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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用シリンダブロックに係り、より詳しくはボア内面に溶射層を設けた軽合金製シリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金からなるシリンダブロックは、従来一般には、軽合金製のブロック基体に鋳鉄ライナーを鋳包みまたは圧入し、該鋳鉄ライナーにより必要な耐摩耗性、耐スカッフィング性、摺動特性等を確保したライナー一体型構造となっていた。しかし、この種のライナー一体型のシリンダブロックにおいては、ブロック基体に対する鋳鉄ライナーの密着が不十分で、両者の熱膨張係数が異なることもあって、使用中、両者の間に部分的な剥離が生じ易く、これに起因してボアの真円度が悪化し、そのまま放置するとオイル(潤滑油)の消費量が増大することになる。そこで従来は、ピストンリングとして張力の大きいものを使用して前記真円度の悪化に対処していたが、このような対策によれば、ボア内面(摺動面)とピストンリングとの間の摩擦抵抗が増大し、燃費の悪化が避けられないようになる。
なお、一部では、鋳鉄ライナーの内表面に溶射層を形成した後、これを硫化剤を含む中性塩浴中に浸漬して、その内表面または気孔内に浸硫層を形成することが行われているが(例えば、特許文献1)、この場合でも、上記したボアの真円度悪化を避けることはできず、根本的な解決には至らない。
【0003】
ところで最近、軽合金製ブロック基体のボア内面に溶射層を積層形成して、鋳鉄ライナーを省略した、いわゆるライナーレスのシリンダブロックの開発が推し進められており、例えば、特許文献2には、軽合金製ブロック基体のボア内面に、モリブデン粉末と鋼粉末との混合粉末をプラズマ溶射して溶射層を積層形成し、この溶射層の表面をホーニング加工により仕上げて摺動面を構成したシリンダブロックが記載されている。この公報に記載のシリンダブロックによれば、溶射層にもともと存在する気孔やホーニングにより新たに生じた微小凹部などがオイルを保持するピット(オイルピット)として機能し、鋳鉄ライナーと同等の耐スカッフィング性を有するものとなる。
なお、鋳鉄製シリンダブロックの分野では、従来よりライナーレスのものがあるが、このものでは、例えば、摺動面の表面粗さ、特に十点平均粗さRz、負荷長さ率tpおよび有効負荷粗さRkとを一定範囲に収めることにより、耐スカッフィング性の向上と摩擦抵抗の低減とを図ることを行っている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−195255号公報
【特許文献2】
特表平11−515057号公報
【特許文献3】
特開2002−138896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特表平11−515057号公報に記載の軽合金製シリンダブロックによれば、摺動面に形成されるオイルピットの面積率(ピット面積率)について、特別の規定を設定していないため、ピット面積率が小さすぎる場合はオイルの保持量が不足して早期にスカッフィングが発生し、逆にピット面積率が大きすぎる場合は、オイル燃焼によるオイル消費量の増加や摩擦係数の増大による燃費低下が避けられず、耐久性、経済性の面で問題を残すこととなる。
なお、この軽合金製シリンダブロックにおいて、その摺動面の表面粗さを、上記特開2002−138896号公報に記載のもののように規定することにより、摩擦係数をある程度下げることが可能になるが、十点平均粗さRz、負荷長さ率tpおよび有効負荷粗さRkの値では、山側の平滑度を正確に表す指標となり得ず、摩擦係数を一定レベル以下(鋳鉄ライナー以下)にすることは困難である。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、摩擦係数および耐スカッフィング性の面で十分に満足する摺動面を備え、もって燃費向上と耐久性の向上とに大きく寄与するシリンダブロックを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ボア内面に積層形成された溶射層の表面をホーニング加工により仕上げて摺動面を構成した内燃機関用シリンダブロックにおいて、前記摺動面は、溶射に際して溶射層に形成される気孔の割合並びにその後のホーニング加工による溶射層からの粒子脱落の程度により決まるピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下であることを特徴とする。
このようなシリンダブロックにおいては、摺動面のピット面積率Spが5〜14%の範囲にあるので、オイルの保持能は十分となり、また、表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となっているので、摩擦係数も十分に低いレベルとなる。
本発明においては、上記摺動面に、Fe硫化物層を形成するようにしてもよい。
さらに、本発明においては、下記(1)式で表わされるY値が、14以上である構成とすることができる。
Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3 … (1)
ただし、Sp:摺動面のピット面積率(%)
Pc:摺動面における深さ1μm以上2μm未満の10mm当りピークカウント
H :摺動面の表面硬さ(Hv)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る内燃機関用シリンダブロックは、図1および2に示すように、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金製のブロック基体1のボア内面2に溶射層3を設けてなっている。この溶射層3の表面は、ホーニング加工により仕上げられて摺動面4として構成されており、この摺動面4を含む表層部には、溶射およびホーニング加工に際して形成されたピット5とホーニング加工に際して形成されたクロス状のホーニング傷6とが多数存在している。なお、ホーニング傷6の深さは、一般にピット5に比べて浅く(通常、2μm以下)、その一部は、ピット5同士を短絡する状態で存在している。
【0008】
