JP4197211B2 - 内燃機関の動弁制御装置 - Google Patents

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本出願発明は、バルブオーバラップ角度を有するように開閉される吸気弁および排気弁を備えた内燃機関において、吸気弁の開角およびバルブ作動角を含むバルブ作動特性を変更するバルブ特性切換機構と吸気弁の開閉時期である位相を変更するバルブ位相可変機構とを有する動弁機構を備えた内燃機関の動弁制御装置に関し、さらに詳細には、機関高負荷時に、バルブ特性切換機構による吸気弁のバルブ作動特性切換時の開弁時期を設定するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸気弁の開角(すなわち、開弁時期)、バルブ作動角、閉角(すなわち、閉弁時期)およびバルブリフト量からなるバルブ作動特性を変更するバルブ特性切換機構を有する動弁機構を備え、複数の機関回転域にそれぞれ対応して設定された複数のバルブ作動特性を、機関回転数に応じて切り換える内燃機関の動弁制御装置が知られている(特開平6−93820号公報参照)。
【0003】
この従来技術のバルブ特性切換機構は、カム軸に形成されたプロフィルの異なる低速用、中速用および高速用の三つのカムと、それらカムにそれぞれ従動する三つのロッカーアームと、それらロッカーアームを機関回転数に応じて連結状態または連結解除状態にする連結切換機構とを備えている。
【0004】
そして、低速用カムに従動する低速ロッカーアームに連動連結される吸気弁は、連結切換機構の作動により、機関回転域が低速回転域では低速用カム、中速回転域では中速用カムそして高速回転域では高速用カムによりそれぞれ開弁駆動される。その結果、高い機関回転域になるにつれて、吸気弁は、その開角(開弁時期)がより早い時期に設定されるとともにその閉角(閉弁時期)がより遅い時期に設定されてバルブ作動角が大きくなり、またバルブリフト量がより大きくなるバルブ作動特性で駆動される。
【0005】
また、吸気弁のバルブ特性切換機構と吸気弁の開閉時期である位相を変更するバルブ位相可変機構とを有する動弁機構を備え、それらバルブ特性切換機構による制御およびバルブ位相可変機構による制御を組み合わせて動弁機構の制御を行う内燃機関の動弁制御装置も知られている(特公平5−43847号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開平6−93820号公報の動弁制御装置においては、機関高負荷時の高い機関回転域でバルブ作動角の大きいカムにより吸気弁が開弁駆動されるとき、吸気弁の閉弁時期が遅くなることで吸気慣性効果を有効に利用することができるため体積効率は向上するものの、バルブ特性切換機構の構造上、同時に吸気弁の開弁時期が、混合気の慣性によるシリンダへの流入の遅れを考慮したときの時期より早くなり、排気行程後半の比較的早い時期に吸気弁が開弁する。そのため、バルブオーバラップの期間中に、既燃ガスの一部が、シリンダや排気ポートから吸気ポートに逆流して、結果としてシリンダに残留する既燃ガスの量が増えるとともに、混合気が既燃ガスと混合することでその温度が上昇して膨張することから、混合気の吸入量が減少することになって、体積効率の向上が妨げられ、高出力が要求される機関高負荷時の高い機関回転域でのトルク向上の阻害要因となっていた。
【0007】
本出願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内燃機関の動弁制御装置において、機関高負荷時の高い機関回転域において、バルブ作動特性切換時に吸気弁の開弁時期が必要以上に早くなるのを防止して、既燃ガスの吸気ポートへの逆流を抑制することで、体積効率を向上させ、機関高負荷時の高い機関回転域でのトルク向上を図ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本出願の請求項記載の発明は、バルブオーバラップ角度を有するように開閉される吸気弁および排気弁と、前記吸気弁のみの開弁時期およびバルブ作動角を含む吸気バルブ作動特性を変更する吸気側バルブ特性切換機構と前記吸気弁のみの開閉時期である位相を変更するバルブ位相可変機構とを有する動弁機構と、機関負荷を検出する負荷センサと、機関回転数を検出する回転数センサと、制御装置とを備え、前記制御装置により制御される前記吸気側バルブ特性切換機構は、前記回転数センサにより検出された機関回転数に応じて、複数の機関回転域にそれぞれ対応して設定された複数の前記吸気バルブ作動特性を、高い機関回転域になるほど、より早い時期に設定された開弁時期およびより大きいバルブ作動角を有する吸気バルブ作動特性に切り換える内燃機関の動弁制御装置において、前記負荷センサにより検出された機関負荷が所定値以上である高負荷時に、前記制御装置により制御される前記バルブ位相可変機構は、前記回転数センサにより検出された機関回転数の上昇に応じて前記吸気弁の位相を遅角するとともに、前記複数の機関回転域のうちの隣接する二つの機関回転域において、前記吸気側バルブ特性切換機構による一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性から他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後の前記吸気弁の開弁時期である前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期が、前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期と等しくなるように前記吸気弁の位相を制御する内燃機関の動弁制御装置である。
【0012】
この請求項記載の発明によれば、機関高負荷時に、異なる吸気バルブ作動特性で吸気弁が開弁駆動される複数の機関回転域のうちの隣接する二つの機関回転域において、より高い機関回転域では、より早い時期に設定された開弁時期およびより大きいバルブ作動角を有する吸気バルブ作動特性で吸気弁が開弁駆動されるにも拘わらず、バルブ位相可変機構により、前記より高い機関回転域の吸気バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期が、より低い機関回転域である一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期と等しくなるようにされ、しかも各機関回転域において、吸気弁の位相は機関回転数の上昇に応じて遅角される。これにより、前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性から前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後の吸気弁の開弁時期は、前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期と等しくなるとともに、このより高い機関回転域において、その最小遅角時の開弁時期より早い時期に吸気弁が開弁することが防止される。
【0013】
その結果、前記他方のより高い機関回転域においては、該他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後から、バルブオーバラップ中にシリンダや排気ポートから吸気ポートへの既燃ガスの逆流が抑制されて、シリンダに残留する既燃ガスの量が減少する上、既燃ガスとの混合による温度上昇で生じる混合気の膨張が抑制されて、混合気の吸入量が増加するので、体積効率を向上させることができ、機関高負荷時の高い機関回転域でのトルクの向上ができる。
【0014】
また、隣接する二つの機関運転域のそれぞれの吸気バルブ作動特性における最小遅角時の吸気弁の開弁時期が等しいため、結果として、機関高負荷時に全ての機関回転域において、最小遅角時の吸気弁の開弁時期が同じとなる。このことにより、低い機関回転域では、体積効率の向上をもたらす吸気弁の早期閉弁の設定が可能となり、高い機関回転域では前述のように該高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後から、過度の既燃ガスの逆流を防止することによる体積効率の向上ができるので、機関高負荷時の全機関回転域において、トルクを向上させることが可能となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の動弁制御装置において、前記回転数センサにより検出された機関回転数が切換回転数に達したとき、前記吸気側バルブ特性切換機構により前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性から前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換が行われ、前記バルブ位相可変機構は、前記切換回転数になる直前での前記吸気弁の位相を、前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後の前記吸気弁の開弁時期が、前記吸気弁の位相を変更することなく前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期と等しくなるような値に設定するものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の動弁制御装置において、前記制御装置は、前記吸気側バルブ特性切換機構による前記吸気バルブ作動特性の切換時に、前記吸気側バルブ特性切換機構による前記吸気バルブ作動特性の切換終了時期と前記バルブ位相可変機構による前記吸気弁の位相の変更終了時期との差が最小となるように、前記吸気側バルブ特性切換機構の切換開始時期および前記バルブ位相可変機構の変更開始時期を制御するものである。
【0016】
