ自体のみでは全く燃焼性を有するものではなく、取扱い性が安全であり、液体燃料として液体酸素を使用することで、大気漏出事故の発生の虞れがなく安全であり、取扱い性が容易なロケットとして、推力20ton以下の中、小型ロケットには最適な推進手段となる。
従来、ロケットの推進力を得る手段として液体ロケットまたは固体ロケットが使用されている。液体ロケットは大型ロケット用もしくは上段ロケット用として、固体ロケットは中小型ロケットまたは大型ロケットの補助推力用として使用されている。液体ロケットは小型高推力化が困難であるため、従来の小型ロケットはほぽ全てが固体ロケットである。固体ロケットは推進剤として火薬類を使用しているため、その取扱いには火薬類取扱いとしての細心の注意を要すると共に、管埋コストの増大を招いている。
以上のことから、ハイブリッドロケットは、固体燃料としては固体高分子樹脂で構成され、酸化剤として液体酸素を使用することから、各々は全く引火性の無い安全なものであるものの、ハイブリッドロケットは燃料の燃焼速度が固体ロケットに比較して小さいことから、小型高推力化が困難であり、中小型ロケットとしての実用化が進展していなかった。そのような中で、淀み点での高い混合燃焼効率を実現したハイブリッドロケットが提案された(下記特許文献1の従来例参照)
特開2002−303208号公報(図5に記載された従来例参照)
ところが、ハイブリッドロケットは安全性、取扱いの容易さ等の利点から国内外において研究されてきているが、固体ロケットに比較して低推力である欠点を有していることから小型・高推力化が難しく、中小型ロケットヘの適用が困難であった。低推力である理由は、乱流境界層内で拡散燃焼を行う従来の方式では固体燃料表面から離れた位置に拡散火炎が形成され、火炎から固体燃料への入熱が不足して固体燃料のガス化が進まないためである。すなわち、ハイブリッドロケットの高推力化は、固体燃料のガス化速度を増大させることが課題であった。前述したような従来のハイブリッドロケットにあっては、酸化剤を固体燃料の表面に沿って流し、機軸方向に境界層を形成しつつ固体燃料から分解・蒸発した燃料成分を拡散燃焼させる境界層燃焼を行うことから、燃料と酸化剤との混合・燃焼率が低く、燃焼効率が劣化し、また、大推力の設計が困難であった。
前記特許文献1に従来例として開示された図6に示すようなハイブリッドロケット200は、衝突燃焼型と呼ばれるものであって、尾部にロケットノズル206を備えた燃焼器205に、3つに分割した固体燃料204A〜204Cを所定間隔で装填し、この際、各固体燃料204A〜204Cの機軸方向に形成したポート210を互いにずらせた配置にしており、さらに、燃焼器205の頭部に液体酸化剤の噴射器209を備えた構成が採用されている。このような構成により、噴射した液体の酸化剤と固体燃料204A〜204Cの表面で分解・蒸発した燃料成分とを混合して燃焼させ、これにより生じた高温・高圧の燃焼ガスをロケットノズル206から噴出させて推力を得るものであるが、この際、上段の固体燃料204A、204Bのポート210を通過した燃焼ガスを、下段の固体燃料204B、204Cの燃焼端面に垂直に衝突させることにより、淀み点での高い混合燃焼効率を実現できるものとなった。ところが、ポート(燃焼ガス貫通孔)内での燃焼に比較して衝突面での燃焼を支配的にし、燃料の充填効率を高め、かつ、燃焼室内の圧力損失を小さくするためのポート形状および固体燃料のブロック間隔に関する最適な条件についての知見が得られていない。
そこで、本発明は、前記従来のハイブリッドロケットの諸課題を解決して、安全性を確保しつつ、さらなる推進力の向上を図ったハイブリッドロケットを提供することを目的とする。