本シリンダブロックにおいて、上記溶射層3を形成する金属材料の種類は任意であるが、耐摩耗性、耐スカッフィング性の向上を図るには、硬質の溶射層3を形成する金属材料を選択するのが望ましい。このような金属材料としては、炭素鋼、合金鋼等の鉄系材料を始め、クロム、モリブデン、タングステン等を含む非鉄系材料があるが、経済性を考慮すれば、0.4〜1.3%Cを含む中乃至高炭素鋼を選択するのが有利である。また、この溶射層3の厚さも任意であるが、摩耗および経済性を考慮すれば、0.08〜0.2mm(完成品)程度とするのが望ましい。
【0009】
しかして、本シリンダブロックは、その摺動面4におけるピット5のピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる摺動面の表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となるように仕上げられている。
上記ピット面積率Spはオイル保持能に直接影響し、これが小さすぎる場合は、オイルの保持量が不足して早期にスカッフィングが発生し、逆に大きすぎる場合は、オイル燃焼によるオイル消費量の増加や摩擦係数の増大による燃費低下が避けられず、耐久性、経済性の面で問題を生じる。本シリンダブロックは、このピット面積率Spを上記した範囲5〜14%に収めているので、耐スカッフィング性は十分となり、しかも、オイル消費量の増加や燃費低下を招くことがない。
一方、上記[Rk+Rpk]で表される表面粗さは、山側の平滑度を正確に表す指標となり、上記したようにこの値を0.9μm以下に抑えることで、本シリンダブロックの摺動面4の摩擦係数は鋳鉄ライナー以下となり、燃費が向上する。
【0010】
本シリンダブロックはまた、前記摺動面4にFeSO4、FeSx等のFe硫化物層(硫黄リッチ層)を形成するようにしてもよく、この場合は、耐スカッフィング性がより一層向上する。
本シリンダブロックはさらに、前記(1)式{Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3}で表わされる摺動面4のY値が、14以上である構成とすることができる。このY値は、実際のスカッフィング時間とぼぼ一致し、所望の耐スカッフィング性を得るための指標となる。この(1)式に従えば、耐スカッフィング性は、ピット面積率Spが大きく、1μm以上2μm未満のピークカウントPc(1〜2)が少なく、表面硬さHが高いほど良好になるが、Y値の14は、汎用の鋳鉄ライナーのスカッフィング時間(分)であり、したがって、このY値を14以上にすることで、鋳鉄ライナーと同等以上の耐スカッフィング性を確保できることになる。
【0011】
本シリンダブロックを製造するには、上記した軽合金製のブロック基体1のボア内面2に溶射した後、ホーニング加工により表面を仕上げるが、上記ピット面積率Spは、溶射に際して溶射層に形成される気孔の割合並びにその後のホーニング加工による溶射層からの粒子脱落の程度により決まるので、製造に際しては、ピット面積率Spが前記した範囲5〜14%に収まるように、溶射条件並びにホーニング加工条件を調整する。この場合、ホーニング傷6が深く現われると、ピット5同士を短絡するホーニング傷6を介してピット5内のオイルが流出する機会が増すので、ホーニング加工に際しては、ホーニング傷6の深さができるだけ浅くなるように、望ましくは0.1 μm未満となるようにホーニング加工条件を調整する。
【0012】
ここで、ボア内面に対する溶射方法は任意であり、例えば、粉末を溶射材とするプラズマ溶射を用いることができる。この溶射による溶射層の厚さは、上記した最終的に必要とする溶射層3の厚さ(0.08〜0.2mm)と後のホーニング加工による取代を考慮して決定する。
また、上記ホーニング加工方法も任意であるが、荒ホーニング、中ホーニング、仕上ホーニングを順に行うのが望ましい。また、必要により最終的にプラトーホーニングを行うようにしてもよい。
このホーニング加工に際しては、クーラントとして、硫黄分を0.3%以上含むものを用いるようにしてもよく、このようなクーラントを用いることで、摺動面にFeSO4、FeSx等のFe硫化物層(硫黄リッチ層)が形成される。
なお、摺動面4の表面硬さHは、選択する溶射材料の種類のほか、粉末供給量、粉末の加熱温度、飛行速度、溶射ガンの移動速度等により変化するので、できるだけ硬い溶射層が得られるようにこれらの条件を調整するのが望ましい。
【0013】
【実施例】
実施例1
ボア径82mmを有するアルミニウム合金製ブロック基体を対象に、そのボア内面をショットブラストにより前処理した後、エアブローにてブラスト塵を除去した。次に、このブロック基体をプラズマ溶射装置内にセットし、回転式プラズマ溶射ガンにて、1.0%Cを含む高炭素鋼粉末を溶射材として用いて溶射を行い、ボア内面に厚さ約0.1mm、気孔率2〜3%、硬さHV約380の溶射層を積層形成した。
次に、上記溶射を終えたブロック基体のボア入口の面取り加工(C=0.5)を行い、その後、これをホーニング加工装置(トランスファホーニング機)にセットして、表1に示す条件で溶射層表面(ボア内面)のホーニング加工を行い、表面性状の異なる複数のシリンダブロックを完成させた。
【0014】
【表1】
【0015】
そして、完成した各シリンダブロックから試験片を採取し、それぞれの試験片について表面粗さとピット面積率とを測定し、その後、これら試験片を摩擦試験に供した。摩擦試験は、図3に示すように、試験片11の摺動面12にピストンリング(窒化リング)13を980MPaの圧力で押付け、摺動面12にノズル14からオイル(10W30ベースオイル)を滴下しながら、ピストンリング13を300サイクル/分で摺動させる条件で行った。
【0016】
図4は、上記摩擦試験の結果を、JIS B0601−1994において規定される有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる表面粗さ[Rk+Rpk]で整理して示したものである。なお、同図には、汎用の鋳鉄ライナーと、ボア内面を鏡面に仕上げた特殊鋳鉄ライナーと、従来の溶射品の結果を併記している。同図に示す結果より、摺動面の平均摩擦係数μと表面粗さ[Rk+Rpk]との間には密接な相関があり、平均摩擦係数μは表面粗さ[Rk+Rpk]の増大に従って直線的に増加している。また、本実施例で得られた溶射品(本溶射品)の摩擦係数μは、鋳鉄ライナーの一般的な摩擦係数0.084よりも十分に低いレベルにある。さらに、摺動面の摩擦係数を、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なレベルL1と同等かそれより低い摩擦係数μとするには、前記表面粗さ[Rk+Rpk]を0.9 μm以下に抑える必要があることが明らかである。