この請求項3記載の発明によれば、吸気バルブ作動特性切換時に、吸気バルブ作動特性の切換終了時期と位相の変更終了時期との差を最小にすること、最適には切換終了時期と変更終了時期とを一致させることができるので、吸気バルブ作動特性切換時のトルクの低下を防止できる。
【0017】
なお、この明細書において、「機関回転数の上昇に応じて吸気弁の位相を遅角する」とは、各吸気バルブ作動特性に対応する機関回転域において、機関回転数が上昇するときは常に吸気弁の位相が遅角される位相制御形態のほか、一部の機関回転数範囲では機関回転数が上昇しているのにも拘わらず位相が変化せず、残りの機関回転数範囲では機関回転数が上昇するときは常に位相が遅角される位相制御形態を含む。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本出願発明の実施形態を図1ないし図15を参照して説明する。
図1ないし図15に示される実施形態において、内燃機関1は、車両に搭載される火花点火式の4気筒DOHC4バルブ内燃機関であり、各ピストン2はコネクティングロッド3を介してクランク軸4に連結されている。図1に図示されるように、クランク軸4の軸端部に設けられたドライブスプロケット7と、吸気カム軸5および排気カム軸6の一方の軸端部にそれぞれ設けられたカムスプロケット8,9とが、タイミングチェーン10を介して連結されていて、両カム軸5,6は、クランク軸4の2回転毎に1回転するように回転駆動される。
【0019】
各気筒には、吸気カム軸5により開弁駆動される2個の吸気弁11と、排気カム軸6により開弁駆動される2個の排気弁12とが設けられている。吸気カム軸5と吸気弁11との間、そして排気カム軸6と排気弁12との間には、それら弁の開角(すなわち、開弁時期)、閉角(すなわち、閉弁時期)、バルブ作動角およびバルブリフト量からなるバルブ作動特性を切り換える油圧式の吸気側バルブ特性切換機構13および油圧式の排気側バルブ特性切換機構14がそれぞれ設けられている。また、吸気カム軸5において、カムスプロケット8が設けられた軸端部には、クランク軸4に対する吸気カム軸5のカム位相、したがって吸気弁11の開閉時期である位相を、無段階に進角または遅角して連続的に変更する油圧式のバルブ位相可変機構100が設けられている。そして、両カム軸5,6、両バルブ特性切換機構13,14およびバルブ位相可変機構100は、内燃機関1の動弁機構の一部分を構成している。
【0020】
動弁機構のこれら構成要素について、先ず図2ないし図5を参照して、吸気カム軸5に設けられたカムおよび吸気ロッカアームを主たる構成要素とする吸気側バルブ特性切換機構13の構造を説明する。
吸気カム軸5には、各気筒に対応して、一対の中速用カム15,19と、両中速用カム15,19の間に位置する一対の低速用カム16,18と、両低速用カム16,18に挟まれて配置された高速用カム17とが一体に設けられている。吸気カム軸5よりも下方において、第1ないし第5吸気ロッカアーム21〜25が、両低速用カム16,18、両中速用カム15,19および高速用カム17にそれぞれ対応した配置で、吸気カム軸5と平行に固定された吸気ロッカ軸20に揺動自在に支持されている。
【0021】
図3に図示されるように、低速用カム16,18は、吸気カム軸5の径方向に比較的小さい突出量で、その周方向に所定のカム作動角に渡って突出した高位部と、ベース円部とから構成されている。中速用カム15,19は、吸気カム軸5の径方向の突出量が低速用カム16,18のそれより大きく、かつカム作動角が低速用カム16,18のそれより大きい高位部と、ベース円部とから構成されている。高速用カム17は、吸気カム軸5の径方向の突出量が中速用カム15,19のそれより大きく、かつカム作動角が中速用カム15,19のそれより大きい高位部と、ベース円部とから構成されている。
【0022】
第2および第4吸気ロッカアーム22,24の一端部には、バルブステム26の上端近傍に設けられた鍔部27とシリンダヘッド28との間に圧縮状態で装着されたバルブスプリング29により閉弁方向に付勢されている吸気弁11のバルブステム26の上端に当接するタペットねじ30が、それぞれ進退自在に設けられている。
【0023】
第2および第4吸気ロッカアーム22,24の中間部の上面には両低速用カム16,18とそれぞれ当接し得るスリッパ22a,24aが設けられており、二つの吸気ロッカアーム22,24は、スリッパ22a,24aを介して両低速用カム16,18にそれぞれ従動する。第1、第5および第3吸気ロッカアーム21,25,23には両中速用カム15,19および高速用カム17とそれぞれ当接し得るローラ21a,25a,23aが設けられており、三つの吸気ロッカアーム21,25,23は、これらローラ21a,25a,23aを介して両中速用カム15,19および高速用カム17にそれぞれ従動する。また、第1、第5および第3吸気ロッカアーム21,25,23は、リフタスプリング31により、ローラ21a,25a,23aが両中速用カム15,19および高速用カム17に当接し得るように付勢されている。
【0024】
図2ないし図5に図示されるように、第1および第2吸気ロッカアーム21,22には、両者の連結および連結解除を切換可能とする第1連結切換機構32が設けられ、第4および第5吸気ロッカアーム24,25には、両者の連結および連結解除を切換可能とする第2連結切換機構33が設けられ、第2、第3および第4吸気ロッカアーム22,23,24には、これら三者の連結および連結解除を切換可能とする第3連結切換機構34が設けられている。
【0025】
図4に図示されるように、第1および第2吸気ロッカアームの間の連結状態を切り換える第1連結切換機構32は、有底筒状のピストン35と、第1および第2吸気ロッカアーム21,22を連結し得る連結ピン36と、ピストン35および連結ピン36の移動を規制する有底筒状の規制ピン37と、ピストン35および連結ピン36を連結側に付勢する戻しばね38とを備えている。
【0026】
開放端を連結ピン36側にしたピストン35内には、有底筒状の押圧ピン39が摺動自在に嵌合されている。押圧ピン39の内周に、ピストン35の底部と押圧ピン39の底部との間で圧縮状態で装着され押圧ばね40は、ピストン35の開放端が連結ピン36から離れる方向に、そして押圧ピン39の底部が連結ピン36に当接するように、ピストン35および押圧ピン39をそれぞれ付勢している。なお、戻しばね38のセット荷重は、押圧ばね40のそれよりも大きく設定される。
【0027】
第1吸気ロッカアーム21には、吸気ロッカ軸20と平行な有底のガイド孔41が、その開放端を第2吸気ロッカアーム22側にして形成されている。ガイド孔41にはピストン35が摺動自在に嵌合し、ピストン35とガイド孔41の底部との間に油圧室42が形成されている。さらに、第1吸気ロッカアーム21には油圧室42に連通する連通路43が形成され、吸気ロッカ軸20には第1油圧供給路44が形成されている。連通路43と第1油圧供給路44とは、吸気ロッカ軸20の側壁に形成された油孔を介して、第1吸気ロッカアーム21の揺動状態にかかわらず常時連通している。
【0028】
第2吸気ロッカアーム22には、ガイド孔41に対応する位置に同一径の有底のガイド孔45が、その開放端を第1吸気ロッカアーム21側にして吸気ロッカ軸20と平行に形成されており、このガイド孔45に連結ピン36および規制ピン37が摺動自在に嵌合している。戻しばね38は、規制ピン37の内周に、ガイド孔45の底部と規制ピン37の底部との間に圧縮状態で装着されている。
【0029】
また、第1連結切換機構32には、第1吸気ロッカアーム21と第2吸気ロッカアーム22との連結および連結解除のタイミングを規制するために、ピストン35の径方向に揺動自在なタイミングプレート(図示されず)が設けられている。このタイミングプレートは、第1吸気ロッカアーム21のローラ21aが中速用カム15のベース円部に当接しているとき、ピストン35の係合溝35aまたはピストン35と連結ピン36との間の係合溝35bに係合してピストン35の移動を規制し、第1吸気ロッカアーム21のローラ21aが中速用カム15の高位部に当接して、第1吸気ロッカアーム21が押し下げられたとき、その揺動が制限されてそれら係合溝35b,35bから離脱するようにされている。
【0030】
第1連結切換機構32の油圧室42の油圧が低圧のときは、ピストン35、連結ピン36および規制ピン37は、戻しばね38の弾発力で連結側に移動しており、連結ピン36がガイド孔41に嵌合して第1および第2吸気ロッカアーム21,22が一体に連結される連結位置を占める。このとき、タイミングプレートは、係合溝35bに係合する。
【0031】
油圧室42の油圧が高圧になると、中速用カム15の高位部により第2吸気ロッカアーム22が押し下げられたとき、係合溝35bからタイミングプレートが離脱し、ピストン35が押圧ばね40を圧縮して連結ピン36に当接するまで移動する。しかしながら、連結ピン36が第1吸気ロッカアーム21と第2吸気ロッカアーム22とに跨った位置にあるため、連結ピン36には剪断方向の力が作用して、その力に基づく摩擦力により、連結ピン36を第2吸気ロッカアーム22に押し込むためのピストン35の移動が阻止される。そして、第1および第2吸気ロッカアーム21,22が中速用および低速用カム15,16のベース円部にそれぞれ当接し始め、連結ピン36への前記剪断方向の力が小さくなったときに、ピストン35は連結ピン36を第2吸気ロッカアーム22に押し込む位置まで移動して、ピストン35と連結ピン36との当接面が第1および第2吸気ロッカアーム21,22の間に位置するため、ピストン35、連結ピン36および規制ピン37は、第1および第2吸気ロッカアーム21,22が非連結状態になる連結解除位置を占める。このとき、タイミングプレートは係合溝35aに係合する。
【0032】