そのため、本発明は、固体燃料と液体燃料の燃焼によりジェット推進力を得るハイブリッドロケットにおいて、固体燃料を、直径D、円柱長Lの単位円柱形状からなる多段構成としてその比L/D≦1.5とし、前記各単位円柱形状体に軸方向に穿設された燃焼ガス貫通孔が隣接するもの同士が互いに連通しない構成とするとともに、燃焼ガス貫通孔の総面積Apとノズルスロート面積Asの比Ap/As≧1とし、燃焼ガス貫通孔の断面積Spと周長Opの比Sp/Opの最小値(Sp/Op)minと単位円柱形状体間の間隔ΔLの関係が(Sp/Op)min≦ΔLかつ円柱長Lとの比ΔL/L≦0.4であり、液体燃料である液体酸化剤を固体燃料多段構成容器の反燃焼ガス噴出孔の頂部から供給して、各段の固体燃料を並列的に同時燃焼させることを特徴とする。また本発明は、固体燃料としてアクリル樹脂やポリエチレン等の固体高分子樹脂を、液体燃料として液体酸素を使用するとともに、前記各単位円柱形状体の直径上に配設された燃焼ガス貫通孔を隣接するもの同士で交差配置したことを特徴とする。また本発明は、前記燃焼による出力制御は、多段構成した固体燃料の頂部から液体酸化剤を供給する供給量制御と、多段構成の中間部から酸化剤を供給して固体燃料を分割して燃焼制御するように構成したことを特徴とする。また本発明は、前記多段構成した固体燃料の周囲に液体酸化剤流路を配設し、さらにその周囲にオリフィスを介した液体酸化剤タンクを配設するとともに、前記液体酸化剤流路の頂部と液体酸化剤タンクとを選択的に不活性ガス源と配管接続し、液体酸化剤の液面から噴射器までの高さをH、液体酸化剤の密度をρ、重力加速度をgとして、液体酸化剤タンクと噴射器の直上流との圧力差Δpが、Δp≦ρgHの条件を満たすようになるまで、噴射手段の流路面積を小さくすることを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
本発明では、固体燃料と液体燃料の燃焼によりジェット推進力を得るハイブリッドロケットにおいて、固体燃料を、直径D、円柱長Lの単位円柱形状からなる多段構成としてその比L/D≦1.5とし、前記各単位円柱形状体に軸方向に穿設された燃焼ガス貫通孔が隣接するもの同士が互いに連通しない構成とするとともに、燃焼ガス貫通孔の総面積Apとノズルスロート面積Asの比Ap/As≧1とし、燃焼ガス貫通孔の断面積Spと周長Opの比Sp/Opの最小値(Sp/Op)minと単位円柱形状体間の間隔ΔLの関係が(Sp/Op)min≦ΔLかつ円柱長Lとの比ΔL/L≦0.4であり、液体燃料である液体酸化剤を固体燃料多段構成容器の反燃焼ガス噴出孔の頂部から供給して、各段の固体燃料を並列的に同時燃焼させることにより、淀み点での高い混合燃焼効率を実現できる衝突燃焼型ハイブリッドロケットの燃焼効率の向上を、各部材間の諸元の選定により実現し、従来のものに比較して高い燃焼効率で燃焼させることが可能となった。
また、固体燃料としてアクリル樹脂やポリエチレン等の固体高分子樹脂を、液体燃料として液体酸素を使用するとともに、前記各単位円柱形状体の直径上に配設された燃焼ガス貫通孔を隣接するもの同士で交差配置した場合は、上段の固体燃料のポートを通過した燃焼ガスを、下段の固体燃料の燃焼端面に垂直に衝突させることにより、高速度で並列燃焼し、淀み点での高い混合燃焼効率が得られる。
さらに、前記燃焼による出力制御は、多段構成した固体燃料の頂部から液体酸化剤を供給する供給量制御と、多段構成の中間部から酸化剤を供給して固体燃料を分割して燃焼制御するように構成した場合は、ガス化した酸素が頂部から燃焼器に排出されている状態で固体燃料に点火し、数秒間燃焼させた後に、バルブ等の切換えにより、簡単な加圧装置の採用で、液体酸化剤を多段構成の中間部から供給して、燃焼室の圧力を速やかに上昇させた後に、安定した燃焼を行って、より高い燃焼効率を確保することが可能となった。さらにまた、前記多段構成した固体燃料の周囲に液体酸化剤流路を配設し、さらにその周囲にオリフィスを介した液体酸化剤タンクを配設するとともに、前記液体酸化剤流路の頂部と液体酸化剤タンクとを選択的に不活性ガス源と配管接続し、液体酸化剤の液面から噴射器までの高さをH、液体酸化剤の密度をρ、重力加速度をgとして、液体酸化剤タンクと噴射器の直上流との圧力差Δpが、Δp≦ρgHの条件を満たすようになるまで、噴射手段の流路面積を小さくすることにより、不活性ガスの適度の圧力を受けて液体酸化剤を多段構成の中間部から供給するとともに、噴射器を絞ることにより圧力差をなくして、ガス化する酸素の供給圧を各部で自動的に調整して、燃焼室の圧力を速やかに上昇させた後に、安定した燃焼を行って、より高い燃焼効率を確保することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明のハイブリッドロケットの概念斜視図、図2は固体燃料の配置と液体燃料の供給形態を示す概念断面図、図3は本発明に係わるハイブリッドロケットの地上燃焼実験を説明する概念図、図4は本発明に係わるバルブレス供給方式の実施例を示す一部断面図、図5は図4で示したハイブリッドロケットを用いた燃焼実験結果の燃焼器の圧力履歴図である。