【0017】
図5は、同じく摩擦試験の結果を、ピット面積率Spで整理して示したものである。同図に示す結果より、摺動面の平均摩擦係数μとピット面積率Spとの間には密接な相関があり、平均摩擦係数μはピット面積率Spの拡大に従って増加している。また、摺動面の摩擦係数を、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なレベルL1(μ=0.084)と同等かそれよりも低くするには、ピット面積率Spを14%以下に抑える必要がある、といえる。
【0018】
実施例2
実施例1で得られた各試験片11を、図3に示したと同様の摩擦試験に供し、事前に摺動面12にオイルを塗布する以外は、実施例1と同様の条件で耐スカッフィング評価試験を行い、スカッフィング発生までの時間(スカッフ時間)Tを最大30分まで測定した。
図6は、この耐スカッフィング評価試験の結果をピット面積率で整理して示したもので、これより、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なレベルL2(T=約14分)と同等かそれ以上の耐スカッフィング性を求めるならば、摺動面におけるピット面積率を5%以上にする必要がある、といえる。
【0019】
実施例3
実施例1で用いたアルミニウム合金製ブロック基体を対象に、摺動面におけるピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる摺動面の表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となるように、ボア内面に対する溶射条件とホーニング加工条件とを変更して実施例1と同様の溶射およびホーニング加工を行い、表面性状の異なる25種類のシリンダブロックを完成させた。そして、各シリンダブロックから3つの試験片を採取し、それぞれの試験片について表面粗さとピット面積率とを測定し、その後、実施例2と同様の耐スカッフィング評価試験を行った。
【0020】
表2は、上記耐スカッフィング評価試験の結果を、表面粗さおよびピット面積率とともに示したものである。表中、Raは算術平均粗さ、Pc(1〜2)は、深さ1μm以上2μm未満の10mm当りピークカウント、Rkは有効負荷粗さ、Rpkは初期摩耗高さ、Spはピット面積率、Hは表面硬さ、Tはスカッフ時間をそれぞれ表している。なお、表中の数値は、各シリンダブロックから採取した3つの試験片の平均値である。また、表には、説明の便宜のため、一部を省略して示している。
【0021】
【表2】
【0022】
本実施例3においては、上記表2に示すデータについて重回帰分析を行い、耐スカッフィング性の指標である前記(1)式を確立し、このY値{Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3}と実際のスカッフ時間Tとの相関を調査した。図7は、その結果を示したもので、実際のスカッフ時間Tと前記Y値との間には密接な相関が認められ、両者はほぼ1:1で対応している。すなわち、このY値は、計算上のスカッフィング時間を表しており、したがって、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なスカッフ時間のレベルL2(T=約14分)と同等かそれ以上の耐スカッフィング性を求めるならば、このY値を14以上にする必要がある、といえる。
【0023】
実施例4
実施例1で用いたアルミニウム合金製ブロック基体を対象に、摺動面におけるピット面積率Spが2〜16%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる摺動面の表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となるように、ボア内面に対する溶射条件とホーニング加工条件とを設定して、実施例1と同様に溶射およびホーニング加工を行い、特にホーニング加工に際しては、表3に示すように硫黄(S)含有量の異なる2種類のクーラントを使用し、2種類のシリンダブロックA,Bを完成させた。そして、各シリンダブロックA,Bから試験片を採取し、それぞれの試験片について、マイクロオージェ分析試験とXPS分析試験とを行い、さらに実施例2と同様の耐スカッフィング評価試験を行った。なお、ホーニング加工で用いる砥石中にもSが存在するので、表3には、荒ホーニング、中ホーニング、仕上げホーニング、プラトーホーニングで用いた各砥石中の硫黄濃度も併記している。
【0024】
【表3】
【0025】
図8は、マイクロオージェ分析試験を示したもので、硫黄分の多い(0.91%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックBは、硫黄分の少ない(0.11%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックAに比べて、表層部の硫黄濃度が著しく高くなっている。また、XPS分析試験の結果、摺動面12(図3)の表面にFeSO4、FeSx等のFe硫化物層の存在が認められた。
図9は、耐スカッフィング評価試験の結果を表面硫黄濃度と表面ピット面積率とで整理して示したものである。これより、硫黄分の多い(0.91%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックBは、表面ピット面積率Spが同等レベルでも、硫黄分の少ない(0.11%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックAに比べて、スカッフ時間Tが大幅に延びており、表面硫黄濃度が耐スカッフィング性の向上に大きく寄与することが明らかとなった。なお、硫黄分の少ない(0.11%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックA内の比較では、実施例2におけると同様にピット面積率Spが高くなるほど、スカッフ時間Tが延びている。
【0026】
実施例5