図4に図示されるように、第4および第5吸気ロッカアーム24,25の連結状態を切り換える第2連結切換機構33は、前述した第1連結切換機構32と基本的に同一の構成を有している。したがって、第2連結切換機構33では、吸気ロッカ軸20の側壁に形成された油孔および連通路54を介して第1油圧供給路44と常時連通する油圧室53の油圧が低圧のときは、押圧ピン50および押圧ばね51を内蔵したピストン46、連結ピン47および規制ピン48は、戻しばね49の弾発力で連結側に移動しており、連結ピン47が両ガイド孔52,55に嵌合して第4および第5吸気ロッカアーム24,25が一体に連結される連結位置を占める。そして、油圧室53の油圧が高圧のときは、ピストン46が連結ピン47を第4吸気ロッカアーム24に押し込む位置まで移動して、ピストン46と連結ピン47との当接面が第4および第5吸気ロッカアーム24,25の間に位置するため、ピストン46、連結ピン47および規制ピン48は、第4および第5吸気ロッカアーム24,25が非連結状態になる連結解除位置を占める。なお、第2連結切換機構33は、第1連結切換機構32と同期して切換作動する。
【0033】
図5に図示されるように、第2、第3および第4吸気ロッカアーム22,23,24の連結状態を切り換える第3連結切換機構34は、第2および第3吸気ロッカアーム22,23を連結し得る連結ピストン56と、第3および第4吸気ロッカアーム23,24を連結し得る連結ピン57と、連結ピストン56および連結ピン57の移動を規制する有底円筒状の規制ピン58と、連結ピストン56、連結ピン57および規制ピン58を連結解除側に付勢する戻しばね59とを備えている。
【0034】
第2吸気ロッカアーム22には、吸気ロッカ軸20と平行な有底のガイド孔60が、その開放端を第3吸気ロッカアーム23側にして形成されている。ガイド孔60には連結ピストン56が摺動自在に嵌合し、連結ピストン56とガイド孔56の底部との間に油圧室63が形成されている。さらに、第2吸気ロッカアーム222には油圧室63に連通する連通路64が形成され、吸気ロッカ軸20には第2油圧供給路65が形成されている。連通路64と第2油圧供給路65とは、吸気ロッカ軸20の側壁に形成された油孔66を介して、第2吸気ロッカアーム22の揺動状態にかかわらず常時連通している。
【0035】
第3吸気ロッカアーム23には、ガイド孔60に対応する位置に同一径のガイド孔61が、吸気ロッカ軸20と平行に貫通して形成されており、このガイド孔61に連結ピン57が摺動自在に嵌合している。
【0036】
第4吸気ロッカアーム24には、ガイド孔61に対応する位置に同一径の有底円筒状のガイド孔62が、その開放端を第3吸気ロッカアーム23側にして吸気ロッカ軸20と平行に形成されており、このガイド孔62に規制ピン58が摺動自在に嵌合している。戻しばね59は、規制ピン58の内周に、ガイド孔62の底部と規制ピン58の底部との間に圧縮状態で装着されている。
【0037】
油圧室63の油圧が低圧のとき、連結ピストン56、連結ピン57および規制ピン58は、戻しばね59の弾発力で連結解除側に移動しており、連結ピストン56と連結ピン57との当接面が第2および第3吸気ロッカアーム22,23の間に位置し、連結ピン57と規制ピン58との当接面が第3および第4吸気ロッカアーム23,24の間に位置するため、第2、第3および第4吸気ロッカアーム22,23,24が非連結状態になる連結解除位置を占める。油圧室63の油圧が高圧になると、連結ピストン56、連結ピン57および規制ピン58は、戻しばね59の弾発力に抗して連結側に移動し、連結ピストン56がガイド孔61に嵌合し、連結ピン57がガイド孔62に嵌合するため、第2、第3および第4吸気ロッカアーム22,23,24が一体に連結される連結位置を占める。
【0038】
次に、図6ないし図8を参照して、排気カム軸6に設けられたカムおよび排気ロッカアームを主たる構成要素とする排気側バルブ特性切換機構14の構造を説明する。
排気カム軸6には、各気筒に対応して、一対の低速用カム67,69と、両低速用カム67,69に挟まれて配置された高速用カム68とが一体に設けられている。排気カム軸6よりも下方において、両低速用カム67,69および高速用カム68にそれぞれ対応した配置で、第1、第2および第3排気ロッカアーム71,72,73が、排気カム軸6と平行に固定された排気ロッカ軸70に揺動自在に支持されている。
【0039】
図7に図示されるように、低速用カム67,69は、排気カム軸6の径方向に比較的小さい突出量で、その周方向に所定のカム作動角に渡って突出した高位部と、ベース円部とから構成されている。高速用カム68は、排気カム軸6の径方向の突出量が低速用カム67,69のそれより大きく、かつカム作動角が低速用カム67,69のそれより大きい高位部と、ベース円部とから構成されている。
【0040】
第1および第3排気ロッカアーム71,73の一端部には、バルブステム74の上端近傍に設けられた鍔部75とシリンダヘッド28との間に圧縮状態で装着されたバルブスプリング76により閉弁方向に付勢されている排気弁12のバルブステム74の上端に当接するタペットねじ77が、それぞれ進退自在に設けられている。
【0041】
第1および第3排気ロッカアーム71,73の中間部の上面には両低速用カム67,69にそれぞれ当接し得るスリッパ71a,73aが設けられており、二つの排気ロッカアーム71,73は、スリッパ71a,73aを介して両低速用カム67,69にそれぞれ従動する。第2排気ロッカアーム72には高速用カム68と当接するローラ72aが設けられており、第2排気ロッカアーム72はこのローラ72aを介して高速用カム68に従動する。また、第2排気ロッカアーム72は、リフタスプリング78により、ローラ72aが高速用カム68に当接するように付勢されている。
【0042】
図8に図示されるように、第1、第2および第3排気ロッカアーム71,72,73の連結状態を切り換える連結切換機構79は、第1および第2排気ロッカアーム71,72を連結し得る連結ピストン80と、第2および第3排気ロッカアーム62,73を連結し得る連結ピン81と、連結ピストン80および連結ピン81の移動を規制する有底円筒状の規制ピン82と、連結ピストン80、連結ピン81および規制ピン82を連結解除側に付勢する戻しばね83とを備えている。
【0043】
第1排気ロッカアーム71には、排気ロッカ軸70と平行な有底のガイド孔84が、その開放端を第2排気ロッカアーム72側にして形成されている。ガイド孔84には連結ピストン80が摺動自在に嵌合し、連結ピストン80とガイド孔84の底部との間に油圧室87が形成されている。さらに、第1排気ロッカアーム71には油圧室87に連通する連通路88が形成され、排気ロッカ軸70には油圧供給路89が形成されている。連通路88と油圧供給路89とは、排気ロッカ軸70の側壁に形成された油孔を介して、第1排気ロッカアーム71の揺動状態にかかわらず常時連通している。
【0044】
第2排気ロッカアーム72には、ガイド孔84に対応する位置に同一径のガイド孔85が、排気ロッカ軸70と平行に貫通して形成されており、このガイド孔85に連結ピン81が摺動自在に嵌合している。
【0045】
第3排気ロッカアーム73には、ガイド孔85に対応する位置に同一径の有底円筒状のガイド孔86が、その開放端を第2排気ロッカアーム72側にして排気ロッカ軸70と平行に形成されており、ガイド孔86に規制ピン82が摺動自在に嵌合している。戻しばね83は、規制ピン82の内周に、ガイド孔86の底部と規制ピン82の底部との間に圧縮状態で装着されている。
【0046】
油圧室87の油圧が低圧のとき、連結ピストン80、連結ピン81および規制ピン82は、戻しばね83の弾発力で連結解除側に移動しており、連結ピストン80と連結ピン81との当接面が第1および第2排気ロッカアーム71,72の間に位置し、連結ピン81と規制ピン82との当接面が第2および第3排気ロッカアーム72,73の間に位置するため、第1、第2および第3排気ロッカアーム71,72,73が非連結状態になる連結解除位置を占める。油圧室87の油圧が高圧になると、連結ピストン80、連結ピン81および規制ピン82は、戻しばね83の弾発力に抗して連結側に移動し、連結ピストン80がガイド孔85に嵌合し、連結ピン81がガイド孔86に嵌合するため、第1、第2および第3排気ロッカアーム71,72,73が一体に連結される連結位置を占める。
【0047】
次に、図2および図9を参照して、吸気カム軸5の軸端部に設けられたバルブ位相可変機構100の構造を説明する。
略円筒状のボス部材101の中心に形成された支持孔が吸気カム軸5の軸端部に同軸に嵌合し、ピン52およびボルト103で相対回転不能に結合されている。タイミングチェーン10が巻き掛けられるカムスプロケット8は円形の凹部8aを有して略カップ状に形成されており、その外周にスプロケット歯8bが形成されている。カムスプロケット8の凹部8aに嵌合する環状のハウジング104と、さらにその軸方向に重ね合わされたプレート105とが、それらを貫通する4本のボルト106でカムスプロケット8に結合されている。
【0048】
したがって、吸気カム軸5と一体に結合されたボス部材101は、カムスプロケット8、ハウジング104およびプレート105によって囲まれた空間に相対回転可能に収納される。ボス部材101を軸方向に貫通するピン孔101bにはロックピン107が摺動自在に嵌合しており、このロックピン107はプレート105との間に圧縮状態で装着されたスプリング108によって、カムスプロケット8に形成されたロック孔8cに係合する方向に付勢されている。
【0049】
ハウジング104の内部には、吸気カム軸5の軸線を中心とする扇状の凹部104aが90°間隔で4個形成されており、ボス部材101の外周から放射状に突出する4枚のベーン101cが、30°の中心角範囲で相対回転し得るように凹部104aに嵌合している。4個のベーン101cの先端に設けられた4個のシール部材109が凹部104aの天井壁に摺動自在に当接し、かつハウジング104の内周面に設けられた4個のシール部材110がボス部材101の外周面に摺動自在に当接することにより、各ベーン101cの両側に進角室111および遅角室112がそれぞれ区画されている。