本発明のハイブリッドロケットの基本的な構成は、図1に示すように、固体燃料と液体燃料の燃焼によりジェット推進力を得るハイブリッドロケットにおいて、固体燃料を、直径D、円柱長Lの単位円柱形状からなる多段構成としてその比L/D≦1.5とし、前記各単位円柱形状体に軸方向に穿設された燃焼ガス貫通孔が隣接するもの同士が互いに連通しない構成とするとともに、燃焼ガス貫通孔の総面積Apとノズルスロート面積Asの比Ap/As≧1とし、燃焼ガス貫通孔の断面積Spと周長Opの比Sp/Opの最小値(Sp/Op)minと単位円柱形状体間の間隔ΔLの関係が(Sp/Op)min≦ΔLかつ円柱長Lとの比ΔL/L≦0.4であり、液体燃料である液体酸化剤を固体燃料多段構成容器の反燃焼ガス噴出孔の頂部から供給して、各段の固体燃料を並列的に同時燃焼させることを特徴とするものである。
実施例1について以下に詳述する。固体燃料のガス化速度を増大させる手段として、固体燃料を多段構成とし、前段の燃焼ガスは当該段の固体燃料表面に衝突することにより、固体燃料表面の衝突噴流領域で高熱伝達を得るものとした。図1において、n個の固体燃料単位体をn段に積み重ね、固体燃料単位体は円柱状として、固体燃料を、直径D、円柱長Lの単位円柱形状からなる多段構成としてその比L/D≦1.5とし、燃焼ガス貫通孔の総面積Apとノズルスロート面積Asの比Ap/As≧1とし、燃焼ガス貫通孔の断面積Spと周長Opの比Sp/Opの最小値(Sp/Op)minと単位円柱形状体間の間隔ΔLの関係が(Sp/Op)min≦ΔLかつ円柱長Lとの比ΔL/L≦0.4とし、前記各単位円柱形状体に軸方向に穿設された燃焼ガス貫通孔が隣接するもの同士が互いに連通しない構成とする。L/D≦1.5は軸方向に長すぎるとポート内の燃え広がりが優先されてしまうためである。Ap/As≧1はノズルスロート以外の場所(ポート内)で閉塞させないためである。(Sp/Op)min≦ΔLはノズルスロート以外の場所(ポート出口)で閉塞させないためである。燃焼ガス貫通孔の断面が円形の場合は、Sp=πr2 、Op=2πrなので、Sp/Op=r/2となる。
そのためには、各段の固体燃料単位体の燃焼ガス貫通孔の配置を図2の2種類を交互に積み重ねるか、または各段の間に45°の位相差を保持して組み立てるものとする。燃焼室頭部に酸化剤の噴射部を有し、尾部にロケット噴射ノズルを有する構成とし、固体燃料単体の表面に酸化剤を含んだ前段の燃焼ガス噴流は当該段の固体燃料表面に衝突して、噴流衝突領域において固体燃料への入熱が促進され、n段の各個体燃料単体が高速度で並列燃焼することにより、高推力化を実現した。
図3は、本発明に係わるハイブリッドロケットの地上燃焼実験を説明する図である。図3において、燃焼室13には、尾部にロケットノズル12を有しており、固体燃料単位体は3段で構成し、固体燃料単位体には燃焼ガス貫通孔を有し、各段間にスペーサを挿入することにより、固体燃料単位体は等間隔に収納されている。燃焼室13の頭部には酸化剤として液体酸素供給部(高圧ガス源)15より液体酸素を供給し、点火時は電気ヒータにより点火される。燃焼室13の内面には加熱損傷防止のため、断熱層を設けてある。
実施例においては、D=20mm、L=20mm、ΔL=3mm、d=3mmとして地上燃焼試験を実施した。図5は、点火時を時刻0として、燃焼時間経過と、各段の固体燃料単位体3の質量変化を調べたものである。各段の質量は均一な減衰を示しており、このことは、燃焼室頭部より酸化剤を供給しても均一な並列燃焼を示しているものである。図5は地上燃焼試験中の燃焼室圧力履歴を示すが、点火後2秒で圧力が1.25MPaに上昇し、燃焼期間中は1.2〜1.25MPaで安定した燃焼を得ることを確認した。
<燃料供給方法について>