ホーニング加工で用いるクーラントとして、硫黄分が0.2%、0.31%、0.51%、0.72%と異なる4種類のクーラントを選択する以外は、実施例4と同様の条件でシリンダブロックを完成させ、各シリンダブロックから採取した試験片について、実施例2と同様の耐スカッフィング評価試験を行い、スカッフ時間Tを最大30分まで測定した。なお、比較のため、汎用の鋳鉄ライナーについても、前記のように硫黄分の異なるクーラントを用いてホーニング加工を行い(プラトーホーニングは省略)、同様の耐スカッフィング評価試験を行った。
図10は、上記耐スカッフィング評価試験の結果をクーラント中の硫黄濃度で整理して示したものである。同図に示す結果より、本実施例で得られた溶射品(本溶射品)は、クーラント中の硫黄濃度の上昇に従ってスカッフ時間Tが延びているのに対し、汎用の鋳鉄ライナー(Ra0.35)のスカッフ時間Tは、クーラント中の硫黄濃度によらずほぼ一定となっている。鋳鉄ライナーが硫黄濃度の影響をほとんど受けないのは、平滑面が少なく、面の接触割合が少ないため、と推定される。また、本溶射品の中では、ピット面積率Spが大きい(7%)ものの方が、ピット面積率Spの小さい(2%)ものよりも、スカッフ時間Tが延びている。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係るシリンダブロックによれば、ボア内面に形成された溶射層表面のピット面積率および表面粗さを規定することで、耐スカッフィング性および摩擦係数を、鋳鉄ライナーと同等レベル以上の水準にすることができ、燃費の向上と耐久性の向上とに大きく寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダブロックの表面状態を示す顕微鏡写真である。
【図2】本シリンダブロックの摺動面を含む表層部の状態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施例で行った摩擦試験の実施状態を示す模式図である。
【図4】摩擦試験の結果を表面粗さ[Rk+Rpk]で整理して示すグラフである。
【図5】摩擦試験の結果をピット面積率Spで整理して示すグラフである。
【図6】耐スカッフィング評価試験の結果をピット面積率Spで整理して示すグラフである。
【図7】計算上のスカッフィング時間であるY値と実際のスカッフィング時間との関係を示す示すグラフである。
【図8】硫黄分の異なるクーラントを用いてホーニング加工を行って場合の摺動面における硫黄濃度を示すグラフである。
【図9】スカッフィング時間に及ぼす摺動面の硫黄濃度の影響を示すグラフである。
【図10】スカッフィング時間に及ぼすクーラントの硫黄濃度の影響を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ブロック基体
2 ボア内面
3 溶射層
4 摺動面
5 ピット
6 ホーニング傷[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a cylinder block for an internal combustion engine, and more particularly to a light alloy cylinder block in which a thermal spray layer is provided on an inner surface of a bore.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a cylinder block made of a light alloy such as an aluminum alloy or a magnesium alloy is generally cast or pressed into a block base made of a light alloy, and the cast iron liner provides the necessary wear resistance, scuffing resistance, sliding resistance. The liner integrated structure ensures dynamic characteristics. However, in this type of liner-integrated cylinder block, the adhesion of the cast iron liner to the block base is inadequate, and the thermal expansion coefficient of the two may be different, so that partial delamination occurs between the two during use. The roundness of the bore deteriorates easily due to this, and if it is left as it is, the consumption of oil (lubricating oil) increases. Therefore, in the past, a piston ring having a high tension was used to cope with the deterioration of the roundness. However, according to such a countermeasure, a gap between the bore inner surface (sliding surface) and the piston ring is used. Frictional resistance increases, and fuel consumption is inevitably deteriorated.