【0050】
吸気カム軸5の内部には、進角用油路113および遅角用油路114が形成されており、進角用油路113はボス部材101を半径方向に貫通する4本の油路115を介して4個の進角室111にそれぞれ連通し、遅角用油路114はボス部材101を半径方向に貫通する4本の油路116を介して4個の遅角室112にそれぞれ連通している。また、ロックピン107の頭部が嵌合するカムスプロケット8のロック孔8cは、図示されない油路を介していずれかの進角室111に連通している。
【0051】
進角室111に作動油が供給されていないとき、ロックピン107の頭部はスプリング108の弾発力でカムスプロケット8のロック孔8cに嵌合し、図9に図示されるように、カムスプロケット8に対して吸気カム軸5が反時計方向に相対回転した最も遅角した状態にロックされる。この状態から進角室111に供給される作動油の油圧を高めてゆくと、進角室111から供給される作動油の油圧でロックピン107がスプリング108の弾発力に抗してカムスプロケット8のロック孔8cから離脱するとともに、進角室111および遅角室112の油圧差でベーン101cが押されることによりカムスプロケット8に対して吸気カム軸5が時計方向に相対回転し、両低速用、両中速用および高速用カム15〜19の位相が一体的に進角して吸気弁11の開弁時期および閉弁時期が進み側に変化する。したがって、進角室111および遅角室112の油圧を制御することにより、クランク軸4に対する吸気カム軸5の位相、したがってクランク軸4に対する吸気弁11の開閉時期である位相を無段階に変化させることができる。
【0052】
次に、図10を参照して、吸気側および排気側バルブ特性切換機構13,14、そしてバルブ位相可変機構100の油圧制御系について説明する。
油圧源となるオイルポンプ120により、クランクケースの底部のオイルパン121から油路を介して吸引されたオイルは、内燃機関1のクランク軸4まわりや動弁機構の潤滑油として、また吸気側および排気側バルブ特性切換機構13,14、そしてバルブ位相可変機構100の作動油として油路122に吐出される。油路122から分岐して吸気側バルブ特性切換機構13に連通する二つの油路123,124には、吸気ロッカ軸20内の第1および第2油圧供給路44,65の油圧を高低に切り換える二つ油圧切換弁127,128がそれぞれが設けられている。また、排気側バルブ特性切換機構14に連通する油路125には、排気ロッカ軸70の油圧供給路89の油圧を高低に切り換える油圧切換弁129が設けられている。さらに、油路122から分岐してバルブ位相可変機構100に連通する油路126には、進角室111および遅角室112の油圧を無段階に制御する油圧制御弁である、デューティ制御された電流が供給されるソレノイドにより駆動されるスプールを有するリニアソレノイドバルブ130が設けられている。
【0053】
吸気カム軸5の回転位置θを検出するカム軸センサ131からの信号、排気カム軸6の回転位置に基づいてピストン2の上死点θTDを検出するTDCセンサ132からの信号、クランク軸4の回転位置θCを検出するクランク軸センサ133からの信号、吸気負圧Pを検出する吸気負圧センサからの信号、冷却水温TWを検出する冷却水温センサからの信号、スロットル開度ΘTHを検出するスロットル開度センサからの信号、機関回転数Neを検出する回転数センサからの信号が入力される制御装置の一例としての電子制御ユニット134は、これら信号に基づいて前記各油圧切換弁127,128,129およびリニアソレノイドバルブ130を制御することで、両バルブ特性切換機構13,14およびバルブ位相可変機構100を制御している。ここで、吸気負圧センサは機関の負荷を検出する負荷センサを構成している。
【0054】
以下、吸気側バルブ特性切換機構13の動作について、図4、図5、図11および図12を参照しつつ説明する。
機関回転数が第1切換回転数Ne1、例えば3000rpmより低い運転域では、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁127が開弁し、オイルポンプ120からの高油圧が吸気側バルブ特性切換機構13の第1および第2連結切換機構32,33に供給されて、吸気ロッカ軸20の第1油圧供給路44に連なる両油圧室42,53の油圧が高圧になる。それゆえ、第1および第2連結切換機構32,33のピストン35,46、連結ピン36,47および規制ピン37,48は戻しばね38,49の弾発力に抗して、それぞれ図4に図示される連結解除位置に移動し、第1および第2吸気ロッカアーム21,22は相互に切り離され、第4および第5吸気ロッカアーム24,25も相互に切り離される。
【0055】
一方、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁128は閉弁し、吸気側バルブ特性切換機構13の第3連結切換機構34に供給される油圧が低圧になると、吸気ロッカ軸20の第2油圧供給路65に連なる油圧室63の油圧が低圧になる。それゆえ、第3連結切換機構34の連結ピストン56、連結ピン57および規制ピン58は、戻しばね59の弾発力で、図5に図示される連結解除位置に移動し、第2、第3および第4吸気ロッカアーム23,24,25は相互に切り離される。
【0056】
その結果、2個の吸気弁11は、一対の低速用カム16,18にスリッパ22a,24aをそれぞれ当接させた第2および第4吸気ロッカアーム22,24により開弁駆動される。このとき、中速用カム15,19にローラ21a,25aをそれぞれ当接させた第1および第5吸気ロッカアーム21,25、そして高速用カム17にローラ25aを当接させた第3吸気ロッカアーム23は、いずれも吸気弁11の作動には無関係に空動する。
【0057】
したがって、図11に図示されるように、第1切換回転数Ne1より低い機関回転数の運転域である低速回転域では、低速用カム16,18により、開角(開弁時期)αL1が比較的遅い時期に設定され、閉角(閉弁時期)αL2が比較的早い時期に設定されて小バルブ作動角の、かつ小バルブリフト量の吸気低速バルブ作動特性で吸気弁11が開弁駆動される。
【0058】
回転数センサからの信号により機関回転数が第1切換回転数Ne1になったことが検出されると、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁127が閉弁し、吸気側バルブ特性切換機構13の第1および第2連結切換機構32,33に供給される油圧が低圧になると、吸気ロッカ軸20の第1油圧供給路44に連なる両油圧室42,53の油圧が低圧になる。それゆえ、第1および第2連結切換機構32、33のピストン35,46、連結ピン36,47および規制ピン37,49は、戻しばね38,49の弾発力に抗してそれぞれ連結位置に移動し、連結ピン36によって第1および第2吸気ロッカアーム21,22は連結され、連結ピン47によって第4および第5吸気ロッカアーム24,25も連結される。一方、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁128は閉弁を維持し、第3連結切換機構34の連結ピストン56、連結ピン57および規制ピン58は連結解除位置にあり、第2、第3および第4吸気ロッカアーム22,23,24は相互に切り離されている。
【0059】
その結果、一方の吸気弁11は、中速用カム15にローラ21aを当接させた第1吸気ロッカアーム21の揺動が、それと一体に連結された第2吸気ロッカアーム22に伝達されて開弁駆動され、他方の吸気弁11は、中速用カム19にローラ25aを当接させた第5吸気ロッカアーム25の揺動が、それと一体に連結された第4吸気ロッカアーム24に伝達されて開弁駆動される。このとき、低速用カム16,18の高位部は第2および第4ロッカーアーム22,24からそれぞれ離れて空動し、高速用カム17にローラ23aを当接させた第3吸気ロッカアーム23は吸気弁11の作動には無関係に空動する。そして、この状態が、機関回転数が第1切換回転数Ne1以上で、第2切換回転数Ne2、例えば5000rpmより低い運転域において維持される。
【0060】
したがって、図11に図示されるように、第1切換回転数Ne1以上で、第2切換回転数Ne2より低い機関回転数の運転域である中速回転域では、中速用カム15,19により、開角αM1が低速バルブ作動特性に比べてより早い時期に設定され、閉角(閉弁時期)αM2が低速バルブ作動特性に比べてより遅い時期に設定されて中バルブ作動角の、かつ中バルブリフト量の吸気中速バルブ作動特性で吸気弁11が開弁駆動される。
【0061】
回転数センサからの信号により機関回転数が第2切換回転数Ne2になったことが検出されると、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁127は閉弁を維持し、第1および第2連結切換機構32,33のピストン35,46、連結ピン36,47および規制ピン37,48はそれぞれ連結位置にあり、第1および第2吸気ロッカアーム21,22は連結され、第4および第5吸気ロッカアーム24,25も連結されている。一方、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁128は開弁し、オイルポンプ120の高油圧が吸気側バルブ特性切換機構13の第3連結切換機構34に供給されて、吸気ロッカ軸20の第2油圧供給路65に連なる油圧室63の油圧が高圧になる。それゆえ、第3連結切換機構34の連結ピストン56、連結ピン57および規制ピン58が戻しばね59の弾発力に抗して連結位置に移動し、連結ピストン56および連結ピン57によって、第2、第3および第4吸気ロッカアーム22,23,24が一体に連結される。