図3に示すように、頭部に液体推進剤を噴射する噴射手段11、尾部にロケットノズル12を備えた燃焼室13の周囲に液体推進剤タンク14を備え、液体推進剤タンク14を加圧するための高圧ガス源15と液体推進剤タンク14を三方バルブ16を介して接続する。三方バルブ16は、液体推進剤タンク14と燃焼室13を繋ぐラインと、液体推進剤と高圧ガス源を繋ぐラインとを切り替える機能を有する。このようなロケットエンジンにおいて、液体推進剤の液面から噴射器11までの高さをH、液体推進剤の密度をρ〔kg/m3 〕、重力加速度をg〔m/s2]として、タンク14と噴射器11の直上流との圧力差Δp〔Pa〕が次の条件を満たすようになるまで、噴射手段11の流路面積を小さくする。

Δp≦ρgH

タンクから噴射器までの流路面積をAl、噴射器の流路面積をA2、タンクの圧力をpl、噴射器直上流の圧力をp2、噴射器下流圧力をp3とし、圧縮性を無視すると流量は圧力差の平方根に比例する。流量=C×Al×(pl−p2)1/2 =C×A2×(p2−p3)1/2 、Al2 ×pl−(Al2 +A22 )p2+A22 ×p3=0、∴pl−p2=pl−(Al2 ×pl+A22 ×p3)/(Al2 +A22 )=(A22 ×p3)/(Al2 +A22 )となる。つまり、A2をAlに比較して小さくしていくと、圧力差はゼロに近づく。
これにより、推進剤タンクと液体推進剤ラインの圧力差がほぽ無くなり、液体推進剤が燃焼室に供給されてしまうという問題点を解決することができる。液体推進剤の液面を噴射手段11よりも低くすることにより、液体推進剤タンク14が加圧されない限り燃焼室13に液体推進剤は供給されない。液体推進剤タンクの加圧および液体推進剤供給のon/offを三方バルブ16のみで行うことが可能となり、小型ロケットヘの適用が可能となった。
図4は、本発明に係わる第2実施例で、バルブレス供給方式を説明する図である。図示のハイブリッドロケットR2は、内部に固体燃料を備えた筒状の燃焼器1の外周に液体酸化剤としての液体酸素流路2を、その更に外周に液体酸素タンク3を備え、液体酸素タンク3と液体酸素流路2は流量調整用のオリフィス4を介して繋がっている。液体酸素タンク3は、液体酸素を注入するための注入口5を備えている。燃焼器1は頭部に液体酸素噴射器6を備えており、液体酸素噴射器には液体酸素が通るための穴が開けられている。図には描かれていないが、燃焼器1は尾部にロケットノズルを備えている。また、液体酸素流路2と液体酸素タンク3は、三方バルブ7を介して高圧へリウムボンベ8と繋がっている。
三方バルブ7は、最初は流路9が開いており、流路10は閉じられている。注人口5から液体酸素を注入したのち、注入口5の蓋を閉じると、ガス化した酸素は流路9、噴射器6を通って燃焼器1に流入し、ロケットノズルから外に排出される。液体酸素噴射器6は液体酸素タンク3の液面よりも高い位置にあるため、液体酸素タンク3の圧力P3と液体酸素流路2の圧力P2が等しい間は、液体酸素が燃焼室1に供給されることはない。三方バルブ7を切り替えることにより、流路9を閉じ、流路10を開くと、ガス化した酸素が排出されると同時に高圧ヘリウムボンベ8からヘリウムガスが液体酸素タンク3に流人し、P3がP2より高くなり、液体酸素が燃焼室1に供給される。
ガス化した酸素が流路9を通って排出されるとき、ガス化する酸素の流量に比較して充分な流路断面積を確保することが困難であるため、流路9で生じる圧力損失により液体酸素タンク3の圧力P3が液体酸素流路2の圧力P2よりも高くなり、この圧力差により液体酸素が燃焼器1に供給されてしまう。これを防ぐため、噴射器6の流路面積を流路9の流路断面積の1/10とし、噴射手段の流路面積を気化した推進剤を燃焼室に逃がす流路の断面積の1/2以下にするという条件を満たす。これにより、注人口5の蓋を閉じると、液体酸素タンク3の液体酸素が燃焼器1に供給されてしまうという不具合を回避することができた。
図5は、図4で示されたハイブリッドロケットR2を用いて燃焼実験を行い、液体酸素供給開始の瞬間を時刻0としたときの燃焼器1の圧力の履歴を示したものである。ガス化した酸素が燃焼器1に排出されている状態で固体燃料に点火し、数秒間燃焼させた後、三方バルブ7を切り替えて液体酸素の供給を開始すると、燃焼室1の圧力は速やかに上昇した後、安定した燃焼を行うことが確認された。