In some cases, a sprayed layer is formed on the inner surface of the cast iron liner and then immersed in a neutral salt bath containing a sulfurizing agent to form a sulfurized layer on the inner surface or pores. Although it has been carried out (for example, Patent Document 1), even in this case, the above-described deterioration in the roundness of the bore cannot be avoided, and a fundamental solution cannot be achieved.
[0003]
Recently, development of a so-called linerless cylinder block in which a sprayed layer is formed on the inner surface of a bore of a light alloy block base and a cast iron liner is omitted has been promoted. A cylinder block is described in which a sprayed layer is formed by plasma spraying a mixed powder of molybdenum powder and steel powder on the inner surface of the bore of the block base made of the block, and the surface of this sprayed layer is finished by honing to form a sliding surface. Has been. According to the cylinder block described in this publication, the pores originally present in the sprayed layer and the minute recesses newly generated by honing function as pits (oil pits) for retaining oil, and scuffing resistance equivalent to that of cast iron liners. It will have.
In the cast iron cylinder block field, there is a conventional linerless type. In this case, for example, the surface roughness of the sliding surface, particularly the ten-point average roughness Rz, the load length ratio tp, and the effective load By keeping the roughness Rk within a certain range, scuffing resistance is improved and frictional resistance is reduced (Patent Document 3).
[0004]
[Patent Document 1]
JP 63-195255 A [Patent Document 2]
Japanese Patent Publication No. 11-515057 [Patent Document 3]
Japanese Patent Laid-Open No. 2002-138896
[Problems to be solved by the invention]
However, according to the light alloy cylinder block described in the above-mentioned Japanese National Publication No. 11-515057, special regulations are set for the area ratio (pit area ratio) of the oil pit formed on the sliding surface. Therefore, if the pit area ratio is too small, the amount of oil retained will be insufficient and scuffing will occur early. Conversely, if the pit area ratio is too large, the oil consumption will increase and the friction coefficient will increase due to oil combustion. The fuel consumption is inevitably reduced by this, and it will leave problems in terms of durability and economy.
Incidentally, in this light alloy cylinder block, the surface roughness of the sliding surface, by defining as those described in JP-A-200 2 -138 896, it is possible to reduce to some extent the friction coefficient However, the values of the ten-point average roughness Rz, the load length ratio tp, and the effective load roughness Rk cannot be an index that accurately represents the smoothness on the mountain side, and the friction coefficient is set to a certain level (cast iron liner or less). It is difficult.