【0062】
その結果、2個の吸気弁11は、高速用カム17にローラ25aを当接させた第3吸気ロッカアーム23の揺動が、それと一体に連結された第2および第4吸気ロッカアーム22,24に伝達されて開閉駆動される。このとき、低速用カム16,18の高位部および中速用カム15,19の高位部は、第2、第4、第1および第5ロッカーアーム22,24,21,25からそれぞれ離れて空動する。そして、この状態が、機関回転数が第2切換回転数Ne2以上の運転域において維持される。
【0063】
したがって、図11に図示されるように、第2切換回転数Ne2以上の機関回転数の運転域である高速回転域では、高速用カム17により、開角(開弁時期)αH1が中速バルブ作動特性に比べてより早い時期に設定され、閉角(閉弁時期)αH2が中速バルブ作動特性に比べてより遅い時期に設定されて大バルブ作動角の、かつ大バルブリフト量の吸気高速バルブ作動特性で吸気弁11が開弁駆動される。
【0064】
以下、排気側バルブ特性切換機構14の作用について、図8、図11および図12を参照しつつ説明する。
機関回転数が第1切換回転数Ne1より低い運転域では、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁129が閉弁し、排気側バルブ特性切換機構14の連結切換機構79に供給される油圧が低圧になると、排気ロッカ軸70の油圧供給路89に連なる油圧室87に油圧が低圧になる。それゆえ、連結ピストン80、連結ピン81および規制ピン82は戻しばね83の弾発力で図8に図示される連結解除位置に移動し、第1、第2および第3排気ロッカアーム71,72,73は相互に切り離される。
【0065】
その結果、2個の排気弁12は、一対の低速用カム67,69にスリッパ71a,73aを当接させた第1および第3排気ロッカアーム71,73により開弁駆動される。このとき高速用カム68にローラ72aを当接させた第2排気ロッカアーム72は、排気弁12の作動には無関係に空動する。
【0066】
したがって、図11に図示されるように、第1切換回転数Ne1より低い機関回転数の運転域である低速回転域では、低速用カム67,69により、開角(開弁時期)βL1が比較的遅い時期に設定され、閉角(閉弁時期)βL2が比較的早い時期に設定されて小バルブ作動角の、かつ小バルブリフト量の排気低速バルブ作動特性で排気弁12が開弁駆動される。
【0067】
回転数センサからの信号により機関回転数が第1切換回転数Ne1になったことが検出されると、電子制御ユニット134からの指令により油圧切換弁129が開弁し、オイルポンプ120の高油圧が排気側バルブ特性切換機構14の連結切換機構79に供給されて、排気ロッカ軸70の油圧供給路89に連なる油圧室87の油圧が高圧になる。それゆえ、連結切換機構79の連結ピストン80、連結ピン81および規制ピン82が戻しばね83の弾発力に抗して連結位置に移動し、連結ピストン80および連結ピン81によって、第1、第2および第3排気ロッカアーム71,72,73が一体に連結される。
【0068】
その結果、2個の排気弁12は、高速用カム68にローラ72aを当接させた第2排気ロッカアーム72の揺動が、それと一体に連結された第1および第3排気ロッカアーム71,73に伝達されて開閉駆動される。このとき、低速用カム67,69の高位部は第1および第3排気ロッカアーム71,73のスリッパ71a,73aからそれぞれ離れて空動する。そして、この状態が、機関回転数が第1切換回転数Ne1以上の運転域において維持される。
【0069】
したがって、図11に図示されるように、第1切換回転数Ne1以上の機関回転数の運転域である中高速回転域では、高速用カム68により、開角(開弁時期)βH1が低速バルブ作動特性に比べてより早い時期に設定され、閉角(閉弁時期)βH2が低速バルブ作動特性に比べてより遅い時期に設定されて大バルブ作動角の、かつ大バルブリフト量の排気高速バルブ作動特性で排気弁12が開弁駆動される。
【0070】
次に、バルブ位相可変機構100の作用について、図9を参照しつつ説明する。
バルブ位相可変機構100は、カム軸センサ131およびクランク軸センサ133からの信号から検出された吸気カム軸5のカム位相に基づいて、吸気カム軸5のカム位相が目標カム位相に一致するようにフィードバック制御される。この目標カム位相は、吸気負圧Pと機関回転数Neとをパラメータとして設定され、電子制御ユニット134に備えらたメモリにマップとして記憶されている。
【0071】
先ず、内燃機関1の停止時には、バルブ位相可変機構100は、遅角室112が最大容積になり、かつ進角室111の容積がゼロになった状態にあり、ロックピン107がカムスプロケット8のロック孔8cに嵌合して、最も遅角した状態(最大遅角状態)に保持される。内燃機関1の始動によりオイルポンプ120が作動し、リニアソレノイドバルブ130を介して進角室111に供給される油圧が所定値を越えると、油圧によりロックピン107がロック孔8cから離脱してバルブ位相可変機構100は作動可能な状態になる。
【0072】
この状態から、リニアソレノイドバルブ130へ供給される電流のデューティ比が、リニアソレノイドバルブ130のスプールを中立位置、すなわち進角室111および遅角室112がオイルポンプ120およびドレンから遮断される位置に保持するための設定値、例えば50%より増加されると、スプールが中立位置より移動して、オイルポンプ120からの油路126を進角室111に連通させるとともに、遅角室112をドレンに連通させる。その結果、進角室111に油圧が作用して、バルブ位相可変機構100は、図9においてカムスプロケット8に対して吸気カム軸5が時計方向に相対回転し、吸気カム軸5のカム位相が進角側に連続的に変化する。そして、目標カム位相が得られたときに、デューティ比が50%に戻されてスプールが中立位置に停止することにより、カムスプロケット8および吸気カム軸5が一体化されてカム位相が一定に保持される。
【0073】
吸気カム軸5のカム位相を遅角側に連続的に変化させるには、リニアソレノイドバルブ130へ供給される電流のデューティ比を50%より減少させてスプールを中立位置から移動させて、オイルポンプ120からの油路126を遅角室112に連通させるとともに、進角室111をドレンに連通させる。そして、目標カム位相が得られたときに、リニアソレノイドバルブ130へのデューティ比が50%に戻されてスプールが中立位置に停止して、カム位相が一定に保持される。
【0074】
このようにして、バルブ位相可変機構100は、クランク軸4の位相に対して吸気カム軸5の位相を変化させることにより、吸気弁11の開閉時期である位相を、吸気カム軸5の回転角の30°(クランク角相当で60°)の範囲に渡って無段階に進角および遅角することが可能となる。
【0075】
次に、図11、図12ないし図14を参照して、吸気負圧センサ(負荷センサ)で検出された内燃機関1の負荷が、所定値LH以上、例えば全負荷の80%から90%以上の高負荷における、前述した構成要素を有する内燃機関1の動弁制御装置の作動について説明する。
【0076】
機関回転数がアイドル回転数Ne0より大きく第1切換回転数Ne1より小さい低速回転高負荷域A1では、吸気弁11は吸気側バルブ特性切換機構13の作動により低速用カム16,18に従動する吸気低速バルブ作動特性で開弁駆動され、排気弁12は排気側バルブ特性切換機構14の作動により低速用カム67,69に従動する排気低速バルブ作動特性で開弁駆動される。
【0077】
このとき、吸気弁11の位相は、バルブ位相可変機構100の作動により、設定された目標カム位相に基づいて、図14に図示されるように、アイドル回転数Ne0の近傍で、吸気弁11が低速回転高負荷域A1において最小遅角状態になるように制御されている。そして、機関回転数がアイドル回転数Ne0の近傍から上昇すると、吸気慣性効果を利用するために、機関回転数の上昇に伴って吸気弁11の位相の遅角側に移動する吸気慣性による圧力波のピークの発生傾向に合わせるように、吸気弁11の位相が機関回転数の上昇に応じて遅角され、体積効率を向上させている。なお、図14において、線は、高い体積効率が得られるときの吸気弁11のおおよその閉弁時期の機関回転数に対する変化を示している。
【0078】
なお、バルブ位相可変機構100は、吸気弁11が前記最小遅角状態にあるとき、カム位相を変化させることが可能な角度範囲(クランク角相当で60°)の略中間位置、すなわち機関停止時のバルブ位相可変機構100の最大遅角状態から前記角度範囲の半分ほど進角した位置にある。
【0079】
この最小遅角状態のときの吸気弁11の開弁時期θLは、低速回転、中速回転および高速回転の各高負荷域A1、A2、A3において、バルブオーバラップ角度と混合気の慣性によるシリンダ内への流入の遅れとを考慮した上死点前の角度を確保した上で、吸気弁11の開弁時期が早すぎるために生じるシリンダや排気ポートからの既燃ガスの吸気ポートへの逆流(「内部EGR」ともいう)を抑制する観点から設定開弁時期θ1に設定されている。
【0080】
したがって、低速回転高負荷域A1では、吸気弁11の最小遅角時の開弁時期θLが設定開弁時期θ1なっているため、吸気弁11は、低速回転域において混合気の慣性によるシリンダへの流入の遅れを考慮して設定される開弁時期よりも早い時期に開弁されることになる。その結果、吸気弁11の閉弁時期も早くなるので、閉弁時期が遅すぎるためにシリンダに一旦吸入された混合気が吸気ポートに押し戻されることが防止され、低速回転高負荷域A1での体積効率が向上する。
【0081】