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内にて、固体燃料(アクリル樹脂やポリエチレン等の固体高分子樹脂の他、適宜のものが採用され得る)および液体燃料(液体酸化剤としての液体酸素等)の種類、固体燃料における段数、燃焼ガス貫通孔の断面形状(円形が好適だが、楕円形、多角形等も可能、また同一径の他、異径のものや、推力に応じて径を異ならせてもよい。例えば、径方向の外側ほど大径としたり、径方向の外側ほど数を多くしてもよい。)、固体燃料の段間における燃焼ガス貫通孔の隣接するもの同士の不連通構成(図2のように直径上に設けられた燃焼ガス貫通孔同士がが90°で交差配置されたものの他、45°等適宜の交差角度が採用され得る)、液体燃料の固体燃料多段構成容器の反燃焼ガス噴出孔の頂部からの供給形態、多段構成した固体燃料の頂部から液体酸化剤を供給する供給量制御形態、多段構成の中間部から酸化剤を供給する固体燃料燃焼制御形態(三方バルブの他、適宜の切換え制御形態が採用できる)は適宜選定することができる。
本発明のハイブリッドロケットの第1実施例の概念斜視図である。 同、固体燃料の配置と液体燃料の供給形態を示す概念断面図である。 同、本発明に係わるハイブリッドロケットの地上燃焼実験を説明する概念図である。 本発明のハイブリッドロケットの第2実施例で、バルブレス供給方式を示す一部断面図である。 図4で示したハイブリッドロケットを用いた燃焼実験結果の燃焼器の圧力履歴図である。 従来のハイブリッドロケットの概念断面図である。
符号の説明
1 燃焼器
2 液体酸化剤通路(液体酸素流路)
3 液体酸化剤タンク(液体酸素タンク)
4 オリフィス
5 注入口
6 噴射器
7 三方バルブ
8 高圧ヘリウムボンベ
9 流路
10 流路
11 燃焼室
12 ロケットノズル
13 固体燃料単位体
14 燃焼ガス貫通孔
15 液体酸化剤供給部(液体酸素供給部)
16 三方バルブ

Claims (4)

  1. 固体燃料と液体燃料の燃焼によりジェット推進力を得るハイブリッドロケットにおいて、固体燃料を、直径D、円柱長Lの単位円柱形状からなる多段構成としてその比L/D≦1.5とし、前記各単位円柱形状体に軸方向に穿設された燃焼ガス貫通孔が隣接するもの同士が互いに連通しない構成とするとともに、燃焼ガス貫通孔の総面積Apとノズルスロート面積Asの比Ap/As≧1とし、燃焼ガス貫通孔の断面積Spと周長Opの比Sp/Opの最小値(Sp/Op)minと単位円柱形状体間の間隔ΔLの関係が(Sp/Op)min≦ΔLかつ円柱長Lとの比ΔL/L≦0.4であり、液体燃料である液体酸化剤を固体燃料多段構成容器の反燃焼ガス噴出孔の頂部から供給して、各段の固体燃料を並列的に同時燃焼させることを特徴とするハイブリッドロケット。
  2. 固体燃料としてアクリル樹脂やポリエチレン等の固体高分子樹脂を、液体燃料として液体酸素を使用するとともに、前記各単位円柱形状体の直径上に配設された燃焼ガス貫通孔を隣接するもの同士で交差配置したことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドロケット。
  3. 前記燃焼による出力制御は、多段構成した固体燃料の頂部から液体酸化剤を供給する供給量制御と、多段構成の中間部から酸化剤を供給して固体燃料を分割して燃焼制御するように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッドロケット。
  4. 前記多段構成した固体燃料の周囲に液体酸化剤流路を配設し、さらにその周囲にオリフィスを介した液体酸化剤タンクを配設するとともに、前記液体酸化剤流路の頂部と液体酸化剤タンクとを選択的に不活性ガス源と配管接続し、液体酸化剤の液面から噴射器までの高さをH、液体酸化剤の密度をρ、重力加速度をgとして、液体酸化剤タンクと噴射器の直上流との圧力差Δpが、Δp≦ρgHの条件を満たすようになるまで、噴射手段の流路面積を小さくすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドロケット。
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