The present invention has been made in view of the above-described conventional problems, and the object of the present invention is to provide a sliding surface that is sufficiently satisfied in terms of friction coefficient and scuffing resistance, thereby improving fuel consumption and durability. An object of the present invention is to provide a cylinder block that greatly contributes to the improvement of the above.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
To solve the above problems, the present invention, the surface of the thermal sprayed layer which is laminated on the bore inner surface in an internal combustion engine cylinder blocks constituting the sliding surface is finished by honing, the sliding surface is sprayed upon spraying The pit area ratio Sp determined by the ratio of pores formed in the layer and the degree of particle dropout from the sprayed layer by the subsequent honing process is in the range of 5 to 14%, and the effective load roughness Rk and the initial wear height Rpk. The surface roughness [Rk + Rpk] expressed by the sum of and is 0.9 μm or less.
In such a cylinder block, since the pit area ratio Sp of the sliding surface is in the range of 5 to 14%, the oil retaining ability is sufficient, and the surface roughness [Rk + Rpk] is 0.9 μm or less. Therefore, the coefficient of friction is at a sufficiently low level.
In the present invention, an Fe sulfide layer may be formed on the sliding surface.
Furthermore, in this invention, it can be set as the structure whose Y value represented by following (1) Formula is 14 or more.
Y = 1.36 * Sp-8.8 * Pc (1-2) + 0.083 * H-13.3 (1)
However, Sp: Sliding surface pit area ratio (%)
Pc: Peak count per 10 mm having a depth of 1 μm or more and less than 2 μm on the sliding surface H: Surface hardness (Hv) of the sliding surface
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below.
As shown in FIGS. 1 and 2, the cylinder block for an internal combustion engine according to the present invention is provided with a sprayed
[0008]
In this cylinder block, the metal material for forming the sprayed
[0009]
Thus, in this cylinder block, the pit area ratio Sp of the
The pit area ratio Sp directly affects the oil holding capacity. If this is too small, the amount of oil held will be insufficient and scuffing will occur early. Conversely, if it is too large, the oil consumption will increase due to oil combustion. In addition, a decrease in fuel consumption due to an increase in the coefficient of friction is unavoidable, causing problems in terms of durability and economy. Since this cylinder block keeps the pit area ratio Sp in the above range of 5 to 14%, the scuffing resistance is sufficient, and the oil consumption is not increased and the fuel consumption is not lowered.
On the other hand, the surface roughness represented by the above [Rk + Rpk] is an index that accurately represents the smoothness on the mountain side, and by suppressing this value to 0.9 μm or less as described above, the sliding
[0010]
In the cylinder block, an Fe sulfide layer (sulfur rich layer) such as FeSO 4 or FeS x may be formed on the sliding
In the cylinder block, the Y value of the sliding
[0011]
In order to manufacture this cylinder block, after spraying the bore
[0012]
Here, the thermal spraying method for the bore inner surface is arbitrary, and for example, plasma spraying using powder as a thermal spraying material can be used. The thickness of the thermal sprayed layer by this thermal spraying is determined in consideration of the above-described final required thickness (0.08 to 0.2 mm) of the thermal sprayed
Further, although the honing method is arbitrary, it is desirable to perform rough honing, medium honing, and finish honing in this order. Further, if necessary, plateau honing may be finally performed.
In this honing process, a coolant containing a sulfur content of 0.3% or more may be used. By using such a coolant, an Fe sulfide layer (such as FeSO 4 , FeS x) is formed on the sliding surface. A sulfur-rich layer) is formed.
The surface hardness H of the sliding
[0013]
【Example】
Example 1
For a block base made of aluminum alloy having a bore diameter of 82 mm, the inner surface of the bore was pretreated by shot blasting, and then blast dust was removed by air blow. Next, this block substrate is set in a plasma spraying apparatus, and sprayed using a high-carbon steel powder containing 1.0% C as a spraying material with a rotary plasma spraying gun, and the inner surface of the bore is about 0.1 mm thick. A sprayed layer having a porosity of 2 to 3% and a hardness of about 380 was laminated.
Next, chamfering (C = 0.5) is performed on the bore inlet of the block base after the above thermal spraying, and then this is set in a honing machine (transfer honing machine), and the surface of the thermal spray layer is subjected to the conditions shown in Table 1. A honing process was performed on the inner surface of the bore to complete a plurality of cylinder blocks having different surface properties.