なお、このとき、吸気弁11の開弁時期が早くなることによりバルブオーバラップ角度が大きくなるが、機関の負荷が高負荷であるため吸気管圧力は高くなっているとともに、低速回転域であるため、吸気弁11および排気弁12は、低速用カム16,18および低速用カム67,69による低速バルブ作動特性でそれぞれ開弁駆動される。したがって、そのバルブリフト量が小さい上に、そのバルブ作動角は小さくなっていて、吸気弁11の開角(開弁時期)αL1は最も遅い時期に、またその閉角(閉弁時期)αL2は最も早い時期にそれぞれ設定され(図11参照)、一方排気弁12の開角(開弁時期)βL1は最も遅い時期に、またその閉角(閉弁時期)βL2は最も早い時期にそれぞれ設定されている(図11参照)ことから、元々のバルブオーバラップ角度が小さくなっている(図13参照)こともあって、吸気ポートに既燃ガスが逆流することは殆どない。
【0082】
そして、機関回転数の上昇に応じて遅角される吸気弁11の、第1切換回転数Ne1になる直前での位相(開弁時期)は、吸気弁11を開弁駆動するカムが低速用カム16,18から中速用カム15,19による中速バルブ作動特性に切り換わったときの吸気弁11の開弁時期θMが、吸気弁11の位相を変更することなく低速バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期θLに等しくなるような値に設定されている。
【0083】
次に、機関回転数が上昇して第1切換回転数Ne1に達したとき、吸気側および排気側バルブ特性切換機構13,14によりバルブ作動特性が切り換えられて、吸気弁11は中速用カム15,19による中速バルブ作動特性で開弁駆動され、排気弁12は、それらを駆動するカムが低速用カム67,69から高速用カム68に切り換えられて、高速バルブ作動特性で開弁駆動される。そして、機関回転数が後述する第2切換回転数Ne2に達するまでの中速回転高負荷域A2で、これら吸気および排気バルブ作動特性が保持される。
【0084】
バルブ作動特性が中速バルブ作動特性に切り換わった時点では、吸気弁11の第1切換回転数Ne1になる直前での開弁時期が前述のように設定されている結果、吸気弁11の開弁時期は、低速バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期θLと等しくなる開弁時期θM、すなわち設定開弁時期θ1となっていて、しかも中速回転高負荷域A2における最小遅角状態になっている(図13の破線および図14参照)。そして、この状態から機関回転数が上昇すると、低速回転高負荷域A1と同様に、吸気慣性効果を利用するために、吸気慣性による圧力波のピークの発生傾向に合わせるように、吸気弁11の位相が機関回転数の上昇に応じて遅角され、体積効率を向上させている。
【0085】
この中速回転高負荷域A2では、吸気弁11は、中速用カム15,19による中速バルブ作動特性で開弁駆動されるため、バルブリフト量は低速用カム16,18のそれより大きくかつバルブ作動角は低速用カム16,18のそれより大きく設定されて、さらに開角(開弁時期)αM1および閉角(閉弁時期)αM2は、低速用カム16,18によるそれらに比べて、より早い時期およびより遅い時期にそれぞれ設定されている(図11参照)にも拘わらず、吸気弁11の最小遅角時の開弁時期θMが設定開弁時期θ1になっている。そのため、低速回転域での開弁時期と同様に、吸気弁11は、中速回転域において混合気の慣性によるシリンダへの流入の遅れを考慮して設定される開弁時期よりも早い時期に開弁される。その結果、吸気弁11の閉弁時期も早くなるので、閉弁時期が遅すぎるためにシリンダに一旦吸入された混合気が吸気ポートに押し戻されることが防止され、中速回転高負荷域A2での体積効率が向上する。
【0086】
このときも、吸気弁11の開弁時期が早くなることによりバルブオーバラップ角度が大きくなる(図13参照)が、機関の高負荷域であるため吸気管圧力は高くなっているので、吸気ポートに逆流する既燃ガスの量は少なく、吸気弁11の閉弁時期を早めたことによるシリンダへの混合気の吸入量の増大量が、吸気弁11の開弁時期が早められ、かつ排気弁12の閉弁時期が遅らされていることによるバルブオーバラップ角度の増大による混合気の吸入量の低下量を上回ったものとなり、全体としての体積効率は向上する。
【0087】
一方、排気バルブは高速用カム68による高速バルブ作動特性で開弁駆動されるため、その開弁βH1は、低速用カム67,69によるそれに比べてより早い時期に設定されて、排気ポンピングロスが低減され、その閉角(閉弁時期)βH2は、低速用カム67,69によるそれらに比べてより遅い時期に設定されて、既燃ガスのシリンダからの排出が十分に行われるようにしている。
【0088】
そして、機関回転数の上昇に応じて遅角される吸気弁11の、第2切換回転数Ne2になる直前での位相(開弁時期)は、吸気弁11を開弁駆動するカムが中速用カム15,19から高速用カム17による高速バルブ作動特性に切り換わったときの吸気弁11の開弁時期θHが、吸気弁11の位相を変更することなく中速バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期θM、したがって低速バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期θLに等しくなるような値に設定されている。
【0089】
さらに、機関回転数が上昇して第2切換回転数Ne2に達したとき、吸気バルブ特性切換機構13によりバルブ作動特性が切り換えられて、吸気弁11は高速用カム17による高速バルブ作動特性で開弁駆動され、排気弁12は、中速回転高負荷域A2でのバルブ作動特性を保持している。そして、この第2切換回転数Ne2以上の機関回転域である高速回転域における高負荷域、すなわち高速回転高負荷域A3で、これら吸気および排気バルブ作動特性が保持される。
【0090】
バルブ作動特性が高速バルブ作動特性に切り換わった時点では、吸気弁11の第2切換回転数Ne2になる直前での開弁時期が前述のように設定されている結果、吸気弁11の開弁時期は、中速バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期θMと等しくなる開弁時期θH、すなわち設定開弁時期θ1になっていて、しかも高速回転高負荷域A3における最小遅角状態になっている(図13の破線および図14参照)。また、高速回転域は、吸気慣性効果が最も発揮される機関回転域に設定してあるため、この高速回転高負荷域A3においては、吸気慣性効果を有効に利用するために、吸気弁11の閉弁時期が吸気慣性による圧力波のピークが現れる時期またはその近傍になるように、吸気弁11の位相が機関回転数の上昇に応じて遅角され、体積効率を向上させている。
【0091】
この高速回転高負荷域A3では、吸気弁11は、高速用カム17による高速バルブ作動特性で開弁駆動されるため、バルブリフト量は中速用カム15,19のそれより大きくかつバルブ作動角は中速用カム15,19のそれより大きく設定されて、さらに開角(開弁時期)αH1および閉角(閉弁時期)αH2は、中速用カム15,19によるそれらに比べて、より早い時期およびより遅い時期にそれぞれ設定されている(図11参照)にも拘わらず、吸気弁11の最小遅角時の開弁時期θHは設定開弁時期θ1と等しく、しかもその設定開弁時期θ1が前述のように設定されているため、前記従来技術に比べて上死点前でのバルブオーバラップ角度は小さくなっている。その結果、シリンダや排気ポートからの既燃ガスの吸気ポートへの逆流が抑制され、さらに既燃ガスとの混合による温度上昇で生じる混合気の膨張も抑制されるため、それらの分混合気の吸入量が増加して、体積効率が向上する。したがって、高速回転高負荷域A3では、吸気弁11の早期開弁を防止するとともに閉弁時期を遅らせたことにより、体積効率の一層の向上ができる。
【0092】
ここでも、排気バルブは高速用カム68による高速バルブ作動特性で開弁駆動されるため、排気ポンピングロスが低減されるとともに、既燃ガスのシリンダからの排出が十分に行われる。
【0093】
なお、負荷の前記所定値LHより小さい負荷範囲では、吸気弁11は、バルブ位相可変機構100により、燃費および排気エミッションを考慮した位相に設定される。また、アイドル時には、吸気弁11は最も遅角された位相にされて、バルブオーバラップを極めて小さくすることで、既燃ガスのシリンダおよび吸気ポートへの逆流が実質的に行われることがないようにし、アイドル回転の変動を防止してアイドル運転の安定性を確保している。
【0094】
この実施形態は、前記のように構成されているので、以下の効果を奏する。
機関高負荷時に、低速、中速および高速の三つの機関回転域のうち隣接する二つの機関回転域である低速回転高負荷域A1および中速回転高負荷域A2において、より高い機関回転域である中速回転高負荷域A2では、吸気弁11は、中速用カム15,19により、低速用カム16,18の開角(開弁時期)αL1より早い時期に設定された開角(開弁時期)αM1、低速用カム16,18の閉角(閉弁時期)αL2より遅い時期に設定された閉角(閉弁時期)αM2、低速用カム16,18のバルブ作動角およびバルブリフト量より大きいバルブ作動角およびバルブリフト量を有する中速バルブ作動特性で開弁駆動されるにも拘わらず、低速回転高負荷域A1での低速バルブ作動特性から中速回転高負荷域A2での中速バルブ作動特性に切り換わった直後の吸気弁11の開弁時期θMは、バルブ位相可変機構100により、三つの機関回転域のうちで最も低い機関回転域である低速回転域の低速バルブ作動特性で開弁駆動される吸気弁11の位相が最小遅角状態にあるとき(このとき、吸気弁11の開弁時期は、図13に図示されるように、設定開弁時期θ1となっている)の(換言すれば、バルブ位相可変機構100により吸気弁11の位相が変更されない場合の)、中速バルブ作動特性での吸気弁の開角(開弁時期)θ2(図13参照)に比べて遅い時期とされる。
【0095】