[0014]
[Table 1]
[0015]
Then, test pieces were collected from each completed cylinder block, and the surface roughness and pit area ratio of each test piece were measured, and then these test pieces were subjected to a friction test. In the friction test, as shown in FIG. 3, a piston ring (nitriding ring) 13 is pressed against the sliding
[0016]
FIG. 4 shows the results of the friction test organized by the surface roughness [Rk + Rpk] represented by the sum of the effective load roughness Rk and the initial wear height Rpk defined in JIS B0601-1994. is there. The figure also shows the results of a general-purpose cast iron liner, a special cast iron liner with a bored mirror finish, and a conventional thermal sprayed product. From the results shown in the figure, there is a close correlation between the average friction coefficient μ of the sliding surface and the surface roughness [Rk + Rpk], and the average friction coefficient μ is linear as the surface roughness [Rk + Rpk] increases. It has increased. Further, the friction coefficient μ of the thermal spray product obtained in this example (the main thermal spray product) is at a level sufficiently lower than the general friction coefficient 0.084 of the cast iron liner. Further, in order to make the friction coefficient of the sliding surface equal to or lower than the general level L1 of the general-purpose cast iron liner, it is necessary to suppress the surface roughness [Rk + Rpk] to 0.9 μm or less. It is clear.
[0017]
FIG. 5 similarly shows the results of the friction test organized by the pit area ratio Sp. From the results shown in the figure, there is a close correlation between the average friction coefficient μ of the sliding surface and the pit area ratio Sp, and the average friction coefficient μ increases as the pit area ratio Sp increases. In order to make the friction coefficient of the sliding surface equal to or lower than the general level L1 (μ = 0.084) of a general-purpose cast iron liner, it is necessary to suppress the pit area ratio Sp to 14% or less. It can be said.
[0018]
Example 2
Each
FIG. 6 shows the results of this scuffing resistance evaluation test arranged in terms of the pit area ratio. From this, the level L2 (T = about 14 minutes) of a general-purpose cast iron liner is equal to or higher than that. If scuffing resistance is required, it can be said that the pit area ratio on the sliding surface needs to be 5% or more.
[0019]
Example 3
For the aluminum alloy block substrate used in Example 1, the pit area ratio Sp on the sliding surface is in the range of 5 to 14%, and is represented by the sum of the effective load roughness Rk and the initial wear height Rpk. The thermal spraying and honing processes in the same manner as in Example 1 were performed by changing the thermal spraying conditions and the honing process conditions on the inner surface of the bore so that the surface roughness [Rk + Rpk] of the sliding surface is 0.9 μm or less. 25 different types of cylinder blocks were completed. And three test pieces were extract | collected from each cylinder block, the surface roughness and pit area rate were measured about each test piece, and the scuffing-proof evaluation test similar to Example 2 was done after that.
[0020]
Table 2 shows the results of the scuffing resistance evaluation test together with the surface roughness and the pit area ratio. In the table, Ra is the arithmetic average roughness, Pc (1-2) is the peak count per 10 mm having a depth of 1 μm or more and less than 2 μm, Rk is the effective load roughness, Rpk is the initial wear height, Sp is the pit area ratio, H represents surface hardness and T represents scuff time. In addition, the numerical value in a table | surface is an average value of the three test pieces extract | collected from each cylinder block. In the table, a part of the table is omitted for convenience of explanation.
[0021]
[Table 2]
[0022]
In Example 3, a multiple regression analysis is performed on the data shown in Table 2 above to establish the above equation (1), which is an index of scuffing resistance, and this Y value {Y = 1.36 × Sp−8.8 × Pc ( The correlation between 1-2) + 0.083 × H-13.3} and the actual scuff time T was investigated. FIG. 7 shows the result. A close correlation was observed between the actual scuff time T and the Y value, and both corresponded approximately 1: 1. That is, this Y value represents the calculated scuffing time, and therefore, scuffing resistance equal to or higher than the general scuff time level L2 (T = about 14 minutes) of a general-purpose cast iron liner is obtained. Then, it can be said that this Y value needs to be 14 or more.
[0023]
Example 4
For the aluminum alloy block substrate used in Example 1, the pit area ratio Sp on the sliding surface is in the range of 2 to 16%, and is expressed as the sum of the effective load roughness Rk and the initial wear height Rpk. The thermal spraying conditions and honing conditions for the bore inner surface are set so that the surface roughness [Rk + Rpk] of the sliding surface is 0.9 μm or less, and thermal spraying and honing are performed in the same manner as in Example 1, especially honing. At the time of processing, as shown in Table 3, two types of coolants having different sulfur (S) contents were used, and two types of cylinder blocks A and B were completed. And the test piece was extract | collected from each cylinder block A and B, the micro Auger analysis test and the XPS analysis test were done about each test piece, and also the scuffing-proof evaluation test similar to Example 2 was done. Since S is also present in the grindstone used in the honing process, Table 3 also shows the sulfur concentration in each grindstone used in rough honing, medium honing, finish honing, and plateau honing.
[0024]
[Table 3]
[0025]
Fig. 8 shows a micro-Auger analysis test. Cylinder block B, which was honed using a high sulfur content (0.91%) coolant, was honed using a low sulfur content (0.11%) coolant. Compared to the cylinder block A, the sulfur concentration in the surface layer is significantly higher. As a result of the XPS analysis test, the presence of an Fe sulfide layer such as FeSO 4 or FeS x on the surface of the sliding surface 12 (FIG. 3) was recognized.
FIG. 9 shows the results of the scuffing resistance evaluation test organized by surface sulfur concentration and surface pit area ratio. From this, the cylinder block B that was honed using a high sulfur content (0.91%) coolant was honed using a low sulfur content (0.11%) coolant even when the surface pit area ratio Sp was the same level. Compared to the cylinder block A, the scuff time T is greatly extended, and it has been clarified that the surface sulfur concentration greatly contributes to the improvement of the scuffing resistance. In addition, in the comparison in the cylinder block A in which honing was performed using a coolant having a low sulfur content (0.11%), the scuff time T is increased as the pit area ratio Sp is increased as in the second embodiment.
[0026]
Example 5
Cylinder blocks are completed under the same conditions as in Example 4 except that four types of coolant with different sulfur contents of 0.2%, 0.31%, 0.51%, and 0.72% are selected for the honing process. About the test piece extract | collected from, the scuffing-proof evaluation test similar to Example 2 was done, and the scuff time T was measured to the maximum of 30 minutes. For comparison, a general-purpose cast iron liner was also subjected to honing using a coolant having a different sulfur content as described above (plateau honing was omitted), and a similar scuffing resistance evaluation test was performed.
FIG. 10 shows the results of the scuffing resistance evaluation test organized by the sulfur concentration in the coolant. From the results shown in the figure, the sprayed product obtained in the present example (the present sprayed product) has a scuff time T that increases as the sulfur concentration in the coolant increases, whereas a general-purpose cast iron liner (Ra 0.35). ) Scuff time T is substantially constant regardless of the sulfur concentration in the coolant. It is presumed that the cast iron liner is hardly affected by the sulfur concentration because there are few smooth surfaces and the contact ratio of the surfaces is small. Further, in the thermal sprayed product, the scuff time T is longer for those having a large pit area ratio Sp (7%) than for those having a small pit area ratio Sp (2%).
[0027]
【The invention's effect】
As described above, according to the cylinder block according to the present invention, the scuffing resistance and the friction coefficient can be reduced by defining the pit area ratio and the surface roughness of the surface of the sprayed layer formed on the inner surface of the bore. It is possible to achieve a level equal to or higher than the above, greatly contributing to improvement in fuel consumption and durability.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a photomicrograph showing the surface condition of a cylinder block according to the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view schematically showing a state of a surface layer portion including a sliding surface of the cylinder block.
FIG. 3 is a schematic diagram showing an implementation state of a friction test performed in an example of the present invention.
FIG. 4 is a graph showing the results of a friction test organized by surface roughness [Rk + Rpk].
FIG. 5 is a graph showing the results of a friction test organized by pit area ratio Sp.
FIG. 6 is a graph showing the results of scuffing resistance evaluation tests organized by pit area ratio Sp.
FIG. 7 is a graph showing a relationship between a Y value that is a calculated scuffing time and an actual scuffing time.
FIG. 8 is a graph showing the sulfur concentration on the sliding surface when honing is performed using coolants having different sulfur contents.
FIG. 9 is a graph showing the influence of the sulfur concentration of the sliding surface on the scuffing time.
FIG. 10 is a graph showing the influence of the sulfur concentration of the coolant on the scuffing time.
[Explanation of symbols]
1
Claims (3)
Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3
ただし、Sp:摺動面のピット面積率(%)
Pc:摺動面における深さ1μm以上2μm未満の10mm当りピークカウント
H :摺動面の表面硬さ(HV)The cylinder block according to claim 1, wherein a Y value represented by the following formula is 14 or more.
Y = 1.36 * Sp-8.8 * Pc (1-2) + 0.083 * H-13.3
However, Sp: Sliding surface pit area ratio (%)
Pc: Peak count per 10 mm with a depth of 1 μm or more and less than 2 μm on the sliding surface H: Surface hardness (HV) of the sliding surface
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