同様に、三つの機関回転域のうち隣接する二つの機関回転域である中速回転高負荷域A2よび高速回転高負荷域A3おいて、より高い機関回転域である高速回転高負荷域A3では、吸気弁11は、高速用カム17により、中速用カム15,19の開角(開弁時期)αM1より早い時期に設定された開角(開弁時期)αH1、中速用カム15,19の閉角(閉弁時期)αM2より遅い時期に設定された閉角(閉弁時期)αH2、中速用カム15,19のバルブ作動角およびバルブリフト量より大きいバルブ作動角およびバルブリフト量を有する高速バルブ作動特性で開弁駆動されるにも拘わらず、中速回転高負荷域A2での中速バルブ作動特性から高速回転高負荷域A3での高速バルブ作動特性に切り換わった直後の吸気弁11の開弁時期θHは、バルブ位相可変機構100により、三つの機関回転域のうちで最も低い機関回転域である低速回転域の低速バルブ作動特性で開弁駆動される吸気弁11の位相が最小遅角状態にあるときの(換言すれば、バルブ位相可変機構100により吸気弁11の位相が変更されない場合の)、高速バルブ作動特性での吸気弁の開角(開弁時期)θ3(図13参照)に比べて遅い時期とされる。
【0096】
その結果、機関高負荷時に、隣接する二つの機関回転域でのより高い機関回転域である中速回転高負荷域A2または高速回転高負荷域A3において、吸気弁11の中速バルブ作動特性または高速バルブ作動特性への切換直後から、バルブオーバラップ中にシリンダや排気ポートから吸気ポートへの既燃ガスの逆流が抑制されて、シリンダに残留する既燃ガスの量が減少する上、既燃ガスとの混合による温度上昇で生じる混合気の膨張が抑制されて、混合気の吸入量が増加するので、体積効率を向上させることができ、中速回転高負荷域A2または高速回転高負荷域A3でのトルクが向上する。
【0097】
機関高負荷時に全ての機関回転域で、吸気弁11の最小遅角時の開弁時期θL,θM,θHが同じ開弁時期、すなわち設定開弁時期θ1となる。このことにより、低速回転高負荷域A1および中速回転高負荷域A2においては、吸気弁11の閉弁時期が早くされているので、閉弁時期が遅すぎるためにシリンダに一旦吸入された混合気が吸気ポートに押し戻されることが防止されて、体積効率が向上するので、それら運転域でのトルクが向上する。
【0098】
さらに、低速回転高負荷域A1および中速回転高負荷域A2において、吸気弁の位相は機関回転数の上昇するにつれて遅角されることから、両高負荷域A1,A2の低速側ほどより早い時期に吸気弁閉弁されるため、両高負荷域A1,A2における低速側での一層の体積効率の向上、したがってトルクの向上が可能となる。
【0099】
また、低速回転高負荷域A1では、吸気弁11および排気弁12は、そのバルブリフト量が小さい上に、そのバルブ作動角は小さくなっていて、吸気弁11の開角(開弁時期)αL1は遅い時期に、またその閉角(閉弁時期)αL2は早い時期にそれぞれ設定され、一方排気弁12の開角(開弁時期)βL1は遅い時期に、またその閉角(閉弁時期)βL2は早い時期にそれぞれ設定されているため、元々のバルブオーバラップ角度が小さくなっており、吸気ポートに既燃ガスが逆流することは殆どないので、体積効率を向上させることができ、低速回転高負荷域A1でのトルクが向上する。
【0100】
また、高速回転域は、吸気慣性効果が最も発揮される機関回転域に設定してあるため、高速回転高負荷域A3においては、吸気弁11の閉弁時期が吸気慣性による圧力波のピークが現れる時期またはその近傍になるように、吸気弁11の位相が機関回転数の上昇に応じて遅角されるので、体積効率を向上し、この運転域でのトルクが更に向上する。
【0101】
以下、前記実施形態の構造の一部を変更した本出願発明の別の形態を説明する。
前記実施形態では、第1切換回転数Ne1において吸気バルブ作動特性を低速バルブ作動特性から中速バルブ作動特性に切り換える際には、第1切換回転数Ne1になる直前での吸気弁11の開弁時期は、中速バルブ作動特性に切り換わった直後の開弁時期θMが、吸気弁11の位相を変更することなく低速バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期θLに等しくなるような値に設定され、また第2切換回転数Ne2において吸気バルブ作動特性を中速バルブ作動特性から高速バルブ作動特性に切り換える際には、第2切換回転数Ne2になる直前での吸気弁11の開弁時期は、高速バルブ作動特性に切り換わった直後の開弁時期θHが、吸気弁11の位相を変更することなく中速バルブ作動特性における最小遅角時の開弁時期θMに等しくなるような値に設定されていたが、必ずしもそのようにする必要はなく、第1切換回転数Ne1または第2切換回転数Ne2になる直前での吸気弁11の開弁時期を、前記各値より早い時期又は遅い時期に設定することもできる。
【0102】
そして、この場合には、バルブ作動特性切換時に、バルブ位相可変機構100を駆動して吸気弁11の位相を変更する必要があるため、吸気側バルブ特性切換機構13によるバルブ作動特性の切り換えに要する時間と、バルブ位相可変機構100による位相の変更に要する時間とが異なることを考慮して、バルブ作動特性の切換終了時期と位相の変更終了時期との差が最小となるように、最適には切換終了時期と変更終了時期とが一致するように、吸気側バルブ特性切換機構13の切換開始時期およびバルブ位相可変機構100の変更開始時期を、電子制御ユニット134により制御する。
【0103】
すなわち、吸気側バルブ特性切換機構13およびバルブ位相可変機構100はいずれもオイルポンプ120から吐出されるオイルの油圧により駆動されるものであること、および両機構13,100の構造上の理由により、吸気側バルブ特性切換機構13では、電子制御ユニット134から吸気側バルブ特性切換機構13に切換指令が出される切換開始時期から全ての気筒の吸気バルブ作動特性の切換が終了する切換終了時期まで、ある程度の切換時間が必要となり、またバルブ位相可変機構100では、電子制御ユニット134からバルブ位相可変機構100に変更指令が出される変更開始時期から位相の変更が終了する変更終了時期まで、ある程度の変更時間が必要となる。
【0104】
そして、前述の切換時間および変更時間は油圧に依存するため、切換終了時間と変更終了時間との差を最小とするには、あらかじめ油圧の変化に対する切換時間および変更時間の変化を知る必要がある。その理由は、通常、吸気側バルブ特性切換機構13およびバルブ位相可変機構100には、リリーフ弁等の圧力調整装置でその一定の上限値が設定された油圧が供給されるが、該上限値より低い油圧が供給されこともあるためである。そこで、油圧に応じた切換時間および変更時間を実験等により求めて、切換時間と変更時間との時間差と、油圧との関係をマップ化しておき、センサにより検出された油圧に応じて前記時間差を求めて、その時間差に基づいて吸気側バルブ特性切換機構13の切換開始時期およびバルブ位相可変機構100の変更開始時期を、電子制御ユニット134が決定する。
【0105】
具体的には、両機構13,100の油圧で駆動される部材の重量の違いなどから、バルブ位相可変機構100による位相の変更時間の方が、吸気側バルブ特性切換機構13によるバルブ作動特性の切換時間よりも長くなるので、吸気バルブ作動特性切換時には、先にバルブ位相可変機構100による位相の変更を開始し、前記時間差に相当する所定時間経過後に吸気側バルブ特性切換機構13によるバルブ作動特性の切換を開始する。そして、この所定時間は、例えば0.3から0.7秒程度であり、図15に図示されるように、油圧が低いほど長く設定される。なお、油圧は機関回転数に依存することから、前記時間差、すなわち所定時間を、油圧の代わりに機関回転数に応じて設定することもできる。
【0106】
さらに、油圧により駆動される部材の作動応答性はオイルの粘度の影響を受け、オイルの粘度が大きいほど作動応答性が低下する、すなわち作動指令が出てから実際に作動するまでの時間が長くなるので、オイルの粘度に関与する油温を検出して、この油温をも加味して前記所定時間を設定することもできる。また、場合によっては、油温のみを考慮した前記所定時間の設定も可能である。
【0107】
なお、ここでは、吸気側バルブ特性切換機構13およびバルブ位相可変機構100は油圧により駆動されるものであったが、両機構またはいずれか一方の機構を油圧以外の任意の駆動手段、例えば電動モータやソレノイドなどの電気式駆動手段により駆動することもできる。そして、その場合にも、吸気バルブ作動特性の切換時間と吸気弁の位相の変更時間とが異なるときには、油圧式のものの場合と同様に、切換終了時期と変更終了時期との差が最小となるように吸気側バルブ特性切換機構の切換開始時期およびバルブ位相可変機構の変更開始時期がそれぞれ制御される。
【0108】
さらに、このように吸気バルブ作動特性の切換時に、バルブ位相可変機構100を駆動して吸気弁11の位相を変更するようにすることで、低速回転高負荷域A1での低速バルブ作動特性から中速回転高負荷域A2での中速バルブ作動特性に切り換わった直後の吸気弁11の開弁時期θMを、三つの機関回転域のうちで最も低い機関回転域である低速回転域の低速バルブ作動特性で開弁駆動される吸気弁11の位相が最小遅角状態にあるときの、中速バルブ作動特性での吸気弁の開角(開弁時期)θ2(図13参照)に比べて遅い時期となる任意の時期に設定することもできる。同様に、中速回転高負荷域A2での中速バルブ作動特性から高速回転高負荷域A3での高速バルブ作動特性に切り換わった直後の吸気弁11の開弁時期θHを、三つの機関回転域のうちで最も低い機関回転域である低速回転域の低速バルブ作動特性で開弁駆動される吸気弁11の位相が最小遅角状態にあるときの、高速バルブ作動特性での吸気弁の開角(開弁時期)θ3(図13参照)に比べて遅い時期となる任意の時期に設定することもできる。
【0109】
このようにすると、前記実施形態の奏する効果に加えて、吸気バルブ作動特性切換時に、吸気バルブ作動特性の切換終了時期と位相の変更終了時期との差を最小にすること、最適には切換終了時期と変更終了時期とを一致させることができるので、吸気バルブ作動特性切換時のトルクの低下を防止できる。
【0110】
前述した実施形態では、排気バルブ特性切換機構14は、低速用および高速用の2種類のカムを有していて、低速回転域および高速回転域の二つの機関回転域にそれぞれ対応する排気バルブ作動特性を切り換えるものであったが、この排気バルブ特性切換機構は、吸気バルブ特性切換機構13と同様に、低速用、中速用および高速用の3種類のカムを有し、低速回転域、中速回転域および高速回転域の三つの機関回転域にそれぞれ対応する排気バルブ作動特性を、吸気バルブ特性切換機構13と同じ切り換え回転数で切り換えるものであってもよい。このようにすると、中速回転高負荷域A2において、バルブオーバラップ角度を小さくすることができ、既燃ガスの吸気ポートへの逆流を更に抑制でき、その分体積効率が向上する。
【0111】
前述した実施形態では、吸気バルブ特性切換機構13は、低速用、中速用および高速用の3種類のカムを有していて、低速回転域、中速回転域および高速回転域の三つの機関回転域にそれぞれ対応する吸気バルブ作動特性を切り換えるものであったが、低速用および高速用の2種類のカムを有する吸気バルブ特性切換機構13が、二つの機関回転域、すなわち低速回転域および高速回転域にそれぞれ対応する吸気バルブ作動特性を、やはり二つのバルブ作動特性を切り換える排気バルブ特性切換機構14における切換回転数と同じ切換回転数で切り換えるものであってもよい。このようにしても、前述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0112】
前述した実施形態では、低速回転高負荷域A1、中速回転高負荷域A2および高速回転高負荷域A3の各運転域において、吸気弁11の位相は、機関回転数が上昇するときは常に遅角されるようしたが、必要があれば、各運転域において、その一部の範囲で機関回転数が上昇しているのにも拘わらず位相が変化しないようにすることもできる。
【0113】
前述した実施形態では、高速回転高負荷域A3での最小遅角時の開弁時期θHは、中速回転高負荷域A2での最小遅角時の開弁時期θMと同じであったが、高速回転高負荷域A3において、混合気の慣性によるシリンダ内への流入の遅れを考慮した上死点前の角度を確保した上で、開弁時期θHを開弁時期θMよりも遅い時期に設定することもでき、この場合にも前述した実施形態と同じ効果が奏される。また、このことは、前述したように、機関回転域を、低速回転域および高速回転域に二分した場合でも同様であり、高速回転高負荷域での最小遅角時の開弁時期は、低速回転高負荷域での最小遅角時の開弁時期より遅くてもよい。また、低速回転高負荷域A1での最小遅角時の開弁時期θLは、設定開弁時期θ1より遅くてもまたは早くてもよく、必要に応じて適宜設定できる。ただし、その場合に、中速回転高負荷域A2での最小遅角時の開弁時期θMは設定開弁時期θ1に設定される。このようにすることで、前述した実施形態と同様の効果が奏されるほか、さらに低速回転高負荷域A1での開弁時期の設定および中速回転高負荷域A2および高速回転高負荷域A3での開弁時期の設定の自由度を増すことができる。
【0114】
前述した実施形態では、内燃機関1は気筒毎に2個の吸気弁11および2個の排気弁12を有するものであったが、気筒毎に1個の吸気弁および1個の排気弁を有するものであってもよい。また、各機関回転域において、吸気弁11の位相は機関回転数の上昇に応じて直線状に変化するものであったが、曲線状に変化するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願発明が適用される内燃機関の全体図である。
【図2】図1のII方向矢視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図1のVI方向矢視図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図2のIX−IX線断面図である。
【図10】バルブ特性切換機構およびバルブ位相可変機構の油圧制御系の説明図である。
【図11】吸気弁および排気弁のバルブ作動特性を示す図である。
【図12】内燃機関の運転域の説明図である。
【図13】各バルブ作動特性での吸気弁および排気弁の位相の変化を示す図である。
【図14】機関回転数に対する吸気弁の開閉時期の変化および排気弁の開弁時期の変化を示す図である。
【図15】油圧の変化に対する吸気側バルブ特性切換機構の切換開始時期とバルブ位相可変機構の変更開始時期との時間差の関係を説明する図である。
【符号の説明】
1…内燃機関、2…ピストン、3…コネクティングロッド、4…クランク軸、5…吸気カム軸、6…排気カム軸、7…ドライブスプロケット、8,9…カムスプロケット、10…タイミングチェーン、11…吸気弁、12…排気弁、13…吸気側バルブ特性切換機構、14…排気側バルブ特性切換機構、15,19…中速用カム、16,18…低速用カム、17…高速用カム、20…吸気ロッカ軸、21,22,23,24,25…吸気ロッカアーム、26…バルブステム、27…鍔部、28…シリンダヘッド、29…バルブスプリング、30…タペットねじ、31…リフタスプリング、32,33,34…連結切換機構、35…ピストン、36…連結ピン、37…規制ピン、38…戻しばね、39…押圧ピン、40…押圧ばね、41…ガイド孔、42…油圧室、43…連通路、44…油圧供給路、45…ガイド孔、46…ピストン、47…連結ピン、48…規制ピン、49…戻しばね、50…押圧ピン、51…押圧ばね、52…ガイド孔、53…油圧室、54…連通路、55…ガイド孔、56…連結ピストン、57…連結ピン、58…規制ピン、59…戻しばね、60,61,62…ガイド孔、63…油圧室、64…連通孔、65…油圧供給路、66…油孔、67,69…低速用カム、68…高速用カム、70…排気ロッカ軸、71,72,73…排気ロッカアーム、74…バルブステム、75…鍔部、76…バルブスプリング、77…タペットねじ、78…リフタスプリング、79…連結切換機構、80…連結ピストン、81…連結ピン、82…規制ピン、83…戻しばね、84,85,86…ガイド孔、87…油圧室、88…連通路、89…油圧供給路、100…バルブ位相可変機構、101…ボス部材、102…ピン、103…ボルト、104…ハウジング、105…プレート、106…ボルト、107…ロックピン、108…スプリング、109,110…シール部材、111…進角室、112…遅角室、113…進角用油路、114…遅角用油路、115,116…油路、
120…オイルポンプ、121…オイルパン、122,123,124,125,126…油路、127,128,129…油圧切換弁、130…リニアソレノイドバルブ、131…カム軸センサ、132…TDCセンサ、133…クランク軸センサ、134…電子制御ユニット。

Claims (3)

  1. バルブオーバラップ角度を有するように開閉される吸気弁および排気弁と、前記吸気弁のみの開弁時期およびバルブ作動角を含む吸気バルブ作動特性を変更する吸気側バルブ特性切換機構と前記吸気弁のみの開閉時期である位相を変更するバルブ位相可変機構とを有する動弁機構と、機関負荷を検出する負荷センサと、機関回転数を検出する回転数センサと、制御装置とを備え、
    前記制御装置により制御される前記吸気側バルブ特性切換機構は、前記回転数センサにより検出された機関回転数に応じて、複数の機関回転域にそれぞれ対応して設定された複数の前記吸気バルブ作動特性を、高い機関回転域になるほど、より早い時期に設定された開弁時期およびより大きいバルブ作動角を有する吸気バルブ作動特性に切り換える内燃機関の動弁制御装置において、
    前記負荷センサにより検出された機関負荷が所定値以上である高負荷時に、前記制御装置により制御される前記バルブ位相可変機構は、前記回転数センサにより検出された機関回転数の上昇に応じて前記吸気弁の位相を遅角するとともに、前記複数の機関回転域のうちの隣接する二つの機関回転域において、前記吸気側バルブ特性切換機構による一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性から他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後の前記吸気弁の開弁時期である前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期が、前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期と等しくなるように、前記吸気弁の位相を制御することを特徴とする内燃機関の動弁制御装置。
  2. 前記回転数センサにより検出された機関回転数が切換回転数に達したとき、前記吸気側バルブ特性切換機構により前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性から前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換が行われ、
    前記バルブ位相可変機構は、前記切換回転数になる直前での前記吸気弁の位相を、前記他方のより高い機関回転域の吸気バルブ作動特性への切換直後の前記吸気弁の開弁時期が、前記吸気弁の位相を変更することなく前記一方の機関回転域の吸気バルブ作動特性での最小遅角時の開弁時期と等しくなるような値に設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の動弁制御装置。
  3. 前記制御装置は、前記吸気側バルブ特性切換機構による前記吸気バルブ作動特性の切換時に、前記吸気側バルブ特性切換機構による前記吸気バルブ作動特性の切換終了時期と前記バルブ位相可変機構による前記吸気弁の位相の変更終了時期との差が最小となるように、前記吸気側バルブ特性切換機構の切換開始時期および前記バルブ位相可変機構の変更開始時期を制御することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の動弁制御装置。
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